JP2000107516A - 濁水処理装置 - Google Patents
濁水処理装置Info
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Abstract
定化を図り、低コストで処理効率を向上できる濁水処理
装置を提供すること。 【解決手段】 供給口36から排出口37に向かう被処
理水の流れに対して上流側に配置される濾過層50の空
隙を大とし、下流側の濾過層52の空隙率を小として、
各濾過層50,52を鉛直方向に間隔をあけて配置す
る。これによって粒径の大きい粒子と小さい粒子とが段
階的に捕集され、いわば体積濾過によって濾過すること
ができるので、長時間にわたって大きな処理量で連続し
て濾過することができ、濾過処理効率を向上することが
できる。
Description
って生じた濁水を高速多層繊維濾過によって河川などの
自然水系に放流しうる清澄水に連続的に処理することが
できる濁水処理装置に関する。
沼などの自然水系に放流することは水質汚濁につなが
り、環境に悪影響を与えるため、環境基準を定める各種
の法令によって放流可能なSS濃度が規制されている。
たとえば河川に放流する場合には1リットル当たりのS
S(水中浮遊物)の含有量を25mg以下に規定され、
また湖沼に放流する場合には1リットル当たりのSS含
有量が1mg以下に定められている。
従来では、シックナと呼ばれる沈降分離装置が用いられ
ている。この沈降分離装置は、たとえば40m3/時の
濁水を処理するためには直径が4m、高さ5m程度の非
常に大きな沈降分離槽を備える装置であり、この沈降分
離槽内に供給された被処理水の沈降性を高めるために、
有機高分子凝集剤および無機凝集剤を併用して、濁水中
の懸濁物質を凝集して捕集性を高めるとともに、沈降速
度を増加させて建設工事で発生した大量の濁水を短時間
で処理することができるように処理効率の向上が図られ
ている。
では、工事の進捗に応じて装置の設置場所を変更するこ
とが困難であり、また上記の有機高分子凝集剤および無
機凝集剤を多量に使用するためコスト高になるという問
題を有する。さらに濁水の性状変化に対応することがで
きないため、濁水の性状の変化によって処理水の性状も
変化してしまい、処理後の水質、すなわち上記のSS濃
度にばらつきが生じ、処理水の水質が大きく変動してし
まうという問題がある。
ず処理水の水質の安定化を図り、低コストで処理効率を
向上するとともに、設置場所の変更を容易に行うことが
できる濁水処理装置を提供することである。
は、上部に、SS濃度が100ppm程度以下の被処理
水が供給される供給口が設けられるとともに、下部に濾
過後の濾水を排出する排出口が設けられる中空のケーシ
ング内に、前記供給口から排出口に向かって複数の濾過
層が相互に間隔をあけて着脱自在に装着される多層濾過
手段を備え、この多層濾過手段の各濾過層は、2〜15
デニールの繊維から成り、供給口寄りに配置される濾過
層の空隙に対して排出口寄りに配置される濾過層の空隙
が小さく選ばれる多層濾過手段を備えることを特徴とす
る濁水処理装置である。
には供給口が設けられ、下部には排出口が設けられる。
前記供給口には、SS濃度が100ppm程度以下の被
処理水が供給され、この被処理水は相互に間隔をあけて
配置される複数の濾過層を通過して濾過され、処理水と
して排出口から排出される。
径は2〜15デニールに選ばれる。たとえば繊維径が2
デニール未満の場合、各濾過層の空隙が小さくなり、各
濾過層上面で粒子が付着し堆積しやすくなるので、短時
間で目詰まりを起こし濾過時間が短くなるという問題を
有する。また繊維径が15デニールを超える場合、前記
空隙が大きくなるため粒子が濾過層を通過して処理水と
して排出され、粒子の捕捉率が減少し、処理水の濁度が
上がるという問題を有する。このような問題を回避する
ため本発明では、繊維径を2〜15デニールの範囲内で
選ぶことによって、濾過層上面における粒子の堆積を阻
止して長時間にわたって目詰まりをなくし、かつ濾過層
内部で粒子を捕捉して前記被処理水を清澄濾過すること
ができる。
される濾過層の空隙は前記供給口寄りに配置される濾過
層の空隙よりも小さくなるように選ばれる。すなわち、
供給口から排出口に向かって通過する被処理水の流れに
対して上流側に配置される濾過層の空隙の大きさを大と
し、下流側の濾過層の空隙の大きさを小として、各濾過
層が被処理水の流過方向に粗から密となるように配置さ
れる。したがって供給口寄りの濾過層によって粒径の大
きい粒子を捕集し、排出口寄りの濾過層によって粒径の
小さい粒子を捕集するので、各濾過層の上面で目詰まり
を防止して、いわゆる表層濾過状態になって被処理水の
透過率が低下することを防ぎ、これによって濁水の性状
変化に伴う懸濁物質の粒径が変化しても粒径の大きい粒
子から小さい粒子にわたって上流側の濾過層から下流側
の濾過層によって段階的に捕集し、長時間にわたって処
理水の水質を均等として連続的に濾過することができ
る。したがって、むやみに多量の凝集剤を用いる必要が
なく、コストの低減化を図ることができる。しかも各濾
過層はケーシング内で相互に間隔をあけて配置されるの
で、排水口寄りの濾過層が供給口寄りの濾過層の重みに
よって圧縮されず、高い空隙率が確保されるとともに、
上方に配置される供給口寄りの濾過層を通過した被処理
水が下面から自由落下によって下方に配置される排水口
寄りの濾過層の上面にほぼ均一な流量分布で滴下して供
給されるので、被処理水が各濾過層を通過する際の各濾
過層内の流速を均等とすることができ、各濾過層の全体
を有効に利用して言わば体積濾過によって濾過すること
ができる。したがって部分的な目詰まりおよび被処理水
のショートパスを防ぎ、長時間にわたって大きな処理量
で連続して濾過することができ、濾過処理効率を向上す
ることができる。
捕集することができるので、装置の小型化を図ることが
でき、これによって装置が占有する設置場所面積が小さ
くてすむとともに、たとえば車両による運搬が可能であ
り、工事の進捗に応じて装置の設置場所を容易に変更す
ることができる。
換が容易であり、各濾過層の懸濁物質の捕集による空隙
率の低下を回復するために濾過層を洗浄して再生するた
めの停止時間をなくすことができるので、稼働率が高
く、全体として低コスト化を図り、安定した水質の処理
水を得ることができる。
は、複数、設けられ、各多層濾過手段のいずれかに前記
被処理水を選択的に切換えて供給する手段を含むことを
特徴とする。
処理水を選択的に切換えながら各多層濾過手段毎に上記
の濾過を行うことができるので、被処理水を各多層濾過
手段のいずれかに選択的に導いて濾過処理しながら、残
余の多層濾過手段の各濾過層を新たなものと交換しまた
は洗浄して再生したものと交換することができるので、
被処理水の濾過を停止する必要がなくなり、高い稼働率
を達成して濾過処理効率を向上することができる。
維を塊状にした複数の繊維ブロックから成ることを特徴
とする。
構成において、各濾過層は繊維を塊状にした複数の繊維
ブロックから成るので、各濾過層を通過する被処理水に
よって各繊維ブロックが振動し、濾過層の上面付近の繊
維ブロックに付着した懸濁物質を濾過しながら遊離さ
せ、前記上面付近よりも下部の繊維ブロックで捕捉する
ことができるので、長時間にわたって目詰まりを生じる
ことなしに連続して濾過を行うことができ、濾過処理効
率をより一層向上することができる。
少なくとも1つに用いられる繊維は、生分解性合成繊維
から成ることを特徴とする。
の構成において、各濾過層のうち少なくとも1つに用い
られる繊維として、生分解性合成繊維を用いるので、低
下した空隙率を洗浄によって回復することが不可能とな
った合成繊維および長期の使用によって繊維が劣化した
合成繊維を、たとえば土中に埋設して廃棄処分すること
が可能である。この土中に埋設した合成繊維は生分解す
るので、その繊維は土中の微生物によって炭酸ガスと水
とに分解され、環境に悪影響を与えることなく廃棄する
ことができるとともに、環境汚染を防ぐための特別な処
理を用いる必要がなく低コストで廃棄することができ
る。
異なる多層濾過手段が着脱自在に搭載されることを特徴
とする。
において、濾過処理能力、すなわち単位時間当りの最大
濾過処理量および懸濁物質の最大捕集量などの能力が異
なる多層濾過手段を容易に、取換えてまたは追加して上
記の濾過処理を行うことができる。
少ない現場では、むやみに大きな濾過処理能力を有する
1つの多層濾過手段で濾過処理を行うよりも、小さな濾
過処理能力を有する2つの多層濾過手段を用いて、濾過
処理と各濾過層の交換および洗浄とを交互に切換えて行
う方が濁水処理装置の稼働率が高く、かつ安定した水質
の処理水を得ることができる。
手段は、濾過層が小さく、かつ軽量であるので、各濾過
層の交換作業が容易であるとともに、洗浄時間が少なく
て済み、汚損した洗浄水の発生量を減少させることがで
きる。
層濾過手段を取換えまたは追加することによって濾過処
理効率の向上および各濾過層の交換作業性の向上、なら
びに処理水の水質の安定化を図ることができる。
水処理装置1の全体の構成を示す正面図であり、図2は
図1の上方から見た濁水処理装置1の平面図であり、図
3は図1の左方から見た濁水処理装置1の左側面図であ
り、図4は図1の右方から見た濁水処理装置1の右側面
図であり、図5は図1〜図4に示される濁水処理装置1
を備える濁水処理設備の系統図である。
よびダム建設工事などの建設工事によって発生した懸濁
物質含有濃度の高い廃泥水は、たとえばベルトプレス機
などによって1次処理される。本実施の形態の濁水処理
装置1を備える濁水処理設備は、前記1次処理した後に
発生する濁水、およびその他に工事現場から排水される
SS濃度の高い濁水を原水とし、この原水を環境基準な
どによって規定される所定のSS濃度、たとえば5mg
/リットル以下に清澄化するために用いられる。前記原
水は、工事の種類によって変動要因が大きいために特定
することが困難であるが、各種の工事による概略的なS
S濃度は、山岳トンネルの掘削時で1500〜3000
mg/リットル程度以下であり、またダムの掘削時には
1000〜5000mg/リットル程度以下であるた
め、1000〜5000mg/リットルの範囲の原水を
対象とする。
原水槽2に一時的に貯留され、この原水中の粒径の大き
い主として砂礫粒子が、重力沈降によって沈降分離さ
れ、槽底に沈積捕集される。このようにして粒径の大き
い砂礫粒子などの懸濁物質が除去された原水槽2内の上
域の濁水は、原水ポンプ3によって汲上げられ、濁水処
理装置1の被処理水供給管路4に供給される。前記原水
ポンプ3は、揚程が20mで流量が25m3/時の汲上
げ能力を有する水中ポンプが用いられる。
H1の大略的に直方体の外観形状を有する。前記長さL
1、幅B、高さH1および被処理水を含まない装置1だ
けの重量は濁水処理装置1の単位時間当たりの最大処理
量などに応じて変化するけれども、前記最大処理量をむ
やみに大きくしなければ、前記重量を4000kg以下
とし、長さL1は5.2mに選び、幅Bは2.0mに選
び、高さH1は2.6mに選ぶことによって、装置全体
を積載重量が4トンの車両に乗載して運搬することがで
きる。
は、第1凝集剤供給手段5、第2凝集剤供給手段6、第
1撹拌手段7、第2撹拌手段8、凝集沈殿手段9、およ
び多層濾過手段(以降、単に「濾過手段」と略称する)
10を含む。この濁水処理装置1は付随設備として、さ
らに濾材洗浄手段11と、濾過後の濾水を処理水とし
て、河川および湖沼などの自然水系に放流する前に一時
的に貯留する放流水貯留槽12とを含む。前記第1およ
び第2凝集剤供給手段5,6、第1および第2撹拌手段
7,8、凝集沈殿手段9ならびに濾過手段10は、たと
えば溝形鋼などの構造用鋼材を組合わせて枠組されたフ
レーム13に一体的に組込まれ、このフレーム13とと
もに基台14上に固定されている。
0m3/hの流量でSS濃度が1000〜3000pp
mの濁水を一次原水として前記供給管路4から受入れ、
前記一次原水中に種類の異なる2つの無機凝集剤を第1
および第2撹拌手段7,8によって撹拌混合させ、凝集
沈殿手段9で約30分滞留させ、このようにしてSS濃
度が100ppm程度、一例として130〜70ppm
以下となった凝集沈殿手段9の上域の濁水を被処理水と
して、濾過手段10で濾過し、SS濃度5ppm程度以
下に清澄化する。
を貯留する貯留槽15と、貯留槽15内の第1凝集剤を
吸入して第1撹拌段7へ吐出するポンプ16とを有し、
第1凝集剤を毎分17〜170ccの範囲内の流量で管
路5aから第1撹拌手段7に供給するように構成され
る。第1凝集剤は、液状の無機凝集助剤、たとえばTR
P(商品名)によって実現される。この無機凝集剤は、
陽イオン交換容量の高いアルカリ土類金属元素を含む無
機質ミネラル粉体である。
となく均一とするために撹拌する撹拌機17を備える。
留される貯留槽18と、貯留槽18内の第2凝集剤を吸
入して第2撹拌手段8へ吐出するポンプ19とを有し、
第2凝集剤を17〜170cc/分の範囲内で管路6a
から前記第2撹拌手段28に供給するように構成され
る。第2凝集剤は、液状の無機凝集剤、たとえばポリ塩
化アルミニウム(略称;PAC)によって実現される。
貯留槽18は、第2凝集剤の成分を偏ることなく均一と
するため撹拌機20を備える。
が供給される供給管路4に介在され、また第2撹拌手段
8は、供給管路4の前記第1撹拌手段7および凝集沈殿
手段9間に介在される。これら第1および第2撹拌手段
7,8は、スタティックミキサと呼ばれる静止形混合機
によって実現される。この静止形混合機のケーシングに
は、長手方向一端部で開口する第1開口と、ケーシング
の外周で一半径線方向に開口する第2開口と、長手方向
他端部で開口する第3開口とが形成される。前記第1お
よび第2開口には、原水槽2からの一次原水と第1凝集
剤供給手段5からの第1凝集剤とがそれぞれ供給され、
前記各ポンプ3,16による水流によって一次原水と第
1凝集剤とが撹拌混合されつつ第3開口から吐出され
る。また第2撹拌手段8は、前述の第1撹拌手段7と同
様の構成を有し、第1撹拌手段7からの一次原水および
第1凝集剤の混合液と第2凝集剤供給手段6からの第2
凝集剤とを撹拌混合して吐出する。
ックを形成するための第1凝集剤を混合し、この混合液
中のフロックを凝集するための第2凝集剤を混合するこ
とによって、粒径の小さい濁水中のシルトおよび粘土分
を短時間で凝集させて粒径を大きくして、凝集沈殿手段
9において沈殿分散し易くすることができる。
一次原水ならびに、第1および第2凝集剤から成る混合
液が供給される第1沈降部21と、第1沈降部21の前
記混合液の流れ方向下流側に接続される第2沈降部22
と、第1および第2沈降部21,22内の各沈降室を仕
切る隔壁23とを有する。前記混合液中のフロックは第
1および第2沈降部21,22で重力沈降によって沈降
分離される。また隔壁23の頂部には、略V字状または
台形状に切欠かれた越流せき29が形成され、この越流
せき29によって第1沈降部21から第2沈降部22へ
通過する混合液中のフロックの沈殿降下の促進を図るこ
とができる。第1および第2沈降部21,22の下部
は、沈殿するフロックの排出を容易にするために、水平
面に対して50度以上の傾斜角を成す角錐形状に形成さ
れる。したがって各沈殿部21,22の下部に沈殿した
粒子は、第1および第2沈降部21,22内の濁水の流
れによる浮き上がりの影響を受けにくく、撹拌されてし
まうことが防がれる。このようにして前記沈降堆積した
粒子は、相互に干渉して界面を形成するので、前記下部
の粒子が浮遊しにくくなり、沈降が促され、第1および
第2沈降部21,22における沈降時間を短縮して効率
よく沈降分離することができる。第1および第2沈降部
21,22の下部に沈積捕集された比較的粒径が大きな
粒子は、排泥ポンプ24によって排泥口32から外部に
排出される。
の越流せき34を越流して、二次原水として管路31内
へ導かれる。このようにして管路31内へ吐出される二
次原水のSS濃度は、上述の第1凝集剤の添加量を一次
原水中において5ppmとし、かつ第2凝集剤の添加量
を50ppmとすることによって、100ppm程度以
下にすることができる。
お図6では、濾過手段10の内部構造を示すために、濾
過手段10の上部の片側と下部全部とを断面にして示
す。濾過手段10は、SS濃度が100ppm程度以下
である上述の二次原水を被処理水とし、この被処理水を
所定の濃度、たとえばSS濃度が5ppm程度以下とな
るように濾過するための構成を有し、基本的には、上部
に供給口36が形成され、下部に排出口37が形成され
る中空のケーシング38と、ケーシング38内に、前記
供給口36から排出口37に向かって上下に間隔ΔLを
あけて着脱自在に装着される複数(本実施形態では2)
の濾過層50,52とを有する。この濾過手段10は、
大略的に直円柱状の外観を有し、その大きさは、単位時
間当たりの最大濾過処理量を7m2/時とすると、直径
Dが800mm程度に選ばれ、高さH2が1850mm
程度に選ばれる。
を有する中空の円筒部41と、円筒部41の下部に連な
り、前記排出口37が形成される中空の半球部42と、
円筒部41の上部にクランプボルトなどの手段によって
着脱自在に固定される蓋体43とを有する。円筒部41
は、その内部空間を前記軸線方向に間隔をあけて2つに
仕切る支持板44,45を有する。これら支持板44,
45は、その厚み方向に貫通する複数の細孔46,47
を有し、これら細孔46,47を塞ぐように上述の濾過
層50,52がそれぞれ載置される。また円筒部41
は、前記支持板44,45よりも上部の空間を外部に臨
んで開放/閉鎖する開閉扉48を有する。この開閉扉4
8は、ヒンジなどの手段によって開閉自在に設けられ、
これによって各濾過層50,52の交換作業を、ケーシ
ング38をむやみに分解することなく外部から容易に行
うことができる。
維を接合した綿状に形成される。前記合成繊維は、その
繊維径が2〜15デニールの範囲内に選ばれる。たとえ
ば繊維径が2デニール未満の場合、濾過層50,52の
空隙が小さいため、各濾過層50,52の上面50a,
52aで粒子が付着し堆積し易くなるので、短時間で目
詰まりを起こし、連続濾過時間が短くなることがある。
また繊維径が15デニールを超える場合、逆に空隙が大
きいため粒子が濾過層50,52を通過してしまい粒子
の捕捉率が減少し、処理水の濁度が上がるという問題を
有する。しかしながら本実施の形態では、繊維径が2〜
15デニールの範囲内に選ばれるので、長時間にわたっ
て目詰まりを起こすことなく連続して濾過を行うことが
でき、かつ所定のSS濃度の処理水が得られるように確
実に粒子を捕集することができる。
50,52は、前記供給口36寄りに配置される一方の
濾過層50の空隙が排出口37寄りに配置される他方の
濾過層52の空隙よりも大きくなるように選ばれる。す
なわち、供給口36から排出口37に向かって通過する
被処理水の流下方向に対して、上流側に配置される一方
の濾過層50の空隙の大きさを大とし、下流側に配置さ
れる他方の濾過層52の空隙の大きさを小として、各濾
過層50,52を被処理水の流下方向に粗から密となる
ように配置される。各濾過層50,52の合成繊維の配
置を一例として述べると、一方の濾過層50として、1
2〜15デニールの合成繊維を5kg、他方の濾過層5
2として、2〜3デニールの合成繊維を5kg配置され
る。
50によって粒径の大きい粒子を捕集し、排出口36寄
りの他方の濾過層52によって粒径の小さい粒子を捕集
することができるので、各濾過層50,52の上面50
a,52a付近でいわゆる表面濾過状態になって被処理
水の透過率が低下することを防ぎ、これによって被処理
水の性状変化に伴う懸濁物質の粒径が変化しても、粒径
の大きい粒子から小さい粒子にわたって段階的に捕集
し、長時間にわたって排出口37から排出される処理水
の水質を均等とすることができる。また各濾過層50,
52はケーシング38内で鉛直方向に相互に間隔ΔLを
あけて配置される。より具体的には下側に配置される他
方の濾過層52の上表面52aと上側の支持板44の下
面との間に空間が介在される。したがって一方の濾過層
50を通過した被処理水は、前記空間を自由落下して他
方の濾過層52の上面52aに一様に供給されるので、
仮に上面52aの繊維に、その上面52a付近の空隙の
大きさに比較して粒径が小さい懸濁物質が付着したとし
ても、後から落下してくる被処理水の衝突によって前記
粒径が小さい懸濁物質を上面52a付近の繊維から遊離
させることができるとともに、他方の濾過層52が一方
の濾過層50の重みによって圧縮されず高い空隙率が確
保されるので、被処理水が各濾過層50,52を通過す
る際の流速を均等とすることができ、これによって各濾
過層50,52の全体を有効に利用して、いわば体積濾
過によって濾過することができるので、部分的な目詰ま
りおよび被処理水のショートパスを防ぎ、長時間にわた
って大きな処理量で連続して濾過することができ、濾過
処理効率を向上することができる。
過層50,52では、たとえば濾材を砂およびアンスラ
サイトによって構成した場合と比較して、3〜8倍の速
度で給水することができる。したがって、仮に単位時間
当たりの最大処理量が同じ濁水処理装置を比較すると、
アクリル繊維を用いた装置では、砂およびアンスラサイ
トを用いた構成よりも設置面積を大幅に縮小することが
できるとともに、設置場所の変更を容易に行うことがで
きる。また砂およびアンスラサイトを用いた構成では、
濾過層の空隙率が50%程度であるのに対し、本実施の
形態では空隙率を97%とすることができるので、高速
で濾過しても損失水頭の上昇が少なくてすみ、大きな処
理量で連続して濾過することができる。また本実施形態
では、開閉扉48を設けることによって濾過層50,5
2の交換作業が容易となるので、メンテナンス性を向上
させることができる。
0,52は高い弾発性を有する。このような弾発性の高
い濾過層50,52を各支持板44,45上に装着し、
上述の被処理水が供給されると、各濾過層50,52の
上部に配置される繊維は上述のように高い弾発性によっ
て圧縮量が少なく、また下部に配置される繊維が被処理
水を吸収した上部繊維の重みによって圧縮される。この
ようにして各濾過層50,52毎においてもその被処理
水の流下方向の上流側から下流側に向かって空隙の大き
さが大から小となるので、被処理水中のSSを大きな粒
径から小さな粒径にわたって段階的に捕捉することがで
き、安定した水質の処理水を連続的に得ることができ
る。また上述のように各濾過層50,52は合成繊維に
よって構成されるので、たとえば砂およびアンスラサイ
トを用いた構成と比較して装置の軽量化を図ることがで
き、これによってトラックおよび牽引車などによる運搬
が容易である。
層50,52を生分解性合成繊維によって構成してもよ
い。この生分解性合成繊維は、たとえばデンプンから得
られる乳酸を原料としたポリ乳酸繊維によって実現され
る。この生分解性合成繊維は、石油化学繊維を原料とし
て使用しないため、洗浄による空隙率の回復が不可能と
なった濾過層50,52を構成する繊維を土中に埋めて
廃棄すると、土中の微生物によって炭酸ガスと水とに分
解され、環境を汚染するおそれがない。
環境汚染を防ぐために焼却処理する必要があるけれど
も、本実施の形態では土中に埋設するだけで良いので、
廃棄コストを削減することができる。
て、ポリエステル繊維などから成る合成繊維を、図7に
示すような、直径6mm、高さ6mm程度の円柱形のブ
ロック状に熱融着などの手段によって接合し、この繊維
ブロック49を複数、各支持板44,45上に充填し
て、濾過層50,52を構成してもよい。単1個の繊維
ブロック49は、2〜15デニールの合成繊維のうちほ
ぼ同一の繊維径を有する合成繊維群を上述のように接合
して構成される。また前記合成繊維群を構成する繊維の
繊維径が異なる複数種の繊維ブロック49を、所定の割
合で組合せることによって各濾過層50,52が構成さ
れる。したがって、繊維径の大きな繊維ブロックが多く
組合せられる濾過層は重量が同一とすると空隙の大きさ
が大であり、逆に繊維径の小さな繊維ブロックが多く組
合せられる濾過層は空隙の大きさが小となる。
る各濾過層50,52は、各濾過層50,52を通過す
る被処理水の流れによって各繊維ブロック49が小さく
振動し、各濾過層50,52の上面50a,52a付近
の繊維ブロック49に付着した懸濁物質を濾過しながら
遊離させて、前記上面50a,52a付近に配置される
繊維ブロック49よりも下部の繊維ブロック49で捕捉
させることができるので、長時間にわたって上面50
a,52aにおける目詰まりを生じることなしに連続し
て濾過を行うことができ、これによっても処理水の水質
の安定化を図り、濾過処理効率を向上することができ
る。各繊維ブロック49が、ポリエステル繊維である場
合、充填密度を70〜90kg/m3とすると、比表面
積が約9000m2/m3であり、約97%の高い空隙率
を実現することができる。
解性合成繊維群、もしくは複数の繊維ブロック49が、
図8に示すネット51に充填されて濾過層50,52を
構成する。このような構成では、懸濁物質を充分に捕集
して汚れた各濾過層50,52は、それを包むネット5
1ごと各支持板44,45上から容易に取除くことがで
きるので、汚れた濾過層50,52を新たな濾過層5
0,52と変換する作業が容易であり、さらにケーシン
グ38に設けられる開閉扉48によって、外部から容易
に交換作業を行うことができるので、各濾過層50,5
2の懸濁物質の捕集による空隙率の低下を回復するため
に必要な停止時間を短くすることができ、結果的に装置
1の稼働率を向上させ、かつ安定した水質の処理水を得
ることができる。
体43の一部を拡大して示す断面図であり、図10は図
9の切断面線X−Xから見た断面図である。図1〜図4
をも参照して、蓋体43は、一端部が前記凝集沈殿手段
9からの被処理水を吐出する管路31に分岐手段59を
介して接続され、他端部に供給口36が形成されるL形
管路55と、L形管路55の供給口36からの被処理水
を、ケーシング38の内部空間の前記軸線に垂直な一平
面全面にわたってほぼ均一な量となるように分散して落
下させるための分散手段56とを有する。分散手段56
は、十字状の導水樋であって、中心部分から供給された
被処理水で前記樋の内部空間が満水になると、上面57
に設けられる複数の開口58から被処理水が漏出して、
一方の濾過層50の上面50a上に、分散して均等に落
下供給される。これによって、たとえば被処理水が濾過
層上面50aの一部分に偏って供給され、部分的に目詰
まりを起こし、処理水の水質が不安定となるという不具
合を確実に回避することができる。また被処理水は自由
落下して供給されるので、前記一方の濾過層50の上面
52aとの衝突によって、上面52の繊維に付着した粒
径の小さい懸濁物質を遊離させて、上面50aよりも下
部で捕捉させ、これによって一方の濾過層50において
も、その全体積を繊維を有効に利用して体積濾過を行う
ことができる。
濁水処理装置1には、基台14に固定される荷台74上
に、濾過手段10が複数(本実施形態では4)備えられ
る。凝集沈殿手段9からの被処理水は、管路31を介し
て分岐手段59に導かれ、この分岐手段59に備えられ
る図示しない開閉バルブを介して上述のL形管路55に
選択的に導かれる。前記分岐手段59は、管路31に接
続され、被処理水が供給される共通管路63と、共通管
路63の周方向に等間隔、たとえば90度ずつあけて接
続され、共通管路63の半径方向外方に延びる複数の分
岐管路64a,64b,64c,64d(以下、総称す
るときは、添字a,b,c,dを省略して単に分岐管路
64とする)とを有する。前記開閉バルブは分岐管路6
4にそれぞれ備えられ、この分岐管路64の前記開閉バ
ルブよりも被処理水の流下方向下流側に、各濾過手段1
0の各L形管路55がそれぞれ接続される。
ブおよび各L形管路55によって、各濾過手段10のい
ずれかに前記被処理水を選択的に切換えて供給する手段
が構成される。前記開閉バルブは各濾過手段10毎に備
えられ、各濾過手段10に被処理水を選択的に切換えな
がら供給することができる。したがってたとえば、濁水
処理装置1の単位時間当たりの最大処理量が21m3 /
時であり、各濾過手段10の濾過処理量を7m3/時と
すると、被処理水を4つの濾過手段10のうち、3つに
選択的に導いて濾過処理しながら残余の1つを停止し
て、各濾過層50,52を新たなものと交換し、または
濾材洗浄手段11によって洗浄して再生したものと交換
することができるので、前記装置1の運転を停止する必
要がなくなり、高い稼働率を達成して濾過処理効率を向
上することができる。各濾過手段10の開閉バルブを開
閉するタイミングは、たとえば各濾過手段10に濁度計
と、濾過手段10のケーシング38内の水位を計測する
水位計を取付け、処理水の濁度が上昇した場合、または
水位が上昇した場合、濾過層50,52のうちいずれか
一方または両方で目詰まりが生じたと判断することがで
き、前記開閉バルブを閉じて濾過層50,52の交換を
行うようにしてもよい。
処理装置1の運動制御は、制御手段70によって行われ
る。制御手段70は、原水ポンプ3、第1および第2凝
集剤供給手段56、凝集沈殿手段9、濾過手段10の稼
働および停止ならびに前記各開閉バルブの開閉を、たと
えば予め設定される処理スケジュールに従って自動的に
行ってもよく、または操作員の操作に従ってもよい。
と、一例として、原水ポンプ3から一次原水が20m3
/時の流量で吸上げられ、これを凝集沈殿手段9および
各濾過手段10で清澄濾過し、SS濃度5ppm程度以
下とした後、ドレン管71に介在される処理水ポンプ7
2によって放流水貯留槽12に導いて貯留された後、河
川および湖沼などの自然水系に放流される。本実施形態
では、上述した従来技術の構成と比較して、有機系凝集
剤を使用しないので操業コストの低減化を図ることがで
きる。
る濾過手段10において、排出口37から排出される処
理水の濁度と濾過継続時間との関係を調べるために、図
11に示される実験装置を用いて実験を行ったところ、
図12に示される結果を得ることができた。この実験装
置の濾過手段10aの各濾過層50,52の直径D1は
300mmとし、これを構成する合成繊維としてはアク
リル繊維を用いた。またベントナイト粉末と水道水との
混合液を用いてSS濃度が100ppmの試料濁水を作
りこの試料濁水を17リットル/分の流量で供給口36
から供給したところ、図12に示される実験例1〜4の
結果を得た。また本発明者らは、濾過手段10a内に2
つの濾過層50,52を上下に間隔ΔLをあけて配置し
た場合と、1つの濾過層だけを配置した場合とを比較す
るために、1つの濾過層のときの処理水の濁度と濾過継
続時間との関係を調べ、実験例5〜7に示される結果を
得た。前記実験例1,2において、各濾過層50,52
の複数の合成繊維の組合せは、図13の図13(1)に
示され、実験例3については図13(2)に、実験例4
については図13(3)にそれぞれ示す。なお、図13
中のdは繊維径であるデニールを示す。また各濾過層5
0,52の繊維長さは51mmであるが、76Lと付記
している繊維に限り、繊維長さを76mmとする。また
単層濾過では、2デニールで1.5kg〜1.8kgの
濾過層を用いる。
〜7とを対比すると、実験例5〜7で示される単層濾過
では、濾過層上面で目詰まりを起こし、いわゆる表層濾
過になり、濾過層の汚れ具合の観察から濾材全体積を有
効に使っていないことが確認された。また単層濾過の濁
度と経過時間のグラフから懸濁物質分にブレークスルー
と呼ばれる破過現象が急激に生じていることが解る。こ
れに対し、実験例1〜4で示される本実施形態の場合、
濾過層50,52の汚れは全体に及んでおり、濾材全体
積を有効に使っていることが確認された。また濁度と経
過時間のグラフから懸濁物質分の破過現象は単層濾過に
比べて緩やかな曲線を描いて生じていることが解る。
層を配置するよりも上下方向に間隔ΔLをあけて複数、
少なくとも2つ配置する本実施形態の構成が濾材の空隙
がより有効に機能されて、いわゆる体積濾過を行うこと
ができることが確認された。
7において、単層濾過では、3.5g/リットル程度の
懸濁物質を捕捉することができたけれども、図13に示
される繊維濾材と多層濾過との組合せとで、ベントナイ
ト濁水の場合、濾過速度が340m/日で懸濁物質の捕
捉量は10g/リットル程度となったことが確認され
た。このように本実験では、SS濃度が100mg/リ
ットル程度のベントナイト濁水を濾過速度340m/日
で濾過処理した場合、3時間にわたってSS濃度が20
mg/リットル以下の処理水を得ることができる。図1
2に示される実験装置では、各濾過層50,52の直径
D1が300mmであるけれども、仮に、濾過面積と捕
捉量との関係が、比例的にスケールアップ可能とするな
らば、上述の図6に示される濾過手段10は、前記直径
Dが800mmであり、濾過速度340m/日に相当す
る濁水量の濾過処理を、より長い時間にわたって行うこ
とができる。このことは上述のようにトラックなどの車
両で運搬できる小形の装置としては高い濁水処理性能を
有する装置であることが判る。
って濾過継続時間がどのように変わるかを調べるため
に、上述のベントナイト粉末と水道水との混合液に代え
てカオリン粘土粉末を水道水に溶かし、SS濃度が10
0mg/リットルとした試料濁水を用いて濾過実験を行
ったところ、図14に示される結果を得ることができ
た。この図14に明らかなようにベントナイト濁水と同
じSS濃度の試料濁水であっても、カオリンの場合は4
時間30分以上濾過が継続している。図12および図1
4を対比すると、懸濁物質の種類に応じて濾過継続時間
が変化するけれども、長期にわたってSS濃度が5mg
/リットル以下の処理水が吐出されることが判る。
いて、図15に示される実験装置を用いて下記の表1に
示される試料濁水を供給したとき、経過時間と越流処理
水濁度との関係を調べたところ、図16に示される結果
を得ることができた。
殿手段9と、ほぼ同じ濁水処置性能を有する。この実験
装置における凝集沈殿槽9aは、略円柱状の第1沈降部
21aと、第1沈降部21aを外囲する略円柱状の第2
沈降部22aと、第1および第2沈降部21a,22a
の下部に設けられる汚泥かき寄せ手段25とを有する。
第1沈降部21aは、有底円筒状の形状を有し、下方に
臨んで開口する開口部を有する。第1沈降部21aには
第1および第2撹拌槽7a,8aからの一次原水、第1
および第2凝集剤から成る混合液が供給される。第1沈
降部21aに供給された前記混合液は、粒径が比較的大
きな粒子が、速やかに落下して汚泥かき寄せ手段25に
よって捕捉される。上述のように原水槽2からの一次原
水には第1および第2凝集剤が混合撹拌されているの
で、粒径の比較的小さいシルト、粘土分を凝集させてよ
り大きい粒径とすることができ、凝集沈殿槽9aにおい
て、効率よく沈降分離される。
る回転駆動によって第1および第2沈降部21a,22
aの下部に堆積される汚泥を捕集プロペラ27によって
中央部へかき寄せる。このようにしてかき寄せされた汚
泥は、管路28から排泥ポンプ24によって外部へ排出
される。
滞留時間が15分と比較的短く設定したけれども、いず
れの実験ケースにおいても越流処理水のSS濃度は、1
00mg/リットル以下であった。上述の図11〜図1
4に示される濾過実験によって、濾過手段10に供給さ
れる被処理水のSS濃度が100mg/リットル程度以
下であれば、濾過継続時間は濾過の困難なベントナイト
濁水であっても処理水SS濃度が20mg/リットルに
適するのに最も早くて3時間であったことが判っている
ので、この凝集沈殿手段9との組合わせによって建設排
水の濁水処理への対応が可能であることが容易に判る。
0bの実験装置を上述の図15に示される実験装置の手
段に接続し、このような2つの実験装置で行う実験条件
を示す。図17に示される実験装置は、鉛直方向に間隔
をあけて3つの濾過層50,52,61を装着してい
る。各濾過層50,52,61の繊維径は、実験条件A
では下段に2デニール、中段に10デニール、上段に1
5デニールであり、重量はそれぞれ3kgずつとした。
また実験条件Bでは、下段に2デニールを2kg、中段
に10デニール2kg、上段に15デニールを2kgと
した。また各濾過層50,52,61の直径D2は60
0mmとした。
め、濁度と濾過経過時間との関係を調べたところ、図1
8に示される結果を得た。実験条件Aで行った実験N
o.1では、処理水に凝集剤を入れないため、SSの除
去効率が悪く、SS濃度は56%〜72%であった。凝
集処理しない懸濁粒子は、粒径が小さく、懸濁粒子の濾
材表面への付着が少ないものと考えられる。
うに、凝集剤に第2凝集剤のみを使用した場合では、濾
過処理水にわずかな懸濁物質の流出が確認された。また
実験No3では、供給濁水のSS濃度が250mg/リ
ットルと非常に高濃度であったが、処理水の濁度が2時
間まで0に近く、その後も濁度5前後で3時間40分濾
過を継続することができた。このことは実験No.2,
3よりもSS濃度が低い条件であれば、実用化を図る上
で長時間の濾過を期待できることが判る。
結果において、ベントナイト濁水の濾過では、懸濁物質
の捕捉量は、カオリン濁水の濾過と比較して差異がある
ことから、濁水の懸濁物質の性質に応じて濾材の懸濁物
質捕捉量が異なることが判るけれども懸濁物質の性状が
変化しても、濁水を濾過手段10の前段において凝集沈
殿手段9で凝集剤処理を行い、SS濃度を100ppm
程度以下とすることによって、安定した処理水が得られ
る濾過を8時間以上継続可能であることが容易に判る。
の濁水処理装置81aを示す部分分解斜視図である。な
お、本実施形態は、上述した図1〜図18に示す各実施
形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付し、
説明は省略する。本実施形態において注目すべきは、4
つの濾過手段10を有する濾過部82aが基台14上に
着脱自在に搭載されることである。
と、各濾過手段10の下端部が固定される荷台74と、
各濾過手段10の前記供給口36にそれぞれ接続される
分岐手段59と、凝集沈澱手段9および分岐手段59間
にわたって設けられ、凝集沈澱手段9からの二次原水を
分岐手段59へ導くための接続手段である伸縮管路84
とを有する。この濾過部82aは、たとえばクレーンな
どの手段によって吊上げられて基台14上に載置され
る。
置された状態では、各濾過手段10の軸線が鉛直方向に
平行となり、これによって前記分散手段56から落下供
給される被処理水が上側の濾過層50の上面50aの片
側に偏って供給されるという不具合が防がれる。
態では、分岐手段59の共通管路63に形成される供給
部85が、凝集沈澱手段9の第2沈降部22の第2越流
せき34に臨んで形成される排出部86よりも下方に配
置される。
ンジ部84a,84bがそれぞれ設けられ、これらのフ
ランジ部84a,84bが前記供給部85および排出部
86にボルトおよびナットなどの手段によってそれぞれ
固定される。
で、かつ前記軸線に垂直な半径方向に充分な可撓性を有
する。したがって濾過部82aが基台14上の所定の位
置から多少ずれた位置に載置されても、そのずれを許容
して供給部85と排出部86とをそれぞれ接続して、凝
集沈澱手段9からの二次原水を分岐手段59に導くこと
ができる。
7を溶接などの手段によって固定し、これらの取付部材
87と荷台74とをボルトおよびナットなどによって着
脱自在に固定して、濾過部82aの位置決めを行っても
よい。
の濁水処理装置81bを示す平面図である。なお、本実
施形態は、上述した図19に示す実施形態に類似し、対
応する部分には同一の参照符を付して説明は省略する。
この実施形態において注目すべきは、上述した図1〜図
19に示す各実施形態の濾過手段10よりも小さな濾過
処理能力を有する濾過手段10bを4つ備える濾過部8
2bが、搭載されることである。
上述した各実施形態の濾過手段10と比較して、高さは
同一であるけれども、直径が小さく、500mm程度に
選ばれる。このような濾過手段10bでは、SS濃度が
100ppm程度の被処理水が供給される場合、最大
2.7m3/時の流量で濾過処理を行うことができる。
て、上述の濾過部82bの代わりに、図21に示すよう
な、さらに小型の濾過手段10cを4つ備える濾過部8
2cを搭載してもよい。この実施の形態の濾過手段10
cは、上述した各実施形態の濾過手段10,10bと比
較して、高さが同一であり、直径が300mm程度に選
ばれる。このような濾過手段10cの濾過処理能力は、
供給される被処理水のSS濃度が100ppmとした場
合、上述した各実施形態よりも小さく、被処理水を最大
1m3/時程度の流量で濾過処理することができる。
段が軽量化されるので、トラックなどへの乗載作業を容
易に行うことができる。
径が異なる各濾過手段10,10b,10cをそれぞれ
有する各濾過部82a〜82cを取換えることによっ
て、単位時間当りの最大濾過処理量がそれぞれ異なる濁
水処理装置を実現することができる。たとえば濁水の排
出量が小さい現場において濁水処理を行う場合、上述し
た図19に示すような大きな濾過処理能力を有する濾過
部82aでは、4つの各濾過手段10のうち1つだけを
用いて濾過処理を行い得ることがある。しかしながらこ
のような用い方では残余の3つの各濾過手段10が無駄
となり、効率が悪い。このような現場では、たとえば図
21に示す濾過部82cを搭載して、4つの濾過手段1
0cのうち3つを用いて濾過処理を行い、残余の1つの
濾過手段10cは各濾過層の空隙率の低下の回復を図る
ために洗浄を行い、この洗浄作業および交換作業が完了
した後に、濾過処理中の3つの濾過手段10cのうち懸
濁物質を一番多く捕捉している濾過手段10cへの被処
理水の供給を停止して各濾過層の交換および洗浄作業を
行う。
び交換作業とを繰返し交互に切換えて行えば、4つの各
濾過手段10c全てを無駄なく用いることができ、効率
がよく、かつ安定した水質の処理水を得ることができ
る。また上述の図19に示す濾過手段10の各濾過層5
0,52は、図21に示す各濾過手段10cの各濾過層
と比較して小さく、かつ軽量であるので、上述の洗浄の
ための交換作業が容易であり、かつ洗浄時間が少ないの
で、各濾過手段10cの稼働効率を向上させるととも
に、洗浄水の汚損を少なくできる。
である濁水処理装置81dを示す平面図である。なお、
本実施形態は、上述した図1〜図21に示す各実施形態
に類似し、対応する部分には同一の参照符を付して、説
明は省略する。
れる濾過部82dは、上述した各実施形態の各濾過手段
10よりも直径が大きい濾過手段10dを2つ備える。
このような実施の形態によれば、2つの各濾過層10d
において、濾過処理と各濾過層の交換作業および洗浄作
業とを交互に切換えて行うことによって、この実施形態
の濾過部82d全体で最大10m3/時の流量で濾過処
理を行うことができる。
処理すべき被処理水の流量が1つの濾過手段10dの濾
過処理能力よりも小さい場合、濾過層の交換および洗浄
作業を行う時間の間隔、すなわち一方の濾過手段10d
での被処理水の供給を停止して他方の濾過手段10dに
被処理水を供給するまでの時間が長くなり、単位時間当
りの各濾過層の交換および洗浄作業の回数を少なくする
ことができる。
である濁水処理装置81eを示す平面図である。なお、
この実施形態は、上述した図1〜図22に示す各実施形
態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付して説
明は省略する。
2に示す濾過部82eに代えて、単位時間当りの最大濾
過処理量が2m3/時の濾過処理能力を有する濾過手段
10eを6つ有する濾過部82eが搭載される。このよ
うな実施の形態によれば、5つの濾過手段10eにおい
て濾過処理を行い、残余の1つの濾過手段10eの各濾
過層を交換および洗浄することによって、濾過部82e
全体で最大10m3/時の流量で濾過処理することがで
きる。したがってこの実施形態では、上述した図22に
示す実施形態と比較して、装置全体の濁水処理量が同一
となるけれども、各濾過手段10eを効率よく用いるこ
とができ、かつ安定した水質の処理水を得ることができ
る。
である濁水処理装置81fを示す平面図である。なお、
本実施形態は上述した図1〜図23に示す各実施形態に
類似し、対応する部分には同一の参照符を付して説明は
省略する。本実施形態において注目すべきは、4つの濾
過手段10fをそれぞれ有する2つの濾過部82f1,
82f2を搭載したことである。
つの伸縮管路84f1,84f2と、これら伸縮管路8
4f1,84f2を連結するT形共通管路88とによっ
て、被処理水の流過方向に沿って直列に接続される。こ
のような実施の形態によれば、比較的大きなSS濃度の
被処理水を大流量で濾過処理することができる。
両によって運搬するときは、たとえば各濾過部82f
1,82f2と、これらを取外した濁水処理装置81f
の他の構成、すなわち第1および第2凝集剤供給手段
5,6、第1および第2撹拌手段7,8、凝集沈澱手段
9ならびに基台14とを別々の車両で運搬してもよい。
形態の濁水処理装置1において、共通管路63を、図2
4に示す実施形態のT形共通管路88に取換えて伸縮管
路84f2によって、濾過部82f2を追加接続しても
よい。
では、各濾過手段10a〜10fが同一の高さを有する
けれども、これに限定されず、本発明の実施のさらに他
の形態として、前記凝集沈澱手段9の排出部86よりも
低い位置に供給部85が配置されるものであれば、前記
高さの異なる濾過手段を有する濾過部を搭載してもよ
い。
出口寄りに配置される濾過層の空隙は前記供給口寄りに
配置される濾過層の空隙よりも小さくなるように選ばれ
る。すなわち、供給口から排出口に向かって通過する被
処理水の流れに対して上流側に配置される濾過層の空隙
の大きさを大とし、下流側の濾過層の空隙の大きさを小
として、各濾過層が被処理水の流過方向に粗から密とな
るように配置される。したがって供給口寄りの濾過層に
よって粒径の大きい粒子を捕集し、排出口寄りの濾過層
によって粒径の小さい粒子を捕集するので、各濾過層の
上面で目詰まりを防止して、いわゆる表層濾過状態にな
って被処理水の透過率が低下することを防ぎ、これによ
って濁水の性状変化に伴う懸濁物質の粒径が変化しても
粒径の大きい粒子から小さい粒子にわたって上流側の濾
過層から下流側の濾過層によって段階的に捕集し、長時
間にわたって処理水の水質を均等として継続的に濾過す
ることができる。しかも各濾過層はケーシング内で相互
に間隔をあけて配置されるので、被処理水が各濾過層を
通過する際に各濾過層内を均等な流速で通過することが
でき、これによって各濾過層の全体を有効に利用して言
わば体積濾過によって濾過することができる。排水口寄
りの濾過層が供給口寄りの濾過層の重みによって圧縮さ
れず、高い空隙率が確保されるとともに、上方に配置さ
れる供給口寄りの濾過層を通過した被処理水が下面から
自由落下によって下方に配置される排水口寄りの濾過層
の上面にほぼ均一な流量分布で滴下して供給されるの
で、したがって部分的な目詰まりおよび被処理水のショ
ートパスを防ぎ、長時間にわたって大きな処理量で連続
して濾過することができ、濾過処理効率を向上すること
ができる。
捕集することができるので、装置の小型化を図ることが
でき、これによって装置が占有する設置場所面積が小さ
くてすむとともに、たとえば車両による運搬が可能であ
り、工事の進捗に応じて装置の設置場所を容易に変更す
ることができる。
過層を多段に装着して多層濾過手段が構成されるので、
むやみに多量の凝集剤を用いる必要がなく、したがって
濾過処理効率を低下させることなく、コストの低減化を
図ることができる。さらに各濾過層は着脱自在であるの
で、交換が容易であり、各濾過層の懸濁物質の捕集によ
る空隙の低下を回復するために濾過層を洗浄して再生す
るための停止時間をなくすことができるので、稼働率が
高く、全体として低コスト化を図り、安定した水質の処
理水を得ることができる。
に被処理水を選択的に切換えながら各多層濾過手段毎に
上記の濾過を行うことができるので、被処理水を各多層
濾過手段のいずれかに選択的に導いて濾過処理しなが
ら、残余の多層濾過手段の各濾過層を新たなものと交換
しまたは洗浄して再生したものと交換することができる
ので、被処理水の濾過を停止する必要がなくなり、高い
稼働率を達成して濾過処理効率を向上することができ
る。
状にした複数の繊維ブロックから成るので、各濾過層を
通過する被処理水によって各繊維ブロックが流動し、濾
過層の上面付近の繊維ブロックに付着した懸濁物質を濾
過しながら遊離させ、前記上面付近よりも下部の繊維ブ
ロックで捕捉することができるので、長時間にわたって
目詰まりを生じることなしに連続して濾過を行うことが
でき、処理効率をより一層向上することができる。
くとも1つに用いられる繊維として、生分解性合成繊維
を用いるので、低下した空隙率を洗浄によって回復する
ことが不可能となった合成繊維および長期の使用によっ
て繊維が劣化した合成繊維をたとえば土中に埋設して廃
棄処分することが可能である。この土中に埋設した合成
繊維は生分解するので、その繊維は土中の微生物によっ
て炭酸ガスと水とに分解され、環境に悪影響を与えるこ
となく環境汚染を防ぐための特別な処理を用いる必要が
なく、低コストで廃棄することができる。
理水の供給流量に応じて、適当な濾過処理能力を有する
多層濾過手段に選択的に取換えることができるので、多
層濾過手段の稼働効率を向上させ、かつ処理水の水質の
安定化を図ることができる。
の構成を示す正面図である。
ある。
である。
である。
である。
示す斜視図である。
大して示す断面図である。
ある。
係を調べるための実験装置を示す系統図である。
過時間と濁度との関係を実験によって求めた結果を示す
グラフである。
濾過層50,52の繊維ブロックの配置を示す図であ
り、図13(1)は実験例1,2の状態を示し、図13
(2)は実験例3の状態を示し、図13(3)は実験例
4の状態を示す。
粉末と水道水との混合液を濾過した実験における濾過継
続時間と濁度との関係を実験によって得た結果を示すグ
ラフである。
処理水濁度との関係を調べるための実験装置を示す系統
図である。
実験の結果を示すグラフである。
10を組込んだ状態を示す系統図である。
れた結果を示すグラフである。
理装置81aを示す部分分解斜視図である。
理装置81bを示す平面図である。
理装置81cを示す平面図である。
理装置81dを示す平面図である。
理装置81eを示す平面図である。
理装置81fを示す平面図である。
は、上部に、SS濃度が100ppm程度以下の被処理
水が供給される供給口が設けられるとともに、下部に濾
過後の濾水を排出する排出口が設けられる中空のケーシ
ング内に、前記供給口から排出口に向かって複数の濾過
層が相互に間隔をあけて着脱自在に装着される多層濾過
手段を備え、この多層濾過手段の各濾過層は、2〜15
デニールの繊維から成り、供給口寄りに配置される濾過
層の空隙に対して排出口寄りに配置される濾過層の空隙
が小さく選ばれ、前記供給口からの被処理水を、ケーシ
ングの内部空間の軸線に垂直な一平面全面にわたってほ
ぼ均一に分散して落下させる分散手段を備えることを特
徴とする濁水処理装置である。
される濾過層の空隙は前記供給口寄りに配置される濾過
層の空隙よりも小さくなるように選ばれる。すなわち、
供給口から排出口に向かって通過する被処理水の流れに
対して上流側に配置される濾過層の空隙の大きさを大と
し、下流側の濾過層の空隙の大きさを小として、各濾過
層が被処理水の流過方向に粗から密となるように配置さ
れる。したがって供給口寄りの濾過層によって粒径の大
きい粒子を捕集し、排出口寄りの濾過層によって粒径の
小さい粒子を捕集するので、各濾過層の上面で目詰まり
を防止して、いわゆる表層濾過状態になって被処理水の
透過率が低下することを防ぎ、これによって濁水の性状
変化に伴う懸濁物質の粒径が変化しても粒径の大きい粒
子から小さい粒子にわたって上流側の濾過層から下流側
の濾過層によって段階的に捕集し、長時間にわたって処
理水の水質を均等として連続的に濾過することができ
る。したがって、むやみに多量の凝集剤を用いる必要が
なく、コストの低減化を図ることができる。さらに、前
記供給口からの被処理水は分散手段によってケーシング
の内部空間の軸線に垂直な一平面全面にわたってほぼ均
一に分散して落下して供給されるので、この分散手段の
直下に配置される濾過層の上面に前記分散して落下して
きた被処理水が衝突し、これによって上面の繊維に付着
した粒径の小さい懸濁物質を遊離させて前記上面よりも
下部で捕捉し、この濾過層の全体的な繊維を有効に利用
して体積濾過を行うことができる。しかも各濾過層はケ
ーシング内で相互に間隔をあけて配置されるので、排水
口寄りの濾過層が供給口寄りの濾過層の重みによって圧
縮されず、高い空隙率が確保されるとともに、上方に配
置される供給口寄りの濾過層を通過した被処理水が下面
から自由落下によって下方に配置される排水口寄りの濾
過層の上面にほぼ均一な流量分布で滴下して供給するこ
とができ、被処理水が各濾過層を通過する際の各濾過層
内の流速を均等とすることができ、各濾過層の全体を有
効に利用して言わば体積濾過によって濾過することがで
きる。したがって部分的な目詰まりおよび被処理水のシ
ョートパスを防ぎ、長時間にわたって大きな処理量で連
続して濾過することができ、濾過処理効率を向上するこ
とができる。
体43の一部を拡大して示す断面図であり、図10は図
9の切断面線X−Xから見た断面図である。図1〜図4
をも参照して、蓋体43は、一端部が前記凝集沈殿手段
9からの被処理水を吐出する管路31に分岐手段59を
介して接続され、他端部に供給口36が形成されるL形
管路55と、L形管路55の供給口36からの被処理水
を、ケーシング38の内部空間の前記軸線に垂直な一平
面全面にわたってほぼ均一な量となるように分散して落
下させるための分散手段56とを有する。分散手段56
は、十字状の導水樋であって、中心部分から供給された
被処理水で前記樋の内部空間が満水になると、上面57
に設けられる複数の開口58から被処理水が漏出して、
一方の濾過層50の上面50a上に、分散して均等に落
下供給される。これによって、たとえば被処理水が濾過
層上面50aの一部分に偏って供給され、部分的に目詰
まりを起こし、処理水の水質が不安定となるという不具
合を確実に回避することができる。また被処理水は自由
落下して供給されるので、前記一方の濾過層50の上面
50aとの衝突によって、上面50aの繊維に付着した
粒径の小さい懸濁物質を遊離させて、上面50aよりも
下部で捕捉させ、これによって一方の濾過層50におい
ても、その全体積の繊維を有効に利用して体積濾過を行
うことができる。
出口寄りに配置される濾過層の空隙は前記供給口寄りに
配置される濾過層の空隙よりも小さくなるように選ばれ
る。すなわち、供給口から排出口に向かって通過する被
処理水の流れに対して上流側に配置される濾過層の空隙
の大きさを大とし、下流側の濾過層の空隙の大きさを小
として、各濾過層が被処理水の流過方向に粗から密とな
るように配置される。したがって供給口寄りの濾過層に
よって粒径の大きい粒子を捕集し、排出口寄りの濾過層
によって粒径の小さい粒子を捕集するので、各濾過層の
上面で目詰まりを防止して、いわゆる表層濾過状態にな
って被処理水の透過率が低下することを防ぎ、これによ
って濁水の性状変化に伴う懸濁物質の粒径が変化しても
粒径の大きい粒子から小さい粒子にわたって上流側の濾
過層から下流側の濾過層によって段階的に捕集し、長時
間にわたって処理水の水質を均等として継続的に濾過す
ることができる。さらに、前記供給口からの被処理水は
分散手段によってケーシングの内部空間の軸線に垂直な
一平面全面にわたってほぼ均一に分散して落下して供給
されるので、この分散手段の直下に配置される濾過層の
上面に前記分散して落下してきた被処理水が衝突し、こ
れによって上面の繊維に付着した粒径の小さい懸濁物質
を遊離させて前記上面よりも下部で捕捉し、この濾過層
の全体的な繊維を有効に利用して体積濾過を行うことが
できる。しかも各濾過層はケーシング内で相互に間隔を
あけて配置されるので、被処理水が各濾過層を通過する
際に各濾過層内を均等な流速で通過することができ、こ
れによって各濾過層の全体を有効に利用して言わば体積
濾過によって濾過することができる。排水口寄りの濾過
層が供給口寄りの濾過層の重みによって圧縮されず、高
い空隙率が確保されるとともに、上方に配置される供給
口寄りの濾過層を通過した被処理水が下面から自由落下
によって下方に配置される排水口寄りの濾過層の上面に
ほぼ均一な流量分布で滴下して供給されるので、したが
って部分的な目詰まりおよび被処理水のショートパスを
防ぎ、長時間にわたって大きな処理量で連続して濾過す
ることができ、濾過処理効率を向上することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 上部に、SS濃度が100ppm程度以
下の被処理水が供給される供給口が設けられるととも
に、下部に濾過後の濾水を排出する排出口が設けられる
中空のケーシング内に、前記供給口から排出口に向かっ
て複数の濾過層が相互に間隔をあけて着脱自在に装着さ
れる多層濾過手段を備え、 この多層濾過手段の各濾過層は、2〜15デニールの繊
維から成り、供給口寄りに配置される濾過層の空隙に対
して排出口寄りに配置される濾過層の空隙が小さく選ば
れる多層濾過手段を備えることを特徴とする濁水処理装
置。 - 【請求項2】 多層濾過手段は、複数、設けられ、 各多層濾過手段のいずれかに前記被処理水を選択的に切
換えて供給する手段を含むことを特徴とする請求項1記
載の濁水処理装置。 - 【請求項3】 各濾過層は、繊維を塊状にした複数の繊
維ブロックから成ることを特徴とする請求項1または2
記載の濁水処理装置。 - 【請求項4】 各濾過層のうち少なくとも1つに用いら
れる繊維は、生分解性合成繊維から成ることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載の濁水処理装置。 - 【請求項5】 濾過処理能力の異なる多層濾過手段が着
脱自在に搭載されることを特徴とする請求項1〜4のい
ずれかに記載の濁水処理装置。
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JP28577198A JP3148721B2 (ja) | 1998-10-07 | 1998-10-07 | 濁水処理装置 |
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ID=17695857
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010119982A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Toda Constr Co Ltd | 濁水処理システム及びその処理方法 |
JP2017000943A (ja) * | 2015-06-09 | 2017-01-05 | 株式会社大林組 | 濁水処理装置及び濁水処理システム |
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-
1998
- 1998-10-07 JP JP28577198A patent/JP3148721B2/ja not_active Expired - Lifetime
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