JP2000114634A - 低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装置 - Google Patents
低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 内部共振型の第二高調波発生装置の出力ノイ
ズを低減する。 【解決手段】 マルチモード発振している第二高調波発
生装置において、光強度の変動分が実質的にゼロとなる
位置を特定し、その位置に固体レーザ結晶を配置するこ
とによって低ノイズ化を図った。共振器の長さをLc、前
記第一のレーザミラーから前記固体レーザ結晶までの位
置をzとすると、z=Lc・n/(m・q)(n≠j・m)の関係を満
足することである。ただし、n,mおよびjは正の整数、m
は共振器内にて発生する縦モード数、qはその縦モード
の間隔である。さらに、励起光源の集光位置も一致させ
ると、一層のノイズ低減効果が得られる。
ズを低減する。 【解決手段】 マルチモード発振している第二高調波発
生装置において、光強度の変動分が実質的にゼロとなる
位置を特定し、その位置に固体レーザ結晶を配置するこ
とによって低ノイズ化を図った。共振器の長さをLc、前
記第一のレーザミラーから前記固体レーザ結晶までの位
置をzとすると、z=Lc・n/(m・q)(n≠j・m)の関係を満
足することである。ただし、n,mおよびjは正の整数、m
は共振器内にて発生する縦モード数、qはその縦モード
の間隔である。さらに、励起光源の集光位置も一致させ
ると、一層のノイズ低減効果が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光エレクトロニクス
分野における固体レーザ光源とそのレーザ応用装置に係
わるものであり、特に第二高調波発生装置における出力
光のノイズ低減に関するものである。
分野における固体レーザ光源とそのレーザ応用装置に係
わるものであり、特に第二高調波発生装置における出力
光のノイズ低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高度情報化時代の進展に伴い、光ディス
ク装置やレーザプリンタ装置などの光記録分野において
記録密度の向上あるいは高速印刷の要求を満足するた
め、レーザ光源の短波長化への要求が高まっている。し
かし、実用品レベルでの要求の多い波長域の青色(波長
400〜480nm)では、このような条件を満足するレーザ光
源は少なく、He-Cd(ヘリウムーカドミウム)レーザ装
置あるいはAr(アルゴン)レーザ装置等のガスレーザ装
置が実用化されているにすぎない。光ディスク装置等の
光源にこの短波長レーザを使用すると記録密度を大幅に
向上できるが、ガスレーザ装置は光ディスクに搭載する
には余りにも大きく、また消費電力も高く不向きであっ
た。しかし、ガスレーザ装置は一部のレーザプリンタ装
置の光源として実際に搭載されているが、前述の理由か
ら小型・低消費電力化の大きな障害となり実用面では一
歩遅れているため、その対策が急務であった。
ク装置やレーザプリンタ装置などの光記録分野において
記録密度の向上あるいは高速印刷の要求を満足するた
め、レーザ光源の短波長化への要求が高まっている。し
かし、実用品レベルでの要求の多い波長域の青色(波長
400〜480nm)では、このような条件を満足するレーザ光
源は少なく、He-Cd(ヘリウムーカドミウム)レーザ装
置あるいはAr(アルゴン)レーザ装置等のガスレーザ装
置が実用化されているにすぎない。光ディスク装置等の
光源にこの短波長レーザを使用すると記録密度を大幅に
向上できるが、ガスレーザ装置は光ディスクに搭載する
には余りにも大きく、また消費電力も高く不向きであっ
た。しかし、ガスレーザ装置は一部のレーザプリンタ装
置の光源として実際に搭載されているが、前述の理由か
ら小型・低消費電力化の大きな障害となり実用面では一
歩遅れているため、その対策が急務であった。
【0003】このような従来技術に対して非線形光学結
晶を用いた光第二高調波発生(Second Harmonic Gene
ration:SHG)の手法による短波長化技術が提案さ
れ、実用開発が急ピッチで進められている。このSHG
光源の実用化は励起光源である半導体レーザの高出力化
と性能改善とが共に進展してきた深い関係にある。その
背景は励起光源に従来のガスレーザ装置のような放電管
を必要としない言わば全固体化が可能であるだけでな
く、小型化に都合が良くまた低消費電力化を実現できる
点である。さらに、固体化されることによりSHG光源
としての出力が安定化し、加えて長寿命化を図ることが
容易になる点である。
晶を用いた光第二高調波発生(Second Harmonic Gene
ration:SHG)の手法による短波長化技術が提案さ
れ、実用開発が急ピッチで進められている。このSHG
光源の実用化は励起光源である半導体レーザの高出力化
と性能改善とが共に進展してきた深い関係にある。その
背景は励起光源に従来のガスレーザ装置のような放電管
を必要としない言わば全固体化が可能であるだけでな
く、小型化に都合が良くまた低消費電力化を実現できる
点である。さらに、固体化されることによりSHG光源
としての出力が安定化し、加えて長寿命化を図ることが
容易になる点である。
【0004】ガスレーザ装置と同等の出力波長範囲のS
HG光源として、図9に示す内部共振器型SHG方式が
挙げられる。第一のレーザミラー3および第二のレーザ
ミラー7で囲まれる部分が共振器を構成し、固体レーザ
結晶4および非線形結晶(SHG結晶)6を所要位置に
配置して以下に述べる動作を行わせるものである。ま
ず、図の左側に配置された半導体レーザ(図示せず)か
らの励起光31が固体レーザ結晶4を励起すると、励起
された固体レーザ結晶4は基本波ビーム32を出射す
る。次に、この基本波ビーム32をSHG結晶6に導く
と、SHG結晶6の光学非線形性と位相整合条件を満足
する波長に対し、その半分の波長である第二高調波33
を発生することになる。以上の説明からわかるように、
内部共振型では励起された基本波分エネルギーを共振器
内に閉じ込め、SHG結晶が発生する第二高調波を共振
器外部に効率良く取り出せるように構成したものであ
る。このような機能は第一および第二のレーザミラー
3,7を基本波に対して高反射特性に、さらに第二高調
波および励起光に対しては高い透過特性を持たせること
によって得られる。内部共振器型は外部からの反射戻り
光等の外乱による影響がなく、光アイソレータを設なく
ても安定した出力動作が可能である。
HG光源として、図9に示す内部共振器型SHG方式が
挙げられる。第一のレーザミラー3および第二のレーザ
ミラー7で囲まれる部分が共振器を構成し、固体レーザ
結晶4および非線形結晶(SHG結晶)6を所要位置に
配置して以下に述べる動作を行わせるものである。ま
ず、図の左側に配置された半導体レーザ(図示せず)か
らの励起光31が固体レーザ結晶4を励起すると、励起
された固体レーザ結晶4は基本波ビーム32を出射す
る。次に、この基本波ビーム32をSHG結晶6に導く
と、SHG結晶6の光学非線形性と位相整合条件を満足
する波長に対し、その半分の波長である第二高調波33
を発生することになる。以上の説明からわかるように、
内部共振型では励起された基本波分エネルギーを共振器
内に閉じ込め、SHG結晶が発生する第二高調波を共振
器外部に効率良く取り出せるように構成したものであ
る。このような機能は第一および第二のレーザミラー
3,7を基本波に対して高反射特性に、さらに第二高調
波および励起光に対しては高い透過特性を持たせること
によって得られる。内部共振器型は外部からの反射戻り
光等の外乱による影響がなく、光アイソレータを設なく
ても安定した出力動作が可能である。
【0005】さて、固体レーザ結晶としてLiSAF
(Cr:LiSrAlF6;クロム添加のフッ化リチュウムストロ
ンチュウムアルミニュウム)結晶を用いたレーザ装置は
米国特許第4811349号に開示されている。このL
iSAF結晶は従来の固体レーザ結晶と比べると基本波
ビームの波長域が格段と広く各種の応用の可能性がある
ため、各方面から注目を浴びている。LiSAF結晶を
半導体レーザで励起すると、750〜1000nmの波長領域の
基本波ビームが得られるため、共振器に波長選択性を付
与すれば、青色域である375〜500nmの光出力を選択的に
得ることができ、任意の波長が選択できる光源を容易に
実現できる。
(Cr:LiSrAlF6;クロム添加のフッ化リチュウムストロ
ンチュウムアルミニュウム)結晶を用いたレーザ装置は
米国特許第4811349号に開示されている。このL
iSAF結晶は従来の固体レーザ結晶と比べると基本波
ビームの波長域が格段と広く各種の応用の可能性がある
ため、各方面から注目を浴びている。LiSAF結晶を
半導体レーザで励起すると、750〜1000nmの波長領域の
基本波ビームが得られるため、共振器に波長選択性を付
与すれば、青色域である375〜500nmの光出力を選択的に
得ることができ、任意の波長が選択できる光源を容易に
実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は半導体レー
ザを励起光源とする内部共振型の第二高調波発生装置に
ついて長年研究開発に携わってきた。特に、固体レーザ
結晶としてLiSAF結晶を励起した場合、出射される
レーザ光を第一の発振波(基本波)とし、SHG結晶によ
り得られる第二の発振波である青色領域のSHG出力の
高効率化と低ノイズ化である。図9に示す従来のレーザ
装置では、前述した第二高調波出力33に3MHz以下
のノイズが含まれるため、ノイズの影響を無視すること
ができなかった。特に、400〜480nmの短波長を出力とす
る光源を用いた応用装置ではノイズによって安定な信号
処理が困難となり、その早急なる対策が望まれていた。
以下、従来技術の課題について述べることにする。
ザを励起光源とする内部共振型の第二高調波発生装置に
ついて長年研究開発に携わってきた。特に、固体レーザ
結晶としてLiSAF結晶を励起した場合、出射される
レーザ光を第一の発振波(基本波)とし、SHG結晶によ
り得られる第二の発振波である青色領域のSHG出力の
高効率化と低ノイズ化である。図9に示す従来のレーザ
装置では、前述した第二高調波出力33に3MHz以下
のノイズが含まれるため、ノイズの影響を無視すること
ができなかった。特に、400〜480nmの短波長を出力とす
る光源を用いた応用装置ではノイズによって安定な信号
処理が困難となり、その早急なる対策が望まれていた。
以下、従来技術の課題について述べることにする。
【0007】図10に示すレーザ装置の構成は前述した
図9の場合と基本的には同一であるが、固体レーザ結晶
4としてLiSAF結晶を用い、さらに波長選択素子5
を固体レーザ結晶4とSHG結晶6の間に配置して可変
波長構成にした第二高調波発生装置である。また、SHG
結晶6はその出射側の端面に第二のレーザミラー膜8が
形成され、SHG変換とミラー機能を同時に持たせてい
る。半導体レーザ11による励起光31は集光光学系1
2および第一のレーザミラー3を通過した後、固体レー
ザ結晶4内に集光されて固体レーザ結晶4を励起する。
第一のレーザミラー3および第二のレーザミラー膜8は
誘電体多層膜からなり、励起された基本波ビーム32に
対して99%以上が反射する特性であるため、基本波ビ
ームは共振器内に閉じ込められる。
図9の場合と基本的には同一であるが、固体レーザ結晶
4としてLiSAF結晶を用い、さらに波長選択素子5
を固体レーザ結晶4とSHG結晶6の間に配置して可変
波長構成にした第二高調波発生装置である。また、SHG
結晶6はその出射側の端面に第二のレーザミラー膜8が
形成され、SHG変換とミラー機能を同時に持たせてい
る。半導体レーザ11による励起光31は集光光学系1
2および第一のレーザミラー3を通過した後、固体レー
ザ結晶4内に集光されて固体レーザ結晶4を励起する。
第一のレーザミラー3および第二のレーザミラー膜8は
誘電体多層膜からなり、励起された基本波ビーム32に
対して99%以上が反射する特性であるため、基本波ビ
ームは共振器内に閉じ込められる。
【0008】さらに、波長選択素子5はSHG結晶4の
入射波長を任意に選択できる一種の受動素子としてのフ
ィルタ作用を持つ。具体的には水晶等の複屈折特性を有
する素材から製作するもの、あるいはエタロン等の反射
/透過現象によるものが適用できる。複屈折フィルタは
通過周波数帯域幅がエタロンに比べ広く選択性分解能で
は劣るが、面内が一様な波長選択特性を持ち広い波長域
であると共に内部損失が低いために高出力化には好適で
ある。原理的には広い入射面を利用できることから調整
の煩わしさをなくせる。前述したようにLiSAF結晶
を励起すると、750〜1000nmの範囲の波長スペクトラム
を含む基本波ビーム32が得られるため、この波長選択
素子5によって所望の波長を選択すれば、SHG出力と
して375〜500nmの範囲の青色光レーザが得られることに
なる。特開平3−24781号公報に固体レーザ結晶と
してNd-YAGによる発明が開示されているが、出力される
SHG光は532nmの単一波長であり、LiSAF結晶と
比べると選べるSHG光出力の波長を多くすることがで
きる。
入射波長を任意に選択できる一種の受動素子としてのフ
ィルタ作用を持つ。具体的には水晶等の複屈折特性を有
する素材から製作するもの、あるいはエタロン等の反射
/透過現象によるものが適用できる。複屈折フィルタは
通過周波数帯域幅がエタロンに比べ広く選択性分解能で
は劣るが、面内が一様な波長選択特性を持ち広い波長域
であると共に内部損失が低いために高出力化には好適で
ある。原理的には広い入射面を利用できることから調整
の煩わしさをなくせる。前述したようにLiSAF結晶
を励起すると、750〜1000nmの範囲の波長スペクトラム
を含む基本波ビーム32が得られるため、この波長選択
素子5によって所望の波長を選択すれば、SHG出力と
して375〜500nmの範囲の青色光レーザが得られることに
なる。特開平3−24781号公報に固体レーザ結晶と
してNd-YAGによる発明が開示されているが、出力される
SHG光は532nmの単一波長であり、LiSAF結晶と
比べると選べるSHG光出力の波長を多くすることがで
きる。
【0009】しかしながら、以上述べた従来技術では出
力として得られるSHG光の高周波ノイズが大きいこと
である。このノイズは装置の性能あるいは安定性に大き
な影響を持つため、その低減あるいは抑制には多大な関
心が払われてきた。しかし、ノイズみ抑制の効果的な方
法が未だ見い出されておらず、このためノイズ発生の要
因分析とその対策の必要性が指摘されていた。ノイズ低
減は内部共振器型SHGレーザの特有課題であると言え
る。現在までのところノイズ発生の主な原因は、共振器
内で発振する基本波ビームによる縦モードマルチ発振現
象であるとされている。その発生メカニズムは次のよう
に説明されている。共振器内部では発振強度分布として
複数の基本波縦モードが同時に生じ、それらのモード間
ではその強度が相互に影響しながら変動する(かなり速
い時間的な変動(Mhzオーダ)を含む。)ため、各基本
波モード強度が競合状態を誘発し、その結果SHG出力
に3MHz以下のノイズを引き起こすものと考えられてい
る。(T.Baer,”Large-amplitude fluctuations due
to longitudal mode copling in diode-pumpedint
racavity-doubled Nd:YAG lasers” J.Opt.Soc.Am.B
3,1175 1986)しかし、前述の文献には解決手段につい
ての示唆もなく原因の推定にとどめられていた。
力として得られるSHG光の高周波ノイズが大きいこと
である。このノイズは装置の性能あるいは安定性に大き
な影響を持つため、その低減あるいは抑制には多大な関
心が払われてきた。しかし、ノイズみ抑制の効果的な方
法が未だ見い出されておらず、このためノイズ発生の要
因分析とその対策の必要性が指摘されていた。ノイズ低
減は内部共振器型SHGレーザの特有課題であると言え
る。現在までのところノイズ発生の主な原因は、共振器
内で発振する基本波ビームによる縦モードマルチ発振現
象であるとされている。その発生メカニズムは次のよう
に説明されている。共振器内部では発振強度分布として
複数の基本波縦モードが同時に生じ、それらのモード間
ではその強度が相互に影響しながら変動する(かなり速
い時間的な変動(Mhzオーダ)を含む。)ため、各基本
波モード強度が競合状態を誘発し、その結果SHG出力
に3MHz以下のノイズを引き起こすものと考えられてい
る。(T.Baer,”Large-amplitude fluctuations due
to longitudal mode copling in diode-pumpedint
racavity-doubled Nd:YAG lasers” J.Opt.Soc.Am.B
3,1175 1986)しかし、前述の文献には解決手段につい
ての示唆もなく原因の推定にとどめられていた。
【0010】第二高調波レーザ装置のノイズ発生メカニ
ズムの解明と対策を行う過程で、本発明者は今まで考え
られた方法から全く異なる発想のもとに従来技術の課題
の解決を図った。本発明は従来と構成が同一であるが、
共振器内における固体レーザ結晶の位置を光強度の関係
で規定し、さらに外部励起光の集光点の位置を考慮した
ところに特長がある。本発明は光学の基本原理から出発
しているため、複数の光学部品との組合せた場合にも適
用でき、SHG光発生に限定されず広く内部共振型に適
応できる基本技術である。以下、本発明の解決手段と実
施例について詳しく説明する。
ズムの解明と対策を行う過程で、本発明者は今まで考え
られた方法から全く異なる発想のもとに従来技術の課題
の解決を図った。本発明は従来と構成が同一であるが、
共振器内における固体レーザ結晶の位置を光強度の関係
で規定し、さらに外部励起光の集光点の位置を考慮した
ところに特長がある。本発明は光学の基本原理から出発
しているため、複数の光学部品との組合せた場合にも適
用でき、SHG光発生に限定されず広く内部共振型に適
応できる基本技術である。以下、本発明の解決手段と実
施例について詳しく説明する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した従来技術の問題
点を解決するためには、モード競合の主原因である共振
器内の固体レーザの空間ホールバーニング(複数の発振
モードが存在する場合、レーザ利得が独立に飽和してし
まい、結果的に固体レーザの特性曲線に穴をあけるがご
とく利得が減少する現象。)をなくすことによって得ら
れることは周知の解決法である。これは基本波発振縦モ
ードをシングルモードとするものであり、多モード発生
による空間ホールバーニングによる利得のモード間の競
合状態をなくす方法である。しかし、本発明はこの低ノ
イズ化方法とは全く別の発想から出発したもので、必ず
しもシングルモードとしなくてもSHG出力光のノイズ
を低減できる方法を見出した。具体的には複数の縦モー
ド状態で発振している場合(マルチモード発振)におい
て、それぞれの縦モードの強度がお互いに相殺し弱めあ
う位置を特定したことにある。この位置では基本波エネ
ルギの変動がゼロかもしくは非常に少なくできるため、
固体レーザ結晶をこの位置に配置することによって固体
レーザ結晶の励起エネルギーを安定化でき、結果的に出
力の安定が得られるものである。また、シミレーション
だけでなくノイズの原因である空間ホールバーニングに
よる多モード間のモード競合が起こらないことを実験的
に確認した。このようなエネルギ的に平衡状態がノイズ
抑制に貢献することを見つけ、本発明を想到したもので
ある。好ましくはこの位置を固体レーザ結晶の光路長の
約半分、即ち中央付近に選ぶことによって一層大きな本
発明の効果が得られるものである。
点を解決するためには、モード競合の主原因である共振
器内の固体レーザの空間ホールバーニング(複数の発振
モードが存在する場合、レーザ利得が独立に飽和してし
まい、結果的に固体レーザの特性曲線に穴をあけるがご
とく利得が減少する現象。)をなくすことによって得ら
れることは周知の解決法である。これは基本波発振縦モ
ードをシングルモードとするものであり、多モード発生
による空間ホールバーニングによる利得のモード間の競
合状態をなくす方法である。しかし、本発明はこの低ノ
イズ化方法とは全く別の発想から出発したもので、必ず
しもシングルモードとしなくてもSHG出力光のノイズ
を低減できる方法を見出した。具体的には複数の縦モー
ド状態で発振している場合(マルチモード発振)におい
て、それぞれの縦モードの強度がお互いに相殺し弱めあ
う位置を特定したことにある。この位置では基本波エネ
ルギの変動がゼロかもしくは非常に少なくできるため、
固体レーザ結晶をこの位置に配置することによって固体
レーザ結晶の励起エネルギーを安定化でき、結果的に出
力の安定が得られるものである。また、シミレーション
だけでなくノイズの原因である空間ホールバーニングに
よる多モード間のモード競合が起こらないことを実験的
に確認した。このようなエネルギ的に平衡状態がノイズ
抑制に貢献することを見つけ、本発明を想到したもので
ある。好ましくはこの位置を固体レーザ結晶の光路長の
約半分、即ち中央付近に選ぶことによって一層大きな本
発明の効果が得られるものである。
【0012】次に、本発明の原理について詳しく説明す
ることにする。図10に示すように第一のレーザミラー
3と固体レーザ結晶4の間隔をL1、固体レーザ結晶4
と波長選択素子の間隔をL2、波長選択素子5とSHG
結晶6の間隔をL3とすると、共振器の全長Lc(第一の
レーザミラー3と第二のレーザミラー膜8との間隔)は
下式であらわされる。 Lc=L1+L2+L3+nLaser×LLaser+nBF×LBF+nSHG×LSHG (1) ここで、nLaserおよびLLaserは固体レーザ結晶の屈折
率とその長さを、nBFおよびLBFはSHG結晶の屈折率
と長さ、またnSHGおよびLSHGはSHG結晶の屈折率と
その長さである。ここで、このレーザ共振器の縦モード
間隔FSRは下式となる。 FSR=λ2/(2・Lc) (2) ただし、λは共振波長である。波長と共振器長を規定す
ると、共振器内の光強度は与えられたモードに対してsi
n関数で表せる周期的な強度分布を示す。したがって、
同時に複数のモード(マルチモード)が存在する場合
は、そのぞれの成分を重ね合わせることによってその強
度分布を計算することが可能である。第一のレーザミラ
ー3からzにおける光強度 I(z)は下式(3)´のよう
に表され、さらにλi=2Lc/Ki、δ=2πKo・z/Lc、ε
=2πq・z/Lc等の関係を使い式の展開し整理すると式
(3)となる。 I(z)=Σi=1…m Ii(z)=Σi=1…msin2(2・π・z/λi)/m (3)´ =1/2-cos((2δ-mε+ε)/2)・sin(mε/2)/(2m・sin(ε/2)) (3) ここで、Kiは波長λiにおける共振器内の波数、Koはi=1
の場合の波数、qはモード間隔である。qは各光学部品の
エタロン効果を用いることで任意の値に選択できる。例
えば、波長λ=860nm、共振器長Lc=24mm、モード数m
=2、モード間隔q=1の場合の光強度の計算結果を図
1に示す。なお、図1の横軸zは共振器内の第一のレー
ザミラー3からの位置を示すもので、共振器長Lcを10
0%と規格化し、0、25、50、75および100%
の位置における分布を例示した。図1に示すようにz=
50%の位置、即ち共振器の中央では光強度の変動が相
殺されて変動分がなくなり、一定となることがわかる。
このシミレーション結果から共振器内の特定の位置にお
いてモード間の強度が平衡状態となり空間ホールバーニ
ングによるモード競合が起こらないことが考えられる。
式(3)を考察すると、光強度の変動分ゼロの位置はモ
ード数、モード間隔等の組合せで各種の値をとり、また
cos項は波長に比較して短い周期を、またsin項は共振器
内の長い周期を表すことになり、共振器内の出力の変動
分をゼロにするためにはsin項をゼロにすればよく、こ
の関係を式(4)で表すことができる。 z=Lc・n/(m・q) (n≠j・m) (4) 上式において、n,m,qおよびjはそれぞれ正の整数であ
り、mは共振器内にて発生する縦モード数、qは縦モード
の間隔でFSRである。モード間隔q=1〜3に対する
モード数m=2〜6をパラメータとした場合、共振器内
の位置zに対する発振モード変動振幅の計算結果を図2
に示す。図2よりモード数とモード間隔に依存して、変
動振幅がゼロとなる場所がそれぞれの条件に対して複数
存在していることがわかる。
ることにする。図10に示すように第一のレーザミラー
3と固体レーザ結晶4の間隔をL1、固体レーザ結晶4
と波長選択素子の間隔をL2、波長選択素子5とSHG
結晶6の間隔をL3とすると、共振器の全長Lc(第一の
レーザミラー3と第二のレーザミラー膜8との間隔)は
下式であらわされる。 Lc=L1+L2+L3+nLaser×LLaser+nBF×LBF+nSHG×LSHG (1) ここで、nLaserおよびLLaserは固体レーザ結晶の屈折
率とその長さを、nBFおよびLBFはSHG結晶の屈折率
と長さ、またnSHGおよびLSHGはSHG結晶の屈折率と
その長さである。ここで、このレーザ共振器の縦モード
間隔FSRは下式となる。 FSR=λ2/(2・Lc) (2) ただし、λは共振波長である。波長と共振器長を規定す
ると、共振器内の光強度は与えられたモードに対してsi
n関数で表せる周期的な強度分布を示す。したがって、
同時に複数のモード(マルチモード)が存在する場合
は、そのぞれの成分を重ね合わせることによってその強
度分布を計算することが可能である。第一のレーザミラ
ー3からzにおける光強度 I(z)は下式(3)´のよう
に表され、さらにλi=2Lc/Ki、δ=2πKo・z/Lc、ε
=2πq・z/Lc等の関係を使い式の展開し整理すると式
(3)となる。 I(z)=Σi=1…m Ii(z)=Σi=1…msin2(2・π・z/λi)/m (3)´ =1/2-cos((2δ-mε+ε)/2)・sin(mε/2)/(2m・sin(ε/2)) (3) ここで、Kiは波長λiにおける共振器内の波数、Koはi=1
の場合の波数、qはモード間隔である。qは各光学部品の
エタロン効果を用いることで任意の値に選択できる。例
えば、波長λ=860nm、共振器長Lc=24mm、モード数m
=2、モード間隔q=1の場合の光強度の計算結果を図
1に示す。なお、図1の横軸zは共振器内の第一のレー
ザミラー3からの位置を示すもので、共振器長Lcを10
0%と規格化し、0、25、50、75および100%
の位置における分布を例示した。図1に示すようにz=
50%の位置、即ち共振器の中央では光強度の変動が相
殺されて変動分がなくなり、一定となることがわかる。
このシミレーション結果から共振器内の特定の位置にお
いてモード間の強度が平衡状態となり空間ホールバーニ
ングによるモード競合が起こらないことが考えられる。
式(3)を考察すると、光強度の変動分ゼロの位置はモ
ード数、モード間隔等の組合せで各種の値をとり、また
cos項は波長に比較して短い周期を、またsin項は共振器
内の長い周期を表すことになり、共振器内の出力の変動
分をゼロにするためにはsin項をゼロにすればよく、こ
の関係を式(4)で表すことができる。 z=Lc・n/(m・q) (n≠j・m) (4) 上式において、n,m,qおよびjはそれぞれ正の整数であ
り、mは共振器内にて発生する縦モード数、qは縦モード
の間隔でFSRである。モード間隔q=1〜3に対する
モード数m=2〜6をパラメータとした場合、共振器内
の位置zに対する発振モード変動振幅の計算結果を図2
に示す。図2よりモード数とモード間隔に依存して、変
動振幅がゼロとなる場所がそれぞれの条件に対して複数
存在していることがわかる。
【0013】式(4)の関係を縦モード数mと位置zで示
すと図3が得られる。例えば、m=4、q=3ならばz=
1/12、1/6、1/4、5/12、1/2、7/1
2、3/4、5/6、11/12と離散的に9ケ所の位
置が振幅ゼロとなる。即ち、上記したzの位置では空間
ホールバーニングが起こらないため、その位置に固体レ
ーザ結晶を配置することによってモード競合が生じな
い、即ち低ノイズ状態とすることができる。さらに、励
起光の集光点位置w(第一のレーザミラー3からの光路
距離)を上に述べた位置に一致させると励起エネルギの
集中が得られ、本発明の一層大きい効果を引き出すこと
ができる。
すと図3が得られる。例えば、m=4、q=3ならばz=
1/12、1/6、1/4、5/12、1/2、7/1
2、3/4、5/6、11/12と離散的に9ケ所の位
置が振幅ゼロとなる。即ち、上記したzの位置では空間
ホールバーニングが起こらないため、その位置に固体レ
ーザ結晶を配置することによってモード競合が生じな
い、即ち低ノイズ状態とすることができる。さらに、励
起光の集光点位置w(第一のレーザミラー3からの光路
距離)を上に述べた位置に一致させると励起エネルギの
集中が得られ、本発明の一層大きい効果を引き出すこと
ができる。
【0014】また、式(4)を満足する位置は点にすぎ
ず調整誤差などを考慮すると現実的でないため、設置位
置の許容幅△zについて検討することにした。式(3)
において光強度を決めるsin項に対する振幅を100%
とした場合、振幅の10%になるモード数mに対する△z
を計算した。図4に縦モード間隔q=1〜3の計算結果
をまとめて示す。モード数が増加する場合には図3のよ
うに複数存在するため1種、2種および3種に分けて表
示した。図より設置位置の許容幅△zは、モード間隔q=
1の場合には約5%程度、q=2では約3%、q=3では
約2%の結果が得られ、この許容幅の範囲内に固体レー
ザ結晶を配することにすれば、モード間の空間ホールバ
ーニングによるモード競合を実用上抑制でき、実質的な
低ノイズ状態が得られる。一方、図5は縦モード数mに
対する光強度変動分ゼロ位置の間隔Δsをプロットした
もので、mの増加に伴い△sは急激に減少することがわ
かる。固体レーザ結晶の長さを考慮すると共振器全体の
5%程度が実施可能範囲と考えられるため、モード数と
モード間隔は図5の関係よりq=1ではmが20以下、q
=2ではm=10以下、さらにq=3ではm=6以下が望
ましい。米国特許第5446749号には、マルチモー
ド発振でもモード競合を低減できることが示されてい
る。これはモード数を100以上にした長い共振器構造
を採用した結果、それぞれのモード間競合が緩和できる
というものである。しかし、本発明においてはモード数
は20以下で達成可能であるため、共振器長を大幅に短
くできレーザ装置の小形化に効果がある。
ず調整誤差などを考慮すると現実的でないため、設置位
置の許容幅△zについて検討することにした。式(3)
において光強度を決めるsin項に対する振幅を100%
とした場合、振幅の10%になるモード数mに対する△z
を計算した。図4に縦モード間隔q=1〜3の計算結果
をまとめて示す。モード数が増加する場合には図3のよ
うに複数存在するため1種、2種および3種に分けて表
示した。図より設置位置の許容幅△zは、モード間隔q=
1の場合には約5%程度、q=2では約3%、q=3では
約2%の結果が得られ、この許容幅の範囲内に固体レー
ザ結晶を配することにすれば、モード間の空間ホールバ
ーニングによるモード競合を実用上抑制でき、実質的な
低ノイズ状態が得られる。一方、図5は縦モード数mに
対する光強度変動分ゼロ位置の間隔Δsをプロットした
もので、mの増加に伴い△sは急激に減少することがわ
かる。固体レーザ結晶の長さを考慮すると共振器全体の
5%程度が実施可能範囲と考えられるため、モード数と
モード間隔は図5の関係よりq=1ではmが20以下、q
=2ではm=10以下、さらにq=3ではm=6以下が望
ましい。米国特許第5446749号には、マルチモー
ド発振でもモード競合を低減できることが示されてい
る。これはモード数を100以上にした長い共振器構造
を採用した結果、それぞれのモード間競合が緩和できる
というものである。しかし、本発明においてはモード数
は20以下で達成可能であるため、共振器長を大幅に短
くできレーザ装置の小形化に効果がある。
【0015】前述した原理からわかるように本発明は、
第1の発振波を発生させる固体レーザ結晶と前記第1の
発振波を基本波として第二高調波に波長変換するために
非線形光学結晶を配置した内部共振器型レーザ装置に関
するものであり、その特長とするところは共振器内の固
体レーザ結晶の位置zが、式(4)の関係を満たすこと
である。さらに、共振器内で発生する縦モード数mが2
以上20以下であるか、もしくは励起光の集光位置wを
少なくとも式(4)を満たすzの付近に選ぶものであ
る。また、固体レーザ結晶長を共振器長の5%以下とす
れば、低ノイズの特性でかつ小形な全固体第二高調波レ
ーザ発生装置を提供するものである。従来技術では以上
述べた観点から設計製造されていなかった。特に、共振
器内部に配置される光学部品が増えると、低ノイズ化対
策についての効果的な方法あるいは指針がなく、本発明
によって明らかにされたものである。
第1の発振波を発生させる固体レーザ結晶と前記第1の
発振波を基本波として第二高調波に波長変換するために
非線形光学結晶を配置した内部共振器型レーザ装置に関
するものであり、その特長とするところは共振器内の固
体レーザ結晶の位置zが、式(4)の関係を満たすこと
である。さらに、共振器内で発生する縦モード数mが2
以上20以下であるか、もしくは励起光の集光位置wを
少なくとも式(4)を満たすzの付近に選ぶものであ
る。また、固体レーザ結晶長を共振器長の5%以下とす
れば、低ノイズの特性でかつ小形な全固体第二高調波レ
ーザ発生装置を提供するものである。従来技術では以上
述べた観点から設計製造されていなかった。特に、共振
器内部に配置される光学部品が増えると、低ノイズ化対
策についての効果的な方法あるいは指針がなく、本発明
によって明らかにされたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】(実施例1)本発明の実施例を以
下詳細に説明する。実験に際して図10の構成と等価な
レーザ装置を使用した。励起光源としての半導体レーザ
はSDL社製AlGaInP系半導体レーザを用い、出力50
0mW、波長670nmである。また、集光光学系12
は2枚のシリンドリカルレンズと単レンズ(f=30m
m)を配した。また、共振器は曲率ミラーとSHG結晶
の出射面に多層誘電体膜からなるミラーで構成し、固体
レーザ結晶、波長選択素子およびSHG結晶を所要位置
に設けた。
下詳細に説明する。実験に際して図10の構成と等価な
レーザ装置を使用した。励起光源としての半導体レーザ
はSDL社製AlGaInP系半導体レーザを用い、出力50
0mW、波長670nmである。また、集光光学系12
は2枚のシリンドリカルレンズと単レンズ(f=30m
m)を配した。また、共振器は曲率ミラーとSHG結晶
の出射面に多層誘電体膜からなるミラーで構成し、固体
レーザ結晶、波長選択素子およびSHG結晶を所要位置
に設けた。
【0017】第一のレーザミラー3は半導体レーザから
の励起光波長に対しては85%以上を透過させ、基本波
波長に対しては反射率99%以上の反射(High-Reflect
ion:HR)コーティングを施してある。このとき共振
器構造は凹平式共振器であり、第一のレーザミラー3の
曲率半径は25mm、共振器長は20mmである。固体
レーザ結晶4にはCr添加量3mol%のLiSAF結
晶(3×3×1mm)を用い、結晶端面には励起光波長と
基本波波長に対して反射率5%以下の無反射(Anti-Ref
lection:AR)コーティングを形成した。SHG結晶
6は3×3×5mmのLBO結晶(LiB3O5)である。
の励起光波長に対しては85%以上を透過させ、基本波
波長に対しては反射率99%以上の反射(High-Reflect
ion:HR)コーティングを施してある。このとき共振
器構造は凹平式共振器であり、第一のレーザミラー3の
曲率半径は25mm、共振器長は20mmである。固体
レーザ結晶4にはCr添加量3mol%のLiSAF結
晶(3×3×1mm)を用い、結晶端面には励起光波長と
基本波波長に対して反射率5%以下の無反射(Anti-Ref
lection:AR)コーティングを形成した。SHG結晶
6は3×3×5mmのLBO結晶(LiB3O5)である。
【0018】また、SHG結晶の出射側、即ち後方端面
には基本波波長に対して反射率99%以上のHRコーテ
ィングを、さらにSHG出力光に対しては反射率1%以
下のARコーティングを設けて第二のレーザミラー膜8
とした。さらに、LBO結晶の入射側端面には基本波波
長に対して反射率0.2%以下のARコーティングを形
成した。波長選択素子5には厚さ1mmの水晶板からな
る複屈折フィルタを使用し、光軸に対してブリュースタ
ー角に保ちながら、複屈折フィルタの法線軸の回りを回
転させることによって位相整合条件を変えて波長を任意
に選択する。SHG結晶6として使用したLBO結晶の
変換効率を最大となるように基本波の波長を調整する
と、SHG出力として20mWが得られた。
には基本波波長に対して反射率99%以上のHRコーテ
ィングを、さらにSHG出力光に対しては反射率1%以
下のARコーティングを設けて第二のレーザミラー膜8
とした。さらに、LBO結晶の入射側端面には基本波波
長に対して反射率0.2%以下のARコーティングを形
成した。波長選択素子5には厚さ1mmの水晶板からな
る複屈折フィルタを使用し、光軸に対してブリュースタ
ー角に保ちながら、複屈折フィルタの法線軸の回りを回
転させることによって位相整合条件を変えて波長を任意
に選択する。SHG結晶6として使用したLBO結晶の
変換効率を最大となるように基本波の波長を調整する
と、SHG出力として20mWが得られた。
【0019】以上調整したレーザ装置のSHG出力のノ
イズ特性を測定した。固体レーザ結晶を共振器長の約2
5%に配置し、波長選択素子によりSHG出力が20m
Wと最大となるように波長選択素子を調整した場合の基
本波発振スペクトラムを図6に示す。測定に際してはマ
イケルソン干渉計型の高分解能光スペクトラムアナライ
ザ(アドバンテスト:Q8347)を使用した。図示す
るように基本波スペクトラムは約0.04nmの間隔で
4本の縦モードで発振している。このときのSHG出力
光33を高速のSiフォトダイオードで受光し、受光信
号をRFスペクトラムアナライザにて分析したものであ
る。また、この時の高周波ノイズ特性を図7に示す。図
中の(イ)は光を受光しない場合のいわゆるバックグラ
ンドノイズであり、一方(ロ)はSHG光を受光した場
合である。さらに、図8は固体レーザ結晶の所定位置を
約25%移動させた場合のノイズ特性である。図7から
わかるようにノイズ特性は(イ)と(ロ)との差がであ
り、2MHz以下に集中していることがわかる。また、
図8はz=25%の場合となり、図7と比較すると3M
Hz以下のノイズが大幅に増加している。即ち、図7の
条件に固体レーザ結晶の位置を設定することによって空
間ホールバーニングによるモード競合が起こらないこと
になり、さらにその設定位置を所定の誤差範囲内に規定
するすれば、SHGレーザ特有の高周波ノイズを低減でき
ることがこの実験結果からわかる。
イズ特性を測定した。固体レーザ結晶を共振器長の約2
5%に配置し、波長選択素子によりSHG出力が20m
Wと最大となるように波長選択素子を調整した場合の基
本波発振スペクトラムを図6に示す。測定に際してはマ
イケルソン干渉計型の高分解能光スペクトラムアナライ
ザ(アドバンテスト:Q8347)を使用した。図示す
るように基本波スペクトラムは約0.04nmの間隔で
4本の縦モードで発振している。このときのSHG出力
光33を高速のSiフォトダイオードで受光し、受光信
号をRFスペクトラムアナライザにて分析したものであ
る。また、この時の高周波ノイズ特性を図7に示す。図
中の(イ)は光を受光しない場合のいわゆるバックグラ
ンドノイズであり、一方(ロ)はSHG光を受光した場
合である。さらに、図8は固体レーザ結晶の所定位置を
約25%移動させた場合のノイズ特性である。図7から
わかるようにノイズ特性は(イ)と(ロ)との差がであ
り、2MHz以下に集中していることがわかる。また、
図8はz=25%の場合となり、図7と比較すると3M
Hz以下のノイズが大幅に増加している。即ち、図7の
条件に固体レーザ結晶の位置を設定することによって空
間ホールバーニングによるモード競合が起こらないこと
になり、さらにその設定位置を所定の誤差範囲内に規定
するすれば、SHGレーザ特有の高周波ノイズを低減でき
ることがこの実験結果からわかる。
【0020】共振器長による縦モード間隔FSRは約0.
02nmである。図7の発振スペクトラムではモード間
隔が約0.04nmであり、q=2の時のモード数m=4
の場合に対応する。また図3を参照すると、この場合の
低ノイズとなる共振器内での位置は1/8、1/4、3
/8、1/2、5/8、3/4および7/8であり、図
7は1/4の場合の25%に一致する。この測定結果か
ら共振器内の固体レーザ結晶の位置を所要値に規定する
ことで、容易に低ノイズとすることが可能となる。
02nmである。図7の発振スペクトラムではモード間
隔が約0.04nmであり、q=2の時のモード数m=4
の場合に対応する。また図3を参照すると、この場合の
低ノイズとなる共振器内での位置は1/8、1/4、3
/8、1/2、5/8、3/4および7/8であり、図
7は1/4の場合の25%に一致する。この測定結果か
ら共振器内の固体レーザ結晶の位置を所要値に規定する
ことで、容易に低ノイズとすることが可能となる。
【0021】固体レーザ結晶にLiSAF(Cr:LiSrAlF
6;クロム添加のフッ化リチュウムストロンチュウムア
ルミニュウム)結晶を用いた場合には、第1の発振波を
波長800〜900nmの領域で発生することができ、
青色領域(波長400〜450nm)の第2の発振波を
発生できる。また、前記の固体レーザ結晶にLiSGA
F(Cr:LiSrGaF6;クロム添加のフッ化リチュウムスト
ロンチュウムガリウム)結晶を用いた場合には、第1の
発振波を800〜1000nmの領域で発生することが
でき、波長400〜500nmの第2の発振波が得られ
る。
6;クロム添加のフッ化リチュウムストロンチュウムア
ルミニュウム)結晶を用いた場合には、第1の発振波を
波長800〜900nmの領域で発生することができ、
青色領域(波長400〜450nm)の第2の発振波を
発生できる。また、前記の固体レーザ結晶にLiSGA
F(Cr:LiSrGaF6;クロム添加のフッ化リチュウムスト
ロンチュウムガリウム)結晶を用いた場合には、第1の
発振波を800〜1000nmの領域で発生することが
でき、波長400〜500nmの第2の発振波が得られ
る。
【0022】非線形結晶としてLBO結晶以外にBBO
(β−BaB2O4)、CLBO(CsLiB6O10)、CBO
(CsB3O5)またはKN(KNbO3)を用いても同様に低
ノイズ化を実現できる。また、グリーン領域のSHGを
得るためにはNd、Yb等の希土類を添加した固体レーザ結
晶と上述の非線形結晶に加えてKTP(KTiOPO4)を用
いても本発明の実施は何ら問題を生じないことは容易に
理解されるところである。
(β−BaB2O4)、CLBO(CsLiB6O10)、CBO
(CsB3O5)またはKN(KNbO3)を用いても同様に低
ノイズ化を実現できる。また、グリーン領域のSHGを
得るためにはNd、Yb等の希土類を添加した固体レーザ結
晶と上述の非線形結晶に加えてKTP(KTiOPO4)を用
いても本発明の実施は何ら問題を生じないことは容易に
理解されるところである。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、一対のレーザミラ
ー間に少なくとも固体レーザ結晶および非線形光学結晶
を配置する内部共振器型の第二高調波発生装置の出力に
含まれる3Mhz以下のノイズを、本発明の実施によって
大幅に低減することができる。本発明による方法は、従
来考えられていた共振器内におけるシングルモード化手
法とは全く異なるものであるが、マルチモードで発振し
ている光強度分布の変化分が実質的にゼロの位置を固体
レーザ結晶のほぼ中央付近に調整することで実現でき、
従来の装置に特別な要素を加える必要がないため、簡単
に実施可能でありその効果も顕著である。また、実用的
な設計選択範囲を明らかになり、レーザ装置の小型化に
寄与できるものである。レーザ装置が全固体化されて、
その出力が低ノイズの青色レーザ光であるため、印刷印
字装置、検出装置あるいは光記録装置等の光源として適
用可能となる。
ー間に少なくとも固体レーザ結晶および非線形光学結晶
を配置する内部共振器型の第二高調波発生装置の出力に
含まれる3Mhz以下のノイズを、本発明の実施によって
大幅に低減することができる。本発明による方法は、従
来考えられていた共振器内におけるシングルモード化手
法とは全く異なるものであるが、マルチモードで発振し
ている光強度分布の変化分が実質的にゼロの位置を固体
レーザ結晶のほぼ中央付近に調整することで実現でき、
従来の装置に特別な要素を加える必要がないため、簡単
に実施可能でありその効果も顕著である。また、実用的
な設計選択範囲を明らかになり、レーザ装置の小型化に
寄与できるものである。レーザ装置が全固体化されて、
その出力が低ノイズの青色レーザ光であるため、印刷印
字装置、検出装置あるいは光記録装置等の光源として適
用可能となる。
【図1】本発明による共振器内の光強度と位置の関係で
ある。
ある。
【図2】本発明による共振器内の光の振幅と位置の関係
である。
である。
【図3】本発明による低ノイズ条件の縦モード数と共振
器内の位置との関係である。
器内の位置との関係である。
【図4】本発明による縦モード数と共振器内の位置の許
容幅の関係である。
容幅の関係である。
【図5】本発明による縦モード数と間隔の関係である。
【図6】発振波長特性である。
【図7】本発明によるSHG出力の高周波ノイズ特性で
ある。
ある。
【図8】従来のSHG出力の高周波ノイズ特性である。
【図9】従来のレーザ装置の概略構成図である。
【図10】従来の内部共振器型SHGレーザ装置であ
る。
る。
3 第一のレーザミラー、4 固体レーザ結晶、5 波
長選択素子、6 非線形結晶(SHG結晶)、7 第二
のレーザミラー、8 第二のレーザミラー膜、11 半
導体レーザ、12 集光光学系、31 励起ビーム、3
2 基本波ビーム、33 SHG出力
長選択素子、6 非線形結晶(SHG結晶)、7 第二
のレーザミラー、8 第二のレーザミラー膜、11 半
導体レーザ、12 集光光学系、31 励起ビーム、3
2 基本波ビーム、33 SHG出力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K002 AA05 AA06 AB27 BA01 CA02 DA01 EA11 EA30 GA10 HA20 5F072 AB20 JJ13 KK01 KK04 KK06 KK08 KK12 KK30 PP07 QQ02 RR03 YY20
Claims (5)
- 【請求項1】 第一および第二のレーザミラーの間に少
なくとも固体レーザ結晶と非線形光学結晶を配して共振
器を構成し、該共振器外部から導入される励起光によっ
て励起された前記固体レーザ結晶が出射する発振レーザ
光を基本波として、所要の位相整合条件を満たす波長に
対して前記非線形光学結晶より2倍周波のレーザ光を出
力する第二高調波発生装置において、前記共振器内の基
本波の縦マルチモードによる光強度の変化分が実質的に
ゼロとなる位置を、少なくとも前記固体レーザ結晶の中
央付近に設定することを特徴とする低ノイズ化全固体第
二高調波レーザ発生装置。 - 【請求項2】 請求項1において、前記共振器の長さを
Lc、前記第一のレーザミラーから前記固体レーザ結晶の
位置をzとすると、Lcとzには次式の関係があることを特
徴とする低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装置。 z=Lc・n/(m・q)(n≠j・m) ただし、n,mおよびjは正の整数、mは共振器内にて発生
する縦モード数、qはその縦モードの間隔である。 - 【請求項3】 請求項1または2のいずれかにおいて、
前記共振器内にて発生する縦モード数mは2以上20以
下であることを特徴とする低ノイズ化全固体第二高調波
レーザ発生装置。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記
共振器外部から導入される励起光の集光位置が前記共振
器内の光強度変化が実質的にゼロになる位置に一致する
ことを特徴とする低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発
生装置。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記
固体レーザ結晶長は前記共振器長の5%以内であること
を特徴とする低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10280619A JP2000114634A (ja) | 1998-10-02 | 1998-10-02 | 低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10280619A JP2000114634A (ja) | 1998-10-02 | 1998-10-02 | 低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000114634A true JP2000114634A (ja) | 2000-04-21 |
Family
ID=17627582
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10280619A Pending JP2000114634A (ja) | 1998-10-02 | 1998-10-02 | 低ノイズ化全固体第二高調波レーザ発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000114634A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006073970A (ja) * | 2004-09-06 | 2006-03-16 | Cyber Laser Kk | Cw深紫外線光源 |
JP2006324601A (ja) * | 2005-05-20 | 2006-11-30 | Sunx Ltd | レーザ装置及びレーザ加工装置 |
JP2007081065A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Sunx Ltd | レーザ装置、レーザ加工装置及び測定装置 |
-
1998
- 1998-10-02 JP JP10280619A patent/JP2000114634A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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