JP2000100600A - シンクロトロン放射光の伝搬装置 - Google Patents

シンクロトロン放射光の伝搬装置

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JP2000100600A
JP2000100600A JP11248956A JP24895699A JP2000100600A JP 2000100600 A JP2000100600 A JP 2000100600A JP 11248956 A JP11248956 A JP 11248956A JP 24895699 A JP24895699 A JP 24895699A JP 2000100600 A JP2000100600 A JP 2000100600A
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thin film
light
synchrotron radiation
exposure
optical axis
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Eijiro Toyoda
英二郎 豊田
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
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    • G03F7/70058Mask illumination systems
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    • GPHYSICS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光領域内の露光量の分布を均一に近づける
ことができるシンクロトロン放射光伝搬装置を提供す
る。 【解決手段】 光学系内を、光軸に垂直な断面におい
て、第1の方向よりも、それに直交する第2の方向に長
く、かつ湾曲しているビーム断面形状を有するシンクロ
トロン放射光が伝搬する。シンクロトロン放射光の光路
内に、薄膜が取り付けられた窓が配置されている。薄膜
は、シンクロトロン放射光を減衰させる材料からなり、
薄膜を透過するシンクロトロン放射光の該薄膜内の光路
長が、その面内で一様ではないように構成されている。
窓の形状がビーム断面形状に整合した細長い形状であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シンクロトロン放
射光(SR光)伝搬装置に関し、特にSR光に、その光
軸に垂直な断面内に関して強度分布を付与するSR光伝
搬装置する。
【0002】
【従来の技術】図1を参照して、従来のX線露光装置の
構成を説明する。なお、図1は、本願実施例の説明にお
いても参照される。
【0003】X線露光装置は、SR光発生部1、SR光
伝搬部10、及びX線ステッパ50を含んで構成され
る。
【0004】SR光発生部1は、真空容器2、及びその
中に形成された電子ビーム周回軌道3を含んで構成され
る。周回軌道3に沿って周回する電子からSR光が放射
される。このSR光が、真空容器2に設けられたビーム
取出口4を通って外部に取り出される。
【0005】SR光伝搬部10は、入射側真空ダクト1
1、ミラー収納筐体12、出射側真空ダクト30を含ん
で構成される。ミラー収納筐体12には、SR光の入射
孔13と出射孔14が設けられている。入射側真空ダク
ト11は、SR光発生部1のビーム取出口4とミラー収
納筐体12の入射孔13とを気密に連結する。真空ダク
ト11内には、真空の遮蔽弁、放射光を遮蔽するシャッ
タ等(図示せず)が配置されている。出射側真空ダクト
30の入射端が出射孔14に気密に連結されている。
【0006】ミラー収納筐体12内に、反射ミラー15
が収納され、ミラー揺動機構16によって保持されてい
る。入射孔13から入射したSR光が、ミラー15によ
り反射され、出射孔14を通って出射側真空ダクト30
内に入射する。ミラー15は、入射SR光の中心光軸と
反射点における反射面の法線とを含む入射面が鉛直にな
り、入射中心光軸と反射面とのなす角が約1〜2°、す
なわち入射角が約89〜88°になるように配置され
る。
【0007】揺動機構16は、ミラー15を、SR光の
反射点を通り入射面に垂直な回動軸、すなわち水平な回
動軸を揺動中心としてミラー15を揺動させる。ミラー
15の揺動により、反射したSR光が上下に振られる。
なお、揺動中心をSR光の反射点とは異なる位置に置い
てもよい。
【0008】出射側真空ダクト30の出射端に、ベリリ
ウム薄膜からなる出射窓が形成された窓フランジ37が
気密に取り付けられている。出射側真空ダクト30内に
入射したSR光は、窓フランジ37に形成された出射窓
を通って外部に放射される。窓フランジ37に対向する
位置にX線ステッパ50が配置されている。X線ステッ
パ50は、窓フランジ37から放射されたSR光が照射
される位置に半導体基板51を保持する。半導体基板5
1の前方に露光マスク52が保持される。
【0009】SR光は、水平方向に関しては全方位に放
射されるが、鉛直方向に関しては約±1mrad程度の
広がりしかない。ミラー15を揺動させてSR光を上下
に振ることにより、半導体基板51表面の広い領域にS
R光を照射することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】SR光は、水平方向に
発散する。このSR光を水平方向に関して収束し平行光
線束に変えることにより、光源から放射されたSR光の
利用効率を高めることができる。X線露光を行う場合に
は、X線の強度を強くすることにより、露光時間を短縮
することができる。
【0011】SR光を水平方向に関して収束するため
に、図1のミラー15として円筒ミラーまたはトロイダ
ルミラーが用いられる。円筒ミラーまたはトロイダルミ
ラー等により反射されたSR光は、その光軸に垂直な断
面(ビーム断面)においてほぼ円弧に沿った形状を有す
る。従って、露光面へのSR光照射領域の形状も円弧状
になる。照射領域を、この円弧の中央の点を通る半径方
向に移動させることにより、広い領域にSR光を照射す
ることができる。
【0012】円弧状の照射領域を、その移動方向に平行
な直線で切った切り口の長さは、照射領域の中央から水
平方向に離れるに従って長くなる。このような照射領域
を、ミラーを揺動させ露光面内において縦方向に移動さ
せると、露光面での露光量は露光された領域の中央から
水平方向に離れるに従って多くなってしまう。このた
め、円弧状の照射領域を有するSR光により露光面を均
一に露光することは困難であった。
【0013】本発明の目的は、露光領域内の露光量の分
布を均一に近づけることができるシンクロトロン放射光
伝搬装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、光軸に垂直な断面において、第1の方向よりも、そ
れに直交する第2の方向に長く、かつ湾曲しているビー
ム断面形状を有するシンクロトロン放射光が伝搬する光
学系と、前記シンクロトロン放射光の光路内に配置さ
れ、該シンクロトロン放射光を減衰させる材料からなる
薄膜が取り付けられた窓であって、該薄膜を透過するシ
ンクロトロン放射光の該薄膜内の光路長が、その面内で
一様ではないように構成され、該窓の形状が前記ビーム
断面形状に整合した細長い形状である前記窓とを有する
シンクロトロン放射光伝搬装置が提供される。
【0015】薄膜を透過するシンクロトロン放射光の光
路長が面内に関して異なるため、面内の場所によって異
なる量だけシンクロトロン放射光を減衰させることがで
きる。窓の形状が細長いため、熱伝導効率が高まり、薄
膜の温度上昇を抑制することができる。
【0016】本発明の他の観点によると、光軸に垂直な
断面において、第1の方向よりも、それに直交する第2
の方向に長いビーム断面形状を有するシンクロトロン放
射光が伝搬する光学系と、前記シンクロトロン放射光の
中心光軸が前記第1の方向に遥動するように、該シンク
ロトロン放射光の進行方向を変化させる光軸遥動機構
と、前記シンクロトロン放射光の光路のうち、該シンク
ロトロン放射光の光軸が遥動される部分に配置され、該
シンクロトロン放射光を減衰させる材料からなる薄膜で
あって、該薄膜の、前記遥動方向に関する厚さ分布が一
様ではない前記薄膜とを有するシンクロトロン放射光伝
搬装置が提供される。
【0017】シンクロトロン放射光の光軸が遥動する
と、薄膜面内においてシンクロトロン放射光の透過位置
が変動する。薄膜の、遥動方向に関する厚さ分布が一様
ではないため、シンクロトロン放射光の光軸が遥動する
と、薄膜による減衰率が変動する。シンクロトロン放射
光の遥動に起因して、その照射領域の露光量が変動する
場合、薄膜の厚さ分布により露光量の変動を抑制するこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施例によるS
R光伝搬装置を組み込んだX線露光装置の概略を示す。
このX線露光装置の概略構成は既に説明したので、ここ
では説明を省略する。なお、実施例によるSR光伝搬装
置は、少なくとも窓フランジ37において従来例と異な
る構成を有する。
【0019】図2(A)は、図1に示す出射側真空ダク
ト30の出射端の平面図、図2(B)は図2(A)の一
点鎖線B2−B2における断面図、図2(C)は図2
(A)の矢印C2に沿って見た側面図を示す。
【0020】真空ダクト30の出射端にフランジ30a
が取り付けられている。正方形の開口を有する窓フラン
ジ37がフランジ30aに結合している。フランジ30
aと窓フランジ37との接合面は、Oリングにより封止
されている。窓フランジ37の出射側の面に、その開口
を取り囲むように窓枠38が溶接されている。
【0021】窓枠38の出射側の面は、円筒状に加工さ
れている。この円筒面の中心軸は、真空ダクト30の中
心軸(ダクト内を伝搬するSR光の中心光軸)に直交
し、かつ鉛直面に平行である。ベリリウム薄膜31が、
窓枠38の円筒面に溶接または蝋付けにより貼り付けら
れている。ベリリウム薄膜31は、円筒面に対応して円
筒状に加工されている。なお、平板状のベリリウム薄膜
を、窓枠38の円筒面に沿って変形させてもよい。ベリ
リウム薄膜31により、真空ダクト30内の真空が保た
れる。
【0022】次に、図3を参照してベリリウム薄膜31
を円筒状としたことの作用について説明する。
【0023】図3(A)は、図1の半導体基板51の露
光面のSR光照射領域の形状を示す。露光面内の水平方
向をx軸、SR光の中心光軸とx軸との双方に直交する
軸をy軸とするxy座標を考える。
【0024】SR光照射領域60(SR光のビーム断面
に相当)が半径Rの円弧状であるとする。照射領域60
をy軸に平行な直線で切った切り口の長さは、座標xの
関数になる。このため、照射領域60をy軸方向に一定
速度で移動させたときの露光面内のある点の照射時間
が、座標xの関数になる。座標xの点の照射時間は、
(1−(x/R)2-1/2に比例する。
【0025】ベリリウム薄膜に入射する前のSR光のフ
ォトン密度が一定であるとすると、ベリリウム薄膜が無
いと仮定したときの露光面の露光量Pxは、
【0026】
【数1】 Px =P0(1-(x/R)2) -1/2 …(1) と表される。ここでP0は、x=0の直線(y軸)上の
ある点における露光量である。
【0027】図3(B)は、図2(A)に示すベリリウ
ム薄膜31の円筒面の母線に垂直な平面におけるベリリ
ウム薄膜31の断面及びSR光の光軸を示す。ベリリウ
ム薄膜31の膜厚をT、その円筒面の曲率半径をrとす
ると、座標xの位置におけるSR光の透過光路長t
xは、
【0028】
【数2】 tx = T(1-(x/r)2) -1/2 …(2) となる。ベリリウム薄膜のSR光吸収係数をμとする
と、SR光がベリリウム薄膜を透過した場合の露光面の
露光量Qxは、
【0029】
【数3】 Qx = Pxexp(-μtx) …(3) となる。式(1)〜(3)より、
【0030】
【数4】 Qx = P0(1-(x/R)2)-1/2exp(-μT(1-(x/r)2)-1/2)…(4) が得られる。また、
【0031】
【数5】 Q0 = P0exp(-μT) …(5) であるから、式(4)及び(5)から、
【0032】
【数6】 Qx/Q0 = (1-(x/R)2)-1/2exp((-μT)((1-(x/r)2)-1/2-1)) = (1-(x/R)2)-1/2exp((-μT)((1-(x/kR)2)-1/2-1))…(6) が得られる。ここで、
【0033】
【数7】 r=kR …(7) とおいた。
【0034】図4は、式(6)からQx/Q0をx/Rの
関数として示したグラフである。図4(A)〜4(C)
は、それぞれkを0.8、1.0、1.2とした場合で
ある。なお、図中の一点鎖線、点線、破線、実線は、そ
れぞれQ0/P0すなわちexp(−μT)を0.2、
0.4、0.6、及び0.8とした場合を示す。
【0035】Qx/Q0=1の場合、露光面内における露
光量が均一になる。図4(A)〜(C)のすべての場
合、x/Rが小さい領域では、Qx/Q0が1に近いが、
x/Rが増加するに従って1から遠ざかる。SR光は一
定の範囲内の波長を含んでおり、ベリリウム薄膜の透過
率は波長に依存するが、平均するとQ0/P0は0.4〜
0.6の範囲内に存在すると推測される。
【0036】Q0/P0が0.4〜0.6の範囲内にある
とき、k=0.8では右下がり、k=1.0ではほぼ横
ばい、k=1.2では右上がりのグラフになっている。
従って、kを0.8〜1.2の範囲内の値とすることが
好ましく、1近傍とすることがより好ましいと考えられ
る。
【0037】上記考察では、露光面内でSR光照射領域
を移動させる過程で、SR光照射領域の形状が変化せ
ず、かつその形状が円弧に沿うと仮定した。これらの仮
定が厳密には成り立たない場合でも、k値を調整するこ
とにより、露光面内の露光量のばらつきを少なくするこ
とができる。露光領域の形状が円弧に沿わない任意の湾
曲した形状である場合には、この形状に対応してベリリ
ウム薄膜を湾曲させることにより、露光量のばらつきを
少なくすることができるであろう。
【0038】また、図2(A)では、ベリリウム薄膜3
1を真空ダクト30の内部に向かって凸になるように湾
曲させている。ベリリウム薄膜31を真空ダクト30の
外側に向かって凸になるように湾曲させても同様の効果
が得られるであろう。また、ミラーを揺動させてSR光
を振る場合に限らず、ミラーを固定して半導体基板を移
動させる場合にも適用可能である。
【0039】また、上記実施例の基本的考え方は、X線
露光装置に限らず、SR光を、その光軸に垂直な断面内
である分布を持って減衰させたい場合にも適用可能であ
る。一方向に分布を持たせたいときには、薄膜を、SR
光の光軸に垂直な母線からなる柱面に沿って湾曲させれ
ばよい。湾曲の形状を変化させることにより、種々の強
度分布を与えることができる。
【0040】SR光の、その光軸に垂直な断面における
ビーム形状は、通常、第1の方向に短く、それに直交す
る第2の方向に長い形状を有する。SR光を減衰させる
材料からなる薄膜をSR光の光路内に配置し、SR光の
光軸方向及び第2の方向の双方に平行な平面における断
面形状を湾曲させる。薄膜をこのような形状とすると、
第2の方向に関して、場所によって異なる量だけシンク
ロトロン放射光を減衰させることができる。
【0041】図3(A)では、SR光の断面形状が半径
Rの円周に沿う場合を説明したが、実際には、SR光の
照射領域60がy軸方向に移動すると半径Rが変化す
る。また、照射領域60は、近似的に円周に沿っている
と考えられるが、厳密には変曲点のない曲線に沿うと考
えられる。さらには、照射領域60内のSR光強度(単
位面積当たりの光子数)は一定ではなく、図3(A)に
示す座標xの関数になると考えられる。以下、これらを
考慮して、露光量をより均一に近づけることができる他
の実施例について説明する。
【0042】図5(A)は、他の実施例によるX線露光
装置の概略を示す。図5に示すX線露光装置の基本的な
構成は、図1に示すX線露光装置と同様であり、各構成
部分には、図1のX線露光装置の対応する構成部分の参
照符号と同一の参照符号が付されている。以下、図1の
X線露光装置と異なる構成について説明する。
【0043】出射側真空ダクト30が、真空ベローズ1
7を介して出射孔14に結合されるとともに、真空ダク
ト駆動機構18により基台19に支持されている。真空
ダクト駆動機構18は、反射ミラー15の揺動によりS
R光の中心光軸が上下に振られたとき、出射側真空ダク
ト30とその中を通過するSR光の中心光軸との相対位
置関係が変化しないように出射側真空ダクト30を揺動
させる。
【0044】窓フランジ37に、ベリリウム薄膜31が
取り付けられている。窓フランジ37には、図5(B)
に示すように、円弧状の窓37aが形成されている。窓
37aの形状は、出射側真空ダクト30内を伝搬するS
R光のビーム断面の形状に整合している。窓37aは、
ベリリウム薄膜31で塞がれている。ベリリウム薄膜3
1の詳細な構成については、後述する。
【0045】出射側真空ダクト30とその中を通過する
SR光の中心光軸との相対位置関係が変化しないため、
SR光の中心光軸を上下に振っても、SR光は常に窓3
7aを通過して出射側真空ダクト30から外部に出射す
る。
【0046】図5(B)に示すベリリウム薄膜31の面
積は、図2(C)に示すそれよりも小さい。このため、
出射側真空ダクト30の内外の圧力差に容易に耐えるこ
とができる。また、以下に説明するように、ベリリウム
薄膜31の温度上昇を抑制する点においても、図5
(B)に示す構成の方が有利である。
【0047】ベリリウム薄膜31は、SR光の長波長成
分を吸収するフィルタの役目を果たす。ベリリウム薄膜
31で吸収されるSR光のエネルギは、SR光の全エネ
ルギの約50%である。SR光の吸収によりベリリウム
薄膜31内で発熱が生ずる。この熱は、窓フランジ37
への熱伝導、ベリリウム薄膜31からの輻射、及びベリ
リウム薄膜31に接する外気の対流により放散される。
【0048】ベリリウム薄膜31の温度が250℃以上
になると、その強度が著しく低下する。出射側真空ダク
ト30の内外の圧力差に耐えるためには、ベリリウム薄
膜31の温度を250℃以下に保持しておくことが好ま
しい。この温度領域における熱の放散に関しては、窓フ
ランジ37への熱伝導が支配的となる。図5(B)に示
すように、窓37aの面積を小さくし、しかも細長くす
ることにより、熱伝導効率を高めることができ、ベリリ
ウム薄膜31の温度上昇を抑制することができる。
【0049】次に、半導体基板51の表面の露光量の面
内に関する均一性について考察する。
【0050】図6(A)は、半導体基板51の表面に照
射されるSR光の強度分布を示す。長方形ABCDは、
露光すべき領域の半分を表し、直線ADがその領域の中
心線を表す。線分ADの中点をG、線分BCの中点をH
とする。露光面内に、直線GHをx軸、直線DAをy
軸、露光面の法線方向をz軸とするxyz直交座標系を
考える。x軸方向に長いビーム断面形状を有するSR光
が、露光面を点Dから点Aに向かってy軸方向に走査す
ることにより、長方形ABCD内の領域を露光する。
【0051】z軸が、露光面を照射するSR光の強度を
表すとすると、走査開始時点、露光領域をほぼ半分走査
した時点、及び走査終了時点におけるSR光の強度分布
が、それぞれ曲面P1、P2、及びP3で表される。各曲
面P1〜P3により画定される立体形状は、xz面に平行
に立てかけた壁をz軸に平行な直線の回りにやや湾曲さ
せたもので表すことができる。この壁の湾曲度及び高さ
は、図5(A)に示す反射ミラー15の形状、SR光と
反射ミラー15との幾何学的配置、ベリリウム薄膜31
の厚さ等によって規定される。なお、反射ミラー15の
揺動角速度は一定とする。
【0052】図6(B)は、SR光が露光面を1回走査
したときの長方形ABCD内の露光量の分布を示す。曲
面A’B’H’C’D’G’上の各点のxy平面からの
高さが、その位置における露光量を表す。例えば、点A
における露光量は、線分AA’の長さで表される。
【0053】図5(A)に示す電子周回軌道3から放射
されたSR光は、水平方向に大きく広がり、垂直方向に
わずかに広がる。反射ミラー15へ入射するSR光の中
心光軸と電子周回軌道3との接点が、SR光の光源と考
えられる。この光源を中心とし、SR光の中心光軸に対
して水平方向になす角をθx、垂直方向になす角をθy
する。反射ミラー15の基準位置からの揺動角をφとす
る。例えば、SR光の中心光軸が露光面の中央の点Gを
通過する時にφ=0とする。揺動角φが変化すると、S
R光の入射角が変化し、図6(A)において、SR光の
強度を表す湾曲した壁がy軸方向に移動する。揺動角φ
を固定させたとき、例えばSR光が曲面P1に相当する
領域を照射しているとき、角θxは、曲面P1の稜線をx
y平面に垂直投影した曲線の方向に相当し、角θyは、
その曲線に直交する方向に相当する。なお、曲面P2
びP3の位置においても、それぞれθx方向及びθy方向
が定義される。揺動角φ、角θx及びθyが決まれば、露
光面上の座標(x,y)及びその点のSR光強度Pが一
意に決まる。従って、x、y、及びPは、下記のように
表すことができる。
【0054】
【数8】x = Fxxy,φ) y = Fyxy,φ) P= FPxy,φ) …(8)
【0055】ある時点の露光面上のSR光の強度分布を
示す図6(A)の曲面P1〜P3とθ x方向に垂直な平面
との交線は、一般にガウス分布曲線で近似できる。ここ
で、今後の解析を容易にするために、曲面P1〜P3の各
々で画定される湾曲した壁を、θxによらず一様の厚さ
を有する長方形断面の壁と仮定し、その長方形断面の面
積を、その断面位置θxにおけるガウス分布の積分値と
仮定する。壁の厚さをW、高さをH(θx,φ)とする
と、
【0056】
【数9】 W × H(θx,φ) =∫FPxy,φ)dθy …(9) と表される。
【0057】図7は、上述の仮定を置いた場合の、図6
(A)に相当するグラフを表す。図6(A)の曲面P1
〜P3により画定される壁が、図7では、厚さWが一様
な長方形断面を有する壁P1〜P3に置き代わっている。
図7において、ある時点におけるSR光の照射領域を、
その時のSR光の強度分布を表す壁の中心線(θy=0
に相当する線)で代表させて考える。このとき、ある時
点のSR光の強度は、xとφのみの関数となる。従っ
て、SR光の強度Pは、
【0058】
【数10】P = F1(x,φ) …(10) と表される。
【0059】y軸方向に関するSR光の強度の分布は、
揺動角φの関数として表される。
【0060】図8は、y軸方向に関するSR光強度の分
布の一例を、点Gにおける強度で規格化して表したグラ
フである。y軸方向に関してSR光強度が一定でない場
合、反射ミラー15の揺動角速度を、揺動角φに応じて
変化させることにより、y軸方向に関する強度分布を均
一化することができる。この方法については、後述す
る。
【0061】図9は、露光すべき領域の中心線AGD上
のSR光の強度で規格化したときの、x軸方向に関する
SR光の強度分布の一例を示す。図中の3本の曲線P1
〜P3は、それぞれSR光が図7のP1〜P3の位置を照
射している場合に対応する。図9は、反射ミラーの集光
特性を示している。集光係数K1(x,φ)を
【0062】
【数11】 K1(x,φ) = F1(x,φ)/F1(0,φ) …(11) と定義する。
【0063】図10に示すように、SR光が、半径Rの
円弧に沿った幅Wの領域を照射し、この領域をy軸方向
に走査して露光面全域を露光する場合を考える。露光領
域の座標x(中心角α)の位置を露光するビームのy軸
方向の幅は、
【0064】
【数12】W/cos α …(12) になる。幅Wを一定と仮定したので、中心角αの位置に
おける露光量は、中心線上の位置における露光量の
【0065】
【数13】1/cos α …(13) 倍になる。ビーム断面の中心線(図7のθy=0に相当
する線)を曲線y=g(x,φ)とすると、
【0066】
【数14】 tan α = dy/dx = (∂/∂x)g(x,φ) …(14) が成立する。露光領域の中心線(x=0)上における露
光量を基準としたときの、座標xの位置における露光量
2 (x,φ)(以下、K2を傾斜係数と呼ぶ)は、
【0067】
【数15】 K2(x,φ) = 1/cosα = (1+((∂/∂x)g(x,φ))2)1/2 …(15) となる。式(15)の最右辺は、ビーム断面の中心線が
円弧に沿う場合に限らず、より一般的に変曲点を持たな
い滑らかな曲線に沿う場合にも適用され得る。
【0068】図11は、式(15)の一例を示すグラフ
である。図中の3本の曲線P1〜P3は、それぞれSR光
が図7のP1〜P3の位置を通過する場合に対応する。
【0069】図12は、露光面を照射するSR光のビー
ム断面の一例を示す。SR光の照射位置がP1からP2
移動した場合を考える。照射位置がy軸方向に移動する
と、ビーム断面形状の湾曲率が変化する。従って、露光
領域の中心線(x=0)上における照射位置の移動量L
oと座標xの位置における移動量Lxとは異なる。これ
は、露光位置の移動速度が座標xに依存してばらついて
いることを表している。露光面上の露光量を計算するに
あたって、この移動速度のばらつきを考慮しなければな
らない。揺動角φがdφだけ微小変化したときの、露光
領域の中心線(x=0)上における照射位置の移動量の
微小変化dy0は、式(8)から、
【0070】
【数16】 dy0 = ((∂/∂φ) Fy(0,0,φ) × dφ) …(16) となり、座標xの位置における微小変化dyxは、
【0071】
【数17】 dyx = ((d/dφ)Fyx,0,φ) × dφ) …(17) となる。変形係数K3(x,φ)を、
【0072】
【数18】 K3(x,φ) = dyx/dy0 …(18) と定義すると、式(16)〜(18)から、
【0073】
【数19】 K3(x,φ) = (∂/∂φ)Fyx,0,φ)/(d/dφ)Fy(0,0,φ) …(19) が導き出される。
【0074】図13は、式(19)で表される変形係数
の一例を示すグラフである。図中の3本の曲線P1〜P3
は、それぞれSR光が図7のP1〜P3の位置を通過する
ときに対応する。
【0075】上記考察から、露光面内のx軸方向に関す
る露光量の分布特性は、図9に一例を示す集光係数
1、図11に一例を示す傾斜係数K2、及び図13に一
例を示す変形係数K3の積で表されることがわかる。こ
れらの積を分布係数Kd(x,φ)と定義する。すなわ
ち、
【0076】
【数20】 Kd(x,φ) = K1(x,φ) × K2(x,φ) × K3(x,φ) …(20) である。
【0077】図14は、分布係数Kd(x,φ)の一例
を示すグラフである。図中の3本の曲線P1〜P3は、そ
れぞれSR光が図7のP1〜P3の位置を通過するときに
対応する。分布係数Kd(x,φ)のφ依存性が小さい
場合、すなわち3本の曲線P1〜P3が相互に大きく分離
しない場合には、図5(A)に示すベリリウム薄膜31
によるSR光の減衰量をx軸方向に関して調整すること
により、露光量を均一に近づけ得ることが期待される。
【0078】図14において、揺動角φを変化させたと
きの種々の分布係数Kdのうち平均的なものをFd(x)
とする。例えば、露光すべき領域の中央線(x=0)上
の中点(図6(A)の点G)にSR光の中心光軸が位置
するときのKd(x,φ)をFd(x)とする。このと
き、
【0079】
【数21】Fd(x) = Kd(x,0) …(21) で表される。ベリリウム薄膜を透過する光子数Nは、
【0080】
【数22】N = N0exp(-μt) …(22) となる。ここで、N0はベリリウム薄膜に入射する前の
光子数、μは線吸収係数であり、光子エネルギ(波長)
に依存する。tはベリリウム薄膜中のSR光の光路長で
ある。SR光のエネルギスペクトルは光学系の配置によ
って変化するため、ベリリウム薄膜を透過した後のSR
光の強度を計算するためには、全エネルギスペクトルの
範囲で式(22)を積分する必要がある。ここでは、も
っとマクロな視点で、ベリリウム薄膜通過後のSR光の
強度Pが、式(22)と同様の形式で表されると仮定す
る。すなわち、
【0081】
【数23】P = P0exp(-μ0t) …(23) と仮定する。ここで、P0はベリリウム薄膜通過前のS
R光の強度、μ0は線吸収係数(定数)である。ベリリ
ウム薄膜の厚さをT、SR光のベリリウム薄膜への入射
角をθとする。すなわち、θは、SR光の光軸とその入
射点におけるベリリウム薄膜の法線とのなす角度であ
る。この場合、入射点におけるSR光の通過厚さtは、
【0082】
【数24】t = T/cosθ …(24) となる。分布係数Kd がベリリウム薄膜の減衰効果に見
合うためには、
【0083】
【数25】 (P0exp(-μ0T))/(P0exp(-μ0T/cosθ)) = Fd(x) …(25) が成立するようにすればよい。式(25)を変形する
と、
【0084】
【数26】1/cosθ = 1+1/(μ0T)ln(Fd(x)) …(26) となる。式(26)を満たすような形状のベリリウム膜
を配置することにより、露光面のx軸方向(水平方向)
に関する露光量の不均一性を緩和することができる。
【0085】図15は、式(26)を満たす形状のベリ
リウム膜の一例を示す。湾曲したビーム断面を有するS
R光61が、ベリリウム薄膜31を透過して半導体基板
51の露光面を照射する。SR光61は、その中心光軸
を含む鉛直面に関して面対称な形状を有する。SR光6
1の中心光軸とその中心光軸に直交する水平線とに平行
な仮想平面62を考える。仮想平面62内に、水平方向
をu軸とするuv直交座標系を定義する。ベリリウム薄
膜31は、仮想平面62の法線方向を母線とする柱面に
沿って配置されている。ベリリウム薄膜31の仮想平面
62上への垂直投影像31aの形状を、
【0086】
【数27】v = FBe(u) …(27) とすると、
【0087】
【数28】tanθ = dFBe(u)/du …(28) が成立する。仮想平面62内のu軸は露光面内のx軸に
対応するため、式(28)における変数uを式(26)
における変数xに置き換えることができる。式(26)
と(28)から、
【0088】
【数29】 dFBe(x)/dx = ((1+1/(μ0T) ln(Fd(x)))2-1)1/2 …(29) が得られる。式(29)を積分することにより、ベリリ
ウム薄膜31の好ましい形状を求めることができる。
【0089】上記計算では、ベリリウム薄膜通過後のS
R光の強度の近似式として、式(23)を適用したが、
一般に、
【0090】
【数30】P = H(t) …(30) と表すと、ベリリウム薄膜の好ましい形状は、
【0091】
【数31】 dFBe(x)/dx = (((1/T×H-1(H(T)/Fd(x)))2)-1)1/2 …(31) で表される。ここで、H-1はHの逆関数である。
【0092】図15で説明したようにベリリウム薄膜3
1を、式(29)を満たす形状とすることにより、露光
面のx軸方向に関する露光量の不均一性を緩和すること
ができる。次に、y軸方向に関する露光量の不均一性を
緩和する方法について説明する。露光面内のy軸方向に
関しては、図8に示すSR光強度の不均一性が生じ得
る。図8に示す規格化SR光強度分布を強度係数K
4φ)と定義する。強度係数K4は、
【0093】
【数32】K4(φ)= F1(0,φ)/F1(0,0) …(32) と表される。露光面内のy軸方向に関する露光量の不均
一性は、図8に示すSR光強度の不均一性に加え、SR
光が照射されている領域のy軸方向への移動速度の変動
によっても生じうる。y軸方向への移動速度の変動特性
を、SR光の中心光軸が露光領域の中心点Gを通過する
時点の移動速度で規格化し、スキャン係数K5(φ)で
表す。スキャン係数K5(φ)は、
【0094】
【数33】 K5 = (d/dφ)(Fy(0,0,0))/(d/dφ)(Fy(0,0,φ)) …(33) となる。y軸方向に関する露光量の不均一性は、強度係
数K4(φ)とスキャン係数K5(φ)との積で評価され
る。両者の積を速度係数KS(φ)と定義する。すなわ
ち、
【0095】
【数34】KS(φ) = K4(φ)×K5(φ) …(34) である。速度係数KS(φ)を補償するように反射ミラ
ー15の揺動角速度を揺動角φ、すなわちSR光の入射
角に依存して変化させることにより、露光面内のy軸方
向に関する露光量の不均一性を緩和することができる。
【0096】これまでの計算過程では、SR光の照射領
域を図7に示す湾曲した壁P1〜P3の中心線で代表させ
ており、壁P1〜P3の厚さによる影響を考慮していな
い。また、式(23)も近似式である。さらに、これま
での検討過程では、露光領域の中心線(x=0)上にお
けるSR光の強度を基準にして理論を展開してきた。こ
のため、式(29)を満たすベリリウム薄膜を用い、式
(34)の速度係数KS(φ)を補償するように反射ミ
ラー15を揺動させたとしても、露光領域の中心線から
離れた端部近傍では、露光量の均一化の効果が少ないと
考えられる。露光領域全体として、露光量の均一化の効
果を大きくするために、露光領域の中心線からずれた位
置におけるSR光の強度を基準としてもよい。
【0097】まず、式(29)を用いてベリリウム薄膜
の形状を決定し、式(34)を用いて反射ミラー15の
揺動角速度を決定する。決定されたベリリウム薄膜の形
状及び反射ミラー15の揺動角速度で露光量分布の評価
実験を行い、この評価結果に基づいてベリリウム薄膜の
形状及び反射ミラー15の揺動角速度を少しずつかえて
同様の評価実験もしくは計算によるシミュレーションを
繰り返し行う。このようにして、露光量のばらつきをよ
り少なくすることができるであろう。
【0098】上記他の実施例では、図7のx軸方向に関
するSR光の強度分布を一様にすることを目的としてベ
リリウム薄膜の形状を検討したが、y軸方向に関するS
R光の強度分布を一様にすることを目的としてベリリウ
ム薄膜の形状を好適化してもよい。
【0099】図16を参照して、y軸方向に関するSR
光の強度分布を一様にすることを目的としてベリリウム
薄膜の形状を好適化する方法について説明する。
【0100】図16(A)は、図7に相当するグラフで
あり、壁P1〜P3のy軸上の位置が一致するように各壁
1〜P3をy軸方向に平行移動させたものである。壁P
1〜P3の上辺をxz面へ投影したグラフ(座標x’z’
で表すグラフ)が、図14のグラフに相当する。壁P1
〜P3の上辺をyz面へ投影したグラフを座標y”z”
で表す。
【0101】座標y”z”で示すグラフにおいても、S
R光の強度がy”方向に関して不均一になっている。こ
の不均一性を緩和するためには、上述のx軸方向に関す
る均一化の考察における変数xとyとを置き換えること
により、ベリリウム薄膜の好ましい形状が得られる。
【0102】図16(B)は、図15に対応する図であ
る。図15の場合には、ベリリウム薄膜31の沿う柱面
の母線が仮想平面62に垂直であるが、図16(B)の
場合には、ベリリウム薄膜31が、水平な母線を有する
柱面に沿って配置される。ベリリウム薄膜31を図16
(B)に示すような形状とすることによっても、図15
の場合と同様の効果、すなわち露光面上におけるSR光
の強度分布を一様に近づける効果を得ることができる。
【0103】図14及び図15では、図7に示す壁P1
〜P3をxz面に垂直投影した像に基づいてベリリウム
薄膜の好適な形状を求め、図16では、yz面に垂直投
影した像に基づいてベリリウム薄膜の好適な形状を求め
た。他の投影方法による像に基づいて、ベリリウム薄膜
の好適な形状を求めてもよい。
【0104】図17を参照して、他の投影方法による像
に基づいて、ベリリウム薄膜の好適な形状を求める方法
について説明する。
【0105】図17(A)は、他の投影方法を説明する
ための図であり、図16(A)に対応する。y軸上の原
点からR0の位置に回転軸z’を想定し、xy面内に、
z’軸と交わるR’軸を想定する。壁P1〜P3の上辺
を、回転軸z’を中心としてz’R’面上に回転投影す
る。この回転投影により得られた像P1’〜P3’のR’
依存性を少なくするようにベリリウム薄膜の形状を設定
すればよい。
【0106】R’軸上の位置Rは、xy面内の座標
(x,y)を用いて、
【0107】
【数35】R = (x2+(R0-y)2)1/2 …(35) と表される。SR光強度のばらつきを少なくするには、
Rが変化したときのSR光強度の変動が少なくなるよう
に、ベリリウム薄膜の形状を決定すればよい。
【0108】図17(B)は、ベリリウム薄膜31を透
過するSR光の光路長が、式(35)のRに依存して変
化するようにした場合のベリリウム薄膜31の形状の一
例を示す。SR光の中心光軸と同一鉛直面内に含まれ、
中心光軸に間隔R0 を隔てて平行に配置された回転軸6
3を考える。回転軸63を回転中心とする回転曲面64
に沿うようにバリリウム薄膜を配置する。回転曲面64
の形状は、図17(A)のz’R’面内の曲線P1’〜
3’のR’依存性を緩和するような形状とする。ベリ
リウム薄膜を図17(B)に示すような形状とすること
によっても、図15の場合と同様の効果、すなわち露光
面上におけるSR光の強度分布を一様に近づける効果を
得ることができる。なお、R0を無限大にすると、図1
6(B)に示す場合と同様の形状になる。
【0109】以上、ベリリウム薄膜の好適な形状の例と
して、図15、図16(B)、及び図17(B)の3つ
の場合について説明した。いずれの場合も、反射ミラー
15を揺動させたときの露光面内における露光量の水平
方向に関する分布が、ベリリウム薄膜によるシンクロト
ロン放射光の減衰を考慮しない場合におけるそれよりも
均一に近づくように、ベリリウム薄膜によるシンクロト
ロン放射光の減衰量がその面内で変化している。
【0110】図15の場合は、ベリリウム薄膜が一様の
厚さを有する。さらに、ベリリウム薄膜と、シンクロト
ロン放射光の中心光軸及びその中心光軸に直交する水平
方向の直線の双方を含む平面との交線が湾曲するよう
に、ベリリウム薄膜の形状が規定されている。
【0111】図16(B)の場合は、ベリリウム薄膜
と、シンクロトロン放射光の中心光軸を含む鉛直面との
交線が湾曲するように、ベリリウム薄膜の形状が規定さ
れている。
【0112】図15、図16(B)、図17(B)のう
ち、いずれがベリリウム薄膜の最適な形状であるかを決
定することは簡単ではない。露光面の全域にわたってS
R光の強度を均一に近づけるためには、分布係数のばら
つきを少なくすればよい。図15の形状とする場合の分
布係数は図14に示されている。図16(B)の形状と
する場合の分布係数は、図16(A)のy”z”座標上
に示されている。図17(B)の形状とする場合の分布
係数は、図17(A)のR’z’座標上に示されてい
る。
【0113】図18は、最小自乗法を用いて分布係数の
平均を与える曲線を求め、その平均を用いて分布係数の
分散を計算した結果を示す。横軸は図17(A)のR0
を表し、縦軸は分布係数の分散を、R0を∞としたとき
を1とした相対値で表す。なお、光源と反射ミラー15
の入射点との距離を3m、反射ミラー15と露光面との
距離を2mとし、反射ミラー15を、主半径110m
m、副半径286m、入射角88.8°とした。なお、
グラフ中の直線aは、図15の場合の分散を示す。
【0114】R0を変化させることにより、分布係数の
分散が大きく変化することがわかる。R0を∞及び−∞
としたときが、図16(B)の場合に相当する。R0
SR光のビーム断面の曲率半径に近づくと、分散が発散
する。ベリリウム薄膜の形状として、分布係数の分散が
小さくなるような形状を採用することが好ましい。ただ
し、ベリリウム薄膜の湾曲の程度が大きくなると、露光
量の分布が、SR光のビーム幅(図7の壁P1〜P3の各
々の厚さWに相当)の影響を受けやすくなる。
【0115】また、図17(B)に示すようなおわん型
曲面とする場合には、絞り加工による厚さのばらつき等
が発生しやすくなる。図15、図16(B)、及び図1
7(B)のいずれの形状を採用するかは、分散、加工の
し易さ等を総合的に判断して決定することが好ましい。
【0116】上記実施例では、ベリリウム薄膜の厚さを
一定とし、ベリリウム薄膜を湾曲等させることにより、
SR光の減衰率に分布を持たせる場合を説明した。ベリ
リウム膜の厚さに分布を持たせて、SR光の透過光路長
を好適化してもよい。
【0117】図19は、厚さ分布を持たせたベリリウム
膜の一例を示す一部破断斜視図である。SR光が透過す
る領域に、SR光のビーム断面に対応した薄肉部32が
設けられている。薄肉部32の厚さは、図14、図16
(A)、図17(A)に示す分布係数の変化を補償する
ような厚さとされる。
【0118】なお、ベリリウム膜の加工は、通常の精密
切削加工により行うことができる。その他、放電加工、
電解研磨等によっても行うことができる。この場合、窓
フランジ37への接合面が平面になるため、Oリング等
を用いて容易に真空封止を行うことができる。
【0119】図9では、薄肉部32の形状を把握しやす
くするために、階段状に加工した場合を示したが、薄肉
部の表面をなめらかな3次元曲面に加工することも可能
である。
【0120】図5(A)〜図19では、SR光の中心光
軸とベリリウム薄膜31との相対位置関係が変動しない
ように、出射側真空ダクト30を揺動させる場合を説明
した。この場合、SR光の中心光軸は、常に、ベリリウ
ム薄膜の特定の一点を通過する。
【0121】図20(A)は、SR光の中心光軸とベリ
リウム薄膜31との相対位置関係が変動しない場合の、
ベリリウム薄膜31の面内におけるSR光の透過領域を
示す。曲線P1〜P3は、それぞれ図6(A)の曲面P1
〜P3に相当する領域をSR光が照射している場合に対
応する。
【0122】SR光の中心光軸の上下方向の振れの振幅
とベリリウム薄膜の移動の振幅とを異ならせると、ベリ
リウム薄膜面内においてSR光の透過位置が変動する。
【0123】図20(B)は、SR光の透過位置が変動
する様子を示す。曲線P1〜P3は、それぞれ図6(A)
の曲面P1〜P3に相当する領域をSR光が照射している
場合に対応する。曲線P1〜P3に対応する位置のバリリ
ウム薄膜の厚さに分布を持たせることにより、式(3
4)に示す速度係数KS の変化を補償することができ
る。
【0124】図21は、速度係数KSの変化を補償する
ことができるベリリウム薄膜の一例を示す部分破断斜視
図である。図19の場合に比べて、薄肉部32が、SR
光の振れる方向に広がっている。SR光が透過する領域
は、反射ミラー15の揺動に応じてこの薄肉部32内を
移動する。薄肉部32は、反射ミラー15が揺動したと
きの速度係数KSの変化を補償するような厚さ分布とさ
れている。
【0125】図5(A)〜図19の実施例では、反射ミ
ラー15の揺動角速度を揺動角φに応じて変化させるこ
とにより、速度係数KSの変化を補償した。ベリリウム
薄膜を図21のような構成とすることにより、反射ミラ
ー15の揺動角速度を一定にしたまま、速度係数KS
変化を補償することができる。この場合、ミラー揺動機
構16の構成を簡素化することが可能になる。
【0126】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
SR光が透過する薄膜を湾曲させることにより、あるい
は厚さに分布を持たせることにより、透過位置に依存し
て透過光路長を異ならせることができる。透過光路長を
異ならせ、SR光の減衰率に、その光軸に垂直な断面内
に関して分布を持たせることができる。本発明をSR光
を用いたX線露光に適用する場合、ビーム断面内におけ
るSR光の強度のばらつきを補償するようにSR光を減
衰させることにより、均一な露光が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるX線露光装置の概略図で
ある。
【図2】図1に示すX線露光装置のSR光出射端の平面
図、断面図、及び側面図である。
【図3】図3(A)は、露光面におけるSR光照射領域
を形状を示す図、図3(B)は、図2のベリリウム薄膜
とSR光軸との関係を示す図である。
【図4】露光面内の露光量のばらつきを示すグラフであ
る。
【図5】本発明の他の実施例によるX線露光装置の概略
図、及び窓フランジ37の正面図である。
【図6】図6(A)は、露光面上におけるSR光の強度
分布を示すグラフ、図6(B)は、露光量の分布を示す
グラフである。
【図7】図6(A)の各強度分布の断面を長方形近似し
たグラフである。
【図8】図7のy軸方向の規格化SR光強度の分布を示
すグラフである。
【図9】集光係数の分布を示すグラフである。
【図10】SR光の照射領域の形状を示す概略図であ
る。
【図11】傾斜係数の分布を示すグラフである。
【図12】SR光の照射領域の形状の変化を説明するた
めの概略図である。
【図13】変形係数の分布を示すグラフである。
【図14】分布係数の分布を示すグラフである。
【図15】ベリリウム薄膜の形状の一例を説明するため
の概略斜視図である。
【図16】図16(A)は、SR光の強度分布を示すグ
ラフ、図16(B)は、ベリリウム薄膜の形状の一例を
説明するための概略斜視図である。
【図17】図17(A)は、SR光の強度分布を示すグ
ラフ、図17(B)は、ベリリウム薄膜の形状の一例を
説明するための概略斜視図である。
【図18】分布係数の分散を示すグラフである。
【図19】ベリリウム薄膜の一構成例を示す部分破断斜
視図である。
【図20】ベリリウム薄膜の面内におけるSR光透過領
域の移動の様子を説明するための概略図である。
【図21】ベリリウム薄膜の一構成例を示す部分破断斜
視図である。
【符号の説明】
1 SR光発生部 2 真空容器 3 周回軌道 4 取出口 10 SR光伝搬部 11 入射側真空ダクト 12 ミラー収納筐体 13 入射孔 14 出射孔 15 ミラー 16 揺動機構 17 真空ベローズ 18 真空ダクト駆動機構 19 基台 30 出射側真空ダクト 31 ベリリウム薄膜 32 薄肉部 37 窓フランジ 37a 窓 38 窓枠 50 X線ステッパ 51 半導体基板 52 露光マスク 60 SR光照射領域 61 SR光 62 仮想平面 63 回転軸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光軸に垂直な断面において、第1の方向
    よりも、それに直交する第2の方向に長く、かつ湾曲し
    ているビーム断面形状を有するシンクロトロン放射光が
    伝搬する光学系と、 前記シンクロトロン放射光の光路内に配置され、該シン
    クロトロン放射光を減衰させる材料からなる薄膜が取り
    付けられた窓であって、該薄膜を透過するシンクロトロ
    ン放射光の該薄膜内の光路長が、その面内で一様ではな
    いように構成され、該窓の形状が前記ビーム断面形状に
    整合した細長い形状である前記窓とを有するシンクロト
    ロン放射光伝搬装置。
  2. 【請求項2】 前記薄膜が一様の厚さを有し、かつ該薄
    膜と、前記シンクロトロン放射光の光軸方向及び前記第
    2の方向の双方に平行な平面との交線が湾曲している請
    求項1に記載のシンクロトロン放射光伝搬装置。
  3. 【請求項3】 前記薄膜が一様の厚さを有し、かつ該薄
    膜と、前記シンクロトロン放射光の光軸方向及び前記第
    1の方向の双方に平行な平面との交線が湾曲している請
    求項1または2に記載のシンクロトロン放射光伝搬装
    置。
  4. 【請求項4】 光軸に垂直な断面において、第1の方向
    よりも、それに直交する第2の方向に長いビーム断面形
    状を有するシンクロトロン放射光が伝搬する光学系と、 前記シンクロトロン放射光の中心光軸が前記第1の方向
    に遥動するように、該シンクロトロン放射光の進行方向
    を変化させる光軸遥動機構と、 前記シンクロトロン放射光の光路のうち、該シンクロト
    ロン放射光の光軸が遥動される部分に配置され、該シン
    クロトロン放射光を減衰させる材料からなる薄膜であっ
    て、該薄膜の、前記遥動方向に関する厚さ分布が一様で
    はない前記薄膜とを有するシンクロトロン放射光伝搬装
    置。
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