JP2000095704A - 虚血再灌流に伴う対麻痺発生予防および軽減剤 - Google Patents
虚血再灌流に伴う対麻痺発生予防および軽減剤Info
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- JP2000095704A JP2000095704A JP10271060A JP27106098A JP2000095704A JP 2000095704 A JP2000095704 A JP 2000095704A JP 10271060 A JP10271060 A JP 10271060A JP 27106098 A JP27106098 A JP 27106098A JP 2000095704 A JP2000095704 A JP 2000095704A
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- preventive
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ヒトまたは哺乳動物の大動脈血流遮断を要する
手術、例えば胸部下行、胸腹部大動脈瘤等の手術後また
は大動脈内の造影剤注入後等に認められる血液再灌流等
に伴う対麻痺の発生予防および/または軽減剤を提供す
る。 【解決手段】ヒト由来アンチトロンビンIII (AT-III)
を有効成分とする医薬組成物。特に、術後に代表される
脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防および軽減剤
である上記医薬組成物。
手術、例えば胸部下行、胸腹部大動脈瘤等の手術後また
は大動脈内の造影剤注入後等に認められる血液再灌流等
に伴う対麻痺の発生予防および/または軽減剤を提供す
る。 【解決手段】ヒト由来アンチトロンビンIII (AT-III)
を有効成分とする医薬組成物。特に、術後に代表される
脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防および軽減剤
である上記医薬組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト由来アンチト
ロンビン-III(以下、AT-IIIと略称する)を有効成分と
する術後に代表される虚血再灌流に伴う対麻痺の発生予
防又は軽減剤に関する。
ロンビン-III(以下、AT-IIIと略称する)を有効成分と
する術後に代表される虚血再灌流に伴う対麻痺の発生予
防又は軽減剤に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】AT-III
は、血漿中に存在するα2 マクログロブリンに属する糖
蛋白質の一種で、その分子量は、59, 000〜68,
000であり、血液凝固系のプロテアーゼ阻害活性を有
し、トロンビンの凝固活性を強く阻害する。また、トロ
ンビンに対する阻害作用のみならず、その他の凝固因
子、例えば活性化X 因子、活性化IX因子などに対する阻
害作用があることも報告されている。これらの阻害作用
は、一般にヘパリンの共存下でより速やかに進行するこ
とが知られている。このような薬理作用を有するAT-III
は、凝固亢進の補正、具体的には汎発性血管内凝固症候
群(DIC) の治療を目的として用いられている。
は、血漿中に存在するα2 マクログロブリンに属する糖
蛋白質の一種で、その分子量は、59, 000〜68,
000であり、血液凝固系のプロテアーゼ阻害活性を有
し、トロンビンの凝固活性を強く阻害する。また、トロ
ンビンに対する阻害作用のみならず、その他の凝固因
子、例えば活性化X 因子、活性化IX因子などに対する阻
害作用があることも報告されている。これらの阻害作用
は、一般にヘパリンの共存下でより速やかに進行するこ
とが知られている。このような薬理作用を有するAT-III
は、凝固亢進の補正、具体的には汎発性血管内凝固症候
群(DIC) の治療を目的として用いられている。
【0003】また、AT-IIIの作用については、血液の凝
固・線溶系の異常に起因する疾患以外の疾患についても
種々検討が行われ、例えば運動機能障害、組織障害、脊
髄障害等に対する予防又は治療効果が確認されている
(特開平8−169845)。また、組織障害または運
動機能障害(運動麻痺、完全麻痺、半側麻痺、対麻痺)
は脊髄虚血により発生することも報告されている。
固・線溶系の異常に起因する疾患以外の疾患についても
種々検討が行われ、例えば運動機能障害、組織障害、脊
髄障害等に対する予防又は治療効果が確認されている
(特開平8−169845)。また、組織障害または運
動機能障害(運動麻痺、完全麻痺、半側麻痺、対麻痺)
は脊髄虚血により発生することも報告されている。
【0004】ところで、対麻痺は、胸部下行および胸腹
部大動脈瘤などの大動脈血流遮断を要する手術の合併症
のひとつでもある。その発生率は4 〜38%と報告されて
いるが、これに対して種々検討がなされ、脊髄への血流
の維持または脊髄保護などを目的として、低体温手術や
大動脈遮断中の部分体外循環、一時的シャントなどの補
助循環を用いたり、Adamkiewicz 動脈へ血液を供給する
と思われる肋間・腰動脈を術中灌流あるいは可及的に再
建する方法がとられてきた。しかし、いまだ術後の対麻
痺は完全には予防できておらず、このような対麻痺に対
する予防剤または軽減剤が望まれていた。
部大動脈瘤などの大動脈血流遮断を要する手術の合併症
のひとつでもある。その発生率は4 〜38%と報告されて
いるが、これに対して種々検討がなされ、脊髄への血流
の維持または脊髄保護などを目的として、低体温手術や
大動脈遮断中の部分体外循環、一時的シャントなどの補
助循環を用いたり、Adamkiewicz 動脈へ血液を供給する
と思われる肋間・腰動脈を術中灌流あるいは可及的に再
建する方法がとられてきた。しかし、いまだ術後の対麻
痺は完全には予防できておらず、このような対麻痺に対
する予防剤または軽減剤が望まれていた。
【0005】また、対麻痺の発生機序は、虚血そのもの
による障害以外にも再灌流に伴う障害など複数の因子が
関係していると考えられている。近年、心、肺、脳、肝
など様々な臓器における虚血再灌流による病態形成に、
各種サイトカイン、活性化好中球などの関与がタオカら
により報告されており(Neuroscience 79:1177-118 (19
97) )、脊髄においても同様の炎症性反応が生じ、麻痺
形成の重要な要因となっていると考えられる。しかし、
脊髄の虚血再灌流に伴う対麻痺についても、完全には予
防できておらず、このような対麻痺に対しても予防剤ま
たは軽減剤が望まれていた。本発明は、術後に代表され
る脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防および/ま
たは軽減剤としてAT-IIIの新規な用途を提供することを
目的とする。
による障害以外にも再灌流に伴う障害など複数の因子が
関係していると考えられている。近年、心、肺、脳、肝
など様々な臓器における虚血再灌流による病態形成に、
各種サイトカイン、活性化好中球などの関与がタオカら
により報告されており(Neuroscience 79:1177-118 (19
97) )、脊髄においても同様の炎症性反応が生じ、麻痺
形成の重要な要因となっていると考えられる。しかし、
脊髄の虚血再灌流に伴う対麻痺についても、完全には予
防できておらず、このような対麻痺に対しても予防剤ま
たは軽減剤が望まれていた。本発明は、術後に代表され
る脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防および/ま
たは軽減剤としてAT-IIIの新規な用途を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、AT-IIIに術後に代
表される脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防およ
び軽減効果があることを見出し、本発明を完成した。即
ち、本発明はAT-IIIを有効成分とする術後に代表される
脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防および/また
は軽減剤に関する。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、AT-IIIに術後に代
表される脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防およ
び軽減効果があることを見出し、本発明を完成した。即
ち、本発明はAT-IIIを有効成分とする術後に代表される
脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発生予防および/また
は軽減剤に関する。
【0007】本発明で使用されるAT-IIIは、ヒト由来の
もので、医薬として使用できる程度に精製されたもので
あれば特に制限されるものではなく、例えばヒトの全
血、血漿、血清または凝固した血液から圧搾された血清
等から精製することができる。使用される血液として
は、特にHBs 抗原、抗HIV 抗体に陰性であり、GTP が正
常値の2倍以下であるものがの好ましい。
もので、医薬として使用できる程度に精製されたもので
あれば特に制限されるものではなく、例えばヒトの全
血、血漿、血清または凝固した血液から圧搾された血清
等から精製することができる。使用される血液として
は、特にHBs 抗原、抗HIV 抗体に陰性であり、GTP が正
常値の2倍以下であるものがの好ましい。
【0008】AT-IIIを調製するための出発原料として、
例えば血漿のコーン分画法における画分IV-1、画分IV、
上清I または上清II+III(EP公開551084)等が使用され
る。AT-IIIの精製方法としては、例えば特開昭48-35017
号明細書、特公昭59-7693 号明細書に開示の方法、疎水
性クロマト(特開平1-275600号)、陰イオン交換体処理
(特開平2-4717号)等が例示される。また、AT-IIIは細
胞培養法(特表昭57-500768 号)、遺伝子工学法(特開
昭58-162529 )などにより調製されるものであってもよ
い。また、市販のAT-III製剤(例えば商品名:ノイアー
ト、吉富製薬(株)製等)を用いることもできる。
例えば血漿のコーン分画法における画分IV-1、画分IV、
上清I または上清II+III(EP公開551084)等が使用され
る。AT-IIIの精製方法としては、例えば特開昭48-35017
号明細書、特公昭59-7693 号明細書に開示の方法、疎水
性クロマト(特開平1-275600号)、陰イオン交換体処理
(特開平2-4717号)等が例示される。また、AT-IIIは細
胞培養法(特表昭57-500768 号)、遺伝子工学法(特開
昭58-162529 )などにより調製されるものであってもよ
い。また、市販のAT-III製剤(例えば商品名:ノイアー
ト、吉富製薬(株)製等)を用いることもできる。
【0009】本発明の有効成分であるAT-IIIは、ヒト、
イヌ、ウシ、ウマ、マウス、ラット等の哺乳動物におけ
る術後に代表される脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発
生予防および/または軽減剤の作用・効果を有する。こ
こに、術後とは、大動脈血流遮断を要する手術の後をい
い、例えば胸部下行、胸腹部、腹部大動脈瘤、またはそ
の他の大動脈置換を要する手術等が例示される。また、
術後以外では、大動脈内の造影剤注入後に認められる対
麻痺の発生および大動脈の血栓性閉塞後の再灌流に伴い
発生する対麻痺も含まれる。また、対麻痺とは、通常、
両側下肢の麻痺をいう。その症状としては、弛緩性麻
痺、痙攣麻痺等があげられる。
イヌ、ウシ、ウマ、マウス、ラット等の哺乳動物におけ
る術後に代表される脊髄虚血再灌流等に伴う対麻痺の発
生予防および/または軽減剤の作用・効果を有する。こ
こに、術後とは、大動脈血流遮断を要する手術の後をい
い、例えば胸部下行、胸腹部、腹部大動脈瘤、またはそ
の他の大動脈置換を要する手術等が例示される。また、
術後以外では、大動脈内の造影剤注入後に認められる対
麻痺の発生および大動脈の血栓性閉塞後の再灌流に伴い
発生する対麻痺も含まれる。また、対麻痺とは、通常、
両側下肢の麻痺をいう。その症状としては、弛緩性麻
痺、痙攣麻痺等があげられる。
【0010】本発明の対麻痺の発生予防および/または
軽減剤は、有効成分としてAT-III単独の態様で使用され
ることが望ましい。本発明の対麻痺の発生予防および/
または軽減剤は、本発明の目的に反しない限り、通常医
薬品に用いられる薬理学的に許容される添加剤(例え
ば、担体、賦形剤、希釈剤等)、安定化剤または製薬上
必要な成分を配合しても良い。安定化剤としては、マン
ニトール、ソルビトール、サッカロースなどの糖類、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸またはその塩
(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、
等)、アスパラギン酸またはグリシン等のアミノ酸など
が挙げられる。本発明製剤は、AT-IIIと上記安定化成分
を適宜混合し、注射剤、錠剤、カプセル剤等の態様に調
製されて投与される。好ましくは、静脈内投与の態様で
ある。
軽減剤は、有効成分としてAT-III単独の態様で使用され
ることが望ましい。本発明の対麻痺の発生予防および/
または軽減剤は、本発明の目的に反しない限り、通常医
薬品に用いられる薬理学的に許容される添加剤(例え
ば、担体、賦形剤、希釈剤等)、安定化剤または製薬上
必要な成分を配合しても良い。安定化剤としては、マン
ニトール、ソルビトール、サッカロースなどの糖類、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸またはその塩
(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、
等)、アスパラギン酸またはグリシン等のアミノ酸など
が挙げられる。本発明製剤は、AT-IIIと上記安定化成分
を適宜混合し、注射剤、錠剤、カプセル剤等の態様に調
製されて投与される。好ましくは、静脈内投与の態様で
ある。
【0011】本製剤は、特にAT-IIIを薬理的に許容され
る添加剤とともに凍結乾燥品として調製しておき、用時
溶解して使用する態様の製剤とすることが好ましい。か
かる製剤は、使用時に注射用蒸留水等によって約 1〜10
0 AT-III単位/ml溶液として、より好ましくは生理的に
等張な塩濃度および生理的に好ましいpH値(pH6-8 )に
調製される。投与量は症状、体重、性別、動物等によっ
て適宜選択すればよく、一般的にひとの成人に対して
は、AT-IIIとして通常1 〜1000単位/kg体重/日、好ま
しくは10〜500 単位/kg体重/日を1日1 〜数回に分け
て投与する。例えば、静脈内投与の場合10〜100 単位/
kg/日の投与量で投与することが好ましい。本明細書に
おいて、AT-IIIの力価は、1単位が正常人血漿1ml中に
含まれるAT-III量に相当する。
る添加剤とともに凍結乾燥品として調製しておき、用時
溶解して使用する態様の製剤とすることが好ましい。か
かる製剤は、使用時に注射用蒸留水等によって約 1〜10
0 AT-III単位/ml溶液として、より好ましくは生理的に
等張な塩濃度および生理的に好ましいpH値(pH6-8 )に
調製される。投与量は症状、体重、性別、動物等によっ
て適宜選択すればよく、一般的にひとの成人に対して
は、AT-IIIとして通常1 〜1000単位/kg体重/日、好ま
しくは10〜500 単位/kg体重/日を1日1 〜数回に分け
て投与する。例えば、静脈内投与の場合10〜100 単位/
kg/日の投与量で投与することが好ましい。本明細書に
おいて、AT-IIIの力価は、1単位が正常人血漿1ml中に
含まれるAT-III量に相当する。
【0012】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するため、実験例
および実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら
限定されるものではない。
および実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら
限定されるものではない。
【0013】実験例1 Tarlov's motor scorを指標とした脊髄虚血再灌流後の
対麻痺に対するAT-IIIの効果 (1)実験方法 脊髄虚血再灌流モデルは体重 320〜 380 gの全身麻酔し
たラットの胸部大動脈から2FR バルーン付きカテーテル
(最大拡張径4mm )を大動脈内に挿入し、左鎖骨下動脈
遠位の大動脈内でバルーンを拡張させ、大動脈血流を遮
断し、その後20分で遮断を解除し血流を再灌流させて作
成した。予備実験により、20分間虚血での高度の麻痺が
生じる事が確認された。薬剤は、血流遮断直前に尾静脈
から投与し、総投与用量がほぼ同量となるようにした。
再灌流後、24時間後から運動麻痺の程度を経日的に観察
した。障害の程度はTarlov's motor scoreにより、客観
的に評価した。 投与量 対照群:生理食塩液(0.5ml )投与 AT-III群:AT- III (250U/kg )単独投与 AT-III+heparin群:heparin (300U/kg)投与後AT-III
(250U/kg )投与 評価 〈Tarlov's motor scor 〉 0 :随意運動なし(いわゆる完全対麻痺) 1 :関節の動きを認めうる、 2 :良好な関節の動きを関節の動きを認めるが起立不
能、 3 :起立と歩行可能、 4 :跳躍および疾走可能 (2)実験結果 Tarlov's motor scor による運動能力を測定した結果
を、図1に示した。その結果、AT-III単独投与群が対照
群およびAT-IIIとヘパリンの併用群と比較して、有意に
高い運動能力を示した。また、Tarlov's motor scor で
0もしくは1の症例は、全例に膀胱直腸機能障害が認め
られたが、AT-III単独投与群では膀胱直腸機能障害の発
生も認めなかった。
対麻痺に対するAT-IIIの効果 (1)実験方法 脊髄虚血再灌流モデルは体重 320〜 380 gの全身麻酔し
たラットの胸部大動脈から2FR バルーン付きカテーテル
(最大拡張径4mm )を大動脈内に挿入し、左鎖骨下動脈
遠位の大動脈内でバルーンを拡張させ、大動脈血流を遮
断し、その後20分で遮断を解除し血流を再灌流させて作
成した。予備実験により、20分間虚血での高度の麻痺が
生じる事が確認された。薬剤は、血流遮断直前に尾静脈
から投与し、総投与用量がほぼ同量となるようにした。
再灌流後、24時間後から運動麻痺の程度を経日的に観察
した。障害の程度はTarlov's motor scoreにより、客観
的に評価した。 投与量 対照群:生理食塩液(0.5ml )投与 AT-III群:AT- III (250U/kg )単独投与 AT-III+heparin群:heparin (300U/kg)投与後AT-III
(250U/kg )投与 評価 〈Tarlov's motor scor 〉 0 :随意運動なし(いわゆる完全対麻痺) 1 :関節の動きを認めうる、 2 :良好な関節の動きを関節の動きを認めるが起立不
能、 3 :起立と歩行可能、 4 :跳躍および疾走可能 (2)実験結果 Tarlov's motor scor による運動能力を測定した結果
を、図1に示した。その結果、AT-III単独投与群が対照
群およびAT-IIIとヘパリンの併用群と比較して、有意に
高い運動能力を示した。また、Tarlov's motor scor で
0もしくは1の症例は、全例に膀胱直腸機能障害が認め
られたが、AT-III単独投与群では膀胱直腸機能障害の発
生も認めなかった。
【0014】実験例2 傾斜台試験を指標とした脊髄虚血再灌流後の対麻痺に対
するAT-IIIの効果 (1)実験方法 実験1と同じ脊髄虚血再灌流モデルを用いて、同じ薬剤
投与方法において検討した。再灌流後、24時間後から運
動麻痺の程度を経日的に観察した。障害の程度はラット
を傾斜台に乗せ、5 秒間落下せずにいられる最大傾斜角
度を測定した。 (2)実験結果 ラットが5 秒間落下せずにいられる最大傾斜角度を、図
2に示した。その結果、AT-III単独投与群が対照群およ
びAT-IIIとヘパリンの併用群と比較して、傾斜角度が大
きいところでも落下せずにいられる運動能力を示した。
するAT-IIIの効果 (1)実験方法 実験1と同じ脊髄虚血再灌流モデルを用いて、同じ薬剤
投与方法において検討した。再灌流後、24時間後から運
動麻痺の程度を経日的に観察した。障害の程度はラット
を傾斜台に乗せ、5 秒間落下せずにいられる最大傾斜角
度を測定した。 (2)実験結果 ラットが5 秒間落下せずにいられる最大傾斜角度を、図
2に示した。その結果、AT-III単独投与群が対照群およ
びAT-IIIとヘパリンの併用群と比較して、傾斜角度が大
きいところでも落下せずにいられる運動能力を示した。
【0015】実験例3 登板能力を指標とした脊髄虚血再灌流後の対麻痺に対す
るAT-IIIの効果 (1)実験方法 実験1と同じ脊髄虚血再灌流モデルを用いて、同じ薬剤
投与方法において検討した。再灌流後、24時間後から運
動麻痺の程度を経日的に観察した。障害の程度はラット
の上肢のみをプラットホームの辺縁に乗せ、下肢をプラ
ットホームに引き上げるまでの時間を計測し、全ラット
中1秒以内に引き上げ可能であったラットの割合を計算
した。 (2)実験結果 下肢を1秒以内に引き上げ可能であったラットの割合を
図3に示した。その結果、AT-III単独投与群が対照群お
よびAT-IIIとヘパリンの併用群と比較して、有意に引き
上げ可能であったラットの割合が高く、有意にラットの
運動能力が高いことが示された。
るAT-IIIの効果 (1)実験方法 実験1と同じ脊髄虚血再灌流モデルを用いて、同じ薬剤
投与方法において検討した。再灌流後、24時間後から運
動麻痺の程度を経日的に観察した。障害の程度はラット
の上肢のみをプラットホームの辺縁に乗せ、下肢をプラ
ットホームに引き上げるまでの時間を計測し、全ラット
中1秒以内に引き上げ可能であったラットの割合を計算
した。 (2)実験結果 下肢を1秒以内に引き上げ可能であったラットの割合を
図3に示した。その結果、AT-III単独投与群が対照群お
よびAT-IIIとヘパリンの併用群と比較して、有意に引き
上げ可能であったラットの割合が高く、有意にラットの
運動能力が高いことが示された。
【0016】実施例1 コーンの冷アルコール分画法で得られた画分IV-1のペー
スト10kgを生理食塩水100 リットルに懸濁し、硫酸バリ
ウムを5(w/v)% になるように加え、室温で30分撹拌し、
微量に存在するプロトロンビンを硫酸バリウムに吸着さ
せて除去した。この上清液をpH6.5 に調整し、ポリエチ
レングリコール#4000を13(w/v)%になるように加え、生
じた沈殿を遠心分離して回収した。この沈殿を冷生理食
塩水約20リットルに溶解し、あらかじめ生理食塩水で調
整されたヘパリンセファロースを充填したカラムへ注入
し、AT-IIIをカラムに吸着させた。このカラムを、0.4M
の塩化ナトリウム溶液で洗浄して、不純蛋白を除いたの
ち、2.0Mの塩化ナトリウム溶液をカラムに流して溶出し
てくる部分を回収した。このAT-IIIの水溶液にクエン酸
ナトリウムを0.6Mの濃度に加え、pH7.8 に調整した後60
℃で10時間の加熱処理を施した。続いて、0.9%水溶液を
得、必要に応じてろ過または遠心分離を行って透明な液
とした。このAT-IIIの1(w/v)% 水溶液にマンニトール2
(w/v)% を加え、塩化ナトリウムが0.5%になるように少
量の冷蒸留水で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpH7.6
に調整した後、滅菌したミリポアフィルターで除菌ろ過
し、500単位づつ分注し、凍結乾燥を行って乾燥製剤と
した。
スト10kgを生理食塩水100 リットルに懸濁し、硫酸バリ
ウムを5(w/v)% になるように加え、室温で30分撹拌し、
微量に存在するプロトロンビンを硫酸バリウムに吸着さ
せて除去した。この上清液をpH6.5 に調整し、ポリエチ
レングリコール#4000を13(w/v)%になるように加え、生
じた沈殿を遠心分離して回収した。この沈殿を冷生理食
塩水約20リットルに溶解し、あらかじめ生理食塩水で調
整されたヘパリンセファロースを充填したカラムへ注入
し、AT-IIIをカラムに吸着させた。このカラムを、0.4M
の塩化ナトリウム溶液で洗浄して、不純蛋白を除いたの
ち、2.0Mの塩化ナトリウム溶液をカラムに流して溶出し
てくる部分を回収した。このAT-IIIの水溶液にクエン酸
ナトリウムを0.6Mの濃度に加え、pH7.8 に調整した後60
℃で10時間の加熱処理を施した。続いて、0.9%水溶液を
得、必要に応じてろ過または遠心分離を行って透明な液
とした。このAT-IIIの1(w/v)% 水溶液にマンニトール2
(w/v)% を加え、塩化ナトリウムが0.5%になるように少
量の冷蒸留水で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpH7.6
に調整した後、滅菌したミリポアフィルターで除菌ろ過
し、500単位づつ分注し、凍結乾燥を行って乾燥製剤と
した。
【0017】実施例2 1バイアル中 AT-III 500 単位 マンニトール 200mg 塩化ナトリウム 50mg クエン酸ナトリウム 52mg よりなる凍結乾燥品を用時20mlの注射用蒸留水に溶解し
て、静注用製剤とした。
て、静注用製剤とした。
【0018】
【発明の効果】本発明のAT-IIIを有効成分とする医薬組
成物は、術後、または脊髄虚血再灌流に伴う対麻痺の発
生予防剤または軽減剤として、極めて有用である。
成物は、術後、または脊髄虚血再灌流に伴う対麻痺の発
生予防剤または軽減剤として、極めて有用である。
【0019】
【図1】Tarlov's motor scor を指標とした脊髄虚血再
灌流後の対麻痺に対するAT-IIIの効果を示すグラフであ
る。
灌流後の対麻痺に対するAT-IIIの効果を示すグラフであ
る。
【図2】傾斜台試験を指標とした脊髄虚血再灌流後の対
麻痺に対するAT-IIIの効果を示すグラフである。
麻痺に対するAT-IIIの効果を示すグラフである。
【図3】登板能力を指標とした脊髄虚血再灌流後の対麻
痺に対するAT-IIIの効果を示すグラフである。
痺に対するAT-IIIの効果を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成
分とすることを特徴とする脊髄虚血再灌流に伴う対麻痺
発生予防剤。 - 【請求項2】 ヒト由来アンチトロンビン-IIIを有効成
分とすることを特徴とする脊髄虚血再灌流に伴う対麻痺
軽減剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10271060A JP2000095704A (ja) | 1998-09-25 | 1998-09-25 | 虚血再灌流に伴う対麻痺発生予防および軽減剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10271060A JP2000095704A (ja) | 1998-09-25 | 1998-09-25 | 虚血再灌流に伴う対麻痺発生予防および軽減剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000095704A true JP2000095704A (ja) | 2000-04-04 |
Family
ID=17494851
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10271060A Pending JP2000095704A (ja) | 1998-09-25 | 1998-09-25 | 虚血再灌流に伴う対麻痺発生予防および軽減剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000095704A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018164027A1 (ja) * | 2017-03-06 | 2018-09-13 | 学校法人順天堂 | ヒストンによる細胞傷害を抑制するための薬剤 |
-
1998
- 1998-09-25 JP JP10271060A patent/JP2000095704A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018164027A1 (ja) * | 2017-03-06 | 2018-09-13 | 学校法人順天堂 | ヒストンによる細胞傷害を抑制するための薬剤 |
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