JP2000116823A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 飛距離の増大を図る。 【解決手段】 ヘッド１の最大幅が５０ｍｍ以上のゴル
フクラブヘッドであって、フェース面５上でのヘッド１
の重心位置が最大の飛距離を得る打点位置より上方に設
定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フェアウエイ上で
主にティアップしないで使用されるゴルフクラブヘッド
の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブにはウッドクラブとアイア
ンクラブとがあり、通常、ウッドクラブは飛距離重視の
設計とされ、一方アイアンクラブは方向性重視の設計と
されている。ゴルフコースのフェアウエイ上にあるボー
ルを打撃する際に主として使用される所謂フェアウエイ
ウッドクラブは、通常３番から５番までのクラブがセッ
ト内で備えられている。これらのクラブのクラブ長さは
４３．５〜４１インチとされ、クラブヘッドのロフト角
度は１５〜２８度とされている。一方、アイアンクラブ
ヘッド特に飛距離が前記のフェアウエイクラブに匹敵す
る１番〜４番のロングアイアンクラブの場合では、クラ
ブ長さを３８〜４１インチ、ロフト角度を１７〜２７度
の範囲内に設定されることが多い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、フェアウエ
イウッドクラブとアイアンクラブとで実際の飛距離を比
較してみると、図３のグラフに示すように、ほぼ同じロ
フト角度同士の比較において、アイアンクラブの方がフ
ェアウエイウッドクラブよりクラブ長さが１〜２インチ
短いにも拘らず良く飛んでいることが判明した。即ち、
従来のフェアウエイウッドクラブでは、主としてクラブ
長さを長くすることで飛距離を伸ばしていたものと考え
られる。従ってまた、両者の間には飛距離を増大するメ
カニズムに大きな違いがあることが想定される。

【０００４】発明者は、この飛びのメカニズムの相違に
ついて以下のように鋭意究明を行った。

【０００５】フェアウエイウッドクラブとアイアンクラ
ブについて、それらのフェース面上でのヘッドの重心位
置高さを多くの既存のクラブで測定してロフト角度毎に
プロットしてグラフ化してみると図４に示すようにな
る。なお、ここでフェース面上でのヘッドの重心位置高
さとは、ヘッドの実際の重心からフェース面に垂線を降
ろしこれがフェース面と交わる点のソール面からの高さ
としている。但し、この場合ソール面はアドレスで正常
に接地された状態とする。この図から判るように、アイ
アンの重心位置高さは、ほぼ２０±２ｍｍの範囲にある
が、ウッドでは２５ｍｍ程度でありアイアンより５ｍｍ
程度高くなっている。

【０００６】一方、地上に置かれたボールが理想的に打
撃された状態を考えてみる。図５及び図６はフェアウエ
イの芝生又は地面上に在るゴルフボールＢをゴルフクラ
ブヘッドで打撃する様子を示すもので、図５ではアイア
ンヘッド１０で打撃する様子を示し、図６ではウッドヘ
ッド２０で打撃する様子を示している。それぞれのロフ
ト角度を２０度とすると、ヘッドがこのロフト角度を維
持してソール面１１，２１を芝生または地面に近接させ
て水平にスイングされた場合のフェース面１２，２２上
の打点位置Ｐは、同図内に示すように、幾何学的に計算
されてソール面１１，２１から鉛直に夫々１４ｍｍの高
さとなる。

【０００７】一方、ギア効果を考慮して業界で良く知ら
れているように、一般に、実際の重心位置がフェース面
１２寄りにあって重心が浅いアイアンヘッド１０では、
フェース面１２上のヘッドの重心位置Ｇより数ミリ（例
えば２乃至３ｍｍ）下方で打撃した場合に最大の飛距離
となり、実際の重心位置がフェース面２２から遠くにあ
って重心位置が深いウッドヘッド２０では、フェース面
２２上のヘッドの重心位置Ｇより数ミリ（例えば２乃至
３ｍｍ）上方で打撃した場合に最大の飛距離が得られ
る。最大飛距離の打点位置を符号Ｌで示す。

【０００８】しかるに、ウッドクラブのヘッドの場合
に、前記図４のように、フェース面２２上の重心位置Ｇ
は２５．５ｍｍとされていることから最大の飛距離を得
る打点の位置Ｌは、図６に示すように、ソール面２１か
ら２８．５ｍｍとなって、前記幾何学的な打点Ｐ（１４
ｍｍ）は下方にずれていることになる。つまり、幾何学
的な打点Ｐで打撃してグットショットしたつもりでも意
外に飛ばない結果となる。

【０００９】他方アイアンクラブのヘッドでは、フェー
ス面１２上の重心位置Ｇが約２０．５ｍｍとされている
ことから最大飛距離を得る打点の位置はソール面１１か
ら１７．５ｍｍとなって前記の幾何学的な打点Ｐの位置
は下方に３．５ｍｍしかずれておらず、前記のグットシ
ョットをした場合にほぼ最大飛距離に近い飛距離が得ら
れることになる。

【００１０】従って、このようなフェース面上の打点位
置の解析結果に基づいて本発明の目的とするところは、
飛距離を増大するようにヘッドの重心位置を適正化した
ゴルフクラブヘッドを提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、この発明は、ヘッド最大幅が５０ｍｍ以上のゴルフ
クラブヘッドであって、フェース面上でのヘッドの重心
位置が最大の飛距離を得る打点位置より上方に設定され
ているものである。また、フェース面上でのヘッドの重
心位置高さが２０ｍｍ以下１４ｍｍ以上とされ、重心深
さが１７ｍｍ以下５ｍｍ以上とされているものである。
さらに、フェース面のバルジ半径が無限大とされている
ものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図１及び
図２を参照にして説明する。

【００１３】図１は、本発明の一実施例を示す５番（＃
５）ウッドクラブのヘッド断面図である。このヘッド１
は、クラウン部２からバックサイド部３にかけての厚さ
を１．２ｍｍと極めて薄肉とされる一方、ソール面４
（３．８ｍｍ）及びフェース面５（３．５ｍｍ）は相対
的に厚肉とされる軽量高強度のチタニウム合金製の殻体
とされている。なお、ヘッド１の外形は、リーディング
エッジ６からバックサイド部３の端迄とするヘッド最大
幅Ｗを７５ｍｍ、ヘッド高さＨを４０ｍｍに設定されて
いる。

【００１４】また、フェース面５には、２２度のロフト
角度が設定され、１５インチのバルジ及びロール半径が
かけられている。

【００１５】而して、フェース面５とソール面４とが交
わるヘッドの下方先端部において、トウ側とヒール側に
中央に丸孔７Ａが設けられた三角柱型の金属製ブロック
７がフェース面５としてソール面４と一体に形成されて
いて、前記丸孔７Ａに高比重のタングステン製丸棒のウ
エイト８が挿入されている。丸孔７Ａは、丸形状に限ら
ず種々の形状とすることができる。

【００１６】本実施例では、ヘッド１を形成する前記殻
体の肉厚配分とヘッドの下方先端部での前記ウエイト８
の取り付けによって、従来の＃５のフェアウエイウッド
に比較して、先ず、ヘッド１の実際の重心位置Ｒ．Ｇ
が、フェース面５寄りに浅くなると同時に低く設定され
る。従って、この実際の重心位置Ｒ．Ｇからフェース面
５に垂線を降ろしフェース面５と交わる点とされるフェ
ース面５上でのヘッドの重心位置Ｇを極めて低く設定す
ることが出来るとともに、前記実際の重心位置Ｒ．Ｇか
らフェース面５上での重心位置Ｇまでの距離とされる重
心深さを浅く（この実施例では１６．６ｍｍ）設定する
ことが出来る。

【００１７】即ち、従来の＃５フェアウエイウッドを多
数実測して得た平均値、ヘッド１の重心深さ２２．８ｍ
ｍ、実際の重心位置Ｒ．Ｇ（ソール面４からの高さ）１
５．３ｍｍ、フェース面５上での重心位置Ｇ（ソール面
４からの高さ）２３．９ｍｍに比較して、本実施例で
は、重心深さが１６．６ｍｍと約６ｍｍ浅く、また実際
の重心位置Ｒ．Ｇは１２．４ｍｍと約３ｍｍ低くなり、
従ってフェース面５上での重心位置Ｇが１８．６ｍｍと
約５ｍｍ低くなって極めて低位に設定されている。

【００１８】このような本実施例の重心の設定値と前記
した従来の＃５フェアウエイウッドの重心の設定値の平
均値とを用いて、別に出願人が開発した『コンピュータ
シュミレーションによる打撃テスト』を実施した。その
結果は、図２に示すように、本実施例では、ロフト角度
２２度から算出された幾何学的な打点１３．４ｍｍに対
して、飛距離が最大となる打点の位置はほぼ１５．５ｍ
ｍの位置となってそのずれは約２ｍｍと極めて小さく、
幾何学的な打点の近辺で打撃された所謂グットショット
の場合に期待通りの満足できる飛距離を得ることが出来
る。また、通常フェアウエイウッドでは、前記幾何学的
打点を含むフェース面５の下側で打撃されることが多い
が、図２に示す通り、これらの打点の範囲（１３．４ｍ
ｍ以下の打点）で実施例のウッドは従来のウッドに比べ
大きな飛距離の増加を得ることが出来る。

【００１９】なお、ヘッドの重心深さが極めて浅いため
ギア効果の小さい本発明の特性に基づいて打球の左右の
方向性の低下が懸念されるが、この点を改善するために
は、バルジ半径を出来るだけ大きくすることが必要とな
る。殊に、本発明の場合では、バルジ半径を無限大に設
定することで著しくこの方向性が向上される。従来のバ
ルジ半径は、ほぼ１０〜１２インチとされていたが、１
５インチ以上、好ましくは無限大とすることにより、打
球の左右の方向性の低下を防止できる。なお、バルジ半
径は、正確にはホリゾンタル・フェース・バルジとい
い、ウッドヘッドのフェース面についた横方向の丸みで
あり、縦の丸みはロール（バーチカル・フェース・ロー
ル）という。

【００２０】なお、実際のヘッドの重心位置（正常に接
地されたソール面からの高さ）は、コンピューターによ
る近似計算法で求められる。また、飛距離が最大となる
フェース面の打点の位置は、別に開発されたコンピュー
ターソフトを使用する近似計算法またはヘッド現物を実
際にロボット打撃試験機で打撃する方法によって求めら
れる。

【００２１】

【発明の効果】本発明では、フェアウエイ上にあるボー
ルをヘッドのソール面を地面上に滑らせるようにしてク
リーンにヒットし易いヘッド形状とするためにヘッドの
最大幅が５０ｍｍ以上とされている。而して、フェース
面上のヘッドの重心位置の高さがフェース面上で飛距離
が最大となる打点位置の上方に設定される。そのために
は、打球時にフェース面でのギア効果を極めて小さくす
る必要があり、ヘッドの実際の重心位置が前方即ち極め
てフェース面寄りに設置される。この結果、飛距離が最
大となる打点位置が前記幾何学的打点位置に極めて近く
なり、所謂グットショットした場合に期待通りの大きな
飛距離を得ることが出来る。

【００２２】また、請求項２では、ヘッドの実際の重心
位置（即ち、重心深さ）が従来のウッドクラブヘッドの
重心位置（＃５ウッドクラブヘッドで２３ｍｍ程度）よ
り浅い１７ｍｍ以下に設定された上で、フェース面上で
のヘッドの重心位置高さが、図４に示されたアイアンク
ラブヘッドの前記重心位置高さの中央値２０ｍｍ以下に
設定されるので、フェース面上での重心位置が、アイア
ンヘッドの場合と同様に、フェース面上で飛距離が最大
となる打点位置の上方に設定されると同時に、飛距離が
最大となる打点位置が前記幾何学的位置に極めて近くな
り請求項１で記載した効果が確実に達成される。

【００２３】なお、ヘッドの重心深さが５ｍｍ未満とな
ると、ヘッド最大幅が、恰もアイアンヘッドのように、
極めて小さくなり本発明がフェアウエイウッド本来の特
性（例えば、ソール面を滑らせるようにして地面上のボ
ールが打てるなど）のために設定した５０ｍｍのヘッド
最大幅を得ることが出来なくなる。また、フェース面上
でのヘッドの重心位置が１４ｍｍ未満となると、ヘッド
の高さがボールに対して過小となり芝生に浮いたボール
を打撃する際にヘッドがボールの下を潜りミスショット
を誘因する惧れが出てくる。

【００２４】さらに、本発明に係るゴルフクラブヘッド
では、前記のように、ヘッドの重心深さが従来のフェア
ウエイウッドに比べ極めて浅く設定されるので、打撃時
の前記ギア効果の発生が著しく小さくなる。従って、従
来のように、フェース面にこのギア効果を相殺する大き
さのバルジ半径を設ける必要が殆どなくなる。即ち、従
来ほぼ１０〜１２インチとされているバルジ半径は１５
インチ以上、好ましくは無限大に設定されるのが良い。
従って、ゴルフクラブヘッドを請求項３とすることによ
り、飛距離の増大とともに打球の方向性が良好となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す断面図。

【図２】＃５フェアウエイウッドにおける本発明実施例
と従来例の打撃テスト結果を示すグラフ。

【図３】従来のフェアウエイウッドとアイアンクラブと
の実際の飛距離を比較したグラフ。

【図４】図３と同様のクラブ同士におけるフェース面上
での重心位置とロフト角度との関係を示すグラフ。

【図５】従来のアイアンクラブにおける打球時の図。

【図６】従来のフェアウエイウッドにおける打球時の
図。

【符号の説明】

１ ヘッド ２ クラウン部 ３ バックサイド部 ４ ソール面 ５ フェース面 ６ リーディングエッジ ７ ブロック ７Ａ 丸孔 ８ ウエイト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッド最大幅が５０ｍｍ以上のゴルフク
   ラブヘッドであって、 フェース面上でのヘッドの重心位置が最大の飛距離を得
   る打点位置より上方に設定されていることを特徴とする
   ゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】 ヘッド最大幅が５０ｍｍ以上のゴルフク
   ラブヘッドであって、 フェース面上でのヘッドの重心位置高さが２０ｍｍ以下
   １４ｍｍ以上とされ、重心深さが１７ｍｍ以下５ｍｍ以
   上とされていることを特徴とする請求項１に記載のゴル
   フクラブヘッド。
3. 【請求項３】 フェース面のバルジ半径が無限大とされ
   ていることを特徴とする請求項１又は２に記載のゴルフ
   クラブヘッド。