JP2000111296A - 伝熱管の付着物除去装置および付着物除去方法並びにボイラ伝熱管の付着物除去装置 - Google Patents

伝熱管の付着物除去装置および付着物除去方法並びにボイラ伝熱管の付着物除去装置

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JP2000111296A
JP2000111296A JP10282847A JP28284798A JP2000111296A JP 2000111296 A JP2000111296 A JP 2000111296A JP 10282847 A JP10282847 A JP 10282847A JP 28284798 A JP28284798 A JP 28284798A JP 2000111296 A JP2000111296 A JP 2000111296A
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Toshio Tada
利雄 多田
Masanobu Takahashi
正信 高橋
Ryoji Takahashi
良次 高橋
Nobuaki Konno
信晃 近野
Kazunori Sato
一教 佐藤
Nobuyasu Meguri
信康 廻
Koujirou Yamada
紘二郎 山田
Miyako Imon
美也子 井門
Teruaki Matsumoto
曜明 松本
Yasuo Toyooka
康雄 豊岡
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Tohoku Electric Power Co Inc
Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
Tohoku Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝熱管に付着する付着物を効率良く容易に除
去できる。 【解決手段】 管状に形成され曲りパイプ87が設けら
れ先端にノズル30が取り付けられる細長のアーム60
を有する流体噴射手段を備え、このアーム60は剛性を
有するとともに覗き窓12から挿入され、伝熱管の付着
物に接近され、アーム60内に供給される流体を噴射し
てクリンカが除去される。さらに、アーム60は覗き窓
12から挿入可能なように回動する分岐管31が設けら
れ、複数のノズル30が取り付けられる。そして、流体
噴射手段は、覗き窓12の外側にこのアーム60を上
下、左右移動および回動させるアーム調整手段21、2
2、23を備える。分岐管31は、ワイヤ106によっ
て覗き窓12の外側から回動操作される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝熱管の外側に付
着する付着物を流体の噴射によって除去する伝熱管の付
着物除去装置および付着物除去方法に係り、特にボイラ
の火炉内の伝熱管に付着するクリンカを除去する伝熱管
の付着物除去装置および付着物除去方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】図32は、ボイラ火炉内の吊り下げ伝熱
管に付着するクリンカの付着状態の説明図である。石炭
焚ボイラや重質油焚のボイラでは、灰粒子が高温で溶融
し、火炉(缶)11内の吊り下げ伝熱管17に付着す
る。火炉11の上部にある過熱器(2次過熱器)の吊り
下げ伝熱管17に付着する灰は大きな塊に成長し、付着
ハードクリンカ(以下「クリンカ」という)130とな
る。クリンカ130が著しく大きな塊状に成長し、さら
に極めて高強度な場合もある。これは、灰の融点の低い
石炭を長期間にわたり燃焼し続ける場合などによくあら
われる。灰の融点が低いために、さほど高温でなくても
灰が溶けて流れ出すが、これが冷えて固化する場合、強
度が高まる。また、一度このような溶融灰が伝熱管に付
着し始めると、次々と付着して成長する。このクリンカ
130の一部は、ボイラ停止時に、熱衝撃のために吊り
下げ伝熱管17から剥離し、炉底ホッパへ落下するが、
大部分のクリンカ130は剥離・落下することなくその
まま残る。
【0003】このようなクリンカ130の成長は、火炉
11の熱負荷、ガス温度や燃料種の性状(灰の融点)な
どの複合作用によるとされているが、詳細なメカニズム
までは分かっていない。クリンカ130が著しく成長す
ると、ボイラが稼動中の場合は、炉内ガス流の流動抵抗
となる。さらに、このクリンカ130は、定期点検時の
火炉補修作業において大きな支障となり、突然落下すれ
ば大変に危険である。従って、このクリンカ130を除
去するために多大な労力が費される。なお、図32にお
いて、符号117はバーナである。
【0004】クリンカ130を除去する技術としては、
ノーズ119の上部に簡易足場を組み、作業者が水洗用
のガンを操り、水噴流をクリンカ130に向けて吹きつ
けることが知られている。この技術によれば、比較的脆
弱なクリンカは除去できるが、クリンカ全部を破壊する
ことはかなり難しく、多大な水洗時間を必要とする。ま
た、簡易足場を組む作業は、ボイラ火炉内の高所作業で
あり、特殊な技能を有する作業者が必要である。さら
に、簡易足場の組立・解体作業に多くの時間と費用を要
するし、火炉11内足場上の作業は、狭いスペースにお
いて、ダスト・湿気・暑さなどのため、環境的に良いと
はいえない。従って、火炉外からの操作により、クリン
カ130を迅速に除去する装置ないし方法が求められて
いる。火炉前には覗き窓12があるが、その直径は10
0mmφ程度であり、この覗き窓12から大がかりな除
去装置を挿入することはできない。
【0005】従来から行われている低圧の水噴流を吹き
つける水洗的な従来技術によれば、比較的脆弱なクリン
カは除去できるが、クリンカ130の全部を破壊するこ
とはかなり難しく、多大な水洗時間が必要になる。その
理由は、水噴流のエネルギーが分散するような状況で行
われるためである。従来は、噴射圧が16〜80kgf
/cm2(1.6〜8.0MPa)程度の低い圧力で水噴
射が行わている。このような従来技術では、クリンカ1
30はなかなか破壊に至らない。噴射圧が低く、スタン
ドオフ距離Xs(ノズルとクリンカとの距離)が長過ぎ
るために、噴流が広がり過ぎて衝突エネルギーを減衰さ
せることが原因である。このような噴霧流では、クリン
カ130の広い表面上において、低速の水滴群が衝突す
るにすぎない。
【0006】さらに、噴霧のように拡散する低速噴霧流
を用いる炉内灰除去技術は、ウォールブロアーとして製
品化されている(たとえば、特開昭58−117979
号公報)。このような技術によれば、メンブレン水壁上
の柔らかな灰であれば除去可能であるが、硬い(ハー
ド)クリンカはなかなか除去しにくいと考えられる。
【0007】また、はじめに熱衝撃(冷却硬化)の作用
を生みだすべく、低い圧力の流体噴射でスラグにひび割
れをつくり、次に、高衝撃圧のパルス噴流をスラグのひ
び割れ内に突入させてスラグを効果的に除去しようとす
る技術が開示されている(特公昭60−11318号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
高圧でノズルから水を噴射する高速ウォータージェット
技術を用いればクリンカを破壊できるが、このような高
圧水をノズルから噴射する技術は、次のような解決しな
ければならない課題がある。いずれも、長尺のノズルア
ーム(以下「アーム」という)をボイラの覗き窓(観察
窓またはアクセスホールともいう)から挿入し、ノズル
を除去対象のクリンカに近接させて除去することに起因
する。
【0009】図33は、従来技術に係る伝熱管の付着物
除去装置を示し、アームのたわみ状態の説明図である。
一つの課題は、高圧水124をノズル30に圧送し、ノ
ズル30からウォータージェット(高速水噴流ともい
う)70を噴射するときの反力によって、長尺のアーム
61がたわむことである。これは、アーム61が片持ち
ばりの構造であり、反力が片持ちばりの先端に集中荷重
として作用するためである。ウォータージェット70を
噴射する前に、ノズル30を除去対象のクリンカ130
へ接近させ(図中ではアーム61を破線で示す)スタン
ドオフ距離Xsを適正に設定しても、アーム61がたわ
むと、図示するように、ウォータージェット70はター
ゲットであるクリンカ130からはずれてしまう。或い
は、高速水噴流70がクリンカ130に衝突したとして
も、スタンドオフ距離Xsが適正範囲からはずれれば、
クリンカ130を除去しにくくなり、クリンカを除去す
る時間も長くなり、水やポンプを駆動するエネルギーも
浪費することになる。
【0010】図34は、従来技術に係る伝熱管の付着物
除去装置を示し、動作の説明図である。二つ目の課題
は、アーム61を引き抜いて(実線の状態)、別の覗き
窓へ移動させる場合である。覗き窓12の直径はたかだ
か100mmφであり、アーム61は、覗き窓12から
挿入したり、引き抜いたりするには大きすぎる。アーム
61は、8〜10mと長尺であり、覗き窓12から片持
ち梁的に支持固定しなければならない。このためアーム
61は自重でたわみ、限度を超えると塑性変形する。一
方、アーム61を軽量化しようとすると強度が低下し、
高圧ウォータージェットを噴射するときに生じる反力に
より、アーム61がたわむ。
【0011】長尺のアーム61は、覗き窓12のあるフ
ロア(缶前歩道途ともいう)84の狭いスペースにおい
て取り扱いが困難である。ノズルが左右に分岐した分岐
ノズルから高圧ジェットを噴射する反力相殺型の場合、
分岐ノズルを広げたままでは覗き窓12からアーム61
を挿入できず、また、分岐ノズルを広げたままでは、覗
き窓から外へは引き抜き(または後退)できない。ノズ
ルの位置決めを実施する際、移動やウォータージェット
の噴射中のノズルの固定が難しい。
【0012】また、この図34に示すようなアーム61
の後端(ノズルをつける側とは反対の側)に高圧ホース
90がつながった噴射装置においては、フロア84の背
後に隣接する蒸気配管115や鉄骨116が障害にな
る。長尺のアーム61の後端からノズルに向けて高圧ホ
ース90を挿入すると、高圧ホース90もアーム61と
一体となっているために、別の覗き窓へアームを移動す
る際に、多くの労力を要する。従って、ボイラの火炉幅
方向にアーム61を移動させるだけでも、長い時間を費
やすことになる。覗き窓12を変えるたびに、高圧ホー
ス90とアーム61の間の耐圧ジョンイトを毎回外すこ
とも一つの方法であるが、耐圧ジョイントの着脱に要す
る時間を考えれば、高速水噴流によってクリンカを容易
に短時間で除去できたとしても、全処理時間は結局長く
なる。また、ノズルの位置決めやウォータージェットに
よるクリンカの落下状況を監視することができるモニタ
リングの技術も無かった。
【0013】図35は、従来技術に係る伝熱管の付着物
除去装置における高圧少流量ノズルの使用によるクリン
カの損傷状態を示し、(A)は表層のえぐれ、(B)は
穴あき、(C)は垂直管部部分離脱、(D)はベント部
部分離脱、(E)は(D)の側面図、である。図36
は、従来技術に係る伝熱管の付着物除去装置を示し、高
圧少流量ノズルを使用中の説明図である。図36に示す
ように、高圧水124をアーム62aを介して高圧少流
量ノズル35から高圧少流量ジェット73をクリンカ1
30に衝突させると、ジェットの衝突エネルギの局部集
中77により、図35に示すように、(A)のクリンカ
130の表層のえぐれ135、(B)の穴あき136、
(C)の垂直管部部分離脱137、或いは(D)、
(E)の伝熱管のベント部分18の部分離脱138など
が生ずるが、伝熱管17に付着するクリンカ130全体
をいっきに落下させて取り除くまでには至らない。従っ
て、高圧少流量ジェット73のみを用いてクリンカ13
0を除去しようとすると、クリンカ130がなかなか破
壊しないために、莫大な除去作業時間を要する。時間を
要することで、当然多量の水と、高圧ポンプを駆動する
ために多くの電力を消費することにもなる。
【0014】図37は、従来技術に係る伝熱管の付着物
除去装置を示し、低圧大流量ノズルを使用中の説明図で
ある。この図37に示すように、低圧水125をアーム
62aを介して低圧大流量ノズル36から低圧大流量ジ
ェット74をクリンカ130に衝突させると、クリンカ
130の表層の脆弱な部分は洗い流されるものの、クリ
ンカ130の内部にまで至るような破壊の威力は期待で
きない。クリンカ全体を除去するためには、やはり莫大
な除去作業時間と水、そして電力を消費することにな
る。なお、符号78は水滴群である。
【0015】高圧大流量のウォータージェットを用いれ
ば、クリンカの除去はある程度可能になるが、極めて特
殊で大型の高圧ポンプが必要になるので、経済性にかか
わる問題があり、現実に即した技術とはいい難い。さら
に、このようなウォータージェットを用いると、伝熱管
が壊食(エロージョン)を起こし易くなるので、被処理
対象(伝熱管)の健全性確保という前提に触れる問題が
ある。
【0016】また、特公昭60−11318号公報に開
示された付着物除去技術は、噴射圧力の異なる二つの噴
流を利用する技術であるが、はじめに低圧大流量ジェッ
トを衝突させ、続いて高圧少流量ジェットを衝突させる
ことでは、ボイラ火炉内の伝熱管に付着するクリンカな
どの付着物を十分に除去することができない。また、こ
の先行技術は、ボイラの運転中に作動させるものであ
り、ボイラの停止後において火炉内作業に先立って実施
するものではない。
【0017】本発明の課題は、伝熱管に付着する付着物
を効率良く容易に除去できることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、仕切壁の内側に設けられる伝熱管の外側に付
着する付着物に流体を噴射することによって前記付着物
を除去する伝熱管の付着物除去装置において、前記流体
を前記付着物に噴射するノズルおよび該ノズルが先端に
取り付けられ前記仕切壁に設けられる覗き窓から挿入さ
れ前記付着物に接近する剛性を有する細長のアームを含
む流体噴射手段を備えてなることである。 上記伝熱管
の付着物除去装置によれば、仕切壁に設けられる覗き窓
から流体噴射手段の剛性を有する細長のアームを挿入
し、このアームの先端に取り付けられるノズルを付着物
に接近させ、流体をノズルから噴射することにより伝熱
管の外側に付着する付着物を除去することができる。ア
ームは、剛性を有し細長であるので、小さい覗き窓から
でもアームを挿入でき、かつアームのたわみも少なく扱
い易い。
【0019】上記伝熱管の付着物除去装置において、流
体噴射手段は、前記アームの内側に、柔軟性を有する材
料で形成され前記流体が内側を流通して前記ノズルに供
給する流体供給管を有してなるようにすると良い。流体
供給管をアームの内側に沿って通すことにより流体をノ
ズルに供給することができる。流体噴射手段のアーム
は、曲りが形成される曲り部を有すると、仕切壁の外側
でアームを回動することによりノズルの移動範囲が広が
り伝熱管に付着する付着物の除去範囲が広がる。アーム
を上下移動、左右移動および回動させることができるア
ーム調整手段を仕切壁の覗き窓外側に設ける流体噴射手
段は、上記アームの曲り部を設けることと相俟ってノズ
ルの移動範囲がさらに広がり伝熱管に付着する付着物の
除去範囲が一層広がる。
【0020】さらに、前記流体噴射手段は、前記流体を
分岐して流すとともに前記アームの先端に回動可能に設
けられ前記覗き窓外側から挿入する時に前記アームの長
手方向に沿うまで回動可能な分岐管および該分岐管の先
端に複数設けられる前記ノズルを含んでなることであ
る。アームの先端に回動可能に設けられる分岐管をアー
ムの長手方向に沿うまで回動させることにより、分岐管
を覗き窓外側から仕切壁の内側に挿入し、仕切壁の内側
で再びその分岐管を回動させ広げることが可能になる。
分岐管の先端に設けられる複数のノズルにより流体を分
岐して流すことにより、広範囲に渡って流体を噴射する
ことが可能になる。この際、流体噴射手段の分岐管は、
この分岐管に取り付けられる線材によって仕切壁の外側
から回動操作されることができるので、複数のノズルの
噴射方向、位置を変えられる。
【0021】前記流体噴射手段は、照明手段および映し
出し手段を前記アームに取り付けることにより、伝熱管
の付着物を照らし出し、ノズルの位置決め、流体の噴射
状況、付着物の除去状況などを映し出すことができる。
そして、流体噴射手段のアームが軽金属、合成樹脂、無
機材料またはこれらを複合した複合材のいずれか一つで
形成されることにより、細長のアームは軽量で剛性を備
えることができ、仕切壁の外側から覗き窓を介して挿入
し易く、先端のノズルを付着物に接近させることが容易
となり、しかも流体の噴射による反力に耐えることがで
きる。
【0022】また、本発明の伝熱管の付着物除去装置に
おいて、流体噴射手段は、流体を付着物に噴射するノズ
ルが先端に取り付けられ、仕切壁に設けられる覗き窓か
ら挿入され付着物に接近する剛性を有する細長のアーム
とを含むが、さらに柔軟性を有する材料で形成され前記
流体が内側を流通して前記ノズルに供給されるととも
に、前記アームを前記覗き窓から挿入する時に該アーム
に支持されて前記覗き窓から挿入され、前記アームを前
記覗き窓から後退する時に該アームに支持されて後退し
前記覗き窓の外側で前記アームから分離する流体供給管
を含んでなることである。
【0023】流体噴射手段の流体供給管は、柔軟性を有
する材料で形成されているので、アームを覗き窓から挿
入する時にアームに沿ってアームに支持させながら供給
することができる。流体が流体供給管の内側を流通して
ノズルに供給されるので、ノズルから流体が噴射され付
着物を除去する。アームを覗き窓から後退する時には、
流体供給管は、アームとともにアームに支持されて覗き
窓を通って後退され、覗き窓の外側でアームから分離さ
れる。
【0024】さらに、上記流体噴射手段のアームは、該
アームのノズル側を前記流体の噴射方向に傾けて前記流
体の噴射の反力によるたわみを相殺しても良い。アーム
のノズル側が流体の噴射方向に傾けられることにより、
流体を噴射することによる反力で、アームが後方に反っ
てもそのたわみが相殺される。この際、アームは、該ア
ームのノズル側を前記流体の噴射方向に線材を用いて引
っ張ることにより前記流体の噴射の反力によるたわみを
相殺しても良い。線材を用いて引っ張ることにより、単
純な機構で経済的にたわみを相殺できる。そして、流体
噴射手段のノズルは、該ノズルの流体噴射孔軸方向が前
記伝熱管の付着物方向に向くように形成されると良い。
ノズルの流体噴射孔軸方向が伝熱管の付着物方向に向い
ているので、流体の噴射が付着物に直接的に衝突し、そ
のエネルギーを効率良く利用でき付着物を効率良く除去
できる。
【0025】また、本発明の伝熱管の付着物除去装置に
おいて、流体噴射手段は、流体を付着物に噴射するノズ
ルが先端に取り付けられ、仕切壁に設けられる覗き窓か
ら挿入され付着物に接近する剛性を有する細長のアーム
とを含むが、さらに、前記流体噴射手段は、高い噴射圧
で前記流体を噴射することによって前記付着物に損傷を
与える第1の流体噴射手段と、該第1の流体噴射手段の
高い噴射圧より低い噴射圧で前記流体を噴射することに
よって前記第1の流体噴射手段によって損傷を与えられ
る付着物を除去する第2の流体噴射手段とを含んでなる
ことである。
【0026】伝熱管に付着する付着物は、第1の流体噴
射手段の高い噴射圧による流体の噴射によって強制的に
ひび割れなどの損傷を与えられる。次に、伝熱管に付着
する付着物は、第1の流体噴射手段によって損傷を与え
られ、伝熱管の表面から比較的離れ易くなるので、第2
の流体噴射手段の低い噴射圧による流体の噴射によって
容易に、迅速に除去される。
【0027】この際、前記第1の流体噴射手段の高い噴
射圧は、250ないし1500kgf/cm2で、前記
第2の流体噴射手段の低い噴射圧は、80ないし250
kgf/cm2であると良い。第1の流体噴射手段の高
い噴射圧が250kgf/cm2未満であると噴射圧が
低く過ぎて付着物に損傷を十分に与えられない。。第1
の流体噴射手段の高い噴射圧が1500kgf/cm2
を超えると、噴射圧が高過ぎて付着物への損傷に加え、
噴射流体が直接伝熱管に衝突し、壊食(またはエロージ
ョン)を発生させる恐れがある。第2の流体噴射手段の
低い噴射圧が80kgf/cm2未満であると付着物を
除去するエネルギーが不十分であり、除去に時間もかか
る。第2の流体噴射手段の低い噴射圧が250kgf/
cm2を超えると付着物を除去できるが、付着物を除去
しない余分の流体を供給することになり、供給エネルギ
ーに対して有効に使われる分が少なくなり、除去効率が
低下する。
【0028】そして、前記第1の流体噴射手段のノズル
噴射孔の開口断面積当りの流体量は、14.1ないし5
4.6リットル/(min・mm2)で噴射され、前記
第2の流体噴射手段のノズル噴射孔の開口断面積当りの
流体量は、1.4ないし10.1リットル/(min・
mm2)で噴射されると良い。第1の流体噴射手段のノ
ズル噴射孔の開口断面積当りの流体量が14.1リット
ル/(min・mm2)未満であると流体量が少なく付
着物への損傷が小さく、損傷を与えるのに時間がかか
る。第1の流体噴射手段のノズル噴射孔の開口断面積当
りの流体量が54.6リットル/(min・mm2)を
超えると付着物への損傷が大きいが、付着物を損傷させ
ない余分の流体を供給することになり損傷効率が低下す
る。第2の流体噴射手段のノズル噴射孔の開口断面積当
りの流体量が1.4リットル/(min・mm2)未満
では流体量が少なく付着物の除去に時間がかかり、かつ
付着物除去が不十分である。第2の流体噴射手段のノズ
ル噴射孔の開口断面積当りの流体量が10.1リットル
/(min・mm2)を超えると付着物の除去は大きい
が、付着物を除去させない余分の流体を供給することに
なり除去効率が低下する。
【0029】また、本発明は、仕切壁の内側に配置され
る伝熱管の外側に付着する付着物に流体を噴射すること
によって前記付着物を除去する伝熱管の付着物除去方法
において、高い噴射圧で前記流体を噴射することによっ
て前記付着物に損傷を与えた後、前記高い噴射圧より低
い噴射圧で前記流体を噴射することによって前記損傷を
与えた付着物を除去し、2段階に処理することである。
第1段階で高い噴射圧で流体を噴射することによって伝
熱管に付着する付着物に確実に損傷を与え、付着物を伝
熱管の表面から離れ易くする。次に、第2段階で前記高
い噴射圧より低い噴射圧で流体を噴射することによって
容易に効率的に付着物を除去することができる。
【0030】また、ボイラの火炉内の状況を観察する覗
き窓を有する水壁の内側に設けられるボイラ伝熱管の付
着物除去装置において、上記いずれかに記載の伝熱管の
付着物除去装置を備え、前記覗き窓を介して前記ボイラ
伝熱管に付着する付着物を除去してなることである。先
のいずれかに記載の伝熱管の付着物除去装置を備えるボ
イラ伝熱管の付着物除去装置は、石炭焚ボイラや重質油
焚ボイラの火炉内伝熱管に付着する付着物であるハード
クリンカを除去することができ、ボイラの熱効率を向上
させる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る伝熱管の付着
物除去装置および付着物除去方法の実施の形態を図面に
基いて説明する。先ず、本発明に係る伝熱管の付着物除
去装置の第1〜第4実施形態について説明する。
【0032】第1〜第4実施形態の伝熱管の付着物除去
装置は、ボイラ火炉内の吊り下げ伝熱管の付着物である
クリンカを除去するもので、ウォータジェット(または
高速水噴流)を噴射する流体噴射手段として、次のよう
な手段を組み合せ、伝熱管に付着するクリンカを除去す
る。およそ500〜800mmの短い管体を接続しなが
ら、全長8〜10mの長尺のアーム(または「ノズルア
ーム」ともいう)を形成する。この長尺のアームの先端
には、高速ウォータージェットを噴射するノズルを設
け、管体の内部に高圧ホースを通してノズルに接続す
る。このアームは、管体の肉厚を増やして太くすると自
重でたわむ。一方、薄肉管体で軽量化を図ろうとする
と、ウォータージェットを噴射する際に生じる反力によ
りたわみ、極端な場合には塑性変形を起こして曲ってし
まう。そのため、軽量化と強度確保の両立を図るため
に、管体の材料にはジェラルミンなどを適宜用いる。
【0033】アームには、曲り部を設ける。この形状の
方が、照明手段であるハロゲンランプや映し出し手段で
ある小型カメラの設置に有利である。また、アームを挿
入する覗き窓より下方に位置するクリンカの除去に対し
ても、曲った形状のアームの方が都合が良い。この長尺
のアームは、覗き窓の外部で支持固定するが、支持固定
用の治具は、アームの上下方向の移動を調整できるよう
にする。これにより、ノズルの高さ方向の位置決めが可
能になる。また、左右方向の調整は、アームにトルクを
加える治具により行う。このようにして、アームは、火
炉外の覗き窓外側から簡便に操作できる。
【0034】本実施形態、特に第1、第4実施形態で対
象とするのは、ウォータージェットの反力によるアーム
のたわみが生じないいわゆる「反力相殺型」の左右分岐
ノズルである。この反力相殺型ノズルは、アームの先端
を左右に分岐し、同じノズルから180°隔てた左右方
向にウォータージェットを噴射するタイプである。本実
施形態では、アームの先端に回転部を設け、分岐部
(管)を回転可能にする。両分岐管の左右先端には、と
もに同じノズルが取り付けられ、両分岐管には懸引手段
としてのワイヤ(線材)を付けて、分岐管をアームに対
して直角に広げたり、アームとほぼ同軸にたためるよう
にする。この懸引手段は、覗き窓を通して、火炉外から
操作する。この懸引手段は機械的手段であり、ワイヤや
細いチェーン、または油圧装置の管路系などである。
【0035】アームには、ハロゲンランプが取り付けら
れる。ハロゲンランプは、ノズルに近い位置に設置す
る。一方、小型のCCDカメラは、ハロゲンランプより
もノズルから離して設置する。これらの撮像システムに
より、火炉外からの処理をモニタリングしながらアーム
を操作する。一般に、一体型の長尺のアームは覗き窓か
らの挿入や抜き出しが大変であるのに対し、本実施形態
のアームは、短い管体を接続してアームを次第に長尺に
しながら火炉内に挿入していくので、ボイラの覗き窓前
の狭いスペースにおいても作業が大変に容易になる。
【0036】アームは、曲り部のある管体を接続してい
るために、斜め上方からのクリンカの照明や、クリンカ
像の写し出しが可能である。伝熱管に付着するクリンカ
の形態や、ノズル近接の状況およびウォータージェット
の衝突によってクリンカが落下した状態が良く分かるよ
うになる。火炉外からの手動操作であるにもかかわら
ず、ノズルを移動させながらの位置決めやウォータージ
ェットを噴射させている際中のノズルの固定が可能にな
る。
【0037】反力相殺型の左右分岐ノズルを折り畳んだ
状態で覗き窓からボイラ火炉内へ挿入することが可能で
あり、ワイヤの懸引操作により火炉内へ入れてから分岐
部を左右へ広げることが容易に、しかも確実にできる。
クリンカ除去処理が終了し、左右分岐型のノズルを引き
抜くときには、火炉外からのワイヤの懸引操作により、
ノズルの分岐部をアームとほぼ同軸になるように折りた
たんで、覗き窓からノズル分岐部をアームと一緒に火炉
外へ抜き出すことが容易にできる。
【0038】以下、図面に基づいて第1〜第4実施形態
を説明する。なお、図1〜9において、同じ構造、作用
部分には同じ符号を付けて示す。
【0039】図2は、本発明に係る伝熱管の付着物除去
装置の第1実施形態を示し、ボイラに適用する全体説明
図である。この図1は、ボイラの火炉11の頂部から吊
り下げられる構造の吊り下げ伝熱管17に付着する付着
物であるクリンカ130の除去に対して適用した状況を
模式的に表している。消火栓80からの水は、一度水槽
81に貯えられて、プランジャポンプ82に供給され
る。このプランジャポンプ82で、所定の圧力まで加圧
された水は、高圧ホース90を通じて火炉11の上方に
おける覗き窓12のあるフロア84へと供給される。
【0040】図1は、伝熱管の付着物除去装置の第1実
施形態を示す説明図で、仕切壁としての水壁14に設け
られる覗き窓12からアーム60を挿入し、アーム60
の先端に反力相殺型のノズル30を左右に設け、両ノズ
ル30からウォータージェット70が噴射される様相
を、横方向視図として模式的に描いたものである。覗き
窓12からは、アーム60が挿入されていて、高圧ホー
ス90は、管体であるアーム60内を通され、アーム6
0の先端に取り付くノズル30に接続されている。この
アーム60は、長尺でしかも曲り部を有している。アー
ム60は、アーム調整手段としてのアーム方向調節用治
具21、22によって位置決めされた状態で、覗き窓1
2の外部で支持固定されている。ノズル30の先端から
は、高速のウォータージェット70が噴射され、クリン
カ130(図2に表示)に衝突する。ウォータージェッ
ト70の威力によってクリンカ130は破壊され、クリ
ンカの破片131となって炉底の灰処理装置83に落下
する(図2に表示)。
【0041】アーム60は、短い管体である接続延長用
パイプ86を、覗き窓12の位置で次々に継ぎ足しなが
ら長くして炉内に差し込んでいく。この接続延長用パイ
プ86の中には、高圧水124を送給する高圧ホース9
0を通してある。高圧ホース90は、アーム60の先端
にある回転部32に接続されている。回転部32は、高
圧水流を左右2つに分岐する起点にもなり、ロータリー
・バルブのような構造になっている。回転部32から、
左右対象に2本同じ構造のノズル分岐管31が延びてい
る。このノズル分岐管31は、高圧ホース90とは独立
であり、内部を高圧水が直接流れるようになっている。
アーム60の曲り部には、ハロゲンランプ100と小型
カメラ101が設けられている。この位置に両者を設置
することで、左右の両ノズル30からのウォータージェ
ットの噴射やクリンカ除去の状態が、TVモニタ画面上
の明るい視界に入ってくる。ハロゲンランプ100を回
転部32に近い位置に、また小型カメラ101を覗き窓
12側の位置にそれぞれ設置する。アーム60は、覗き
窓12の外側において、アーム方向調節用治具21、2
2により、位置決めされて支持される。また、アーム6
0の回転(左右のスイングではなく、管材の円周方向)
方向の調整は、アーム回動調節用治具23により制御す
る。この第1実施形態では、覗き窓12よりも下方に位
置する箇所に付着するクリンカを除去するために、曲り
部である曲りパイプ87を2箇所設け、下方へ2段階に
曲がったアーム60として利用している。アーム60を
構成する管材である接続延長用パイプ86は、軽量化と
高強度をともに満足するジェラルミンなどを用いてい
る。このジェラルミン材は、アーム60の曲り部をつく
るベンド形の管材に用いている。
【0042】図3は、同じく第1実施形態を示し、アー
ム60を覗き窓12から挿入し噴射する状態の平面図で
ある。図3は図2に描いた内容を上方からの視図として
描き直したものである。分岐管31には、ワイヤ106
が取り付けられている。このワイヤ106の他端は、複
数箇所に設けたワイヤリング107を通して、アーム6
0に沿って、覗き窓12から炉外に引き出されている。
このワイヤ106は、分岐管31の向きを、炉外から遠
隔操作により設定するためのものである。
【0043】図4は、同じく第1実施形態を示し、アー
ム60を覗き窓12から挿入している状態の平面図で、
ワイヤ106の調整により、分岐管31を、アーム60
とほぼ同軸になるように畳んで、覗き窓12を通して火
炉内11aへ挿入する状況を模式的に描いている。この
操作は簡単であり、2本のワイヤ106のうち1本を手
前に懸引すると、分岐管31が回転部32を支点にして
回転し、アーム60と同軸になる。符号11bは、火炉
外を示す。
【0044】図5は、同じく第1実施形態を示し、ノズ
ル30の位置決め状態を説明する平面図である。ノズル
分岐管31は、火炉内11aに挿入されたうえで、アー
ム60に対して回転部32で回動され直角になるように
広げられ、ノズル30を除去対象のクリンカ130に対
して位置決めされる。ノズル30とクリンカ130の間
のスタンドオフ距離Xsは、ウォータージェット70の
衝突による威力が最大になるような最適な条件に合せら
れる。
【0045】図6は、上記ノズル30から高圧水70を
噴射する状態の平面図で、反力相殺型のノズルを用い
て、高速のウォータージェット70をクリンカ130に
衝突させている状態を、上方からの視図として模式的に
描いている。火炉内11aに挿入されたアーム60を、
左右の両ノズル30が、除去対象のクリンカ130に対
し、適切な位置になるようにセットする。ノズル30か
ら高速で噴出するウォータージェット70は、クリンカ
130に衝突し、クリンカ130を破壊する。ノズル分
岐管31を介して左右に設けられた両ノズル30から
は、同一運動量でウォータージェット70が噴射される
ため、反力はキャンセルされており、アーム60は左右
方向および上下方向に揺動することは無い。従って、各
ウォータージェット70は、「標的」(または「的」)
とするクリンカ130の部分に、的確に衝突させること
ができる。ウォータージェット70が、クリンカ130
に衝突する様子は、ハロゲンランプ100により明るく
照らし出され、小型カメラ101により撮影され、画像
は、炉外に置いたモニタテレビに写しだされる。
【0046】図7は、第2実施形態を示し、ノズル30
からウォータージェット70を噴射する状態の斜視図で
ある。第2実施形態は、直進噴射型で、ウォータージェ
ット70を、吊り下げ伝熱管17に付着するクリンカ1
30に当てている状況を、炉内からの斜視図として模式
的に描いている。スパイラル水壁15に設けられた覗き
窓12から、2か所の曲りパイプ87を有するアーム6
0が挿入され、アーム60の先端に設けられたノズル3
0は、クリンカ130に対し適切な位置まで近接され
る。その状態で、高速のウォータージェット70が、ク
リンカ130に衝突している。このクリンカ130は、
吊り下げ伝熱管17の下方のベンド部に付着している
が、このクリンカ130を全て除去するためには、アー
ム60を炉外から操作することにより、ノズル30を前
方へ徐々にトラバースさせたり、或いは伝熱管の垂直管
部に付着するクリンカを除去するために、ノズル30を
上下方向にトラバースさせる。ノズル30から高速のウ
ォータージェット70が噴出し、クリンカ130に衝突
している状態は、ハロゲンランプ100により明るく照
らし出され、小型カメラ101により除去の状況が監視
される。先にも述べたが、ハロゲンランプ100と小型
カメラ101は、いずれもアーム60の曲り部におい
て、やや下方に向けて設置されているので、クリンカ除
去の始終を正確にとらえることが可能である。鮮明な画
像によるモニタリングによって、クリンカ130の除去
の施工(処理)能率も信頼性も、大幅に向上する。
【0047】第2実施形態は、ボイラ火炉の伝熱管のみ
ならず、バーナ焚口(スロート)に付着して生成する、
いわゆるアイブロウ・クリンカの除去に対しても適用す
ることができる。アイブロウ・クリンカも落下の恐れが
あり、定期点検時における炉内作業の安全確保上、除去
しておかなければならない。特に、図1及び図3に示し
た「直進噴射型」の装置は、ほぼ直接アイブロウ・クリ
ンカの除去へ適用することができる。バーナフロアにあ
る缶横側の覗き窓から、直進噴射型の装置を挿入する。
反力相殺型装置の場合は、アームのたわみが少なくノズ
ルの位置決めが容易であるが、一方のジェットはクリン
カ除去に有効に使われるが、もう一方のジェットは「ダ
ミー」となり使用水量の半分が無駄になる。
【0048】図8は、第3実施形態を示し、ノズル30
からウォータージェット70を噴射する状態の説明図
で、覗き窓12に対し下方に位置する吊り下げ伝熱管1
7のベンド部に付着するクリンカ130を処理する。第
3実施形態は、長尺で下向きのアーム60を、緩やかに
曲った管体41を接続して形成する。このアーム60
は、図7に示すアームの応用例であり、基本的にはウォ
ータージェット70がアーム60と同軸方向に噴出す
る、いわゆる「直進噴射型」である。
【0049】図9は、第4実施形態を示し、ノズル30
からウォータージェット70を噴射する状態の斜視図
で、覗き窓12の正面にある吊り下げ伝熱管17の裏側
(この図では上方からみて左側)に付着するクリンカ1
30に対し、反力相殺型のノズルを用いて、ウォーター
ジェット70を衝突させる状態を模式的に描いている。
この場合、一方のウォータージェット70は「ダミー」
であり、クリンカには衝突させず、反力相殺用にのみ利
用している。また、この実施形態では、懸引用のワイヤ
106の調節により、ノズル分岐管31をアーム60に
対し直角では無く、斜めに傾けた状態とし、ノズル30
からのウォータージェット70を、クリンカ130に対
して直角に衝突させるようにしたものである。このよう
にすることで、ノズルの位置決めを行いにくい部位のク
リンカも、効率良く除去することができる。
【0050】以上の第1〜第4実施形態の伝熱管の付着
物除去装置は、以下のような特徴を有する。すなわち、 (1) ボイラの小さな覗き窓から容易に挿入し、ウォータ
ージェット用ノズルを処理対象の伝熱管に容易に接近さ
せることができる。
【0051】(2) ウォータージェットの噴射による反力
をキャンセルできるので、標的のクリンカに対し正確に
ノズルを近づけることができる。
【0052】(3) ウォータージェットを噴射してクリン
カの除去処理をしている際中でも、ウォータージェット
によるクリンカ破壊の挙動をモニタすることが可能であ
り、処理の信頼性が高まる。
【0053】(4) ウォータージェットがクリンカから外
れて伝熱管に直接衝突することを、確実に避けることが
できる。これによって、伝熱管の健全性が確保される。
【0054】(5) 短時間で効率良くクリンカを除去する
ことができる。
【0055】(6) 使用水量を減らすことができる。
【0056】(7) 炉内の高所作業が無くなるので危険も
解消する(8) かなり高強度のクリンカでも破壊し除去す
ることができる。
【0057】(9) 点検補修作業の期間を短縮することが
できる。これによって、ボイラの予防保全施工を効率良
くできる。
【0058】(10) クリンカが除去できるため、当然落
下の問題も無くなり、炉内点検作業の安全を十分に確保
できる。
【0059】次に、本発明に係る伝熱管の付着物除去装
置の第5、第6実施形態について説明する。
【0060】第5、第6実施形態の伝熱管の付着物除去
装置は、覗き窓にアームを挿入するにあたり、覗き窓入
口において、アームに高圧ホースを並行一体化するか、
または管体であるアーム内に高圧ホースを挿入する。一
方、覗き窓からアームを後退(または引き抜く)にあた
っては、覗き窓入口において、アームと高圧ホースを分
離する。このようにすれば、覗き窓から火炉外に出した
時点で、長尺のアームと高圧ホースはアームのノズル側
先端で接続しているのみで別体として取り扱える。
【0061】高圧水をノズルから噴射する時、アームは
反力によってたわむ(弾性変形する)が、このたわみを
あらかじめ考慮してアームのノズル先端側を折り曲げた
状態にする。このようにすると、アームをセットしたと
きにノズルが除去対象であるクリンカに過度に接近する
が、ウォータージェット噴射時にアームがたわんでノズ
ルとクリンカ間のスタンドオフ距離Xsが適正な範囲内
に入る。或いは、アームの先端側を火炉外、すなわち覗
き窓入口においてチルチング操作をするようにする。こ
のチルチング操作は、ノズルとクリンカ間のスタンドオ
フ距離Xsが適正範囲となるようにする。チルチング操
作は、ワイヤまたは圧縮空気や油圧を用いる小型のアク
チュエータにより行う。
【0062】第5、第6実施形態においては、高圧水を
ノズルから噴射する際に、反力によるアームのたわみを
キャンセルする構造としているので、標的であるクリン
カに対し、水噴射を正確に衝突させることができる。さ
らに、クリンカとノズル間のスタンドオフ距離Xsを適
正な条件に設定することができる。したがって、ねらい
をつけたクリンカを確実に短時間に破壊し除去させ落下
させることができる。
【0063】さらに、アームと高圧ホースを、覗き窓入
口において一体化(挿入時)または分離(引き抜き時)
するので、一つの覗き窓から別の覗き窓へと移動する時
に、長い高圧ホースの重量がアームからさし引かれるこ
とになり、アームを缶(ボイラ本体)幅方向の覗き窓間
を容易に移動させることが可能になる。
【0064】以下、図面に基いて第5、第6実施形態の
伝熱管の付着物除去装置について詳しく説明する。な
お、図10〜図18において、同じ構造、作用部分には
同じ符号を付けて示す。
【0065】図10は、第5実施形態を示し、ボイラに
適用する全体説明図で、ボイラ火炉11の吊り下げ伝熱
管17に付着成長したクリンカ130に対する処理の状
態を模式的に描いたものである。先端にノズル30を取
り付けた長尺のアーム61を覗き窓12から差し込み、
ノズル30を吊り下げ伝熱管17のベンド部に付着した
クリンカ130に接近させ、ノズル30からウォーター
ジェット70を噴射してクリンカ130に衝突さる。高
圧水124は、高圧ホース90を通じて送給され、高圧
ホース90は管体であるアーム61の中へ通すようにな
っているが、高圧ホース90はホースガイド用ローラ2
4に導かれて、覗き窓12のところで管体であるアーム
61の中へ入り込む。この長尺のアーム61の出し入れ
は、4個のアームガイド用ローラ25により行う。また
アーム61がボイラ火炉11の内部へ落下しないよう
に、アーム61のノズル30とは反対側の後端部にスト
ッパ26を設ける。このストッパ26が、アームガイド
用ローラ25に係止されるために、アーム61は、これ
より先へは進まない。なお、アーム61を移動させるた
めの装置一式は、フロア84の上に載せている。
【0066】図11は、同じく第5実施形態を示し、ア
ーム61を火炉11の覗き窓12から挿入している状態
の説明図で、クリンカ130をターゲット(除去対象)
としてアーム61をアームガイド用ローラ24の回転と
ともに覗き窓12から差し込んでいる状態である。覗き
窓12の入口において、ホースガイド用ローラ24は回
転しており、高圧ホース90がアーム61の内部に挿入
されていく途中である。
【0067】図12は、上記第5実施形態において、ア
ーム61を後退させた状態の説明図で、アーム61を後
退させた状態を表している。この状態では、覗き窓12
の入口において、高圧ホース90とアーム61は分離し
ている。但し、高圧ホース90はノズル30と接続して
いる。
【0068】図13は、同じく第5実施形態を示し、ア
ーム61およびノズル30をクリンカ130に対し設置
した状態の説明図で、アーム61は、このアーム61の
先端が除去対象であるクリンカ130の方向に折れ曲が
った曲折部88を有する。ノズル30はクリンカ130
に接触する状態まで近づけられる。この条件において、
高速水噴流を噴射して処理する状態は図17で後述す
る。符号89は曲折アーム部である。
【0069】図14は、第6実施形態を示し、アーム6
1およびノズル30を覗き窓から挿入した状態の説明図
で、回転ジョイント63を介して先端側に曲折アーム部
89を有するアーム61を、処理対象であるクリンカ1
30に対してセットした状態である。この場合、ワイヤ
110を外部から引っ張ることにより、曲折アーム部8
9を、クリンカ130の方向へ傾けることができる。こ
のアーム61を用いる処理状態は、図18で後述する。
【0070】図15は、ノズル30の構造を示す断面図
で、ノズル30の構造を断面図として描いたものであ
る。高圧水124は、高圧水供給流路48を通じて導か
れ、高圧水径収縮部(または高圧水しぼり部)52で減
圧・加速され、噴出孔57より噴出する。このノズル3
0のように、高圧水しぼり部52のしぼりが緩やか(し
ぼり角度θを小さくする)であれば、圧力損失が少なく
なる。従って、比較的低い噴射圧力であっても、より多
くの水を噴射できることになる。また、噴出孔57内で
生じる縮流が強くないため、水噴流の貫通力が強く、ク
リンカの破壊・除去に適しているといえる図16は、別
のノズル30の構造を示す断面図でる。図15に示した
ノズルは、共通の中心軸49があり、高圧水供給流路4
8、高圧水しぼり部52および噴出孔57が同軸となっ
ているタイプである。これに対し、図16に構造を示す
ノズル30は、高圧水供給流路48に対して、高圧水し
ぼり部52、噴出孔57を折り曲げるように角度をつけ
たものである。中心軸49と中心軸50は、傾斜角度を
つけている。このノズル30を用いる目的は、図8のよ
うに、アームの先端部を折り曲げる場合に、ウォーター
ジェット70を、クリンカ130に対してできるだけ直
角に衝突させるためである。但し、このノズルでは、高
圧水しぼり部52が中心軸49に対して非対象であるた
め、噴出孔57から吹き出す水噴流がやや非対称にな
る、という特性がある。
【0071】図17は、先の第5実施形態を示し、ノズ
ル30から高圧水124を噴射している状態の説明図
で、高圧水噴射の反力によるアーム61のたわみをキャ
ンセルするため、先端にあらかじめ曲折部88を設けた
アーム61を用いる実施形態(図13)である。破線6
8で示したのは、高圧水124を噴射する前のアーム6
1をセットした状態である。曲折部88を設けているた
め、ノズル30がクリンカ130に接触する程度の位置
決めとなる。これがもし、図34のような直線状のアー
ムであれば、反力によるたわみを配慮してノズルの位置
決めを行うと、ノズル30がクリンカ130にくい込む
ようになり、実現不可能となる。実線69は、ウォータ
ージェット70を噴射し、クリンカ130に衝突させた
状態を模式的に描いたものである。ノズル30とクリン
カ130の間のスタンドオフ距離Xsは適正に保たれる
ので、クリンカ130を容易に破壊することができる。
【0072】図18は、第6実施形態を示し、ノズル3
0から高圧水124を噴射している状態の説明図で、こ
れも同様に高圧水噴射によるたわみをキャンセルしよう
とするものであるが、回転ジョイント63とワイヤ11
0の懸引により先端側の曲折アーム部89を強制的に曲
げるアーム61を用いた場合の処理状態である。高速水
噴流を噴射する前に、ワイヤ110の引っ張りによっ
て、曲折アーム部89をクリンカ130の方へ曲げる。
この装置によれば、ノズル30とクリンカ130の間の
スタンドオフ距離Xsが適正に保たれるので、クリンカ
130も確実に除去できる。
【0073】図19は、無次元化した施工時間(または
処理時間)について、本発明と先行技術とを比較する線
図で、施工に要する時間t1に対して、従来技術と本発
明を比較したものである。施工時間t1は、先行技術に
おいて要する施工時間t1*により割ることで無次元化し
て表した。本発明によれば、従来技術(図33、図3
4)の半分以下の短い時間(45%)で、同一量のクリ
ンカを除去できることが分かる。この施工時間には、ボ
イラ火炉幅方向の覗き窓間を、長尺のアームを移動させ
るのに要する時間も含めてある。従って、本発明を実施
することによる時間短縮の効果は、耐圧(高圧)ホース
の移動取り扱いに必要な時間を短縮したことを、ノズル
−クリンカ間のスタンドオフ距離を最適にして除去作業
時間を短くしたことによって生みだされたものである。
【0074】第5、第6実施形態の伝熱管の付着物除去
装置は、次のような特徴を有する。すなわち、 (1) ウォータージェット噴射時に生じる反力をキャンセ
ルするので、正確に標的であるクリンカにウォータージ
ェットを衝突させることができる。
【0075】(2) ノズルとクリンカ間のスタンドオフ距
離Xsを適正に設定できるので、クリンカも、短時間で
容易に除去することができる。
【0076】(3) 覗き窓の入口でアームと高圧ホースを
並行に一体化またはアームと高圧ホースを分離するの
で、アームを容易に別の覗き窓へ移動することができ
る。
【0077】(4) 除去しきれずに残るクリンカが無くな
るので、クリンカ落下の恐れがなく、火炉内の点検作業
が安全に実施できる。
【0078】(5) 定期点検工程を短縮し、クリンカ除去
作業に直接従事する作業者を減らすことができ、処理作
業が経済的になる。
【0079】(6) 作業環境が向上する。
【0080】次に、本発明に係る伝熱管の付着物除去装
置の第7〜第9実施形態について説明する。
【0081】第7〜第9実施形態は、次のような手段を
採用する。すなわち、先ず、小口径のノズルから噴射す
る高圧少流量ジェットにより、クリンカの表層に破壊の
きっかけとなるような損傷、すなわち、き裂、えぐれ、
掘孔をできるだけ多く与える。この場合、ノズルを同一
箇所に固定すると局部的にクリンカの破壊が進み、ウォ
ータージェットが伝熱管に直接衝突し、伝熱管がエロー
ジョン(壊食)を起こす恐れがある。このため、ノズル
を小刻みに往復運動(ウィーヴィング)させたり回動さ
せるようにする。
【0082】次に、低圧大流量ジェットを噴射する大口
径のノズルに切り換えて、低圧大流量ジェットにより先
に刻みつけた損傷部を起点としてクリンカをこじ開ける
ようにして破壊し伝熱管から離脱させる。先の高圧少流
量ジェットのみでは大きな塊状の強固なクリンカを破壊
することが難しい。一方、低圧大流量ジェットのみで
も、強固なクリンカを破壊することが難しい。本実施形
態は、両ジェットのそれぞれの特徴を生かし、その弱点
を補い合うようにして順序立てて組み合わせ、強固で大
きな塊状のクリンカを伝熱管から除去可能にしようとす
るものである。
【0083】同一のプランジャポンプから、一本の高圧
ホースにより先ず途中まで水を送給し、処理対象に近づ
いた時点で切り替えバルブで分岐するようにして、それ
ぞれのノズルへと高圧水ないし低圧水を供給する。
【0084】一方、途中の切り替えバルブで送給経路を
独立分岐させて、二つの噴射孔を有する(同一のノズル
でありながら二つの噴射孔がある。二重管構造でも良
い)ノズルへと独立させたまま接続するものでも良い。
先ず、高圧少流量ジェットを高速で衝突させて、クリン
カの表層をフライス加工するようにえぐりとる。このよ
うにすることで、クリンカの表面に傷やくぼみまたは凹
凸など、破壊のきっかけとなる箇所を多く発生させる。
次に、低圧大流量ジェットを衝突させると、クリンカの
傷口やき裂をこじあけるようにして、クリンカを破壊す
る。この低圧大流量ジェットは運動量が大きいため、伝
熱管からクリンカを剥ぎとるようにして伝熱管群を揺動
させて、その衝撃によりクリンカを落下させる。
【0085】以上のように、個々のウォータージェット
のみでは困難で強固なクリンカ除去も、組み合わせるこ
とにより、効率よく達成できる。なお、順序を逆にする
場合、はじめに低圧大流量ジェットを衝突させ、続いて
高圧少流量ジェットを衝突させる方法では、クリンカ除
去に対しての効果は乏しい。
【0086】以下、図面に基いて第7〜第9実施形態の
伝熱管の付着物除去装置について詳しく説明する。な
お、図20〜28において、同じ構造、作用部分には同
じ符号を付けて示す。
【0087】図20は、第7実施形態を示し、ボイラに
適用する全体説明図で、ウォータージェットの切り換え
によりボイラ本体10頂部側の吊り下げ伝熱管群(「プ
ラトン・スーパピータ」(過熱器)と呼ばれることもあ
る)に付着するクリンカ除去に適用する場合の模式図で
ある。クリンカ130は、火炉11の項部から吊り下げ
られている伝熱管17の垂直部やベント部18に付着し
ている。クリンカ130の除去作業に使用する高圧水1
24は、水槽81に貯えれていて、プランジャポンプ8
2で昇圧され、高圧ホース90を通じて処理に使用する
覗き窓12が開口しているフロア84まで高圧水124
を送給する。
【0088】フロア84には、切り替えバルブ97があ
り、高圧少流量の高圧水または低圧大流量の低圧水を選
択して、それぞれ高圧水供給ホース91または低圧水供
給ホース92を通じて、アーム62の先端に取り付けた
ノズルマウント65から噴射され、ウォータージェット
としてクリンカ130に衝突する。覗き窓12からは、
長尺のアーム62が挿入されるが、このアーム62は管
体であり、この中を高圧水を供給する高圧水供給ホース
91と低圧水を供給する低圧水供給ホース92が通って
いる。そして、両ホース91および92は、アーム62
の先端に取り付けられるノズルマウント65に接続され
ている。ウォータージェットによって破壊されたクリン
カ130の破片は炉底へ落下し、廃水と一緒に灰処理設
備83に送られる。
【0089】図21は、同じく第7実施形態を示し、低
圧大流量ノズル34を使用する説明図である。図示して
いないプランジャポンプ82(図20)により送り出さ
れた高圧水124は、高圧ホース90を通じて先ず切り
替えバルブ97に供給される。切り替えバルブ97は、
高圧水供給ホース91と低圧水供給ホース92に接続さ
れ、高圧水124を高圧水供給ホース91に切り替え供
給するか高圧水124を減圧して低圧水127として低
圧水供給ホース92に切り替え供給する。この両ホース
91、92は、管体で長尺であるアーム62の中を並行
して通り、ノズルマウント65に接続されている。この
ノズルマウント65は、高圧少流量ノズル33と低圧大
流量ノズル34が取り付けられ、一本のアーム62に両
ジェットを別々に噴射するノズル33、34を設ける場
合を示しており、低圧大流量ノズル34から低圧大流量
ジェット74を噴射する状態が示されている。
【0090】第7実施形態のように、2個のノズル3
3、34を並行に設けることは、ノズルマウント65が
大きくなるので、火炉11の壁に設ける開口径が小さな
覗き窓12から抜き差しすることを考えると後述するよ
うな二重管タイプが装置全体をコンパクトにできるので
覗き窓12からの抜き差しにおいて操作し易い。
【0091】図22は、第8実施形態を示し、高圧少流
量ノズル35を使用する説明図で、高圧水124は、高
圧ホース90を通じて先ず切り替えバルブ97に供給さ
れる。切り替えバルブ97は、高圧水供給ホース91と
低圧水供給ホース92に接続され、高圧水124は高圧
少流量の高圧水供給ホース91に分岐して供給されたあ
と、高圧少流量ノズル35用と低圧大流量ノズル36用
に別々に設けられるアーム62aのうち、高圧少流量ノ
ズル35用のアーム62aに供給される。そして、アー
ム62aは、覗き窓12から火炉内11aに挿入され、
高圧水はアーム62aの先端に取り付けられる高圧少流
量ノズル35に供給され、高圧少流量ジェット73を伝
熱管17に付着するクリンカ130に衝突させて表層の
えぐれ135を発生させる。このように高圧少流量ジェ
ット73によるクリンカ130の除去作業を行っている
時には、先端に低圧大流量ノズル36を取り付けたアー
ム62aは、フロア84の上に静置される。
【0092】図23は、同じく第8実施形態を示し、低
圧大流量ノズル36を使用中の説明図である。図22に
おいて説明したように、高圧少流量ジェット73でクリ
ンカ130に損傷を与えた後、先端に低圧大流量ノズル
36が取り付けられたアーム62aを覗き窓12からボ
イラ火炉内11aに挿入し、低圧大流量ノズル36から
噴射する低圧大流量ジェット74を伝熱管17のベンド
部18に付着するクリンカ130に衝突させる。低圧大
流量ジェット74を衝突させると、クリンカ130は破
壊し、クリンカの破片131となって炉底へ落下する。
この場合、使用していない高圧少流量ノズル35が取り
付けられたアーム62aは、フロア84の上に静置され
る。このように高圧少流量ジェット73は、切り替えバ
ルブ97から分岐する高圧水供給ホース91を用い、一
方、低圧大流量ジェット74は、同様に切り替えバルブ
97から分岐する低圧水供給ホース92を用いる。
【0093】上記二つのアーム62aを使い分ける装置
は、同一部位の処理に対しても、一方のアーム62aを
抜き出し、次に他方のアーム62aを挿入しなければな
らないが、先の図21のように一本のアーム62の中に
二つのホース91、92を通す装置に比べて、細い管体
のアーム62aで十分であり、覗き窓12からの出し入
れが容易である。また、覗き窓12の内径とアーム62
aの外径との差が大きいので、アーム62aを上下・左
右へ動かし易くなり、広範囲の除去作業ができる。すな
わち、同一部位のクリンカ130に対し、高圧少流量ジ
ェットによる損傷を与え、次に低圧大流量ジェットによ
るクリンカの剥ぎ取りを行い、交互に切り換えるのでは
なく、一度高圧少流量ジェット73のアーム62aを挿
入したら、多くの箇所のクリンカ130に対してまとめ
て損傷のみを与える処理を集中的に実施する。一通り高
圧少流量ジェット73による損傷を与え終わったなら
ば、高圧少流量ジェット噴射用のアーム62aを抜き出
し、次に低圧大流量ジェット噴射用アーム62aを挿入
し、クリンカ130の剥ぎ取り処理をまとめて実施す
る。ノズルから高圧を加えられて噴出するウォータージ
ェットが、長時間にわたり伝熱管の同じ箇所に衝突し続
けると、伝熱管の表層に壊食(エロージョン)が生じ
る。従って、ノズルの固定をできるだけ避けなければな
らない。そこで、第8実施形態においては、次のような
処理を採用する。
【0094】図24は、同じく第8実施形態を示し、ノ
ズル35をウィーヴィング38させる状態の説明図であ
る。図25は、同じく第8実施形態を示し、ノズル35
を回動往復運動39させる状態の説明図である。図24
に示すように、高圧少流量ノズル35を左右にゆっくり
とスイング状にトラバース(ウィーヴィング)38す
る。高圧ジェット72が当たった箇所では、クリンカ1
30の表層上において、表層のえぐれ135が横方向に
生じる。また、図25に示すように、高圧ジェット72
をアーム軸66からわずかに傾くように、高圧少流量ノ
ズル35から噴射させて、さらに、このノズル35に回
転往復運動39をさせるようにする。このように、ノズ
ル35を回転往復運動させながら少しずつ場所をずらし
ていくと、クリンカ130の表面のかなり広い領域に表
層のえぐれ135が生じるようになる。
【0095】図26は、第9実施形態を示し、二重管式
ノズルの説明図で、同一のノズルで高圧少流量ジェット
と低圧大流量ジェットを切り換えて噴射できるノズルの
構造を示すものである。この二重管式ノズル44は、中
心には口径の小さな高圧水噴射孔(二重管中心開口部)
55が開口しており、ここからは高圧水が噴射される。
外周の環状開口部は低圧水噴射孔(二重管外周開口部)
56であり、ここからは低圧水が大量に噴射される。高
圧水噴射孔(二重管中心開口部)55は、その軸延長部
が高圧水供給管45となっており、高圧水126が供給
される。一方、低圧水127は、二重管式ノズル44の
側壁に開口接続する低圧水供給管46を通じて供給され
る。符号52は、高圧水径収縮部(または高圧水しぼり
部)を表わし、符号53は、低圧水径収縮部(または低
圧水しぼり部)を表わす。
【0096】このような二重管式構造のノズルはコンパ
クトであり、覗き窓12からの挿入または操作がし易い
という特徴がある。なお、第9実施形態において、高圧
少流量ジェットを衝突させているときに、監視用カメラ
から伝熱管の一部が見え始めたら、低圧大流量ジェット
に切り替えるようにする。これは、このまま高圧少流量
ジェットを衝突させ続けると伝熱管がエロージョンを起
こす恐れがあるし、伝熱管が見える状態までクリンカが
剥離したりクリンカに穴があいていれば、低圧大流量ジ
ェットの衝突で容易に大きなクリンカ全体を除去できる
からである。
【0097】また、第7〜第9実施形態の伝熱管の付着
物除去装置は、以下のような特徴がある。
【0098】(1) 高強度のクリンカでも破壊し、伝熱管
から離脱させて除去することができる。
【0099】(2) 伝熱管の付着状態が強力なクリンカで
も除去することができる。
【0100】(3) 伝熱管に大量に付着している大きな塊
状のクリンカでも効率よく除去することができる。
【0101】(4) 処理効率が向上するので、ウォーター
ジェットの使用水量を減らすことができる。
【0102】(5) 処理効率が向上するので、処理時間を
短縮することができる。
【0103】(6) 付着状態の強いクリンカであっても、
除去し残しが無くなるので、後の定期時における火炉内
・火炉底の作業が安全に行われるようになる。
【0104】(7) クリンカを大きな塊状で落下させるの
ではなく、細かく粉砕して小さな破片として落下させる
ので、火炉底の水管の損傷や打痕が生じにくくなる。
【0105】(8) 火炉底の灰処理用クラッシャの過大電
流によるトリップが無くなる。
【0106】(9) 特殊な大容量・高圧ポンプが不要であ
り、汎用機で十分間に合うので、経済的である。
【0107】次に、本発明に係る伝熱管の付着物除去方
法の実施形態を図20を利用して説明する。本実施形態
は、仕切壁(ボイラ火炉の水壁)の内側に配置される吊
り下げ伝熱管17(伝熱管)の外側に付着するクリンカ
130(付着物)に水(流体)を噴射することによって
クリンカ130を除去するボイラ伝熱管の付着物除去方
法において、高い噴射圧である高圧水を噴射することに
よってクリンカ130に損傷を与えた後、高い噴射圧よ
り低い噴射圧である低圧水を噴射することによって前記
損傷を与えたクリンカ130を除去してなることであ
る。
【0108】上記ボイラ伝熱管の付着物除去方法におい
て、高い噴射圧で水を噴射することによって吊り下げ伝
熱管17に付着するクリンカ130に確実に損傷を与
え、クリンカ130を吊り下げ伝熱管17の表面から離
れ易くする。次に、高い噴射圧より低い噴射圧で水を噴
射することによって容易に効率的にクリンカ130を除
去することができる。従って、石炭焚ボイラや重質油焚
ボイラの火炉内伝熱管に付着する付着物であるハードク
リンカを除去することができ、ボイラの熱効率を向上さ
せる。
【0109】次に、図27、28、29、30および3
1によって、先の伝熱管の付着物除去装置と上記付着物
除去方法をさらに詳しく説明する。
【0110】図27は、高圧少流量ノズル35によるク
リンカの損傷の説明図で、高圧ジェット72を伝熱管1
7に付着する大きな塊状のクリンカ130に衝突させた
ときの挙動を模式的に示す。高圧水124をアーム62
aの先端に設けた高圧少流量ノズル35から噴射する高
圧ジェット72は、クリンカ130の表層に多くのクリ
ンカの損傷132を与える。この損傷132の形態は、
割れ目やくぼみ或いは穴状のものであり、高圧ジェット
72はくさびのようになって損傷を拡大するように作用
する。しかしながら、クリンカ130は大きく、クリン
カの損傷132はクリンカ130の内部まではなかなか
貫通していかない。少流量の高圧ジェット72のみで
は、この高圧ジェット72を当てたクリンカ130の表
層に多くの傷がつくものの、クリンカ130が大きな破
片となって伝熱管17から離脱することは困難である。
【0111】図28は、低圧大流量ノズル36によるク
リンカの損傷の説明図である。図27の高圧少流量ノズ
ル35から噴射する高圧ジェット72から、この低圧大
流量ジェット74に切り替えてクリンカ130に衝突さ
せる。低圧水125をアーム62aの先端に設けた低圧
大流量ノズル36から噴射する低圧大流量ジェット74
は、高圧ジェット72によって与えられた損傷132が
多くあるクリンカ130に衝突し、損傷132のくぼみ
をこじあけるように作用し、クリンカ130を破壊す
る。クリンカの破片131は大きいものも多く、クリン
カ131は伝熱管17からかなりの速度で落下する。低
圧大流量ジェット74は運動量が大きいため、伝熱管1
7の管列が振動するようになり、この作用によっても、
クリンカ130の伝熱管17に対する付着状態は緩む。
先に述べたように、はじめからこの低圧大流量ジェット
74をクリンカ130に衝突させても歯が立たないが、
高圧ジェット72によって与えられた損傷が多くあるた
め、低圧大流量ジェット74はかなり有効に作用する。
【0112】高圧ジェット72を大きな塊のクリンカ1
30に衝突させているうちは問題はないが、クリンカ1
30が小さく薄かったり、またはクリンカ130が大き
くてもクリンカの損傷132が深く進むと、高圧ジェッ
ト72が伝熱管17に直接衝突するようになる。この衝
突によって生じる壊食(エロージョン)の進み方は、材
料によっても異なるが、前述したようにノズルの小刻み
なトラバース(ウィーヴィング)や回動によって壊食が
生じないようにしている。
【0113】図29は、無次元化した衝突時間と無次元
化した減肉変位の関係を示す曲線図である。ノズルをウ
ィーヴィングした場合とノズルを固定した場合とを比較
したものであって、壊食による減肉変位△hをジェット
の衝突時間t2に対する変化としてまとめたものであ
る。時間t2は、ノズル固定の場合に限界減肉に達する
時間t2*で割ることにより無次元化する。一方、減肉変
位△hも、エロージョンによる限界減肉変位△h*で割
ることにより無次元化する。ノズルを固定した場合、減
肉変位△hは、はじめ加速的に増大し次第に飽和気味に
なるが、減肉変位△hの増加はかなり短期間のうちに急
速に進む。これに対して、本発明のようにノズルを小刻
みに動かす場合、エロージョンの進行は非常に緩やかで
あり、減肉変位△hの加速的増加はほとんどみられず、
限界変位に達するまではかなり長い時間を要することが
分かる。以上のように本発明の場合は、伝熱管17の健
全性を確実に保つことができる。
【0114】図30は、無次元化したクリンカ除去に要
する時間について、本発明と先行技術とを比較する線図
である。クリンカ除去に要する時間t3を、低圧大流量
ジェットのみ、高圧少流量ジェットのみの各先行技術
と、本発明に対して比較したものである。時間t3は、
先行技術になる低圧大流量ジェットのみでクリンカを除
去できる時間t3*で割ることにより無次元化して表す。
低圧大流量ジェットのみによる処理時間t3/t3* =1
として比較すると、先行技術になる高圧少流量ジェット
のみによる処理では、クリンカの除去に要する時間はt
3/t3* =0.92である。これに対し、本発明になる
方法によれば、t3/t3* =0.13というわずかな時
間でクリンカを除去することが可能である。これによ
り、本発明は、処理時間を大幅に短縮する。この結果
は、ボイラの定期炉内補修作業の短縮にとって好都合で
ある。
【0115】図31は、無次元化した使用水量につい
て、本発明と先行技術とを比較する線図である。クリン
カの除去処理に使用する水量Qwについて本発明と先行
技術とを比較する。Qwを高圧少流量ジェットのみを使
用する場合に必要なQw*で割ることにより無次元化す
る。高圧少流量ジェットのみを用いる場合のQw/Qw
*を1とすると、低圧大流量ジェットのみを用いるクリ
ンカ除去では、Qw/Qw*は略3.55で多量の水量
を要する。これに対して、本発明は、約半分のQw/Q
w* =0.54で処理を終えることができる。従って、
本発明は、処理時間の短縮のみならず、使用水量も大幅
に減らすことができる。水量の削減によって、プラント
の廃水処理系に対する負担も軽減するという付随的効果
も生まれる。 また、先に従来技術のところであげた特
公昭60−11318号公報に開示された装置と比較す
ると、噴射圧力の異なる二つの噴射を利用することでは
共通であるが、本実施形態では、はじめに高圧ジェット
でクリンカにひび割れを強制的につくり、次に低圧大流
量ジェットでクリンカを伝熱管から除去する、という技
術であり、流体噴射の順序および流体による除去作用が
基本的に異なる。また、上記先行技術は、ボイラの運転
中に作動させるものであるのに対し、本実施形態はボイ
ラ停止後において炉内作業に先立って実施するものであ
る。
【0116】次に、第7〜第9実施形態における具体的
な噴射条件をあげると次の通りである。
【0117】(a) 高圧少流量ジェット 噴射圧力 :250〜1500kgf/cm2(25〜1
50MPa)より望ましくは800〜1200kgf/c
2(80〜120MP) 水流量 :14.1〜54.6リットル/(min・
mm2)より望ましくは22.9〜33.0リットル/
(min・mm2)(ただし、水流量はノズル噴射孔の
開口断面積あたりの流量、ノズルの流量係数によって異
なる) (b) 低圧大流量ジェット 噴射圧力 :80〜250kgf/cm2(8〜25MP
a)より望ましくは160〜240kgf/cm2(16
〜24MPa) 水流量 :1.4〜10.1リットル/(min・m
2)より望ましくは2.2〜4.5リットル/(min
・mm2)(ただし、水流量はノズル噴射孔の開口断面
積あたりの流量、ノズルの流量係数によって異なる) 低圧大流量ジェットの場合、大流量であってもノズルの
噴射孔径が大きいため、噴射孔の開口断面積あたりの条
件で比較すると、水流量は高圧ジェットの場合よりも少
なくなる。なお、ノズル口径が異なれば、流量係数(圧
損係数)も変化する。
【0118】本発明は、第1〜第9実施形態として示し
たボイラの吊り下げ過熱器伝熱管群に付着するクリンカ
のみならず、バーナスロートまわりの水冷管に付着する
いわゆる「アイブロウ・クリンカ」の除去に対しても適
用することができる。このアイブロウ・クリンカは、燃
焼時に溶融し付着した灰がスロートまわりで成長し、ま
つ毛(アイブロウ)のように火炉内側へせり出すもので
あり、定期検査・補修における炉底作業時に落下すれば
大変に危険であり、従来抜本的な除去手段は確立されて
いない。バーナの構造や燃焼させる石炭の種類にもよる
が、かなり強固なクリンカが付着する場合も少なくな
い。
【0119】このようなアイブロウ・クリンカに対して
も、先ず高圧少流量ジェットの衝突で損傷を与え、次に
低圧大流量ジェットでクリンカをバーナまわりから剥ぎ
落とすようにすると、かなり処理効率が高まる。短時間
の処理で済むために使用水量も少なく、経済的なメリッ
トも生じる。
【0120】
【発明の効果】本発明の伝熱管の付着物除去装置または
付着物除去方法によれば、伝熱管に付着する付着物を効
率良く容易に除去できる。
【0121】また、上記伝熱管の付着物除去装置を備え
るボイラ伝熱管の付着物除去装置は、ボイラ伝熱管に付
着する付着物を効率良く容易に除去する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伝熱管の付着物除去装置の第1実
施形態を示す説明図である。
【図2】第1実施形態を示し、ボイラに適用する全体説
明図である。
【図3】第1実施形態を示し、アームを覗き窓から挿入
し噴射する状態の平面図である。
【図4】第1実施形態を示し、アームを覗き窓から挿入
している状態の平面図である。
【図5】第1実施形態を示し、ノズルの位置決め状態を
説明する平面図である。
【図6】第1実施形態を示し、ノズルから高圧水を噴射
する状態の平面図である。
【図7】第2実施形態を示し、ノズルから高圧水を噴射
する状態の斜視図である。
【図8】第3実施形態を示し、ノズルから高圧水を噴射
する状態の説明図である。
【図9】第4実施形態を示し、ノズルから高圧水を噴射
する状態の斜視図である。
【図10】本発明に係る伝熱管の付着物除去装置の第5
実施形態を示し、ボイラに適用する全体説明図である。
【図11】第5実施形態を示し、アームを覗き窓から挿
入している状態の説明図である。
【図12】第5実施形態を示し、アームを後退させた状
態の説明図である。
【図13】第5実施形態を示し、アームおよびノズルを
クリンカに対し設置した状態の説明図である。
【図14】第6実施形態を示し、アームおよびノズルを
覗き窓から挿入した状態の説明図である。
【図15】ノズルの構造を示す断面図でる。
【図16】別のノズルの構造を示す断面図でる。
【図17】第5実施形態を示し、ノズルから水を噴射し
ている状態の説明図である。
【図18】第6実施形態を示し、ノズルから水を噴射し
ている状態の説明図である。
【図19】施工時間について、本発明と先行技術とを比
較する線図である。
【図20】本発明に係る伝熱管の付着物除去装置の第7
実施形態を示し、ボイラに適用する全体説明図である。
【図21】第7実施形態を示し、低圧大流量ノズルを使
用する説明図である。
【図22】第8実施形態を示し、高圧少流量ノズルを使
用する説明図である。
【図23】第8実施形態を示し、低圧大流量ノズルを使
用中の説明図である。
【図24】第8実施形態を示し、ノズルをウィーヴィン
グさせる状態の説明図である。
【図25】第8実施形態を示し、ノズルを回動させる状
態の説明図である。
【図26】第9実施形態を示し、二重管式ノズルの説明
図である。
【図27】高圧少流量ノズルによるクリンカの損傷の説
明図である。
【図28】低圧大流量ノズルによるクリンカの損傷の説
明図である。
【図29】無次元化した衝突時間と無次元化した減肉変
位の関係を示す曲線図である。
【図30】無次元化したクリンカ除去に要する時間につ
いて、本発明と先行技術とを比較する線図である。
【図31】無次元化した使用水量について、本発明と先
行技術とを比較する線図である。
【図32】ボイラ火炉内の吊り下げ伝熱管に付着するク
リンカの付着状態の説明図である。
【図33】従来技術に係る伝熱管の付着物除去装置を示
し、アームのたわみ状態の説明図である。
【図34】従来技術に係る伝熱管の付着物除去装置を示
し、動作の説明図である。
【図35】従来技術に係る伝熱管の付着物除去装置にお
ける高圧少流量ノズルの使用によるクリンカ損傷状態を
示し、(A)は表層のえぐれ、(B)は穴あき、(C)
は垂直管部部分離脱、(D)はベント部部分離脱、
(E)は(D)の側面図、である。
【図36】従来技術に係る伝熱管の付着物除去装置を示
し、高圧少流量ノズルを使用中の説明図である。
【図37】従来技術に係る伝熱管の付着物除去装置を示
し、低圧大流量ノズルを使用中の説明図である。
【符号の説明】
11 火炉 12 覗き窓 14 水壁(仕切壁) 15 スパイラル水壁(仕切壁) 17 伝熱管 21 アーム方向調節用治具(アーム調節手段) 22 アーム方向調節用治具(アーム調節手段) 23 アーム回動調節用治具(アーム調節手段) 30 ノズル(流体噴射手段) 31 分岐管(流体噴射手段) 33、35 高圧少流量ノズル(第1の流体噴射手段) 34、36 低圧大流量ノズル(第2の流体噴射手段) 41 緩やかに曲った管体(曲り部) 49 中心軸(流体噴射孔軸) 55 高圧水噴射孔(ノズル水噴射孔) 56 低圧水噴射孔(ノズル水噴射孔) 60、61、62、62a アーム(流体噴射手段) 87 曲りパイプ(曲り部) 90 高圧ホース(流体供給管) 91 高圧水供給ホース(第1の流体噴射手段) 92 低圧水供給ホース(第2の流体噴射手段) 100 ハロゲンランプ(照明手段) 101 小型カメラ(映し出し手段) 106、110 ワイヤ(線材) 130 クリンカ(付着物)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正信 秋田県能代市字大森山1の6 東北電力株 式会社能代火力発電所内 (72)発明者 高橋 良次 秋田県能代市字大森山1の6 東北電力株 式会社能代火力発電所内 (72)発明者 近野 信晃 秋田県能代市字大森山1の6 東北電力株 式会社能代火力発電所内 (72)発明者 佐藤 一教 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 廻 信康 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 山田 紘二郎 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 井門 美也子 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 松本 曜明 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 豊岡 康雄 広島県呉市宝町5番3号 バブ日立エンジ ニアリング株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕切壁の内側に設けられる伝熱管の外側
    に付着する付着物に流体を噴射することによって前記付
    着物を除去する伝熱管の付着物除去装置において、前記
    流体を前記付着物に噴射するノズルおよび該ノズルが先
    端に取り付けられ前記仕切壁に設けられる覗き窓から挿
    入され前記付着物に接近する剛性を有する細長のアーム
    を含む流体噴射手段を備えてなることを特徴とする伝熱
    管の付着物除去装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記流体噴射手段
    は、前記アームの内側に、柔軟性を有する材料で形成さ
    れ前記流体が内側を流通して前記ノズルに供給する流体
    供給管を有してなることを特徴とする伝熱管の付着物除
    去装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記流体噴
    射手段のアームは、曲りが形成される曲り部を有してな
    ることを特徴とする伝熱管の付着物除去装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおい
    て、前記流体噴射手段は、前記仕切壁の覗き窓外側に設
    けられ前記アームを上下、左右移動および回動させるア
    ーム調整手段を含んでなることを特徴とする伝熱管の付
    着物除去装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記流体噴射手段は、前記流体を分岐して流すとともに
    前記アームの先端に回動可能に設けられ前記覗き窓外側
    から挿入する時に前記アームの長手方向に沿うまで回動
    可能な分岐管および該分岐管の先端に複数設けられる前
    記ノズルを含んでなることを特徴とする伝熱管の付着物
    除去装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記流体噴射手段の
    分岐管は、該分岐管に取り付けられる線材によって前記
    仕切壁の外側から回動操作されてなることを特徴とする
    伝熱管の付着物除去装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記流体噴射手段は、前記伝熱管の付着物を照らし出す
    照明手段および前記ノズルの位置決め、前記流体の噴射
    状況、前記付着物の除去状況などを映し出す映し出し手
    段を前記アームに取り付けてなることを特徴とする伝熱
    管の付着物除去装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記流体噴射手段のアームは、軽金属、合成樹脂、無機
    材料またはこれらが複合した複合材のいずれか一つで形
    成されてなることを特徴とする伝熱管の付着物除去装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項1において、前記流体噴射手段
    は、柔軟性を有する材料で形成され前記流体が内側を流
    通して前記ノズルに供給されるとともに、前記アームを
    前記覗き窓から挿入する時に該アームに支持されて前記
    覗き窓から挿入され、前記アームを前記覗き窓から後退
    する時に該アームに支持されて後退し前記覗き窓の外側
    で前記アームから分離する流体供給管を含んでなること
    を特徴とする伝熱管の付着物除去装置。
  10. 【請求項10】 請求項1または9において、前記流体
    噴射手段のアームは、該アームのノズル側を前記流体の
    噴射方向に傾けて前記流体の噴射の反力によるたわみを
    相殺してなることを特徴とする伝熱管の付着物除去装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項1または9において、前記流体
    噴射手段のアームは、該アームのノズル側を前記流体の
    噴射方向に線材を用いて引っ張ることにより前記流体の
    噴射の反力によるたわみを相殺してなることを特徴とす
    る伝熱管の付着物除去装置。
  12. 【請求項12】 請求項1、10、11のいずれかにお
    いて、前記流体噴射手段のノズルは、該ノズルの流体噴
    射孔軸方向が前記伝熱管の付着物方向に向くように形成
    されてなることを特徴とする伝熱管の付着物除去装置。
  13. 【請求項13】 請求項1において、前記流体噴射手段
    は、高い噴射圧で前記流体を噴射することによって前記
    付着物に損傷を与える第1の流体噴射手段と、該第1の
    流体噴射手段の高い噴射圧より低い噴射圧で前記流体を
    噴射することによって前記第1の流体噴射手段によって
    損傷を与えられる付着物を除去する第2の流体噴射手段
    とを含んでなることを特徴とする伝熱管の付着物除去装
    置。
  14. 【請求項14】 請求項13において、前記第1の流体
    噴射手段の高い噴射圧は、250ないし1500kgf
    /cm2で、前記第2の流体噴射手段の低い噴射圧は、
    80ないし250kgf/cm2であることを特徴とす
    る伝熱管の付着物除去装置。
  15. 【請求項15】 請求項13または14において、前記
    第1の流体噴射手段のノズル噴射孔の開口断面積当りの
    流体量は、14.1ないし54.6リットル/(min
    ・mm2)で噴射され、前記第2の流体噴射手段のノズ
    ル噴射孔の開口断面積当りの流体量は、1.4ないし1
    0.1リットル/(min・mm2)で噴射されてなる
    ことを特徴とする伝熱管の付着物除去装置。
  16. 【請求項16】 仕切壁の内側に配置される伝熱管の外
    側に付着する付着物に流体を噴射することによって前記
    付着物を除去する伝熱管の付着物除去方法において、高
    い噴射圧で前記流体を噴射することによって前記付着物
    に損傷を与えた後、前記高い噴射圧より低い噴射圧で前
    記流体を噴射することによって前記損傷を与えた付着物
    を除去してなることを特徴とする伝熱管の付着物除去方
    法。
  17. 【請求項17】 ボイラの火炉内状況を観察する覗き窓
    を有する水壁の内側に設けられるボイラ伝熱管の付着物
    除去装置において、請求項1ないし15のいずれかに記
    載の伝熱管の付着物除去装置を備え、前記覗き窓を介し
    て前記ボイラ伝熱管に付着する付着物を除去してなるこ
    とを特徴とするボイラ伝熱管の付着物除去装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015055425A (ja) * 2013-09-12 2015-03-23 三菱日立パワーシステムズ株式会社 クリンカ除去装置と該クリンカ除去装置の設置方法
KR101873680B1 (ko) * 2017-03-16 2018-07-02 주식회사 포스코 코크스 오븐의 곡관부 클리닝 장치
JP2018179356A (ja) * 2017-04-07 2018-11-15 中国電力株式会社 クリンカ除去用給水装置
US11413666B1 (en) * 2018-02-13 2022-08-16 AGI Engineering, Inc. Vertical travel robotic tank cleaning system

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