JP2000109435A - 酸化ldl受容体に対する抗体を含んでなる医薬組成物 - Google Patents

酸化ldl受容体に対する抗体を含んでなる医薬組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化LDL受容体の動態異常、血小板及び活
性化血小板の酸化LDL受容体への結合、及び/または
それらの酸化LDL発現細胞内への取込(貪食)に起因
する種々疾患、病変過程において白血球の組織への浸潤
を伴う種々の疾患(例えば、炎症)、種々の炎症、動脈
硬化症、PTCRやPTCA等の術後の血管再狭窄などの種々の
疾患の予防及び治療するための医薬組成物を提供する。 【解決手段】 (1)酸化LDL受容体が、血小板並び
に活性化血小板と結合し、それらを細胞内に取り込む
(貪食)こと、さらに、そのような結合及び取り込み
(貪食)が、酸化LDL受容体に結合する物質、例えば
酸化LDL受容体に結合する抗体により阻害されるこ
と、(2)該物質が、血小板減少を伴う疾患における血
小板減少を有意に阻害すること、(3)該物質が、種々
炎症性疾患における炎症反応の初期の過程である白血球
の組織への浸潤を有意に阻害すること、及び(4)該物
質が、経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後の血管再
狭窄を有意に阻害することを見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化LDL受容体
に結合し、酸化LDL受容体の生体内リガンドの該酸化
LDL受容体への結合を阻害する能力を有する物質、及
び薬学的に許容され得る担体を含んでなり、(1)該酸
化LDL受容体への血小板若しくは活性化血小板の結
合、または該酸化LDL受容体を発現する細胞による血
小板若しくは活性化血小板の取込に起因する疾患を治療
するための医薬組成物、(2)動脈硬化症、心筋虚血再
潅流傷害、経皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)の術
後、または経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後にお
ける炎症反応で起こる白血球組織浸潤を阻害する医薬組
成物、(3)動脈硬化症、心筋虚血再潅流傷害、経皮的
冠動脈血栓溶解術(PTCR)の術後、または経皮的冠
血管形成術(PTCA)の術後における炎症を治療する
ための医薬組成物、及び(4)経皮的冠動脈血栓溶解術
(PTCR)または経皮的冠血管形成術(PTCA)の
術後血管再狭窄を治療するための医薬組成物、に関す
る。
【0002】
【従来の技術】あらゆる組織及び血中に存在する種々形
態のコレステロール(遊離型、長鎖脂肪酸型、及びエス
テル型)は、主に肝臓での生合成に由来する。肝臓で生
合成された遊離型コレステロールは、超低密度リポ蛋白
(VLDL)に取り込まれ、血中でリポ蛋白リパーゼ
(LPL)及び肝性トリグリセリドリパーゼ(HTG
L)の作用により、中間密度リポ蛋白(IDL)を経た
後、低密度リポ蛋白(LDL;Low-Density Lipoprotei
n)へと代謝される。このLDLは、LDL受容体を介
して末梢細胞へと取り込まれることにより、生体の細胞
膜の構成において重要な役割を果たしている。
【0003】しかしながら、このLDLが、血管内皮細
胞などの細胞による作用、種々の化学的・物理的な要
因、あるいは熱などの種々の要因により酸化変性を受け
ると、酸化LDL(Oxidized LDL)と呼ばれる変性LD
Lが血中に生ずることとなる。血流中には十分量の抗酸
化物質があるため、もともと血流中には酸化LDLが生
じにくくはあるが、例え生じた場合であっても、それら
のほとんどは肝臓で代謝される。
【0004】一方、血管内皮下及び血管壁では、血管内
皮細胞やマクロファージなどの細胞依存性化学変性並び
にFe3+などの作用による細胞非依存性化学変性とによ
り酸化LDLが生ずるが、血流中での生成の場合と異な
り、血管内皮下及び血管壁で生じた酸化LDLは、マク
ロファージの細胞内に蓄積されることとなる。酸化LD
Lのマクロファージ細胞内への蓄積は、そのようにして
生成した酸化LDLが、種々の変性LDL(酸化LD
L、アセチルLDL、サクシニルLDL、マロンジアル
デヒドLDL)に対する受容体であるマクロファージの
細胞表面のスカベンジャー受容体を介して細胞内に取り
込まれることによるものである(Nature, Vol.343, p.5
31-535, 1990;Nature, Vol.343, p.570-572, 1990;Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.87, p.9133-9137, 199
0;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.87, p.8810-881
4, 1990;Curr. Opin. Lipodol., Vol.2, p.295-300, 1
991;及びJ. Clin. Invest., Vol.90, p.1450-1457, 19
92)。
【0005】このマクロファージスカベンジャー受容体
は、LDL受容体と異なり、細胞内のコレステロールの
量に依存した受容体のダウンレギュレーションを受けな
い。従って、血管内皮下や血管壁に潜り込んだマクロフ
ァ−ジは、多量の変性LDLを取込むことにより細胞内
に多量のコレステロールを蓄積し、泡沫細胞化すること
となる(「分子動脈硬化学」、第4章「炎症細胞 1.
スカベンジャー受容体」、第249-258頁、1995年、メデ
ィカルレビュー社発行)。
【0006】一方、上述の血管内皮下や血管壁に潜り込
んだマクロファ−ジは、血流中、血管内皮下あるいは血
管壁などの種々部位で生じた酸化LDLの生成シグナル
に応答して、血流中から移入してきたマクロファージに
由来する。即ち、酸化LDLが、血流中のマクロファー
ジや単球に対して走化性を示し、血管内皮細胞上に単球
やマクロファージを集結させる性質、集結した単球やマ
クロファージの血管内皮下への潜り込み並びに血管壁へ
引き込みを誘導する性質、引き込まれた単球のマクロフ
ァージへ分化を誘導する性質を誘導、さらに分化を完了
したマクロファージの遊走を抑制する性質を有すること
によるものである。
【0007】この単球やマクロファージの血管内皮細胞
への集結には、最近、本発明者らにより同定された血管
内皮細胞上に発現している酸化LDL受容体(Oxidized
-LDLReceptor、Ox-LDL ReceptorまたはLOX−1と称
される。Nature, Vol.386, p.73-77, 1997、及び脂質生
化学研究, Vol.39, p.83-84, 1997)が深く関与し てい
ることが明らかにされつつある。これまでの研究から、
血流中の酸化LDLが、酸化LDL受容体を介して血管
内皮細胞に取り込まれると、細胞内での一酸化窒素(N
O)の産生が阻害され、この結果、血管内皮細胞の表面
に細胞接着分子の発現が誘導されることが実験的に証明
されている。このことから、細胞接着分子が発現する結
果、マクロファージや単球が、血管内皮細胞上にトラッ
プされ、トラップされたマクロファージや単球が、血管
内皮下及び血管壁に潜り込むものと考えられている。そ
うして、血管内皮下及び血管壁に潜り込んだマクロファ
ージは、上述したようにマクロファージスカベンジャー
受容体を介した酸化LDLの取込みにより泡沫細胞化す
るものと考えられている。
【0008】この血管壁でのマクロファージの泡沫細胞
化は、動脈硬化症の主な原因であることから、動脈硬化
症の発症の引金は、上述した単球やマクロファージの血
管内皮細胞への集結であると考えられている。この単球
やマクロファージの血管内皮細胞への集結に深く関与す
る酸化LDL受容体は、多くの研究者が長年の間求め続
けた結果、本発明者らが1997年に初めて同定に成功
し、脚光を浴びているものである。酸化LDL受容体に
ついては、上述した性状及び機能以外の詳細な研究は、
目下、精力的に進められているところである。
【0009】老化した細胞及び細胞死(アポトーシスな
ど)に向かっている細胞は、生体にとって有害な細胞で
あり、該細胞の他の細胞による貪食は、正常な健康な細
胞をそのような有害な細胞により与えられる種々の悪影
響から守るために必須のプロセスである(Immunol. Tod
ay, Vol.14, p.131-136, 1993)。該老化した細胞及び
細胞死(アポトーシスなど)に向かっている細胞の表面
にける種々の変化が、貪食細胞による認識のメカニズム
であると提唱されてきている。
【0010】それらの変化の中で、フォスファチジルセ
リン(phosphatidylserine(PS))の細胞膜の内部リーフ
レット(leaflet)から外部リーフレットへのトランス
ロケーション(trans-location)は、細胞死(アポトー
シス)へのプロセスにおける最も初期のシグナルとして
知られている(J. Exp. Med., Vol.182, p.1545-1556,
1995)。従って、細胞の表面に曝されたPSの認識は、
老化した細胞及び細胞死(アポトーシスなど)に向かっ
ている細胞の除去のために最も重要なメカニズムである
と考えることができる。マクロファージでは、老化した
細胞及び細胞死(アポトーシスなど)に向かっている細
胞の結合は、CD36及びクラスAスカベンジャー受容体を
含め様々な受容体を介して行われていることが提唱され
ている(J. Clin. Invest., Vol.90, p.1513-1522, 198
9; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.93, p.12456-1
2460, 1996)。CD36は、網上皮細胞による、アポトーシ
ス性光受容体外部セグメント(Apoptotic photorecepto
r outer segments)の認識、並びにαvβ3インテグリン
及びスロンボスポンジン(thrombospondin)との協力下
での単球由来マクロファージ胸腺細胞及び好中球の認識
に関与している(J.Clin. Invest., Vol.90, p.1513-15
22, 1989; J. Biol. Chem., Vol.271, 20536-20539,
1996)。胸腺マクロファージにおいては、抗クラスAス
カベンジャー受容体抗体による処理、または該クラスA
スカベンジャー受容体の遺伝子を破壊という処理によっ
て、アポトーシスに向かう胸腺細胞の貪食が低減される
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.93, p.12456-1246
0, 1996)。
【0011】マクロファージは、細胞の異常性物質及び
病因となる有機体の貪食に特化しているが、隣接する細
胞の多くも、該アポトーシス進行性細胞の貪食に関与し
ている(Immunol. Today, Vol.14, p.131-136, 199
3)。前記分子による貪食におけるPSの役割は未だ解
明されていないが、PS及び酸化LDLが老化した細胞
及び細胞死(アポトーシスなど)に向かっている細胞の
貪食において競合していると報告されている(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, Vol.92, p.1396-1400, 1995)。
この知見は、酸化LDLに対する血管内皮上の受容体で
ある該LOX-1が、貪食メカニズムに関与するか否かを検
討する興味を与えるものである。最近Oka(オカ)ら
は、LOX-1が、血管内皮細胞における老化赤血球及びア
ポトーシス進行性の細胞の貪食を媒介することを示唆す
る報告を行っている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., V
ol.95, p.9535-9540, 1998)。しかしながら、血小板や
白血球などの他の細胞と酸化LDL受容体LOX-1との相
互作用については全く解明されていない。
【0012】LOX-1は、血管内皮細胞において発現され
る酸化LDLに対する主要な受容体であり、内皮細胞に
対する酸化LDLの効果を媒介すると予測される。LOX-
1の発現は、培養内皮細胞だけでなく、インタクトな大
動脈のアテローム性内膜、及びヒト頚動脈でも見られ
る。LOX-1の発現は、インビトロにおいてある種のサイ
トカインにより誘導され、また高血圧ラットにおいて増
加が見られる。このことは、LOX−1の発現が、動脈硬化
症に関連する刺激により強く制御されていることを示す
ものである(Circulation, Vol.96, p.1-104, 1997; Bi
ochem. Biophys.Res. Commun., Vol.237, p.496-498, 1
997)。しかしながら、LOX-1と動脈硬化症や動脈内膜肥
厚との因果関係については未だ詳細に解明されていな
い。
【0013】心筋組織に血液を送っている冠状動脈が動
脈硬化や血栓などにより閉塞し、心筋組織が壊に陥るこ
とが急性心筋梗塞である。近年、発症早期に経皮的冠動
脈血栓溶解術(PTCR)や経皮的冠血管形成術(PTCA)を
行うことにより、冠血流を回復させ心筋壊死を減少させ
る治療法が広く行われるようになり、生存率や心機能改
善が向上している。しかし、血流途絶時間がある限度を
超えると、血流を再開することによって新たに心筋傷害
を惹起し、救い得る心筋組織量が減少し、重篤な炎症反
応を伴う心筋虚血再潅流傷害が起こる。一方、PTCRやPT
CAは、動脈閉塞部位にカテーテルやバルーンを挿入し、
物理的に狭窄部位を除去して血管を開通させることか
ら、血管の内膜の傷害を伴う。血管の傷害が起こると、
血管平滑筋の増殖や内膜下への遊走が惹起され、PTCRや
PTCAの施術部位が肥厚した再狭窄が起こる。PTCAの場合
には、施術後数ヶ月以内に約40%の患者で血管再狭窄
が起こる。LOX-1と動脈硬化症の発症との関連性につい
ては、その可能性についての示唆はあるものの未だ明ら
かにされていない。また、動脈硬化症における炎症、及
びPTCR若しくはPTCA施術後の虚血性再潅流傷害における
炎症とLOX-1との関連性、並びにPTCR若しくはPTCA施術
後の血管再狭窄とLOX-1の関連性についても未だ明らか
にされていない。
【0014】白血球及び赤血球と並んで血球成分の1つ
である血小板は、止血機序(血液凝固系)において重要
な役割を担い、傷害された血管内皮細胞に接触すると、
種々の血液凝固系因子(血小板因子など)と共同して該
傷害部位で接着、凝集反応を起こし血液凝固(止血)を
起こす。また、血小板は、コラーゲン、ADPまたはトロ
ンビン(Thrombin)などの血液凝固誘導物質と接触する
と凝集塊を形成する。さらに、血小板は、免疫反応、特
に炎症反応に大きく関与している。即ち、化粧版は、傷
害された血管内皮細胞に接触して接着、凝集し、血管透
過性因子や白血球を遊走させる補体成分の活性化に関与
する因子などを放出する。血小板と炎症との関系につい
ては、例えば糸球体腎炎についてよく知られている。糸
球体腎炎などの腎臓における病変の多くは、免疫学的機
序に基づき発症する。血流中の免疫複合体や糸球体に結
合した抗体が、補体や好中球、単球・マクロファージ、
及び血小板などの様々な炎症性細胞を活性化し、これら
の細胞から放出される炎症性メディエーターを介して様
々な病変をもたらすものと考えられている。糸球体腎炎
の発症において、血小板が関与する証拠としては、次の
ような事実が明らかになっている。(1)電子顕微鏡や
免疫組織化学的手法により、血小板膜抗原、血小板因子
−4(platelet factor-4; PF‐4)、β‐トロンボグロ
ブリン(β-thromboglobulin;β-TG)及びPDGF(platel
et-derived growth factor)などの血小板中の顆粒物質
が糸球体病変部に見られる、(2)顆粒物質の血小板中
濃度の低下と、血流中濃度の上昇が見られる、(3)血
小板寿命の短縮が認められる、(4)ADPでの血小板凝
集が亢進している、(5)血流中のICを表す血小板凝集
テストの陽性率がいくつかの腎炎において高値である、
(6)抗血小板薬による蛋白尿の減少や腎臓機能改善が
認められる。
【0015】原発性及び持続性糸球体腎炎において血小
板及び凝固系が関与することは、実験腎炎や臨床所見か
らもあきらかになっている。腎炎で炎症細胞が浸潤し糸
球体の組織障害が起こると糸球体基底膜のコラーゲンが
露出し、内因性凝固系が活性化される。一方、血管壁の
障害で組織トロンボプラスチンが、また浸潤した単球か
ら凝固活性化因子が放出されると外因性凝固系も活性化
される。これに血小板が加わり、フィブリンが沈着し血
栓が形成されると動脈硬化症等の硬化性病変が進行し、
同時に線溶系も活性化されるようになる。血小板は、凝
固系の活性化に起因する血栓形成に関与し、循環障害か
ら糸球体障害をもたらす。
【0016】このように腎炎の発症に深く関与する血小
板の活性化は、血清病腎炎の解析により分析されてい
る。該解析では、感作された好塩基球に抗原が結合する
と血小板活性化因子(platelet-activating factor; PA
F)が放出され、血小板の受容体に反応して放出反応が
起こる。即ち、血小板の活性化には、ICや補体の他、ト
ロンボキサンA2、PAF、血管壁のADPaseを介する機序な
どが関与する。
【0017】上述のような血小板の血液凝固及び種々炎
症における関与の性状に関連して、血中における血小板
数の減少を来す疾患として、例えばDIC(disseminat
ed intravascular coagulation syndrome;汎発性血管
内凝固症候群、播種性血管内凝固症候群、脱繊維素症候
群または消費性凝固傷害ともいう)、血小板性紫斑病及
び突発性血小板減少症などがある。DICは、何らかの
機序で、内因性凝固過程を活性化する物質が血管内に流
入し、全身の細小血管に広範に血栓が形成されて血液凝
固第V因子、血液凝固第VIII因子及び血小板が消費され
て減少する。本症を引き起こしやすい病態としては、細
菌(例えばグラム陰性かん菌など)による敗血症、急性
前骨髄球性白血病、溶血性尿毒症症候群、羊水エンボリ
ー、前置胎盤早期剥離、腺癌の転移、ヘビ毒吠咬傷、肺
手術、及び前立腺手術などが知られている。血小板性紫
斑病は、薬剤により血小板や赤血球などの血液細胞がア
レルギー反応や自己免疫反応を起こし、血小板が破壊さ
れ血小板減少を来す疾患である。また、突発性血小板減
少症は、脾臓のマクロファージにより血小板が急激に除
去されてします病態であり、細菌やウイルスによる感染
症あるいはSLEなどの自己免疫疾患などで頻繁に起こ
る。一方、LOX-1と血小板及び活性化血小板との相互作
用、LOX-1と種々の血小板減少症との関連性、並びにLOX
-1と種々炎症との関連性については未だ全く明らかにさ
れていない。
【0018】一連の炎症反応過程においては、炎症反応
の初期において、白血球の血管内皮細胞への接着及びそ
れに続く白血球の血管外組織への浸潤が起こる。即ち、
外的あるいは内的要因により生体局所組織に何らかの傷
害が起こった場合、通常は血管血流中を高速で流れてい
る白血球が、速やかに血管内皮細胞に遊走し(「白血球
の遊走」)、種々の接着分子(セレクチン等)を介して
血管内皮細胞に接着(tethering)して(「初期の接
着」)、血管内皮細胞膜上をローリングする(「ローリ
ング」)。次いで、白血球は、他の接着分子(インテグ
リンなど)との接着を介して血管内皮細胞に強固に結合
して(「強固な結合」)、次いで血管内皮細胞と血管内
皮細胞との間隙から血管外組織へ浸潤する(「浸
潤」)。白血球が組織に浸潤した後、組織の傷害部位へ
移行し(「移行」)、一連の炎症反応が開始される。こ
のような白血球の、血管内皮細胞への接着、血管内皮細
胞上でのローリング、並びに白血球の組織への浸潤と、
LOX-1との関連性については未だ全く明らかにされてい
ない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】酸化LDL受容体(LO
X-1)に結合し、該受容体を介して細胞内に取り込まれ
るリガンドについては、血中酸化LDL(動脈硬化症等
の原因となる血管壁でのマクロファージの泡沫化進行過
程における初期の生体反応である単球やマクロファージ
の血管内皮細胞への集結を誘導する引金となる)、人工
的に調製したある種の老化赤血球、及び人工的に調製し
たある種のアポトーシス進行性細胞以外には知られてい
ない。該酸化LDL受容体の機能、並びに酸化LDL受
容体の様々な生体リガンドを同定、解明するとともに、
該生体内リガンドの酸化LDL受容体への結合を阻害す
る能力を有する物質を見出すことは、該リガンドが酸化
LDL受容体に結合し、及び/または該リガンドが酸化
LDL受容体発現細胞に取り込まれることに起因する種
々の疾患の予防及び治療に有用な薬剤開発において極め
て重要な意義を有する。
【0020】即ち、本発明は、酸化LDL受容体の生体
内リガンドを同定するとともに、該生体内リガンドの酸
化LDL受容体への結合を阻害する能力を有する物質を
見出し、該物質を用いて該リガンドの酸化LDL受容体
への結合、及び/または該リガンドの細胞内への取り込
みを抑制、阻害することにより種々の疾患を予防、治療
するための医薬組成物を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、哺乳動物
の酸化LDL受容体(LOX-1)に結合し、該受容体を介
して血管内皮細胞などの細胞内に取り込まれるリガンド
に関して鋭意研究した結果、下記を見出し本発明を完成
するに到った。 (1)酸化LDL受容体が、血小板並びに活性化血小板
と結合し、それらを細胞内に取り込む(貪食)こと、さ
らに、そのような結合及び取り込み(貪食)が、酸化L
DL受容体に結合する物質、例えば酸化LDL受容体に
結合する抗体により阻害される。 (2)酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化L
DLに結合する抗体が、血小板減少を伴う疾患における
血小板減少を有意に阻害する。 (3)酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化L
DLに結合する抗体が、種々炎症性疾患における炎症反
応の初期の過程である白血球の組織への浸潤を有意に阻
害する。 (4)酸化LDL受容体に結合する物質、例えば酸化L
DLに結合する抗体が、経皮的冠血管形成術(PTC
A)の術後の血管再狭窄を有意に阻害する。
【0022】これらの全く新規な知見は、酸化LDL受
容体が、種々の炎症、血小板減少症、血管の狭窄及び経
皮的冠動脈形成術の術後再狭窄、並びに動脈硬化症のよ
うな硬化性病変に深く関与し、それらの疾患が、酸化L
DL受容体に結合し酸化LDLの生体内リガンドの酸化
LDL受容体への結合を阻害する物質(例えば、酸化L
DLに結合する抗体など)により治療することができる
ことを初めて明らかにするものである。即ち、これらの
知見に基づき、酸化LDL受容体に結合し酸化LDLの
生体内リガンドの酸化LDL受容体への結合を阻害する
物質(例えば、酸化LDLに結合する抗体など)を用い
ることにより、上記の種々疾患を予防、治療するための
薬剤を開発することが可能となる。
【0023】即ち、本発明は、下記(1)乃至(12)
に記載されるとおりの発明である。 (1)酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL受容体の
生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合を阻害す
る能力を有する物質、及び薬学的に許容され得る担体を
含んでなり、該酸化LDL受容体への血小板若しくは活
性化血小板の結合、または該酸化LDL受容体を発現す
る細胞による血小板若しくは活性化血小板の取込に起因
する疾患を治療するための医薬組成物。 (2)該疾患が、血小板減少を伴う疾患であることを特
徴とする前記(1)に記載の医薬組成物。 (3)該疾患が、腎臓疾患であることを特徴とする前記
(1)に記載の医薬組成物。 (4)該物質が、酸化LDL受容体に結合する抗体若し
くは該抗体の一部であることを特徴とする前記(1)乃
至前記(3)のいずれかに記載の医薬組成物。 (5)酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL受容体の
生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合を阻害す
る能力を有する物質、及び薬学的に許容され得る担体を
含んでなる白血球組織浸潤阻害剤。 (6)該白血球組織浸潤が、動脈硬化症、心筋虚血再潅
流傷害、経皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)の術後、
または経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後における
炎症反応で起こる白血球組織浸潤であることを特徴とす
る前記(5)に記載の白血球組織浸潤阻害剤。 (7)該物質が、酸化LDL受容体に結合する抗体また
は該抗体の一部であることを特徴とする前記(5)また
は前記(6)に記載の白血球組織浸潤阻害剤。 (8)酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL受容体の
生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合を阻害す
る能力を有する物質、及び薬学的に許容され得る担体を
含んでなる抗炎症剤。 (9)該炎症が、動脈硬化症、心筋虚血再潅流傷害、経
皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)の術後、または経皮
的冠血管形成術(PTCA)の術後における炎症である
ことを特徴とする前記(8)に記載の抗炎症剤。 (10)該物質が、酸化LDL受容体に結合する抗体ま
たは該抗体の一部であることを特徴とする前記(8)ま
たは前記(9)に記載の抗炎症剤。 (11)酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL受容体
の生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合を阻害
する能力を有する物質、及び薬学的に許容され得る担体
を含んでなる経皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)また
は経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後血管再狭窄治
療剤。 (12)該物質が、酸化LDL受容体に結合する抗体ま
たは該抗体の一部であることを特徴とする前記(11)
に記載の血管再狭窄治療剤。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明で用いられる抗体の
一般的製造方法、並びに本発明で用いる語句の意味を明
らかにすることにより、本発明を詳細に説明する。本発
明における「哺乳動物」とは、ヒト、ウシ、ヤギ、ウサ
ギ、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモット等を
意味し、好ましくは、ヒト、ウシ、ラット、マウスまた
はハムスターであり、特に好ましくは、ヒトである。本
発明における「酸化LDL受容体」とは、前記「哺乳動
物」に由来する酸化LDL受容体であって、好ましくは
既報に記載されるとおりのヒト、ウシ、ウサギ、ラット
またはマウスの酸化LDL受容体である(Oxidized-LDL
Receptor、Ox-LDL Receptorまたは LOX−1)であ
る(Nature, Vol.386, p.73-77, 1997;脂質生化学研究,
Vol.39, p.83-84, 1997; 特開平9-98787号公報;GenBa
nk Accession No.BAA81912;Biochem. J., Vol.330 (P
t.3), p.1417-1422, 1998)。具体的には、配列番号1
に記載されるアミノ酸配列有するヒト酸化LDL受容
体、または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有す
るウシ酸化LDL受容体である。
【0025】また、本発明で言う「酸化LDL受容体」
には、該既報の文献中に記載された哺乳動物の酸化LD
L受容体、特に好ましくはヒト酸化LDL受容体のアミ
ノ酸配列(配列番号1)と実質的に同一のアミノ酸配列
を有するポリペプチド、及びウシの酸化LDL受容体の
アミノ酸配列(配列番号2)と実質的に同一のアミノ酸
配列を有するポリペプチドも包含する。
【0026】ここで「実質的に同一のアミノ酸配列を有
する」とは、該既報のアミノ酸配列を含むポリペプチド
と実質的に同等の生物学的性質を有する限り、該アミノ
酸配列中の複数個のアミノ酸、好ましくは1乃至10個
のアミノ酸、特に好ましくは1乃至5個のアミノ酸が置
換、欠失及び/または修飾されているアミノ酸配列を有
するポリペプチド、並びに該アミノ酸配列に、複数個の
アミノ酸、好ましくは1乃至10個のアミノ酸、特に好
ましくは1乃至5個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配
列を有するポリペプチドも本願発明の「酸化LDL受容
体」の範囲に包含されることを意味する。
【0027】本発明における酸化LDL受容体は、膜貫
通蛋白であり、細胞外領域を有する。「細胞外領域」と
は、前記のとおり定義された「酸化LDL受容体」の細
胞外領域を意味する。ここで「細胞外領域」とは、以下
のような意味を有するものである。即ち、前記のような
酸化LDL受容体(Oxidized-LDL Receptor、Ox-LDL Re
septorまたはLOX−1)に限らず、ほとんどの全ての
受容体あるいは細胞膜表面分子は、細胞膜貫性通蛋白に
属し、膜の脂質二重層を1回または数回貫通する疎水性
ペプチド領域により膜と連結し、全体として細胞外領域
(extracellular region)、膜貫通領域(transmembrane r
egion)及び細胞質領域(cytoplasmic region)の3つの主
領域から構成される構造をとっている。さらにそのよう
な膜貫通性タンパクは、モノマ−(monomer)として、ま
たは、同一のアミノ酸配列を有するもう1本の鎖あるい
は異なるアミノ酸配列を有する鎖とともにそれぞれホモ
ダイマ−(homodimer) 、ヘテロダイマ−(heterodimer)
あるいはオリゴマ−(origomer)を形成して存在する。
【0028】本発明において用いられる「細胞外領域」
とは、前述のような膜貫通性蛋白の全体構造のうち、該
膜タンパクが連結している膜の外界側に存在する部分構
造(部分領域)の全部または一部を意味し、換言すれ
ば、膜内に取り込まれている領域(膜貫通領域)及び該
膜内の領域に引き続いて細胞質内に存在する領域(細胞
内領域)以外の領域の全部または一部を意味する。
【0029】本発明における「抗体」とは、ポリクロー
ナル抗体(抗血清)あるいはモノクローナル抗体を意味
し、好ましくはモノクローナル抗体である。具体的に
は、前述の酸化LDL受容体(得に好ましくはヒトの酸
化LDL受容体)またはその一部に結合する抗体であ
る。本発明の「抗体」は、前述の哺乳動物の酸化LDL
受容体、好ましくはヒトの酸化LDL受容体(天然体、
組換体、合成物、細胞培養上清を含む)若しくはその一
部を抗原(免疫源)として用い、マウス、ラット、ハム
スター、モルモットあるいはウサギ等の哺乳動物に免疫
して得られる天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造
され得るキメラ抗体及びヒト型抗体(CDR-grafted抗
体)、並びにヒト抗体産生トランスジェニック動物等を
用いて製造され得るヒト抗体も包含する。またモノクロ
ーナル抗体の場合には、IgG、IgM、IgA、Ig
DあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有するモ
ノクローナル抗体をも包含する。好ましくは、IgGま
たはIgMである。
【0030】本発明で言うポリクローナル抗体(抗血
清)あるいはモノクローナル抗体は、既存の一般的な製
造方法によって製造することができる。即ち、例えば、
抗原を、必要に応じてフロイントアジュバント(Freun
d's Adjuvant)とともに、哺乳動物、好ましくは、マウ
ス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、
イヌ、ブタ、ヤギ、ウマあるいはウシ、より好ましくは
マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはウサギ
に免疫する。ポリクローナル抗体は、該免疫感作動物か
ら得た血清から取得することができる。またモノクロー
ナル抗体は、該免疫感作動物から得た該抗体産生細胞と
自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)
からハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマをクロ
ーン化し、哺乳動物の免疫に用いた抗原に対して特異的
親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを
選択することによって製造される。
【0031】モノクローナル抗体は、具体的には下記の
ようにして製造することができる。即ち、前述のヒト由
来結合組織増殖因子(天然体、組換体、合成物、細胞培
養上清を含む)若しくはその一部を免疫原として、該免
疫原を、必要に応じてフロイントアジュバント(Freun
d's Adjuvant)とともに、マウス、ラット、ハムスタ
ー、モルモ ットあるいはウサギ、好ましくはマウス、
ラットあるいはハムスター(ヒト抗体産生トランスジェ
ニックマウスのような他の動物由来の抗体を産生するよ
うに作出されたトランスジェニック動物を含む)の皮下
内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内あるいは腹腔内に
1乃至数回注射するかあるいは移植することにより免疫
感作を施す。通常、初回免疫から約1乃至14日毎に1
乃至4回免疫を行って、最終免疫より約1乃至5日後に
免疫感作された該哺乳動物から抗体産生細胞が取得され
る。免疫を施す回数及び時間的インターバルは、使用す
る免疫原の性質などにより、適宜変更することができ
る。
【0032】モノクローナル抗体を分泌するハイブリド
ーマの調製は、ケーラー及びミルシュタインらの方法
(ネイチャー(Nature)、第256巻、第495〜第49
7頁、1975年)及びそれに準じる修飾方法に従って
行うことができる。即ち、前述の如く免疫感作された哺
乳動物から取得される脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁
桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞と、好ま
しくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサ
ギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウス、ラ
ットまたはヒト由来の自己抗体産生能のないミエローマ
細胞との細胞融合させることにより調製される。
【0033】細胞融合に用いられるミエローマ細胞とし
ては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63-AG8.653(6
53)、P3/NSI/1-Ag4-1(NS−1)、P3/X63-Ag8.U1
(P3U1)、SP2/0-Ag14(Sp2/O、Sp2)、PA
I、F0あるいはBW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3-A
g.2.3.、ヒト由来ミエローマU-266AR1、GM1500-6TG-A1-
2、UC729-6、CEM-AGR、D1R11あるいはCEM-T15を使用す
ることができる。モノクローナル抗体を産生するハイブ
リドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリドーマ
を、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖
の見られたウェルの培養上清の前述のマウス免疫感作で
用いた免疫抗原に対する反応性を、例えばRIAやEL
ISA等の酵素免疫測定法によって測定することにより
行なうことができる。
【0034】ハイブリドーマからのモノクローナル抗体
の製造は、ハイブリドーマをインビトロ、またはマウ
ス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等、
好ましくはマウスまたはラット、より好ましくはマウス
の腹水中等でのインビボで行い、得られた培養上清、ま
たは哺乳動物の腹水から単離することにより行うことが
できる。インビトロで培養する場合には、培養する細胞
種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に
合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、
培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用
いられるような既知栄養培地あるいは既知の基本培地か
ら誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施するこ
とが可能である。
【0035】基本培地としては、例えば、Ham’F1
2培地、MCDB153培地あるいは低カルシウムME
M培地等の低カルシウム培地及びMCDB104培地、
MEM培地、D−MEM培地、RPMI1640培地、
ASF104培地あるいはRD培地等の高カルシウム培
地等が挙げられ、該基本培地は、目的に応じて、例えば
血清、ホルモン、サイトカイン及び/または種々無機あ
るいは有機物質等を含有することができる。モノクロー
ナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水
を、飽和硫酸アンモニウム、ユーグロブリン沈澱法、カ
プロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラ
フィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブ
リンカラムあるいはプロテインAカラム等のアフィニテ
ィカラムクロマトグラフィーに供すること等により行う
ことができる。
【0036】本発明における「キメラ抗体」は、遺伝子
工学的に作製されるモノクローナル抗体であって、具体
的には、例えば、その可変領域がマウスイムノグロブリ
ン由来の可変領域であり、かつその定常領域がヒトイム
ノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするマ
ウス/ヒトキメラモノクローナル抗体等のキメラモノク
ローナル抗体を意味する。ヒトイムノグロブリン由来の
定常領域は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIg
E等のアイソタイプにより各々固有のアミノ酸配列を有
するが、本発明における組換キメラモノクローナル抗体
の定常領域はいずれのアイソタイプに属するヒトイムノ
グログリンの定常領域であってもよい。好ましくは、ヒ
トIgGの定常領域である。本発明におけるキメラモノ
クローナル抗体は、例えば以下のようにして製造するこ
とができる。しかしながら、そのような製造方法に限定
されるものでないことは言うまでもない。
【0037】例えば、マウス/ヒトキメラモノクローナ
ル抗体は、実験医学(臨時増刊号)、第1.6巻、第1
0号、1988年及び特公平3−73280号公報等を
参照しながら作製することができる。即ち、マウスモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマから単離した
該マウスモノクローナル抗体をコードするDNAから取
得した活性なVH遺伝子(H鎖可変領域をコードする再
配列されたVDJ遺伝子)の下流に、ヒトイムノグロム
リンをコードするDNAから取得したCH遺伝子(H鎖
定常領域をコードするC遺伝子)を、また該ハイブリド
ーマから単離したマウスモノクローナル抗体をコードす
るDNAから取得した活性なVL遺伝子(L鎖可変領域
をコードする再配列されたVJ遺伝子)の下流にヒトイ
ムノグロムリンをコードするDNAから取得したCL遺
伝子(L鎖定常領域をコードするC遺伝子)を、各々発
現可能なように配列して1つ又は別々の発現ベクターに
挿入し、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形
質転換細胞を培養することにより作製することができ
る。
【0038】具体的には、まず、マウスモノクローナル
抗体産生ハイブリドーマから常法によりDNAを抽出
後、該DNAを適切な制限酵素(例えばEcoRI、HindIII
等)を用いて消化し、電気泳動に付して(例えば0.7
%アガロースゲル使 用)サザンブロット法を行う。泳
動したゲルを例えばエチジウムブロマイド等で染色し、
写真撮影後、マーカーの位置を付し、ゲルを2回水洗
し、0.25M HCl溶液に15分間浸す。次いで、
0.4NのNaOH溶液に10分間浸し、その間緩やか
に振盪する。常法により、フィルターに移し、4時間後
フィルターを回収して2×SSCで2回洗浄する。フィ
ルターを十分乾燥した後、ベイキング(75℃、3時
間)を行う。ベイキング終了後に、該フィルターを0.
1×SSC/0.1%SDS溶液に入れ、65℃で30
分間処理する。次いで、3×SSC/0.1%SDS溶
液に浸す。得られたフィルターをプレハイブリダイゼー
ション液と共にビニール袋に入れ、65℃で3〜4時間
処理する。
【0039】次に、この中に32P標識したプローブDN
A及びハイブリダイゼーション液を入れ、65℃で12
時間程度反応させる。ハイブリダイゼーション終了後、
適切な塩濃度、反応温度および時間(例えば、2×SS
C−0.1%SDS溶液、室温、10分間)のもとで、
フィルターを洗う。該フィルターをビニール袋に入れ、
2×SSCを少量加え、密封し、オートラジオグラフィ
ーを行う。上記サザンブロット法により、マウスモノク
ローナル抗体のH鎖及びL鎖を各々コードする再配列さ
れたVDJ遺伝子及びVJ遺伝子を同定する。同定した
DNA断片を含む領域をショ糖密度勾配遠心にて分画
し、ファージベクター(例えば、Charon 4A、Charon 2
8、λEMBL3、λEMBL4等)に組み込み、該フ
ァージベクターで大腸菌(例えば、LE392、NM539等) を
形質転換し、ゲノムライブラリーを作製する。そのゲノ
ムライブラリーを適当なプローブ(H鎖J遺伝子、L鎖
(κ)J遺伝子等)を用いて、例えばベントンデイビス
法(サイエンス(Science)、第196巻、第180〜第
182頁、1977年)に従って、プ ラークハイブリ
ダイゼーションを行い、再配列されたVDJ遺伝子ある
いはVJ遺伝子を各々含むポジティブクローンを得る。
得られたクローンの制限酵素地図を作製し、塩基配列を
決定し、目的とする再配列されたVH(VDJ)遺伝子あるい
はVL(VJ)遺伝子を含む遺伝子が得られていることを確
認する。
【0040】一方、キメラ化に用いるヒトCH遺伝子及
びヒトCL遺伝子を別に単離する。例えば、ヒトIgG1
とのキメラ抗体を作製する場合には、CH遺伝子である
Cγ1遺伝子とCL遺伝子であるCκ遺伝子を単離する。
これらの遺伝子はマウス免疫グロブリン遺伝子とヒト免
疫グロブリン遺伝子の塩基配列の高い相同性を利用して
ヒトCγ1遺伝子及びヒトCκ遺伝子に相当するマウス
Cγ1遺伝子及びマウスCκ遺伝子をプローブとして用
い、ヒトゲノムライブラリーから単離することによって
得ることができる。
【0041】具体的には、例えば、クローンIg146
(プロシーディングスナショナルアカデミーオブサイエ
ンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、第75巻、第47
09〜第4713頁、1978年)からの3kbのHi
ndIII−BamHI断片とクローンMEP10(プロ
シーディングスナショナルアカデミーオブサイエンス(P
roc. Natl. Acad. Sci. USA)、第78巻、第474〜第
478頁、1981年)からの6.8kbのEcoRI
断片をプローブとして用い、ヒトのラムダCharon 4A の
HaeIII−AluIゲノムライブラリー(セル(Cel
l)、第15巻、第1157〜第1174頁、1978
年)中から、ヒトCκ遺伝子を含み、エンハンサー領域
を保持しているDNA断片を単離する。また、ヒトCγ
1遺伝子は、例えばヒト胎児肝細胞DNAをHindIII
で切断し、アガロースゲル電気泳動で分画した後、5.
9kbのバンドをλ788に挿入し、前記のプローブを
用いて単離する。
【0042】このようにして単離されたマウスVH遺伝
子とマウスVL遺伝子、及びヒトCH遺伝子とヒトCL
伝子を用いて、プロモーター領域及びエンハンサー領域
などを考慮しながらマウスVH遺伝子の下流にヒトCH
伝子を、またマウスVL遺伝子の下流にヒトCL遺伝子
を、適切な制限酵素及びDNAリガーゼを用いて、例え
ばpSV2gptあるいはpSV2neo等の発現ベク
ターに常法に従って組み込む。この際、マウスVH遺伝
子/ヒトCH遺伝子とマウスVL遺伝子/ヒトCL遺伝子
のキメラ遺伝子は、一つの発現ベクターに同時に配置さ
れてもよいし、各々別個の発現ベクターに配置すること
もできる。
【0043】このようにして作製したキメラ遺伝子挿入
発現ベクターを、例えばP3X63・Ag8・653 細胞あるいはSP
210細胞といった、自らは抗体を産生していない骨髄腫
細胞にプロトプラスト融合法、DEAE−デキストラン
法、リン酸カルシウム法あるいは電気穿孔法等により導
入する。形質転換細胞は、発現ベクターに導入された薬
物耐性遺伝子に対応する薬物含有培地中での培養により
選別し、目的とするキメラモノクローナル抗体産生細胞
を取得する。このようにして選別された抗体産生細胞の
培養上清中から目的のキメラモノクローナル抗体を取得
する。
【0044】本発明における「ヒト型抗体(CDR-grafte
d抗体)」は、遺伝子工学的に作製されるモノクローナ
ル抗体であって、具体的には、例えば、その超可変領域
の相補性決定領域の一部または全部がマウスモノクロー
ナル抗体に由来する超可変領域の相補性決定領域であ
り、その可変領域の枠組領域がヒトイムノグロブリン由
来の可変領域の枠組領域であり、かつその定常領域がヒ
トイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴と
するヒト型モノクローナル抗体を意味する。
【0045】ここで、超可変領域の相補性決定領域と
は、抗体の可変領域中の超可変領域に存在し、抗原と相
補的に直接結合する部位である3つの領域(Complement
arity-determining residue;CDR1、CDR2、C
DR3)を指し、また可変領域の枠組領域とは、該3つ
相補性決定領域の前後に介在する比較的保存された4つ
の領域(Framework;FR1、FR2、FR3、FR
4)を指す。換言すれば、例えばマウスモノクローナル
抗体の超可変領域の相補性決定領域の一部または全部以
外の全ての領域が、ヒトイムノグロブリンの対応領域と
置き代わったモノクローナル抗体を意味する。ヒトイム
ノグロブリン由来の定常領域は、IgG、IgM、Ig
A、IgD及びIgE等のアイソタイプにより各々固有
のアミノ酸配列を有するが、本発明におけるヒト型モノ
クローナル抗体の定常領域はいずれのアイソタイプに属
するヒトイムノグログリンの定常領域であってもよい。
好ましくは、ヒトIgGの定常領域である。また、ヒト
イムノグロブリン由来の可変領域の枠組領域についても
限定されるものではない。
【0046】本発明におけるヒト型モノクローナル抗体
は、例えば以下のようにして製造することができる。し
かしながら、そのような製造方法に限定されるものでな
いことは言うまでもない。例えば、マウスモノクローナ
ル抗体に由来する組換ヒト型モノクローナル抗体は、特
表平4−506458号公報及び特開昭62−2968
90号公報等を参照して、遺伝子工学的に作製すること
ができる。即ち、マウスモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマから、少なくとも1つのマウスH鎖CD
R遺伝子と該マウスH鎖CDR遺伝子に対応する少なく
とも1つのマウスL鎖CDR遺伝子を単離し、またヒト
イムノグロブリン遺伝子から前記マウスH鎖CDRに対
応するヒトH鎖CDR以外の全領域をコードするヒトH
鎖遺伝子と、前マウスL鎖CDRに対応するヒトL鎖C
DR以外の全領域をコードするヒトL鎖遺伝子を単離す
る。
【0047】単離した該マウスH鎖CDR遺伝子と該ヒ
トH鎖遺伝子を発現可能なように適当な発現ベクターに
導入し、同様に該マウスL鎖CDR遺伝子と該ヒトL鎖
遺伝子を発現可能なように適当なもう1つの発現ベクタ
ーに導入する。または、該マウスH鎖CDR遺伝子/ヒ
トH鎖遺伝子とマウスL鎖CDR遺伝子/ヒトL鎖遺伝
子を同一の発現ベクターに発現可能なように導入するこ
ともできる。このようにして作製された発現ベクターで
宿主細胞を形質転換することによりヒト型モノクローナ
ル抗体産生形質転換細胞を得、該形質転換細胞を培養す
ることにより培養上清中から目的のヒト型モノクローナ
ル抗体を得る。
【0048】本発明における「ヒト抗体」とは、イムノ
グロブリンを構成するH鎖の可変領域及びH鎖の定常領
域並びにL鎖の可変領域及びL鎖の定常領域を含む全て
の領域がヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由
来するイムノグロブリンである。ヒト抗体は、常法に従
って、例えば、少なくともヒトイムノグロブリン遺伝子
をマウス等のヒト以外の哺乳動物の遺伝子座中に組込む
ことにより作製されたトランスジェニック動物を、抗原
で免疫感作することにより、前述したポリクローナル抗
体あるいはモノクローナル抗体の作製法と同様にして製
造することができる。例えば、ヒト抗体を産生するトラ
ンスジェニックマウスは、ネイチャージェネティックス
(Nature Genetics)、第15巻、第146〜第156
頁、1997年;ネイチャージェネティックス、第7
巻、第13〜第21頁、1994年;特表平4−504
365号公報;国際出願公開WO94/25585号公
報;日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、19
95年;ネイチャー(Nature)、第368巻、第856〜
第859頁、1994年;及び特表平6−500233
号公報に記載の方法に従って作製することができる。ま
た、昨今開発された技術であるトランスジェニックなウ
シやブタのミルク中からヒト由来タンパクを製造方法を
適用することも可能である(日系サイエンス、1997年4
月号、第78頁乃至84頁)。
【0049】本発明における「抗体の一部」とは、前述
の本発明における抗体、好ましくはモノクローナル抗体
の一部分の領域を意味し、具体的にはF(ab’)2
Fab’、Fab、Fv(variable fragment of antib
ody)、sFv、dsFv(disulphide stabilised F
v)あるいはdAb(single domain antibody)である
(エキスパート・オピニオン・オン・テラピューティッ
ク・パテンツ(Exp. Opin. Ther. Patents),第6巻,第
5号,第441〜456頁,1996年)。
【0050】ここで、「F(ab’)2」及び「Fa
b’」とは、イムノグロブリン(モノクローナル抗体)
を、蛋白分解酵素であるペプシンあるいはパパイン等で
処理することにより製造され、ヒンジ領域中の2本のH
鎖間に存在するジスルフィド結合の前後で消化されて生
成される抗体フラグメントを意味する。例えば、IgG
をパパインで処理すると、ヒンジ領域中の2本のH鎖間
に存在するジスルフィド結合の上流で切断されてV
L(L鎖可変領域)とCL(L鎖定常領域)からなるL
鎖、及びVH(H鎖可変領域)とCHγ1(H鎖定常領域
中のγ1領域)とからなるH鎖フラグメントがC末端領
域でジスルフィド結合により結合した相同な2つの抗体
フラグメントを製造することができる。これら2つの相
同な抗体フラグメントを各々Fab’という。またIg
Gをペプシンで処理すると、ヒンジ領域中の2本のH鎖
間に存在するジスルフィド結合の下流で切断されて前記
2つのFab’がヒンジ領域でつながったものよりやや
大きい抗体フラグメントを製造することができる。この
抗体フラグメントをF(ab’)2という。
【0051】本発明における「医薬組成物」は、本発明
の融合ポリペプチドを有効成分として、薬学的に許容さ
れ得る担体、即ち、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、
安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘
味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あるいはその他の添
加剤等の一つ以上とともに医薬組成物とし、錠剤、丸
剤、散剤、顆粒剤、注射剤、液剤、カプセル剤、トロー
剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤あるいはシロップ剤等
の形態により経口あるいは非経口的に投与することがで
きる。とりわけ注射剤の場合には、例えば生理食塩水あ
るいは市販の注射用蒸留水等の非毒性の薬学的に許容さ
れ得る担体中に0.1μg抗体/ml担体〜10mg抗体/ml担
体の濃度となるように溶解または懸濁することにより製
造することができる。このようにして製造された注射剤
は、処置を必要とするヒト患者に対し、1回の投与にお
いて1kg体重あたり、1μg〜100mgの割合で、好ま
しくは50μg〜50mgの割合で、1日あたり1回〜数回投
与することができる。投与の形態としては、静脈内注
射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射あるいは腹腔内注
射のような医療上適当な投与形態が例示できる。好まし
くは静脈内注射である。また、本発明の該医薬組成物
は、酸化LDL受容体の動態異常、血小板及び活性化血
小板の酸化LDL受容体への結合、及び/またはそれら
の酸化LDL発現細胞内への取込(貪食)に起因する種
々疾患、病変過程において白血球の組織への浸潤を伴う
種々の疾患(例えば、炎症)、種々の炎症、動脈硬化
症、PTCRやPTCA等の術後の血管再狭窄などの種々の疾患
の予防及び治療において有用である。
【0052】本発明における「炎症」とは、内的要因ま
たは細菌感染、外傷、物理的刺激(例えば、熱、寒冷、
放射線、電気など)あるいは化学物質などの外的要因に
限定されない種々要因による生体組織の傷害あるいは機
能不全において、白血球が血管内皮細胞上でのローリン
グ、接着を経て、血流中からの血管外組織への浸潤を伴
う基本的な病理上の局所反応を意味する。通常炎症は、
その発現速度及び進行速度により急性炎症と慢性炎症に
大別される。一般に急性炎症とは、炎症反応が比較的急
速に発現し進行が速く、その終了が明確な炎症である。
一方、慢性炎症とは、炎症反応が比較的ゆっくりあるい
は徐々に発現し、あるいはその発現の存在すた不明確な
程度に発現し、数週間乃至数年間にわたり持続され、そ
の終了も不明確な炎症である。本発明の炎症には、その
ような急性炎症及び慢性炎症のいずれをが包含される。
【0053】本発明における炎症としては、脳、眼、気
管、血管、肺、肝臓、心臓、膵臓、胃、腸、腸間膜、腎
臓、皮膚、鼻炎膜あるいは関節などの組織における炎症
が含まれる。具体的には、例えば、脳炎、気管支炎、血
管炎、肺炎、肝炎、心筋炎、膵炎、腸炎、胃炎、腹膜
炎、腎炎(糸球体腎炎など)、関節炎(関節リウマチな
ど)、虚血後再潅流障害(心筋虚血再潅流障害など)に
おける炎症、移植後免疫拒絶に起因する炎症、火傷、多
発性臓器障害における炎症、PTCAやPTCRの術後における
炎症、及び動脈硬化症に伴う炎症を挙げることができ
る。
【0054】以下、実施例を以て本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明が該実施例に記載される態様のみに
限定されるものではないことは言うまでもない。また以
下に記載する「参考例」は、本発明とは異なる観点に基
づく発明ではあるが、本発明との技術比較のために言及
する。
【0055】<参考例> <1> 実験材料及実験方法 以下の実施例では、下記のような材料を用いた。また、
各試験は、下記の方法により行った。
【0056】(1)細胞 健常人の血液から取得した赤血球を、リン酸緩衝液で3
回洗浄し、20%ヘマトクリットで、10%グルコースを含
有するリン酸緩衝液中に縣濁させ天然赤血球として用い
た。老化赤血球は、該天然赤血球をリン酸緩衝液(20%
ヘマトクリット)中で、37℃で4日間インキュベーショ
ンすることにより調製した(但し、経時的実験での使用
を除く。)。ウシ大動脈内皮細胞(Bovine aortic endo
thelial cell; BAE)は、既報の方法に従って維持した
(Nature, Vol.385, p.73-77, 1997)。Jurkat細胞及び
HL60細胞は、RPMI1640培地(10%ウシ胎児血清、100U/m
lのペニシリン、0.1mg/mlのストレプトマイシン、及び2
50ng/mlのFungizone(GIBCO製)を含有する)中で維持
した。ウシLOX-1を安定して発現するチャイニーズハム
スター卵巣(CHO)細胞(BLOX-1-CHO)及び野生型CHO-K
1細胞は、既報の方法に従って維持した(Nature, Vol.3
85, p.73-77, 1997)。
【0057】(2)アポトーシスの誘導 HL-60細胞のアポトーシスは、細胞(1×106個/ml)を5
0μMのシクロヘキシミド(cycloheximide)とともに37
℃で3時間インキュベーションすることにより誘導し
た。Jurkat細胞のアポトーシスは、細胞(1×10個/m
l)を200ng/mlの抗FasIgM抗体(クローンCH-11、医学
生物学研究所製)とともに、37℃で6時間インキュベー
ションすることにより誘導した。ウシ大動脈内皮細胞
(bovine arteryendothelial cell; BAE)のアポトーシ
スは、細胞を、50ng/mlの組換えヒト腫瘍壊死因子(R&
D Systems製)とともに、37℃で6時間インキュベーショ
ンすることにより誘導した。
【0058】(3)赤血球の酸化LDL受容体への結合 赤血球(ヘマトクリット値:1%)を、BAE、CHO-K1細
胞またはBLOX-1-CHOとともに、栄養培地中で、37℃で30
分間培養した。各々の細胞に結合しなかった赤血球を該
栄養培地で複数回洗浄することにより除去した後、細胞
を、4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデヒド
を含有するリン酸緩衝液で固定した。各々の細胞に結合
した赤血球の数を計数した(200〜400個のCHO細胞また
はBAE細胞を、毎回計数した。)。
【0059】(4)アポトーシスに向かっている細胞
(apoptotic細胞)の酸化LDL受容体への結合 apoptotic細胞(1×10個/ml)を、BAE、CHO-K1細胞
またはBLOX-1-CHOとともに、栄養培地中で、37℃で30分
間培養した。各々の細胞に結合しなかったapoptotic細
胞を該栄養培地で複数回洗浄することにより除去した
後、細胞を、4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルア
ルデヒドを含有するリン酸緩衝液で固定した。細胞を、
May-Giemsaで染色した後、結合した細胞の割合または1
若しくはそれ以上のapoptotic細胞の摂取(貪食)の割
合を計算した(100〜200個のCHO細胞またはBAE細胞を、
毎回計数した。)。
【0060】(5)リポプロテイン 濃度勾配超遠心により、新鮮なヒトの血漿から、ヒトL
DL(d=1.019〜1.063)を単離した(Nature, Vol.385,
p.73-77, 1997)。LDLの酸化修飾及びアセチル化
は、常法に従って行った(Biochem. Biophys. Res. Com
mun., Vol.1091,p.63-67, 1991)。
【0061】(6)可溶性LOX-1(LOX-Fc)の作製 ウシ酸化LDL受容体LOX-1(bLOX-1)をコードするcD
NA(配列番号3)を、既報(Nature, Vol.386, p.73-7
7, 1997及び特開平9-98787号公報)に記載の方法と同様
にして調製した。得られたcDNAを、2つのプライマー
(5'-GGGGATCCTGATCTCATAAAGAAACAG-3'(配列番号
5)、及び5'-GCGGATCCTGTGCTCTCAATAGATTCGC-3'(配列
番号6)) を用いてPCRにより増幅し、BamHI切断部
位が両端に付加されたウシLOX-1の細胞外領域をコード
するcDNA(配列番号3の塩基番号215乃至844)を含
むcDNA断片を調製した。
【0062】ヒトIgG1のヒンジ領域、Cγ12、及
びCγ13の各々コードするエクソンを含むゲノミック
DNAを含んでいるプラスミドpCd5lneg1(DNA and Cel
l Biol., Vol.9, p.347-353, 1990参照。マサチューセ
ッツ・ゼネラル・ホスピタルのシード博士(B. Seed)
から入手。配列番号4に記載の塩基配列を有する)を、
BamHIで消化して線状化した。
【0063】前述のようにして得られたウシLOX−1
の細胞外領域をコードするcDNAを、T4 DNAリガーゼ
を用いて、この線状化プラスミドのBamHI切断部位(配
列番号4の塩基番号169番目)に連結し、プラスミドpBL
OX-Fcを構築した。10%FBS(fetal bovine seru
m)含有HamF12培地中でサブコンフルエントに単層培養
したCHO-K1細胞を、リポフェクタミン(Lipofectamin
e、GIBCO製)を用いて、pBLOX-Fc(1μg)並びに発現
プラスミドベクターpSVbsr(10ng、フナコシ製;b
sr(Blasticidin S-resistance)遺伝子及びSV40
ウイルス由来のプロモーターを含む)により共形質転換
した。
【0064】48時間の培養後、培地を、blasticidin-
S(10μg/ml、フナコシ製)含有HamF12培地に替えたさ
らに培養することにより、pBLOX-Fc及びpSVbsrで共形質
転 換された形質転換細胞を選択、取得した。得られた
形質転換細胞は、10%FCS(fetal calf serum)及
びblasticidin-S(10μg/ml、フナコシ製)を含有するH
amF12培地中で維持した。bLOX-1-Fcを精製するため、bl
asticidin-S(10μg/ml、フナコシ製)を含有するHamF1
2培地中でコンフルエントに培養した形質転換体CHO-K1
細胞の培地をCHO-SFM-II(GIBCO/BRL製)に替え、3日
間培養した。この操作を数回繰返した後、培養上清800m
lを得た。培養上清中のLOX-Fcは、Affi-Gel Protein A
MAPS-II kit(Bio-rad製)を用いて次のように精製し
た。
【0065】培養上清を、予め結合緩衝液(binding bu
ffer)で平衡化したプロテインAアガロースゲルカラム
に加えた。次いで、カラムを結合緩衝液(15 bed volum
e)で洗浄した後、溶出緩衝液(elution buffer、5 bed
volume)で溶出させた。溶出液を回収し、リン酸緩衝
液で2回以上外液交換することにより透析し、精製LOX-
Fcを得た。得られた精製LOX-Fcを、濃縮するためCentri
prep(アミコン製)を用いて限外濾過した。BCA protei
n assay kit(PIERCE製)を用いて、866μg/mlの精製LO
X-Fcが得られたことを確認した。また、上記精製LOX-Fc
の取得は、下記ウェスタンブロッティングによっても確
認した。
【0066】精製LOX-Fcを12.5%SDSアガロースゲル(第
一化学)にアプライし、電気泳動した。泳動終了後、Im
mobilonメンブラン(ミリポア製)にブロッティングし
た。メンブランをBlock Ace(雪印製)で一晩ブロッキ
ングした。一次抗体とし てのビオチン標識ヤギ抗ヒトI
gG抗体及びABCキット(Vector製)を用いて反応を行
い、コニカイムノステインキットを用いて発色を行っ
た。なお、LOX-Fcのアミノ酸配列を配列番号7に、また
LOX-FcのcDNA配列を配列番号8に示す。
【0067】(7)可溶性LOX-1の赤血球への結合 赤血球を4%ホルムアルデヒド及び0.2%グルタルアルデ
ヒドで固定した後、リン酸緩衝液で3回洗浄した。次い
で、赤血球(ヘマトクリット値:1%)を、50μg/mlの
LOX-Fcまたは正常ヒトIgGとともに、10%ウシ胎児血清
を含有するHam'sF12培地中で室温下90分間インキュベー
ションした。培養液で3回洗浄した後、赤血球を、ビオ
チン化抗ヒトIgG(Fc)とともに、室温下で30分間さらに
インキュベーションし、チラミドシグナル増幅法(Tyra
mide signal amplification procedure)(TSA-directe
d green, Dupont/NEN)を用いて該製品の取り扱い説明
書に従い染色し、蛍光顕微鏡法に供した。
【0068】(8)可溶性LOX-1のApoptotic細胞への結
合 ネイティブ(Native)なJurkat細胞またはapoptoticなJ
urkat細胞(各々1×10個/ml)を、50μg/mlのLOX-Fc
または正常ヒトIgGとともに培地中で37℃で60分間イン
キュベーションした。ビトチン化抗ヒトIgG(1:250希
釈)を加え、混合物を37℃でさらに30分間インキュベー
ションした。細胞を、4%ホルムアルデヒド及び0.2%グ
ルタルアルデヒドで固定した後、リン酸緩衝液で3回洗
浄し、チラミドシグナル増幅法(Tyramide signal ampl
ification procedure)(TSA-directed green, Dupont/
NEN)を用いて染色した。次いで、細胞を、0.1%Triton
X-100により浸透性にし、2.5μg/mlのpropidium iodid
eで染色し、同焦点顕微鏡(conforcal microscopy)シ
ステム(Bio-Rad製)により分析した。浸透性にしない
場合には、propidium iodideによる細胞の染色は、検出
不能であった。
【0069】(9)フォスファチジルセリン(phosphat
idylserine(PS))の老化赤血球及びapoptotic細胞上へ
の外出化(externalization) PSが老化赤血球またはapoptotic細胞の細胞表面上に
曝されるているか否かを、ApoAlert Annexin Vapoptosi
s kit(Clontech製)を用いて、Annexin V-FITCにより
検出した。細胞を、FACScalibur(Becton Dickinson
製)上で、フローサイトメロリーにより分析した。
【0070】(10)リン脂質リポソームの調製 多重膜リポソーム(Multilamellar liposome)を、リン
脂質、フォスファチジルコリン、及び遊離コレステロー
ルを1:1:1のモル比で含むように調製した。該脂質を、
クロロフォルム中で混合し、窒素ガスで乾燥させた。乾
燥させた脂質を、最終濃度が10mMとなるようにリン酸緩
衝液中に再縣濁させた。得られた混合物を、混合し10分
間超音波処理し、使用時まで4℃で静置した。
【0071】<2>結果と考察 図1に示すとおり、BAE細胞は老化赤血球とapoptoti
c細胞を貪食する能力を有することがわかった。図1
(a)は老化赤血球を、図1(b)はネイティブ赤血球
を、図1(c)はapoptotic HL60細胞を、図1(d)は無
処理のHL60細胞をそれぞれBAE細胞とインキュベート
したものであり、BAE細胞はネイティブ赤血球と無処
理のHL60細胞には結合していない。この貪食活性は酸化
LDLにより明らかに阻害されることから、BAE細胞上の主
要な酸化LDL受容体であるLOX-1が貪食活性を仲介するか
について試験した。
【0072】図2(a)から(e)に示すように、BLOX-1
を発現するステーブルな形質転換体BLOX1-CHOは、老化
赤血球及びcycloheximide処理によりアポートーシスが
誘導され進行中のHL-60細胞に結合し(図2(a)およ
び(d))、貪食した(図2(c))。BLOX-1-CHOは抗Fas
抗体で処理したapoptotic Jurkat細胞やtumor necrosis
factorαで処理したapoptotic BAEに結合し、貪食した
ことから、LOX-1によるapoptotic細胞の貪食は細胞の種
類やイニシエーティング信号に依存しないことが考えら
れる。BLOX-1-CHOはネイティブ赤血球や無処理のHL-60
細胞には有意には結合しなかった。Wild-type CHO細胞
は老化赤血球とapoptotic細胞には結合しなかった。こ
のようにLOX-1は老化赤血球とapoptotic細胞の結合と貪
食を媒介することが見出された。老化赤血球の結合は酸
化LDLとアセチルLDLによって用量依存的に阻害された
が、ネイティブLDLでは阻害されなかった(図3)。酸
化LDLによる阻害のhalf-maximumは0.1μg・ml-1であ
った。報告されている酸化LDLが他の生物学的応答を引
き起こすとされている濃度(Nature, 344, 160-162(199
0),J. Cell. Biol., 120, 1011-1019(1993), J. Clin.
Invest.,86, 75-79(1990),J. Clin. Invest., 95, 1262
-1270(1995))との比較では、酸化LDLの有効濃度は本試
験では非常に低い。
【0073】LOX-1がBAE中の老化/apoptotic細胞の受
容体として機能するか否かを調べるために、BAEとBLOX-
1-CHO間で様々なLOX-1リガンドの阻害効果を比較した
(図4。黒塗りはBAE、斜線はBLOX-1-CHOを表す)。酸
化LDLに、fucoidan及びpoly[I]を加えると、老化赤血球
のBLOX-1-CHOへの結合のほとんどが消失した。LOX-1の
弱いリガンドであるdextran sulfate(50μg・ml-1)、ア
セチルLDL(10μg・ml-1)及びヘパリン(50μg・ml-1)も
弱いながらも競合した。LOX-1のリガンドであるPoly(I)
はよく競合したものの、LOX-1のリガンドではないPoly
(A)は結合に影響を与えなかった。BAEにおけるリガンド
特異性と競合順序がBLOX-1-CHOでの結果と同じであった
ことから、LOX-1がBAE中の老化赤血球の結合を仲介する
と考えられる。事実、LOX-1のモノクローナル抗体(♯
19−1)は老化赤血球のBAEへの結合をBLOX-1-CHOへ
の結合と同様に阻害した(図5)。
【0074】apoptotic HL-60のBLOX1-CHO及びBAEに対
する化合物の結合競合が同じ順序であったことから、LO
X-1がBAEにおけるapoptotic細胞の結合をも仲介すると
いうことが示唆される(図6)。阻害の程度は老化赤血球
より低かった。この結果は、apoptotic細胞のLOX-1への
親和性がin vitroでの老化赤血球のそれよりも高いこと
によると考えられる。
【0075】LOX-1が老化およびapoptotic細胞の微妙な
表面変化を直接認識していることを確認するため、LOX-
Fc、すなわちLOX-1の細胞外領域とヒトIgGのFc領域と
の融合蛋白を用いた。LOX-Fcを使用することは、LOX-1
とリガンドの結合の検出を容易にする。LOX-Fcを培地に
添加するとコントロールであるヒトIgGは結合に影響し
なかったが、、BLOX-1-CHOおよびBAEへの老化赤血球及
びapoptotic細胞への結合が有意に阻害された(図7a及び
7b)。次にLOX-Fcを用いて老化細胞及びapoptotic細胞
の染色を試みた。LOX-Fcで染色することにより、老化赤
血球表面に局在する推定のリガンドを視覚化できた。一
方、正常な赤血球ではリガンドの分布は見られなかっ
た。Propidium iodideとLOX-FcでFas抗体で処理したJur
kat細胞を二重染色すると、推定LOX-1リガンドは非凝集
のクロマチンではなく凝集した状態のクロマチンととも
に選択的にJurkat細胞の表面に発現していることを示さ
れた。このことは細胞表面におけるLOX-1リガンドの発
現はアポトーシスのプロセスにおいて発生することを意
味している。
【0076】正常細胞の形質膜の陰イオン性リン脂質は
非対称的に分布している(Biochem.J., 294, 1-14(199
3))。ほとんどのphosphatidylinositol(PI)と実質的に
ほとんどのPSは形質膜の内部リーフレット(inner leafl
et)に存在する。この非対称はネガティブphospholipid
sの"flip-flop"あるいは"scrambling"移動に対する推定
されるATP依存的translocaseによって維持され(Experi
entia 46, 644-656(1990), Science 272, 1495-1497,19
96)、アポトーシスを含む特定の条件において消失する
(Adv. Exp.Med. Biol., 406, 21-28(1996))。非対称
の喪失、すなわちPSの顕在(externalization)はアポ
トーシスの最も初期の印であると考えられている(J. E
xp. Med., 182, 1545-1556(1995))。Apoptotic細胞と
老化細胞がPSと競合する貪食システムが報告されている
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 1396-1400(1995),
J. Immunol. 149, 4029-4035(1992), J. Immunol. 148,
2207-2216(1992), J. Immunol. 151, 4274-4285(199
3))。このシステムは細胞のPS顕在化を認識するようで
ある。これに関連して、老化/apoptotic細胞のLOX-1
との結合とPSとの結合の関係を調べた。アポトーシス細
胞と同様、annexin Vの結合により検出される。PSの老
化赤血球表面への出現は時間とともに増加した(図
8)。この変化はBLOX-1-CHOへの経時的な結合増加に
伴っていた(図9)。グルコースの生理学的濃度がPSの老
化赤血球表面への出現を阻害した(図8)ことは、ATP
消耗依存メカニズムが、PS出現に関与し、さらにそれが
赤血球の老化過程におけるBLOX-1−CHO結合能力の増加
も阻害することを示唆している(図9)。
【0077】さらにPSを含むリン脂質リポソームは、PC
(フォスファチジルコリン)リポソームが影響がなかっ
たにもかかわらず、老化赤血球及びapoptotic HL-60のB
LOX-1-CHO及びBAEへの結合を阻害した(図10から図1
3に示す)。PSリポソームによる阻害は濃度依存的であ
り、完全な阻害はトータルリン脂質が1μMで達成され
た。阻害は、PSリポソームだけでなく、PIを含有するal
onic liposomes, フォスファチジル酸, フォスファチジ
ルグリセロールとcardiolipinもまた老化赤血球結合を
阻害したが(図12)、一方、フォスファチジルエタノ
ールアミンやスフィンゴミエリンのような中性リン脂質
で構成するリポソームでは結合が阻害されなかった(図
13)。
【0078】これらのネガティブリン脂質を含むリポソ
ームは単に競合しなかっただけでなく、BLOX-1-CHOによ
っても取り込まれなかった。これらの結果からLOX-1は
老化あるいはアポトーシスの過程で形質膜上に出現する
PSあるいは他の陰イオン性リン脂質を認識するものと考
えられた。上記試験から、貪食活性のほとんどはLOX-1
により仲介されることが示された(抗体阻害の効果から4
分の3と推定される)。マクロファージのCD36(J. Cli
n. Invest., 90, 1513-1522, 1989)やクラスAスカベン
ジャーレセプター(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93,12
456-12460(1996))を含むいくつかの受容体は、老化/a
poptotic細胞に結合し、そして/あるいは貪食すること
が報告されている。また、それらは異なる細胞の異なる
アポトーシスや老化の段階において異なる細胞種を認識
するものと考えられている。マクロファージとは対照的
に内皮細胞中でより低分子量が過剰なのは、LOX-1が、
血液細胞, 平滑筋細胞や内皮細胞自身などの内皮細部の
周りのapoptotic細胞への変化を認識するのに最適であ
ることを示唆している。
【0079】興味深いことに、上述した受容体は酸化LD
Lに結合することが知られている(J. Bio. Chem., 268,
11811-11816(1993), Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 8
8, 4931-4935(1991))。酸化LDLは、apoptotic細胞に特
異的に発現される、例えばPSと似た構造を有するのかも
しれない。PSは、Peritoneal macrophages(Proc. Natl.
Acad. Sci. USA., 92, 1396-1400(1995))やsertori細
胞(J. Biol. Chem.,272, 2354-2358(1997))によるapopt
otic細胞の貪食の競合的阻害剤として報告されている
が、CD36やクラスAスカベンジャーレセプターにより仲
介される貪食でのPSによる阻害は、はっきりしていな
い。CD36に関しては、対立する報告がされている。Ryeo
mら(J. Biol. Chem.,271,20536-20539(1996))は、apo
ptotic photoreceptor outer segmentのretinal pigmen
t epithelium中のCD36への結合がPSによって阻害される
ことを示した。一方、Fasokら(J. Immunol., 149, 4029
-4035(1992))は、αvβAインテグリン/CD36により仲
介される単球由来のマクロファージによる貪食はPSによ
り阻害されないことを報告している。後者の貪食は、む
しろthrombospondin(J. Immunol.,149, 4029-4035(199
2))のRGDS配列に依存している。Macrosialinはマクロ
ファージ中のPSと酸化LDLに結合することから、貪食の
候補分子と考えられている。しかしながら、発現システ
ムを用いた直接的な証拠はこれまでのところ報告されて
いない(Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,92, 9580-9584(1
995)。上記試験から、PSと酸化LDLが、形質転換細胞と
ネイティブ内皮細胞において、LOX-1により仲介される
貪食が阻害されることが示された。また、LOX-1がマク
ロファージを含めた数種類の細胞中で発現されることか
ら、LOX-1が他の細胞中の貪食システムの一部を担う示
唆が示された。
【0080】細胞表面のPSのプロ凝固(procoagulant)
活性の点で、apoptotic細胞は血液凝固の焦点とされて
いる(Lupus., 5, 480-487(1996), Proc. Natl. Acad. S
ci.USA., 93, 1624-1629(1996))。血液の非凝固を保つ
ために、PSを細胞表面に曝している細胞は循環系から取
り除かれなければならない。この機能は網内皮細胞のシ
ステムに大きく依存するが、上記試験は血管内皮細胞に
おけるin situ除去システムの重要性を示唆する。LOX-1
は進化の過程で内皮細胞の非凝固活性を仲介する1つの
分子として生じたものかもしれない。酸化LDLにより阻
害されるLOX-1の非凝固活性が動脈硬化の病因生理血栓
症促進において考慮される必要があると考えられる。除
去されるべき老化/apoptotic細胞の循環は、例えば、
動脈硬化の病因生理を調節する免疫状態(Immunol. let
t.,43, 125-132(1994))のような生理的ホメオスタシス
に影響を与えることも考えられる。レクチン類似分子が
老化/apoptotic細胞の貪食システムに関与すると考え
られている(Immunology 56, 351-358(1985), FEBS Let
t.,296, 174-178(1992), J.immunol.,153, 3218-3227(1
994))。炭水化物に対する結合特異性をさらに分析する
必要はあるが、レクチン類似構造を有するLOX-1は、貪
食システムの貪食に関与するかもしれない。つまり、上
記試験においては、LOX-1を内皮細胞中での老化/apopt
otic細胞の貪食受容体として同定し、LOX-1がアポトー
シス過程における最も初期の段階である、細胞表面への
PS出現を認識することを同定した。
【0081】
【実施例】実施例1 酸化LDL受容体への結合 前述の参考例と同様にして、ヒト血小板のウシLOX-1−C
HOへの結合を解析した。図14に示すとおり、ネイティ
ブ血小板のLOX-1への結合(図14(a))に比べ、トロン
ビンにより活性化された活性化血小板のLOX-1の結合が
有意に高いことが見出された。また、このトロンビンに
よる活性化血小板のLOX-1への結合は、フォスファチジ
ルコリンリポソーム(100μg/ml)により約81%阻害さ
れるが阻害された。一方、フォスファチジルコリンリポ
ソーム(100μg/ml)では、約12%しか阻害されなかっ
た。図15に示すとおり、血小板のLOX-1への結合は、
酸化LDL濃度に反比例して低減した。
【0082】図17に示すとおり、LOX-1を発現してい
ない野生型CHOでは、トロンビンの有無に拘らず血小板
の細胞への結合は確認されないが、LOX-1を発現するCHO
細胞では、トロンビンの存在により血小板が有意に細胞
に結合した。図18に示すとおり、トロンビンにより活
性化された活性化血小板のLOX-1-CHOへの結合は、トロ
ンビンの濃度に依存して増加した。また、コラーゲン
(20μg/ml)により活性化させた活性化血小板も、トロ
ンビンの場合と同様にLOX-1-CHOに有意に結合した。
【0083】次に、この活性化血小板のLOX-1−CHOへの
結合が、抗LOX-1抗体により阻害されるか否かを、前記
の実施例と同様に解析した。図16に示すとおり、活性
化血小板のLOX-1−CHOへの結合及び貪食は、抗LOX-1抗
体により有意に阻害された。また、BAE細胞を用いて
前記実施例と同様にして行った試験においても、活性化
血小板のBAEへの有意な結合が確認された(蛍光強
度:150.94±10.21)。一方、この結合は、抗LOX-1抗体
により有意に阻害された(蛍光強度:56.44±14.71、阻
害率:63.3%)。なお、対照IgG抗体を用いた場合に
は、該結合はほとんど阻害されなかった(蛍光強度:14
4.89±11.93、阻害率:4.0%)。
【0084】実施例2 血小板及び活性化血小板の血管
内皮細胞及びBLOX1-CHOへの結合及び/または取り込み <I.材料及び方法> <1>血小板の調製 Baenzinger及びMajerusらの標準的方法に従って、血小
板を単離した(MethodsEnzymol., Vol.31, p.149-155,
1974)。簡便に述べると下記のとおり。健常人の血液を
3.8%クエン酸ナトリウム(9:1)中に回収した。血
液を、遠心(200×g、15分)し、血小板に富んだ血症
(Platelet-rich plasma; PRP)を得た。PRPに酸/クエ
ン酸/デキストロース(ACD:2.5% trisodium citrate、
1.5%クエン酸、及び2%グルコース;PRP:ACD=9:1)
を遠心(1000×g、15分)し、洗浄PRPを得た。ペレット
を1μg/mlのPGE1(Sigma製)を含むHepes-Tyrode's緩衝
液(10mMのHepes、137mMのNaCl、2.68mMのKCl、0.42mM
のNaH2PO4、1.7mMのMgCl2、11.9mMのNaHCO3及び5mMのグ
ルコース)中に懸濁した。ペレット懸濁液を、遠心(10
00×g、15分)した。得られたペレットを、Hepes-Tyrod
e's緩衝液中に再懸濁させ、これを洗浄血小板として使
用した。
【0085】<2>細胞 BLOX-CHOは、前記参考例と同様にして作製した。BLOX1-
CHO及び親細胞株であるCHO-K1は、湿度95%、5%CO2
及び37℃の条件下で、Ham's F12培地(Gibco製)中で維
持した。但し、当該培地には、100U/mlのペニシリン
G、100μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlのamph
otericin-B(Gibco製)、及び10%ウシ胎児血清を添加
した。各々の細胞は、アッセイの前に24穴マイクロプレ
ートに蒔いた。ウシ大動脈内皮細胞(Bovine aortic en
dothelial cell;BAE)は、既報と同様にして調製した
(Nature, Vol.386, p.73-77, 1997)。BAEは、湿度95
%、5%CO2、及び37℃の条件下で、Dulbecco's modifie
d Eagle's培地(DMEM)(Gibco製)中で維持した。但
し、当該培地には、100U/mlのペニシリンG、100μg/m
lストレプトマイシン、0.25μg/mlのamphotericin-B(G
ibco製)、及び20%ウシ胎児血清を添加した。BAEは、
アッセイの2日前に24穴マイクロプレートに蒔いた。
【0086】<3>血小板結合アッセイ 血小板を、1μMのCalcein-AM(Molecular Probe社製)
とともに37℃で30分間インキュベーションすることによ
りCalceinで蛍光標識した。次いで蛍光標識血小板を、
0.3%BSA(Sigma製)を含むHepes-Tyrode's緩衝液で2回
洗浄することにより過剰のCalcein-AMを除去した。次い
で、10%新生児ウシ血清(Gibco製)を含むHepes-Tyrod
e's緩衝液中で血小板の密度を1×108個/mlの調整し
た。BLOX1-CHO及びCHO-K1の各々を、栄養培地で2回洗浄
し、血小板とともに37℃で60分間インキュベーションし
た。リン酸緩衝液で細胞を洗浄して、細胞に結合しなか
った血小板を除去した。細胞を、ハーベストし、フロー
サイトメーター(FACS Calibur; Becton-Dikinson製)
で分析した。各々の細胞への血小板の結合の程度は、細
胞数10,000個に対する蛍光強度(FL-1-H;励起515-545n
m)で表した。BAEを栄養培地で2回洗浄し、血小板とと
もに37℃で180分間インキュベーションした。リン酸緩
衝液で細胞を洗浄して、細胞に結合しなかった血小板を
除去した。細胞を、ハーベストし、フローサイトメータ
ー(FACS Calibur; Becton-Dikinson製)で分析した。
各々の細胞への血小板の結合の程度は、細胞数10,000個
に対する蛍光強度(FL-1-H;励起515-545nm)で表し
た。但し、後述する幾つかのアッセイにおいては、血小
板を加える10分前に抗LOX-1抗体または対照マウス抗体
(Vector製)を加えた。
【0087】<4>血小板の細胞内への取込(貪食)ア
ッセイ BLOX1-CHOまたはCHO-K1細胞を、上記と同じ蛍光物質と
ともにインキュベーションすることにより蛍光標識し
た。細胞に結合しなかった血小板を除去した後、細胞を
4℃に冷却し、Dil標識酸化LDLとともに4℃で30分間イン
キュベーションして、形質膜を可視化し、直ちに4%ホ
ルムアルデヒドで固定化した。次いで、細胞を同焦点レ
ーザー顕微鏡(Biorad製)に供した。
【0088】<5>活性化血小板の結合アッセイ 洗浄血小板を、後述の図面の説明において示した試薬で
室温下で10分間刺激した後、FITC標識抗CD41aモノクロ
ーナル抗体(Pharmingen製)で染色した。染色の強度
は、休止血小板と活性化血小板との間で差異はなかっ
た。BLOX1-CHOを、血小板とともに37℃で60分間インキ
ュベーションした。細胞への血小板の結合を、上述と同
様にしてフローサイトメーターで分析した。但し、後述
すついくつかのアッセイにおいては、血小板を加える10
分前に、リン脂質リポソームまたはリポ蛋白を加えた。
【0089】<6>BAEでのエンドセリン1(ET-1)
産生アッセイ 洗浄血小板の最終濃度を、2%新生児ウシ血清を含むHep
es-Tyrode's緩衝液(休止血小板)中で5×107個/ml
に調整した後、1U/mlのトロンビンまたは20μg/mlのコ
ラーゲン(活性化血小板)で刺激した。20分後、ヒルジ
ン(Calibiochem製)を加え、最終濃度を1U/mlとしト
ロンビンを不活性化した。次いで、BAEを、血小板とと
もに37℃で180分間インキュベーションした。栄養培地
で洗浄した後、BAEを、0.2%BSA含有DMEM培地中で20時
間インキュベーションした。培養上清を回収し、ET-1の
濃度を既報に従ってサインドイッチELISAにより測定し
た(J. Immunol. Methods, Vil.127, p.165-170, 199
0)。但し、いくつかのアッセイにおいては、血小板を
加える10分前に抗LOX-1抗体または対照マウスIgG(10μ
g/ml)をBAEに加えた。
【0090】<7>プロトロンビン活性化 BLOX1-CHO及びCHO-K1の各々の細胞を、10μg/mlの抗LOX
-1抗体の存在下または非存在下で30分間前培養した。細
胞を、Ham's F12培地で3回洗浄し、10mMのTris-HCl(pH
7.4)及び150mMのNaClで10倍に希釈した250μlのPRP
(Platelet-richplasma)とともにインキュベーション
した。次いで、トロンビンに対するfluoregenicな基質
である、butyloxycarbonyl-Val-Pro-Arg-methylcoumary
lamide(15nmolのペプチド研究所製)を含む90mMのCaCl
2(50μl)を細胞に加えた。トロンビンの活性化を、30
分間に放出されるアミノメリルクマリンの量を測定する
ことにより定量した。
【0091】<8>リポ蛋白 ヒトLDL(d=1.019-1.063)を、既報に従った濃度勾配超
遠心により新鮮なヒト血漿から単離した(Natire, Vol.
386, p.73-77, 1997)。LDLを、7.5μMのCuSO4に37で20
時間曝すことにより3mg蛋白/mlの濃度で酸化した。当該
酸化は、tiobarbituric acid反応性物質(10.7nmol/mg
蛋白)の量の計測、並びに天然LDLとの比較におけるゲ
ル電気泳動状態(相対的ゲル電気泳動状態:3.25)をモ
ニターすることにより行った。酸化LDLを、1,1'-diocta
decyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarbocyanine perchl
orate(Dil)(Molecular Probe社製)で標識した。
【0092】<9>リン脂質リポソームの調製 リン脂質、フォスファチジルコリン及び遊離コレステロ
ール(1:1:1)でクロロフォルム中に混合し、窒素
ガス中で乾燥した。乾燥した脂質を、リン酸緩衝液中に
再懸濁させ、最終濃度を10mMとし、10分間超音波処理し
た。
【0093】<II.図面の説明> <図19及び図20>LOX-1発現細胞への血小板の結合 Calceinで標識した血小板の結合(緑色)がBLOX-CHO
(左)で観察されたが、CHOK1(右)では観察されなか
った(図19)。同焦点顕微鏡下では、BLOX1-CHOに随
伴した血小板の消失が観察された。形質膜をDilで可視
化(赤色)し、血小板をcalceinで標識した(緑色)。
血小板は、形質膜上だけでなく、細胞内にも検出された
(図20)。 <図21及び図22>LOX-1に対する中和抗体はBLOX1-C
HO(図21)またはBAE(図22)への血小板の結合を
阻害した。血小板の結合は、抗LOX-1抗体で有意に阻害
されたが(p<0.01)、対照IgGでは阻害されなかった。
細胞への血小板の結合は、細胞10,000個に対する蛍光強
度で表した。データは、3回の試験の平均値(及び標準
偏差)である。
【0094】<図23>血小板のLOX-1への結合は血小
板の活性化の程度に依存して起こる。血小板のBLOX1-CH
Oへの結合は、アゴニストによる刺激の後に観察され
た。トロンビンの場合には、トロンビンの濃度に依存し
て血小板の結合が増強された。またコラーゲンによる刺
激によっても増強された。 <図24>トロンビンにより増強された血小板の細胞へ
の結合に対するリン脂質の効果。リン脂質リポソーム
は、血小板のBLOX1-CHOへの結合を顕著に阻害したが、
pホスファチジルコリンリポソームは阻害しなかった。 <図25>酸化LDLは、血小板のBLOX1-CHOへの結合
を用量依存的に阻害したが、天然LDLは阻害しなかっ
た。値は、リポ蛋白を加えない場合の血小板の結合率と
して表した。
【0095】<図26>BAEを休止血小板、またはトロ
ンビン若しくはコラーゲンで刺激した活性化血小板とと
もに3時間インキュベーションした。20時間の間にBAEか
ら放出されるエンドセリン−1(ET-1)の量をELISAで測
定した。抗LOX-1抗体は、活性化血小板により増強され
るET-1の産生を有意に阻害した。活性化血小板の培養上
清は、血小板自体と比べ限られた効果しか有しなかっ
た。データは、3回の試験の平均値(及び標準偏差)で
ある。 <図27>血漿中でのトロンビンの産生に対する血小板
とLOX-1との相互作用の効果。血小板に富んだ血漿(PR
P)中のトロンビン活性は、BLOX1-CHOとともにインキュ
ベーションすることにより有意に増強された。トロンビ
ン活性は、fluorogenicな基質の解離(30分間)の程度
を測定することにより求めた。データは3回の試験の平
均値(及び標準偏差)である。
【0096】<III.結果>酸化LDLは、血管内皮細胞
を、抗血液凝固(anti-coagulant)の状態から血液凝固
(coagulant)の状態に変化させ、血小板と血管内皮細
胞との相互作用を増強させることが知られている(Cur
r. Opin. Lipidol., Vol.8, p.320-328, 1997)。本発
明者らは、この血小板と血管内皮細胞との相互作用への
LOX-1の関わり、並びにLOX-1の血栓形成系への関与につ
いて研究することを試みた。Calceionで蛍光標識した血
小板をLOX-1を安定に発現する細胞(BLOX1-CHO)または
親細胞株CHO-K1とともにインキュベーションした。蛍光
顕微鏡での計測により、BLOX1-CHOの細胞表面に極めて
多数の血小板が結合するが、CHO-K1には結合しないこと
が明らかとなった(図19)。次に、細胞に結合した血小
板の行く末を調べるために、当該細胞を血小板とともに
インキュベーションした後、同焦点顕微鏡で観察した。
細胞を固定化した後、細胞の形質膜をDilで標識して可
視化した(図20、赤色)。血小板から放出される蛍光シ
グナル(図20、緑色)は、形質膜上のみならず、細胞内
においても検出された。これにより、LOX-1が、血小板
を結合するだけでなく、血小板の貪食も行うことが示さ
れた。
【0097】次に、血小板の細胞への結合により引き起
こされる蛍光シグナルの増強をフローサイトメーターで
定量することにより、血小板のLOX-1への結合を阻害す
る抗体をスクリーニングした。その結果、LOX-1に対す
るモノクローナル抗体は、BLOX1-CHOへの血小板の結合
を阻害した(図21)。一方、LOX-1に無関係の抗体)LOX
-1に反応しない抗体)は、血小板とBLOX1-CHOとの結合
に何ら影響を与えなかった。同様に、LOX-1に対する阻
害抗体は、血管内皮細胞への血小板の結合を有意に減少
させた(図22)。このことから、LOX-1は、血管内皮細
胞においてある重要な役割を担っていることが示され
た。驚くべきことに、血管内皮細胞上には、血小板と血
管内皮細胞との結合に関与する他の分子(例えば、P-Se
lectin、ICAM-1、PECAM-1)が存在すると考えられるに
も拘らず、抗LOX-1抗体による阻害の程度は、50%以上
であった。当該LOX-1以外の分子は、血管内皮細胞上で
の白血球の接着、及びローリング、並びに白血球の組織
への浸潤の様々なステップにおいて関与することが知ら
れている。従って、LOX-1は、血小板と血管内皮細胞と
の相互作用における特定なステップにおいて、他の分子
と共同して役割を演ずるものと考えられる。
【0098】血小板のLOX-1への結合のメカニズムを詳
細に解析するために、その結合が血小板の活性化の程度
に依存するか否かを検討した(図23)。血小板を、トロ
ンビンで刺激した後、BLOX1-CHOとともにインキュベー
ションした。その結果、血小板の細胞への結合は、トロ
ンビンの濃度に依存して増加した。また、血小板に対す
る他のアゴニスト(血小板の活性化剤)であるコラーゲ
ンでも、血小板の結合が増強された。血小板に対するア
ゴニストであるトロンビン、コラーゲン及びトロンボキ
サンA2は、フォスファチジルセリン(PS)の血小板の細
胞表面への外出化(externalization)を誘導すること
が知られている(J. Biol. Chem., Vol.265, p.17420-1
7423, 1990)。PSは、通常は、血小板の形質膜の脂質の
二重層中の内部リーフレット(inner leaflet)に局在
している。そこで、LOX-1への血小板の結合に対して、P
Sが競合するか否かを調べた。図24に示されるとおり、
培地中にPSを加えると、血小板の細胞への結合がほぼ完
全に阻害された。一方、LOX-1のリガンドではないフォ
スファチジルコリン(PC)の場合には阻害されなかっ
た。これらの結果を併せると、活性化血小板の細胞表面
上のPSが活性化血小板のLOX-1への結合の決定基である
と考えることができる。
【0099】LOX-1の生体内リガンドとして最初に見出
された酸化LDLも血小板のLOX-1への結合を、部分的では
あるが競合的に阻害した(図25)。このことから、LOX-
1への親和性は、酸化LDLよりも血小板の方が高いことを
意味している。また、酸化LDLと血小板は、血管内皮細
胞において各々の受容体としてLOX-1を共有しているこ
とが示された。これらの知見に基づき、LOX-1と血小板
との相互作用が細胞内活性化及び細胞機能不全を誘導す
るか否かを調べた。図26に示されるとおり、BAEを活性
化血小板とともにインキュベーションすると、BAEから
のET-1の放出が増大される。一方、休止血小板ではその
増大が認められなかった。活性化血小板におけるET-1に
放出のい増大は、抗LOX-1抗体により有意に阻害され
た。ET-1の産生に対する効果については、血小板から放
出されるメディエーターを含む活性化血小板の培養液の
効果は、活性化血小板自身の効果に比べ非常に小さいも
のであった。LOX-1は、内皮細胞が血小板と直接接触す
ることにより媒介される血管内皮細胞の活性化の過程に
おいて関与する可能性を有している(Circ. Res., Vol.
69, p.832-841, 1991)。興味深いことに、高コレステ
ロール血症マウスでは、ET-1の作用を阻害すると血管内
皮の機能が弱まることが報告されている(Hypertensio
n, Vol.31, p.499-504, 1998)。高コレステロール血症
においてはLOX-1の発現が増強されていることから、LOX
-1を介したアテローム性分子の産生の増大は、動脈硬化
症の進行に重大な影響を与えている可能性があると考え
られる。
【0100】そこで、血小板とLOX-1との相互作用が血
液凝固系に与える影響を調べるために、BLOX1-CHOに血
小板に富んだ血漿(PRP)を直接加えた場合の、PRP中の
トロンビン活性を分析した(図27)。トロンビン活性
は、野生型CHO-K1に比べBLOX1-CHOにおいて著しく高い
ものであった。この増大されたトロンビン活性は、抗LO
X-1抗体で有意に阻害された。一方、対照IgGでは阻害さ
れなかった。この結果及びPSが血液凝固カスケードに関
与する事実から、LOX-1は、血小板に結合するだけでは
なく、おそらくPSとの結合活性により血液凝固系の活性
化にも関与することが理解される。従って、LOX-1は、
血管の止血システム及び血栓形成システムの調節因子と
しの役割が示唆される。
【0101】実施例3 抗LOX-1抗体のLPS誘発血小板減
少症に対する治療学的効果 Sprague-Dawleyラット(雄5乃至7週齢、JCL製)に、生
理食塩水にて1mg/mlに調整したLPS(リポ多糖;Sigma
製)を3mg/kgの濃度で腹腔内投与した。LPSの投与の直
後に、生理食塩水にて1mg/mlに調整した抗LOX-1抗体ま
たはLOX-1に反応性を有しない対照抗体を5mg/kgの濃度
で静脈内投与した。またLPS及び抗体のいずれも投与し
ないラットを正常対照として用いた。LPS投与前、並び
にLPS投与から2時間後に採血し、自動血球測定装置Sys
mex F800(日本光電製)により血中血小板数を測定し
た。結果を図28に示す。対照抗体投与群では、LPS投与
から2時間後に血小板の減少が起こった。一方、抗LOX-1
抗体投与群では、その血小板の減少が有意に抑制され
た。
【0102】実施例4 抗LOX-1抗体のLPS誘発肺障害に
対する治療学的効果 Sprague-Dawleyラット(雄6乃至7週齢、各群6匹、SLC
製)に、抗LOX-1抗体(2、5、10mg/kg)または生理食
塩水(5mg/kg)を静脈内投与した。次いで、ペントバル
ビタール(30乃至50mg/kg, i.p.)で麻酔し、抗体(ま
たは生理食塩水)の静脈内投与から1時間後に、生理食
塩水にて調整したLPS(リポ多糖;Sigma製)を1mg/kgの
濃度で経気道的に投与した。対照群である正常ラットに
は生理食塩水を経気道的に投与した。LPS投与から24時
間後に、各ラットをエーテル麻酔下で開腹し、腹部大動
脈を切断し、放血死させた。次いで、咽頭部を切開し、
気道にカットダウンチューブ(JMS製)を挿入した。該
チューブを通じて5mlシリンジで0.05mMのEDTAを含有す
る生理食塩水、即ちBALF(肺胞液)回収液(5ml)を注
入し15回シリンジを往復させてBALFを回収した。回収し
たBALFを氷冷保存した後、遠心(1000rpm、10分、4℃)
し、遠心上清をデカントにて除去し、0.5mlのBALF回収
液を加え軽く懸濁させた。この懸濁液に含まれる白血球
数を、自動血球測定装置Sysmex F800(日本光電製)で
計測した。結果を図29に示す。抗LOX-1抗体投与群で
は、組織に浸潤する白血球数を抗体濃度依存的に有意に
抑制した。驚くべきことに、抗体濃度が10mg/kgでは、
白血球の組織浸潤を約50%阻害した。
【0103】実施例5 抗LOX-1抗体のLPS誘発炎症に対
する治療学的効果 Sprague-Dawleyラット(200g、SLC製)に、抗LOX-1抗体
(10mg/kg)または生理食塩水(10mg/kg)を静脈内投与
した。次いで、抗体(または生理食塩水)の静脈内投与
から1時間後に、生理食塩水にて調整したLPS(リポ多
糖;Sigma製)を1mg/kgの濃度で足底に投与した。対照
群である正常ラットには生理食塩水を足底に投与した。
LPS投与から12時間後に、各ラットから常法に従って採
血し、眼前房に浸潤した白血球数を、自動血球測定装置
Sysmex F800(日本光電製)で計測した。また、眼前房
に漏出した総蛋白量を測定した。結果を図30及び図31に
示す。抗LOX-1抗体投与群では、眼前房組織に浸潤する
白血球数並びに漏出する蛋白量を有意に抑制した。
【0104】実施例6 抗LOX-1抗体のPTCAの術後再狭
窄に対する治療学的効果 Sprague-Dawleyラット(雄約300g、SLC製)をペントバ
ルビタール(30乃至50mg/kg, i.p.)で麻酔した。外科
手術により頚動脈及び外頚を露出させ、両動脈を一時的
に結合させ血流を一時的に止めた。次いで、外頚動脈に
穴を空け、2Fバルーンカテーテル(Baxter製)を挿入
し、0.4mlの空気を送り込み、その圧力で血管を内膜を3
回擦った。次いで、外頚動脈を縛り、一時的に結合させ
ておいた頚動脈と内頚動脈を解き血流を再開させた。手
術部位を縫い合わせ、直ちに抗LOX-1抗体(10mg/kg)を
静脈内投与した。その後3日毎に4回ずつ抗体(10mg/k
g)を静脈内投与した。2週間後、ラットを再度ペントバ
ルビタール(30乃至50mg/kg, i.p.)で麻酔し、4%ホル
ムアルデヒド/リン酸緩衝液で還流固定を行い、頚動脈
を取り出した。頚動脈をパラフィンで包埋し、1つのサ
ンプルから6つの切片を作成し、エラスチカ・ワンギー
ソン染色を行った。NIH analyze systemを用いて、各切
片の血管内膜の肥厚の状態を評価した。内膜と中膜の面
積の比を算出し、有意な肥厚が見られる2つの切片を選
びその平均をそのサンプルの肥厚量とした。結果を図32
に示す。抗LOX-1抗体により、PTCAの術後再狭窄が有意
に抑制された。
【0105】
【発明の効果】本発明の医薬組成物は、酸化LDL受容
体の動態異常、血小板及び活性化血小板の酸化LDL受
容体への結合、及び/またはそれらの酸化LDL発現細
胞内への取込(貪食)に起因する種々疾患、病変過程に
おいて白血球の組織への浸潤を伴う種々の疾患(例え
ば、炎症)、種々の炎症、動脈硬化症、PTCRやPTCA等の
術後の血管再狭窄などの種々の疾患の予防及び治療にお
いて有用である。また、本発明に包含されるヒト酸化L
DL受容体に対するヒト抗体を含んでなる医薬組成物
は、マウス由来の抗体をヒトに投与する際のアレルギー
等の副作用を全く惹起しないことから医薬品として極め
て有用である。
【0106】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Tobacco,Inc. <120> Pharmaceutical composition comprising an antibody which binds to oxidized LDL receptor <130> J99-0253 <140> <141> <150> JP P1998-222678 <151> 1998-08-06 <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 273 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Met Thr Phe Asp Asp Leu Lys Ile Gln Thr Val Lys Asp Gln Pro Asp 1 5 10 15 Glu Lys Ser Asn Gly Lys Lys Ala Lys Gly Leu Gln Phe Leu Tyr Ser 20 25 30 Pro Trp Trp Cys Leu Ala Ala Ala Thr Leu Gly Val Leu Cys Leu Gly 35 40 45 Leu Val Val Thr Leu Met Val Leu Gly Met Gln Leu Ser Gln Val Ser 50 55 60 Asp Leu Leu Thr Gln Glu Gln Ala Asn Leu Thr His Gln Lys Lys Lys 65 70 75 80 Leu Glu Gly Gln Ile Ser Ala Arg Gln Gln Ala Glu Glu Ala Ser Gln 85 90 95 Glu Ser Glu Asn Glu Leu Lys Glu Met Ile Glu Thr Leu Ala Arg Lys 100 105 110 Leu Asn Glu Lys Ser Lys Glu Gln Met Glu Leu His His Gln Asn Leu 115 120 125 Asn Leu Gln Glu Thr Leu Lys Arg Val Ala Asn Cys Ser Ala Pro Cys 130 135 140 Pro Gln Asp Trp Ile Trp His Gly Glu Asn Cys Tyr Leu Phe Ser Ser 145 150 155 160 Gly Ser Phe Asn Trp Glu Lys Ser Gln Glu Lys Cys Leu Ser Leu Asp 165 170 175 Ala Lys Leu Leu Lys Ile Asn Ser Thr Ala Asp Leu Asp Phe Ile Gln 180 185 190 Gln Ala Ile Ser Tyr Ser Ser Phe Pro Phe Trp Met Gly Leu Ser Arg 195 200 205 Arg Asn Pro Ser Tyr Pro Trp Leu Trp Glu Asp Gly Ser Pro Leu Met 210 215 220 Pro His Leu Phe Arg Val Arg Gly Ala Val Ser Gln Thr Tyr Pro Ser 225 230 235 240 Gly Thr Cys Ala Tyr Ile Gln Arg Gly Ala Val Tyr Ala Glu Asn Cys 245 250 255 Ile Leu Ala Ala Phe Ser Ile Cys Gln Lys Lys Ala Asn Leu Arg Ala 260 265 270 Gln <210> 2 <211> 270 <212> PRT <213> Bovine <400> 2 Met Thr Val Asp Asp Pro Lys Gly Met Lys Asp Gln Leu Asp Gln Lys 1 5 10 15 Pro Asn Gly Lys Thr Ala Lys Gly Phe Val Ser Ser Trp Arg Trp Tyr 20 25 30 Pro Ala Ala Val Thr Leu Gly Val Leu Cys Leu Gly Leu Leu Val Thr 35 40 45 Val Ile Leu Leu Ile Leu Gln Leu Ser Gln Val Ser Asp Leu Ile Lys 50 55 60 Lys Gln Gln Ala Asn Ile Thr His Gln Glu Asp Ile Leu Glu Gly Gln 65 70 75 80 Ile Leu Ala Gln Arg Arg Ser Glu Lys Ser Ala Gln Glu Ser Gln Lys 85 90 95 Glu Leu Lys Glu Met Ile Glu Thr Leu Ala His Lys Leu Asp Glu Lys 100 105 110 Ser Lys Lys Leu Met Glu Leu His Arg Gln Asn Leu Asn Leu Gln Glu 115 120 125 Val Leu Lys Glu Ala Ala Asn Tyr Ser Gly Pro Cys Pro Gln Asp Trp 130 135 140 Leu Trp His Glu Glu Asn Cys Tyr Gln Phe Ser Ser Gly Ser Phe Asn 145 150 155 160 Trp Glu Lys Ser Gln Glu Asn Cys Leu Ser Leu Asp Ala His Leu Leu 165 170 175 Lys Ile Asn Ser Thr Asp Glu Leu Glu Phe Ile Gln Gln Met Ile Ala 180 185 190 His Ser Ser Phe Pro Phe Trp Met Gly Leu Ser Met Arg Lys Pro Asn 195 200 205 Tyr Ser Trp Leu Trp Glu Asp Gly Thr Pro Leu Thr Pro His Leu Phe 210 215 220 Arg Ile Gln Gly Ala Val Ser Arg Met Tyr Pro Ser Gly Thr Cys Ala 225 230 235 240 Tyr Ile Gln Arg Gly Thr Val Phe Ala Glu Asn Cys Ile Leu Thr Ala 245 250 255 Phe Ser Ile Cys Gln Lys Lys Ala Asn Leu Leu Arg Ala Gln 260 265 270 <210> 3 <211> 1897 <212> DNA <213> Bovine <220> <221> 5'UTR <222> (1)..(34) <220> <221> CDS <222> (35)..(847) <220> <221> 3'UTR <222> (848)..(1897) <220> <221> polyA_signal <222> (1859)..(1864) <220> <221> polyA_site <222> (1880)..(1897) <400> 3 gcttcactct ctcattcttg gaatacattt gaaa atg act gtt gat gac ccc 52 Met thr Val Asp Asp Pro 1 5 aag ggt atg aaa gat caa ctt gat cag aag cca aat ggc aag aca gca 100 Lys Gly Met Lys Asp Gln Leu Asp Gln Lys Pro Asn Gly Lys Thr Ala 10 15 20 aaa ggt ttt gtt tcc tct tgg agg tgg tac cct gct gct gtg act cta 148 Lys Gly Phe Val Ser Ser Trp Arg Trp Tyr Pro Ala Ala Val Thr Leu 25 30 35 ggg gtc ctt tgt ctg gga tta ctg gtg act gtt ata ttg ttg ata ctg 196 Gly Val Leu Cys Leu Gly Leu Leu Val Thr Val Ile Leu Leu Ile Leu 40 45 50 caa tta tcc cag gtc tct gat ctc ata aag aaa cag caa gca aat att 244 Gln Leu Ser Gln Val Ser Asp Leu Ile Lys Lys Gln Gln Ala Asn Ile 55 60 65 70 act cac cag gaa gat atc ctg gag gga cag att tta gcc cag cgc cga 292 Thr His Gln Glu Asp Ile Leu Glu Gly Gln Ile Leu Ala Gln Arg Arg 75 80 85 tca gaa aaa tct gcc cag gag tca cag aag gaa ctc aaa gaa atg ata 340 Ser Glu Lys Ser Ala Gln Glu Ser Gln Lys Glu Leu Lys Glu Met Ile 90 95 100 gaa acc ctt gcc cac aag ctg gat gag aaa tcc aag aaa cta atg gaa 388 Glu thr Leu Ala His Lys Leu Asp Glu Lys Ser Lys Lys Leu Met Glu 105 110 115 ctt cac cgc cag aac ctg aat ctc caa gaa gtt ctg aaa gag gca gca 436 Leu His Arg Gln Asn Leu Asn Leu Gln Glu Val Leu Lys Glu Ala Ala 120 125 130 aac tat tca ggt cct tgt ccc caa gac tgg ctc tgg cat gaa gaa aac 484 Asn Tyr Ser Gly Pro Cys Pro Gln Asp Trp Leu Trp His Glu Glu Asn 135 140 145 150 tgt tac caa ttt tcc tct ggc tct ttt aat tgg gaa aaa agc cag gag 532 Cys Tyr Gln Phe Ser Ser Gly Ser Phe Asn Trp Glu Lys Ser Gln Glu 155 160 165 aac tgc ttg tct ttg gat gcc cac ttg ctg aag att aat agc aca gat 580 Asn Cys Leu Ser Leu Asp Ala His Leu Leu Lys Ile Asn Ser Thr Asp 170 175 180 gaa ctg gaa ttc atc cag caa atg att gcc cat tcc agt ttc ccc ttc 628 Glu Leu Glu Phe Ile Gln Gln Met Ile Ala His Ser Ser Phe Pro Phe 185 190 195 tgg atg ggg ttg tca atg agg aaa ccc aat tac tcg tgg ctt tgg gaa 676 Trp Met Gly Leu Ser Met Arg Lys Pro Asn Tyr Ser Trp Leu Trp Glu 200 205 210 gat ggt act cct ttg acg ccc cac ttg ttt aga att cag gga gct gtt 724 Asp Gly Thr Pro Leu Thr Pro His Leu Phe Arg Ile Gln Gly Ala Val 215 220 225 230 tcc cgt atg tat cct tca ggg acc tgt gca tat att caa agg gga act 772 Ser Arg Met Tyr Pro Ser Gly Thr Cys Ala Tyr Ile Gln Arg Gly Thr 235 240 245 gtt ttt gct gaa aac tgc att tta act gca ttc agt ata tgt caa aag 820 Val Phe Ala Glu Asn Cys Ile Leu Thr Ala Phe Ser Ile Cys Gln Lys 250 255 260 aag gcg aat cta ttg aga gca cag tga atttgaagga tctggaggaa 867 Lys Ala Asn Leu Leu Arg Ala Gln 265 270 aagaaggaaa cctttgaatt ctcttctgga atttaagcta tacttcatca cttagatgta 927 aaccattaga gcccagggaa atgcctgcta ctggttgagt gcagaactcc ttagcagaga 987 ctggcccagc tgcctggcac cttgatagca aaagttgcaa ttccctctgt atatttttcc 1047 ctaacttgtt ccaagtcctc ccctgcagga cttcagagaa gtcaattttt ctgtttccat 1107 tgtttctaag aacttgttgc ctaactcaag gtcacagcat ttttctcact tttgtcctat 1167 gctttcttct aggcattgta gagttttaga ttttacatgg aaatctagaa cttattttag 1227 attaatttct aagtgatata tggatgtatg gaagttttct gtttgttttt tgcttgtgag 1287 tattcaattg tttttgcaac atttgctgaa aagactattc ttccttcact acattgcctt 1347 tgcactgttg tcaacaatta tccatacatg cctggctcta tttctggatt ttctattcct 1407 ttccatttat ttatttatta ttcttggctt acaacatcac catgatattt tgaattctat 1467 ggttctttaa tatatcttgg aatcacatgg tagtagttat tcattgttgt tcttttttag 1527 agttgtttgg ttaatctatg cttttgtatt tctgtcttaa attggcttgt ccatttctaa 1587 aaaaacttga aattttgaat tgcactgaat ccatacataa atttagggaa aattgaattc 1647 ttaaaaatac tgatttgttc aactcatgaa aaaggtgtat tgctctattt aggtattcct 1707 tattttcttt aagcaatgct ttttaatgtt ctttgtgtag atattgttag attatcatca 1767 tgtatttcac attatttatg ctactgtaga tagtattgtt atcatttgtt gttcttattt 1827 tcaaagtctt ctgctagtat gtagaattat aataaagttt gatattaata ttaaaaaaaa 1887 aaaaaaaaaa 1897 <210> 4 <211> 1459 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Vector DNA of pCd5lneg1 containing genomic DNA comprising exons encoding a Fc region of human immunoglobulin IgG1 <400> 4 ctcgagatcc attgtgctct aaaggagata cccggccaga caccctcacc tgcggtgccc 60 agctgcccag gctgaggcaa gagaaggcca gaaacc atg ccc atg ggg tct ctg 114 Met Pro Met Gly Ser Leu 1 5 caa ccg ctg gcc acc ttg tac ctg ctg ggg atg ctg gtc gct tcc gtg 162 Gln Pro Leu Ala Thr Leu Tyr Leu Leu Gly Met Leu Val Ala Ser Val 10 15 20 cta gcg gat ccc gag ggtgagtact aagcttcagc gctcctgcct ggacgcatcc 217 Leu Ala Asp Pro Glu 25 cggctatgca gccccagtcc agggcagcaa ggcaggcccc gtctgcctct tcacccggag 277 cctctgcccg ccccactcat gctcagggag agggtcttct ggctttttcc caggctctgg 337 gcaggcacag gctaggtgcc cctaacccag gccctgcaca caaaggggca ggtgctgggc 397 tcagacctgc caagagccat atccgggagg accctgcccc tgacctaagc ccaccccaaa 457 ggccaaactc tccactccct cagctcggac accttctctc ctcccagatt ccagtaactc 517 ccaatcttct ctctgca gag ccc aaa tct tgt gac aaa act cac aca tgc 567 Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys 30 35 cca ccg tgc cca ggtaagccag cccaggcctc gccctccagc tcaaggcggg 619 Pro Pro Cys Pro 40 acaggtgccc tagagtagcc tgcatccagg gacaggcccc agccgggtgc tgacacgtcc 679 acctccatct cttcctca gca cct gaa ctc ctg ggg gga ccg tca gtc ttc 730 Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe 45 50 ctc ttc ccc cca aaa ccc aag gac acc ctc atg atc tcc cgg acc cct 778 Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro 55 60 65 gag gtc aca tgc gtg gtg gtg gac gtg agc cac gaa gac cct gag gtc 826 Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val 70 75 80 85 aag ttc aac tgg tac gtg gac ggc gtg gag gtg cat aat gcc aag aca 874 Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr 90 95 100 aag ccg cgg gag gag cag tac aac agc acg tac cgg gtg gtc agc gtc 922 Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val 105 110 115 ctc acc gtc ctg cac cag gac tgg ctg aat ggc aag gag tac aag tgc 970 Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys 120 125 130 aag gtc tcc aac aaa gcc ctc cca gcc ccc atc gag aaa acc atc tcc 1018 Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser 135 140 145 aaa gcc aaa ggtgggaccc gtggggtgcg agggccacat ggacagaggc 1067 Lys Ala Lys 150 cggctcggcc caccctctgc cctgagagtg accgctgtac caacctctgt cctaca ggg 1126 Gly cag ccc cga gaa cca cag gtg tac acc ctg ccc cca tcc cgg gat gag 1174 Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu 155 160 165 ctg acc aag aac cag gtc agc ctg acc tgc ctg gtc aaa ggc ttc tat 1222 Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr 170 175 180 185 ccc agc gac atc gcc gtg gag tgg gag agc aat ggg cag ccg gag aac 1270 Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn 190 195 200 aac tac aag acc acg cct ccc gtg ctg gac tcc gac ggc tcc ttc ttc 1318 Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe 205 210 215 ctc tac agc aag ctc acc gtg gac aag agc agg tgg cag cag ggg aac 1366 Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn 220 225 230 gtc ttc tca tgc tcc gtg atg cat gag gct ctg cac aac cac tac acg 1414 Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr 235 240 245 cag aag agc ctc tcc ctg tct ccg ggt aaa tga gtgcgacggc cg 1459 Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys 250 255 <210> 5 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence <220> <221> primer_bind <222> (1)..(27) <400> 5 ggggatcctg atctcataaa gaaacag 27 <210> 6 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence <220> <221> primer_bind <222> (1)..(28) <400> 6 gcggatcctg tgctctcaat agattcgc 28 <210> 7 <211> 445 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Chimeric protein consisting of extracellular region of bovine LOX-1 and Fc region of human immunoglobulin IgG1 <400> 7 Asp Leu Ile Lys Lys Gln Gln Ala Asn Ile Thr His Gln Glu Asp Ile 1 5 10 15 Leu Glu Gly Gln Ile Leu Ala Gln Arg Arg Ser Glu Lys Ser Ala Gln 20 25 30 Glu Ser Gln Lys Glu Leu Lys Glu Met Ile Glu Thr Leu Ala His Lys 35 40 45 Leu Asp Glu Lys Ser Lys Lys Leu Met Glu Leu His Arg Gln Asn Leu 50 55 60 Asn Leu Gln Glu Val Leu Lys Glu Ala Ala Asn Tyr Ser Gly Pro Cys 65 70 75 80 Pro Gln Asp Trp Leu Trp His Glu Glu Asn Cys Tyr Gln Phe Ser Ser 85 90 95 Gly Ser Phe Asn Trp Glu Lys Ser Gln Glu Asn Cys Leu Ser Leu Asp 100 105 110 Ala His Leu Leu Lys Ile Asn Ser Thr Asp Glu Leu Glu Phe Ile Gln 115 120 125 Gln Met Ile Ala His Ser Ser Phe Pro Phe Trp Met Gly Leu Ser Met 130 135 140 Arg Lys Pro Asn Tyr Ser Trp Leu Trp Glu Asp Gly Thr Pro Leu Thr 145 150 155 160 Pro His Leu Phe Arg Ile Gln Gly Ala Val Ser Arg Met Tyr Pro Ser 165 170 175 Gly Thr Cys Ala Tyr Ile Gln Arg Gly Thr Val Phe Ala Glu Asn Cys 180 185 190 Ile Leu Thr Ala Phe Ser Ile Cys Gln Lys Lys Ala Asn Leu Leu Arg 195 200 205 Ala Gln Asp Pro Glu Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys 210 215 220 Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu 225 230 235 240 Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu 245 250 255 Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys 260 265 270 Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys 275 280 285 Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu 290 295 300 Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys 305 310 315 320 Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys 325 330 335 Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser 340 345 350 Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys 355 360 365 Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln 370 375 380 Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly 385 390 395 400 Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln 405 410 415 Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn 420 425 430 His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys 435 440 445 <210> 8 <211> 1335 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: DNA encoding a chimeric protein consisting of extracellular region of bovine LOX-1 and Fc region of human immunoglobulin IgG1 <400> 8 gat ctc ata aag aaa cag caa gca aat att act cac cag gaa gat atc 48 Asp Leu Ile Lys Lys Gln Gln Ala Asn Ile Thr His Gln Glu Asp Ile 1 5 10 15 ctg gag gga cag att tta gcc cag cgc cga tca gaa aaa tct gcc cag 96 Leu Glu Gly Gln Ile Leu Ala Gln Arg Arg Ser Glu Lys Ser Ala Gln 20 25 30 gag tca cag aag gaa ctc aaa gaa atg ata gaa acc ctt gcc cac aag 144 Glu Ser Gln Lys Glu Leu Lys Glu Met Ile Glu Thr Leu Ala His Lys 35 40 45 ctg gat gag aaa tcc aag aaa cta atg gaa ctt cac cgc cag aac ctg 192 Leu Asp Glu Lys Ser Lys Lys Leu Met Glu Leu His Arg Gln Asn Leu 50 55 60 aat ctc caa gaa gtt ctg aaa gag gca gca aac tat tca ggt cct tgt 240 Asn Leu Gln Glu Val Leu Lys Glu Ala Ala Asn Tyr Ser Gly Pro Cys 65 70 75 80 ccc caa gac tgg ctc tgg cat gaa gaa aac tgt tac caa ttt tcc tct 288 Pro Gln Asp Trp Leu Trp His Glu Glu Asn Cys Tyr Gln Phe Ser Ser 85 90 95 ggc tct ttt aat tgg gaa aaa agc cag gag aac tgc ttg tct ttg gat 336 Gly Ser Phe Asn Trp Glu Lys Ser Gln Glu Asn Cys Leu Ser Leu Asp 100 105 110 gcc cac ttg ctg aag att aat agc aca gat gaa ctg gaa ttc atc cag 384 Ala His Leu Leu Lys Ile Asn Ser Thr Asp Glu Leu Glu Phe Ile Gln 115 120 125 caa atg att gcc cat tcc agt ttc ccc ttc tgg atg ggg ttg tca atg 432 Gln Met Ile Ala His Ser Ser Phe Pro Phe Trp Met Gly Leu Ser Met 130 135 140 agg aaa ccc aat tac tcg tgg ctt tgg gaa gat ggt act cct ttg acg 480 Arg Lys Pro Asn Tyr Ser Trp Leu Trp Glu Asp Gly Thr Pro Leu Thr 145 150 155 160 ccc cac ttg ttt aga att cag gga gct gtt tcc cgt atg tat cct tca 528 Pro His Leu Phe Arg Ile Gln Gly Ala Val Ser Arg Met Tyr Pro Ser 165 170 175 ggg acc tgt gca tat att caa agg gga act gtt ttt gct gaa aac tgc 576 Gly Thr Cys Ala Tyr Ile Gln Arg Gly Thr Val Phe Ala Glu Asn Cys 180 185 190 att tta act gca ttc agt ata tgt caa aag aag gcg aat cta ttg aga 624 Ile Leu Thr Ala Phe Ser Ile Cys Gln Lys Lys Ala Asn Leu Leu Arg 195 200 205 gca cag gat ccc gag gag ccc aaa tct tgt gac aaa act cac aca tgc 672 Ala Gln Asp Pro Glu Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys 210 215 220 cca ccg tgc cca gca cct gaa ctc ctg ggg gga ccg tca gtc ttc ctc 720 Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu 225 230 235 240 ttc ccc cca aaa ccc aag gac acc ctc atg atc tcc cgg acc cct gag 768 Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu 245 250 255 gtc aca tgc gtg gtg gtg gac gtg agc cac gaa gac cct gag gtc aag 816 Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys 260 265 270 ttc aac tgg tac gtg gac ggc gtg gag gtg cat aat gcc aag aca aag 864 Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys 275 280 285 ccg cgg gag gag cag tac aac agc acg tac cgg gtg gtc agc gtc ctc 912 Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu 290 295 300 acc gtc ctg cac cag gac tgg ctg aat ggc aag gag tac aag tgc aag 960 Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys 305 310 315 320 gtc tcc aac aaa gcc ctc cca gcc ccc atc gag aaa acc atc tcc aaa 1008 Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys 325 330 335 gcc aaa ggg cag ccc cga gaa cca cag gtg tac acc ctg ccc cca tcc 1056 Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser 340 345 350 cgg gat gag ctg acc aag aac cag gtc agc ctg acc tgc ctg gtc aaa 1104 Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys 355 360 365 ggc ttc tat ccc agc gac atc gcc gtg gag tgg gag agc aat ggg cag 1152 Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln 370 375 380 ccg gag aac aac tac aag acc acg cct ccc gtg ctg gac tcc gac ggc 1200 Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly 385 390 395 400 tcc ttc ttc ctc tac agc aag ctc acc gtg gac aag agc agg tgg cag 1248 Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln 405 410 415 cag ggg aac gtc ttc tca tgc tcc gtg atg cat gag gct ctg cac aac 1296 Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn 420 425 430 cac tac acg cag aag agc ctc tcc ctg tct ccg ggt aaa 1335 His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys 435 440 445
【0107】
【図面の簡単な説明】
【図1】老化赤血球及びapoptotic細胞のウシ大動脈血
管内皮細胞(BAE)への結合及び取り込み(貪食)の状
態を示す図。分図(a)は、老化赤血球のBAEへの結合の状
態を示す。分図(b)は、天然赤血球を用いたアッセイの
結果を示す。分図(c)は、apoptoticHL60細胞のBAEへの
結合及び取り込みの状態を示す。分図(d)は、アポトー
シスを誘導する処理を施していないHL60細胞を用いたア
ッセイの結果を示す。
【図2】老化赤血球及びapoptotic細胞のBLOX1-CHOへの
結合及び取り込み(貪食)の状態を示す図。分図(a)
は、老化赤血球のBLOX1-CHOへの結合の状態を示す。分
図(b)は、天然赤血球を用いたアッセイの結果を示す。
分図(c)は、インキュベーション6時間後の老化赤血球
のBLOX1-CHOへの取込の状態を示す。分図(d)は、apopto
ticHL-60細胞のBLOX1-CHOへの結合の状態を示す。分図
(e)は、アポトーシスを誘導する処理を施していないHL6
0細胞を用いたアッセイの結果を示す。
【図3】老化赤血球のBLOX1-CHOへの結合の酸化LDLまた
はアセチル化LDLによる濃度依存的な阻害の効果を示す
図。黒丸は、酸化LDLによる競合的阻害を示す。白丸
は、アセチル化LDLによる阻害を示す。白四角は、LDLを
用いた場合の結果を示す。
【図4】老化赤血球のBLOX1-CHOまたはBAEへの結合の種
々のLOX-1リガンドによる阻害の効果を示す図。斜線はB
LOX1-CHOを用いたアッセイの結果を示し、黒線はBAEを
用いたアッセイの結果を示す。
【図5】老化赤血球のBLOX1-CHOまたはBAEへの結合の抗
LOX-1抗体による阻害の効果を示す図。斜線はBLOX1-CHO
を用いたアッセイの結果を示し、黒線はBAEを用いたア
ッセイの結果を示す。
【図6】ApoptoticHL-60細胞のBLOX1-CHOまたはBAEへの
結合の種々のLOX-1リガンドによる阻害の効果を示す
図。斜線はBLOX1-CHOを用いたアッセイの結果を示し、
黒線はBAEを用いたアッセイの結果を示す。
【図7】老化赤血球及びapoptoticHL-60細胞のBLOX1-CH
OまたはBAEへの結合のLOX-Fcによる阻害の効果を示す
図。分図(a)は老化赤血球を用いたアッセイの結果を示
す。分図(b)apoptoticHL-60細胞はを用いたアッセイの
結果を示す。斜線はBLOX1-CHOを用いたアッセイの結果
を示し、黒線はBAEを用いたアッセイの結果を示す。
【図8】赤血球の老化に伴う赤血球表面への経時的なPS
の出現の状態を示す図。
【図9】 赤血球の老化の程度に依存的な老化赤血球の
BLOX1-CHOへの結合の状態を示す図。白丸は、赤血球を
リン酸緩衝液中で培養した場合の結果を示し、黒丸は、
赤血球を0.1%グルコースを含むリン酸緩衝液中で培養
した場合の結果を示す。
【図10】老化赤血球のBLOX1-CHOへの結合のPSリポソ
ームまたはPCリポソームによる阻害の効果を示す図。黒
丸はPSリポソームによる阻害効果を示す。白丸はPCリポ
ソームを用いた場合の結果を示す。
【図11】老化赤血球のBAEへの結合のPSリポソーム及
びPCリポソームによる競合的阻害の効果を示す図。
【図12】ApoptoticHL-60細胞のBLOX1-CHOまたはBAEへ
の結合のPSリポソームによる阻害の効果を示す図。斜線
はBLOX1-CHOを用いたアッセイの結果を示す。黒線はBAE
を用いたアッセイの結果を示す。
【図13】老化赤血球のBLOX1-CHOへの結合の種々のリ
ン脂質リポソームのよる阻害の効果を示す図。
【図14】フローサイトメーターを用いて測定した血小
板または活性化血小板のLOX-1への結合の程度を示す
図。
【図15】活性化血小板のLOX-1への結合と酸化LDLの濃
度との相関関係を示す図。
【図16】活性化血小板のLOX-1への結合の抗LOX-1抗体
による阻害効果を示す図。
【図17】フローサイトメーターを用いて測定した血小
板または活性化血小板の野生型CHO細胞またはLOX-1-CHO
への結合の程度を示す図。
【図18】活性化血小板のLOX-1への結合と酸化LDLの濃
度との相関関係、並びに血小板をコラーゲンで活性化さ
せた場合の活性化血小板のLOX-1への結合を示す図。
【図19】血小板のBLOX1-CHOまたはCHO-K1への結合及
び/または取り込みの状態を示す図。分図(a)はBLOX1-C
HOへの結合の状態を示す。分図(b)はCHO-K1を用いたア
ッセイの結果を示す図。
【図20】血小板のBLOX1-CHOへの取込(貪食)の状態
を示す図。
【図21】血小板のBLOX1-CHOへの結合の抗LOX-1抗体に
よる阻害の効果を示す図。
【図22】血小板のBAEへの結合の抗LOX-1抗体による阻
害の効果を示す図。
【図23】血小板のトロンビンまたはコラーゲンによる
活性化に伴う活性化血小板のBLOX1-CHOへの結合の増強
の状態を示す図。
【図24】血小板のBLOX1-CHOへの結合のPSリポソーム
またはPCリポソームによる阻害の効果を示す図。
【図25】血小板のBLOX1-CHOへの結合の酸化LDLま
たは天然型LDLによる阻害の効果を示す図。白丸は酸
化LDLを用いた場合の阻害効果を示す。黒丸は天然型
LDLを用いたアッセイの結果を示す。
【図26】トロンビン及びコラーゲンで活性化した活性
化血小板または休止血小板のBAEへの結合に伴うBAEから
のET-1の放出の程度を示す図。
【図27】血小板に富んだ血漿(PRP)中の血小板のBLO
X1-CHOへの結合に伴うPRP中でのトロンビン産生量の変
化を示す図。
【図28】血小板減少症に対する抗LOX-1抗体の治療学
的効果を示す図。
【図29】白血球の組織への浸潤に対する抗LOX-1抗体
の阻害効果を示す図。
【図30】白血球の組織への浸潤に対する抗LOX-1抗体
の阻害効果を示す図。
【図31】白血球の組織への浸潤に伴う炎症反応の進行
のパラメーターである蛋白漏出に対する抗LOX-1抗体の
阻害効果を示す図。
【図32】PTCAを施術した後の血管再狭窄に対する抗LO
X-1抗体の阻害効果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/00 629 A61K 31/00 629 39/395 39/395 D N (72)発明者 岩村 浩幸 大阪府高槻市紫町1−1 日本たばこ産業 株式会社医薬総合研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL
    受容体の生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合
    を阻害する能力を有する物質、及び薬学的に許容され得
    る担体を含んでなり、該酸化LDL受容体への血小板若
    しくは活性化血小板の結合、または該酸化LDL受容体
    を発現する細胞による血小板若しくは活性化血小板の取
    込に起因する疾患を治療するための医薬組成物。
  2. 【請求項2】 該疾患が、血小板減少を伴う疾患である
    ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 該疾患が、腎臓疾患であることを特徴と
    する請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 該物質が、酸化LDL受容体に結合する
    抗体若しくは該抗体の一部であることを特徴とする請求
    項1乃至請求項3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL
    受容体の生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合
    を阻害する能力を有する物質、及び薬学的に許容され得
    る担体を含んでなる白血球組織浸潤阻害剤。
  6. 【請求項6】 該白血球組織浸潤が、動脈硬化症、心筋
    虚血再潅流傷害、経皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)
    の術後、または経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後
    における炎症反応で起こる白血球組織浸潤であることを
    特徴とする請求項5に記載の白血球組織浸潤阻害剤。
  7. 【請求項7】 該物質が、酸化LDL受容体に結合する
    抗体または該抗体の一部であることを特徴とする請求項
    5または請求項6に記載の白血球組織浸潤阻害剤。
  8. 【請求項8】 酸化LDL受容体に結合し、酸化LDL
    受容体の生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結合
    を阻害する能力を有する物質、及び薬学的に許容され得
    る担体を含んでなる抗炎症剤。
  9. 【請求項9】 該炎症が、動脈硬化症、心筋虚血再潅流
    傷害、経皮的冠動脈血栓溶解術(PTCR)の術後、ま
    たは経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後における炎
    症であることを特徴とする請求項8に記載の抗炎症剤。
  10. 【請求項10】 該物質が、酸化LDL受容体に結合す
    る抗体または該抗体の一部であることを特徴とする請求
    項8または請求項9に記載の抗炎症剤。
  11. 【請求項11】 酸化LDL受容体に結合し、酸化LD
    L受容体の生体内リガンドの該酸化LDL受容体への結
    合を阻害する能力を有する物質、及び薬学的に許容され
    得る担体を含んでなる経皮的冠動脈血栓溶解術(PTC
    R)または経皮的冠血管形成術(PTCA)の術後血管
    再狭窄治療剤。
  12. 【請求項12】 該物質が、酸化LDL受容体に結合す
    る抗体または該抗体の一部であることを特徴とする請求
    項11に記載の血管再狭窄治療剤。
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