JP2000101178A - 固体レーザ材料及び固体レーザ素子 - Google Patents

固体レーザ材料及び固体レーザ素子

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JP2000101178A
JP2000101178A JP10265975A JP26597598A JP2000101178A JP 2000101178 A JP2000101178 A JP 2000101178A JP 10265975 A JP10265975 A JP 10265975A JP 26597598 A JP26597598 A JP 26597598A JP 2000101178 A JP2000101178 A JP 2000101178A
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Hikari Kouda
光 古宇田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ発振中に固体レーザ材料に発生する熱
を低減して熱レンズ効果を抑制し、高品質なレーザビー
ムを安定して出力することの出来る固体レーザ材料を提
供する。 【解決手段】 本Nd:YAGレーザロッドは、本発明
に係る固体レーザ材料の一つであって、活性元素である
Ndを1.0%の濃度で添加して形成したYAG結晶か
らなるレーザロッド本体1と、それぞれ、レーザロッド
本体1のNd濃度よりも低い、0.75%、0.5%、
及び0.25%濃度でNdを含む、3層のNdドープ・
YAG結晶膜2と、Ndノンドープ・YAG結晶膜から
なる最外膜3とを有して、レーザロッド本体の周りに成
膜された多層膜とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザロッド及び
ディスク型固体レーザ材料に関し、更に詳細には、レー
ザ発振中にレーザ材料に発生する熱を効率良く除去し、
熱レンズ効果を抑制して高品質なレーザビームを出力す
ることが出来るレーザロッド、及びディスク型固体レー
ザ材料及びその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体レーザは、母体である結晶、ガラス
などの中に、増幅媒体となる希土類イオン、遷移金属イ
オン等をドープしたレーザで、光ポンピングにより励起
される。即ち、固体レーザ材料にドープされたレーザ活
性元素は、フラッシュランプ又はレーザダイオード等で
励起されて発光し、発光したレーザ光を共振器で共振さ
せることにより、レーザ発振が生じる。レーザ発振中、
レーザ活性元素が吸収する光のエネルギーは、全てレー
ザ光のエネルギーにはならず、一部は熱となる。そのた
め、レーザ材料は、レーザ発振中に発熱し、温度が上昇
する。レーザ材料の温度は、発振に寄与している中心部
分が一番高くなり、その周りに向かって温度は低くな
る。
【0003】温度によって屈折率が変化するので、温度
差が生じると、レーザ材料中に屈折率分布が生じ、レー
ザ材料中を進行するレーザ光は、直進出来ない。これを
熱レンズ効果と呼んでいる。この熱レンズ効果を抑制す
るためには、レーザ材料を極力均一に冷却する必要があ
る。冷却手段としては空冷、水冷、電子冷却が用いられ
ているが、これらだけでは十分で無いため、熱レンズ効
果をさらに抑制する方法が必要である。
【0004】この抑制方法として、いくつかの提案が報
告されている。例えば、活性元素を添加(ドープ)した
レーザロッドの回りに活性元素を含まない(ノンドー
プ)層を設け、レーザ材料中に励起光源によって熱が発
生しない層を設けることにより、ドープ層の熱を効率良
く除去しようとする方法(特開昭62−140483号
公報)が提案されている。
【0005】また、レーザ材料中に金属元素をあらかじ
めドープ又は拡散させて屈折率分布を持たせ、熱の発生
で生じた屈折率分布を補償しようとする発明も提案され
ている(特開平5−102593号公報)。また、活性
元素を添加したレーザ材料と添加しないレーザ材料を張
り合わせたり、又は熱圧着したりして得た複合材料を使
用し、効率良く結晶を冷却する方法も発明されている
(U.S.Patent Nos. 5,441,803 and 5,563,899、実開平
5−69963号公報)。
【0006】また、ファイバーレーザ用のレーザ材料で
は、ノンドープ結晶中に穴を開けてコアとなるドープ結
晶を挿入して一体化する方法(特願昭63−08515
2号)、また、この一体化したファイバーレーザ材料を
部分的に融解し、そこから引上げ育成することにより、
クラッドコアの形状を持つ単結晶ファイバを製造する方
法(特願平3−149504号)が提案されている。さ
らに、レーザロッド中に活性元素の濃度勾配を設けて熱
レンズ効果を低減する方法が提案されており(特開昭5
9−227176号公報)、濃度勾配をつける方法とし
ては、ガラスレーザ材料の場合はゾルゲル法を用いた作
製方法(特開平6−140696号公報)がある。
【0007】YAGレーザロッドの場合は、2重坩堝に
よる引上げ法により育成した結晶を熱拡散させる方法
(特開平7−307508号公報)、また、レーザロッ
ドを濃度の違う中空のレーザロッドに挿入することを繰
り返して濃度勾配を実現する方法(特開平9−1722
17号公報)が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した提案
を含めて従来の技術には、以下に挙げる種々の問題があ
った。第1の問題点は、活性元素をドープした固体レー
ザロッドの回りにノンドープ結晶を液層エピタキシャル
法で成長させただけでは、界面での活性元素濃度差が急
峻なため、格子歪みが大きく、レーザ発振中結晶に熱が
発生すると、界面歪みやクラックが生じてしまうことで
ある。
【0009】第2の問題点は、レーザ材料中の屈折率分
布を変化させて熱レンズ効果を補償する方法は、あらか
じめレーザ材料に発生する熱を測定し、それを補償する
ための屈折率変化を持つ結晶を育成しなければならず、
レーザ材料の設計および作製行程が非常に困難なことで
ある。また、屈折率を変化させることが困難な結晶も多
いため、実現性が難しいレーザ材料が多い。
【0010】第3の問題点は、熱圧着又は接着材で接合
されたドープ材料とノンドープレーザ材料とは、低レー
ザ出力では冷却効果に対して有効に作用するが、数十W
級以上の高出力レーザの場合には、問題点1と同様に、
界面での熱の発生が大きく歪み、クラックが生じてしま
うということである。
【0011】第4の問題点は、提案されているノンドー
プクラッド層とドープコア層のファイバーレーザ材料で
も、問題点1、2と同様の界面歪みの問題があり、また
W級以上のレーザ出力を実現することは困難であるとい
うことである。
【0012】第5の問題点は、濃度勾配を持つレーザロ
ッドの作製方法に関し、ゾルゲル法では単結晶の作製を
行うことが出来ないということである。また、2重坩堝
による引上げ法により2種類の融液から結晶を育成する
ことは、融点等が違うため、現実的には不可能である。
また、中空のロッド中に挿入する方法は、ロッド内壁の
面を光学研磨することが非常に困難であり、また、挿入
させるためには、穴径を挿入ロッドより大きくすること
が必要であり、従って、中空ロッドの内壁と挿入ロッド
の外壁を完全に密着させることは出来ないということで
ある。
【0013】第6の問題点は、ドープ層とノンドープ層
の2層に熱を加えて拡散させて、活性元素の濃度勾配を
実現する方法では、活性元素の拡散スピードが、非常に
遅く、現実的には、拡散する層は、1mm以下に限られて
おり、ロッド全体を適当な濃度勾配にすることは難しい
ということである。
【0014】第7の問題点は、近年注目されているYb
ドープのレーザダイオード励起用のディスク型レーザ材
料では、0.2〜1mm程度の厚さの結晶又はその結晶に
ノンドープの結晶を熱圧着した結晶が用いられているも
のの、さらに結晶の厚さを薄くし、かつ熱レンズ効果を
抑制できるレーザ材料が望まれていて、その際には、研
磨では厚さ100 μm 程度に加工するのが限界である
ということである。
【0015】上述のように、従来発明されている固体レ
ーザ材料の作製方法では、問題が多く、これらのレーザ
材料を用いても、発振時に十分にレーザ材料を冷却する
ことが出来ないため、効率良く熱レンズ効果を低減でき
ることができなかった。そこで、効率良く熱レンズ効果
を低減できる固体レーザ材料の開発が強く望まれてい
た。
【0016】そこで、本発明の目的は、レーザ発振中に
固体レーザ材料に発生する熱を低減して熱レンズ効果を
抑制し、高品質なレーザビームを安定して出力すること
の出来る固体レーザ材料及び固体レーザ素子を提供する
ことである。
【0017】
【課題を解決するための手段】ガーネット構造を持つ単
結晶は、固体レーザ材料の母結晶として非常に優れてい
る。この結晶には、最大で1.2%のNd活性元素をド
ープすることができる。そこで、本発明に係るレーザロ
ッド(以下、第1の発明と言う)は、ガーネット構造を
持つレーザ母結晶に、活性元素であるNdを1.2原子
%以下0.1原子%以上の濃度で添加して形成したレー
ザロッド本体と、レーザロッド本体のNd濃度よりも低
い濃度でNdを含む、少なくとも2層のNdドープ・ガ
ーネット結晶膜と、Ndノンドープ・ガーネット結晶膜
からなる最外膜とを有して、レーザロッド本体の周りに
成膜された多層膜とを有することを特徴としている。
【0018】ガーネット構造を持つレーザ母結晶に活性
元素を1.2%以下の濃度でドープした固体レーザロッ
ドの回りに活性元素濃度が徐々に低くなる膜を1層以上
厚さ500μm 以下50μm 以上になるように液相エピ
タキシャル方法で成長し、最外の冷却媒体と接触する膜
はノンドープ層とする。このようにして作製した固体レ
ーザ材料は、層界面において、活性元素濃度差が小さい
ので、結晶中の格子不整合等による結晶欠陥が少なく、
熱膨張率差も小さい。そのため、レーザ発振中に界面で
のクラック発生やカラーセンターによる着色、熱歪みが
生じることが無いため冷却効果が大きく、熱レンズ効果
を抑制することが出来る。
【0019】ガーネット構造をもつレーザ結晶にYbを
活性元素として添加したディスク型レーザ材料は高効率
発振用レーザ材料として着目されている。この材料は発
振時にディスク全体を効率良く冷却するために極力薄い
ものが求められている。また、Yb元素はガーネット結
晶に最大で20%ドープさせることが出来る。そこで、
本発明に係るディスク型固体レーザ材料(以下、第2の
発明と言う)は、活性元素を添加していないノンドープ
のガーネット構造を持つレーザ母結晶からなる基板と、
濃度が膜毎に徐々に高くなるように活性元素であるYb
を添加して、基板の上に設けられた、少なくとも2層の
ガーネット結晶膜とを有することを特徴としている。
【0020】本発明ではノンドープのガーネット基板に
液相エピタキシャル成長でYbを添加した100μm 以
下の薄膜を形成することが可能であり、さらに薄膜中の
活性元素に濃度勾配を持たせることで各層界面の格子歪
みが小さく、熱が生じた場合のクラックの発生等を抑制
することができる。
【0021】このディスク型結晶は、励起光が活性元素
をドープした層だけに吸収されて、ノンドープ層からは
効率良く冷却することが可能となるため、熱レンズ効果
を抑制することが可能となる。
【0022】これらの液相エピタキシャル法で異なる活
性元素濃度の膜を数層成長したレーザロッドおよびディ
スク型レーザ材料を熱処理することにより、活性元素が
熱拡散してステップ状の濃度勾配を滑らかな勾配に移行
させることが可能となる。この場合は、濃度差による格
子歪みがさらに緩和されるため、ステップ状の濃度勾配
を持ったレーザ材料よりも冷却効率が向上し、熱レンズ
効果を抑制することが出来る。
【0023】よって、本発明に係るレーザロッドの作製
方法は、レーザロッドを熱処理して、液相エピタキシャ
ル成長させた多層膜の膜同士の界面で活性元素濃度を熱
拡散させる工程を備え、ステップ状であった活性元素濃
度の濃度勾配を緩やかにすることを特徴とし、また、本
発明に係るディスク型固体レーザ材料の作製方法は、デ
ィスク型固体レーザ材料を熱処理して、液相エピタキシ
ャル成長させたガーネット結晶膜同士の界面で活性元素
濃度を熱拡散させる工程を備え、ステップ状であった活
性元素濃度の濃度勾配を緩やかにすることを特徴とす
る。
【0024】レーザ発振中のレーザ材料を効率良く冷却
し、熱レンズ効果を抑制する手段として活性元素を添加
(ドープ)した固体レーザロッドの回りに活性元素を含
まない(ノンドープ)結晶を保持する固体レーザ材料方
法が提案されていた。しかし、ドープ結晶とノンドープ
結晶の界面は格子不整合が大きいため歪みが残存し、熱
を持つと歪みは大きくなってレーザモードが歪み、発振
レーザ出力が大きい場合は界面にクラックが生じてしま
うという課題があった。また径方向に活性元素濃度差の
ある層を有する方法が提案されていたが、現実的に濃度
差のある層を作製することが非常に困難であった。本発
明では、ロッド型レーザ材料の周りおよびディスク型レ
ーザ材料の面上に活性元素に濃度差のある膜を液相エピ
タキシャル法で数層成長し、最後の層は活性元素を含ま
ないノンドープ層とすることで、ドープ、ノンドープ部
分の境界の歪みを除去することが可能となる。このレー
ザ材料は励起光の吸収によって発熱される部分の温度勾
配を緩和し、高出力領域のレーザ光発生時においても効
率良く結晶を冷却することが可能となり、熱レンズ効果
を抑制して高品質のレーザビームを長期間安定して出力
することができる。
【0025】以上のことにより、即ち、本発明により作
製したレーザ材料は発振中に発生する熱を効率良く冷却
できる構造を有するため熱レンズ効果を抑制することが
出来、安定して高品質のレーザ光を出力することが可能
となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、実施形態例を挙げ、添付
図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細
に説明する。尚、以下の文中で、%表示は、特に断らな
い限り、原子%で表示さている。図面中の%表示につい
ても同様である。実施形態例1 本実施形態例は、第1の発明に係るレーザロッドの実施
形態の一例である。図1は、本実施形態例のNd:YA
Gレーザロッドの斜視図である。本実施形態例のNd:
YAGレーザロッドは、図1に示すように、活性元素で
あるNdを1.0%の濃度で添加して形成したYAG結
晶からなるレーザロッド本体1と、それぞれ、レーザロ
ッド本体1のNd濃度よりも低い、0.75%、0.5
%、及び0.25%濃度でNdを含む、3層のNdドー
プ・YAG結晶膜2と、Ndノンドープ・YAG結晶膜
からなる最外膜3とを有して、レーザロッド本体の周り
に成膜された多層膜とを有する。
【0027】本実施形態例のNd:YAGレーザロッド
を作製するには、まず、Ndを1%ドープした径7mm、
長さ200mmのYAG(イットリウム・アルミニウム・
ガーネット;Y3 Al5 12)レーザロッド1の周りに
Ndが0.75 %ドープされたYAG膜をLPE法で
厚さ100μm 成長させる。成長後、更に、このレーザ
ロッドの周りに、Ndが0.5%ドープされたYAG膜
をLPE法で100μm 成長させる。さらに、Nd濃度
が0.25%のYAG膜を100μm 成長させ、3種類
の異なるNd濃度を持つYAG膜2を設ける。最後にノ
ンドープのYAG膜3を200μm 成長させることによ
り、Nd濃度差を設けたLPE成長多層膜を有するN
d:YAGレーザロッドを作製することが出来る。
【0028】また、図1では、中間組成層2は、3層で
あるが、層数を増やして層間の活性元素の濃度差を小さ
く、層厚を薄くすることで、さらに熱レンズ効果を抑制
した固体レーザ材料を作製することができる。
【0029】実施形態例2 本実施形態例は、第2の発明のディスク型固体レーザ材
料の実施形態の一例であって、図2は本実施形態例のの
斜視図である。本実施形態例のYAGディスク型レーザ
材料は、図2に示すように、活性元素を添加していない
YAG結晶からなる基板4と、濃度がそれぞれ2、4、
6、及び8%となるように活性元素であるYbを添加し
て、LPE法により成膜された4層の膜厚約5μm のY
AG結晶膜5と、Ybを10%ドープさせたYAG結晶
膜6とを備えている。
【0030】本実施形態例のYAGディスク型レーザ材
料を作製するには、先ず、直径20mm、厚さ100μm
のYAGノンドープ基板4の上にYb濃度が2、4、
6、8%となるように、LPE法で約5μm の4層の膜
5を成長し、最後に、Yb濃度が10%のYAG6を2
0μm 成長させる。これにより、活性元素をドープした
層の厚さをトータルで40μm にすることが可能とな
る。40μm の厚さのディスク型レーザ材料を研磨して
得ることは非常に困難であるため、本発明によるディス
ク型レーザ材料は、薄膜化に非常に有効となる。
【0031】また、高出力レーザ領域の応用において
も、効果的に熱レンズ効果を抑制することが出来る。Y
bは、Yとイオン半径が近いため濃度差が2%程度あっ
ても、格子不整合量は小さく、界面での歪みは生じ難
い。図2の例では、最大10 %のYbで2%おきに膜
を形成しているが、YAGは最大20%までYbを含有
することができ、また、層数を多くして、層間の濃度差
が小さくなる程、界面での歪みが小さくなるので、効率
的に冷却でき熱レンズ効果を抑制することが出来る。
【0032】実施形態例3 本実施形態例は、第1の発明のレーザロッドの実施形態
の別の例であって、図3はYAG固体レーザ材料の斜視
図である。本実施形態例のレーザロッドは、実施形態例
1のレーザロッドに熱処理を施したものであって、図1
のNdのステップ状の濃度変化を持つYAGレーザロッ
ドをYAGの融点である1930℃よりも200℃低い
1730℃で50時間加熱することにより、図3に示す
Nd元素の濃度勾配を持つYAGレーザロッドを作製す
ることができる。このロッド8の半径方向のNd濃度勾
配を調べたところ、図4(a)に示すように、膜を成長
させた部分の半径方向のNd濃度は、1%から0%まで
滑らかに変化していることがわかった。
【0033】このレーザロッドをフラッシュランプ励起
でサイドから励起し、結晶の側面は約25℃の水で冷却
した。発振波長1064nmレーザ光約1kW出力され
た場合の結晶の断面方向の温度勾配は図4(b)のよう
になり、中心から外側までの温度差は30℃であった。
発振したレーザ光のビームプロファイルは、ガウシアン
ライクでビーム径は約4 mm 、熱レンズ効果によるビー
ム広がり角は100mrad であった。100時間の
連続運転を行っても、レーザの出力は±5%以内で安定
し、ビームのモードも変化はなかった。
【0034】比較例1 本比較例は、実施形態例3のレーザロッドの比較例であ
って、Ndを1%ドープしたYAG9の上にLPE法で
ノンドープYAG10を500μm 成長させたレーザロ
ッドのNdの濃度勾配を図5(a)に示す。1%のNd
濃度は、界面を境に0%に急峻に変化している。熱処理
せずに図4と同様の発振実験を行った場合の断面の温度
勾配を図5(b)に示す。1kW出力時の半径方向の温
度勾配は、ドープ層とノンドープ層の界面で急峻になっ
ており、中心温度は周囲と80℃違っていた。また、ビ
ームプロファイルは、中心の強度分布にふらつきのある
トップハット形状となり、熱レンズ効果のために、ビー
ム広がり角は250mradであった。また、100時
間出力を継続したところ、ドープ−ノンドープの境界面
にクラックが生じてしまい、レーザ材料は使用不可能に
なった。
【0035】実施形態例4 本実施形態例は、実施形態例2のディスク型固体レーザ
材料に熱処理を施したものであって、図2のステップ状
のYb濃度勾配をもつYAGディスク型レーザ材料を、
約1800℃で50時間加熱してYbイオンを拡散させ
ることにより、図6に示すように、Yb濃度が10〜0
%まで徐々に変化するディスク型のレーザ材料11を作
製することが出来る。
【0036】ノンドープの冷却面12をペルチエ素子で
約−50℃に冷却し、レーザダイオード(LD)で励起
面13を励起して、アクティブミラー方式で発振実験を
試みたところ、図7に示すように、発振しきい値は10
Wで、そこから入力するレーザダイオードの出力に比例
し、100W入力で50Wの発振出力が得られた。ま
た、50W出力時もビームモードはTEM00であり、熱
レンズ効果によるビーム品質の劣化は無く、ビーム広が
り角も各出力で5mradを保っていた。
【0037】比較例2 本比較例は、実施形態例4のディスク型固体レーザ材料
の比較例であって、Ybが活性元素として10%ドープ
されている直径20mm、研磨で得られる最も薄い厚さの
100μm のYAG結晶を用いて、実施形態例4と同様
のアクティブミラー方式での発振実験を試みたところ、
図8に示すように、50Wの入力から出力特性が飽和す
る傾向が見られ、80W入力時に、25Wの出力がピー
クであった。25W出力時の発振はマルチモードでビー
ム広がり角は20mradであり、熱レンズ効果でビー
ム品質が劣化していることがわかった。
【0038】
【発明の効果】第1の発明によれば、レーザロッド本体
のNd濃度よりも低い濃度でNdを含み、かつ膜厚50
0μm 以下の少なくとも2層のNdドープ膜と、Ndノ
ンドープの最外膜とを有する多層膜をレーザロッド本体
の周りに設けることにより、レーザ発振中の固体レーザ
材料に発生する熱を効率良く冷却することが出来る。ま
た、レーザ材料中の温度勾配を抑制するため熱レンズ効
果によるビーム広がり角、発振するレーザビームの品質
が向上し、安定した高出力レーザを発振することができ
る。また、第2の発明によれば、活性元素を添加してい
ないガーネット構造を持つレーザ母結晶の基板と、濃度
が相互とに徐々に高くなるように活性元素であるYbを
添加して基板の上に設けられた、少なくとも2層のガー
ネット結晶膜とでディスク型固体レーザ材料を構成する
ことにより、レーザ発振中の固体レーザ材料に発生する
熱を効率良く冷却することが出来るレーザ材料を実現し
ている。また、レーザ材料中の温度勾配を抑制するため
熱レンズ効果によるビーム広がり角、発振するレーザビ
ームの品質が向上し、安定した高出力レーザを発振する
ことができるレーザ材料を実現している。本発明に係る
レーザロッド又はディスク型固体レーザ材料を使用する
ことにより、レーザ加工や光造形等に最適なレーザ装置
を実現し、産業の発展に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】濃度差を設けてLPE成長した多層膜を有する
Nd:YAGレーザロッドの斜視図である。
【図2】Yb濃度勾配を有するYAGディスク型レーザ
材料の斜視図である。
【図3】LPE成長後、熱処理して活性元素を熱拡散さ
せたNdの濃度勾配を有するYAG固体レーザ材料の作
製方法を説明する図である。
【図4】Ndの濃度勾配を有するYAGレーザロッドの
半径方向のNd濃度と発振時の温度を示す図である。
【図5】Nd:YAG上にノンドープYAG層を有する
レーザロッドの半径方向のNd濃度と発振時の温度プロ
ファイルである。
【図6】熱処理によりYb元素を拡散させたYbの濃度
勾配を有するYAGディスク型レーザ材料を示す斜視図
である。
【図7】0〜10%の濃度勾配を有したYb:LuAG
ディスク型レーザ材料のアクティブミラー方式レーザの
出力特性を示すグラフである。
【図8】Yb10%ドープのYb:LuAGディスク型
レーザ材料のアクティブミラー方式レーザの出力特性を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 YAGにNdを1%ドープした固体レーザロッド 2 Nd濃度を0.75 、0.5、0.25 %と変
化させてLPE成長させたYAGレーザ結晶 3 LPE法で成長させたノンドープYAG結晶 4 ノンドープのYAG基板 5 徐々にYb濃度を変化させてLPE成長させたYA
G膜 6 Ybを10 %ドープしたYAG膜 7 Nd活性元素0〜1%の濃度勾配を持つ部分 8 Ndの濃度勾配を持つYAGレーザロッド 9 Ndを1%ドープしたYAGレーザロッド 10 LPE法で成長したノンドープYAG 11 Ybが10%から0%まで変化している部分 12 冷却面 13 励起面

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガーネット構造を持つレーザ母結晶に、
    活性元素であるNdを1.2原子%以下0.1原子%以
    上の濃度で添加して形成したレーザロッド本体と、 レーザロッド本体のNd濃度よりも低い濃度でNdを含
    む、少なくとも2層のNdドープ・ガーネット結晶膜
    と、Ndノンドープ・ガーネット結晶膜からなる最外膜
    とを有し、レーザロッド本体の周りに成膜された多層膜
    とを有することを特徴とする固体レーザロッド。
  2. 【請求項2】 多層膜中のNdドープ・ガーネット結晶
    膜のNd濃度は、レーザロッド本体から外方に向けて膜
    毎に順次Ndの濃度が低くなることを特徴とする請求項
    1に記載の固体レーザロッド。
  3. 【請求項3】 多層膜中のNdドープ・ガーネット結晶
    膜の各々は、液相エピタキシャル法によりレーザロッド
    本体の周りに成長させた膜厚500μm 以下50μm 以
    上の膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    固体レーザロッド。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のうちのいずれか1項に
    記載の固体レーザロッドを備えることを特徴とする固体
    レーザ素子。
  5. 【請求項5】 活性元素を添加していないノンドープの
    ガーネット構造を持つレーザ母結晶からなる基板と、 濃度が膜毎に徐々に高くなるように活性元素であるYb
    を添加して、基板の上に設けられた、少なくとも2層の
    ガーネット結晶膜とを有することを特徴とするディスク
    型固体レーザ材料。
  6. 【請求項6】 ガーネット結晶膜は、液相エピタキシャ
    ル法を用いて成長させた膜厚500μm 以下50μm 以
    上の膜であることを特徴とする請求項5に記載のディス
    ク型固体レーザ材料。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のディスク型固体
    レーザ材料でレーザ母体が構成されていることを特徴と
    する固体レーザ素子。
  8. 【請求項8】 請求項1から3のうちのいずれか1項に
    記載のレーザロッドの作製方法であって、 レーザロッドを熱処理して、液相エピタキシャル成長さ
    せた多層膜の膜同士の界面で活性元素濃度を熱拡散させ
    る工程を備え、 ステップ状であった活性元素濃度の濃度勾配を緩やかに
    することを特徴とするレーザロッドの作製方法。
  9. 【請求項9】 請求項5又は6に記載のディスク型固体
    レーザ材料の作製方法であって、 ディスク型固体レーザ材料を熱処理して、液相エピタキ
    シャル成長させたガーネット結晶膜同士の界面で活性元
    素濃度を熱拡散させる工程を備え、 ステップ状であった活性元素濃度の濃度勾配を緩やかに
    することを特徴とするディスク型固体レーザ材料の作製
    方法。
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