JP2000102732A - 金属酸化物の触媒 - Google Patents

金属酸化物の触媒

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JP2000102732A
JP2000102732A JP10290111A JP29011198A JP2000102732A JP 2000102732 A JP2000102732 A JP 2000102732A JP 10290111 A JP10290111 A JP 10290111A JP 29011198 A JP29011198 A JP 29011198A JP 2000102732 A JP2000102732 A JP 2000102732A
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JP10290111A
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Hidetoshi Saito
秀俊 斉藤
Yoshitomo Ueda
致知 植田
Keiichi Nakazawa
桂一 中沢
Hideo Kinoshita
秀雄 木下
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 平板状体からなり、平板状体の中心面が
相互に平行である組み合わせが2組以上存在する格子状
構造を有する金属酸化物構造体であって、該金属酸化物
構造体を触媒として使用する金属酸化物構造体。好まし
くは、平板状体が、基材上の10μm×10μmの面積
当たり0.01〜10000個の密度で存在する金属酸
化物構造体。 【効果】 本発明の構造体は、小さな容積で面積を大き
くすることができ、特に、気相や液相やその両方の相に
おける触媒として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、格子状構造を有す
る金属酸化物構造体であって、該金属酸化物構造体を触
媒して使用する金属酸化物構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属酸化物は、セラミックコンデンサ
ー、アクチュエーター、光波長変換素子、レーザー発振
素子、冷陰極素子等の電子材料、抗菌、防汚効果等を目
的とする表面改質剤、気相や液相やその両方の相におけ
る触媒、その担体等に使用されている。これらの材料に
使用するためには、容積当たりの表面積が大きいことが
望まれる。容積当たりの表面積を大きくするためには、
例えば積層する技術が従来より実施れてきた。しかし、
この方法では容積当たりの表面積を大きくすることには
限界があった。
【0003】また、表面積を大きくする方法として多数
の針状結晶を形成する方法も既知である。従来より、有
機金属熱分解法(以下「MOCVD法」と記述する)を
用いてIII−V族化合物半導体、IV−VI族化合物
半導体、元素半導体のいずれか少なくとも一種からなる
針状結晶をMOCVD法を用いて形成する方法が行われ
ている。しかし、この方法では得られる針状結晶はII
I−V族化合物半導体、IV−VI族化合物半導体、元
素半導体のいずれか少なくとも一種からなり、配向して
いる向きも一方向であった。さらに、多数の配向した金
属酸化物からなる平板状体の形成に関しては公知の文献
には教示も示唆もない。
【0004】さらに、常圧下、MOCVD法を用いて金
属酸化物を形成する方法として、例えばジャーナル・オ
ブ・ザ・セラミック・ソサイエティー・オブ・ジャパ
ン,105(1997年)第551頁から第554頁
〔Journal of theCeramic So
ciety of Japan,105(1997)p
p.L551〜R554〕に記載されている方法があ
る。しかし、該論文中に記載の方法では酸化チタン薄膜
が形成されるのみで、大きな表面積とする方法は開示さ
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、平板状体が
ある特定の密度で存在することにより、表面積が大きい
等の特異な構造を持った金属酸化物構造体であって、該
金属酸化物構造体を触媒として使用する金属酸化物構造
体に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、容積当たり
の表面積が大きい金属酸化物触媒について鋭意検討を行
った結果、狭い面積に数多くの金属酸化物触媒としての
平板状体が存在する構造体を見出し、本発明を完成する
に至ったものである。すなわち本発明は、(1)平板状
体からなり、平板状体の中心面が相互に平行である組み
合わせが2組以上存在する格子状構造を有する金属酸化
物構造体であって、該金属酸化物構造体を触媒として使
用する金属酸化物構造体、(2)平板状体の幅が0.0
05〜10000μm、長さが0.05〜10000μ
m、かつ幅に対する高さの比が1以上である(1)の金
属酸化物構造体、(3)平板状体が、構造体平面上の1
0μm×10μmの面積当たり0.01〜10000個
の密度で存在する(1)、(2)の金属酸化物構造体、
(4)平板状体が金属酸化物からなる板上に存在してい
る(1)〜(3)の金属酸化物構造体、(5)平板状体
が金属酸化物単結晶である(1)〜(4)の金属酸化物
構造体、(6)平板状体の中心面が相互に平行である組
み合わせが2組以上存在し、かつ結晶軸が同一方向に存
在する(1)〜(5)の金属酸化物構造体、(7)平板
状体の幅に対する高さの比の加重平均が5未満である
(1)〜(6)の金属酸化物構造体、(8)平板状体の
幅に対する高さの比の加重平均が5以上である(1)〜
(6)の金属酸化物構造体、(9)平板状体の高さの加
重平均が0.1μm以上である(1)〜(8)の金属酸
化物構造体、(10)金属酸化物が光触媒活性を有する
(1)〜(9)の金属酸化物構造体。(11)金属酸化
物と励起源からなる(1)〜(10)の金属酸化物構造
体。に関するものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける平板状体とは、構造体を平面方向から観察した際
に中心軸が1本の直線からなる板状体のことを言う。こ
の場合の中心軸の方向は長軸方向である。板状体の中心
軸が、例えばアルファベットのL字のように2本以上の
直線からなる場合は、1本の中心軸に対し1つの平板状
体と見なす。平板状体の中心軸及び中心面の方向は、通
常のX線回折法、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」
と記述する)写真からの目視観察や画像解析をはじめと
する従来公知の方法で測定し、決定することができる。
【0008】本発明における構造体は中心面が相互に平
行である組み合わせが2組以上存在し、格子状構造を有
する金属酸化物の平板状体からなる。平板状物の中心面
が相互に平行である組み合わせは2組以上存在すれば何
組でも差し支えないが、好ましくは6組以下である。全
平板状物の数に対する中心面が相互に平行である平板状
物の1組あたりの数の比は問われないが、この比は、平
板状物の中心面が相互に平行である組み合わせをn組と
した場合、1/(5×n)以上であることが好ましい。
例えば、平板状物の中心面が相互に平行である組み合わ
せが2組の場合は1/10以上が全平板状物の数に対す
る中心面が相互に平行である平板状物の1組あたりの数
の比の好ましい範囲となる。さらに好ましくは、1/
(3×n)以上である。ここで言う平板状物の数とは、
構造体を平面方向から観察した場合の10μm×10μ
mの面積当たり存在する平板状物の数のことを言う。
【0009】平板状体の大きさは特に限定されないが、
幅が0.005〜10000μmであることが好まし
く、さらに好ましくは0.01〜100μm、最も好ま
しくは0.05〜10μmである。また、長さは、0.
05〜10000μmであることが好ましい。より好ま
しくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.1〜
100μmである。ここで言う平板状体の長さとは、本
発明中の構造体の平面部を観察した際に実質的に一本の
棒として認められる平板状体の長軸の長さのことを示
す。また、ここで言う平板状体の幅とは、本発明中の構
造体の平面部を観察した際に実質的に一本の棒として認
められる平板状体の長さの1/2の位置における幅のこ
とを示す。
【0010】幅が0.005μm未満の場合には成長し
た平板状体を得ることが困難であり、10000μmを
越える場合には平板状体による表面積増加の効果が乏し
く好ましくない。平板状体の幅に対する長さの比は特に
限定されないが、好ましくは1以上である。平板状体の
幅に対する長さの比が小さすぎると平板状体による表面
積増加の効果が現れない。平板状体の幅に対する長さの
比は高ければ高いほど平板状体の効果が現れるが、平板
状体の幅に対する長さの比が高すぎると構造体の強度保
持が困難になる。
【0011】平板状体の立体的な形状としては、平板状
体の幅に対する高さの比は、好ましくは1以上である。
平板状体の幅に対する高さの比が1未満では平板状体に
よる表面積増加の効果が現れず、好ましくない。平板状
体の幅に対する高さの比が高ければ高いほど平板状体の
効果が現れるが、平板状体の幅に対する高さの比が高す
ぎると構造体の強度保持が困難となる。ここで言う高さ
とは、平板状体が実質的に突起している位置から平板状
体の頂上までの高さのことを言う。高さは使用する用途
によって異なり、特に限定されないが、通常、実用面か
ら0.1〜10000μmが好ましく、より好ましくは
1〜1000μm、さらに好ましくは10〜500μm
である。平板状体の長さが0.1μm未満の場合には、
平板状体による表面積増加の効果が乏しく、10000
μmを越える場合には、構造体の強度保持が困難とな
る。
【0012】複数の平板状体における幅に対する高さの
比や高さの平均値は金属酸化物の種類にもより、特に限
定されない。本発明における幅に対する高さの比の平均
値は構造体中心部の長さ200μmの断面の範囲におけ
る平板状体の幅に対する高さの比の加重平均値のことを
言う。本発明の構造体は、幅に対する高さの比の平均値
が5未満のずんぐりした低い側壁をもつ構造体と幅に対
する高さの比の平均値が5以上の高い側壁をもつ構造体
に分類される。これらは用途によって使い分けることが
できる。本発明における高さの平均値は金属酸化物面上
の10μm×10μmの範囲における突起物の高さの加
重平均値のことを言う。高さの平均値は好ましくは0.
1μm以上である。幅に対する高さの比の平均値、高さ
の平均値共に分布の幅はいずれでもよい。
【0013】平板状体の立体的な形状としては特に限定
されない。具体的には、平板状体の高さを変えて平板状
体の断面を平面方向から観察した場合、平板状体の幅及
び/又は長さが平板状体の高さに関係なく下から上まで
一定であるもの、平板状体の高さ方向における根元の部
分における平板状体の幅及び/又は長さが小さく、上に
行くにつれ一度平板状体の幅及び/又は長さが大きくな
った後、頂上部に向かって再度平板状体の幅及び/又は
長さが少しずつ減少していくもの、平板状体の根元にお
ける平板状体の幅及び/又は長さが小さく、中央部に行
くにつれ平板状体の幅及び/又は長さが大きくなること
と減少することを2回以上繰り返しながら頂上部に向け
て平板状体の幅及び/又は長さが減少していくもの、平
板状体の根元部から頂上部に行くにつれ平板状体の幅及
び/又は長さが少しずつ減少していくもの、頂上部近く
のある距離までは平板状体の幅及び/又は長さが同じ、
または大きくなったり小さくなったりして、そこからは
角錐または角錐台や円錐または円錐台や半球のような形
状を取っているもの等やこれらの組み合わせが挙げられ
る。さらに好ましくは角柱状である。結晶構造により異
なるが、例えば、酸化チタンの場合は四角柱となること
が多い。また、それ以外の多角形を断面の形状に持つ角
柱であっても差し支えない。
【0014】平板状体は金属酸化物からなる基板上に存
在しても差し支えない。又、金属酸化物以外の基板上に
存在しても差し支えない。基板の形状は、実質的に平面
及び/又は曲面を有していればいずれの形状でもよい
が、厚みに対して表面積が大きい形状がより好ましい。
また、板の場合、平板状体が存在する面の面積が他の面
と比較して最大である面であることが好ましい。平板状
体が存在する面の大きさは特に問われないが、板状の場
合、その厚さは実用上から0.01〜100mmである
ことが好ましく、さらに好ましくは0.02〜50m
m、最も好ましくは0.05〜10mmである。
【0015】平板状体が面上に存在する割合としては、
10μm×10μmの面積当たり0.01〜10000
個であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1
000個、さらに好ましくは1〜500個である。この
値が0.01個未満である場合は、平板状体による表面
積増加の効果が乏しく、10000個を越える場合は、
成長した平板状体を得ることが困難であり、好ましくな
い。本発明における構造体は、触媒活性を有する金属酸
化物からなる。本発明における金属酸化物とは、金属種
が、周期律表において水素を除く1族、2族、ホウ素を
除く13族、炭素を除く14族、窒素とリンと砒素を除
く15族、Po及び3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12族に属する各元素である酸化物である。
【0016】金属種としては、例えば、Li、Na、
K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、A
l、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、S
b、Bi、Po、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、
Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、Th、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、R
u、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、C
u、Ag、Au、Zn、Cd、Hg等が挙げられ、これ
らのなかで従来公知の触媒活性を示す金属酸化物の少な
くとも1種類以上を用いることができる。好ましくはL
i、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、
Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、P
b、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Th、Ti、
Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、
Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、P
t、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hgであり、さら
に好ましくはAl、Si、Sn、Pb、Th、Ce、T
i、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、C
o、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、Cdであ
る。これらの金属はTiO2 、ZnOのように単独でも
使用できるし、例えば、チタン酸ストロンチウム等のよ
うに二種以上を組み合わせて使用することもできる。さ
らに、触媒機能を促進させるために、例えば白金、パラ
ジウム等の助触媒を混入させることもできる。
【0017】本発明中の金属酸化物は、触媒活性を示す
ものであれば金属酸化物種は問われない。具体的には、
窒素の水素化によるアンモニア合成、芳香族やニトロ基
及びニトリルの水素化反応、飽和炭化水素や不飽和炭化
水素類の水素化反応、不飽和炭化水素類からのアルコー
ルの合成、アルコール類や不飽和炭化水素類からの有機
酸の合成を始めとするカルボニル化反応やオキソ化反
応、不飽和炭化水素類、カルボニル基やカルボキシル
基、及び脂肪酸の水素化反応、水素電極反応、芳香族を
含む不飽和炭化水素類やビニル化合物、及びフィッシャ
ー合成を含むラジカル、カチオン、アニオン、縮合重合
反応、芳香族を含む炭化水素類の異性化及びアルキル化
反応、芳香族を含む飽和炭化水素や不飽和炭化水素類の
塩素化、アセチル化、環化、カルボニル化、芳香族を含
む不飽和炭化水素類の水和、アルコール、カルボニル化
合物、及び芳香族を含む飽和炭化水素や不飽和炭化水素
類のアミノ化、一酸化炭素転化反応、芳香族を含む炭化
水素類の水蒸気改質、合成ガスの製造を含む炭化水素類
の部分酸化、加水分解、脱硫反応、無機化合物の酸化、
芳香族を含む飽和炭化水素や不飽和炭化水素類の酸化、
飽和炭化水素や不飽和炭化水素類、アルコールの脱水
素、クラッキング、アルキル芳香族の異性化、オクタン
価向上を含む接触リフォーミング用途等における触媒活
性が挙げられる。この他の金属酸化物を用いた触媒用途
における活性であっても何ら差し支えない。
【0018】触媒として光触媒活性を示すものも含む。
光触媒機能を有する金属酸化物としては、酸化チタン、
チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化亜
鉛、酸化錫、酸化ニオブなどの公知の光触媒活性を有す
る化合物の少なくとも1種類以上を用いることができ
る。さらに好ましくは、酸化チタンである。特に好まし
くは、アナターゼ型酸化チタンである。さらに、光触媒
機能を促進させるために、例えば白金、酸化ニッケル、
酸化ルテニウム等の助触媒を混入させることもできる。
【0019】金属酸化物は、基本的には結晶質、非晶質
を問わないが、結晶質であることがより好ましい。結晶
質は一種以上の単結晶であっても、多結晶であっても、
非晶部と結晶部を同時に有する一種以上の半結晶性物質
であっても、また、これらの混合物であってもよい。特
に好ましくは、単結晶である。また、二種類以上の金属
酸化物を用いる場合、金属酸化物は混合されて一層にな
っていても、組成の異なる金属酸化物の層が積層されて
いてもよい。具体的な例としては、次のようなものが挙
げられる。例えば、単独酸化物としては、ZnO、Al
2 3 、TiO2 、CeO2 、As2 3 、V2 5
SiO2 、Cr2 3 、MoO3 、BeO、MgO、C
aO、SrO、BaO等が挙げられ、2元酸化物として
は、SiO2 −Al2 3、B2 3 −Al2 3 、C
2 3 −Al2 3 、MoO3 −Al2 3 、ZrO
2 −SiO2 、Ga2 3 −SiO2 、BeO−SiO
2 、MgO−SiO2 、CaO−SiO2 、SrO−S
iO2 、Y2 3 −SiO2 、La2 3 −SiO2
SnO−SiO2 、PbO−SiO2 、MgO−B2
3 、TiO2−ZnO等が挙げられる。
【0020】次に、本発明における金属酸化物を形成す
る好ましい方法について述べる。本発明における金属酸
化物は、例えば、金属酸化物の原料である金属化合物を
気体及び/又は微粒子とし、酸素、水、アンモニア等と
反応させることにより製造することができる。その際、
金属化合物としては、目的とする構造体の金属酸化物中
の金属を有し、酸素、水、アンモニア等と反応して酸化
物を形成するものであれば特に限定されない。
【0021】このような金属化合物としては、例えば、
金属または金属類似元素の原子に、アルコールの水酸基
の水素が金属で置換されたアルコキシド類、金属または
金属類似元素の原子にアセチルアセトン、エチレンジア
ミン、ビピペリジン、ビピラジン、シクロヘキサンジア
ミン、テトラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミ
ンテトラ酢酸、エチレンビス(グアニド)、エチレンビ
ス(サリチルアミン)、テトラエチレングリコール、ア
ミノエタノール、グリシン、トリグリシン、ナフチリジ
ン、フェナントロリン、ペンタンジアミン、ピリジン、
サリチルアルデヒド、サリチリデンアミン、ポルフィリ
ン、チオ尿素などから選ばれる配位子を1種あるいは2
種以上有する各種の錯体、配位子としてカルボニル基を
有するFe、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、V、W、
Ruなどの各種金属カルボニル、さらに、カルボニル
基、アルキル基、アルケニル基、フェニルあるいはアル
キルフェニル基、オレフィン基、アリール基、シクロブ
タジエン基をはじめとする共役ジエン基、シクロペンタ
ジエニル基をはじめとするジエニル基、トリエン基、ア
レーン基、シクロヘプタトリエニル基をはじめとするト
リエニル基などから選ばれる配位子を1種あるいは2種
以上有する各種の金属化合物、ハロゲン化金属化合物を
使用することができる。また、金属錯体も使用すること
ができる。これらの中でも、アセチルアセトン等の錯
体、アルコキシド類がより好ましく用いられる。
【0022】本発明における錯体としては、金属にβ−
ジケトン類、ケトエステル類、ヒドロキシカルボン酸類
またはその塩類、各種のシッフ塩基類、ケトアルコール
類、多価アミン類、アルカノールアミン類、エノール性
活性水素化合物類、ジカルボン酸類、グリコール類、フ
ェロセン類などの配位子が1種あるいは2種以上結合し
た化合物などが挙げられる。
【0023】本発明に用いられる錯体の配位子となる化
合物の具体例としては、例えば、アセチルアセトン、エ
チレンジアミン、トリエチレンジアミン、エチレンテト
ラミン、ビピペリジン、シクロヘキサンジアミン、テト
ラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミンテトラ酢
酸、エチレンビス(グアニド)、エチレンビス(サリチ
ルアミン)、テトラエチレングリコール、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミン、酒石酸、グリシン、ト
リグリシン、ナフチリジン、フェナントロリン、ペンタ
ンジアミン、サリチルアルデヒド、カテコール、ポルフ
ィリン、チオ尿素、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒド
ロキシキナルジン、β−アミノエチルメルカプタン、ビ
スアセチルアセトンエチレンジイミン、エリオクロムブ
ラックT、オキシン、キナルジン酸サリチルアルドキシ
ム、ピコリン酸、グリシン、ジメチルグリオキシマト、
ジメチルグリオキシム、α−ベンゾインオキシム、
【0024】N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソ
ブチリデン)エチレンジアミン、3−{(2−アミノエ
チル)アミノ}−1−プロパノール、3−(アミノエチ
ルイミノ)−2−ブタンオキシム、アラニン、N,N’
−ビス(2−アミノベンジリデン)エチレンジアミン、
α−アミノ−α−メチルマロン酸、2−{(3−アミノ
プロピル)アミノ}エタノール、アスパラギン酸、1−
フェニル−1,3,5−ヘキサントリオン、5,5’−
(1,2−エタンジイルジニトリロ)ビス(1−フェニ
ル−1,3−ヘキサンジオン)、1,3−ビス{ビス
[2−(1−エチルベンズイミダゾリル)メチル]アミ
ノ}−2−プロパノール、1,2−ビス(ピリジン−α
−アルジミノ)エタン、1,3−ビス{ビス(2−ピリ
ジルエチル)アミノメチル}ベンゼン、1,3−ビス
{ビス(2−ピリジルエチル)アミノメチル}フェノー
ル、2,2’−ビピペリジン、2,6−ビス{ビス(2
−ピリジルメチル)アミノメチル}−4−メチルフェノ
ール、2,2’−ビピリジン、
【0025】2,2’−ビピラジン、ヒドロトリス(1
−ピラゾリル)ホウ酸イオン、カテコール、1,2−シ
クロヘキサンジアミン、1,4,8,11−テトラアザ
シクロドデカン、3,4:9,10−ジベンゾ−1,
5,8,12−テトラアザシクロテトラデカン−1,1
1−ジエン、2,6−ジアセチルピリジンジオキシム、
ジベンジルスルフィド、N−{2−(ジエチルアミノ)
エチル}−3−アミノ−1−プロパノール、o−フェニ
レンビス(ジメチルホスフィン)、2−{2−(ジメチ
ルアミノ)エチルチオ}エタノール、4,4’−ジメチ
ル−2,2’−ビピリジン、N,N’−ジメチル−1,
2−シクロヘキサンジアミン、ジメチルグリオキシム、
1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3−
ビス(ジアセチルモノオキシムイミノ)プロパン、3,
3’−トリメチレンジニトロビス(2−ブタンオキシ
ム)1,5−ジアミノ−3−ペンタノールジピバロイル
メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタ
ン、
【0026】ジエチルジチオカルバミン酸イオン、N,
N’−ビス{2−(N,N’−ジエチルアミノエチル)
アミノエチル}オキサミド、エチレンジアミンテトラ酢
酸、7−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザヘプト−4
−エン−2−オン、2−アミノエタノール、N,N’−
エチレンビス(3−カルボキシサリチリデンアミン)、
1,3−ビス(3−ホルミル−5−メチルサリチリデン
アミノ)プロパン、3−グリシルアミノ−1−プロパノ
ール、グリシルグリシン、N’−(2−ヒドロキシエチ
ル)エチレンジアミントリ酢酸、ヘキサフルオロアセチ
ルアセトン、ヒスチジン、5,26:13,18−ジイ
ミノ−7,11:20,24−ジニトロジベンゾ[c,
n] −1,6,12,17−テトラアザシクロドコシ
ン、2,6−ビス{N−(2−ヒドロキシフェニル)イ
ミノメチル}−4−メチルフェノール、5,5,7,1
2,12,14−ヘキサメチル−1,4,8,11−テ
トラアザシクロテトラデカン−N,N”−ジ酢酸、1,
2−ジメチルイミダゾール、
【0027】3,3’−エチレンビス(イミノメチリデ
ン)−ジ−2,4−ペンタンジオン、N,N’−ビス
(5−アミノ−3−ヒドロキシペンチル)マロンアミ
ド、メチオニン、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジ
ン、メチルイミノジ酢酸、1,1−ジシアノエチレン−
2,2−ジチオール、1,8−ナフチリジン、3−(2
−ヒドロキシエチルイミノ)−2−ブタノンオキシム、
2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチ
ルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,
18−オクタメチルポルフィリン、シュウ酸、オキサミ
ド、2−ピリジルアルドキシム、3−{2−(2−ピリ
ジル)エチルアミノ}−1−プロパノール、3−(2−
ピリジルエチルイミノ)−2−ブタノンオキシム、2−
ピコリルアミン、3−(2−ピリジルメチルイミノ)−
2−ブタノンオキシム、二亜リン酸二水素イオン、3−
n−プロピルイミノ−2−ブタノンオキシム、プロリ
ン、
【0028】2,4−ペンタンジアミン、ピリジン、
N,N’−ジピリドキシリデンエチレンジアミン、N−
ピリドキシリデングリシン、ピリジン−2−チオール、
1,5−ビス(サリチリデンアミノ)−3−ペンタノー
ル、サリチルアルデヒド、N−サリチリデンメチルアミ
ン、サリチル酸、N−(サリチリデン)−N’−(1−
メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、サ
リチリデンアミン、N,N’−ジサリチリデン−2,
2’−ビフェニリレンジアミン、N,N’−ジサリチリ
デン−2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エ
チレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−4−アザ
−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−ジサリチリデ
ンエチレンジアミン、N−サリチリデングリシン、サリ
チルアルドキシム、N,N’−ジサリチリデン−o−フ
ェニレンジアミン、N,N’−ジサリチリデントリメチ
レンジアミン、3−サリチリデンアミノ−1−プロパノ
ール、
【0029】テトラベンゾ[b,f,j,n]−1,
5,9,13−テトラアザシクロヘキサデシン、1,
4,7−トリアザシクロノナン、5,14−ジヒドロジ
ベンゾ[b,i]−1,4,8,11−テトラアザシク
ロテトラデシン、トリス(2−ベンズイミダゾリルメチ
ル)アミン、6,7,8,9,16,17,18,19
−オクタヒドロジシクロヘプタ[b,j]−1,4,
8,11−テトラアザシクロテトラデセン、4,6,6
−トリメチル−3,7−ジアザノン−3−エン−1,9
−ジオール、トリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリ
ルメチル)アミン、2,2’:6’,2”−テルピリジ
ン、5,7,7,12,14,14−ヘキサメチル−
1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、テ
トラヒドロフラン、トリス(2−ピリジルメチル)アミ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N’
−ビス(3−アミノプロピル)オキサミド、
【0030】N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピ
リジルメチル)エチレンジアミン、all−cis−
5,10,15,20−テトラキス{2−(2,2’−
ジメチルプロピオンアミド)フェニル}ポルフィリン、
5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリン、
1,4,7−トリス(2−ピリジルメチル)−1,4,
7−トリアザシクロノナン、ヒドロトリス(1−ピラゾ
リル)ボレイト、3,3’4−トリメチルジピロメテ
ン、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、3,3’5,
5’−テトラメチルジピロメテン、5,10,15,2
0−テトラキス(p−トリポルフィリン)などが挙げら
れる。
【0031】金属酸化物を形成する際に、特定の基板を
用いて金属酸化物を形成することがより好ましい。金属
酸化物を形成する方法として、金属化合物の気体及び/
又は微粒子を基板表面で金属酸化物に反応させる方法、
気体及び/又は微粒子となった金属酸化物を析出及び/
又は積層する方法等いずれの方法でもよい。また、この
両方の方法を併用することもできる。
【0032】ここで言う特定の基板とは、例えば、酸化
アルミニウムのような金属酸化物単結晶板、半導体単結
晶、通常のセラミック、シリコンを含む金属、ガラス、
プラスチック等のことを言う。ガラス、プラスチックを
使用する際は、表面が配向処理されていることが好まし
い。これらの中で好ましく用いられるのはシリコンを含
む金属、金属酸化物、及びZnTe、GaP、GaA
s、InP等の半導体単結晶である。基板として好まし
く用いられる単結晶種を選ぶ一つの要因として、形成さ
れる金属酸化物結晶種の格子定数と基板として用いられ
る単結晶種の格子定数が近いことが挙げられる。格子定
数は広角X線回折法等従来公知の方法で測定できる。こ
の値は形成される金属酸化物結晶種が基板に接する面の
格子定数/基板として用いられる単結晶種が形成される
金属酸化物結晶と接する面の格子定数で表される比が
0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1
であることがさらに好ましく、0.95〜1.05であ
ることが特に好ましい。
【0033】特に好ましく用いられるのは、具体的には
シリコン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、Sr
TiO3 等の金属酸化物単結晶である。この場合の結晶
は一種以上の単結晶であっても、多結晶であっても、非
晶部と結晶部を同時に有する一種以上の半結晶性物質で
あっても、また、これらの混合物であってもよい。最も
好ましくは単結晶である。この場合、基板表面は単結晶
の特定の面になっていることが好ましい。具体的には、
例えば酸化チタンを形成する金属酸化物として選んだ場
合には、酸化マグネシウム基板では(100)面、酸化
亜鉛を形成する金属酸化物として選んだ場合には、シリ
コン基板では(111)面、酸化アルミニウム基板では
(0001)面、SrTiO3 基板では(001)面で
あることがより好ましい。また、金属酸化物を基板とし
て使用する場合、基板は構造体中に含まれていても含ま
れていなくてもよい。
【0034】実際に金属酸化物を形成する手順を述べ
る。まず、金属化合物を気体及び/又は微粒子にする。
平板状体を有する金属酸化物を得るためには、この際の
温度条件を制御することが重要である。この際の温度は
用いる金属化合物により異なる。好ましくは金属化合物
が気化する温度、あるいはそれ以上に加熱される温度で
あり、特に好ましくは30〜600℃であり、最も好ま
しくは50〜300℃である。
【0035】こうして気体及び/又は微粒子となった金
属化合物によりそのまま金属酸化物を形成しても、他の
気体を媒体として吹き付けられて金属酸化物を形成して
もどちらでもよい。好ましくは他の気体を媒体として吹
き付けて金属酸化物を形成する方法である。この場合、
気体の流量は、金属化合物を気体及び/又は微粒子とす
る温度や金属酸化物を形成する場の雰囲気とも関連す
る。この気体の流量は、特に通常の室温、常圧雰囲気下
では流量を金属化合物加熱槽の体積で除じた値で示され
る空間体積値が20/分以下が好ましく、さらに好まし
くは5/分以下である。
【0036】気体及び/又は微粒子となった金属化合物
の量は過飽和度によっても制御される。本発明中の過飽
和度は[(実際の蒸気圧)−(平衡蒸気圧)/平衡蒸気
圧]×100(%)で規定される。本発明中の金属酸化
物を得るためには、過飽和度は1%以上であることが好
ましく、さらに好ましくは10%以上であり、特に好ま
しくは20%以上である。気体及び/又は微粒子となっ
た金属化合物を吹き付ける場合に用いられる媒体として
の気体は、使用する金属化合物と反応するものでなけれ
ば、特に限定はされない。具体例として、窒素ガスやヘ
リウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガス、炭酸ガス、
有機弗素ガス、あるいはヘプタン、ヘキサン等の有機物
質等が挙げられる。これらのうちで、安全性、経済性の
上から不活性ガスが好ましい。特に窒素ガスが経済性の
面より最も好ましい。
【0037】気体及び/又は微粒子となった金属化合物
を気体で吹き付けて金属酸化物を基板上で形成する場合
には、金属化合物の吹き出し口と金属酸化物表面の距離
は、どれだけの大きさの金属酸化物を形成するかによっ
て異なるが、この距離は、吹き出し口と金属酸化物表面
の距離/開口部の長軸の長さの比で規定することが好ま
しい。この値は好ましくは0.01〜1、さらに好まし
くは0.05〜0.7、特に好ましくは0.1〜0.5
である。この比は吹き出し口の形状によっても異なる
が、1以上では、金属化合物が有効に金属酸化物に変換
されず効率が悪く、好ましくない。
【0038】金属酸化物が形成される際の基板自身の温
度は、基板近傍及び表面で固体金属酸化物が形成される
温度であれば特に限定されないが、この温度は形成され
た金属酸化物の形状に影響を与える。好ましくは0〜8
00℃、さらに好ましくは20〜800℃、特に好まし
くは100〜700℃である。基板が金属酸化物である
場合、金属酸化物は基板上にエピタキシャル成長をして
いることがより好ましい。金属酸化物が基板上でエピタ
キシャル成長しているかどうかは、通常のX線回折法に
より確認することができる。特に、φスキャン法により
基板、及び金属酸化物の面内方位関係を観察することに
より確認する方法が好ましく用いられる。
【0039】金属酸化物上の平板状体が金属酸化物結晶
である場合、金属酸化物結晶の中心面が相互に平行であ
る組み合わせが2組以上存在する場合の結晶面の方向は
どの向きであっても差し支えない。この向きは金属酸化
物の種類や、結晶の場合は結晶構造によっても異なる
が、例えばMgOの(100)面上に本発明に記載の酸
化チタン構造体を形成する場合、(010)、(10
0)の2組の方向の組み合わせになる。また、金属酸化
物上の平板状体が金属酸化物結晶である場合、結晶軸が
同一方向にある(結晶軸方位が揃っている)ことが好ま
しい。例えば、X線ロッキング曲線法において測定され
る結晶軸方位のゆらぎが10度以内であることが好まし
く、さらに好ましくは5度以内である。
【0040】系内に酸素、水、アンモニア等が存在する
と、放出する前に装置内で金属酸化物の形成が起こり、
詰まり等が発生し、望みの形態を持った金属酸化物を得
ることができず好ましくない。但し、金属化合物が酸
素、水、アンモニア等との反応速度が極めて遅い場合
は、予め系内に酸素、水、アンモニア等を共存させる場
合もある。気体及び/又は微粒子となった金属化合物と
基板が存在する雰囲気は、減圧下であってもよいし、常
圧下あるいは加圧下であってもよい。しかしながら、高
度な減圧下、例えば超真空下で実施すると、金属酸化物
の成長速度が遅く、生産性に劣り好ましくない。加圧下
で実施する場合、金属酸化物の成長速度には問題ない
が、加圧するための設備が必要となる。通常0.001
〜20atmで実施することが好ましく、さらに好まし
くは0.1〜10atmである。最も好ましくは常圧で
ある。
【0041】金属酸化物を形成するのに必要な反応時間
は、特に限定されない。反応条件や原料の種類によって
も異なり、例えば原料に亜鉛アセチルアセトネートを用
いた場合は通常の室温、常圧雰囲気下では10分以上が
好ましい。さらに好ましくは30分以上、特に好ましく
は1時間以上である。また、原料としてテトライソプロ
ポキシチタネートを用いた場合は通常の室温、常圧雰囲
気下では3分以下が好ましい。さらに好ましくは90秒
以下である。金属酸化物を形成する際には、金属化合物
を混合して気体及び/又は微粒子にすることもできる
し、気体及び/又は微粒子にした金属化合物を混合させ
てもよい。また、この両方の方法を併用することもでき
る。
【0042】本発明中で好ましく用いられる反応装置の
一例の概略図を図1に示す。N2 は液体窒素トラップに
より脱水される。金属化合物加熱槽で金属化合物はヒー
ターにより加熱され気体及び/又は微粒子になり、N2
によりノズル、スリットを経由して基板上に吹き付けら
れる。加熱槽以降のラインはリボンヒーターで加熱され
ている。基板には(100)面がスリットに向いたMg
O単結晶板を用いている。ヒーターにより加熱された基
板上で金属化合物は本発明中記載の金属酸化物を形成す
る。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何
ら限定されるものではない。
【実施例1】図1に概略図を示した装置を用いた。金属
化合物加熱槽にTi(O−isoC3 7 4 を仕込ん
だ。金属化合物加熱槽を加熱して内温を120℃にし
た。吹き出しスリットの真下にMgO単結晶を350℃
に加熱して、(100)面がスリットに向くようにセッ
トした。金属化合物加熱槽に1.5dm3 /分の流量で
乾燥窒素ガスを導入し、Ti(O−isoC3 7 4
をMgO単結晶上に吹き付けた。吹き付け開始から90
秒後、得られた金属酸化物をMgO単結晶ごと取り外し
た。得られた金属酸化物は、スパッタリングにより導電
性物質として金を金属酸化物全体に蒸着した後、走査型
電子顕微鏡(以下「SEM」と記述する)による観察を
行った。得られたSEM画像を図2に示す。得られた金
属酸化物を広角X線回折で観察したところ、アナターゼ
型の結晶構造を有していることが確認できた。
【0044】
【発明の効果】本発明の金属酸化物構造体は、狭い面積
に数多くの平板状物を有し、小さな容積で表面積を大き
くし、かつ触媒活性を持たせることができた。本発明に
記載の構造体は、触媒として有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で好ましく用いられる金属酸化物の反応
装置の一例の概略図である。
【図2】実施例1で得られた構造体のSEM写真であ
る。但し、この構造体は、SEM観察のために全体が導
電性物質で覆われている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中沢 桂一 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成工業株式会社内 (72)発明者 木下 秀雄 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成工業株式会社内 Fターム(参考) 4K030 AA11 AA18 BA46 BB03 CA05 CA17 EA04 FA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平板状体からなり、平板状体の中心面が
    相互に平行である組み合わせが2組以上存在する格子状
    構造を有する金属酸化物構造体であって、該金属酸化物
    構造体を触媒として使用する金属酸化物構造体。
  2. 【請求項2】 平板状体の幅が0.005〜10000
    μm、長さが0.05〜10000μm、かつ幅に対す
    る高さの比が1以上である請求項1記載の金属酸化物構
    造体。
  3. 【請求項3】 平板状体が、構造体平面上の10μm×
    10μmの面積当たり0.01〜10000個の密度で
    存在する請求項1又は2記載の金属酸化物構造体。
  4. 【請求項4】 平板状体が、金属酸化物からなる板上に
    存在している請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化
    物構造体。
  5. 【請求項5】 平板状体が金属酸化物単結晶である請求
    項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物構造体。
  6. 【請求項6】 平板状体の中心面が相互に平行である組
    み合わせが2組以上存在し、かつ結晶軸が同一方向に存
    在する請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物構造
    体。
  7. 【請求項7】 平板状体の幅に対する高さの比の加重平
    均が5未満である請求項1〜6のいずれかに記載の金属
    酸化物構造体。
  8. 【請求項8】 平板状体の幅に対する高さの比の加重平
    均が5以上である請求項1〜6のいずれかに記載の金属
    酸化物構造体。
  9. 【請求項9】 平板状体の高さの加重平均が0.1μm
    以上である請求項1〜8のいずれかに記載の金属酸化物
    構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342022A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Japan Atom Energy Res Inst アナターゼ型TiO2単結晶薄膜の作製方法
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