JP2010050389A - レーザ光発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】和周波混合により、例えば200nm程度以下の波長域のレーザ光を、安定して、かつ狭い波長幅で出力することが可能なレーザ光発生装置を提供する。
【解決手段】エルビウム(Er)をコアに含むダブルクラッドファイバーにより、波長λ1のレーザ光L1を出力するファイバーレーザ光源10と、イッテルビウム(Yb)またはネオジム(Nd)をコアに含むダブルクラッドファイバーにより、波長λ2のレーザ光L2を出力するファイバーレーザ光源11と、外部共振器14A,14B,15A〜15Cと、非線形光学素子17とを備える。レーザ光L1は、外部共振器14A,14Bを経て波長変換され、レーザ光L2は外部共振器15A〜15Cを経て波長変換され、それぞれ同時に非線形光学素子17に入射して、和周波としての波長λ3のレーザ光L3を発生する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば波長200nm以下の短波長の紫外光を和周波混合により発生するレーザ光発生装置に関する。
レーザ光は、波長および位相が揃った光であるために単色性や指向性に優れ、干渉性を有するという特徴を持つ。また、極めて細く収束させることができ、微小な面積に照射することが可能である。更に、レーザ光は、一般に電波よりも周波数が高く、情報収容能力が大きい。こうした特性から、レーザ光は情報通信処理分野、微細加工分野、計測分野および医療分野など多方面にわたって応用されている。
例えば、半導体露光装置では、波長193.4nmで発振するArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザが光源として用いられている。このような半導体露光装置では、投影レンズの精度は、従来、ArFレーザにより波長狭窄化されたパルス光を放射し、Hartman干渉法などを用いて測定されてきた。しかし、波長幅の狭窄化に限界があることと、パルス光で利用できる収差測定方式における精度に限界があることから、高精度の収差測定が困難となっていた。
これを鑑みて近年、1550nm付近で連続波発振する半導体レーザ、例えばDFB(distributed feedback:分布帰還)タイプの半導体レーザからの出力光をパルス状に切り出し、ファイバーレーザで増幅したのち、数段の波長変換を行うことにより、8次高調波である波長193.4nmのレーザ光を発生させるレーザ光発生装置が市販され、高精度な干渉計において使用されている。ところが、このレーザ光発生装置は多段の波長変換による効率低下を補うために、パルス出力が使われている。このため、高ピークの深紫外光の光密度が高くなる波長変換結晶や光学系の一部で損傷が発生しやすく、長時間の動作に耐えられなかった。
さらに、最近では、液浸レンズを使用することにより、開口率(NA)を1以上にして分解能を極限まで高めたArFステッパも実用に供されるようになり、光源の波長はFWHM(full width half maximum:半値全幅)で1.0×10-4nm程度の波長幅が求められている。従って、検査光源の波長としては、より狭い1.0×10-5nm台の波長幅が求められる。しかるに、上記のような波長193.4nmの出力を有するレーザ光発生装置では、半導体レーザからのパルス光を増幅した後、波長変換する構成であるため、1.0×10-5nm台の波長幅を得るためには、パルス幅を50nsec以上にする必要がある。ところが、このパルス幅と波長変換効率とはトレードオフの関係にあり、例えば波長変換効率を上げるためにパルス幅を1nsec程度にした場合、波長幅は5.0×10-4nm程度までの狭窄化が限界となる。このため、収差測定の精度を充分に確保することができなかった。
特開平10−341054号公報 特開平06−53593号公報
一方、波長幅を狭くするために、連続波出力を固体レーザから得て波長変換を行う手法もある。固体レーザとしては、Nd(ネオジム)系のレーザ(Nd:YAGレーザ、Nd:YVO4レーザ)などが産業用に広く使われている。ところが、このようなNd系のレーザでは、上記のような波長変換によって波長193.4nmの出力を得ることができない。
そこで、特許文献1には、YAGレーザの4次高調波とチタンサファイアレーザとの和周波混合により、波長193.4nmの出力を得る手法が提案されている。しかしながら、この手法では、チタンサファイアレーザを利用して波長700nm台の光を供給する必要があり、波長変換効率が上がらず、出力の安定化が困難となるという問題があった。
また、波長1540nmに利得(ゲイン)をもつEr:YAGレーザの2次高調波と、波長1033nmに利得をもつYb:YAGレーザの4次高調波との和周波混合により、波長193.4nmの出力を得ることが、理論上は可能である。しかしながら、このような固体レーザを用いる場合、レンズやミラーなどの光学系により励起光を発振領域に絞り込んでいるが、高出力の励起光は一般に集光性能が悪いため、絞り込みが難しい。また、回折のため励起領域と発振領域とが重なる領域の長さは短く限定されるため、高い利得をもつ領域を長い距離に亘って維持することが難しかった。すなわち、単一モードにおける出力の安定化が困難であった。
特に、イッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)などのイオンの発振準位は、いわゆる擬似3準位であるため、励起光輝度が低下したり、非照射領域における吸収があるなどの理由で、単一モードの高出力光を得ること自体が難しい。こうした理由のため、利得中心からはずれた波長において、単一モードの安定した出力を得ることはきわめて困難であった。参考として、図9に、Ybイオンの典型的母材であるSiO2中での吸収散乱断面積(図中のA)および誘導放出散乱断面積(図中のB)の波長依存性を示し、図10(A),(B)に、ErイオンのAl23/SiO2およびGeO2/SiO2中での誘導放出散乱断面積の波長依存性を示す。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、和周波混合により、例えば200nm程度以下の波長域のレーザ光を、安定して、かつ狭い波長幅で出力することが可能なレーザ光発生装置を提供することにある。
本発明のレーザ光発生装置は、エルビウム(Er)をコアに含むダブルクラッドファイバーを有し、第1の波長のレーザ光を単一周波数で出力する第1のファイバーレーザ光源と、イッテルビウム(Yb)またはネオジム(Nd)をコアに含むダブルクラッドファイバーを有し、第2の波長のレーザ光を単一周波数で出力する第2のファイバーレーザ光源と、第1の波長のレーザ光を共振させると共に波長変換を行う第1の共振器と、第2の波長のレーザ光を共振させると共に波長変換を行う第2の共振器と、第2の共振器から出力されたレーザ光を共振させると共に波長変換を行う第3の共振器と、第1の共振器から出力されたレーザ光を共振させる第4の共振器と、第3の共振器から出力されたレーザ光を共振させる第5の共振器と、第4および第5の共振器に含まれて配置され、第4の共振器側からのレーザ光と第5の共振器側からのレーザ光との和周波混合により、第3の波長のレーザ光を発生させる非線形素子とを備えたものである。
本発明によるレーザ光発生装置では、第1のファイバーレーザ光源から出力された第1の波長のレーザ光は、第1の共振器において共振されると共に、1/2に波長変換され、第4の共振器へ入射する。一方、第2のファイバーレーザ光源から出力された第2の波長のレーザ光は、第2および第3の共振器のそれぞれにおいて、共振されると共に、1/2に波長変換されたのち、第5の共振器へ入射する。このようにして、第4および第5の共振器にそれぞれ入射したレーザ光は、非線形光学素子内部を通過し、和周波混合により第3の波長のレーザ光を発生する。ここで、第1および第2のファイバーレーザ光源において、第1の波長のレーザ光を、エルビウムをコアに含むダブルクラッドファイバー、第2の波長のレーザ光を、イッテルビウム(Yb)またはネオジム(Nd)をコアに含むダブルクラッドファイバーを用いてそれぞれ出力することにより、利得中心からはずれた波長域の光が、狭い波長幅でかつ高い変換効率で取得される。
本発明によるレーザ光発生装置によれば、第1および第2のファイバーレーザ光源に、ダブルクラッドファイバーを設け、第1の波長のレーザ光と第2の波長のレーザ光とを、それぞれ波長変換して非線形光学素子に入射させるようにしたので、第3の波長のレーザ光を狭い波長幅でかつ高い変換効率で取得することができる。よって、和周波混合により、例えば200nm程度以下の波長域のレーザ光を、安定して、かつ狭い波長幅で出力することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るレーザ光発生装置1の概略構成を表すものである。レーザ光発生装置1は、互いに異なる波長のレーザ光の和周波混合により、所定の波長のレーザ光を発生するものである。このレーザ光発生装置1は、2つのファイバーレーザ光源10,11、RF信号源12、位相変調器13、外部共振器14A,14B,15A〜15C、非線形光学素子17を備えている。非線形光学素子17は、外部共振器14Bと外部共振器15Cとの内部に配設され、これら外部共振器14B,15Cおよび非線形光学素子17が外部共振器セット16を構成している。ファイバーレーザ光源10,11、外部共振器14A,15A,15Bおよび外部共振器セット17はそれぞれ、モードマッチングレンズ18〜22やミラー23,24などにより光学的に結合されている。
ファイバーレーザ光源10は、例えば1480nm以上1580nm以下の範囲内の波長(以下、波長λ1という)の連続光(レーザ光L1)を出力するものであり、単一周波数で発振するものである。また、このレーザ光L1の波長幅(出力波長幅)Δλは、好ましくは10MHz以下となっている。但し、波長幅Δλは、|Δλ|=|λ2・Δν/c|の式によって与えられるものである。すなわち、波長幅Δλは、周波数幅および波長自体に依存し、例えば波長1480nmに対しては7.3×10-5nm以下、波長1530nmに対しては7.8×10-5nm以下、波長1580nmに対しては8.3×10-5nm以下となる。よって、言い換えると、ファイバーレーザ光源10の波長幅Δλは、好ましくは、約8.5×10-5nm以下である。
ファイバーレーザ光源10の波長幅Δλは、より好ましくは、1MHz以下となっている。すなわち、例えば波長1480nmに対しては7.3×10-6nm以下、波長1530nmに対しては7.8×10-6nm以下、波長1580nmに対しては8.3×10-6nm以下となる。よって、言い換えると、ファイバーレーザ光源10の波長幅Δλは、より好ましくは、約8.5×10-6nm以下である。
このようなファイバーレーザ光源10は、エルビウムが添加されたコアが、内側クラッドおよび外側クラッドにより被覆された、いわゆるダブルクラッドファイバーを有し、例えば半導体レーザなどの励起光源からの光によりレーザ光L1を発振するファイバーレーザである。但し、コアには、上記エルビウムの他、イッテルビウム、ホルミウム(Ho)、クロム(Cr)などが添加されていてもよい。このようなファイバーレーザは、内部が発振器部分と増幅器部分に分かれており、発振器部分には、例えばDFBファイバーレーザが用いられている。DFBファイバーレーザは、エキシマレーザなどの紫外線をファイバーの一部からほぼ全体にわたり照射することにより軸方向に周期的な屈折率分布を設けたファイバーに、半導体レーザの励起を照射して単一周波数かつ狭線幅の発振を行うものである。一方、増幅器部分には、発振器出力と最終出力との比率や各段階の増幅率に応じて、段数を決められた多段増幅器が用いられる。例えば、最終出力が10Wを超える場合には、3〜4段以上の多段増幅を行わなければならない場合もある。
ファイバーレーザ光源11は、例えば1024nm以上1048nm以下の範囲内の波長(以下、波長λ2 という)の連続光(レーザ光L2)を出力するものであり、単一周波数で発振するものである。また、このレーザ光L2の波長幅(出力波長幅)Δλは、好ましくは10MHz以下となっている。すなわち、波長幅Δλは、例えば波長1024nmに対しては3.5×10-5nm以下、波長1036nmに対しては3.6×10-5nm以下、波長1048nmに対しては3.7×10-5nm以下となる。よって、言い換えると、ファイバーレーザ光源11の波長幅Δλは、好ましくは、約4.0×10-5nm以下である。
ファイバーレーザ光源11の波長幅Δλは、より好ましくは、1MHz以下となっている。すなわち、例えば波長1024nmに対しては3.5×10-6nm以下、波長1036nmに対しては3.6×10-6nm以下、波長1048nmに対しては3.7×10-6nm以下となる。よって、言い換えると、ファイバーレーザ光源11の波長幅Δλは、より好ましくは、約4.0×10-6nm以下である。
このようなファイバーレーザ光源11は、コアにイッテルビウムまたはネオジムが添加されたダブルクラッドファイバーを有し、例えば半導体レーザなどの励起光源からの光によりレーザ光L2を発振するファイバーレーザである。なお、ファイバーレーザ光源11についても、コアへの添加材料以外は、上記ファイバーレーザ光源10と同様の構成を有するDFBファイバーレーザを用いることができる。
上記波長λ1,λ2は、最終的に必要とされるレーザ光L3の波長λ3に応じて、以下の式(1)を満足するように設定される。
Figure 2010050389
また、波長λ1のレーザ光L1および波長λ2のL2は、次のような条件を満たす波長幅に設定されることが望ましい。すなわち、共振器周回長Lによって決まるFSR(Free Spectral range)は、以下の式(2)で与えられ、共振の鋭さを表すフィネスは、式(3)で表されるものであるから、この共振器が共振状態のときに透過する周波数の幅δfはおおよそ、式(4)で与えられる。このとき、入射光の周波数幅Δfがこれよりも充分小さければ、中心周波数での誤差信号を元に大部分の光を外部共振器へ導くことができる。このため、Δf<δfが、入射光すなわちレーザ光L1,L2の周波数幅(波長幅)に対する必要条件となる。また、安定なロッキングの維持の為には入射光周波数幅が透過周波数幅よりも1ケタ程度狭いことが望ましい。これにより、誤差信号のノイズが低減し、ロッキングが容易となる。
Figure 2010050389
RF信号源12は、必要に応じて電気的に増幅された1または複数のキャリア(RF信号)を位相変調器13へ供給するものである。一般的には、複数のキャリアを用いた場合には、周波数を多段の外部共振器の透過幅に合わせて選択できるため、出力安定化に適している。一方、1つのキャリアを用いた場合には、構成を簡略化することができる。このようなRF信号の一部は、外部共振器14A,14B,15A〜15Cの誤差信号復調の際に局所発信器として使用される。なお、RF信号源12からの出力で充分な場合も多いが、最終段の外部共振器14B,15Cでの誤差信号のS/Nを充分大きく確保する為に、位相変調器13との間に電気信号の増幅器などを入れることも有効である。
位相変調器13は、ファイバーレーザ光源10,11のそれぞれに1台ずつ設置され、波長λ1,λ2のレーザ光にサイドバンドを付加するものである。この位相変調器13は、後段の外部共振器14A,14B,15A〜15Cにおいて、FMサイドバンド法を用いたロッキングを行うために設けられる。例えば、位相変調器13に、RF信号源12で生成されたRF信号が供給されると、これにより位相変調器13を通過したレーザ光がRF周波数に応じた位相変調を受ける。具体的には、位相変調器13に、RF信号源12から単一のキャリア周波数f1、もしくは複数のキャリア周波数f1,f2,…が供給されると、位相変調器13を通過するレーザ光L1,L2の周波数fLの周囲にサイドバンドが付加され、fL±f1、もしくはfL±f1,f2,…などの周波数を有する光が発生するようになっている。なお、この位相変調器13の設置数は1台であることが、コスト上および信頼性保持上望ましいが、複数台であってもよい。また、波長変換後のレーザ光L1,L2に位相変調器を追加してもよい。
外部共振器14Aは、波長λ1 のレーザ光L1を共振させると共に波長変換を行うものである。この外部共振器14Aは、例えば4枚のミラー140〜143を有し、ミラー140とミラー141との間に、波長変換結晶14A−1が配設されたものである。波長変換結晶14A−1は、非線形光学素子であり、入射光の波長を例えば1/2に変換するようになっている。この波長変換結晶14A−1は、例えばLBO(LiB35)結晶などにより構成されている。
このような外部共振器14Aは、モードマッチとインピーダンスマッチが両立した状態(詳細は後述)にあり、周回の光路長(共振器周回長)がある値のときに共振し、更にこの光路長が波長λ1 だけ変化するごとに共振状態となる。このため、図示しないが、共振保持のためのサーボ機構が設けられると共に、ミラー140〜143の少なくとも1つには、VCM素子やPZT素子などの光路長可変手段が設置されている。これにより、共振器反射光のPD検出後に局所発信器を用いて復調して得られた誤差信号と組み合わせて、共振器周回長が波長の整数倍になるようサーボ制御され、共振状態が維持(ロッキング)される。なお、このようなサイドバンドを付加したレーザ光の共振状態を維持して波長変換を行う手法、いわゆるFMサイドバンド法は、例えば特許文献2に開示されている。
外部共振器15Aは、波長λ2 のレーザ光L2を共振させると共に波長変換を行うものである。この外部共振器15Aは、例えば4枚のミラー150〜153を有し、ミラー150とミラー151との間に、上記波長変換結晶14A−1と同様の材料よりなる波長変換結晶15A−1が配設されたものである。このような外部共振器15Aは、上記外部共振器14Aと同様に、共振器周回長が波長λ2 だけ変化するごとに共振状態となる。また、サーボ機構や光路長可変手段が設置されており(図示せず)、FMサイドバンド法による波長変換がなされるようになっている。
外部共振器15Bは、上記外部共振器15Aから出力されたレーザ光L2−2を共振させると共に波長変換を行うものである。この外部共振器15Bは、例えば4枚のミラー154〜157を有し、ミラー154とミラー155との間に、上記波長変換結晶14A−1と同様の材料よりなる波長変換結晶15B−1が配設されたものである。このような外部共振器15Bにおいても、上記外部共振器15Aと同様に、FMサイドバンド法による波長変換がなされるようになっている。
外部共振器セット16は、外部共振器14B、15Cおよび非線形光学素子17を含んで構成され、和周波混合により波長λ3のレーザ光L3を発生するものである。外部共振器14Bは、外部共振器14Aから出力されたレーザ光L1−2を共振させて非線形光学素子17へ入射させるものであり、例えば4枚のミラー144〜147により構成されている。一方、外部共振器15Cは、外部共振器15Bから出力されたレーザ光L2−4を共振させて非線形光学素子17へ入射させるものであり、例えば4枚のミラー158〜161により構成されている。
非線形光学素子17は、このような2つの外部共振器14B、15Cのそれぞれに含まれるように配置されており、外部共振器14B、15Cからの出力光が内部を通過するようになっている。この非線形光学素子17は、和周波混合を行うためのものであり、上記出力光を混合して波長λ3 のレーザ光L3を発生させる。そのため、非線形光学素子17からは、波長λ3 のレーザ光L3が出力されると共に、波長λ1 のレーザ光L1および波長λ2 のレーザ光L2もまた出射され、それぞれミラー147,ミラー161で反射されて再びミラー144,ミラー158へ戻される。このような非線形光学素子17は、例えば、BBO(β−BaB2 4 ),CLBO(CsLiB6 10)などの結晶により構成されている。
モードマッチングレンズ18は、図示しないミラーなどと共に用いられ、外部共振器14Aの固有モードにレーザ光L1が空間的に重なる(モードマッチング)ように調整する光学素子である。以下、本実施の形態のモードマッチングとインピーダンスマッチングについて説明する。レーザ光L1がモードマッチした状態では、共振器長制御手段を掃引して、共振器周回長Lを変化させると、共振により見掛けの反射光が小さくなる範囲が周期的に発生する。見かけの反射率が小さいピークは一周の光路長が波長の整数倍になる点であり、外部共振器14Aのミラー140へ入射するレーザ光L1の大部分は、ミラー140で反射せずに外部共振器14A内部に侵入する。
ここで、レーザ光L1の波長をλ1、周回光の位相遅れをδ、入射ミラーとなるミラー140の反射率をR1、j番目のミラー(141〜143)の反射率をR、ミラー以外のj番目の内蔵素子(波長変換結晶14A−1の線形ロス、非線形ロスなどを含む)の透過率をTjとしたときの外部共振器14Aの実効反射率R(δ)は次の式(5)で与えられる。但し、周回光の位相遅れδを式(6)のように規定し、合成反射率Rは、式(7)に示すように、ミラー140以外の周回透過率(ここでは、ミラー141〜143の反射率の積と、波長変換素子14A−1の透過率の積を掛け合わせたもの)とする。
Figure 2010050389
また、共振器周回長L、すなわち周回光の位相遅れδを掃引した時の実効反射率R(δ)の変化を図2,3に示す。レーザ光L1と共振器モードの空間モードの重なり効率R0は、通常、70〜95%に維持することは容易であるから、R0の値を1と近似する。また、簡単の為、インピーダンスマッチングが成り立っているものとし、R1=R=95%としている。このとき、透過率が50%以上になるδの範囲(半値全幅:以降透過幅と呼ぶ)δ0.5は、0.033πである。δは本来大きな数字であるが、簡単の為、2πのある整数倍だけ引いた値δ’を表示している。δ’が2πの整数倍では周期的に反射率が小さくなって反射光が極小になり、入射したレーザ光L1の大部分が外部共振器14Aの内部に入っていく。例えば図3(A)に示したように、δ’が±0.2πでは透過率は0.7%程度であるが、δ’が±0.03πでは23%まで透過率が増大する。
一方、入射するレーザ光L1のパワーに対する、共振器内巡回光パワーの増大比率βは、上記式(8)で与えられる。R1〜Rの条件は、インピーダンスマッチングと呼ばれ、通常、この状態に近づけるように設計が行なわれる。式(8)により、インピーダンスマッチングがおおよそ満たされているとき、R1がおおよそ0.99のミラー140を用いた場合、10Wの入射レーザ光L1に対して、外部共振器14A内に置かれた波長変換結晶14A−1には、おおよそ100倍の1kWの巡回光が入射して波長変換に使われることになる。共振器内を巡回する強い光が波長変換結晶14A−1により、別の波長(例えば1/2の波長)に変換されるとき、中心周波数2fLから±fだけ周波数の異なる上下側帯波も同時に生成され、後段の外部共振器14Bに入射する。このような側帯波が、外部共振器14Bにおけるロッキングに利用される。
モードマッチングレンズ19〜22についても、上記モードマッチングレンズ18と同様に機能し、外部共振器14B,15A〜15Cの固有モードと入射するレーザ光の空間モードとが重なるように調整するようになっている。
ミラー23,24は、外部共振器15Bから出力されたレーザ光L2−4の光路を変換するために適宜設けられる反射ミラーである。このようなミラー23,24は必要に応じて配置されるものであり、その枚数や設置場所は特に限定されない。
次に、上記レーザ光発生装置1の作用、効果について説明する。
まず、ファイバーレーザ光源10より波長λ1 のレーザ光L1が出力されると、このレーザ光L1は、位相変調器13を通過する。この際、レーザ光L1は、位相変調器13において、RF信号源12から供給されるRF信号に基づいて、上述したようなサイドバンドを付加される(例えば、図3(B)参照)。ここで、位相変調器13によって付加される側帯波(サイドバンド)周波数f(f=f1,f2,…)がどの程度のδ’に相当するかは、一般に、f=cδ’/2πL(c:真空中の光速)で与えられる。上側帯波と下側帯波の極性が逆になっている為、共振点(反射率極小点)の付近では共振器反射光に含まれるRF成分は局所発振器で検波されると誤差信号を与える。局所発振器の位相を合わせて共振の中心と誤差信号の0点を合わせた後に、サーボ回路により共振器長制御手段を駆動して共振点にロックする。ロックすると、見かけの反射率は著しく低下し、外部共振器14Aへの入射光の大部分が内部へ注入される。同時に、外部共振器14A内では、入射したレーザ光L1よりもはるかに大きなパワーの光が周回するため、外部共振器14A内に置かれた波長変換結晶14A−1における変換効率が高くなる。
位相変調器13によりサイドバンドを付加されたレーザ光L1は、モードマッチングレンズ18等を介して、外部共振器14Aに入力される。外部共振器14Aにおいて、レーザ光L1は、ミラー140〜143間を周回することにより共振させられると共に、その過程において波長変換結晶14A−1を通過することにより、1/2に波長変換される。これにより、外部共振器14A内部の巡回光のパワーが上昇し、レーザ光L1の波長変換効率が高まる。また、この際、サイドバンドを用いた誤差信号により外部共振器14Aがロッキングされる。このようにして波長変換されたレーザ光(2次高調波)L1−2は、外部共振器14Aから出力され、モードマッチングレンズ19を介して、外部共振器セット16における外部共振器14Bへ入力される。
このとき、例えば、波長λ1として、1480nm以上1580nm以下の範囲内の波長を用いた場合には、上記外部共振器14Aにおける波長変換により、例えば740nm以上790nm以下の範囲内の波長のレーザ光L1−2が出力される。
一方、ファイバーレーザ光源11より波長λ2 のレーザ光L2が出力されると、このレーザ光L2は、上記レーザ光L1と同様に位相変調器13によってサイドバンドを付加され、モードマッチングレンズ20を介して、外部共振器15Aに入力される。外部共振器15Aにおいて、レーザ光L2は、ミラー150〜153間を周回することにより共振させられると共に、その過程において波長変換結晶15A−1を通過することにより、1/2に波長変換される。これにより、外部共振器15A内部の巡回光のパワーが上昇し、レーザ光L2の波長変換効率が高まる。このように波長変換されたレーザ光(2次高調波)L2−2は、外部共振器15Aから出力される。
外部共振器15Aから出力されたレーザ光は、モードマッチングレンズ21を介して、外部共振器15Bへ入力される。外部共振器15Bにおいても、上記外部共振器15Aと同様にして、レーザ光がミラー154〜157間を周回することにより共振させられると共に、その過程において波長変換結晶15B−1を通過することにより、1/2に波長変換される。これにより、外部共振器15A内部の巡回光のパワーが上昇し、レーザ光L2の波長変換効率が高まる。このように波長変換されたレーザ光(4次高調波)L2−4は、外部共振器15Bから出力され、モードマッチングレンズ22、ミラー23,24を介して、外部共振器セット16における外部共振器15Cへ入力される。
このとき、例えば、波長λ2として、1024nm以上1048nm以下の範囲内の波長を用いた場合には、まず、上記外部共振器15Aにおける波長変換により、例えば512nm以上524nm以下の範囲内の波長のレーザ光L2−2が出力される。さらに、上記外部共振器15Bにおける波長変換により、例えば256nm以上262nm以下の範囲内の波長のレーザ光L2−4が出力される。
上記のようにして、外部共振器14A,15Bからそれぞれ出力されたレーザ光L1−2,L2−4は、外部共振器セット16に入射する。このとき、レーザ光L1−2は外部共振器14B、レーザ光L2−4は外部共振器15Cへ、それぞれ入力され、互いに独立に共振してロッキングされる。そして、外部共振器14Bおよび外部共振器15Cの内部に配設された非線形光学素子17へ同時に入射する。この非線形光学素子17の内部では、共振器モード重なり部分において、これら2つのレーザ光L1−2,L2−4の和周波発生と呼ばれる波長変換が行なわれ、波長λ3のレーザ光L3が出力される。
このとき、例えば、波長λ1,λ2として、上記のような範囲内の波長を用いた場合には、波長λ3として、例えば200nm以下の紫外領域(深紫外領域)、具体的には193.4nmのレーザ光L3が得られる。このような波長193.4nmは、例えば、レーザ加工や各種検査などに一般的に利用される波長である。
ここで、従来の固体レーザを光源として用いたレーザ光発生装置では、上記のような波長193.4nmを和周波混合により得るために、固体レーザから1540nm付近および1033nm付近の波長を出力することは困難である。これは、固体レーザにおいては、一般に利得幅が狭く、所望の波長における利得が低くなるためである。また、上記のような波長を得るために用いられるエルビウムやイッテルビウムなどを含む固体レーザは、擬似3準位と呼ばれ、反転分布を形成するために強励起が必要になり、また、励起領域以外では吸収が発生するため、単一周波数の出力を安定化することが難しい。
これに対し、本実施の形態では、ガラスなどにより構成されたファイバーレーザ光源10,11を用いているため、結晶場が一様ではなく利得幅が拡がっており、選択可能な波長幅が広くなる。このため、波長をその範囲内で選択する手段を設けることにより、所望の波長における利得が得られ易い。また、ファイバーレーザ光源10により、波長λ1のレーザ光L1がエルビウムをコアに含むダブルクラッドファイバーを用いて出力されると共に、ファイバーレーザ光源11により、波長λ2のレーザ光L2がイッテルビウムまたはネオジムをコアに含むダブルクラッドファイバーを用いて出力される。これにより、ファイバーレーザ光源10,11では、コアを伝搬する回折限界の発振光と、それを囲むクラッドを伝搬する励起光の相互作用長が、従来の固体レーザを用いる場合に比べて著しく長くなる。このため、利得中心からはずれた波長であっても、長い距離で増幅することによって飽和増幅され、利得中心と同等の高い波長変換効率が得られる。また、例えばDFBファイバーレーザなどのダブルクラッドファイバーを用いることにより、ファイバーレーザの一部から全体にかけて紫外線照射などにより数多くの屈折率変化の周期構造が形成され、極めて狭い特定の波長でのみ反射が起こる。よって、狭い波長幅のみで発振が行われる。
以上、説明したように、本実施の形態では、ファイバーレーザ光源10,11に、ダブルクラッドファイバーを設け、波長λ1のレーザ光L1と波長λ2のレーザ光L2とに対し、それぞれ数段の波長変換を経て非線形光学素子17に入射させるようにしたので、波長λ3のレーザ光L3を狭い波長幅でかつ高い波長変換効率で取得することができる。よって、和周波混合により、例えば200nm程度以下の波長域のレーザ光を安定して出力すると共に、波長幅を例えば5.0×10-5nm以下にまで狭くすることが可能となる。
また、ファイバーレーザ光源10およびファイバーレーザ光源11において、単一周波数の連続光を発生するようにしたので、従来のようなパルス光を発生する場合に比べて、ピークパワーが著しく低くなり、光学系に用いられる硝材(合成石英、フッ化カルシウムなど)の損傷が極めて小さくなる。よって、光学系の劣化を抑制することができる。また、ピークパワーが低いことにより、波長変換結晶の寿命を長く保つことができる。これにより、レーザの寿命が長くなる。
また、上述したように、外部共振器内部でロッキングを行って共振や波長変換を行なう為には、レーザ光L1,L2の波長線幅が充分狭いことが望ましいが、ダブルクラッドファイバーを用いたファイバーレーザ光源10,11により、波長幅の狭窄化が可能である。このようなレーザ光L1,L2の仕様は、出力光となるレーザ光L3の波長幅を狭くするという目的に合致したものであり、レーザ光源の性能を充分生かしたレーザ光発生装置になっているといえる。
さらに、レーザ光L3として、例えば波長193.4nmの深紫外光を出力する場合、レーザ光L1,L2の波長幅が極めて狭いため、仮に波長変換により拡がったとしても、従来に比べて充分に波長幅を狭くすることができる。よって、高開口率をもつ光学系を透過する際の色収差発生を防止し、干渉性に優れた評価光源を実現可能となる。
また、ファイバーレーザを用いているため、構成を簡略化することができ、低コストとなる。また、例えばエキシマレーザで使用するような有毒な気体を用いることがなく、気体交換の手間などが不要である。
次に、上記実施の形態のレーザ光発生装置の変形例について説明する。なお、以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
(変形例1)
図4は、変形例1に係るレーザ光発生装置のファイバーレーザ光源30付近の概略構成を表すものである。本変形例では、波長λ1,λ2のレーザ光L1,L2をそれぞれ出力するファイバーレーザ光源の構成以外は、上記実施の形態のレーザ光発生装置1と同様の構成となっている。また、簡単のため、上記2つのファイバーレーザ光源のうち、波長λ1のレーザ光L1を出力するファイバーレーザ光源30を例に挙げて説明する。
ファイバーレーザ光源30は、励起光源としてのレーザ発信器30Aと、このレーザ発信器30Aからの出力光を増幅させるダブルクラッドファイバー増幅器30Bとから構成されている。レーザ発信器30Aとしては、例えばDFBやFBGを使用した光ファイバー発振器や、バルクのレーザ媒質による固体レーザ発振器、DFB付半導体レーザ発振器や、回折格子でフィードバックして波長幅を狭窄化した半導体レーザ発振器などが挙げられる。望ましくは、小型のDFB構造を有するレーザ発信器を用いることが望ましい。また、また、レーザ発信器30Aから出力される光の波長幅は、上記実施の形態のファイバーレーザ光源10と同様に、好ましくは10MHz以下、より好ましくは1MHz以下となっている。
ダブルクラッドファイバー増幅器30Bは、上記実施の形態のファイバーレーザ光源10,11で用いられるダブルクラッドファイバーとほぼ同様の構成を有しており、コアにエルビウム(もしくはイッテルビウムまたはネオジム)を含んでいる。このようなダブルクラッドファイバー増幅器30Bは、1段あるいは多段(ここでは1段)で設置されている。また、ダブルクラッドファイバー増幅器30Bにおいて、高NAのクラッドに、輝度の低い高出力半導体レーザなどの励起光を同軸伝搬させることにより、コアに入射するレーザ光を増幅することが望ましい。
このように、ファイバーレーザ光源30を、レーザ発信器30Aと、ダブルクラッドファイバー増幅器30Bとから構成するようにしてもよい。このように構成した場合であっても、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、特に、レーザ発信器30Aとして、小型のDFB構造のレーザ発信器を用いることにより、安定した中心波長で、単一周波数発振させることができる。これにより、利得中心からはずれた波長において、出力の安定化および波長幅の狭窄化に加えて、高出力化を実現することができる。
(変形例2)
図5は、変形例2に係るレーザ光発生装置のファイバーレーザ光源31の概略構成を表すものである。本変形例では、波長λ1,λ2のレーザ光L1,L2をそれぞれ出力するRF信号源12および位相変調器13の設置場所以外は、上記変形例1のレーザ光発生装置と同様の構成となっている。すなわち、ファイバーレーザ光源31の内部、具体的には、レーザ発信器30Aとダブルクラッドファイバー増幅器30Bとの間に位相変調器13が配置され、この位相変調器13にRF信号源12が接続された構成となっている。位相変調器13とダブルクラッドファイバー増幅器30Bとの間には、光学系32が設けられ、レーザ発信器30Aとダブルクラッドファイバー増幅器30Bとが光学的に結合されている。なお、本変形例においても、簡単のため、2つのファイバーレーザ光源のうち、波長λ1のレーザ光L1を出力するファイバーレーザ光源31を例に挙げて説明する。
このように、位相変調器13を、ファイバーレーザ光源31の内部の、レーザ発信器30Aとダブルクラッドファイバー増幅器30Bとの間に設けるようにしてもよい。この場合、レーザ発信器30Aから発生したレーザ光は、位相変調器13により位相変調を受けたのち、光学系32により結合されたダブルクラッドファイバー増幅器30Bにおいて増幅され、レーザ光L1として、外部共振器14A(図5には図示せず)へ向けて出力される。このとき、ダブルクラッドファイバー増幅器30Bによる増幅前に、位相変調器13による位相変調がなされることにより、増幅後の高出力の光によって位相変調器が損傷することを抑制することができる。よって、システムの長寿命化に有利となる。
また、仮に、増幅後の強力なレーザ光の光路中に位相変調器を配置する場合には、位相変調器自体の破壊や劣化を防ぐために、位相変調器の開口を大きくし、かつレーザ光を拡げて通過させる必要がある。ここで、レーザ光を拡げるためには、他の光学系を配置する必要が生じる。また、位相変調器の開口が大きくなると、例えば同程度の電界を与えるために、その開口をカバーする距離に比例した大きな電圧が必要になる。そのためには、高電圧で高周波を位相変調器に与えなければならず、スループット(単位時間当たりの電圧変化)の大きい高価な装置が必要になる。従って、システム全体が複雑化する虞がある。これに対し、本変形例のように、ダブルクラッドファイバー増幅器30Bよりも前段に位相変調器13を配置し、増幅前の低パワーのビームを位相変調することにより、小さな開口の位相変調器にレーザ光を絞って通過させることが可能となる。これにより、上記のような大きな電圧が不要となり、システムの簡素化を図ることができる。
(変形例3)
図6は、変形例3に係るレーザ光発生装置の一部における概略構成を表すものである。本変形例では、レーザ発振器30Aからの出力光が、位相変調器13、光学系41を経て、外部共振器40へ入力されるようになっている。これらレーザ発振器30Aから外部共振器40までの配列構成が、上記実施の形態におけるファイバーレーザ光源10から外部共振器14Aまで、およびファイバーレーザ光源11から外部共振器15Aまでのいずれか一方もしくは両方に置き換えることができる。この外部共振器40よりも後段には、上記実施の形態の外部共振器セット16もしくは外部共振器15Bが配置される。
外部共振器40は、例えば4枚のミラー170〜173、光学系174、波長変換結晶40A−1、レーザ媒質40A−2、励起光40A−3を内部に配置したものである。励起光40A−3は、外部共振器40の内部に置かれたレーザ媒質40A−2に吸収されてレーザ発振波長で発光させるためのエネルギー源となるものである。この励起光としては、例えば高出力で輝度の高い半導体レーザは用いられ、その波長は、レーザ媒質40A−2に効率よく吸収され、かつレーザ発振波長よりやや短くなっていること好ましい。このような構成において、励起光40A−3が光学系174によりレーザ媒質40A−2に照射されるようになっている。
本変形例では、レーザ発振器30Aからの出力光は、位相変調器13により位相変調されたのち、光学系41により外部共振器40に入力される。外部共振器40では、上記構成に基づいて、注入同期(いわゆるインジェクションロッキング)と呼ばれる手法により、入力光が増幅される。このとき、外部共振器40の縦モード(共振周波数)と光学系41を通過した光の周波数が合致すると、外部共振器40の内部に光が入力されて増幅されるため、同期により共振器の反射率が大きくなったように振舞う。反射光の一部を取り出し、それに含まれる側帯波を用いてFMサイドバンド法でロッキングすれば、入力光より大きな出力光を得ることができる。このようにして得られた出力光は、レーザ光L1−2あるいはレーザ光L2−2として、外部共振器14Bあるいは外部共振器15Bに入射する。なお、以降の波長変換の際のロッキングにおいても、外部共振器40におけるロッキングに使用された周波数と同じ周波数の側帯波が用いられる。
上記のように、上記実施の形態のファイバーレーザ光源10から外部共振器14Aまで、およびファイバーレーザ光源11から外部共振器15Aまでのいずれか一方を、本変形例のレーザ発振器30Aから外部共振器40までの配列構成と置き換えてもよい。このように構成した場合であっても、いずれか一方の光源にダブルクラッドファイバーを用いていれば、上記実施の形態および変形例2と同等の効果を得ることができる。
また、外部共振器40の内部に、利得を有するレーザ媒質40A−2と波長変換結晶40A−1とを同時に有し、ミラー透過や波長変換・散乱や吸収などの共振器損失の総和にレーザによる利得が近づく場合、見かけ賞味損失をゼロにすることができ、変換効率を極めて高くすることが可能である。
なお、レーザ発振器30Aの内部にダブルクラッドファイバーからなる増幅器を有していてもよい。
(変形例4)
図7は、変形例4に係るレーザ光発生装置の一部における概略構成を表すものである。本変形例では、外部共振器50の構成以外は、上記変形例3と同様の構成となっている。外部共振器50には、波長変換結晶が配設されておらず、4枚のミラー170〜173により共振されたレーザ光は、ミラー175により反射されて、外部へ出力されるようになっている。このように、外部共振器50の内部に波長変換結晶を配設せず、この外部共振器50よりも後段において、波長変換するようにしてもよい。この場合であっても、上記実施の形態および変形例2と同等の効果を得ることができる。
また、上記変形例3よりも全体の構成を簡素化することができる。さらに、本変形例では、インジェクションロッキングによる基本波の増幅だけが外部共振器50により行われるため、波長変換結晶や光学系の劣化などによる特性変化が、インジェクションロッキングによる増幅に影響を与えない。従って、システムの安定化を図ることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態等では、外部共振器におけるロッキングについて、FMサイドバンド法を用いたものを例に挙げて説明したが、これに限定されず、他の手法、例えばHansch-Couillaud法、Dither法、フリンジサイドロッキングなどを用いてもよい。
また、上記実施の形態等では、波長λ1として、1480nm以上1580nm以下の範囲内のもの、波長λ2として、1024nm以上1048nm以下のものを用い、これらの波長から、最終的に193.4nmの波長λ3を得る構成を例に挙げて説明したが、波長λ1,λ2,λ3の波長域はこのような範囲に限定されるものではない。すなわち、上記式(1)を満足するものであれば、どのような波長域の光を用いてもよい。但し、上述したように、1540nm付近のレーザ光と1040nm付近のレーザ光との和周波混合により、波長193.4nmのレーザ光を、安定して、かつ極めて狭い波長幅で出力することが、実用上最も有用である。
また、上記実施の形態等で説明した位相変調器13の両面に、図8に示したように、電極を取り付け、位相の180度異なるAC信号をそれぞれの面に与えるようにしてもよい。これにより、例えば一方をグラウンドにして駆動する通常の方式よりも、内部の電界を2倍にすることができる。この結果、電源電圧をむやみに高くすることなく位相変調度を向上させることができる。よって、誤差信号のS/Nを高めることが可能となる。
また、上記実施の形態等では、各外部共振器がそれぞれ4枚のミラーを含んで構成された場合について説明したが、外部共振器の構造はこれに限定されず、適宜変更可能である。例えば、ミラーの数は1〜3枚あるいは5枚以上にしてもよい。また、このようなミラーの他にも、例えばプリズム等の素子を用いるようにしてもよい。
本発明の一実施の形態に係るレーザ光発生装置の全体構成を表す平面図である。 共振器周回長L、すなわち周回光の位相遅れδを掃引した時の実効反射率R(δ)の変化を表す特性図である。 (A)図は、図2の特性図を拡大表記したものであり、(B)図は、位相変調により付加されるサイドバンド周波数を表す特性図である。 変形例1に係るレーザ光発生装置の一部構成を表す平面図である。 変形例2に係るレーザ光発生装置の一部構成を表す平面図である。 変形例3に係るレーザ光発生装置の一部構成を表す平面図である。 変形例4に係るレーザ光発生装置の一部構成を表す平面図である。 図1に示した位相変調器の他の例を模式的に表す斜視図である。 YbイオンのSiO2中での吸収散乱断面積および誘導放出散乱断面積の波長依存性を示す特性図である。 ErイオンのAl23/SiO2およびGeO2/SiO2中での誘導放出散乱断面積の波長依存性を示す特性図である。
符号の説明
1…レーザ光発生装置、10,11…ファイバーレーザ光源、12…RF信号源、13…位相変調器、14A,14B,15A〜15C…外部共振器、16…外部共振器セット、17…非線形光学素子。

Claims (10)

  1. エルビウム(Er)をコアに含むダブルクラッドファイバーを有し、第1の波長のレーザ光を単一周波数で出力する第1のファイバーレーザ光源と、
    イッテルビウム(Yb)またはネオジム(Nd)をコアに含むダブルクラッドファイバーを有し、第2の波長のレーザ光を単一周波数で出力する第2のファイバーレーザ光源と、
    前記第1の波長のレーザ光を共振させると共に、波長変換を行う第1の共振器と、
    前記第2の波長のレーザ光を共振させると共に、波長変換を行う第2の共振器と、
    前記第2の共振器から出力されたレーザ光を共振させると共に、波長変換を行う第3の共振器と、
    前記第1の共振器から出力されたレーザ光を共振させる第4の共振器と、
    前記第3の共振器から出力されたレーザ光を共振させる第5の共振器と、
    前記第4および第5の共振器に含まれて配置され、前記第4の共振器側からのレーザ光と前記第5の共振器側からのレーザ光との和周波混合により、第3の波長のレーザ光を発生させる非線形素子と
    を備えたレーザ光発生装置。
  2. 前記第1および第2のファイバーレーザ光源はそれぞれ、単一周波数で波長幅10MHz以下の光を、前記ダブルクラッドファイバーにより増幅させることにより、前記第1または第2の波長のレーザ光を出力する
    請求項1に記載のレーザ光発生装置。
  3. 前記第1および第2のファイバーレーザ光源はそれぞれ、単一周波数で波長幅1MHz以下の光を、前記ダブルクラッドファイバーにより増幅させることにより、前記第1または第2の波長のレーザ光を出力する
  4. 前記第1および第2のファイバーレーザ光源はそれぞれ、DFB構造またはFBG構造を有するファイバーレーザを有する
    請求項2または3に記載のレーザ光発生装置。
  5. 前記第1および第2のファイバーレーザ光源はそれぞれ、固体レーザまたは半導体レーザを有する
    請求項2または3に記載のレーザ光発生装置。
  6. 前記非線形光学素子は、BBO(β−BaB24)またはCLBO(CsLiB610)の結晶により構成されている
    請求項1に記載のレーザ光発生装置。
  7. 前記第1ないし第5の共振器のうち少なくとも一つは、FMサイドバンド法により共振状態を保持する
    請求項1に記載のレーザ光発生装置。
  8. 前記第1の波長をλ1、第2の波長をλ2、第3の波長をλ3としたとき、λ1、λ2およびλ3が以下の式(1)を満足する
    請求項1に記載のレーザ光発生装置。
    Figure 2010050389
  9. 前記第1の波長が1480nm以上1580nm以下の範囲内であり、前記第2の波長が1024nm以上1048nm以下の範囲内であり、かつ、前記第3の波長が193nm付近である
    請求項8に記載のレーザ光発生装置。
  10. 前記第3の波長のレーザ光の波長幅は5.0×10-5nm以下である
    請求項9に記載のレーザ光発生装置。
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