JP2000098542A - 色相角が維持されている不透明透過型ディスプレ―材料 - Google Patents

色相角が維持されている不透明透過型ディスプレ―材料

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JP2000098542A JP11263892A JP26389299A JP2000098542A JP 2000098542 A JP2000098542 A JP 2000098542A JP 11263892 A JP11263892 A JP 11263892A JP 26389299 A JP26389299 A JP 26389299A JP 2000098542 A JP2000098542 A JP 2000098542A
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ドミニク キャンプ アルフォンス
Peter Thomas Aylward
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半透明支持体に塗布した場合に色素の色相角
への悪影響がより小さく、同時に、光源の発光素子が見
る者にはっきりとわからないように、照明光源の有効な
拡散を提供する写真ディスプレー材料に対する要求が存
在する。 【解決手段】 本発明は、半透明ベース並びに少なくと
も1種のハロゲン化銀乳剤層および色素形成カプラーを
含む色形成層を含んでなる写真要素であって、前記ベー
スが、ボイドを含有している透明高分子シートを含む少
なくとも1種の高分子シートを含んでなるけれども、前
記半透明シートに白色光反射顔料を実質的に含まず、か
つ前記半透明シートが15%〜85%の光透過率を有する写
真要素に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真材料に関する。
好ましい態様において、本発明は写真ディスプレー画像
に関する。
【0002】
【従来の技術】写真ディスプレー材料が、広告、並びに
写真画像の装飾的ディスプレーに利用されることは当該
技術分野において知られている。これらのディスプレー
材料は広告に使用されるので、当該ディスプレー材料の
画質は、広告されている製品またはサービスの良質なメ
ッセージを表現する点で重要である。さらに、写真ディ
スプレー画像は、そのディスプレー材料およびその伝達
しようとするメッセージに消費者の注意を引きつけよう
とするものであるので、インパクトの強いものであるこ
とが必要である。ディスプレー材料の典型的な用途とし
ては、公共の場、例えば空港、バス、スポーツのスタジ
アムにおける製品およびサービスの広告、映画ポスタ
ー、並びに芸術写真が含まれる。良質の高インパクト写
真ディスプレー材料の望ましい特性は、僅かな青濃度最
小値、耐久性、鮮鋭性、および平坦性である。ディスプ
レー材料は代替のディスプレー材料技術、主に紙の上の
リソグラフ画像と比較して高価になりがちであるので、
コストもまた重要である。伝統的なカラーペーパーは、
取扱い、写真処理、および大判画像のディスプレーにお
ける耐久性が欠如しているので、ディスプレー材料には
望ましくない。
【0003】カラーペーパーの形成において、そのベー
ス紙にはポリマー、概してポリエチレンの層を適用する
ことが知られている。この層は、紙に耐水性を提供する
のに役立つと共に、その上に感光性層を形成するための
平滑な表面を提供する。ポリエチレン層の適当なレイダ
ウンおよび冷却を確保するには十分な注意力と費用とを
必要とするので、好適な平滑面を形成することは困難で
ある。好適な平滑面の形成により、改良されたベースの
反射特性が従来の材料よりもさらに鏡面となるにつれて
当該ディスプレー材料はより明らかな(黒の)シマリを
有することになるので、画質も改良されるであろう。白
色はさらに白く、黒色はさらに黒くなるので、その間の
範囲がより広いものとなり、それゆえにコントラストが
高められる。さらに信頼性が高く、しかも改良されたデ
ィスプレー材料の表面をさらに安価に形成することがで
きれば望ましいであろう。
【0004】従来技術の反射型印画紙は、蛍光増白剤お
よび他の白色化材料、並びに色味剤のためのキャリアー
層としても役立つ溶融押出ポリエチレン層を含んでな
る。蛍光増白剤、白色化材料および青の色味剤をポリエ
チレンの単一溶融押出層中に分散させるのではなく、デ
ィスプレー材料の表面のより近くに集中させることがで
きれば望ましく、それらは光学的にさらに有効なものに
なるであろう。
【0005】ディフューザーが導入されている従来技術
の透過型写真ディスプレー材料は、ゼラチンを塗布した
透明ポリエステルシートまたは白色顔料を含有している
ゼラチンを塗布した透明ポリエステルシートの上に感光
性ハロゲン化銀乳剤が直接塗布されている。導入されて
いるディフューザーはバックライト式透過型ディスプレ
ー材料に使用される光源を拡散させるのに必要である。
光ディフューザーが無いと、光源が画像の品質を低下さ
せるであろう。概して、白色顔料は像形成層の最底部層
に塗布されるかまたはポリエステルシートに添加され
る。写真乳剤用のバインダーとして使用されるゼラチン
のために感光性ハロゲン化銀乳剤は黄色になりがちであ
るので、現像された画像の最小濃度領域は黄色く見える
ことが多いであろう。画像を見る大衆は画質を白色の最
小濃度と関連付けるため、黄色の最小濃度は透過型ディ
スプレー材料の商業的価値を下げる。青に色味付けされ
た最小濃度は大衆に知覚的に好まれるので、ディフュー
ザーが導入されている透過型ディスプレー材料が青の色
合いを有する最小濃度を有することができれば望ましい
であろう。
【0006】ディフューザーが導入されている従来技術
の半透明写真ディスプレー材料(透過型および反射型デ
ィスプレー材料を含む)は概していくらかの量の白色顔
料を含有しており、透過型ディスプレー材料の場合には
背面から照らしている光源を拡散させるかまたは反射型
ディスプレー材料の場合には望ましい反射特性を提供す
る。ディスプレー材料に白色顔料を使用すると確かに望
ましい拡散および反射特性を提供するけれども、白色顔
料は現像された写真ディスプレー画像における色素の色
相角を変化させる傾向がある。色素の色相角は、色スペ
クトルの領域に関連付けることができる色覚の特性のC
IELAB表色系における尺度である。カラー写真シス
テムについては、イエロー、マゼンタ、およびシアンの
色素についての知覚的に好まれる色素の色相角が存在す
る。白色顔料を含有している支持体に写真色素を塗布す
ると、透明な支持体に塗布された色素の色相角と比較し
て、現像された画像の色相角が変化するということが見
出されている。白色顔料の存在に起因する写真色素の色
相角の変化により、白色顔料が実質的に無い透明ベース
に塗布された色素セットと比較して、当該色素の品質レ
ベルが低下することが多い。半透明支持体材料に塗布さ
れ、現像された写真色素セットが透明支持体に塗布され
た同じ色素セットと大して変わらない色相角を有するな
らば望ましいであろう。
【0007】従来技術の写真ディスプレー材料は支持体
のベースとしてポリエステルを使用する。概してポリエ
ステル支持体は、必要とされる剛性を備えるには 150〜
250μmの厚みとなる。ベース材料が薄いほどコストも
低くなり、ロールの重量が減少し、その直径も小さくな
るので、効率の良いロールの取り扱いが可能となるであ
ろう。必要とされる剛性を有するけれども、コストを低
下させ、かつロールの取扱効率を向上させるように、よ
り薄いベース材料を使用することが望ましいであろう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】半透明支持体に塗布し
た場合に色素色相角への悪影響がより小さく、同時に、
光源の発光素子が見る者にはっきりとわからないよう
に、照明光源の有効な拡散を提供する写真ディスプレー
材料に対する要求が存在する。
【0009】改良された写真ディスプレー材料を提供す
ることが本発明の目的である。
【0010】色相角が維持された半透明の写真ディスプ
レー材料を提供することがもう1つの目的である。
【0011】コストが低く、鮮鋭な耐久性画像を提供す
るディスプレー材料を提供することがさらなる目的であ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のこれらの目的お
よびその他の目的は、ベース、少なくとも1種のハロゲ
ン化銀乳剤層および色素形成カプラーを含む色形成層を
含んでなる写真要素であって、前記ベースが、ボイドを
含有している透明ポリマーを含む半透明高分子シートを
含んでなり、前記半透明シートが15%〜85%の光透過率
を有する写真要素によって達成される。
【0013】もう1つの態様においては、本発明は、少
なくとも部分的に開口しているかまたは透明な1つの側
面、当該開口側面または透明側面に向けられた光を提供
するのに適合した光源、ベース、少なくとも1種のハロ
ゲン化銀乳剤層と色素形成カプラーとの反応によって形
成される色の層を含む写真要素を懸架するための手段を
備えた容器を含んでなる表示装置であって、前記ベース
が、ボイドを含有している透明ポリマーを含む半透明高
分子シートを含んでなるけれども、前記半透明シートに
白色光反射顔料を実質的に含まず、かつ前記半透明シー
トが15%〜85%の光透過率を有し、少なくとも部分的に
開口している前記1つの側面に懸架されている表示装置
によって達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は従来技術の写真ディスプ
レー材料およびディスプレー材料の像形成方法に勝る無
数の利点を有する。本発明のディスプレー材料は非常に
有効に光を拡散させると同時に高い割合の光を透過させ
る。これらの半透明ディスプレー材料はまた、透明ベー
スに塗布された場合の、現像された写真色素の色相角を
維持する。半透明高分子シートは従来技術の材料と比較
して薄く、濃度も低いので、これらの材料はコストが低
い。それらはまた、消滅層(annihilation layer)がまっ
たく必要ではないので利用されるゼラチンがより少ない
ことからもコストが低い。透過型ディスプレー材料の形
成には、利用される照明電球の個々の素子が表示画像の
観察者に見えないほど良好に光を拡散するディスプレー
材料が必要とされる。他方では、光が有効に透過してデ
ィスプレー画像を明るく照らすことが必要である。本発
明により、より大量の照明光をディスプレー照明として
実際に利用し、同時に、光源が観察者にはっきりとわか
らないように非常に有効に光源を拡散させることが可能
となる。本発明のディスプレー材料は、個々の光源が見
えるのを防ぐのに多量の光散乱顔料を必要とするために
やや黄色く見える傾向がある従来技術の材料よりも、観
察者にとって、より白く見えるであろう。これらの高濃
度の顔料は観察者には黄色く見え、結果的に望まれるよ
りも暗い画像となる。これらの利点およびその他の利点
は下記の詳細な説明から明らかであろう。
【0015】透明高分子支持体にラミネートされた二軸
配向ポリオレフィンシートを含む態様に関する場合に、
本明細書において使用される「頂部」、「上部」、「乳
剤側」、および「表」という用語は、写真要素の、二軸
配向ポリオレフィンシートを担持している面または面方
向を意味する。透明高分子支持体にラミネートされた二
軸配向ポリオレフィンシートを含む態様に関する場合、
「底部」、「下部」、および「裏」という用語は、写真
要素の、二軸配向ポリオレフィンシートを担持している
面とは反対側の面または面方向を意味する。ラミネート
ベースを有していない要素については、「頂部」、「上
部」、および「乳剤側」という用語は、乳剤層を担持し
ている面または面方向を意味する。ベースがラミネート
されたものではない半透明シートは両面塗りであっても
よく、このような両面塗り要素については、「頂部」、
「上部」、または「表側」という用語は、露光が起こる
側である。本明細書において使用される「透明」という
用語は、大した偏りまたは吸収を伴わずに輻射線を通過
させる能力を意味する。本発明では、「透明」材料と
は、90%を超える分光透過率を有する材料として定義す
る。本明細書において使用されている「半透明」材料と
いう用語は、15%〜85%の分光透過率を有する材料とし
て定義する。本明細書において使用されている「反射
式」材料という用語は、15%未満の分光透過率を有する
材料として定義する。写真要素についての分光透過率は
入射出力に対する透過出力の比であり、以下のように百
分率として表す。 TRGB =10-D× 100 上式中、DはX-Rite 310型(または同等品)写真透過濃
度計によって測定された赤、緑、および青のステータス
A透過濃度応答の平均値である。本明細書において使用
されている「両面塗り」という用語は、像形成支持体の
頂部側および底部側に感光性ハロゲン化銀塗膜があるこ
とを意味する。
【0016】かなりの量の白色顔料、例えばTiO2
含有しているベース上で写真色素が現像されると、透明
ベース上で現像された同じ色素と比較して写真色素の色
相角が変化することがあることが見出された。一般的に
使用されている白色顔料、例えばTiO2 はベースの光
学的性質に悪影響を及ぼし、写真色素の性状または固有
色相角を変化させる。透明支持体と白色顔料含有支持体
との間で観察される色素色相の変化はかなり大きいこと
がある。支持体中に使用される白色顔料の量によって
は、10°にも及ぶ色素色相変化が測定された。色素色相
が10°も変化すると、その色素色相が知覚的に好ましく
ない領域に入るので望ましくない。例えば、98°の黄色
色素色相角は「緑黄色」にあたり、「赤黄色」にあたる
92°の黄色色素色相角よりも知覚的に好ましい。さら
に、この「緑黄色」はディスプレー材料により多くの注
意を引きつけるので、見る者の注意を引きつけるという
点で「赤黄色」よりも有効である。
【0017】本発明のディスプレー材料には、ディスプ
レー光源が観察者にはっきりとわからないように、いく
らかのレベルの光散乱が必要とされる。従来技術のディ
スプレー材料は、乳剤の底部層に塗布されるかまたはベ
ース材料に導入された白色顔料を使用して光を拡散す
る。必要量のディスプレー光拡散を提供し、かつ色素色
相を維持するには、像形成要素から白色顔料を除去する
のが望ましい。これは、ディスプレーベース材料に多く
の空気/ポリマーの界面を導入することによって、拡散
特性を損なうことなく達成された。所望の光透過レベル
によって空気ボイドの大きさおよびボイド分布を変更す
ることができるミクロボイド化ポリオレフィンおよびポ
リエステルを使用することにより、光の使用を有効に抑
え、写真色素の色素色相角を維持することができる。
【0018】本発明には、半透明ベース材料の3つの態
様が記載されている。(1)透明高分子ベースにラミネ
ートされたミクロボイド化二軸配向ポリオレフィンシー
ト、(2)一体型複合二軸配向多層ポリオレフィンシー
ト、および(3)一体型複合配向多層ポリエステルシー
ト。次に、これらのベース材料の頂部面または頂部およ
び底部の両面(両面塗り)のいずれかに感光性ハロゲン
化銀乳剤を塗布し、露光後に典型的な湿式写真化学を使
用して処理する。
【0019】分光透過率は材料を透過する光エネルギー
の量である。写真要素についての分光透過率は入射出力
に対する透過出力の比であり、以下のように百分率とし
て表す。 TRGB =10-D× 100 上式中、DはX-Rite 310型(または同等品)写真透過濃
度計によって測定された赤、緑、および青のステータス
A透過濃度応答の平均値である。透過率が高いほど、材
料が不透明ではなくなる。ディフューザーが導入されて
いる透過型ディスプレー材料については、画像の品質
は、その画像から観察者の目に反射される光の量に関連
している。分光透過率が低いディスプレー画像では、画
像を十分に照らすことができず、画質の知覚的損失を生
ずる。本発明の半透明シートの好ましい分光透過率は15
%〜85%である。分光透過率が90%を超える半透明高分
子シートは照明光源の発光素子を十分に拡散せず、結果
として、画像の商業的価値をかなり低下させる。ポリマ
ーボイドの使用によって15%未満の分光透過率を得るの
は難しい。
【0020】本発明の半透明高分子シートのもっとも好
ましい分光透過率は40%〜85%である。これは、この範
囲の分光透過率により、照明光源が画像を適当に照らす
ことができるからである。40%〜85%の分光透過率は従
来技術の透過型材料にはよくあることであり、現存する
透過型フレームで良好に機能する。
【0021】本発明の半透明高分子ベースは、当該ベー
スの頂部面および底部面に適用された像形成層を有して
いてもよい。この両面塗り像形成層により、50秒の現像
時間を維持したままで、色素濃度を増大させることがで
きる。従来技術の透過型ディスプレー材料は、高品質透
過型ディスプレー画像に必要とされる色素濃度を得るた
めに、概して頂部面のハロゲン化銀乳剤付着量が多くな
っている。この高い乳剤付着量のために概して 110秒の
現像時間が必要とされる。本発明の50秒の現像時間によ
り商業上の現像ラボの効率がかなり改良される。
【0022】本発明の写真要素については、露光および
現像後の色相角における好ましい変化は、実質的に透明
なベースに塗布され、露光され、そして現像された同じ
色素の色相角から5°以下である。色素色相角は写真要
素に使用されているイエロー、マゼンタ、およびシアン
の色素の色合いを表す。各々の色素は知覚的に好まれる
色素色相を有するので、色素色相は重要である。知覚的
に好まれるイエロー、マゼンタ、またはシアンの色素色
相角から大きく逸脱すると、透過型ディスプレーについ
ての知覚画質の損失を生ずることがある。6°を超える
色相角変化は、目的とする角から色素色相が離れること
によって色素の効力を減少させることがあるので望まし
くない。例えば、色相角が98°のイエロー(緑黄色)は
色相角が92°(赤黄色)の黄色色素よりも知覚的に好ま
しい。
【0023】本発明のディスプレー材料は高品質であ
り、反射型写真画像と比較して改良された色素色相角を
有するので、本発明のディスプレー材料は多くの利点を
も消費者にもたらす。ディスプレー材料を保持し、この
ディスプレー材料を照明光源で照らすディスプレー装置
を使用すれば、本発明のディスプレー材料を家庭で見る
ことが可能である。これらのディスプレー材料は消費者
に改良された色相角、鮮鋭な画像、平坦な画像、および
光沢度の高い画像を提供する。ディスプレー材料は照ら
されるので、これらのディスプレー材料は周囲の照明条
件にかかわりなく見ることができる。
【0024】透明高分子シートにラミネートされた二軸
配向ポリオレフィンシートを含んでなる本発明の態様
(1)には、ミクロボイド化複合二軸配向ポリオレフィ
ンシートが好ましい。これは、TiO2 を使用すること
なくボイドが不透明度を付与するからである。ミクロボ
イド化複合配向シートは、コアと表面層とを共押出し
て、続いて二軸配向させて、それにより、コア層中に含
有されているボイド開始材料の周りにボイドを形成する
ことによって製造するのが便利である。このような複合
シートは、例えば、米国特許第 4,377,616号、同 4,75
8,462号、および同 4,632,869号の各明細書に開示され
ている。ラミネートのベースが透明であるので、態様
(1)のラミネートの光透過率は、透明シートにラミネ
ートされたボイド化二軸配向シートの光透過率と実質的
に同じである。
【0025】好ましい複合シートのコアはシートの全厚
の15〜95%、好ましくは全厚の30〜85%であるべきであ
る。従って、非ボイド化表皮層(複数であってもよい)
はシートの5〜85%、好ましくは厚みの15〜70%である
べきである。
【0026】複合シートの密度(比重)は、「中実密度
のパ−セント」で表すと、以下のように算出され、 45%〜 100%、好ましくは67〜 100%であるべきであ
る。中実密度のパーセントが67%未満になると、引張強
さの低下のために複合シートの加工性が低下し、物理的
損傷をより受け易くなる。
【0027】複合シートの全厚は12〜 100μm、好まし
くは20〜70μmの範囲とすることができる。20μm未満
では、ミクロボイド化シートは、支持体固有の非平坦性
を最小化するのに十分厚くはなく、製造するのがさらに
困難になるであろう。70μmを超える厚みでは、表面の
平滑性または機械的性質のいずれについても改良がほと
んど見られないので、余分の材料に起因するコストのさ
らなる増加を正当化する理由は殆ど無い。
【0028】本明細書で使用される「ボイド」は、添加
された固体および液体が無いこと(「ボイド」は気体を
含有していることが多い)を意味する。完成パッケージ
ングシートコアに残留するボイド開始粒子は、所望の形
状および大きさのボイドを生ずるには、直径は 0.1〜10
μmであり、好ましくは形状が丸いものであるべきであ
る。ボイドの大きさはまた縦方向および横方向への配向
度にも依存する。理想的には、ボイドは、対向し、かつ
縁が接触している2つの凹型の円板によって規定される
形状をとるであろう。換言すれば、ボイドはレンズ状ま
たは両凸の形状を有する傾向がある。ボイドは、2つの
主次元がシートの縦方向および横方向に並ぶように配向
させられる。Z方向軸は副次元であり、おおよそボイド
化粒子の断面直径の大きさである。これらのボイドは一
般に独立気泡になる傾向があり、従って、そこを通って
気体または液体が通り抜けることができるような、ボイ
ド化コアの一方の側面から他の側面へと開いている経路
は事実上存在しない。
【0029】ボイド開始材料は種々の材料から選ぶこと
ができ、コアマトリックスポリマーの重量に対して約5
〜50重量%の量が存在すべきである。好ましくは、ボイ
ド開始材料は高分子材料を含んでなる。高分子材料を使
用する場合、その高分子材料は、コアマトリックスの製
造に用いるポリマーと溶融混合することができ、かつ懸
濁液を冷却するにつれて分散球状粒子を形成することが
できるポリマーであってもよい。これらの例には、ポリ
プロピレン中に分散されたナイロン、ポリプロピレン中
のポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテ
レフタレート中に分散されたポリプロピレンが挙げられ
る。ポリマーを予め造形し、マトリックスポリマー中に
配合する場合、重要な特性は粒子の大きさおよび形状で
ある。球体が好ましく、中空または中実であることがで
きる。これらの球体は、一般式がAr−C(R)=CH
2 であるアルケニル芳香族化合物(式中、Arは芳香族
炭化水素ラジカル、またはベンゼン系列の芳香族ハロ炭
化水素ラジカルを表し、Rは水素またはメチルラジカル
である);アクリレートタイプのモノマー、例えば式C
2 =C(R’)−C(O)(OR)(式中、Rは水素
および約1〜12個の炭素原子を含有しているアルキルラ
ジカルからなる群より選ばれ、R’は水素およびメチル
からなる群より選ばれる)のモノマー;塩化ビニルおよ
び塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよび塩化ビニ
ル、臭化ビニル、式CH2 =CH(O)COR(式中、
Rは2〜18個の炭素原子を含有しているアルキルラジカ
ルである)を有するビニルエステルのコポリマー;アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マ
レイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テ
レフタル酸およびジアルキルテレフタル酸もしくはその
エステル形成性誘導体を、HO(CH2 n OH(式
中、nは2〜10の範囲内にある整数である)系列のグリ
コールと反応させることによって調製され、反応性オレ
フィン系結合をポリマー分子内に有する合成ポリエステ
ル樹脂(上述のポリエステルには、反応性オレフィン系
不飽和を有する第二の酸もしくはそのエステルおよびそ
れらの混合物が共重合されて、その中に20重量%以下含
まれている)からなる群より選ばれたものである架橋ポ
リマーから製造することができ、架橋剤は、ジビニルベ
ンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、フマ
ル酸ジアリル、フタル酸ジアリルおよびそれらの混合物
からなる群より選ばれる。
【0030】架橋ポリマーを製造するための典型的なモ
ノマーの例には、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリ
ルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、エ
チレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、
酢酸ビニル、アクリル酸メチル、ビニルベンジルクロラ
イド、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼ
ン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニル
トルエンなどが含まれる。好ましくは、架橋ポリマーは
ポリスチレンまたはポリメタクリル酸メチルである。も
っとも好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンであ
り、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0031】当該技術分野において周知の方法では、ブ
ロードな粒径分布を特徴とする、大きさが不均一な粒子
が得られる。元々の粒径分布の範囲にわたるビーズを篩
分けすることによって、得られたビーズを分級すること
ができる。他の方法、例えば懸濁重合および限定凝集に
より、大きさが非常に均一な粒子が直接得られる。
【0032】ボイド開始材料に薬剤を塗布して、ボイド
生成を促進してもよい。好適な薬剤または滑剤には、コ
ロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、並びに金属酸化
物、例えば酸化スズおよび酸化アルミニウムが含まれ
る。好ましい薬剤はコロイド状のシリカおよびアルミナ
であり、もっとも好ましくはシリカである。薬剤塗膜を
有する架橋ポリマーは当該技術分野において周知の手順
によって調製することができる。例えば、従来の懸濁重
合法であって、当該薬剤をその懸濁液に添加するものが
好ましい。薬剤としては、コロイド状シリカが好まし
い。
【0033】ボイド開始粒子は、中実または中空のガラ
ス球、金属もしくはセラミックのビーズ、または無機粒
子、例えばクレー、タルク、硫酸バリウム、および炭酸
カルシウムなどの無機球体であってもよい。重要なこと
は、これらの材料がコアマトリックスポリマーと化学的
に反応して以下の問題の1つ以上を引き起すことがない
ことである。(a)マトリックスポリマーの結晶化動力
学が変化して配向させるのが困難になること、(b)コ
アマトリックスポリマーの分解、(c)ボイド開始粒子
の破壊、(d)ボイド開始粒子のマトリックスポリマー
への接着、または(e)望ましくない反応生成物、例え
ば毒性のもしくは高度に着色した部分の発生。ボイド開
始材料は写真活性のあるものであるべきではなく、また
は二軸配向ポリオレフィンフィルムが利用されている写
真要素の性能を低下させるものであるべきではない。
【0034】乳剤側の頂部面上の二軸配向シートについ
ては、好ましい複合シートの二軸配向シートおよびコア
マトリックスポリマーとして好適な熱可塑性ポリマーの
類にはポリオレフィンが含まれる。好適なポリオレフィ
ンには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペ
ンテン、ポリスチレン、ポリブチレンおよびそれらの混
合物が含まれる。プロピレンとエチレン、例えばヘキセ
ン、ブテンおよびオクテンとのコポリマーなどのポリオ
レフィンコポリマーもまた有用である。コストが低く、
そして望ましい強度特性を有するので、ポリプロピレン
が好ましい。
【0035】複合シートの非ボイド化表皮層は、コアマ
トリックスについて上記に列挙したものと同じ高分子材
料から製造することができる。複合シートは、コアマト
リックスと同じ高分子材料の表皮層(複数であってもよ
い)を用いて製造することができ、またはコアマトリッ
クスとは異なる高分子組成物の表皮層(複数であっても
よい)を用いて製造することができる。
【0036】最上の表皮層または露出表面層の全厚は、
0.20〜 1.5μm、好ましくは 0.5〜1.0μmであるべき
である。 0.5μm未満では、共押出された表皮層に固有
の非平坦性により許容しがたい色変動が発生することに
なる。 1.0μmを超える表皮層厚みでは、写真光学特
性、例えば画像解像度が低下する。 1.0μmを超える厚
みではまた、凝塊、カラー顔料の分散不良、または汚染
などの汚染のために濾過すべき材料の容積が大きくな
る。現行の乳剤調合物はポリプロピレンおよび高密度ポ
リエチレンなどの他の材料と比較して低密度ポリエチレ
ンに良好に接着するため、密度が0.88〜0.94g/cm3 の低
密度ポリエチレンが頂部表皮層に好ましい材料である。
【0037】最上の表皮層に添加剤を添加して、像形成
要素の色を変化させてもよい。写真用途には、僅かに青
味がかった白色ベースが好ましい。当該技術分野におい
て知られているいずれかの方法、例えば着色剤濃厚物を
押出前に機械配合すること、および所望の配合比で予め
配合された青色着色剤を溶融押出することによって、僅
かな青味を加えることができる。表皮層の共押出には 3
20℃を超える温度が必要であるので、 320℃を超える押
出温度に耐えることができる着色顔料が好ましい。本発
明に使用される青色着色剤は、像形成要素に悪影響を及
ぼさないならばいずれの青色着色剤であってもよい。好
ましい青色着色剤には、フタロシアニン青色顔料、クロ
モフタール青色顔料、イルガジン青色顔料、イルガライ
ト有機青色顔料、および顔料ブルー60が含まれる。
【0038】共押出し、その後、幅方向および長さ方向
に延伸することによって、乳剤層直下の表面に極薄塗膜
( 0.2〜 1.5μm)を製造することができることが見出
された。この層は、本来、厚みが極めて正確であり、こ
の層を使用して、通常は乳剤と紙ベースとの間のシート
の厚み全体にわたって配置される色補正剤のすべてを提
供することができることが見出された。この最上層は極
めて効率的であるので、補正を行うのに必要とされる全
着色剤は、着色剤を厚み全体に分散させた場合に必要と
される量の半分未満である。着色剤は凝塊および分散不
良に起因するスポット欠陥の原因となることが多い。本
発明によれば、より少量の着色剤が使用され、着色剤を
含むポリマーの全容積が、ベースと像形成受容層との間
の全ポリマーの概して2〜10%でしかないので、着色層
を清浄にするための高品質濾過をはるかに容易に実行可
能であるため、画像の商業的価値を低下させるスポット
欠陥が改良される。
【0039】目的とする観衆に二軸配向シートが見られ
る際に、その像形成要素が紫外線に露光されると可視ス
ペクトル光を発光するように、本発明の二軸配向シート
に添加剤を添加してもよい。可視スペクトル光の発光に
より、紫外線エネルギーの存在下で支持体が所望のバッ
クグラウンドカラーを有することが可能となる。これ
は、紫外線エネルギーを含有する光源を用いて画像を背
面から照らす場合に特に有用であり、これを使用して、
透過型ディスプレー用途に画質を最適化することができ
る。
【0040】青スペクトルの可視光を発光することが当
該技術分野において知られている添加剤が好ましい。消
費者は、0から1b* 単位以内のb* で定義される白い
白色と比較して、負のb* で定義される僅かに青味を加
えた白色の方を一般に好む。b* はCIE空間における
黄色/青色の尺度である。正のb* は黄色を示し、負の
* は青色を示す。青スペクトルにおいて発光する添加
剤の添加により、画像の白色度を低下させる着色剤を添
加することなく支持体を色付けすることが可能となる。
好ましい発光は、1〜5Δb* 単位である。Δb* は、
試料を紫外線光源によって照射した場合と、紫外線エネ
ルギーをまったく含有していない光源によって照射した
場合との測定されるb* の差として定義される。Δb*
は、本発明の頂部の二軸配向シートに蛍光増白剤を添加
したことの正味の効果を測定するのに好ましい尺度であ
る。大抵の消費者は1b* 単位未満の発光に気づくこと
ができないので、二軸配向シートに少量の蛍光増白剤を
添加するのは原価効率が高くない。5b* 単位を超える
発光は、プリントの色バランスを崩し、大抵の消費者に
とって青過ぎるように見える白色を生ずる。
【0041】本発明の好ましい添加剤は蛍光増白剤であ
る。蛍光増白剤は、紫外線を吸収し、それを可視青色光
として発光する、実質的に無色の蛍光有機化合物であ
る。例としては、 4,4'-ジアミノスチルベン-2,2'-ジス
ルホン酸の誘導体、クマリン誘導体、例えば4-メチル -
7-ジエチルアミノクマリン、1,4-ビス (o-シアノスチリ
ル) ベンゾール、および2-アミノ -4-メチルフェノール
が含まれるけれども、これらに限定されるものではな
い。本発明の予想外の望ましい特徴は蛍光増白剤を有効
に使用することである。透過型ディスプレー材料のため
の紫外光源は画像の反対側にあるため、像形成層に一般
的な紫外線フィルターによって紫外線強度が弱められる
ことはない。その結果、所望のバックグラウンドカラー
を達成するのに必要とされる蛍光増白剤がより少量で済
むことになる。
【0042】蛍光増白剤は多層共押出二軸配向ポリオレ
フィンシート中のいずれの層に添加してもよい。好まし
い位置は前記シートの露出表面層に隣接しているか、ま
たは露出表面層の中である。この位置に添加することに
より、蛍光増白剤を効率的に集中させ、結果として、伝
統的な写真用支持体と比較して、より少量の蛍光増白剤
を使用することが可能となる。蛍光増白剤の所望添加重
量%が、蛍光増白剤が支持体の表面に移動して像形成層
に結晶を形成する濃度に近づき始める場合は、露出層に
隣接する層の中に蛍光増白剤を添加するのが好ましい。
蛍光増白剤の移動が、感光性ハロゲン化銀像形成システ
ムにとっての懸念点となる場合には、好ましい露出層は
ポリエチレンを含んでなる。この場合、表面層がバリヤ
ー層として作用するため、露出層に隣接している層から
の移動がかなり減少し、はるかに多量の蛍光増白剤を使
用して画質を最適化することが可能となる。露出層に隣
接する層に蛍光増白剤を配置することにより、露出層
(実質的に蛍光増白剤を含まない)が蛍光増白剤の移動
をかなり防止するので、より安価な蛍光増白剤を使用す
ることが可能となる。好ましくない蛍光増白剤の移動を
低減するもう1つの好ましい方法は、露出表面に隣接す
る層にポリプロピレンを使用することである。蛍光増白
剤はポリエチレンよりもポリプロピレンに溶解しやすい
ので、蛍光増白剤がポリプロピレンから移動しにくい。
【0043】本発明の二軸配向シートはミクロボイド化
コアを有するものが好ましい。ミクロボイド化コアは不
透明度および白色度を像形成支持体に付与して画質をさ
らに向上させる。さらに、ボイド化コアは優れた光ディ
フューザーであり、TiO2などの白色顔料よりも光散
乱が実質的により少ない。光散乱が少ないほど、透過画
像の品質が向上する。ミクロボイド化コアと紫外線エネ
ルギーを吸収して可視スペクトル光を発光する材料との
画質面での利点を組み合わせると、画像支持体が紫外線
に露光された場合に色味を有することができ、屋内光な
どの、大した量の紫外線エネルギーを含有していない照
明を使用して画像を見る場合でもなお優れた白色度が保
持されるので、画質を特異的に最適化することが可能と
なる。垂直方向のボイドの数が実質的にすべての点で6
を超えているのが好ましい。垂直方向のボイドの数と
は、ボイド化層中に存在するポリマー/気体の界面の数
である。ボイド化層は、屈折率がポリマー/気体の界面
間で変化するので、不透明層として機能する。4個以下
のボイドでは、フィルムの不透明性の改良は殆ど認めら
れず、従って、本発明の二軸配向シートをボイド化する
ための追加の出費が正当化されないので、6個を超える
ボイドが好ましい。35個以上のボイドでは、ボイド化コ
アが容易に応力破壊を受け、画像領域に望ましくない破
壊線を生じ、透過型ディスプレー材料の商業的価値を低
下させることがあるので、垂直方向に6〜30個のボイド
があるのがもっとも好ましい。
【0044】これらの複合シートの共押出、急冷、配
向、および熱固定は、フラットシート法またはバブルも
しくはチューブラー法などの、配向シートを製造するの
に当該技術分野において知られているいずれの方法で行
ってもよい。フラットシート法には、スリットダイを通
して配合物を押出し、押出されたウェブを冷却キャステ
ィングドラム上で迅速に急冷して、シートのコアマトリ
ックスポリマー成分および表皮層成分(複数であっても
よい)をそれらのガラス凝固温度未満に急冷することが
含まれる。次に、急冷されたシートを、マトリックスポ
リマーのガラス転移温度より高いけれども、溶融温度よ
り低い温度で互いに垂直な方向に延伸することによって
二軸配向させる。このシートを一方向に延伸し、次に第
二方向に延伸しても、または同時に両方向に延伸しても
よい。延伸比(縦方向および横方向の合計について最終
長さを原長で割ったものとして定義される)は少なくと
も10:1であるのが好ましい。シートを延伸した後、両
延伸方向における収縮に抗してシートをある程度拘束し
ながら、ポリマーを結晶化またはアニールするのに十分
な温度まで加熱することによって、シートを熱固定す
る。
【0045】複合シートは、コアおよび各々の側面の表
皮層の少なくとも3層を有するのが好ましいと記載した
けれども、二軸配向シートの性質を変えるのに役立つ追
加層を具備していてもよい。二軸配向シートは、支持体
および写真要素の接着性を向上させ、またはそれらの外
観を変える表面層を備えるように形成されていてもよ
い。二軸配向押出は、ある特定の所望の特性を達成する
のに望まれる場合には、10層に及ぶ多数の層を用いて実
施することができる。
【0046】これらの複合シートを、共押出および配向
過程の後またはキャスティングと全配向との間に、プリ
ント性などのシートの特性を向上させるのに使用するこ
とができるいくつかの数の塗膜で塗布または処理して、
蒸気バリヤーを提供し、それらをヒートシール可能に
し、または支持体もしくは感光性層への接着性を向上さ
せてもよい。これらの例としては、プリント性について
はアクリル系塗膜、ヒートシール特性についてはポリ塩
化ビニリデン塗膜がある。さらなる例としては、プリン
ト性または接着性を向上させるための火炎処理、プラズ
マ処理またはコロナ放電処理が含まれる。
【0047】ミクロボイド化コア上に少なくとも1層の
非ボイド化表皮層を有することにより、シートの引張強
さが増大し、加工性がより高くなる。それにより、すべ
ての層をボイド化してシートを製造する場合よりも、よ
り広幅で、かつより高い延伸比でシートを製造すること
が可能となる。それらの層を共押出することにより、製
造過程がさらに単純化される。
【0048】露出表面層が像形成層に隣接している好ま
しい二軸配向ポリオレフィンシートの構造は以下の通り
である。
【0049】 ────────────────────────── 青色顔料を有するポリエチレン表皮層(頂部層) ────────────────────────── 蛍光増白剤を有するポリプロピレン層 ────────────────────────── ポリプロピレンミクロボイド化層 ────────────────────────── ポリプロピレン底部表皮層 ──────────────────────────
【0050】感光性ハロゲン化銀層のラミネート支持体
とするために二軸配向ポリオレフィンシートがラミネー
トされる支持体は、所望の透過率および剛性を有するも
のであればいずれの材料であってもよい。本発明の写真
要素は、例えばポリスチレン、合成高分子量シート材
料、例えばポリアルキルアクリレートまたはメタクリレ
ート、ポリスチレン、ポリアミド(例えばナイロン)の
シート、半合成高分子量材料、例えば硝酸セルロース、
酢酪酸セルロースなどのシート;塩化ビニルのホモポリ
マーおよびコポリマー、ポリビニルアセタール、ポリカ
ーボネート、オレフィンのホモポリマーおよびコポリマ
ー、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなどを含
むいずれかの好適な透明写真品質高分子支持体上に調製
することができる。
【0051】ポリエステルシートは優れた強度および寸
法安定性を提供し、透明であるため特に好都合である。
このようなポリエステルシートは周知であり、ディスプ
レー材料に広く使用されており、概して二価アルコール
と二塩基性の飽和脂肪酸またはそれらの誘導体とを縮合
させることによって調製される高分子量ポリエステルか
ら調製される。
【0052】このようなポリエステルの製造に使用する
のに好適な二価アルコールは当該技術分野において周知
であり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコ
ール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの、ヒドロ
キシル基が末端炭素原子上にあり、2〜12個の炭素原子
を含有しているいずれかのグリコールが含まれる。
【0053】ポリエステルの製造に有用な好適な二塩基
酸としては、2〜16個の炭素原子を含有しているもの、
例えばアジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸などが含まれる。酸、例えば上記に列挙したもの
のアルキルエステルもまた用いることができる。他のア
ルコールおよび酸、並びにそれらから製造されるポリエ
ステルおよびそれらのポリエステルの調製については、
米国特許第 2,720,503号および同 2,901,466号の各明細
書に記載されている。ポリエチレンテレフタレートが好
ましい。
【0054】ポリエステル支持体の剛性は約15ミリニュ
ートン〜 200ミリニュートンの範囲にわたることができ
る。好ましい剛性は20〜 100ミリニュートンである。ポ
リエステルの剛性が15ミリニュートン未満では、ディス
プレー材料に必要とされる剛性が提供されず、取扱が困
難で、最適に見えるように平坦にはならない。ポリエス
テルの剛性が 100ミリニュートンを超えると、加工装置
にとっての剛性限界を超え始め、ディスプレー材料とし
ての性能上の恩恵がまったく無い。
【0055】一般に、ポリエステル支持体は、ポリエス
テルをスリットダイを通して溶融押出し、急冷して非晶
質状態とし、縦方向および横方向に配向させ、次いで寸
法拘束下で熱固定させることによって製造される。この
ポリエステルフィルムを熱緩和処理に付して寸法安定性
および表面平滑性を向上させることもできる。
【0056】当該ポリエステルフィルムは、概して、ア
ンダーコート、下塗り層またはプライマー層をポリエス
テルフィルムの両側に含有しているであろう。塗布組成
物の支持体への接着性を高めるのに使用される下塗り層
は当該技術分野において周知であり、このような材料で
あればいずれを用いることもできる。この目的のために
有用な組成物には、塩化ビニリデンのインターポリマ
ー、例えば塩化ビニリデン/アクリル酸メチル/イタコ
ン酸のターポリマーまたは塩化ビニリデン/アクリロニ
トリル/アクリル酸のターポリマーなどが含まれる。こ
れらのおよび他の好適な組成物は、例えば、米国特許第
2,627,088号、同 2,698,240号、同 2,943,937号、同
3,143,421号、同 3,201,249号、同 3,271,178号、同 3,
443,950号、同 3,501,301号の各明細書に記載されてい
る。高分子下塗り層は通常はゼラチンからなる第2の下
塗り層(概してゼラチンサブと呼ばれる)でオーバーコ
ートされる。
【0057】透明ポリマー中のTiO2 は反射型ディス
プレー材料に望ましくない乳光の外観を与え、色相を変
化させるので、TiO2 の無い透明高分子ベースが好ま
しい。TiO2 を加えた透明ポリマーはまた、白色顔料
を厚み全体(概して 100〜 180μm)にわたって分散さ
せなければならないので高価でもある。TiO2 はま
た、透明高分子支持体に僅かな黄色味を与え、写真ディ
スプレー材料としては望ましくない。写真用反射型ディ
スプレー材料として使用するには、TiO2 を含有して
いる透明高分子支持体に青味を付けて、望ましい白色度
の低下の原因となるポリエステルの黄色味を相殺しなけ
ればならず、これにより、ディスプレー材料のコストが
上乗せされる。ポリオレフィン層中に白色顔料を集中さ
せることにより、白色顔料の効率的使用が可能となり、
画質を向上させ、像形成支持体のコストが削減される。
【0058】ポリエステルベースシートを使用する場合
は、ポリオレフィン樹脂を使用して、このポリエステル
シートにミクロボイド化複合シートを押出ラミネートす
るのが好ましい。押出ラミネートは、本発明の二軸配向
ポリオレフィンシートとポリエステルシートとの間に溶
融押出接着剤を適用することにより二軸配向シートとポ
リエステルベースとを一緒にし、続いて2本のローラー
の間などのニップにおいてそれらをプレスすることによ
って行う。ニップに入れる前に、二軸配向シートまたは
ベースポリエステルシートのいずれかに溶融押出接着剤
を適用してもよい。好ましい態様においては、二軸配向
シートおよびベースポリエステルシートと同時に接着剤
をニップ中に適用する。二軸配向ポリオレフィンシート
をポリエステルベースに接着させるのに使用される接着
剤は、写真要素に悪影響を及ぼさないものであればいず
れの好適な材料であってもよい。好ましい材料はメタロ
セン触媒エチレンプラストマーであって、ポリエステル
シートと二軸配向シートとの間のニップ中に溶融押出さ
れるものである。メタロセン触媒エチレンプラストマー
は、溶融押出が容易で、本発明の二軸配向ポリオレフィ
ンシートに良好に接着し、かつ本発明のゼラチンを下塗
りされたポリエステル支持体に良好に接着するため好ま
しい。
【0059】像形成層が二軸配向ポリオレフィンシート
に適用されている好ましいディスプレー支持体の構造は
以下の通りである。
【0060】 ───────────────────── 二軸配向ポリオレフィンシート ───────────────────── メタロセン触媒エチレンプラストマー ───────────────────── ポリエステルベース ─────────────────────
【0061】本発明の写真要素のための透明高分子ベー
スのもう1つの態様は多層ボイド化ポリエステルベース
シートである。このポリエステルは約50℃〜約 150℃、
好ましくは約60〜 100℃のガラス転移温度を有するべき
であり、配向可能で、少なくとも0.50、好ましくは 0.6
〜 0.9のIVを有するべきである。好適なポリエステル
には、炭素原子が4〜20個の芳香族、脂肪族または脂環
式のジカルボン酸および炭素原子が2〜24個の脂肪族ま
たは脂環式のグリコールから製造されるものが含まれ
る。好適なジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、琥珀
酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4-シクロヘ
キサンジカルボン酸、ソジオスルホイソフタル酸、およ
びそれらの混合物が含まれる。好適なグリコールの例に
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,
4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコー
ル、他のポリエチレングリコール、およびそれらの混合
物が含まれる。このようなポリエステルは当該技術分野
において周知であり、周知の技法、例えば米国特許第
2,465,319号および同 2,901,466号の各明細書に記載さ
れているものによって製造してもよい。好ましい連続マ
トリックスポリマーは、テレフタル酸またはナフタレン
ジカルボン酸と、エチレングリコール、1,4-ブタンジオ
ールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールから選ばれ
る少なくとも1種のグリコールとに由来する繰り返し単
位を有するものである。ポリエチレンテレフタレート
(少量の他のモノマーによって改質されていてもよい)
がとりわけ好ましい。ポリプロピレンもまた有用であ
る。他の好適なポリエステルには、好適な量の共酸成
分、例えばスチルベンジカルボン酸を導入することによ
って形成される液晶コポリエステルが含まれる。このよ
うな液晶コポリステルの例には、米国特許第 4,420,607
号、同 4,459,402号、および同 4,468,510号の各明細書
に記載されているものがある。
【0062】ポリエステルシートをボイド化するため
の、ミクロビーズに好適な架橋ポリマーは、一般式が
【0063】
【化1】
【0064】であるアルケニル芳香族化合物(式中、A
rは芳香族炭化水素ラジカル、またはベンゼン系列の芳
香族ハロ炭化水素ラジカルを表し、Rは水素またはメチ
ルラジカルである);アクリレートタイプのモノマー、
例えば式
【0065】
【化2】
【0066】(式中、Rは水素および約1〜12個の炭素
原子を含有しているアルキルラジカルからなる群より選
ばれ、R’は水素およびメチルからなる群より選ばれ
る)のモノマー;塩化ビニルおよび塩化ビニリデン、ア
クリロニトリルおよび塩化ビニル、臭化ビニル、式
【0067】
【化3】
【0068】(式中、Rは2〜18個の炭素原子を含有し
ているアルキルラジカルである)を有するビニルエステ
ルのコポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン
酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸およびジアルキルテ
レフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、HO
(CH2 n OH(式中、nは2〜10の範囲内にある整
数である)系列のグリコールと反応させることによって
調製され、反応性オレフィン系結合をポリマー分子内に
有する合成ポリエステル樹脂(上述のポリエステルに
は、反応性オレフィン系不飽和を有する第二の酸もしく
はそのエステルおよびそれらの混合物が共重合されて、
その中に20重量%以下含まれている)からなる群より選
ばれたものである架橋ポリマーから製造することがで
き、架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、フマル酸ジアリル、フタル酸ジア
リルおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる。
【0069】架橋ポリマーを製造するための典型的なモ
ノマーの例には、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリ
ルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、エ
チレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、
酢酸ビニル、アクリル酸メチル、ビニルベンジルクロラ
イド、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼ
ン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニル
トルエンなどが含まれる。好ましくは、架橋ポリマーは
ポリスチレンまたはポリメタクリル酸メチルである。も
っとも好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンであ
り、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0070】当該技術分野において周知の方法では、ブ
ロードな粒径分布を特徴とする、大きさが不均一な粒子
が得られる。得られたビーズを篩分けすることによって
分級して、元々の粒径分布の範囲にわたるビーズを製造
することができる。他の方法、例えば懸濁重合および限
定凝集により、大きさが非常に均一な粒子が直接得られ
る。好適なスリップ剤または滑剤には、コロイド状シリ
カ、コロイド状アルミナ、および金属酸化物、例えば酸
化スズおよび酸化アルミニウムが含まれる。好ましいス
リップ剤はコロイド状のシリカおよびアルミナであり、
もっとも好ましくはシリカである。スリップ剤塗膜を有
する架橋ポリマーは当該技術分野において周知の手順に
よって調製することができる。例えば、従来の懸濁重合
法であって、スリップ剤をその懸濁液に添加するものが
好ましい。スリップ剤としては、コロイド状シリカが好
ましい。
【0071】被覆された架橋高分子ミクロビーズを製造
するには、「限定凝集」技法を使用するのが好ましい。
この方法は米国特許第 3,615,972号明細書に記載されて
いる。しかしながら、本発明に使用するための被覆ミク
ロビーズの調製では、この特許に記載されている膨張剤
は利用されない。
【0072】限定凝集技法には以下の一般的な手順が利
用される。
【0073】1.重合可能な液体を水性非溶媒液体媒体
内に分散させ、高分子小球に望ましい大きさよりも大き
くない液滴を形成させ、その後、
【0074】2.当該分散液を安置し、極穏やかに攪拌
しながら、またはまったく攪拌せずに、分散している液
滴の限定凝集が起こり、より少数のより大きな液滴が形
成される時間だけ滞留させ(このような凝集は懸濁媒の
組成のために限定され、それにより、分散している液滴
の大きさが著しく均一にかつ所望の大きさになる)、そ
して
【0075】3.次に、当該水性懸濁媒に増粘剤を添加
することによって当該均一な液滴の分散液を安定化し、
それにより、大きさが均一な分散液滴を凝集からさらに
保護し、また、分散相と連続相との密度の違いに起因す
る分散液の濃縮を阻止し、そして、
【0076】4.このように安定化させた分散液中の重
合可能な油相または液相を重合条件に付して重合させ、
それにより、回転楕円体の形状および著しく均一な所望
の大きさ(主に初期水性液体懸濁媒の組成によって、あ
らかじめ決定される)を有するポリマーの小球を得る。
【0077】水性液体分散液の組成を慎重に変化させる
ことによって、重合可能な液体の液滴の直径、およびそ
れゆえにポリマーのビーズの直径を、約 1/2μm以下〜
約 0.5cmの範囲内で予想通りに変化させることができ
る。いずれの具体的な運転についても、液体の液滴の直
径、およびそれゆえに高分子ビーズの直径には、危険な
攪拌手順を用いる通常の懸濁重合法によって調製される
液滴およびビーズの直径については10以上の要因がある
のと対照してみると、3以下程度の要因しか無い。本発
明の方法におけるビーズの大きさ、例えば直径は主に水
性分散液の組成によって決定されるので、機械的条件
(例えば攪拌の程度、使用する装置の大きさおよび設
計、並びに運転の規模)はあまり決定的ではない。その
うえ、同じ組成を使用することによって、その運転を繰
り返すことができ、またはその運転を変更することがで
き、そして実質的に同じ結果を得ることができる。
【0078】本発明の方法は、1容量部の重合可能な液
体を、少なくとも 0.5(好ましくは0.5〜約10以上)容
量部の、水および以下の成分のうち少なくとも最初のも
のを含んでなる非溶媒水性媒体中に分散させることによ
って行われる。
【0079】1.水分散性で水不溶性の固体コロイド
(その粒子は、水性分散液中で、約 0.008〜約50μmの
程度の寸法を有し、液体−液体の界面で集まる傾向があ
るか、または以下のものの存在によって液体−液体の界
面で集まる)、 2.当該固体コロイド粒子の「親水性−疎水性バラン
ス」に影響を及ぼす水溶性「促進剤」、および/また
は、 3.電解質、および/または、 4.コロイド活性改質剤、例えばペプタイザー、表面活
性剤など、および通常は、 5.水溶性でモノマー不溶性の重合抑制剤。
【0080】当該水分散性で水不溶性の固体コロイド
は、金属の塩もしくは水酸化物またはクレーなどの無機
材料であってもよく、あるいは生澱粉、スルホン化架橋
有機高分子、樹脂ポリマーなどの有機材料であってもよ
い。
【0081】この固体コロイド材料は不溶性であるけれ
ども、水に分散性でかつ重合可能な液体には不溶性で非
分散性であるけれども湿潤性でなければならない。これ
らの固体コロイドは、もっぱら水性液体内に分散された
ままであるように、親油性よりもはるかに親水性でなけ
ればならない。限定凝集に用いられる固体コロイドは水
性液体中で比較的硬質で別個の形状および上述の限界内
の大きさを保持する粒子を有するものである。これらの
粒子は、膨潤した粒子が明確な形状を保持している限
り、大いに膨潤しかつ水和されていてもよい(この場
合、有効径はおよそ膨潤粒子の径である)。これらの粒
子は、極端に高分子量の架橋樹脂の場合のように、本質
的に単一分子であってもよく、または多くの分子の集合
体であってもよい。水に分散して真溶液または粒径が上
述の範囲未満であるかもしくはあまりに拡散して認識で
きる形状および寸法が無いコロイド溶液を形成する材料
は限定凝集用の安定剤として好適ではない。用いられる
固体コロイドの量は通常は重合可能な液体 100cm3 あた
りで約0.01〜約10gまたはそれ以上に相当するような量
である。
【0082】重合可能な液体の液滴の限定凝集のための
安定剤として機能するためには、液体液体の界面、すな
わち油の液滴の表面上で固体コロイドが水性液体と共に
集まる傾向があることが必須である。(「油」という用
語は本明細書において水に不溶性の液体に対する一般名
として時として使用される。)多くの場合、水性組成物
に「促進剤」材料を添加して固体コロイドの粒子を液体
−液体の界面に追いやるのが望ましい。この現象はエマ
ルション技術分野においては周知であり、本明細書で
は、「親水性−疎水性バランス」の調整の拡張として、
固体コロイド粒子に適用される。
【0083】通常、これらの促進剤は、固体コロイドお
よび油の液滴に対する親和性があり、固体コロイドをよ
り親油性にすることができる有機材料である。油の表面
に対する親和性は通常は促進剤分子の何らかの有機部分
に起因し、一方、固体コロイドに対する親和性は通常は
逆の電荷に起因する。例えば、負に帯電した有機促進
剤、例えば水溶性スルホン化ポリスチレン、アルギネー
ト、およびカルボキシメチルセルロースの存在によっ
て、正に帯電した錯体金属の塩または水酸化物、例えば
水酸化アルミニウムを促進させることができる。負に帯
電したコロイド、例えばベントナイトは、正に帯電した
促進剤、例えばテトラメチルアンモニウムの水酸化物も
しくは塩化物または水溶性錯体樹脂系アミン縮合生成
物、例えばジエタノールアミンとアジピン酸との水溶性
縮合生成物、エチレンオキシド、尿素およびホルムアル
デヒドの水溶性縮合生成物、並びにポリエチレンイミン
によって促進される。両性材料、例えばゼラチン、にか
わ、カゼイン、アルブミン、グルチンなどのような蛋白
質材料は多様なコロイド状固体に有効な促進剤である。
メトキシセルロースのような非イオン性材料もまた有効
である場合がある。通常は、促進剤は、より多くの割合
でも許容することができることが多いけれども、水性媒
体の数ppm 程度しか使用する必要が無い。場合によって
は、普通は乳化剤として分類されるイオン性材料、例え
ば石鹸、長鎖硫酸塩およびスルホン酸塩並びに長鎖第四
級アンモニウム化合物を固体コロイド用の促進剤として
使用することもできるけれども、重合可能な液体および
水性液体媒体の安定なコロイド状乳剤を形成させないよ
うに注意を払わなければならない。
【0084】少量の電解質、例えば水溶性で、イオン化
可能なアルカリ、酸、および塩、特に多価イオンを有す
るものを用いて、有機促進剤の作用と類似の作用が得ら
れることが多い。これらは、コロイドの過剰な親水性ま
たは不十分な親油性がコロイド構造体の過剰な水和に帰
する場合に、とりわけ有用である。例えば、好適に架橋
したスチレンのスルホン化ポリマーは水に甚だしく膨潤
し、水和される。その分子構造は、分散液中の油相に対
する幾ばくかの親和性をコロイドに付与するベンゼン環
を含有しているけれども、高い水和度により、コロイド
粒子が会合水の雲の中に包まれる。この水性組成物に、
可溶性で、イオン化可能な多価カチオン性化合物、例え
ばアルミニウムまたはカルシウムの塩を添加すると、会
合水の一部が滲出およびコロイド粒子の有機部分の露出
による膨潤したコロイドの大幅な収縮が起こり、それに
より、コロイドがより親油性になる。
【0085】上記固体コロイド粒子(粒子が油−水の界
面において水性相中で集まる傾向があるような親水性−
疎水性バランスとなっている)は油の液滴の表面上に集
まり、限定凝集の間、保護材として機能する。
【0086】既知の様式で用いて水性組成物のコロイド
状の性質の改質を行うことができる他の薬剤は、当該技
術分野においてペプタイザー、凝集剤および解膠剤、増
感剤、表面活性剤などとして知られている材料である。
【0087】この水性液体に、この水性液体中に拡散す
るかまたはコロイドミセルによって吸収されて、水性相
における重合が可能な場合には、所望のビーズポリマー
またはパールポリマーの代りに、または所望のビーズポ
リマーまたはパールポリマーの他に乳剤タイプの高分子
分散液をつくる傾向があるモノマー分子の重合を防ぐの
に有効な水溶性で油に不溶性の重合抑制剤を数ppm 添加
するのが時として望ましい。
【0088】次に、水分散性固体コロイドを含有してい
る水性媒体を、液体重合可能材料をこの水性媒体内に小
さな液滴として分散させるなどの方法によって、液体重
合可能材料と混合する。この分散は、通常の手段、例え
ば機械式攪拌機または振盪機、ジェットポンプ、衝突捕
集、または連続水性媒体中で重合可能材料を液滴に細分
化させる他の手順によって達成することができる。
【0089】例えば攪拌による分散の度合は、分散され
た液体の液滴の大きさが、安定な分散液において予想さ
れ、かつ望まれる安定な液滴の大きさ以下(好ましくは
はるかに小さい)のものでなければならないことを除い
ては重要ではない。このような条件が達成された場合、
得られた分散液は、あったとしても極穏やかな、静かな
動き、好ましくは攪拌無しで安置することができる。こ
のような静止条件下では、分散された液体相は限定され
た度合の凝集をこうむる。
【0090】「限定凝集」とは、特定の水性懸濁媒中に
分散された液体の液滴がより少数のより大きな液滴の形
成を伴って凝集し、成長粒子が特定の限界または極限の
大きさに到達した時に凝集が停止する現象である。分散
された液体の得られた粒子(直径が 0.3cm程度、時とし
て 0.5cm程度の大きさになることがある)は、さらなる
凝集に関してはかなり安定であり、大きさが著しく均一
である。このような大きな液滴の分散液を激しく攪拌す
ると、これらの液滴がより小さな液滴に分裂する。これ
らの分裂した液滴は静止放置時に再び同じ限定された度
合に凝集して、大きさが均一で、大きな液滴の安定な同
じ分散液を形成する。従って、限定凝集の結果として生
ずる分散液は、さらなる凝集に関して安定であり、直径
が実質的に均一な液滴を含んでなる。
【0091】この現象の基礎をなす原理を今ここに適合
させて、均一な所望の大きさの液滴の形での重合可能な
液体の分散液の調製において、意図的で予想可能な様式
によって限定凝集を発生させた。
【0092】限定凝集現象において、固体コロイドの小
さな粒子は、液体−液体の界面において、すなわち油の
液滴の表面上で、水性液体と集まる傾向がある。このよ
うな固体コロイドによって実質的に覆われている液滴は
凝集に対して安定であり、一方、覆われていない液滴は
安定ではない。重合可能な液体の任意の分散液におい
て、液滴の全表面積は、液体の全容積および液滴の直径
の関数である。同様に、例えば、一粒子の厚みの層とし
ての固体コロイドによって辛うじて覆うことができる全
表面積は、コロイドの量およびそれらの粒子の寸法の関
数である。例えば、攪拌によって調製された当初の分散
液においては、重合可能な液体の液滴は、固体コロイド
によって覆うことができるよりも大きい。静止条件下で
は、この不安定な液滴は凝集し始める。凝集の結果、油
の液滴の数が減少し、その全表面積が、コロイド状固体
の量が油の液滴の全表面を実質的に覆うのに辛うじて十
分となる点まで減少し、その結果、凝集が実質的に停止
する。
【0093】固体コロイド状粒子がほぼ同一の寸法を有
していない場合、平均有効寸法は、統計的方法によって
見積もることができる。例えば、球状粒子の平均有効寸
法は、それぞれの試料中の粒子の実測寸法の二乗の平均
の平方根として計算することができる。
【0094】上述のように調製された均一な液滴の懸濁
液を処理して、油の液滴の集合に対して懸濁液を安定に
するのが通常は有益である。
【0095】このさらなる安定化は、水性液体の粘度を
大きく増大させることができる薬剤を均一な液滴の分散
液と静かに混合することによって達成される。この目的
のために、油の液滴に不溶性であり、油−水の界面で油
の液滴の表面を覆っている固体コロイド状粒子の層を除
去しないならば、いずれの水溶性または水分散性の増粘
剤を使用してもよい。好適な増粘剤の例には、スルホン
化ポリスチレン(水分散性増粘グレード)、親水性クレ
ー、例えばベントナイト、消化澱粉、天然ゴム、カルボ
キシ置換セルロースエーテルなどがある。増粘剤は、大
きさが均一な油の液滴が浮遊しているチキソトロープゲ
ルを形成するように選ばれ、そのような量で用いられる
ことが多い。換言すれば、増粘剤は一般に、その流体挙
動において非ニュートン流体、すなわち水性液体内に分
散している液滴が層の密度差に起因する重力の作用によ
って急速に動くのをを防ぐような性状の流体であるべき
である。浮遊している液滴によって周囲の媒体にはたら
く応力は、このような非ニュートン媒体内の液滴を急速
に動かすのに十分ではない。通常は、増粘剤は、水性液
体に対して、増粘された水性液体の見かけ粘度が少なく
とも 0.5N・s/m 2 ( 500センチポアズ)(通常は2
番スピンドルを30rpm で使用するブルックフィールド粘
度計によって測定される)程度であるような割合で用い
られる。増粘剤は、別個の濃縮水性組成物として調製
し、油の液滴の分散液と注意深く配合するのが好まし
い。
【0096】得られた増粘された分散液は、例えばパイ
プを通すなどの取り扱いをすることができ、分散してい
る油の液滴の大きさまたは形状の機械的変化を実質的に
伴わずに重合条件に付すことができる。
【0097】得られた分散液は、コイル、チューブ、お
よび一方の端に増粘された分散液を連続的に導入し、他
方の端から多量の高分子ビーズを取り出すのに適合して
いる長い容器の中で行うことができる連続重合手順にお
ける使用に特によく適している。重合工程はバッチ式で
も行われる。
【0098】重合への構成成分の添加順序は通常は重要
ではないけれども、有益なものとするには、容器に水、
分散剤を添加し、油に可溶性の触媒をモノマー混合物に
導入し、その後、モノマー層を水の相に攪拌しながら添
加するのがより便利である。
【0099】以下は、スリップ剤で被覆された架橋高分
子ミクロビーズを調製するための手順を説明している例
である。この例においては、ポリマーはジビニルベンゼ
ンで架橋されたポリスチレンである。ミクロビーズはシ
リカの塗膜を有する。これらのミクロビーズは、開始剤
を含有しているモノマー液滴を分粒し、加熱して、モノ
マー液滴と同じ大きさの固体高分子球体を生じさせる手
順によって調製される。水の相は、7リットルの蒸留
水、 1.5gのポリメチルアミノエタノールアジペート
(促進剤)、および 350gの LUDOX(DuPontによって販
売されている、シリカを50%含有しているコロイド状懸
濁液)を併せることによって調製される。モノマー相
は、3317gのスチレン、1421gのジビニルベンゼン(55
%が活性架橋剤であり、その他の45%がスチレンポリマ
ー鎖の一部を形成するエチルビニルベンゼンである)、
および45gの VAZO 52(DuPontによって販売されてい
る、モノマーに可溶性の開始剤)を併せることによって
調製される。この混合物をホモジナイザーに通して5μ
mの液滴を得る。この懸濁液を52℃に終夜加熱して、粒
径分布が狭い(約2〜10μmの粒径分布)約5μmの平
均直径を有する通常は球状のミクロビーズを 4.3kg生じ
させる。スチレンおよびエチルビニルベンゼンのジビニ
ルベンゼンに対するモル比率は約 6.1%である。ジビニ
ルベンゼンの濃度を上げたり下げたりして調整して、結
果として活性架橋剤による架橋が約 2.5〜50%(好まし
くは10〜40%)となるようにすることができる。勿論、
スチレンおよびジビニルベンゼン以外のモノマーを当該
技術分野において既知の同様の懸濁重合法に使用するこ
ともできる。また、当該技術分野において知られている
ように、他の開始剤および促進剤を使用してもよい。ま
た、シリカ以外のスリップ剤を使用してもよい。例え
ば、多くの種類の LUDOXコロイド状シリカがDuPontから
入手可能である。LEPANDINコロイド状アルミナは Degus
saから入手可能である。 NALCOAGコロイド状シリカは N
alcoから入手可能であり、酸化スズおよび酸化チタンも
また Nalcoから入手可能である。
【0100】普通、レジリエンスなどの好適な物理的性
質をポリマーに備えさせるには、ポリマーを架橋させ
る。ジビニルベンゼンで架橋させたスチレンの場合に
は、ポリマーを 2.5〜50%、好ましくは20〜40%架橋さ
せる。架橋率とは、主たるモノマーの量に対する架橋剤
のモル%を意味する。このような限定された架橋によ
り、連続ポリマーの配向時に無傷のままであるのに十分
凝集性であるミクロビーズが生ずる。このような架橋の
ビーズは弾性的でもあるため、ミクロビーズの反対側の
マトリックスポリマーからの圧力によって配向時に変形
(扁平化)されても、その後、元の球状の形状に戻っ
て、ミクロビーズの周りに予想される最大のボイドを生
じ、それにより物品の密度を低くする。
【0101】これらのミクロビーズは本明細書において
「スリップ剤」の塗膜を有すると称される。この用語
は、ミクロビーズの表面での摩擦が大幅に削減されるこ
とを意味する。実は、これは、シリカが表面で小型ボー
ルベアリングとして作用するのが原因であると信じられ
ている。スリップ剤は、懸濁重合配合物中にそれを含ま
せることによって、ミクロビーズの形成時に、ミクロビ
ーズの表面上に形成させてもよい。
【0102】ミクロビーズの大きさは、シリカのモノマ
ーに対する比によって調節される。例えば、以下の比に
より、示されている大きさのミクロビーズが生ずる。
【0103】 ミクロビーズの大きさ モノマー スリップ剤(シリカ) (μm) (重量部) (重量部) ──────────────────────────────── 2 10.4 1 5 27.0 1 20 42.4 1
【0104】架橋ポリマーのミクロビーズは大きさが
0.1〜50μmの範囲にわたり、ポリエステルの重量に対
して5〜50重量%の量で存在する。ポリスチレンのミク
ロビーズは連続マトリックスポリマーのTg よりも高
い、低くとも20℃のTg を有しており、連続マトリック
スポリマーと比較して硬質である。
【0105】ミクロビーズの弾性およびレジリエンスは
一般にボイド化を増大させ、ミクロビーズのTg を配向
時の変形を避けることができる程度にマトリックスポリ
マーのTg よりも高くするのが好ましい。ミクロビーズ
のレジリエンスおよび弾性の上記の点を超えてまで架橋
させる実用上の利点は無いと信じられている。
【0106】架橋ポリマーのミクロビーズは少なくとも
部分的にはボイドによって縁取られている。支持体中の
ボイド空間は造形品の2〜60容量%、好ましくは30〜50
容量%を占めるべきである。支持体が製造される様式に
よっては、ボイドがミクロビーズを完全に取り囲んでい
ることもあり(例えば、ボイドがミクロビーズを取り囲
んでいるドーナッツ(または扁平なドーナッツ)の形状
をしていることがある)、またはボイドがミクロビーズ
を部分的にしか縁取っていないこともある(例えば、一
対のボイドが反対側でミクロボイドを縁取っていること
もある)。
【0107】延伸時に、ボイドは、紙状フィルムのバラ
ンスのとれた二軸配向からミクロボイド化/サテン状繊
維の一軸配向まで特徴的な形状をとる。バランスのとれ
たミクロボイドは配向平面において概ね円形であり、繊
維のミクロボイドは繊維軸の方向に長くなっている。ミ
クロボイドの大きさおよび最終的な物理的性質は、配向
の度合およびバランス、延伸の温度および比率に、結晶
化動力学、ミクロビーズの粒径分布などに依存する。
【0108】本発明に係る造形品および支持体は、以下
の手順によって調製される。
【0109】(a)上述の架橋ポリマーが上述のマトリ
ックスポリマーの隅々に均一に分散している非常に多数
のミクロビーズとなっている、溶融マトリックスポリマ
ーと架橋ポリマーとの混合物を形成させ、
【0110】押出、キャスティングまたは成形によって
当該混合物から造形品を形成させ、
【0111】延伸によって当該物品を配向させて、この
物品の隅々に均一に分布している架橋ポリマーのミクロ
ビーズと、配向方向(複数であってよい)のミクロビー
ズの側面を少なくとも部分的に縁取っているボイドとを
形成させる。
【0112】上記混合物は、マトリックスポリマーのメ
ルトを形成させ、その中に架橋ポリマーを混合すること
によって形成させてもよい。架橋ポリマーは固体または
半固体のミクロビーズの形であってもよい。マトリック
スポリマーと架橋ポリマーとの間の非相溶性のために、
それらの間には引力や接着力はまったく無く、それらは
混合時にマトリックスポリマー中に均一に分散すること
になる。
【0113】ミクロビーズがマトリックスポリマー中に
均一に分散するようになったら、押出、キャスティング
または成形などの方法によって造形品を形成させる。押
出またはキャスティングの例は、フィルムまたはシート
を押出またはキャストすることであろうし、成形の例
は、ボトルを射出成形するかまたは再熱ブロー成形する
ことであろう。このような成形方法は当該技術分野にお
いて周知である。シートまたはフィルム材料をキャスト
または押出する場合、このような物品を延伸することに
よって少なくとも一方向に配向させることが重要であ
る。シートまたはフィルム材料を一方向または二方向に
配向させる方法は当該技術分野において周知である。根
本的に、このような方法は、シートまたはフィルムをそ
の元々の寸法の約 1.5〜10倍にキャストまたは押出した
後に、少なくとも縦方向または長手方向に延伸すること
を含む。このようなシートまたはフィルムを、当該技術
分野においてよく知られている装置および方法によっ
て、横方向または横手方向に元々の寸法の 1.5〜10倍
(通常、ポリエステルの場合は3〜4倍、ポリプロピレ
ンの場合は6〜10倍)に延伸してもよい。このような装
置および方法は当該技術分野において周知であり、米国
特許第 3,903,234号明細書などに記載されている。
【0114】ボイド、またはボイド空間(本明細書にお
いてはミクロビーズの周囲を指す)は、連続マトリック
スポリマーが、そのTg を超える温度で延伸されるにつ
れて形成される。架橋ポリマーのミクロビーズは連続マ
トリックスポリマーと比較して比較的硬質である。ま
た、ミクロビーズとマトリックスポリマーとの間の非相
溶性および不混和性のために、連続マトリックスポリマ
ーは延伸されるにつれてミクロビーズ上で滑り、延伸の
方向(複数であってもよい)の側面においてボイドを形
成させる。マトリックスポリマーが引き続き延伸される
につれて、これらのボイドは長くなる。従って、ボイド
の最終的な大きさおよび形状は延伸の方向および量に依
存する。延伸が一方向のみの場合、ミクロボイドは延伸
の方向のミクロビーズの側面に形成されるであろう。延
伸が二方向の場合(二方向延伸)、実際において、この
ような延伸はいずれの任意の位置からも放射状に伸びて
いるベクトル成分を有しており、結果として各ミクロビ
ーズの周囲にドーナッツ型のボイドが生ずる。
【0115】プリフォーム延伸操作により、ミクロボイ
ドが開き、同時にマトリックス材料が配向するのが好ま
しい。最終的な製品の性質は延伸時間と延伸温度との関
係並びに延伸のタイプおよび度合に依存し、それらによ
って制御することができる。不透明度およびテクスチャ
ーを最大にするには、マトリックスポリマーのガラス転
移温度の直ぐ上で延伸を行う。高い方のガラス転移温度
近傍で延伸を行う場合は、両方の相がいっしょに延伸さ
れ、不透明度が減少する。前者の場合、各材料が引き離
される(機械的反相溶化方法)。2つの例は、繊維の拘
束溶融紡糸およびノンウーブン/不織製品を形成するフ
ィルムの溶融ブローである。要約すると、本発明の範囲
には、今説明した成形操作の全範囲が含まれる。
【0116】一般に、ボイド形成は、マトリックスポリ
マーの結晶配向とは無関係に起こり、またそれを必要と
しない。不透明なミクロボイド化フィルムは、完全に非
晶質の非結晶化コポリエステルをマトリックス相として
使用して、本発明に準じて製造される。引張強さおよび
バリヤーなどの性質によっては結晶性/配向性(歪硬化
性)マトリックス材料が好ましい。一方では、非晶質マ
トリックス材料は引裂抵抗およびヒートシール性などの
他の領域における特別な有用性を有する。具体的なマト
リックス組成を調製して、多くの製品要求を満たすこと
ができる。結晶から非晶質マトリックスポリマーまでの
全範囲が本発明の一部である。
【0117】本発明の写真要素用の透明高分子ベースの
厚い好ましい態様は、一体型複合多層二軸配向ポリオレ
フィンシートである。如何なる好適な二軸配向ポリオレ
フィンシートを本発明のベースに使用してもよい。ミク
ロボイド化二軸配向シートが好ましく、コアおよび表面
層を共押出し、次いで二軸配向させ、それによりコア層
の中に含有されているボイド開始材料の周りにボイドを
形成させることによって製造するのが好都合である。
【0118】中実密度のパ−セントは45%〜 100%、好
ましくは67〜 100%であるべきである。中実密度のパー
セントが67%未満になると、引張強さの低下のために複
合シートの加工性が低下し、画像の商業的価値を低下さ
せる表皮層の応力破壊などの物理的損傷をより受け易く
なる。
【0119】ボイド化コア層の厚みは10〜60μmである
のが好ましい。10μm未満のボイド化層を製造するのは
非常に困難である。60μmを超えると、構造体が、写真
要素が曲げられる際に遭遇する応力によって生ずる物理
的損傷をより受けやすくなる。このような応力は、写真
画像が消費者によって見られ、取り扱われる際に遭遇さ
れる。
【0120】上部層(感光性層とボイド化層との間の
層)の厚みは1〜15μmであるのが好ましい。1μm未
満の厚みでは、二軸配向層の限界に到達するので、ミク
ロボイド化シートを製造するのが困難となる。15μmを
超えると、層の光学的性能の改良は殆ど見られない。ミ
クロボイド層の直下の層の厚みは2〜15μmであるのが
好ましい。同じ理由で、この範囲外での製造は、製造上
の問題を引き起こしたり、写真支持体の光学的性能を改
良しなかったりすることがある。
【0121】シートの曲げ剛性は、LORENTZEN & WETTRE
STIFFNESS TESTER, MODEL 16Dを使用することによって
測定することができる。この機器からの出力は、長さ20
mm、幅38.1mmの、クランプで締められているサンプル
の、片持ちにされてクランプで締められていない側の端
を、無負荷の位置から15°の角度に曲げるのに必要とさ
れる力(ミリニュートン)である。ディスプレー材料に
好適な剛性の典型的な範囲は 120〜 300ミリニュートン
である。 120ミリニュートン未満では像形成支持体が商
業的価値を失い始めるので、少なくとも 120ミリニュー
トンを超える剛性が必要とされる。さらに、剛性が 120
ミリニュートン未満の像形成支持体はラボ装置において
搬送するのが困難である。
【0122】本明細書で使用される「ボイド」とは、添
加された固体および液体が無いこと(「ボイド」は気体
を含有していることが多い)を意味する。完成パッケー
ジシートコアに残留するボイド開始粒子は、所望の形状
および大きさのボイドを生ずるには、直径は 0.1〜10μ
mであり、好ましくは形状が丸いものであるべきであ
る。ボイドの大きさはまた縦方向および横方向への配向
度にも依存する。理想的には、ボイドは、2つの対向
し、かつ縁が接触している凹型ディスクによって規定さ
れる形状をとるであろう。換言すれば、ボイドはレンズ
状または両凸の形状を有する傾向がある。ボイドは、2
つの主次元がシートの縦方向および横方向に並ぶように
配向させられる。Z方向軸は副次元であり、おおよそボ
イド化粒子の断面直径の大きさである。これらのボイド
は一般に独立気泡になる傾向があり、従って、そこを通
って気体または液体が通り抜けることができるような、
ボイド化コアの一方の側面から他の側面に開いた経路は
事実上存在しない。
【0123】ボイド開始材料は種々の材料から選ぶこと
ができ、コアマトリックスポリマーの重量に対して約5
〜50重量%の量が存在すべきである。好ましくは、ボイ
ド開始材料は高分子材料を含んでなる。高分子材料を使
用する場合、その高分子材料は、コアマトリックスの製
造に用いるポリマーと溶融混合することができ、かつ懸
濁液を冷却するにつれて分散球状粒子を形成することが
できるポリマーであってもよい。これらの例には、ポリ
プロピレン中に分散されたナイロン、ポリプロピレン中
のポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテ
レフタレート中に分散されたポリプロピレンが挙げられ
る。ポリマーを予め造形し、マトリックスポリマー中に
配合する場合、重要な特性は粒子の大きさおよび形状で
ある。球体が好ましく、中空または中実であることがで
きる。これらの球体は、一般式がAr−C(R)=CH
2 であるアルケニル芳香族化合物(式中、Arは芳香族
炭化水素ラジカル、またはベンゼン系列の芳香族ハロ炭
化水素ラジカルを表し、Rは水素またはメチルラジカル
である);アクリレートタイプのモノマー、例えば式C
2 =C(R’)−C(O)(OR)(式中、Rは水素
および約1〜12個の炭素原子を含有しているアルキルラ
ジカルからなる群より選ばれ、R’は水素およびメチル
からなる群より選ばれる)のモノマー;塩化ビニルおよ
び塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよび塩化ビニ
ル、臭化ビニル、式CH2 =CH(O)COR(式中、
Rは2〜18個の炭素原子を含有しているアルキルラジカ
ルである)を有するビニルエステルのコポリマー;アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マ
レイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テ
レフタル酸およびジアルキルテレフタル酸もしくはその
エステル形成性誘導体を、HO(CH2 n OH(式
中、nは2〜10の範囲内にある整数である)系列のグリ
コールと反応させることによって調製され、反応性オレ
フィン系結合をポリマー分子内に有する合成ポリエステ
ル樹脂(上述のポリエステルには、反応性オレフィン系
不飽和を有する第二の酸もしくはそのエステルおよびそ
れらの混合物が共重合されて、その中に20重量%以下含
まれている)からなる群より選ばれたものである架橋ポ
リマーから製造することができ、架橋剤は、ジビニルベ
ンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、フマ
ル酸ジアリル、フタル酸ジアリルおよびそれらの混合物
からなる群より選ばれる。
【0124】架橋ポリマーを製造するための典型的なモ
ノマーの例には、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリ
ルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、エ
チレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、
酢酸ビニル、アクリル酸メチル、ビニルベンジルクロラ
イド、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼ
ン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニル
トルエンなどが含まれる。好ましくは、架橋ポリマーは
ポリスチレンまたはポリメタクリル酸メチルである。も
っとも好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンであ
り、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0125】当該技術分野において周知の方法では、ブ
ロードな粒径分布を特徴とする、大きさが不均一な粒子
が得られる。元々の粒径分布の範囲にわたるビーズを篩
分けすることによって、得られたビーズを分級すること
ができる。他の方法、例えば懸濁重合および限定凝集に
より、大きさが非常に均一な粒子が直接得られる。
【0126】ボイド開始材料に薬剤を塗布して、ボイド
生成を容易にしてもよい。好適な薬剤または滑剤には、
コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、および金属酸
化物、例えば酸化スズおよび酸化アルミニウムが含まれ
る。好ましい薬剤はコロイド状のシリカおよびアルミナ
であり、もっとも好ましくはシリカである。薬剤塗膜を
有する架橋ポリマーは当該技術分野において周知の手順
によって調製することができる。例えば、従来の懸濁重
合法であって、当該薬剤をその懸濁液に添加するものが
好ましい。薬剤としては、コロイド状シリカが好まし
い。
【0127】ボイド開始粒子は、中実または中空のガラ
ス球、金属もしくはセラミックのビーズまたは無機粒
子、例えばクレー、タルク、硫酸バリウム、および炭酸
カルシウムなどの無機球体であってもよい。重要なこと
は、これらの材料がコアマトリックスポリマーと化学的
に反応して以下の問題の1つ以上を引き起すことがない
ことである。(a)マトリックスポリマーの結晶化動力
学が変化して配向させるのが困難になること、(b)コ
アマトリックスポリマーの分解、(c)ボイド開始粒子
の破壊、(d)ボイド開始粒子のマトリックスポリマー
への接着、または(e)望ましくない反応生成物、例え
ば毒性のもしくは高度に着色した部分の発生。ボイド開
始粒子は写真活性のあるものであるべきではなく、また
は二軸配向ポリオレフィンシートが利用されている写真
要素の性能を低下させるものであるべきではない。
【0128】二軸配向シートについては、好ましい複合
シートの熱可塑性ポリマーの好適な類にはポリオレフィ
ンが含まれる。好適なポリオレフィンには、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレ
ン、ポリブチレンおよびそれらの混合物が含まれる。プ
ロピレンとエチレン、例えばヘキセン、ブテンおよびオ
クテンとのコポリマーなどのポリオレフィンコポリマー
もまた有用である。コストが低く、そして望ましい強度
特性を有するので、ポリプロピレンが好ましい。
【0129】複合シートの非ボイド化表皮層は、ボイド
化コアマトリックスについて上記に列挙したものと同じ
高分子材料から製造することができる。複合シートは、
コアマトリックスと同じ高分子材料の表皮層(複数であ
ってもよい)を用いて製造することができ、またはコア
マトリックスとは異なる高分子組成物の表皮層(複数で
あってもよい)を用いて製造することができる。
【0130】最上の表皮層または露出表面層の全厚は、
0.20〜 1.5μm、好ましくは 0.5〜1.0μmであるべき
である。 0.5μm未満では、共押出された表皮層に固有
の非平坦性により許容しがたい色変動が発生することに
なる。 1.5μmを超える表皮層厚みでは、写真光学特
性、例えば画像解像度が低下する。 1.5μmを超える厚
みではまた、凝塊またはカラー顔料の分散不良などの汚
染のために濾過すべき材料の容積が大きくなる。
【0131】最上の表皮層に添加剤を添加して、像形成
要素の色を変化させてもよい。写真用途には、僅かに青
味がかった白色ベースが好ましい。当該技術分野におい
て知られているいずれかの方法、例えば着色剤濃厚物を
押出前に機械配合すること、および所望の配合比で予め
配合された青色着色剤を溶融押出することによって、僅
かな青味を加えることができる。表皮層の共押出には 3
20℃を超える温度が必要であるので、 320℃を超える押
出温度に耐えることができる着色顔料が好ましい。本発
明に使用される青色着色剤は、像形成要素に悪影響を及
ぼさないならばいずれの着色剤であってもよい。好まし
い青色着色剤には、フタロシアニン青色顔料、クロモフ
タール青色顔料、イルガジン青色顔料、およびイルガラ
イト有機青色顔料が含まれる。蛍光増白剤を表皮層に添
加して、紫外線エネルギーを吸収し、主として青色領域
で発光させてもよい。
【0132】さらなる添加剤をコアマトリックスおよび
/または表皮層に添加して、これらのシートの画像鮮鋭
度、不透明度、および白色度などの光学特性を改良して
もよい。これには、紫外線領域においてエネルギーを吸
収し、主として青色領域で発光する蛍光発光剤およびシ
ートの物理的性質または加工性を改良する他の添加剤が
含まれるであろう。
【0133】これらの複合シートの共押出、急冷、配
向、および熱固定は、フラットシート法またはバブルも
しくはチューブラー法などの、配向シートを製造するの
に当該技術分野において知られているいずれの方法で行
ってもよい。フラットシート法には、スリットダイを通
して配合物を押出し、押出されたウェブを冷却キャステ
ィングドラム上で迅速に急冷して、シートのコアマトリ
ックスポリマー成分および表皮層成分をそれらのガラス
凝固温度未満に急冷することが含まれる。次に、急冷さ
れたシートを、ガラス転移温度より高いけれども、マト
リックスポリマーの溶融温度より低い温度で互いに垂直
な方向に延伸することによって二軸配向させる。このシ
ートを一方向に延伸し、次に第二方向に延伸しても、ま
たは同時に両方向に延伸してもよい。シートを延伸した
後、両延伸方向における収縮に抗してシートをある程度
拘束しながら、ポリマーを結晶化またはアニールするの
に十分な温度まで加熱することによって、シートを熱固
定する。
【0134】複合シートは、コアおよび各々の側面の表
皮層の少なくとも3層を有するのが好ましいと記載した
けれども、二軸配向シートの性質を変えるのに役立つ追
加層を具備していてもよい。二軸配向シートは、支持体
および写真要素の接着性を改良する表面層を備えるよう
に形成されていてもよい。二軸配向押出は、ある特定の
所望の特性を達成することが望まれる場合には、10層に
及ぶ多数の層を用いて実施することができる。
【0135】これらの複合シートを、共押出および配向
過程の後またはキャスティングと全配向との間に、プリ
ント性などのシートの特性を向上させるのに使用するこ
とができるいくつかの数の塗膜で塗布または処理して、
蒸気バリヤーを提供し、それらをヒートシール可能に
し、または支持体もしくは感光性層への接着性を向上さ
せてもよい。これらの例としては、プリント性について
はアクリル系塗膜、ヒートシール特性についてはポリ塩
化ビニリデン塗膜がある。さらなる例としては、プリン
ト性または接着性を向上させるための火炎処理、プラズ
マ処理またはコロナ放電処理が含まれる。
【0136】ミクロボイド化コア上に少なくとも1層の
非ボイド化表皮層を有することにより、シートの引張強
さが増大し、加工性がより高くなる。それにより、すべ
ての層をボイド化してシートを製造する場合よりも、よ
り広幅で、かつより高い延伸比でシートを製造すること
が可能となる。それらの層を共押出することにより、製
造工程がさらに単純化される。
【0137】写真要素がポリエチレン頂部層に塗布され
ている好ましい多層二軸配向透明ベース材料の例は以下
の通りである。
【0138】 ──────────────────── 青味を付けたポリエチレン表皮層 ──────────────────── 蛍光増白剤を有するポリプロピレン ──────────────────── ボイド化ポリプロピレンコア ──────────────────── ポリプロピレン表皮層 ────────────────────
【0139】本明細書で使用されているように、「写真
要素」という句は、画像の形成に感光性ハロゲン化銀を
利用する像形成要素を意味する。写真要素は、黒白、単
色要素または多色要素であることができる。多色要素
は、スペクトルの三原色領域の各々に感度を有する画像
色素形成ユニットを含有している。各ユニットは、スペ
クトルの所定の領域に感度を有する単一の乳剤層または
複数の乳剤層を含むことができる。それらの要素の層
(画像形成ユニットの層を含む)は、当該技術分野にお
いて知られている種々の順序に配列することができる。
別の態様では、スペクトルの三原色領域の各々に感度を
有する乳剤を単一の区分層として配置することができ
る。
【0140】本発明のディスプレー材料については、少
なくとも1層の画像層が、前記像形成要素の頂部側にあ
るハロゲン化銀および色素形成カプラーを含有している
少なくとも1層の像形成層を含んでなるのが好ましい。
色素濃度の増大が必要とされる場合には、前記像形成要
素の頂部側および底部側にあるハロゲン化銀および色素
形成カプラーを含有している像形成層が好ましい。本発
明の支持体の両側にハロゲン化銀および色素形成カプラ
ーを含有している像形成層を塗布することにより、ディ
スプレー画像の色素濃度を増大させると同時に画像現像
過程の効率を維持する50秒の現像時間が可能となる。
【0141】本発明に有用な写真乳剤は、一般に、当該
技術分野における従来の方法によりハロゲン化銀結晶を
コロイド状マトリックス中に析出させることによって調
製される。コロイドは、概して、ゼラチン、アルギン
酸、またはそれらの誘導体などの親水性のフィルム形成
剤である。
【0142】析出工程で形成された結晶を洗浄し、次
に、分光増感色素および化学増感剤を添加し、そして加
熱工程(乳剤温度を概して40℃〜70℃に上げ、一定時間
維持する)に付すことによって化学増感および分光増感
させる。本発明に用いられる乳剤を調製するのに利用さ
れる析出並びに分光増感および化学増感の方法は当該技
術分野において知られている方法とすることができる。
【0143】乳剤の化学増感には、概して、硫黄含有化
合物、例えばアリルイソチオシアネート、チオ硫酸ナト
リウムおよびアリルチオ尿素;還元剤、例えばポリアミ
ンおよび第一スズの塩;貴金属化合物、例えば金、白
金;並びに高分子薬剤、例えばポリアルキレンオキシド
などの増感剤が用いられる。記載されているように、熱
処理を施して化学増感を完了させる。分光増感は、可視
または赤外スペクトル内の対象とする波長範囲となるよ
うに設計された色素の組み合わせを用いて行う。このよ
うな色素を熱処理前および熱処理後の両時点で添加する
ことが知られている。
【0144】分光増感後、乳剤を支持体上に塗布する。
種々の塗布技法には、浸漬コーティング、エアナイフコ
ーティング、カーテンコーティング、および押出コーテ
ィングが含まれる。
【0145】本発明に利用されるハロゲン化銀乳剤は、
如何なるハロゲン化物配分になっていてもよい。従っ
て、それらは、塩化銀、臭化銀、臭塩化銀、塩臭化銀、
ヨウ塩化銀、ヨウ臭化銀、臭ヨウ塩化銀、塩ヨウ臭化
銀、ヨウ臭塩化銀、およびヨウ塩臭化銀の乳剤からなっ
ていてもよい。しかしながら、乳剤は主に塩化銀乳剤で
あるのが好ましい。主に塩化銀であるとは、約50モル%
を超える乳剤粒子が塩化銀であることを意味する。好ま
しくは、それらは約90モル%超が塩化銀であり、最適に
は約95モル%超が塩化銀である。
【0146】これらのハロゲン化銀乳剤は任意の大きさ
および形態の粒子を含有することができる。従って、こ
れらの粒子は、立方形、八面体、立方八面体、または立
方格子タイプのハロゲン化銀粒子において天然に産出す
る任意の他の形態の形をとっていてもよい。さらに、こ
れらの粒子は非等軸のもの、例えば、球状粒子または平
板状粒子であってもよい。平板形状または立方形の形態
を有する粒子が好ましい。
【0147】本発明の写真要素は、The Theory of the
Photographic Process, Fourth Edition, T.H. James,
Macmillan Publishing Company, Inc., 1977, pages 15
1-152 に記載されている乳剤を利用していてもよい。ハ
ロゲン化銀乳剤の写真感度を高めるために還元増感を施
すことが知られている。還元増感されたハロゲン化銀乳
剤は一般に良好な写真スピードを示すけれども、それら
には望ましくないカブリおよび貯蔵安定性不良という欠
点があることが多い。
【0148】還元増感は、還元増感剤(銀イオンを還元
して金属銀原子を形成させる化学物質)を添加すること
により、または還元性環境(例えば、高pH(水酸化物
イオン過剰)および/または低pAg(銀イオン過
剰))を提供することによって、意図的に実施すること
ができる。ハロゲン化銀乳剤の析出中に、例えば、硝酸
銀またはアルカリ溶液を迅速にまたは混合不良な状態で
添加した場合に、偶発的な還元増感が起こって、乳剤粒
子を形成することがある。また、チオエーテル、セレノ
エーテル、チオ尿素、またはアンモニアなどの熟成剤
(粒子成長改質剤)の存在下でハロゲン化銀乳剤を析出
させると、還元増感が促進される傾向がある。
【0149】析出または乳剤を還元増感するための分光
増感/化学増感の際に使用される還元増感剤および環境
の例には、米国特許第 2,487,850号、同 2,512,925号、
および英国特許第 789,823号の各明細書に記載されてい
るアスコルビン酸誘導体、スズ化合物、ポリアミン化合
物、および二酸化チオ尿素系化合物が含まれる。還元増
感剤または条件の具体例、例えばジメチルアミンボラ
ン、塩化第一スズ、ヒドラジン、高pH(pH8〜1
1)、および低pAg(pAg1〜7)での熟成が、S.
Collierによって、Photographic Science and Engineer
ing, 23, 113 (1979)において考察されている。意図的
に還元増感されたハロゲン化銀乳剤の調製方法の例が、
欧州特許公開公報第 0 348 934号 (Yamashita)、欧州特
許第 0 369 491号 (Yamashita)、同第 0 371 388号(Oha
shi)、欧州特許公開公報第 0 396 424号(Takada)、同第
0 404 142号(Yamada)、および同第 0 435 355号(Makin
o)の各明細書に記載されている。
【0150】本発明の写真要素は、リサーチディスクロ
ージャー (Research Disclosure)、1994年9月、アイテ
ム 36544、セクションI(Kenneth Mason Publication
s, Ltd., Dudley Annex, 12a North Street, Emsworth,
Hampshire PO10 7DQ, ENGLAND 発行)に記載されてい
る第VIII族金属、例えばイリジウム、ロジウム、オスミ
ウムおよび鉄でドープされた乳剤を使用してもよい。さ
らに、ハロゲン化銀乳剤の増感におけるイリジウムの使
用についての一般的な要約は、Carroll の"Iridium Sen
sitization: A Literature Review", Photographic Sci
ence and Engineering, Vol.24, No.6, 1980に含有され
ている。イリジウム塩および写真分光増感色素の存在下
で乳剤を化学増感させることによってハロゲン化銀乳剤
を製造する方法は、米国特許第 4,693,965号明細書に記
載されている。場合によっては、このようなドーパント
を導入した際に、The British Journal of Photographi
c Annual, 1982, pages 201-203 に記載されているカラ
ーリバーサルE−6法で処理すると、フレッシュカブリ
の増加およびコントラストが低い特性曲線を乳剤が示
す。
【0151】本発明の典型的な多色写真要素は、少なく
とも1種のシアン色素形成カプラーを関連して有する赤
感性ハロゲン化銀乳剤層を少なくとも1層含んでなるシ
アン色素画像形成ユニット、少なくとも1種のマゼンタ
色素形成カプラーを関連して有する緑感性ハロゲン化銀
乳剤層を少なくとも1層含んでなるマゼンタ色素画像形
成ユニット、および少なくとも1種のイエロー色素形成
カプラーを関連して有する青感性ハロゲン化銀乳剤層を
少なくとも1層含んでなるイエロー色素画像形成ユニッ
トを担持している本発明のラミネート支持体を含んでな
る。この要素は、追加層、例えばフィルター層、中間
層、オーバーコート層、下塗り層などを含有していても
よい。本発明の支持体を黒白写真プリント要素に利用し
てもよい。
【0152】本発明の写真要素はまた、米国特許第 4,2
79,945号および同 4,302,523号の各明細書に記載されて
いるように、透明磁気記録層、例えば透明支持体の裏側
に磁性粒子を含んでいる層を含有していてもよい。概し
て、この要素は約5〜約30μmの全厚(支持体を除く)
を有するであろう。
【0153】以下の表では、(1)リサーチディスクロ
ージャー、1978年12月、アイテム 17643、(2)リサー
チディスクロージャー、1989年12月、アイテム308119、
および(3)リサーチディスクロージャー、1994年9
月、アイテム 36544(すべてKenneth Mason Publicatio
ns, Ltd., Dudley Annex, 12a North Street, Emswort
h, Hampshire PO10 7DQ, ENGLAND 発行)を参照する。
以下の表および表中で引用されている参考文献は、本発
明の要素に使用するのに好適な個々の構成成分を説明し
ているものとして読むべきである。以下の表およびその
引用参考文献はまた、要素の調製、露光、処理、および
取り扱いの好適な方法、並びにそこに含有されている画
像をも説明している。
【0154】
【表1】
【0155】写真要素は、紫外、可視および赤外領域の
電磁スペクトルを含む種々の形のエネルギーで、並びに
電子ビーム、β線、γ線、X線、α粒子、中性子線、お
よび非コヒーレント(ランダム相)形または(レーザー
によって生ずる)コヒーレント(同期位相)形のいずれ
かの他の形の粒子および波状の輻射エネルギーで、露光
させることができる。写真要素がX線によって露光され
ることが企図されている場合、それらが従来の放射線写
真要素に見出される特徴を含んでいてもよい。
【0156】前記像形成要素が前記半透明高分子シート
の両側にハロゲン化銀および色素形成カプラーを含む色
素形成層を少なくとも1層含んでなる、本発明の好まし
い反射型/透過型ディスプレー材料については、本発明
の像形成要素を平行ビームによって露光させ、潜像を形
成させて、次に好ましくは熱処理以外によって処理をし
て、可視画像を形成させるのが好ましい。平行ビーム
は、ディジタル印刷並びに大した内部光散乱無しに頂部
側および底部側の像形成層の同時露光を可能にするので
好ましい。平行ビームの好ましい例は、輻射線の誘導放
出による光増幅としても知られるレーザーである。この
技術は多数のタイプのディジタル印刷装置に幅広く使用
されているため、レーザーが好ましい。さらに、レーザ
ーは、望ましくない光散乱無しに、本発明のディスプレ
ー材料の頂部面および底部面の感光性ハロゲン化銀塗膜
を同時に露光させるのに十分なエネルギーを供給する。
その後の、潜像から可視画像への処理は、既知のRA−
4(商標)(Eastman Kodak Company) プロセスまたは高
塩化物乳剤を現像するのに好適な他の処理システムで実
施するのが好ましい。
【0157】本発明の写真要素の処理および現像の後
に、その写真要素を商業用途および消費者用途のための
透過型ディスプレー材料として使用してもよい。商業用
途用の従来技術の透過型ディスプレー材料は概して大判
( 100cm× 200cm)であり、画像の背面照明を提供する
装置と組み合わせて使用される。消費者による家庭用途
については、少なくとも一部が開口しているかまたは透
明な1つの面を備えた容器、この開口しているかまたは
透明な面に向けて光を提供するように適合させた光源、
写真要素を懸架するための手段を含んでなるディスプレ
ー装置が好ましい。このディスプレー装置により、家庭
において見られる色素色相角が維持されている高品質デ
ィスプレー画像が可能となるであろう。この好ましいデ
ィスプレー装置と組み合わされる本発明の写真要素の消
費者用途の例は、透過型画像を卓上で見ることである。
【0158】以下の例は本発明の実施を説明するもので
ある。それらは本発明のすべての可能な変型を網羅する
ように企図されたものではない。部および百分率は、特
に断らない限り、重量法によるものである。
【0159】
【実施例】例1 この例では、二軸配向ポリオレフィンシートを写真グレ
ードポリエステルシートにラミネートすることによっ
て、色相角が維持されている不透明写真ディスプレー材
料を製造した。次に、この不透明ディスプレー材料に典
型的な消費者用ハロゲン化銀乳剤を塗布した。この例の
二軸配向シートは照明光源を拡散させるように選ばれた
ボイド化レベルを有していた。本発明を、ベース中にT
iO2 がある従来技術の透過型ディスプレー材料と比較
した。色素色相角変化を測定するために、白色顔料がま
ったく無い透明ポリエステルベースにもハロゲン化銀乳
剤を塗布した。この例により、TiO2 がある従来技術
の透過型支持体は透明支持体に塗布された色素から±10
°以内にある色素色相角を有していたのに対して、本発
明のイエロー、マゼンタ、およびシアンの色素色相角は
透明支持体に塗布された色素から±5°以内に維持され
ていることが示されるであろう。
【0160】以下の二軸配向ポリオレフィンシートを写
真グレードポリエステルベースの頂部面に押出ラミネー
トすることによって、本発明の以下の写真用透過型ディ
スプレー材料を調製した。
【0161】頂部シート(乳剤側):複合シートは、L
1、L2、L3、L4、およびL5と識別される5つの
層からなる。L1は、感光性ハロゲン化銀層が付与され
た二軸配向シートの頂部上にある薄い着色層である。L
2は、蛍光増白剤が添加された層である。使用した蛍光
増白剤はCiba-Geigy製のHostalux KS である。
【0162】写真グレードポリエステルベース:110μ
m厚のポリエチレンテレフタレートベースは、透明であ
り、ベースの両側にゼラチンを塗布し、乾燥させたもの
である。このポリエチレンテレフタレートベースは、縦
方向の剛性が30ミリニュートンであり、横方向の剛性が
40ミリニュートンであった。
【0163】この例に使用した頂部シートを共押出し、
二軸配向させた。この頂部シートを、Exxon Chemical C
orp.製のメタロセン触媒エチレンプラストマー(SLP 908
8)を使用してポリエステルベースに溶融押出ラミネート
した。このメタロセン触媒エチレンプラストマーは、密
度が 0.900g/cm3 であり、メルトインデックスが14.0
であった。
【0164】この二軸配向シート用のL3層はミクロボ
イド化されたものであり、表2にさらに記載されてい
る。表2には、L3層を通る単一の切片に沿って測定さ
れた屈折率および幾何学的厚みが示されており、それら
は連続層を意味せず、別の位置に沿った切片では、その
厚みとは異なるけれども、およそ同じ厚みを示すであろ
う。屈折率が 1.0の領域は空気で満たされたボイドであ
り、残りの層はポリプロピレンである。
【0165】
【表2】
【0166】本発明の構造は以下の通りである。
【0167】 ───────────────────── 青味を付けたポリエチレン ───────────────────── 蛍光増白剤を有するポリプロピレン ───────────────────── ミクロボイド化ポリプロピレン ───────────────────── メタロセン触媒エチレンプラストマー ───────────────────── ゼラチン下塗り層 ───────────────────── 透明ポリエステルベース ───────────────────── ゼラチン下塗り層 ─────────────────────
【0168】この例で使用した対照標準は、照明光源の
ディフューザーとしてTiO2 を使用する典型的な従来
技術の材料である。この例で使用した従来技術の材料
は、片側にカラーハロゲン化銀が塗布されている厚みが
180μmのポリエステル支持体であるKodak Duratrans
(Eastman Kodak Co.) である。コーティングフォーマッ
ト1を使用して、この支持体を塗布した。この支持体は
透明なゼラチンで下塗りされた写真グレードポリエステ
ルである。ハロゲン化銀乳剤は最底部のゼラチン層に約
2.2g/m2 ( 200mg/ft2 )のルチル型TiO2 を含
有している。
【0169】下記コーティングフォーマット1を透明写
真グレードポリエチレンテレフタレートベースに塗布し
て、コーティングフォーマット1の本来のまたは固有の
色素色相を確立した。このポリエチレンテレフタレート
ベースは 110μmの厚みであり、ベースの両側がゼラチ
ンで下塗りされていた。このポリエチレンテレフタレー
トベースは、縦方向の剛性が30ミリニュートンであり、
横方向の剛性が40ミリニュートンであった。このポリエ
ステルベース材料の透過率(%)は96%であった。
【0170】コーティングフォーマット1を利用して、
写真用透過型ディスプレー材料を調製し、頂部二軸配向
シート上のL1ポリエチレン層に塗布した。
【0171】 コーティングフォーマット1 レイダウン(mg/m2 ) 層1 青感性 ゼラチン 1300 青感性銀 200 Y−1 440 ST−1 440 S−1 190
【0172】 層2 中間層 ゼラチン 650 SC−1 55 S−1 160
【0173】 層3 緑感性 ゼラチン 1100 緑感性銀 70 M−1 270 S−1 75 S−2 32 ST−2 20 ST−3 165 ST−4 530
【0174】 層4 UV中間層 ゼラチン 635 UV−1 30 UV−2 160 SC−1 50 S−3 30 S−1 30
【0175】 層5 赤感性層 ゼラチン 1200 赤感性銀 170 C−1 365 S−1 360 UV−2 235 S−4 30 SC−1 3
【0176】 層6 UVオーバーコート ゼラチン 440 UV−1 20 UV−2 110 SC−1 30 S−3 20 S−1 20
【0177】 層7 SOC ゼラチン 490 SC−1 17 SiO2 200 界面活性剤 2
【0178】
【化4】
【0179】
【化5】
【0180】この例のディスプレー材料に、3色(赤、
緑、および青)レーザー感光度計を使用して試験画像を
印刷した。このディスプレー支持体の分光透過率を、X-
Rite310型写真濃度計を使用して測定した。手順 D6500
で、Hunter分光光度計、CIE表色系を使用して、この
ディスプレー材料のL* 、a* およびb* もまた透過方
式で測定した。透過方式により、背面照明の透通しの量
に関する定性評価を行った。光源のフィラメントはディ
スプレー材料画像の妨げとなるので、かなりの量の透通
しは望ましくないとみなされるであろう。本発明につい
てのデータを下記の表2に列挙する。
【0181】
【表3】
【0182】この例の感光性ハロゲン化銀コーティング
フォーマットを塗布された本発明の透過型ディスプレー
支持体は、写真用透過型ディスプレー材料に要求される
すべての特性を示す。さらに、本発明の写真用透過型デ
ィスプレー材料は、TiO2が導入されている従来技術
の透過型ディスプレー材料を代表とする従来技術の透過
型ディスプレー材料に勝る多くの利点を有する。本発明
のボイド化層および非ボイド化層は、L* 、不透明度、
およびフィラメントの透通しの制御に最適な光学特性を
提供するように調整されたレベルの蛍光増白剤および着
色剤を有する。コーティングフォーマット1の本来の黄
色度が本発明のL1の青の色合いによって相殺されたた
めに、本発明の濃度最小領域は対照標準材料の黄色度と
比較して中性の白であり、知覚的に好ましいディスプレ
ー材料を生じた。本発明についての%透過率(40%)
は、照明光源ディフューザーとして高価なTiO2 を使
用しないにもかかわらず、従来技術の材料(42%)とお
およそ同等である。本発明は、従来技術の材料が僅かな
透通しを有していたのと比較して、照明光源の透通しを
まったく有していなかった。
【0183】コーティングフォーマット1のイエロー、
マゼンタ、およびシアンの色素の色相角の変化は、Ti
2 が導入されている対照標準サンプルと比較して、白
色顔料をまったく含有していない透明支持体を用いた方
がより小さかった。透明支持体に塗布されたコーティン
グフォーマット1のイエロー色素についての色素色相角
は98°であった。従来技術の材料に塗布された同じイエ
ロー色素は96°のイエロー色素色相角(赤黄色にあた
る)を生じた。コーティングフォーマット1における色
素の組は、本発明の半透明ベースに塗布すると、知覚的
に好ましい96°のイエロー色素色相角(緑黄色にあた
る)を生じた。この知覚的に好ましい緑黄色は、対照標
準よりも高品質の画像を生じ、黄緑はディスプレー材料
により多くの注意を引きつける傾向があるであろう。上
記データはまた、マゼンタ色素色相角が、従来技術の透
過型材料では8°変化したのと比較して、本発明では1
°しか変化しなかったことを示している。同様に、シア
ン色素色相角は、従来技術の透過型材料では14°変化し
たにもかかわらず、本発明の材料では5°しか変化しな
かった。
【0184】要約すると、従来技術の材料は透明支持体
に塗布されたコーティングフォーマット1の固有の色素
色相から色素色相を±14°も変化させるのに対して、本
発明のディスプレー材料は±5°しか変化させない。本
発明の材料はコーティングフォーマット1の色素色相を
維持するのにはるかに良好なはたらきをし、結果として
従来技術のディスプレー材料と比較して知覚的に好まし
い画像を生ずる。
【0185】本発明を、その特定の好ましい態様に特に
関して詳細に説明してきたけれども、本発明の精神およ
び範囲内で、種々の変化および改良を行うことができる
ことが理解されるであろう。
【0186】本発明の他の好ましい態様を、請求項との
関連において、次に記載する。
【0187】[1] 半透明ベース並びに少なくとも1
種のハロゲン化銀乳剤層および色素形成カプラーを含む
色形成層を含んでなる写真要素であって、前記ベース
が、ボイドを含有している透明高分子シートを含む少な
くとも1種の高分子シートを含んでなるけれども、前記
半透明シートに白色光反射顔料を実質的に含まず、かつ
前記半透明ベースが15%〜85%の光透過率を有する写真
要素。
【0188】[2] 前記半透明ベースが、前記半透明
シートがラミネートされている透明高分子シートを含ん
でなるラミネートであり、前記半透明シートが二軸配向
ポリオレフィンシートを含んでなる、[1]に記載の写
真要素。
【0189】[3] 前記半透明ベースが一体型複合共
押出二軸配向ポリオレフィンシートからなる、[1]に
記載の写真要素。
【0190】[4] 前記二軸配向ポリオレフィンシー
トが多層共押出シートを含んでなり、その少なくとも1
層がボイド化されている、[3]に記載の写真要素。
【0191】[5] 前記ベースがボイド化配向ポリエ
ステルシートからなる半透明シートを含んでなる、
[1]に記載の写真要素。
【0192】[6] 前記ボイド化ポリエステルシート
が多層共押出シートを含んでなり、その少なくとも1層
がボイド化されている、[5]に記載の写真要素。
【0193】[7] 前記光透過率が34〜42%である、
[1]に記載の写真要素。
【0194】[8] 露光および現像後の前記要素が、
実質的に透明なベース上の同じ色素の色相角から約5°
未満の色相角の変化を有する、[1]に記載の写真要
素。
【0195】[9] 前記光透過率が85〜40%である、
[1]に記載の写真要素。
【0196】[10] 前記透明ポリマーの平均ボイド
率が10容量%〜60容量%である、[1]に記載の写真要
素。
【0197】[11] 前記ベースのボイドにおけるボ
イド開始材料が顔料性材料ではない、[1]に記載の写
真要素。
【0198】[12] 少なくとも部分的に開口してい
るかもしくは透明な1つの側面、当該開口側面もしくは
透明側面に光を提供するのに適合した光源、ベース、少
なくとも1種のハロゲン化銀乳剤層と色素形成カプラー
との反応によって形成される色の層を含んでなる写真要
素を懸架するための手段を備えた容器を含んでなる表示
装置であって、前記ベースが、ボイドを含有している透
明高分子シートを含む半透明高分子シートを含んでなる
けれども、前記半透明シートに白色光反射顔料を実質的
に含まず、かつ前記半透明シートが15%〜85%の光透過
率を有し、少なくとも部分的に開口している前記1つの
側面に懸架されている表示装置。
【0199】
【発明の効果】本発明は、写真色素の色素色相を維持
し、同時に、ディスプレー材料を照らすのに使用される
光の有効な拡散を可能とすることによって、より明るく
コントラストの強い画像を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ピーター トーマス エイルワード アメリカ合衆国,ニューヨーク 14468, ヒルトン,ハスキンズ レーン ノース 92 (72)発明者 ロバート ポール ボーデレイス アメリカ合衆国,ニューヨーク 14534, ピッツフォード,オークシャー ウェイ 59

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半透明ベース並びに少なくとも1層のハ
    ロゲン化銀乳剤層および色素形成カプラーを含む色形成
    層を含んでなる写真要素であって、 前記ベースが、ボイドを含有している透明高分子シート
    を含む少なくとも1種の高分子シートを含んでなるけれ
    ども、前記半透明シートに白色光反射顔料を実質的に含
    まず、かつ前記半透明ベースが15%〜85%の光透過率を
    有する写真要素。
  2. 【請求項2】 少なくとも部分的に開口しているかまた
    は透明な1つの側面、当該開口側面または透明側面に向
    けられた光を提供するのに適合した光源、ベース、少な
    くとも1層のハロゲン化銀乳剤層と色素形成カプラーと
    の反応によって形成されるカラー層を含む写真要素を懸
    架するための手段を備えた容器を含んでなる表示装置で
    あって、 前記ベースが、ボイドを含有している透明ポリマーを含
    む半透明高分子シートを含んでなるけれども、前記半透
    明シートに白色光反射顔料を実質的に含まず、かつ前記
    半透明シートが15%〜85%の光透過率を有し、少なくと
    も部分的に開口している前記1つの側面に懸架されてい
    る表示装置。
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