JP2000100617A - 磁心付きコイル及びpam制御エアコン - Google Patents

磁心付きコイル及びpam制御エアコン

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JP2000100617A
JP2000100617A JP10272235A JP27223598A JP2000100617A JP 2000100617 A JP2000100617 A JP 2000100617A JP 10272235 A JP10272235 A JP 10272235A JP 27223598 A JP27223598 A JP 27223598A JP 2000100617 A JP2000100617 A JP 2000100617A
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glass
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JP10272235A
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Masaaki Yagi
正昭 八木
Yasushi Yamamoto
裕史 山本
Isao Endo
功 遠藤
Hideo Koshimoto
秀生 越本
Chikanobu Shintani
京宣 新谷
Toru Kawai
河合  徹
Takao Kida
隆夫 木田
Isamu Otsuka
勇 大塚
Yoshimasa Okuno
良誠 奥野
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Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄損や漏洩磁束の原因となるギャップを切断
加工などによって形成させずとも、好適な透磁率を有す
る磁心を用いた磁心付きコイル及びその磁心付きコイル
を用いたPAM制御エアコンを提供する。 【解決手段】 大きな起磁力を生じさせるために用いら
れる磁心付きコイルにおいて、前記磁心は、閉磁路を有
するように、アモルファス合金よりなる軟磁性粉末1
と、ガこれら粉末1、1間に介在するラス2とにより相
互に接合形成され、前記ガラスが実質的に分散型ギャッ
プを構成する粉末成形磁心である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁心付きコイル及
びPAM制御エアコンに関するものである。ここで、
「PAM制御エアコン」とはパルス電圧振幅波形制御方
式エアコンのことをいう。
【0002】
【従来の技術】一般に、エアコン等の大きな起磁力の生
じるコイルに用いられる磁心としては、アモルファス軟
磁性合金から成る薄帯を巻いて形成したアモルファス薄
帯磁心や、ケイ素鋼板から成るケイ素鋼板磁心が実用化
されている。ところで、上記したアモルファス薄帯磁心
やケイ素鋼板磁心を、大きな起磁力の生じるコイルの磁
心に、そのまま使用するとなると、その透磁率が10000
〜100000程度もあり、実際使用するには高すぎるため不
適当である。そのため、例えば、図6に示すようなリン
グ状のトロイダル磁心50として形成する場合には、幅数
mm以下のギャップ51を設け、これによって所望の透磁
率に下げて使用されている。このようなギャップ51は、
リング状に成形後に回転ブレード等を用いた切断加工に
よって形成され、或いは、成形金型内にギャップ幅に相
当する薄板状の非磁性板を予め配置し、これを内包する
リング状に磁心材料を一体成形して形成されている(以
下、このようにして所定の幅で形成されるギャップを
「集中型ギャップ」という)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高電流
が流れるコイルに、上記のような集中型ギャップを有す
る磁心を用いるとなると、このギャップに起因して鉄損
や漏洩磁束が増加するという問題が発生する。ここで、
鉄損は回路の損失を増大させるものである。また、漏洩
磁束は、磁心を実際に回路に組込んだ場合にノイズ発生
源となり、周辺の導体に渦電流を誘発し、回路の損失を
増大させると共に、周辺の導体に悪影響を与えるもので
ある。そのため、鉄損や漏洩磁束が増加すると、損失が
大きな、つまり変換効率の低い回路となると共に、周辺
の導体が故障してしまう恐れがある。
【0004】さらに、集中型ギャップを有する磁心は、
ギャップの切断加工と加工後のギャップへの樹脂充填に
伴って加工コストが高くなり、また、ギャップ部に非磁
性板を内包させる成形でも、このために特殊な成形工程
が必要となって、上記同様に加工コストが高くなる。本
発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、鉄損や漏洩
磁束の原因となる集中型ギャップを形成させずとも、好
適な透磁率を有する磁心を用いた磁心付きコイル及びそ
の磁心付きコイルを用いたPAM制御エアコンを提供す
ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下の技術的手段を講じている。すなわ
ち、本発明の磁心付きコイルは、大きな起磁力を生じる
ために用いられる磁心付きコイルであって、前記磁心
は、アモルファス合金より成る軟磁性粉末と、これら粉
末間に介在するガラスとにより相互に接合形成されてお
り、前記ガラスが実質的に分散型ギャップを構成する粉
末成形磁心であることを特徴とする。
【0006】従って、本発明の磁心付きコイルを構成す
る粉末成形磁心は、アモルファス軟磁性粉末間のガラス
が、バインダーとしての機能と共に粒子間の絶縁機能を
も有することになり、これによって渦電流の発生を抑え
ることができ、渦電流損が小さくなるので、鉄損を低減
できる。また、粒子同士がガラスを挟んで相互に離間し
た構造は、微細な分散型ギャップが内部に形成されたも
のとなり、これによって、従来のような集中型ギャップ
を設けずとも、好適な透磁率を有する構成とすることが
できる。その結果、漏洩磁束も低減され、これに起因す
るノイズの発生が抑制されると共に、周辺の導体への悪
影響も低減できる。
【0007】そのため、本発明の磁心付きコイルを構成
する粉末成形磁心を、大きな起磁力の生じるコイルに用
いると、そのコイルを有する回路は、ロスの少ない高い
変換効率のものとなると共に、故障頻度が少ないものと
できる。さらに、集中型ギャップの形成が不要であるこ
とにより、全体的な加工費をより安価なものとすること
ができる。
【0008】また、請求項1に記載の磁心付きコイル
を、例えば、昇圧チョッパ回路を備えたPAM制御エア
コンや、太陽光から電力を得るシステム等に用いること
ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の、大きな起磁力の生じる
コイル、例えば、PAM制御エアコンの昇圧チョッパ回
路のコイルに用いられる磁心付きコイルの粉末成形磁心
を製造するには、まず、軟磁性を有するFe系、Co系等の
アモルファス合金粉末を作製する。このようなアモルフ
ァス合金粉末は、例えば、高速回転水流アトマイズ法に
より製造することができる。この方法は、冷却用筒体の
内周面に旋回しながら流下する冷却水層を形成し、融点
より50〜 200℃程度高温に溶解した原料合金の溶融金属
流の噴流を該冷却水層に供給し、旋回する冷却液層によ
って分断急冷凝固させて金属粉末を得る方法(特開平4-
17605 号公報参照)である。
【0010】この方法によれば、従来の水アトマイズ法
と異なり、水冷凝固時に粒子周りに発生する水蒸気膜が
高速回転水流の遠心力で速やかに剥離され、蒸気膜によ
る熱伝達の低下が抑制される。これにより、105K/sec以
上の高い急冷速度を得ることができ、アモルファス状態
の合金粉末を作製することができる。また、本方法によ
れば、回転ドラムを用いた回転液アトマイズ法と異な
り、連続大量生産も可能である。このような方法により
製造される合金粉末の粒径は、そのアモルファス性を確
保するために約 250μm以下とし、平均粒径は約 100〜
150μmが好ましい。
【0011】上記のように製造されたアモルファス合金
粉末に、その結晶化温度よりも低い軟化点を有するガラ
スの粉末を混合し、これをホットプレス法等により加圧
成形する方法で、所定の形状を有する粉末成形磁心を形
成する。この場合のガラスとしては、前記したFe系、Co
系等のアモルファス合金の結晶化温度(通常 500℃前
後)よりも、軟化点が約 100〜 200℃低いものを使用す
ることが望ましい。加圧成形する際、成形温度の範囲に
幅を持たせるためである。このようなガラス材料とし
て、酸化鉛含有のホウ酸塩系ガラス(PbO・B2O3)等の低
軟化点ガラスを挙げることができる。
【0012】ガラス粉末の粒径は、アモルファス合金粉
末の粒子間にうまく入り込むことができるように、アモ
ルファス合金粉末の平均粒径の約1/20よりも小さくする
ことが好ましい。アモルファス合金粉末の粒径が、前記
した約 250μm以下、平均粒径が約 100〜 150μの場合
には、ガラス粉末の粒径は約10μm以下、平均粒径は約
1〜7μmが好ましい。
【0013】なお、ガラス粉末をアモルファス合金粉末
と共にボールミルの中で混合する場合、ガラス粉末は、
その攪拌過程で粉砕されて微細化されるため、ボールミ
ルに投入する段階では適当に砕かれたものを使用すれば
よく、その粒径は攪拌時間によって調節することができ
る。ガラスの混合量は3〜 20vol%が望ましく、この範
囲で、所望の透磁率に合わせて設定する。ガラスの混合
量が少なすぎると、アモルファス合金粉末を所定の磁心
形状にバルク化させることができなくなり、一方、混合
量を増やすと結合強度は大きくなるが、アモルファス合
金の量が少なくなり過ぎて所望の磁気特性を確保できな
くなる。
【0014】次に、上記のような混合粉末を例えばホッ
トプレス法により加圧成形する場合、加熱温度は、アモ
ルファス合金の結晶化温度より低く、かつ、ガラスの軟
化点よりも高い温度範囲、例えば 400〜 500℃とし、圧
力1〜2GPa 程度で加圧する。加圧時間は1分以内で充
分である。このような成形により、ガラスは、アモルフ
ァス合金粉末(粒子)の間にほぼ隙間なく侵入してこれ
を埋めた状態となる。冷却後、ガラスは硬化してアモル
ファス合金粉末のバインダーおよび粒子間絶縁の機能を
果たすことになり、高密度の成形体が得られる。合金粉
末は、成形温度が結晶化温度よりも低いことから加圧成
形後もアモルファス状態が維持される。
【0015】その後、必要に応じて機械加工による仕上
加工を行い、閉磁路を有するリング状等の最終形状に仕
上げ、次いで、再度、アモルファス合金の結晶化温度よ
り低くかつガラスの軟化点よりも高い温度範囲に加熱し
て、歪取り熱処理を行う。加熱保持時間は10〜20分程度
が好ましい。このような熱処理を行うことにより、加圧
成形時にアモルファス軟磁性粉末に機械的な歪が生じた
としても、その後に再度ガラスがその軟化点を越える温
度に加熱されることで、ガラスからの拘束力が除かれた
状態で、歪が除去される。この結果、歪によって損なわ
れた磁気特性が回復され、したがって、アモルファス合
金が本来有する特性が粉末成形体中でも極力維持され、
優れた磁気特性を有する粉末成形磁心が得られる。
【0016】このような製造方法により作製された粉末
成形磁心は、充分な機械的強度を備え、そして、アモル
ファス合金粉末間の隙間を埋めるガラスが、バインダー
としての機能と共に粒子間の絶縁機能をも有するので鉄
損を小さくできる。また、粉末形成磁心は、アモルファ
ス粉末粒子同士がガラスを挟んで相互に離間した分散型
ギャップが内部に形成されてなるものであり、従来のよ
うな集中型ギャップを設けずとも、好適な透磁率を有す
るようにできると共に、閉磁路を有するように形成させ
ているため、磁束が透磁率の高いところを選択して通
り、漏洩磁束を外部にあまり漏らすことがない。そのた
め、ノイズの発生を抑制でき、また、周辺の導体への悪
影響も低減できる。
【0017】そのため、本発明の磁心付きコイルを、大
きな起磁力の生じるコイルを備える電気機器、例えば、
PAM制御エアコンの昇圧チョッパ回路に用いるコイル
の磁心に使用すると、ロスの少ない高い変換効率の回路
が得られると共に、故障頻度の少ない回路とできる。な
お、コイルに大きな起磁力が生じるとは、具体的には磁
界の強さが2000A/m以上発生する可能性のあるも
のであればよく、常時、大きな起磁力の生じている必要
はない。ここで、大きな起磁力を生じさせるには、コイ
ルに大電流を流すほか、コイルの巻線数を多くしてもよ
い。また、大きな起磁力の生じるコイルを備えたもの
は、PAM制御エアコンに限定されるものではなく、例
えば、太陽光から電力を得るシステムに用いてもよい。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例として、Fe系の軟磁性
材料を用いて作製した粉末成形磁心を例に挙げて、その
具体的な製造手順と特性評価結果とについて説明する。
まず、前記した高速回転水流アトマイズ法により、Fe74
Si12.5B12.5C1 のアモルファス合金粉末を作製した。こ
れによって得られた粉体形状は、細粒では球形に近いも
のが多く、大きくなるに従って偏平・細長になる傾向が
見られた。その平均粒径は約 150μmであり、これら急
冷凝固粉末のX線回折結果では、粒径45μm以下の微細
粒から 250μmの粗粒に至るまでアモルファス化されて
いることが認められた。
【0019】次に、上記のように作製したアモルファス
合金粉末(粒径 250μ以下、累積重量比で平均粒径 100
〜 150μm)と、軟化点が約 320℃のガラス(酸化鉛含
有のホウ酸塩系ガラス)粉末とを、90:10の混合比(容
積比)にてボールミルの中で24時間攪拌混合した。混合
後のガラス粉末の平均粒径は約1〜2μmであった。な
お、前記組成のアモルファス合金の結晶化温度Txは 548
℃である。
【0020】この混合粉末を、圧力1.6GPa、温度 450
℃、加圧時間1分以内の成形条件でホットプレスを行
い、直径20mm、高さ5mmの円柱状成形体を得た。得られ
た成形体は完全にバルク化されており、その相対密度は
95%であった。なお、「相対密度」とは、円柱状成形
体を完全緻密体と仮定したときの重量に対する実際の重
量の比率として求めたものである。完全緻密体の重量
は、アモルファス合金粉末とガラス粉末の混合比に基づ
いて計算した値である。
【0021】こうして得られた成形体のミクロ組織を図
1(a) に示す。同図中、白い部分がアモルファス合金粒
子1…、黒い部分がガラス2を表している。図のよう
に、微細粒が粗粒の間に入り込み、粗粒同士は押し合っ
て潰れ、粒子間には添加したガラス2が侵入してアモル
ファス合金粉末(粒子)1…同士がガラスを介して接合
されていることがわかる。
【0022】また、このようにガラスをバインダーとし
て加圧成形された成形体は、任意形状の成形加工が可能
であり、さらに、十分に高い機械的な強度を有してい
る。上記のような成形体の合金粉末も、そのX線回折パ
ターンからアモルファス状態であることが確認された。
なお、別途、加圧成形時の温度を種々変えて上記同様の
成形体を作製し、それらのX線回折パターンを測定した
が、その結果からは、成形温度の上昇に従ってブロード
な山がやや高くなる傾向が見られたものの、結晶化温度
Txより数10℃以下の成形では明確な結晶化の回折は認め
られず、アモルファス状態であることが確認されてい
る。
【0023】次に、上記のように作製した成形体に、旋
盤による穴あけ加工を施して外形20mm、内径12mm、高さ
5mmのリング状に仕上げ、その後、これに 450℃−15分
の歪取り熱処理を施して、図1(b) に示す形状の粉末成
形磁心3を作製した。そこで、本実施例のアモルファス
粉末成形磁心と、市販の、6.5%ケイ素鋼板からなる
4組の棒状片を四角形状に形成させ、その棒状片の一部
に集中型ギャップを設けたスーパーE磁心(以下、比較
例1という)と、市販の、リング状に形成させ、そのリ
ング状の一部に集中型ギャップを設けたアモルファス薄
帯磁心(以下、比較例2という)とを、実際に回路に組
み込んだときの動作特性の比較試験を行った。
【0024】実験回路として、図2に示す昇圧チョッパ
回路を用い、試料として、表1に示すものを用いた。
【0025】
【表1】
【0026】図3は、本実験条件であるDC−DCコン
バータの出力電圧特性を示している。出力電圧の値は、
入力電圧Vi =DC100V、周波数f=25KHs一
定のもと、入力電力の値が1KWまで負荷を調整して同一
の値になるようにし、入力電圧の値が1KWから負荷を一
定にし、上昇していくようにした。図4には、図3に示
す条件で、入力電圧Vi =DC100V、周波数f=2
5KHs一定のもと、入力電圧に対する変換効率特性を
示している。
【0027】この結果から、本実施例におけるアモルフ
ァス粉末成形磁心は、集中型ギャップを設けた市販の比
較例1、2の磁心に対して、優れた変換効率特性が得ら
れることが確認された。特に、入力電力が小さな値のと
き程、即ち、入力電流の値が小さい程、変換効率の差が
顕著にみられた。変換効率の低下の原因としては、銅損
や鉄損等が挙げられ、銅損は電流に比例することから、
電流の値が低いほど、変換効率の低下は鉄損による影響
が大きい。そこで、本実施例は、市販の比較例1、2と
比較して、鉄損の影響をあまりうけていないことが分か
る。
【0028】次に、本実施例のアモルファス粉末成形磁
心と、リング状に形成させ、そのリング状の一部に集中
型ギャップを設けたアモルファス薄帯磁心(以下、比較
例3という)についての磁界の強さH=2400A/m
における漏洩磁束をガウスメータで測定した。試料とそ
の結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】この結果から、本実施例のアモルファス粉
末成形磁心は、比較例3の集中型ギャップを設けたアモ
ルファス薄帯磁心と比較して、漏洩磁束は約1/10ぐ
らい低減された結果が得られることが確認された。特
に、比較例3には、集中型ギャップ近傍の漏洩磁束が4
0〜100というかなり高い値を示す部分があり、本実
施例には特に漏洩磁束の高い値を示す部分が見られなか
った。そこで、本実施例は、比較例3と比較して、磁束
漏れの少ない磁心であることが分かる。
【0031】従って、本実施例は所望の透磁率を有して
いると共に、変換効率を下げる鉄損を低減させることが
でき、更に、周辺の導体に悪影響を及し、故障を生じさ
せる恐れのある漏洩磁束をかなり低減させることができ
ることから、大きな起磁力の生じるコイルを有する電気
機器、例えば、PAM制御エアコンの昇圧チョッパ回路
に用いられるのに好適である。
【0032】なお、本発明は、前記した実施形態や実施
例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の
変更が可能である。例えば、上記では軟磁性合金材料と
して、Fe74Si12.5B12.5C1 の組成のFe系合金を用いた
が、Co系合金(例えば、(Co0.9 5Fe0.05)75(Si0.6B0.4)
25)などのその他の軟磁性合金を使用することが可能で
ある。また、上記では、ホットプレス法により加圧成形
を行ったが、HIP(熱間等方圧加圧)法などのその他の加
圧成形法を採用することも可能である。また、上記実施
例では、高速回転水流アトマイズ法を採用してアモルフ
ァス合金粉末を製造した例を挙げたが、例えば回転ドラ
ムを用いて回転液アトマイズ法で作製されたアモルファ
ス合金粉末や、さらには、アモルファス薄板を粉砕して
得られる粉末などを用いることも可能であり、これらを
ガラスと混合して所定の温度で加圧成形し、その後、歪
取り熱処理を行うことで、磁気特性が優れた粉末成形磁
心とすることができる。
【0033】また、上記では閉磁路を有するようにリン
グ状の粉末成形磁心3を用いたが、図5に示すように、
粉末成形磁心3をU字形状にし、このU字形状の端部4
を合わせ、閉磁路を有するようにしてもよい。このよう
にすると、磁心3にコイルが簡単に巻けるようになる。
【0034】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の磁心付き
コイルの粉末成形磁心においては、アモルファス軟磁性
粉末間のガラスが、バインダーとしての機能と共に粒子
間の絶縁機能も有するので鉄損が小さく、かつ、粒子間
のガラスによって内部に分散型ギャップを有する構成で
もあるので、リング状などの閉磁路を有する磁心形状で
も、従来のような集中型ギャップを設けずとも、好適な
透磁率を有するものとなる。この結果、漏洩磁束が低減
され、これに起因するノイズの発生が抑制されると共
に、集中型ギャップの形成が不要であることにより、全
体的な加工費を低減することができる。
【0035】そのため、大きな起磁力の生じるコイルを
有する電気機器、例えば、PAM制御エアコンの昇圧チ
ョッパ回路に、本発明の磁心付きコイルを用いると、ロ
スの少ない高い変換効率の回路が得られると共に、故障
頻度の少ないものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における粉末成形磁心を示す
もので、同図(a) はホットプレスによって成形した成形
体のミクロ組織を示す図であり、同図(b) は粉末成形磁
心の形状を示す斜視図である。
【図2】本発明の粉末成形磁心の回路動作特性を測定す
るためのDC−DCコンバータの構成を示す回路図であ
る。
【図3】本発明の粉末成形磁心の回路動作特性を測定す
る実験条件である入力電力に対するコンバータの出力電
圧との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の粉末成形磁心における効率と入力電力
との関係についての、測定結果を、比較例1、2につい
ての測定結果と共に示すグラフである。
【図5】本発明の粉末成形磁心の他の形状を示す平面図
である。
【図6】従来のギャップ付きトロイダル磁心の形状を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 アモルファス合金粉末 2 ガラス 3 粉末成形磁心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 功 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 越本 秀生 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 新谷 京宣 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 河合 徹 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 木田 隆夫 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 大塚 勇 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 奥野 良誠 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 Fターム(参考) 3L060 AA08 EE02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大きな起磁力を生じるために用いられる
    磁心付きコイルであって、前記磁心は、アモルファス合
    金より成る軟磁性粉末と、これら粉末間に介在するガラ
    スとにより相互に接合形成されており、前記ガラスが実
    質的に分散型ギャップを構成する粉末成形磁心であるこ
    とを特徴とする磁心付きコイル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁心付きコイルを、昇
    圧チョッパ回路に用いたことを特徴とするPAM制御エ
    アコン。
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