JP2000096198A - 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
缶胴用アルミニウム合金板の製造方法Info
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Abstract
に優れる缶胴用Al合金板をBR屑を用い、CAL焼鈍
を省略して、低コスト、高生産性で製造する。 【解決手段】 Siを0.3wt%超え0.5wt%以下、
Feを0.3〜0.7wt%、Cuを0.05〜0.5wt
%、Mnを0.8〜1.4wt%、Mgを0.8〜1.4
wt%、Znを0.05〜1.0wt%、Tiを0.01〜
0.1wt%含有し、残部がAlおよび不可避不純物から
なるAl合金鋳塊に均質化処理、粗圧延と仕上圧延から
なる熱間圧延、冷間仕上圧延を順に施し、その後必要に
応じて仕上焼鈍を施す缶胴用Al合金板の製造方法であ
って、前記熱間仕上圧延の終了温度Tを(240+20
0s(s:Siのwt%))℃以上370℃以下とし、熱
間仕上圧延終了後100℃以下までを10℃/hr以上
の冷却速度で冷却し、得られるAl合金板における直径
0.1〜1μmのMg2 Si析出物の個数を10000
個/mm2 以下にする。
Description
(ブレージングシートなどの屑)を使用し、かつ熱間仕
上圧延後のCAL焼鈍を省略した低コストの缶胴(キャ
ンボディ)用アルミニウム合金板の製造方法に関する。
来より、絞り、しごき、フランジ(蓋巻締め部)の各成
形性に優れるJIS3004合金(Si0.3,Fe0.7,Cu0.25,
Mn1.0〜1.5, Mg0.8〜1.3,Zn0.25wt%)やJIS3104
合金などが用いられている。前記缶胴用合金板は、前記
合金鋳塊に、均質化処理、熱間圧延、CAL焼鈍、冷間
圧延を施して製造されている(特開昭61-288055 号公報
参照)。近年、コスト低減、生産性向上を目的に、原料
の一部にBR屑を使用し、かつCAL焼鈍を省略する製
造方法(特開平6-2090号公報)が提案されている。
4合金にBR屑を配合した原料を使用し、かつCAL焼
鈍を省略して製造したものは、しごき成形性は向上する
が、強度、耐食性、および耳率が悪化するという問題が
ある。これはBR屑にはSiが多く含まれるため熱間圧
延後Mg2 Siが析出し易くなり、この析出物はCAL
焼鈍を行わないため固溶せず、その結果強度および耐食
性が低下し、また再結晶率が低くなり耳率が高くなるの
である。このようなことから、本発明者等は、JIS3
004合金にBR屑を配合して得た鋳塊を用いて熱間圧
延後におけるMg2 Siの析出挙動を調査した。その結
果、圧延上がり温度を高くし、その後急速冷却すること
によりMg2 Siは析出が十分抑制されることを知見
し、さらに研究を進めて本発明を完成させるに至った。
本発明は、BR屑を使用し、かつ熱間仕上圧延後のCA
L焼鈍を省略した低コストの缶胴用アルミニウム合金板
の製造方法に関する。
Siを0.3wt%超え0.5wt%以下、Feを0.3〜
0.7wt%、Cuを0.05〜0.5wt%、Mnを0.
8〜1.4wt%、Mgを0.8〜1.4wt%、Znを
0.05〜1.0wt%、Tiを0.01〜0.1wt%含
有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるAl合金
鋳塊に均質化処理、粗圧延と仕上圧延からなる熱間圧
延、冷間仕上圧延を順に施し、その後必要に応じて仕上
焼鈍を施す缶胴用Al合金板の製造方法であって、前記
熱間仕上圧延の終了温度Tを(240+200s(s:
Siのwt%))℃以上370℃以下とし、熱間仕上圧延
終了後100℃以下までを10℃/hr以上の冷却速度
で冷却し、得られるAl合金板における直径0.1〜1
μmのMg2 Si析出物の個数を10000個/mm2
以下にすることを特徴とする缶胴用アルミニウム合金板
の製造方法である。
圧延終了後100℃以下まで冷却した板材の再結晶率が
90%以上であることを特徴とする請求項1記載の缶胴
用アルミニウム合金板の製造方法である。ここで、再結
晶率は、L方向断面のバーカー法(観察倍率100倍)
により測定した再結晶率の5視野の平均値を用いて評価
した結果である。
板の合金組成について説明する。FeとMnはFe−M
n系化合物として析出して、しごき加工時の耐焼付性を
向上させる。FeとMnの含有量をそれぞれ0.3〜
0.7wt%および0.8〜1.4wt%に規定する理由
は、下限未満ではいずれもその効果が十分に得られず、
上限を超えるといずれも初晶巨大化合物が生成して成形
性が著しく低下するためである。
て、前記化合物をより硬い化合物に変態させてしごき加
工時の耐焼付性を向上させ、また前記化合物を微細化し
てしごき成形性とフランジ成形性を向上させる。この
他、SiはAlマトリックスに固溶して強度向上に寄与
する。MgとCuも同じようにして強度向上に寄与す
る。Si、Mg、Cuの含有量を、それぞれ0.3wt%
を超え0.5wt%以下、0.05〜0.5wt%、0.8
〜1.4wt%に規定する理由は、下限未満ではいずれも
その効果が十分に得られず、上限を超えるといずれもし
ごき成形性やフランジ成形性が低下し、さらにSiとM
gの一部は、熱間仕上圧延後にMg2 Siとして析出す
るが、この析出量が多いと、SiとMgの固溶量が減少
して強度が低下し、またMg2 Siを起点として孔食が
起き易くなり、さらに熱間仕上圧延後の再結晶が阻害さ
れて耳率が高くなるためである。
上に寄与し、またMg2 Siなどの晶出物や析出物を微
細化して、前記晶出物や析出物を起点とする孔食の発生
を抑える。Znの含有量を0.05〜1.0wt%に規定
する理由は、0.05wt%未満ではその効果が十分に得
られず、1.0wt%を超えると成形性が低下し、またM
gZn2 化合物が析出して孔食が起き易くなるためであ
る。Znは0.25wt%を超えて含有させると十分な強
度が得られ望ましい。
合金板に筋状模様が発生するのを抑える。Tiの含有量
を0.01〜0.1wt%に規定する理由は、0.01wt
%未満ではその効果が十分に得られず、0.1wt%を超
えると初晶巨大化合物が生成して成形性が低下するため
である。Tiの微細化効果はBを複合添加することによ
り向上する。このため、必要に応じてBを0.0001
〜0.01wt%の範囲で添加する。
発明規定組成の合金をDC鋳造して鋳塊とし、この鋳塊
に、均質化処理、熱間粗圧延、熱間仕上圧延、冷間圧延
を施して製造される。冷間圧延後、必要に応じて仕上焼
鈍が施される。前記均質化処理では、晶出物が再固溶し
固溶元素の濃度分布が均一化する。さらにこの均質化処
理で、前記Fe−Mn系化合物にSiが作用して得られ
る合金板の耐焼付性が向上する。前記均質化処理は、そ
の効果および生産性を考慮すると580〜620℃、4
〜12hrの条件で施すのが望ましい。
を、(240+200s(sはSiのwt%))℃以上3
70℃以下に規定し、さらに熱間仕上圧延後の冷却速度
を10℃/hr以上に規定して、得られる缶胴用Al合
金板における0.1〜1μm径のMg2 Si化合物を1
0000個/mm2 以下にする。このようにすると熱間
仕上圧延終了時におけるMg2 Si化合物の粒子間平均
距離が10μm以上と大きくなり、再結晶駆動力を十分
付与すれば、熱間仕上圧延後に再結晶率が90%以上に
なり耳率が低くなる。
温度とSi含有量との関係は、図1に示すようにA(Si
0.30wt%, 370℃)、B(Si0.30wt%, 300℃)、C(Si0.
50wt%, 340℃)、D(Si0.50wt%, 370℃)の4点で囲わ
れる斜線部分である。
速度は、熱間仕上圧延後巻取ったコイルをファンで冷却
することにより得られる。100℃/分以上の冷却速度
は、例えば、コイルの巻き替えを途中で水冷しながら行
うことにより達成される。本発明において、前記10℃
/hr以上の冷却速度で100℃以下まで冷却する理由
は、冷却後の温度が100℃を超えていると析出が起き
るためである。
強度が付与される。冷間圧延での圧延率が60%未満で
は材料強度が不足し、90%を超えると加工硬化しすぎ
て深絞り成形時の耳率が高くなり、また成形性も低下す
る。従って最終冷間圧延率は60〜90%が望ましい。
て仕上焼鈍を行って、Al合金板の伸びを適正にする。
前記仕上焼鈍は、120℃以下、3時間以下の低温短時
間で行って缶胴材として必要な特性が阻害されないよう
にするのが望ましい。
る。 (実施例1)表1に示す本発明規定組成のAl合金鋳塊
(厚さ500mm)に600℃で6時間の均質化処理を
施し、次いで熱間で粗圧延と仕上圧延を連続して行って
厚さ2.2mmの熱延板とし、これをコイルに巻取っ
た。コイルは100℃以下まで20℃/hrの冷却速度
で冷却した。次に前記熱延板を厚さ0.3mmに冷間圧
延(圧延率86.4%)し、続いて115℃で2時間の
仕上焼鈍を施して缶胴用Al合金板を製造した。前記熱
間仕上圧延の終了温度は種々に変化させた。
組成のAl合金鋳塊に実施例1と同じ処理を施して缶胴
用Al合金板を製造した。
Al合金板について、耳率、引張強度、缶の成形性、耐
食性を下記方法により調査した。結果を表3、4に示
す。耳率は前記Al合金板から直径57mmの円板を切
出し、これを直径33mm肩R2.5mmのポンチを用
いてクリアランス30%で深絞りしたときの缶の高さに
対する耳の平均高さの割合で表した。引張強度は前記A
l合金板を200℃で20分間加熱し(塗装焼付け条
件)、加熱前後の引張強さ(TS)と0.2%耐力(Y
S)をJISZ2241に準じて測定した。缶の成形性
は炭酸飲料用のDI缶胴(内径66mmφ、側壁板厚1
03μm、側壁先端部板厚165μm、ネック部の内径
57mm、ネック部段数4段、フランジ幅2.2mm)
を多数製缶し、破胴、表面性状、フランジ割れを測定し
て評価した。Mg2 Si化合物の大きさと個数は、TE
M観察し、サイズ・分布を画像処理装置で調べた。耐食
性は孔食発生の有無で評価した。すなわち缶側壁から2
0×80mm2 に切出した試験片を40℃の〔1%クエ
ン酸+0.1%NaCl〕溶液に1週間浸漬し、浸漬後
の試験片表面を観察し、20μm以上の深さの孔食の有
無で評価した。表3、4には熱間仕上圧延終了後100
℃以下まで冷却した板材のL方向断面の再結晶率を併記
した。前記再結晶率はバーカー法(観察倍率100倍)
により5視野を測定したときの再結晶率の平均値であ
る。
o.1は引張強度が高く、耳率が低く(2.5%以内)、
缶の成形性が良好(破胴やフランジ割れがなく、缶表面
状態良好)で孔食も発生しなかった。これは熱間仕上圧
延後のMg2 Siの析出量が少ないためである。これに
対し、比較例のNo.2はSiが少ないため、α相晶出物が
少なくなって表面の固体潤滑性が悪化し成形時に焼付き
が生じた。No.7はMnが少ないためやはり焼付きが生じ
た。No.3はSiが多くまた熱間仕上圧延温度が低かった
ため、熱間仕上圧延後Mg2 Si析出物が多量に析出し
て再結晶率が90%未満となり、耳率が高く強度が低下
し、また孔食も発生した。No.4はFeが、No.6はCu
が、No.8はMnが、No.10 はMgが、No.12 はZnが、
No.14はTiがそれぞれ多いためいずれも成形性が低下
した。No.5はCuが、No.9はMgがそれぞれ少ないため
強度が低下した。No.11 はZnが少ないため、No.12 は
Znが多くMgZn2析出物が析出したため孔食が発生
した。 No.13はTiが少ないため筋模様が発生した。
厚さ500mmのAl合金鋳塊に600℃で6時間の均
質化処理を施したのち、熱間粗圧延と熱間仕上圧延を施
し、その後、高速で冷却し、続いて常法により板厚0.
3mmまで最終冷間圧延(圧延率:86.4%)し、最後に
115℃で2時間仕上焼鈍して缶胴用Al合金板を製造
した。
組成の厚さ500mmのAl合金鋳塊を用いた他は、実
施例2と同じ方法により缶胴用Al合金板を製造した。
缶胴用Al合金板について、実施例1と同じ方法により
種々特性を調査した。結果を表7、8に示す。
No.21〜26はいずれも成形性(破胴、缶表面性状、耐フ
ランジ割れ性)に優れ、耳率が低く(2.5%以内)、
強度も十分高かった。これは熱延後のMg2 Si化合物
の数量が少なく、熱延後に再結晶率が90%以上になっ
たためである。これに対し比較例の No.27〜29は熱間圧
延終了後の冷却速度が遅くMg2 Si析出物が多量に析
出したため、強度が低くなり、孔食も発生した。 No.30
〜32は熱間仕上圧延終了温度が低いため、No.34,35はS
iが多いため、いずれも熱間仕上圧延後の再結晶率が9
0%未満になり耳率が高くなった。 No.33は熱間仕上圧
延温度が高いため結晶粒が粗大化して成形性が低下し
た。
温度と熱間仕上圧延終了後100℃以下まで冷却した板
材の再結晶率との関係を示す。図2に示すプロット番号
は表7、8に示す合金番号である。この図から明らかな
ように、Si含有量が0.5wt%以下で熱間仕上圧延終
了温度が(240+200s(sはSiのwt%))℃以
上のものはいずれも再結晶率が100%になっている。
Si含有量が0.5wt%を超えるもの、或いは熱間仕上
圧延終了温度が(240+200s)℃未満のものは、
いずれも再結晶率が90%未満である。なお、熱間仕上
圧延終了温度が370℃を超えるものは板の表面状態が
悪化し結晶粒が粗大化して成形性が低下していた。
高強度、低耳率で、しごき成形性、耐孔食性に優れる缶
胴用Al合金板をBR屑を用い、CAL焼鈍を省略し
て、低コスト、高生産性で製造することができる。依っ
て、工業上顕著な効果を奏する。
含有量との関係を示す図である。
00℃以下まで冷却した板材の再結晶率との関係を示す
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Siを0.3wt%超え0.5wt%以下、
Feを0.3〜0.7wt%、Cuを0.05〜0.5wt
%、Mnを0.8〜1.4wt%、Mgを0.8〜1.4
wt%、Znを0.05〜1.0wt%、Tiを0.01〜
0.1wt%含有し、残部がAlおよび不可避不純物から
なるAl合金鋳塊に均質化処理、粗圧延と仕上圧延から
なる熱間圧延、冷間仕上圧延を順に施し、その後必要に
応じて仕上焼鈍を施す缶胴用Al合金板の製造方法であ
って、前記熱間仕上圧延の終了温度Tを(240+20
0s(sはSiのwt%))℃以上370℃以下とし、熱
間仕上圧延終了後100℃以下までを10℃/hr以上
の冷却速度で冷却し、得られるAl合金板における直径
0.1〜1μmのMg2 Si析出物の個数を10000
個/mm2 以下にすることを特徴とする缶胴用アルミニ
ウム合金板の製造方法。 - 【請求項2】 熱間仕上圧延終了後100℃以下まで冷
却した板材の再結晶率が90%以上であることを特徴と
する請求項1記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27237198A JP4060460B2 (ja) | 1998-09-28 | 1998-09-28 | 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 |
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---|---|---|---|
JP27237198A JP4060460B2 (ja) | 1998-09-28 | 1998-09-28 | 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000096198A true JP2000096198A (ja) | 2000-04-04 |
JP4060460B2 JP4060460B2 (ja) | 2008-03-12 |
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---|---|
JP (1) | JP4060460B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005076041A (ja) * | 2003-08-28 | 2005-03-24 | Furukawa Sky Kk | 缶胴用アルミニウム合金硬質板の製造方法 |
-
1998
- 1998-09-28 JP JP27237198A patent/JP4060460B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2005076041A (ja) * | 2003-08-28 | 2005-03-24 | Furukawa Sky Kk | 缶胴用アルミニウム合金硬質板の製造方法 |
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