JP2000095586A - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

複合材料及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000095586A
JP2000095586A JP26513198A JP26513198A JP2000095586A JP 2000095586 A JP2000095586 A JP 2000095586A JP 26513198 A JP26513198 A JP 26513198A JP 26513198 A JP26513198 A JP 26513198A JP 2000095586 A JP2000095586 A JP 2000095586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sintered body
composite material
metal
pressure
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26513198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3478737B2 (ja
Inventor
Shigeru Hanzawa
茂 半澤
Shuhei Ishikawa
修平 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP26513198A priority Critical patent/JP3478737B2/ja
Publication of JP2000095586A publication Critical patent/JP2000095586A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3478737B2 publication Critical patent/JP3478737B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/50Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials
    • C04B41/51Metallising, e.g. infiltration of sintered ceramic preforms with molten metal
    • C04B41/5127Cu, e.g. Cu-CuO eutectic

Abstract

(57)【要約】 【課題】実際の電子部品(半導体装置を含む)等で求め
られる熱膨張率と熱伝導率とのバランスに適合した特性
を得る。 【解決手段】直径10μm前後の炭素繊維が例えば数百
本〜数万本ほど束ねられてなる炭素繊維の束と炭素繊維
以外の炭素成分とを含有するヤーン2A、2Bを複数本
ほどほぼ平行に二次元的に配列してヤーン配列体1A〜
1Fを作製し、複数のヤーン配列体1A〜1Fを積層し
てヤーン集合体208を作製する。そして、このヤーン
集合体208に形成された管状の開孔202内に少なく
とも銅を含む金属からなるマトリクス206A及び20
6Bを含浸させて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機物質に金属が
含浸された複合材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体装置にとって熱は大敵で
あり、内部温度が最大許容接合温度を越えないようにし
なければならない。また、パワートランジスタや半導体
整流素子等の半導体装置では、動作面積当たりの消費電
力が大きいため、半導体装置のケース(パッケージ)や
リードから放出される熱量だけでは、発生熱量を放出し
きれず、装置の内部温度が上昇して熱破壊を引き起こす
おそれがある。
【0003】この現象は、CPUを搭載した半導体装置
においても同じであり、クロック周波数の向上に伴って
動作時の発熱量が多くなり、放熱を考慮した熱設計が重
要な事項となってきている。
【0004】前記熱破壊の防止等を考慮した熱設計にお
いては、半導体装置のケース(パッケージ)に放熱面積
の大きいヒートシンクを固着することを加味した素子設
計や実装設計が行われている。
【0005】前記ヒートシンク用の材料としては、一般
に、熱伝導度の良好な銅やアルミニウム等の金属材料が
使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近時、CPUやメモリ
等の半導体装置においては、低消費電力を目的とした低
電力駆動を図りながらも、素子の高集積化と素子形成面
積の拡大化に伴って半導体装置自体が大型化する傾向に
ある。半導体装置が大型化すると、半導体基体(シリコ
ン基板やGaAs基板)とヒートシンクとの熱膨張の差
によって生じる応力が大きくなり、半導体装置の剥離現
象や機械的破壊が生じるおそれがある。
【0007】これを防止するためには、半導体装置の低
電力駆動の実現とヒートシンク材の改善が挙げられる。
半導体装置の低電力駆動は、現在、電源電圧として、従
来から用いられてきたTTLレベル(5V)を脱して、
3.3V以下のレベルが実用化されている。
【0008】一方、ヒートシンクの構成材料としては、
単に熱伝導度を考えるのみでなく、半導体基体であるシ
リコンやGaAsと熱膨張率がほぼ一致し、しかも、熱
伝導度の高い材料の選定が必要となってきている。
【0009】ヒートシンク材の改善に関しては、多種多
様の報告があり、例えば窒化アルミニウム(AlN)を
使用した例や、Cu(銅)−W(タングステン)を用い
た例などがある。AlNは、熱伝導性と熱膨張性のバラ
ンスに優れており、特にSiの熱膨張率とほぼ一致する
ことから、半導体基体としてシリコン基板を用いた半導
体装置のヒートシンク材として好適である。
【0010】また、Cu−Wは、Wの低熱膨張性とCu
の高熱伝導性を兼ね備えた複合材料であり、しかも、機
械加工が容易であることから、複雑な形状を有するヒー
トシンクの構成材料として好適である。
【0011】また、他の例としては、SiCを主成分と
するセラミック基材に金属Cuを20〜40体積%の割
合で含有させたものや(従来例1:特開平8−2795
69号公報参照)、無機物質からなる粉末焼結多孔質体
にCuを5〜30wt%含浸させたもの(従来例2:特
開昭59−228742号公報参照)などが提案されて
いる。
【0012】前記従来例1に係るヒートシンク材は、S
iCと金属Cuの圧粉体を成形してヒートシンクを作製
するという粉体成形であるため、熱膨張率と熱伝導率は
あくまでも理論的な値であり、実際の電子部品等で求め
られる熱膨張率と熱伝導率のバランスを得ることができ
ないという問題がある。
【0013】従来例2に係るヒートシンク材は、無機物
質からなる粉末焼結多孔質体に含浸されるCuの比率が
低く、熱伝導度を高める上で限界が生じるおそれがあ
る。
【0014】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、実際の電子部品(半導体装置を含む)等
で求められる熱膨張率と熱伝導率とのバランスに適合し
た特性を得ることができる複合材料及びその製造方法を
提供することを目的とする。
【0015】また、本発明の他の目的は、潤滑性の向上
を図ることができ、摺動材や軸受材等としても活用する
ことができる複合材料及びその製造方法を提供すること
にある。
【0016】また、本発明の他の目的は、切削性の向上
を図ることができ、ヒートシンクや摺動材料及び軸受材
の精密加工を実現させることができる複合材料及びその
製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】まず、ヒートシンク材と
して最適な特性について説明すると、必要な熱膨張率と
しては、AlN等のセラミック基板やSi及びGaAs
等の半導体基板の熱膨張率と合わせる必要から、室温か
ら200℃までの平均熱膨張率として4.0×10-6
℃〜9.0×10-6/℃の範囲が好適であり、必要な熱
伝導率としては、現有のCu−W材と同等以上の要求を
満たす必要から、180W/mK(室温)以上が好適で
ある。
【0018】本発明に係る複合材料は、管状の連続した
開孔が多数形成された無機物質と、該無機物質の前記開
孔に含浸された少なくとも銅を含む金属からなるマトリ
クスとを有して構成されている。
【0019】即ち、管状に連続した開孔に銅を含む金属
が含浸されて構成されることから、発生した熱を効率よ
く、開孔の銅を通じて外部に逃がすことができる。その
結果、セラミック基板や半導体基板(シリコン、GaA
s)等と熱膨張率がほぼ一致し、熱伝導性のよいヒート
シンク材を得ることができる。
【0020】具体的には、室温から200℃までの平均
熱膨張率が4.0×10-6/℃〜9.0×10-6/℃
で、かつ熱伝導率が180W/mK(室温)以上である
ヒートシンク材を得ることができる。
【0021】また、複合材料は、無機物質に含浸された
銅を含む金属の存在と、該金属が管状に形成された開孔
に含浸されていることから、高い潤滑性を示すことにな
り、しかも、比抵抗も低くなることから、摺動材や軸受
材等に適用することができる。
【0022】また、この複合材料は、銅を含む金属が管
状の開孔に形成されていることから、無機物質のみより
も切削性が向上し、ヒートシンクや摺動材料及び軸受材
の精密加工を実現させることができる。
【0023】前記ヒートシンク、摺動材及び軸受材等に
適用させる場合においては、前記金属を含浸させる前の
前記無機物質の開気孔率を10%〜35%とすることが
好ましい。
【0024】そして、前記構成において、前記無機物質
を、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以外の炭素成分
とを含有するヤーンが三次元的に組み合わされ、これら
ヤーンが互いに分離しない程度に一体化されたヤーン集
合体で構成し、前記開孔を前記ヤーン集合体において互
いに隣接するヤーンの間に形成される隙間として構成し
てもよい。
【0025】ヤーン集合体において互いに隣接するヤー
ンの間に形成される隙間が管状の開孔を構成することに
なり、この開孔に銅を含む金属が含浸されることから、
実際の電子部品(半導体装置を含む)等で求められる熱
膨張率と熱伝導率とのバランスに適合した特性を得るこ
とができ、しかも、潤滑性の向上を図ることができ、摺
動材や軸受材等としても活用することができる。また、
切削性の向上を図ることができ、ヒートシンクや摺動材
料及び軸受材の精密加工を実現させることができる。
【0026】また、前記構成において、それぞれ複数の
前記ヤーンをほぼ平行に二次元的に配列してヤーン配列
体を構成し、複数のヤーン配列体を積層してヤーン集合
体を構成するようにしてもよい。
【0027】また、前記構成において、隣接する前記ヤ
ーン配列体における各ヤーンの長手方向を互いに交差さ
せるようにしてもよい。この交差角度としては、0°よ
りも大きい角度であって、例えば15°、30°、90
°、あるいはこれらの複合交差等があり、最も好ましく
は90°である。
【0028】前記構成において、前記マトリクスが前記
無機物質の中で互いに連続することで三次元網目構造を
形成するようにしてもよい。この構成により、1つのヤ
ーン配列体でみれば、それぞれ平行に配列された多数の
管状の開孔に銅を含む金属が含浸され、これら含浸され
た金属がヤーン配列体の積層方向にもつながった形態を
とることになる。つまり、前記マトリクスが前記各ヤー
ン配列体に沿ってほぼ平行に二次元的に配列され、か
つ、隣接する前記各ヤーン配列体中に含浸された前記マ
トリクスが互いに連続された形態となる。
【0029】その結果、熱がその三次元網目構造を伝わ
って外部に放出されることから、実際の電子部品(半導
体装置を含む)等で求められる熱膨張率と熱伝導率との
バランスに適合した特性を得ることができる。また、潤
滑性の向上を図ることができ、摺動材や軸受材等として
も活用することができる。更に、切削性の向上を図るこ
とができ、ヒートシンクや摺動材料及び軸受材の精密加
工を実現させることができる。
【0030】次に、本発明に係る複合材料の製造方法
は、多数本の炭素繊維と炭素粉体と有機バインダにて炭
素繊維束を作製し、該炭素繊維束の周囲に樹脂製の被膜
を形成してヤーン構成体を作製する第1の工程と、前記
ヤーン構成体を多数配列させて配列体を作製する第2の
工程と、前記配列体を積層させて積層体を作製する第3
の工程と、前記積層体を加圧焼成して管状の連続した開
孔が多数形成された焼結体を作製する第4の工程と、前
記焼結体の前記開孔に少なくとも銅を含む金属を含浸さ
せる第5の工程とを有することを特徴とする。
【0031】これにより、:実際の電子部品(半導体
装置を含む)等で求められる熱膨張率と熱伝導率とのバ
ランスに適合した特性を得ることができる複合材料、
:潤滑性の向上を図ることができ、摺動材や軸受材等
としても活用することができる複合材料、:切削性の
向上を図ることができ、ヒートシンクや摺動材料及び軸
受材の精密加工を実現させることができる複合材料を容
易に作製することが可能となる。
【0032】前記第4の工程において、前記積層体をホ
ットプレスで300〜2000℃、常圧〜500kgf
/cm2 の条件下で成形して成形体を作製し、該成形体
を大気中で600〜1200℃で焼成して前記焼結体を
作製するようにしてもよい。
【0033】また、前記成形体を600〜1200℃で
炭化させ、1500〜3000℃で黒鉛化して前記焼結
体を作製するようにしてもよい。前記炭素繊維として
は、ピッチ系炭素繊維及びPAN系炭素繊維のいずれ
か、あるいは双方を用いてもよい。
【0034】そして、前記第5の工程において、前記焼
結体と少なくとも銅を含む金属とを互いに接触させない
状態で加熱し、所定温度に達した段階で両者を接触させ
て直ちに高圧力を付与して、前記金属を前記焼結体中に
含浸させる含浸工程と、少なくとも前記金属が含浸され
た前記焼結体を冷却する冷却工程とを有するようにして
もよい。
【0035】ここで、含浸させようとする少なくとも銅
を含む金属と、基材となる焼結体とを接触させないまま
加熱するのは、前記金属中の銅以外の成分が、基材の炭
素成分と加熱中に反応して、基材表面に金属の濡れ性に
とって悪影響となる被膜を形成するのを阻止又は極力少
なくする、あるいは反応物の生成による銅のもつ良好な
熱伝導性の低下を阻止又は極力少なくするためである。
【0036】銅は、基材の炭素成分とは元々反応性が極
めて低いため、前記含浸させようとする金属が純銅であ
る場合は、銅と基材とを接触させたまま加熱し、銅を溶
融させても問題はない。
【0037】このように、含浸させようとする少なくと
も銅を含む金属を、基材となる焼結体と接触させないま
ま加熱し、溶融後直ちに接触加圧し、含浸後は速やかに
冷却させることにより、一般に困難とされる焼結体への
前記金属の含浸処理を容易に行うことができ、しかも、
焼結体への前記金属の含浸率を向上させることができ、
その結果、実際の電子部品(半導体装置を含む)等で求
められる熱膨張率と熱伝導率とのバランスに適合した特
性を有するヒートシンクの生産性を向上させることがで
きる。
【0038】ここで、実際の電子部品(半導体装置を含
む)等で求められる熱膨張率と熱伝導率とのバランスに
適合した特性とは、室温から200℃までの平均熱膨張
率が2.0×10-6/℃〜9.0×10-6/℃で、かつ
熱伝導率が180W/mK(室温)以上である。
【0039】また、前記製造方法によれば、潤滑性の向
上を図ることができ、摺動材や軸受材等としても活用す
ることができる複合材料や、切削性の向上を図ることが
でき、ヒートシンクや摺動材料及び軸受材の精密加工を
実現させることができる複合材料を得ることができる。
【0040】前記含浸工程としては、前記焼結体と前記
金属を同一の容器に入れ、前記金属を前記容器内の下方
に配置した後、前記容器内を負圧又は常圧状態にする工
程と、前記金属を加熱溶解して前記金属を溶融金属にす
る工程と、前記溶融金属が所定温度に到達した段階で、
前記容器を転回して該容器内において前記溶融金属中に
前記焼結体を浸漬させる工程と、前記容器内に含浸用ガ
スを導入して前記容器内を加圧することにより、前記溶
融金属を焼結体中に含浸させる工程とを有するようにし
てもよい。
【0041】即ち、焼結体と該焼結体に含浸される前記
金属を容器内に入れて密封し、真空引きした後、銅又は
銅合金側を下方にして加熱する。前記金属が溶解して所
定の温度に到達した段階で、容器を180°転回して上
下を逆にすることにより、前記金属を多孔質焼結体に接
触させる。そして、容器内を高圧に加圧することによ
り、前記金属は焼結体中に含浸されることになる。
【0042】また、前記含浸工程としては、予め溶融さ
れた前記金属と前記焼結体を同一の容器に入れ、前記溶
融金属を前記容器内の下方に配置した後、該容器内を負
圧又は常圧状態にする工程と、前記溶融金属が所定温度
に到達した段階で、前記容器を転回して該容器内におい
て前記溶融金属中に前記焼結体を浸漬させる工程と、前
記容器内に含浸用ガスを導入して前記容器内を加圧する
ことにより、前記溶融金属を焼結体中に含浸させる工程
とを有するようにしてもよい。
【0043】即ち、予め溶融させた前記金属を焼結体が
設置された容器内に入れ、所定の温度に達した段階で、
容器を180°転回して上下を逆にすることにより、前
記金属を焼結体に接触させる。そして、容器内を高圧に
加圧することにより、前記金属は焼結体中に含浸される
ことになる。
【0044】また、付与する圧力としては、10kgf
/cm2 以上、1000kgf/cm2 以下であり、好
ましくは50kgf/cm2 以上、200kgf/cm
2 以下であり、更に好ましくは100kgf/cm2
上、150kgf/cm2 以下である。
【0045】この場合、前記圧力の付与時間は10秒以
上、30分以下であり、望ましくは2分以上、10分以
下である。
【0046】また、前記所定温度は、含浸させようとす
る前記金属の融点より10℃〜250℃高い温度であ
り、好ましくは前記融点より50℃〜200℃高い温度
である。この場合、焼結体に含浸させるべき前記金属の
加熱は、1Torr以下の真空中で行うことが好まし
い。
【0047】なお、前記金属を含浸させる前の前記焼結
体の開気孔率としては、10%〜35%であることが好
ましい。
【0048】また、前記焼結体には、予め1〜10vo
l%のNiめっきを施すようにしてもよい。この場合、
焼結体と前記金属との濡れ性が向上し、低圧力での含浸
を実現させることができる。前記Niめっきの量は1〜
5vol%が望ましい。ここでいう、Niめっきとして
は、例えばNi−PのめっきやNi−Bのめっきが含ま
れる。
【0049】そして、前記冷却工程としては、前記容器
を転回して含浸後の前記焼結体と非含浸の残存溶融金属
とを分離する工程と、前記容器内の前記含浸用ガスを抜
き、速やかに冷却用ガスを導入して容器内を冷却する工
程とを有するようにしてもよく、前記容器を転回して含
浸後の前記焼結体と非含浸の残存溶融金属とを分離する
工程と、前記容器を冷やし金に接触させることにより、
前記容器内を冷却する工程とを有するようにしてもよ
い。
【0050】前記冷却工程における冷却速度は、含浸時
の温度から800℃まで、−400℃/時間以上とする
ことが好ましく、より好ましくは−800℃/時間以上
である。
【0051】また、前記含浸工程として、前記焼結体と
前記金属とを互いに非接触状態で負圧又は常圧状態にす
る工程と、前記焼結体と前記金属とを負圧又は常圧下で
所定温度まで加熱し、前記金属を溶融する工程と、前記
溶融金属を加圧状態におく工程と、前記加圧下の溶融金
属と前記負圧又は常圧下の焼結体とを、速やかに接触さ
せかつ加圧状態におき、加圧下で前記焼結体中に前記溶
融金属を含浸させる工程とを有するようにし、冷却工程
において、前記溶融金属が含浸された前記焼結体を前記
加圧下で冷却するようにしてもよい。
【0052】この場合、前記焼結体と前記金属とを十分
に脱気しつつ加熱し、金属を溶融した後、速やかに接触
しかつ加圧状態とし、更に加圧状態を冷却操作完了時ま
で保持することにより、前記焼結体に前記溶融金属を効
率的に含浸することができる。
【0053】前記製造方法において、負圧又は常圧下
に、非接触状態で加熱処理した焼結体と溶融金属とを、
ともに加圧状態におき、その後速やかに接触させて前記
焼結体中に前記金属を含浸させると好適である。
【0054】これにより、前記溶融金属とともに前記焼
結体についても加圧状態下においた後に、接触、含浸操
作を行うことにより、両者を接触させる際の圧力低下を
最小限にすることができ、含浸操作時の加圧状態を良好
に保持できる。
【0055】また、前記含浸工程において、前記焼結体
と前記金属とを、多孔質フィルターによって2室に仕切
られた同一の容器の上下の室にそれぞれ配置し、前記容
器を密封し、各室を負圧又は常圧状態とする工程と、上
下両室を負圧又は常圧下で所定温度まで加熱し、前記金
属を溶融する工程と、前記上室のみを加圧状態におく工
程と、前記加圧下の上室の溶融金属を前記多孔質フィル
ターを通して下室へ浸透させて、負圧又は常圧下の前記
焼結体と速やかに接触させた後、下室を加圧状態とし
て、加圧下の前記焼結体中に前記溶融金属を含浸させる
工程とを有するようにし、前記冷却工程において、前記
下室の前記溶融金属が含浸された前記焼結体を、前記加
圧状態下で冷却するようにしてもよい。
【0056】この場合、多孔質フィルターを用いること
により、前記金属を配置した上室と前記焼結体を配置し
た下室とをそれぞれ独立して圧力制御できるため、所定
の圧力制御機構を用いて迅速に減圧、加圧することがで
きる。
【0057】前記下室の前記焼結体については、前記溶
融金属を含浸する直前まで、負圧又は常圧状態に保持
し、脱気することができる。更に前記溶融金属と前記焼
結体との接触、含浸操作を多孔質フィルターを通して圧
力制御によって簡単に行うことができる。また、この
際、両室は予め圧力差を設けているため前記溶融金属を
迅速にフィルター処理することができる。
【0058】ここで、多孔質フィルターについては、溶
融金属が常圧下では浸透せずに加圧下で浸透する程度の
多孔質を有するものであれば特に材料を限定するもので
はなく、好適にはカーボン布、ステンレス系のパンチン
グメタル又はアルミナ布等を用いることができる。
【0059】なお、含浸工程として、多孔質フィルター
によって2室に仕切られた同一の容器の上下の室の圧力
に関し、前記金属を配置した上室の圧力を前記焼結体を
配置した下室より負圧にすることにより、溶融金属が多
孔質フィルターを通過できないようにすれば、フィルタ
ーを用いる場合に、上記のように溶融金属と多孔質フィ
ルタとの濡れ性を考慮する必要がなくなり、材料選定の
自由度を向上させることができる。
【0060】また、前記含浸工程として、前記焼結体と
前記金属とを、多孔質フィルターによって2室に仕切ら
れた同一の容器の上下の室にそれぞれ配置し、前記容器
を密封し、各室を負圧又は常圧状態とする工程と、上下
両室を負圧又は常圧下で所定温度まで加熱し、前記金属
を溶融する工程と、前記上下両室を加圧状態におく工程
と、前記加圧下の上室の圧力を下室の圧力よりも更に高
くし、溶融金属を前記多孔質フィルターを通して下室へ
浸透させて前記焼結体と速やかに接触させた後、加圧下
の前記焼結体中に前記溶融金属を含浸させる工程とを有
するようにし、前記冷却工程において、下室の前記溶融
金属が含浸された前記焼結体を、前記加圧下で冷却する
ようにしてもよい。
【0061】この場合、前記溶融金属とともに前記焼結
体についても加圧状態下においた後に、接触、含浸操作
を行うことにより、両者を接触させる際の圧力低下を最
小限にすることができ、含浸操作時の加圧状態を良好に
保持できる。
【0062】本発明において、基材となる焼結体に少な
くとも銅を含む金属を含浸処理するに際し、加圧状態と
する工程を上下双方からのプレス処理により行うととも
に、冷却工程を下室周辺からの間接冷却処理により行う
ようにすることができる。
【0063】この発明に係る製造方法により、圧力制御
をより迅速に行うことができるとともに、含浸操作時の
加圧状態を良好に保持することができる。
【0064】また、本発明に係る製造方法は、前記第5
の工程において、基材となる焼結体と少なくとも銅を含
む金属を負圧又は常圧下で接触させ、加熱処理して前記
金属を溶融し、その後、加圧状態において速やかに前記
焼結体中に前記金属を含浸させる含浸工程と、少なくと
も前記金属が含浸された前記焼結体を冷却する冷却工程
とを有する。
【0065】これにより、一般に困難とされる焼結体へ
の前記金属の含浸処理を容易に行うことができ、しか
も、焼結体への前記金属の含浸率を向上させることがで
きる。その結果、:実際の電子部品(半導体装置を含
む)等で求められる熱膨張率と熱伝導率とのバランスに
適合した特性を得ることができる複合材料、:潤滑性
の向上を図ることができ、摺動材や軸受材等としても活
用することができる複合材料、:切削性の向上を図る
ことができ、ヒートシンクや摺動材料及び軸受材の精密
加工を実現させることができる複合材料を容易に作製す
ることが可能となる。
【0066】そして、前記含浸工程として、前記焼結体
と前記金属とを互いに接触させた状態で負圧又は常圧状
態におく工程と、前記焼結体と前記金属とを負圧又は常
圧下で所定温度まで加熱し、前記金属を溶融する工程
と、前記溶融金属を加圧状態におく工程と、前記加圧下
の溶融金属と前記負圧又は常圧下の焼結体とを、速やか
に接触させ、かつ、加圧状態におき、加圧下で前記焼結
体中に前記溶融金属を含浸させる工程とを有するように
し、前記冷却工程において、前記溶融金属が含浸された
前記焼結体を前記加圧下で冷却するようにしてもよい。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る複合材料及び
その製造方法の実施の形態例を図1〜図21を参照しな
がら説明する。
【0068】本実施の形態に係る複合材料200は、図
1に示すように、管状の連続した開孔202(図9参
照)が多数形成された無機物質20と、該無機物質20
の開孔202に含浸された少なくとも銅を含む金属から
なるマトリクス206A及び206Bとを有して構成さ
れている。
【0069】この無機物質20は、いわゆるC/Cコン
ポジットを基本とし、その基本的な構成に改善を加えた
新しい概念の材料である。
【0070】C/Cコンポジットとしては、直径が10
μm前後の炭素繊維を、通常、数百本〜数万本束ねて繊
維束を形成し、この繊維束を二次元または三次元方向に
配列して一方向シート(UDシート)や各種クロスとし
たり、また前記シートやクロスを積層することにより、
所定形状の予備成形体(繊維プリフォーム)を形成し、
この予備成形体の内部に、CVI法(Chemical Vapor I
nfiltration :化学的気相含浸法)や無機ポリマー含浸
焼結法等により、炭素からなるマトリックスを形成して
構成されたものが知られている。
【0071】本実施の形態は、無機物質20として特定
の新規繊維複合材料を使用したものであり、この繊維複
合材料は、母材としてC/Cコンポジットを用いてお
り、その炭素繊維の構造が、破壊されることなく保持さ
れているという大きな特徴を有している。
【0072】即ち、この実施の形態に係る複合材料20
0の無機物質20は、ヤーン集合体208を有して構成
され、このヤーン集合体208は、複数のヤーン配列体
1A〜1Fが積層されて構成され、1つのヤーン配列体
(例えば1A)は、直径10μm前後の炭素繊維が例え
ば数百本〜数万本ほど束ねられてなる炭素繊維の束と炭
素繊維以外の炭素成分とを含有するヤーン2Aが複数本
ほどほぼ平行に二次元的に配列されて構成されている。
【0073】つまり、本実施の形態に係る複合材料20
0の無機物質20は、複数のヤーン配列体1A〜1Fが
一方向へと向かって積層された積層構造を有することに
なる。
【0074】この場合において、特に好ましくは、隣接
するヤーン配列体(例えば1A及び1B)における各ヤ
ーン2A及び2Bの長手方向が互いに交差していること
である。この交差角度としては、0°よりも大きい角度
であって、例えば15°、30°、90°、あるいはこ
れらの複合交差等があり、最も好ましくは90°であ
る。
【0075】図2及び図3に基づいて説明すると、無機
物質(繊維複合材料)20の骨格は、ヤーン集合体20
8によって構成されており、該ヤーン集合体208は、
複数のヤーン配列体1A〜1Fを上下方向に積層して構
成されている。各ヤーン配列体1A〜1Fにおいては、
各ヤーン2A及び2Bがそれぞれ二次元的に配列されて
おり、各ヤーン2A及び2Bの長手方向はそれぞれほぼ
平行とされている。上下方向に隣り合う各ヤーン配列体
1A〜1Fにおける各ヤーン2A及び2Bの長手方向は
直交している。
【0076】即ち、各ヤーン配列体1A、1C、1Eの
各ヤーン2Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ各
ヤーン配列体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手方
向に対して直交している。
【0077】そして、前記複数のヤーン配列体1A〜1
Fが一方向に積層されることによって、三次元格子形状
のヤーン集合体208が構成される。各ヤーン2A及び
2Bは、後述するような加圧成形工程において押しつぶ
され、略楕円形になっている。
【0078】このような構成により、本実施の形態に係
る複合材料200の無機物質20は、該無機物質20を
構成するヤーン集合体208において互いに隣接するヤ
ーン(2A、2A)及び(2B、2B)の間に隙間が形
成されることになる。この隙間は、ヤーン2A及び2B
に沿って形成され、その始端から終端まで連続したいわ
ゆる管状の開孔202(図9参照)を構成することにな
る。1つのヤーン配列体(例えば1A)に関する多数本
の管状の開孔202は、更に、該ヤーン配列体(例えば
2A)に隣接する別のヤーン配列体(例えば1B)に形
成された多数の管状の開孔202にそれぞれ連通した状
態となるため、開孔202は、無機物質20の中で互い
に連続する三次元網目構造を形成することになる。
【0079】そして、この実施の形態に係る複合材料2
00は、前記無機物質20を構成するヤーン集合体20
8に形成された無数の管状の開孔202内に少なくとも
銅を含む金属からなるマトリクス206A及び206B
が含浸されて構成されることになる。上述のように、開
孔202自体が無機物質20の中で互いに連続する三次
元網目構造を形成することになるため、含浸された少な
くとも銅を含むマトリクス206A及び206Bも無機
物質20中で三次元網目構造を有することになる。特
に、隣接するヤーン配列体1A〜1Fにおける各ヤーン
2A及び2Bの交差角度が約90°である場合は、前記
マトリクス206A及び206Bが三次元格子を形成す
ることになる。
【0080】即ち、各ヤーン配列体1A、1C、1Eに
おいては、隣り合う各ヤーン2Aの間隙にはマトリック
ス206Aが充填されており、各マトリックス206A
はヤーン2Aの表面に沿ってそれと平行に延びている。
各ヤーン配列体1B、1D、1Fにおいては、隣り合う
各ヤーン2Bの間隙にはマトリックス206Bが充填さ
れており、各マトリックス206Bはヤーン2Bの表面
に沿ってそれと平行に延びている。
【0081】各マトリックス206A及び206Bは、
それぞれヤーン2A及び2Bの表面に沿って細長く、好
ましくは直線状に延びており、各マトリックス206A
及び206Bは隣接するヤーン配列体1A〜1F間にお
いて互いに直交している。そして、ヤーン配列体1A、
1C、1Eにおけるマトリックス206Aと、これに直
交するヤーン配列体1B、1D、1Fにおけるマトリッ
クス206Bとは、それぞれヤーン2Aと2Bとの間隙
部分で連続している。この結果、マトリックス206A
及び206Bは、全体として、三次元格子を形成するこ
とになる。
【0082】ここで、隣り合う各ヤーン2A及び2Bの
間隙には、マトリックス206A及び206Bが100
%充填されていてもよいが、各ヤーン2A及び2Bの間
隙のうち一部をマトリックス206A及び206Bが充
填している場合も含む。また、ヤーン2A及び2B中の
炭素繊維以外の炭素成分は、好ましくは炭素粉末であ
り、特に好ましくは黒鉛化した炭素粉末である。
【0083】このように、本実施の形態に係る複合材料
200は、管状に連続した開孔202に少なくとも銅を
含む金属からなるマトリクス206A及び206Bが含
浸されて構成されることから、発生した熱を効率よく、
開孔202のマトリクス206A及び206Bを通じて
外部に逃がすことができる。その結果、セラミック基板
や半導体基板(シリコン、GaAs)等と熱膨張率がほ
ぼ一致し、熱伝導性のよいヒートシンク材を得ることが
できる。
【0084】具体的には、室温から200℃までの平均
熱膨張率が2.0×10-6/℃〜9.0×10-6/℃
で、かつ熱伝導率が180W/mK(室温)以上である
ヒートシンク材を得ることができる。
【0085】また、前記複合材料200は、無機物質2
0に含浸された少なくとも銅を含む金属からなるマトリ
クス206A及び206Bの存在と、該マトリクス20
6A及び206Bが管状に形成された開孔202に含浸
されていることから、高い潤滑性を示すことになり、し
かも、比抵抗も低くなることから、摺動材や軸受材等に
適用させることができる。
【0086】また、この複合材料200は、少なくとも
銅を含む金属からなるマトリクス206A及び206B
が管状の開孔202に形成されていることから、無機物
質20のみよりも切削性が向上し、ヒートシンクや摺動
材料及び軸受材の精密加工を実現させることができる。
【0087】前記ヒートシンク、摺動材及び軸受材等に
適用させる場合においては、前記マトリクス206A及
び206Bを含浸させる前の前記無機物質20の開気孔
率を10%〜35%とすることが好ましい。開気孔率の
測定方法は以下のとおりである。(開気孔率の測定方
法) 開気孔率(%)=[(W3−W1)/(W3−W2)]
×100 (アルキメデス法による) 乾燥重量(W1):100℃のオーブンで1hr乾燥さ
せ、その後秤量 水中重量(W2):試料を煮沸し、開気孔中に完全に水
を侵入させて水中にて秤量 飲水重量(W3):開気孔中に完全に水を侵入させた試
料を大気中にて秤量 また、本実施の形態に係る複合材料200においては、
図4の模式的断面図に示すように、各ヤーン(例えば2
B)を構成する炭素繊維の部分にマトリクス206Bが
ほとんど存在せず、該炭素繊維の構造が、破壊されるこ
となく保持されていることがわかる。これにより、無機
物質の耐衝撃性、強度、高潤滑性、耐摩耗性を維持させ
ることができる。
【0088】一般に、前記銅として、市販の純銅を用い
た場合、熱伝導率が高く良好であるが、無機物質20
(C/Cコンポジット)との濡れ性が悪く銅の含浸しな
い開孔202が残りやすいため、Be、Al、Si、M
g、Ti、Ni等の添加により含浸率を向上させること
が望ましい。この場合、銅の成分が1%までの範囲で、
Be、Al、Si、Mg、Ti、Niを1種類以上含
み、かつ、Ag、Cd、Zn、Au、Pd、In、G
a、Pt、Cr、Ge、Rh、Sb、Ir、Co、A
s、Zr、Fe、Sn、Mn、P、Pb等の不可避の不
純物、ガス成分を含んでいてもよい。但し、前記添加物
の量が1%以上になると、熱伝導率の低下が大きくな
り、添加による効果を得ることができなくなる。
【0089】ここでは、含浸させようとする銅に対する
添加物を規定したが、被含浸物としての基材の炭素成分
に種々の表面処理を施して濡れ性を高めてもよい。例え
ば、基材の炭素成分の表面にシリコン被膜を形成し、次
いで、銅を含浸することにより、低圧では銅はシリコン
に誘引(誘導)されて基材深くまで浸透する。このと
き、シリコンが基材の炭素成分を不完全に被覆していて
も、銅を十分に基材深くまで誘引(誘導)するため、シ
リコンが存在しない場合に比してより低圧で、かつ、確
実に銅を基材に含浸することができる。
【0090】次に、本実施の形態に係る複合材料200
の製造方法について図5〜図21を参照しながら説明す
る。
【0091】まず、図5に示すように、炭素繊維の束に
対して、最終的にマトリクスとなる粉末状のバインダー
ピッチ、コークス類を包含させ、さらに必要に応じてフ
ェノール樹脂粉末等を含有させることによって、炭素繊
維の束300を作製する。その後、炭素繊維の束300
の周囲に、熱可塑性樹脂からなる柔軟な皮膜を形成して
ヤーンを構成するための柔軟性中間材料(ヤーン構成
体)302を得る。
【0092】その後、図6に示すように、複数本のヤー
ン構成体302をプラスチック製のひも304で結びな
がら二次元的に配列してヤーン配列体306を作製する
(特願昭63−231791号明細書参照)。
【0093】その後、図7に示すように、複数のヤーン
配列体306をそれぞれ交差させながら必要量を積層し
て1つの積層体308を作製する。
【0094】その後、図8に示すように、前記積層体3
08をホットプレス装置310内に投入する。このホッ
トプレス装置310は、投入された積層体308を上下
方向から加圧するための上型312及び下型314と、
加圧過程にある積層体308に対して熱を与えるための
ヒータ316を有して構成されている。
【0095】この実施の形態では、前記積層体308を
ホットプレス装置310内で温度300〜2000℃
(本例では600℃)、常圧〜500kg/cm2 (本
例では300kg/cm2 )の条件下で成形することに
よって図9に示す成形体20(無機物質)を得る。即
ち、この段階で管状の開孔202が三次元網目状に形成
された成形体20が作製されることになる。
【0096】その後の含浸処理工程に投入するワークと
しては、前記成形体20としてもよいし、この成形体2
0を、必要に応じて700〜1200℃で炭化させた焼
結体でもよい。また、成形体20を1500〜3000
℃で黒鉛化させた焼結体、あるいは前記炭化された焼結
体を1500〜3000℃で黒鉛化させた焼結体でもよ
い。従って、以下の説明では、図9に示す無機物質20
を成形体又は焼結体20と記す。
【0097】ここで、前記炭素繊維は、石油ピッチもし
くはコールタールピッチを原料とし、紡糸用ピッチの調
整、溶融紡糸、不融化および炭素化して得られるピッチ
系炭素繊維、並びにアクリロニトリル(共)重合体繊維
を耐炎化および炭素化して得られるPAN系炭素繊維の
いずれのものでもよい。
【0098】ヤーン構成体302のマトリクスの形成に
必要な炭素前駆体としては、フェノール樹脂やエポキシ
樹脂等の熱硬化性樹脂およびタール、ピッチ等が用いら
れるが、これらはコークス類、金属、金属化合物、無機
および有機化合物を含んでいてもよい。
【0099】その後、後述する含浸処理工程を経て成形
体又は焼結体20における管状の開孔202内に銅又は
銅合金を含浸させて本実施の形態に係る複合材料200
が作製される。
【0100】次に、含浸処理工程のいくつかの具体例に
ついて図10A〜図21を参照しながら説明する。
【0101】まず、第1及び第2の具体例に係る含浸処
理工程は共に、大きく分けて含浸工程と冷却工程とから
なる。含浸工程は、基材となる成形体又は焼結体20と
銅又は銅合金とを、互いに接触させない状態で加熱し、
所定温度に達した段階で両者を接触させて直ちに高圧力
を付与して、前記銅又は銅合金を前記成形体又は焼結体
20中に含浸させる工程であり、冷却工程は、前記銅又
は銅合金が含浸された前記成形体又は焼結体20を冷却
する工程である。
【0102】まず、第1の具体例に係る含浸処理工程
は、図10A及び図10Bにその一例を示すように、高
圧容器30を使用することによって行われる。この高圧
容器30は、角筒状の筐体32における両側板34及び
36のほぼ中央部分にそれぞれ回転軸38が設けられ
て、該回転軸38を中心として筐体32自体が回転でき
るようになっている。
【0103】筐体32内には、耐火容器40と該耐火容
器40を加熱するためのヒータ42が設けられている。
耐火容器40は、中空部44を有する角筒状の形状を有
し、1つの側面における高さ方向中央部分に中空部44
に連通する開口46が設けられている。中空部44のう
ち、開口46を中心として一方の中空部(以下、第1室
44aと記す)には、含浸材料である銅又は銅合金22
の塊、あるいは銅又は銅合金22の溶融金属が収容され
るようになっている。他方の中空部(以下、第2室44
bと記す)は、被含浸試料である成形体又は焼結体20
が複数取り付けられるようになっており、第2室44b
が上方に位置しても、成形体又は焼結体20が落下しな
いように成形体又は焼結体20の支持機構が設けられて
いる。なお、ヒータ42は、100kgf/cm2 の高
圧力下でも破壊されない構造とされている。
【0104】また、前記高圧容器30には、真空引きの
ための吸気管48と、高圧力付与のためのガス及び冷却
用ガスの導入管50及び導出管52が設けられている。
【0105】次に、前記高圧容器30を用いた含浸工程
と冷却工程について図11を参照しながら説明する。含
浸工程は、以下の工程を踏むことにより行われる。
【0106】まず、高圧容器30を初期状態にして、高
圧容器30内に設けられている耐火容器40の第1室4
4aを下方に位置させる(ステップS1)。
【0107】その後、成形体又は焼結体20と銅又は銅
合金22の塊を高圧容器30の耐火容器40内に入れ、
銅又は銅合金22の塊を耐火容器40の第1室44a内
に配置し、成形体又は焼結体20を第2室44bにセッ
トする(ステップS2)。その後、高圧容器30(及び
耐火容器40)を密封した後、吸気管48を通じて高圧
容器30内の真空引きを行って該高圧容器30内を負圧
状態にする(ステップS3)。
【0108】その後、ヒータ42に通電して第1室44
aの銅又は銅合金22を加熱溶解する(ステップS
4)。以下の説明では、加熱溶解された銅又は銅合金2
2を便宜的に「溶融銅」と記す。
【0109】その後、第1室44a内の溶融銅が所定温
度に達した段階で、高圧容器30を180°転回させる
(ステップS5)。この転回動作によって、第1室44
aが上方に位置することから、第1室44a内の溶融銅
は、自重によって下方に位置する第2室44b内に落下
し、この段階で、溶融銅に成形体又は焼結体20が浸さ
れた状態となる。
【0110】その後、ガス導入管50を通じて高圧容器
30内に含浸用ガスを導入して、該高圧容器30内を加
圧する(ステップS6)。この加圧処理によって、前記
溶融銅は成形体又は焼結体20の開気孔部中に含浸する
こととなる。
【0111】前記含浸工程が終了した時点で直ちに冷却
工程に移行する。この冷却工程は、まず、前記高圧容器
30を再び180°転回させる(ステップS7)。この
転回動作によって、第1室44aが下方に位置すること
から、第2室44b内の溶融銅は、再び第1室44a内
に落下することになる。前記ステップS6での加圧処理
(含浸処理)によって、溶融銅の一部が成形体又は焼結
体20の開気孔中に含浸されていることから、下方に位
置する第1室44aに落下する溶融銅は成形体又は焼結
体20に含浸されなかった残存溶融銅である。残存溶融
銅が第1室44a内に落下した段階で、第2室44bに
は溶融銅が含浸された成形体又は焼結体20が残ること
となる。
【0112】その後、ガス導出管52を通じて高圧容器
30内の含浸用ガスを排気すると同時に、ガス導入管5
0を通じて冷却用ガスを高圧容器30内に導入する(ス
テップS8)。この含浸用ガスの排気と冷却用ガスの導
入によって、冷却用ガスが高圧容器30内を満遍なく循
環し、高圧容器30は急速に冷却される。この速やかな
る冷却によって、前記成形体又は焼結体20に含浸され
た溶融銅が、急速に銅又は銅合金22の塊に固化して体
積膨張することから、含浸された銅又は銅合金22は成
形体又は焼結体20に強固に保持される。
【0113】他の冷却工程としては、図11において一
点鎖線の枠内に示すように、前記ステップS7での処理
が終了した段階で、高圧容器30、あるいは溶融銅が含
浸された成形体又は焼結体20を冷やし金に接触させる
(ステップS9)。この冷やし金への接触によって成形
体又は焼結体20は急速に冷却されることになる。この
冷却過程においては、冷やし金を水冷しながら行うよう
にしてもよいし、冷やし金を加熱体から離れた場所に設
置して行うようにしてもよい。特に、押湯効果を考えて
冷却した方がよい。
【0114】このように、前記含浸工程及び冷却工程を
踏むことにより、一般に困難とされる成形体又は焼結体
20への銅又は銅合金22の含浸処理を容易に行うこと
ができ、しかも、成形体又は焼結体20への銅又は銅合
金22の含浸率を向上させることができ、実際の電子部
品(半導体装置を含む)等で求められる熱膨張率と熱伝
導率とのバランスに適合した特性、即ち、室温から20
0℃までの平均熱膨張率が2.0×10-6/℃〜9.0
×10-6/℃で、かつ熱伝導率が180W/mK(室
温)以上を有するヒートシンク10の生産性を向上させ
ることができる。
【0115】また、動摩擦係数が0.1〜0.03と低
く、高い潤滑性を示し、比抵抗も低くなることから、摺
動材や軸受材等に適用させることができる。更に、切削
性が向上することから、ヒートシンクや摺動材料及び軸
受材あるいは自動車エンジン内のピストン等の摺動部品
の精密加工を実現させることができる。
【0116】前記ステップS4において、ヒータ42に
通電して第1室44aの銅又は銅合金22を加熱溶解す
る場合に、ステップS5に移行する所定温度(加熱温
度)は、銅又は銅合金22の融点より10℃〜250℃
高い温度がよく、好ましくは前記融点より50℃〜20
0℃高い温度が望ましい。この場合、高圧容器30内を
1Torr以下の真空にしておくことが好ましい。
【0117】また、前記ステップS6において、高圧容
器30内に含浸用ガスを導入することによって高圧容器
30に付与する圧力としては、10kgf/cm2
上、1000kgf/cm2 以下とする。この場合、5
0kgf/cm2 以上、200kgf/cm2 以下が好
ましく、より好ましくは100kgf/cm2 以上、1
50kgf/cm2 以下である。
【0118】また、高圧容器30への圧力の付与時間は
10秒以上、30分以下がよく、望ましくは2分以上、
10分以下が好ましい。
【0119】なお、成形体又は焼結体20の気孔として
は、平均直径が5μm〜200μmのものが90%以上
存在し、かつ、気孔率が10vol%〜35vol%で
あることが望ましい。
【0120】そして、成形体又は焼結体20と銅又は銅
合金22との濡れ性の向上を図って、成形体又は焼結体
20に予め1〜10vol%、望ましくは3〜5vol
%のNiめっきを施すことが好ましい。この場合、低圧
力での含浸を実現させることができる。ここでいう、N
iめっきとしては、例えばNi−PのめっきやNi−B
のめっきが含まれる。
【0121】そして、前記成形体又は焼結体20に予め
1〜10vol%のNiめっきを施すことに関連して、
成形体又は焼結体20に予めパラジウムめっきを施すよ
うにしてもよい。この場合、前記パラジウムめっきに加
えて、NiやSiとの複合めっきを施すことも可能であ
る。
【0122】一方、冷却工程における冷却速度は、含浸
時の温度から800℃までの期間において、−400℃
/時間以上とすることが好ましく、より好ましくは−8
00℃/時間以上が望ましい。
【0123】前記ステップS6において、高圧容器30
に付与する圧力は、成形体又は焼結体20の開気孔部に
銅又は銅合金22を完全に含浸させるために必要な圧力
である。この場合、成形体又は焼結体20に銅又は銅合
金22が含浸されていない開気孔が残存すると、熱伝導
性を著しく阻害するため、高い圧力を付与することが必
要となる。
【0124】この圧力はその概略を Washburn の式によ
って推定できるが、気孔径が小さいほど大きな力を必要
とする。例えば、0.1μmφのとき400kgf/c
2、1.0μmφのとき40kgf/cm2 、10μ
mφのとき4kgf/cm2の圧力をそれぞれ必要とす
る。
【0125】このとき、成形体又は焼結体20と銅又は
銅合金22とが高温で直接接触する時間を短縮すること
が必要である。第1の処理条件(高圧容器30に付与す
る圧力=10kgf/cm2 以上、1000kgf/c
2 以下)、第2の処理条件(加熱温度=銅又は銅合金
22の融点より10℃〜250℃高い温度)、又は第3
の処理条件(成形体又は焼結体20に予め1〜10vo
l%のNiめっきを施す)を満足させることにより、成
形体又は焼結体20と銅又は銅合金22との接触時間を
短くすることができる。
【0126】また、成形体又は焼結体20と銅又は銅合
金22との濡れ性が悪い場合、銅又は銅合金22を十分
に含浸させるには高圧力をかけることが必要である。第
3の処理条件(成形体又は焼結体20に予め1〜10v
ol%のNiめっきを施す)、又は第4の処理条件(成
形体又は焼結体20に予めSiを1〜10vol%含浸
させる)を行うことにより成形体又は焼結体20の気孔
表面が改質され、成形体又は焼結体20と銅又は銅合金
22との濡れ性が良好となるため、より低圧力でより細
かい気孔にまで銅又は銅合金22を含浸させることがで
きる。
【0127】次に、第1の具体例に係る含浸処理工程の
含浸工程について、いくつかの変形例を図12及び図1
3を参照しながら説明する。
【0128】第1の変形例に係る含浸工程は、図12に
示すように、まず、高圧容器30を初期状態にして、高
圧容器30内に設けられている耐火容器40の第1室4
4aを下方に位置させる(ステップS101)。
【0129】その後、成形体又は焼結体20を第2室4
4bにセットし、予め溶融された銅又は銅合金(溶融
銅)22を第1室44a内に流し込む(ステップS10
2)。
【0130】その後、第1室44a内の溶融銅が所定温
度に達した段階で、高圧容器30を180度転回させる
(ステップS103)。この転回動作によって、第1室
44a内の溶融銅が下方に位置する第2室44bに落下
し、この段階で、溶融銅に成形体又は焼結体20が浸さ
れた状態となる。
【0131】その後、ガス導入管50を通じて高圧容器
30内に含浸用ガスを導入して、該高圧容器30内を加
圧する(ステップS104)。この加圧処理によって、
前記溶融銅は成形体又は焼結体の開気孔部中に含浸する
こととなる。
【0132】次に、第2の変形例に係る含浸工程につい
て説明すると、この第2の変形例に係る含浸工程は、高
圧容器30内に設置されている耐火容器40の内部中央
部分に、多孔質セラミック材からなる仕切板(図示せ
ず)が設けられた高圧容器30を用いる。耐火容器40
内は、前記仕切板によって第1室44aと第2室44b
とに仕切られることになる。
【0133】前記仕切板としては、気孔率が40%〜9
0%で、かつ気孔径が0.5mm〜3.0mmである多
孔質セラミック材を用いることが望ましく、より好まし
くは気孔率が70%〜85%で、かつ気孔径が1.0m
m〜2.0mmである多孔質セラミック材を用いること
が望ましい。
【0134】そして、この第2の変形例に係る含浸工程
は、図13に示すように、まず、高圧容器を初期状態に
して、高圧容器内に設けられている耐火容器40の第1
室44aを下方に、第2室44bを上方に位置させる
(ステップS201)。
【0135】その後、成形体又は焼結体20と銅又は銅
合金22の塊を高圧容器30の耐火容器40内に入れ、
銅又は銅合金22の塊を上方に位置する第2室44b内
に配置し、成形体又は焼結体20を下方に位置する第1
室44aにセットする(ステップS202)。
【0136】その後、高圧容器30(及び耐火容器4
0)を密封した後、吸気管48を通じて高圧容器30内
の真空引きを行って該高圧容器30内を負圧状態にする
(ステップS203)。
【0137】その後、ヒータ42に通電して第2室44
bの銅又は銅合金22を加熱溶解する(ステップS20
4)。前記溶融銅が所定温度に達した段階で、ガス導入
管50を通じて高圧容器30内に含浸用ガスを導入し
て、該高圧容器30内を加圧する(ステップS20
5)。この加圧処理によって、上方に位置する第2室4
4b内の溶融銅は、仕切板を通過し、下方に位置する第
1室44a内の成形体又は焼結体20の開気孔部中に含
浸されることになる。
【0138】次に、第2の具体例に係る含浸処理工程に
ついて図14〜図19を参照しながら説明する。
【0139】この第2の具体例に係る含浸処理工程は、
具体的には図14にその一例を示すように、ホットプレ
ス炉60を使用することによって行われる。このホット
プレス炉60は、筒状の筐体62内に、基台を兼ねる下
パンチ64と、該下パンチ64上に固定された上面開口
の耐火容器66と、該耐火容器66内に上方から進退自
在とされた上パンチ68と、前記耐火容器66を加熱す
るためのヒータ70が設けられている。なお、このホッ
トプレス炉60には、真空引きのための吸気管72が設
けられている。
【0140】前記耐火容器66は、中空部74を有する
筒状の形状を有する。上パンチ68は、その側面に、該
上パンチ68の行程を決定するフランジ部76が設けら
れ、該フランジ部76の下面には、前記耐火容器66の
上周面と接触して耐火容器66を密閉状態にするための
パッキン78が取り付けられている。一方、下パンチ6
4の内部には、耐火容器66内を加熱するための加熱用
流体や耐火容器66内を冷却するための冷却用流体を流
通させるための通路80が設けられている。
【0141】そして、第2の具体例に係る含浸処理工程
は、図15に示す工程を踏むことにより行われる。
【0142】まず、耐火容器66の中空部74内に、下
から成形体又は焼結体20、多孔質セラミック製のフィ
ルタ54、銅又は銅合金22の塊の順で投入する(ステ
ップS301)。フィルタ54としては、気孔率が40
%〜90%で、かつ気孔径が0.5mm〜3.0mmで
ある多孔質セラミック材を用いることが望ましく、より
好ましくは気孔率が70%〜85%で、かつ気孔径が
1.0mm〜2.0mmである多孔質セラミック材を用
いることが望ましい。
【0143】また、前記フィルタ54は、成形体又は焼
結体20と銅又は銅合金22の塊とを仕切って両者を非
接触状態におく仕切板としての機能を果たし、中空部7
4のうち、フィルタ54上の銅又は銅合金22の塊がセ
ットされた部分を上室74a、フィルタ54下の成形体
又は焼結体20がセットされた部分を下室74bとして
定義することができる。
【0144】次に、吸気管72を通じて耐火容器66内
の真空引きを行って該耐火容器66の両室74a及び7
4b内を負圧状態にする(ステップS302)。
【0145】その後、ヒータ70に通電して上室74a
内の銅又は銅合金22を加熱溶解する(ステップS30
3)。このとき、前記ヒータ70への通電と併せて下パ
ンチ64の通路80内に加熱用流体を流して耐火容器6
6の内部を加熱するようにしてもよい。
【0146】上室74a内の銅又は銅合金22の溶解物
(溶融銅)が所定温度に達した段階で、上パンチ68を
下方に移動させて上室内を所定圧まで加圧する(ステッ
プS304)。このとき、上パンチ68のフランジ部7
6に取り付けられたパッキン78と耐火容器66の上周
面との接触及び互いの押圧により、耐火容器66が密封
され、内部の溶融銅が耐火容器66の外に漏れるという
不都合が有効に防止される。
【0147】所定圧になった上室74a内の銅又は銅合
金22の溶解物(溶融銅)は上室74a内の圧力によっ
てフィルタ54を通して下室74b側に押し出されて該
下室74b内に導入されると同時に、該下室74b内に
設置された成形体又は焼結体20に含浸される。
【0148】時間管理によって予め設定されている終点
(成形体又は焼結体20内への溶融銅の含浸が飽和状態
とされた時点)となった段階において、今度は、下パン
チ64内の通路80に冷却用流体を流して耐火容器66
を下方から上方に向かって冷却させることにより(ステ
ップS305)、成形体又は焼結体20に含浸された溶
融銅を凝固させる。凝固が完了するまで上パンチ68と
下パンチ64による耐火容器66内の加圧状態は保持さ
れる。
【0149】凝固が完了した時点で、銅又は銅合金22
が含浸された成形体又は焼結体20を耐火容器66から
取り出す(ステップS306)。
【0150】この製造方法においては、成形体又は焼結
体20と銅又は銅合金22とを十分に脱気しつつ加熱
し、銅又は銅合金22を溶融した後、速やかに成形体又
は焼結体20に接触させ、かつ、これらを加圧状態と
し、更にその加圧状態を冷却操作完了時まで保持するよ
うにしたので、成形体又は焼結体20に銅又は銅合金2
2を効率的に含浸することができる。前記例では含浸処
理を負圧下で行うようにしたが、常圧下で行ってもよ
い。
【0151】このように、溶融銅と成形体又は焼結体2
0を共に加圧状態下においた後に、互いに接触させて、
含浸処理を行うようにしたので、両者を接触させる際の
圧力低下を最小限にすることができ、含浸処理時におけ
る加圧状態を良好に保持させることができる。
【0152】前記例では、溶融銅の漏れを防止するため
に、上パンチ68におけるフランジ部76の下面にパッ
キン78を設けるようにしたが、図14の二点鎖線で示
すように、耐火容器66の上周面にパッキン78を設け
るようにしてもよい。また、図16A及び図16Bに示
すように、リング状の割型パッキン100を2枚重ねに
したパッキン部材102を、図17に示すように、上パ
ンチ68の下部に設けるようにしてもよい。この場合、
パッキン部材102の中空部104に溶融銅が入り込む
ことにより各割型パッキン100の直径が拡大し、結果
的に上室74aが密封されて溶融銅の漏れが防止される
ことになる。
【0153】次に、第2の具体例に係る含浸処理工程の
変形例について図18及び図19を参照しながら説明す
る。なお、図14と対応するものについては同符号を付
してその重複説明を省略する。
【0154】この変形例に係る含浸処理工程において
は、ホットプレス炉60として、図18に示すように、
耐火容器66における中空部74の高さ方向中央部に多
孔質セラミックにて構成されたフィルタ部材110が固
着され、下室74bの側面に扉112が開閉自在に取り
付けられたものが使用される。従って、耐火容器66の
中空部74のうち、フィルタ部材110よりも上の部分
が上室74aとなり、フィルタ部材110よりも下の部
分が下室74bとなる。特に、下室74bに取り付けら
れた扉112に関しては、該扉112を閉じたときに下
室74bが密封されるような構造が採用される。
【0155】そして、この変形例に係る含浸処理工程
は、図19に示す工程を踏むことにより行われる。
【0156】まず、耐火容器66の上室74a内に銅又
は銅合金22の塊を投入し、下室74bの扉112を開
いて該下室74b内に成形体又は焼結体20を投入する
(S401)。
【0157】次に、扉112を閉じて下室74bを密封
し、更にホットプレス炉60を密封した後、吸気管72
を通じて耐火容器66内の真空引きを行って該耐火容器
66の両室74a及び74b内を負圧状態にする(ステ
ップS402)。
【0158】その後、ヒータ70に通電して上室74a
内の銅又は銅合金22を加熱溶解する(ステップS40
3)。この場合も前記ヒータ70への通電と併せて下パ
ンチ64の通路80内に加熱用流体を流して耐火容器6
6の内部を加熱するようにしてもよい。
【0159】上室74a内の銅又は銅合金22の溶解物
(溶融銅)が所定温度に達した段階で、上パンチ68を
下方に移動させて上室74a内を所定圧まで加圧する
(ステップS404)。
【0160】所定圧になった上室74a内の銅又は銅合
金22の溶解物(溶融銅)は上室74a内の圧力によっ
てフィルタ部材110を通して下室74b側に押し出さ
れて該下室74b内に導入されると同時に、該下室74
b内に設置された成形体又は焼結体20に含浸される。
【0161】時間管理によって予め設定されている終点
となった段階において、今度は、下パンチ64内の通路
80に冷却用流体を流して耐火容器66を下方から上方
に向かって冷却させることにより(ステップS40
5)、成形体又は焼結体20に含浸された溶融銅を凝固
させる。
【0162】凝固が完了した時点で、銅又は銅合金22
が含浸された成形体又は焼結体20を耐火容器66から
取り出す(ステップS406)。
【0163】この変形例に係る含浸処理工程において
も、第2の具体例に係る含浸処理工程と同様に、成形体
又は焼結体20に銅又は銅合金22を効率的に含浸する
ことができる。また、この場合も、溶融銅と成形体又は
焼結体20を共に加圧状態下においた後に、互いに接触
させて、含浸処理を行うようにしているため、両者を接
触させる際の圧力低下を最小限にすることができ、含浸
処理時における加圧状態を良好に保持させることができ
る。前記例では、負圧下で含浸処理を行うようにした
が、常圧下で行ってもよい。
【0164】次に、第3の具体例に係る含浸処理工程に
ついて図20及び図21を参照しながら説明する。な
お、図14と対応するものについては同符号を記してそ
の重複説明を省略する。
【0165】この第3の具体例に係る含浸処理工程は、
前記第2の具体例に係る含浸処理工程と原理的にはほぼ
同じであるが、含浸工程において、成形体又は焼結体2
0と銅又は銅合金22とを負圧下又は常圧下で接触さ
せ、加熱処理して前記銅又は銅合金22を溶融する点で
異なる。
【0166】具体的には、図20に示すように、第2の
具体例に係る含浸処理工程にて使用されるホットプレス
炉60の耐火容器66内にフィルタ54を投入せずに、
下からSiC20、銅又は銅合金22の順で投入する点
で異なる。
【0167】そして、第3の具体例に係る含浸処理工程
は、図21に示す工程を踏むことにより行われる。
【0168】まず、耐火容器66の中空部74内に、下
から成形体又は焼結体20、銅又は銅合金22の塊の順
で投入する(ステップS501)。
【0169】次に、ホットプレス炉60を密封した後、
吸気管72を通じて耐火容器66内の真空引きを行って
該耐火容器66内を負圧状態にする(ステップS50
2)。
【0170】その後、ヒータ70に通電して耐火容器6
6内の銅又は銅合金22を加熱溶解する(ステップS5
03)。このとき、前記ヒータ70への通電と併せて下
パンチ64の通路80内に加熱用流体を流して耐火容器
66の内部を加熱するようにしてもよい。
【0171】耐火容器66内の銅又は銅合金22の溶解
物(溶融銅)が所定温度に達した段階で、上パンチ68
を下方に移動させて耐火容器66内を所定圧まで加圧す
る(ステップS504)。
【0172】所定圧になった銅又は銅合金22の溶解物
(溶融銅)は耐火容器66内の圧力によって成形体又は
焼結体20に含浸される。
【0173】時間管理によって予め設定されている終点
(SiC20内への溶融銅の含浸が飽和状態とされた時
点)となった段階において、今度は、下パンチ64内の
通路80に冷却用流体を流して耐火容器66を下方から
上方に向かって冷却させることにより(ステップS50
5)、SiC20に含浸された溶融銅を凝固させる。凝
固が完了するまで上パンチ68と下パンチ64による耐
火容器66内の加圧状態は保持される。
【0174】凝固が完了した時点で、銅又は銅合金22
が含浸された成形体又は焼結体20を耐火容器66から
取り出す(ステップS506)。
【0175】この製造方法においても、成形体又は焼結
体20と銅又は銅合金22とを十分に脱気しつつ加熱
し、銅又は銅合金22と成形体又は焼結体20とを接触
させた状態で銅又は銅合金22を溶融した後、耐火容器
66内を加圧状態とし、更にその加圧状態を冷却操作完
了時まで保持するようにしたので、成形体又は焼結体2
0に銅又は銅合金22を効率的に含浸することができ
る。
【0176】前記例では、成形体又は焼結体20に含浸
させる金属を銅又は銅合金22としたが、銅には不純物
として、0.001wt%〜0.1wt%のCa、A
g、Cd、Zn、Au、Pd、In、Ga、Pt、C
r、Ge、Rh、Sb、Ir、Co、As、Zr、F
e、Sn、Mn、P、Pb等やガス成分を含んでいても
よい。もちろん純銅でもよい。
【0177】また、成形体又は焼結体20として柔軟性
中間材料であるヤーン構成体302を使用し、銅又は銅
合金22の含浸、溶融と組み合わせると、成形体又は焼
結体20において、ヤーンの間隙には細長い開気孔が残
る傾向があり、この細長い開気孔に沿って銅又は銅合金
22が成形体又は焼結体20の奥まで浸透し易い。
【0178】ここで、成形体又は焼結体20における銅
又は銅合金22の濃度傾斜の調節は、成形体又は焼結体
20の開気孔率及びその細孔径により行う。例えば、成
形体又は焼結体20の表層から0.01〜10mmで、
銅又は銅合金22の濃度を他所よりも高める場合には、
成形体又は焼結体20の当該所望高濃度部分における開
気孔率を5〜50%、平均細孔径を1μm以上とし、当
該所望高濃度部分以外の部分の開気孔率及び平均細孔径
を該高濃度部分以下とする。
【0179】好ましくは、成形体又は焼結体20の当該
所望高濃度部分における開気孔率は10〜50%、平均
細孔径は10μm以上とし、当該所望高濃度部分以外の
部分の開気孔率及び平均細孔径を該高濃度部分以下とす
る。
【0180】前記開気孔率を5%未満とすると、成形体
又は焼結体20中のバインダが除去し難く、50%より
大きくすると、所望部位以外の銅又は銅合金22の浸透
が、銅又は銅合金22の量や、接触時間等の他の製造パ
ラメータの制御範囲を超えて進行してしまうからであ
る。
【0181】成形体又は焼結体20の開気孔率を、表面
から内部に向かって小さくなるようにするには、バイン
ダピッチの異なるプリフォームドヤーンからなる複数の
プリフォームドシートを、内側から表層側に向かってバ
インダピッチが大きくなるように配置して成形すること
により行う。
【0182】このように作られた銅又は銅合金22の濃
度傾斜がある成形体又は焼結体20は、表面及び表面近
傍で銅又は銅合金22の濃度が高いため、ヒートシンク
に用いると熱の収集及び熱の放散に適し、かつ、内部は
カーボンファイバ骨格の占める割合が高いため、熱的、
機械的衝撃性に優れる。
【0183】なお、この発明に係る複合材料及びその製
造方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨
を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもち
ろんである。
【0184】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る複合
材料及びその製造方法によれば、カーボンファイバ骨格
中に銅又は銅合金が均一分散しているため、熱的、機械
的衝撃性に優れた構造材、部品ができるという効果が達
成される。
【0185】また、本発明に係る複合材料及びその製造
方法によれば、カーボン繊維と銅が主成分となり均一組
成を構成しているため、摺動特性に優れた構造材、部品
ができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る複合材料の構成を概念的に
示す斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線上の断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線上の断面図であ
る。
【図4】本実施の形態に係る複合材料の模式的断面図で
ある。
【図5】ヤーンを構成するための柔軟性中間材料(ヤー
ン構成体)を示す斜視図である。
【図6】ヤーン配列体を示す斜視図である。
【図7】積層体を示す側面図である。
【図8】積層体をホットプレス装置内に投入した状態を
示す説明図である。
【図9】作製された成形体(あるいは焼結体)を概念的
に示す斜視図である。
【図10】図10Aは高圧容器の正面を一部破断して示
す図であり、図10Bは高圧容器の側面を一部破断して
示す図である。
【図11】本実施の形態に係る含浸処理工程を示す工程
ブロック図である。
【図12】第1の変形例に係る含浸工程を示す工程ブロ
ック図である。
【図13】第2の変形例に係る含浸工程を示す工程ブロ
ック図である。
【図14】第2の具体例に係る含浸処理工程に使用され
るホットプレス炉を示す概略構成図である。
【図15】第2の具体例に係る含浸処理工程を示す工程
ブロック図である。
【図16】図16Aは割型のパッキン部材を示す平面図
であり、図16Bは図16AにおけるA−A線上の断面
図である。
【図17】第2の具体例に係る含浸処理工程に使用され
るホットプレス炉の他の例を示す概略構成図である。
【図18】第2の具体例に係る含浸処理工程の変形例に
使用されるホットプレス炉を示す構成図である。
【図19】第2の具体例に係る含浸処理工程の変形例を
示す工程ブロック図である。
【図20】第3の具体例に係る含浸処理工程に使用され
るホットプレス炉を示す構成図である。
【図21】第3の具体例に係る含浸処理工程を示す工程
ブロック図である。
【符号の説明】
1A〜1F…ヤーン配列体 2A、2B…ヤ
ーン 20…無機物質(成形体又は焼結体) 200…複合材
料 202…開孔 206A、20
6B…マトリクス 208…ヤーン集合体 302…ヤーン
構成体 306…ヤーン配列体 308…積層体

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管状の連続した開孔が多数形成された無機
    物質と、 前記無機物質の前記開孔に含浸された少なくとも銅を含
    む金属からなるマトリクスとを有することを特徴とする
    複合材料。
  2. 【請求項2】請求項1記載の複合材料において、 前記金属を含浸させる前の前記無機物質の開気孔率が1
    0%〜35%であることを特徴とする複合材料。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の複合材料において、 前記無機物質は、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維以
    外の炭素成分とを含有するヤーンが三次元的に組み合わ
    され、これらヤーンが互いに分離しない程度に一体化さ
    れたヤーン集合体で構成され、 前記開孔は、前記ヤーン集合体において互いに隣接する
    ヤーンの間に形成される隙間であることを特徴とする複
    合材料。
  4. 【請求項4】請求項3記載の複合材料において、 前記ヤーン集合体は複数のヤーン配列体が積層されて構
    成され、 前記ヤーン配列体はそれぞれ複数の前記ヤーンがほぼ平
    行に二次元的に配列されることによって構成されている
    ことを特徴とする複合材料。
  5. 【請求項5】請求項4記載の複合材料において、 隣接する前記ヤーン配列体における各ヤーンの長手方向
    が互いに交差していることを特徴とする複合材料。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合
    材料において、 前記マトリクスは、前記無機物質の中で互いに連続する
    ことで三次元網目構造を形成していることを特徴とする
    複合材料。
  7. 【請求項7】請求項5又は6記載の複合材料において、 前記マトリクスは前記各ヤーン配列体に沿ってほぼ平行
    に二次元的に配列され、かつ、隣接する前記各ヤーン配
    列体中に含浸された前記マトリクスは互いに連続されて
    いることを特徴とする複合材料。
  8. 【請求項8】多数本の炭素繊維と炭素粉体と有機バイン
    ダにて炭素繊維束を作製し、該炭素繊維束の周囲に樹脂
    製の被膜を形成してヤーン構成体を作製する第1の工程
    と、 前記ヤーン構成体を多数配列させて配列体を作製する第
    2の工程と、 前記配列体を積層させて積層体を作製する第3の工程
    と、 前記積層体を加圧焼成して管状の連続した開孔が多数形
    成された焼結体を作製する第4の工程と、 前記焼結体の前記開孔に少なくとも銅を含む金属を含浸
    させる第5の工程とを有することを特徴とする複合材料
    の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項8記載の複合材料の製造方法におい
    て、 前記第4の工程は、前記積層体をホットプレスで300
    〜2000℃、常圧〜500kgf/cm2 の条件下で
    成形して成形体を作製し、該成形体を大気中で600〜
    1200℃で焼成して前記焼結体を作製することを特徴
    とする複合材料の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項9記載の複合材料の製造方法にお
    いて、 前記成形体を600〜1200℃で炭化させ、1500
    〜3000℃で黒鉛化して前記焼結体を作製することを
    特徴とする複合材料の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれか1項に記載の
    複合材料の製造方法において、 前記炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維及びPAN系炭素繊
    維のいずれかであることを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  12. 【請求項12】請求項8〜11のいずれか1項に記載の
    複合材料の製造方法において、 前記第5の工程は、前記焼結体と少なくとも銅を含む金
    属とを互いに接触させない状態で加熱し、所定温度に達
    した段階で両者を接触させて直ちに高圧力を付与して、
    前記金属を前記焼結体中に含浸させる含浸工程と、 少なくとも前記金属が含浸された前記焼結体を冷却する
    冷却工程とを有することを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  13. 【請求項13】請求項12記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 前記含浸工程は、前記焼結体と前記金属を同一の容器に
    入れ、前記金属を前記容器内の下方に配置した後、該容
    器内を負圧又は常圧状態にする工程と、 前記金属を加熱溶解して前記金属を溶融金属にする工程
    と、 前記溶融金属が所定温度に到達した段階で、前記容器を
    転回して該容器内において前記溶融金属中に前記多孔質
    焼結体を浸漬させる工程と、 前記容器内に含浸用ガスを導入して前記容器内を加圧す
    ることにより、前記溶融金属を前記焼結体中に含浸させ
    る工程とを有することを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  14. 【請求項14】請求項12記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 前記含浸工程は、予め溶融された前記金属と前記焼結体
    を同一の容器に入れ、 前記溶融金属を前記容器内の下方に配置した後、該容器
    内を負圧又は常圧状態にする工程と、 前記溶融金属が所定温度に到達した段階で、前記容器を
    転回して該容器内において前記溶融金属中に前記焼結体
    を浸漬させる工程と、 前記容器内に含浸用ガスを導入して前記容器内を加圧す
    ることにより、前記溶融金属を前記焼結体中に含浸させ
    る工程とを有することを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  15. 【請求項15】請求項13又は14記載の複合材料の製
    造方法において、 前記冷却工程は、前記容器を転回して含浸後の前記焼結
    体と非含浸の残存溶融金属とを分離する工程と、 前記容器内の前記含浸用ガスを抜き、速やかに冷却用ガ
    スを導入して容器内を冷却する工程とを有することを特
    徴とする複合材料の製造方法。
  16. 【請求項16】請求項13又は14記載の複合材料の製
    造方法において、 前記冷却工程は、前記容器を転回して含浸後の前記焼結
    体と非含浸の残存溶融金属とを分離する工程と、 前記容器を冷やし金に接触させることにより、前記容器
    内を冷却する工程とを有することを特徴とする複合材料
    の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項12〜16のいずれか1項に記載
    の複合材料の製造方法において、 前記付与する圧力は、10kgf/cm2 以上、100
    0kgf/cm2 以下であることを特徴とする複合材料
    の製造方法。
  18. 【請求項18】請求項12〜17のいずれか1項に記載
    の複合材料の製造方法において、 前記圧力の付与時間は、10秒以上、30分以下である
    ことを特徴とする複合材料の製造方法。
  19. 【請求項19】請求項12〜18のいずれか1項に記載
    の複合材料の製造方法において、 前記所定温度は、前記金属の融点より10℃〜250℃
    高い温度であることを特徴とする複合材料の製造方法。
  20. 【請求項20】請求項12〜19のいずれか1項に記載
    の複合材料の製造方法において、 前記冷却工程における冷却速度は、含浸時の温度から8
    00℃まで、−400℃/時間以上であることを特徴と
    する複合材料の製造方法。
  21. 【請求項21】請求項12〜20のいずれか1項に記載
    の複合材料の製造方法において、 前記負圧状態は、1Torr以下であることを特徴とす
    る複合材料の製造方法。
  22. 【請求項22】請求項8〜21のいずれか1項に記載の
    複合材料の製造方法において、 前記金属を含浸させる前の前記焼結体の開気孔率が10
    %〜35%であることを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  23. 【請求項23】請求項8〜22のいずれか1項に記載の
    複合材料の製造方法において、 前記焼結体は、予め1〜10vol%のNiめっきが施
    されていることを特徴とする複合材料の製造方法。
  24. 【請求項24】請求項12記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 前記含浸工程は、前記焼結体と前記金属とを互いに非接
    触状態で負圧又は常圧状態にする工程と、 前記焼結体と前記金属とを負圧又は常圧下で所定温度ま
    で加熱し、前記金属を溶融する工程と、 前記溶融金属を加圧状態におく工程と、 前記加圧下の溶融金属と前記負圧又は常圧下の焼結体と
    を、速やかに接触させかつ加圧状態におき、加圧下で前
    記焼結体中に前記溶融金属を含浸させる工程とを有し、 前記冷却工程は、前記溶融金属が含浸された前記焼結体
    を前記加圧下で冷却することを特徴とする複合材料の製
    造方法。
  25. 【請求項25】請求項24記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 負圧又は常圧下に、非接触状態で加熱処理した焼結体と
    溶融金属とを、ともに加圧状態におき、その後速やかに
    接触させて前記焼結体中に前記金属を含浸させることを
    特徴とする複合材料の製造方法。
  26. 【請求項26】請求項12記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 前記含浸工程は、前記焼結体と前記金属とを、多孔質フ
    ィルターによって2室に仕切られた同一の容器の上下の
    室にそれぞれ配置し、各室を負圧又は常圧状態とする工
    程と、 上下両室を負圧又は常圧下で所定温度まで加熱し、前記
    金属を溶融する工程と、 前記上室を加圧状態におく工程と、 前記加圧下の上室の溶融金属を前記多孔質フィルターを
    通して下室へ浸透させて、負圧又は常圧下の前記焼結体
    と速やかに接触させた後、下室を加圧状態として、加圧
    下の前記焼結体中に前記溶融金属を含浸させる工程とを
    有し、 前記冷却工程は、前記下室の前記溶融金属が含浸された
    前記焼結体を、前記加圧状態下で冷却することを特徴と
    する複合材料の製造方法。
  27. 【請求項27】請求項12記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 前記含浸工程は、前記焼結体と前記金属とを、多孔質フ
    ィルターによって2室に仕切られた同一の容器の上下の
    室にそれぞれ配置し、各室を負圧又は常圧状態とする工
    程と、 上下両室を負圧又は常圧下で所定温度まで加熱し、前記
    金属を溶融する工程と、 前記上下両室を加圧状態におく工程と、 前記加圧下の上室の圧力を下室の圧力よりも更に高く
    し、溶融金属を前記多孔質フィルターを通して下室へ浸
    透させて前記焼結体と速やかに接触させた後、加圧下の
    前記焼結体中に前記溶融金属を含浸させる工程とを有
    し、 前記冷却工程は、下室の前記溶融金属が含浸された前記
    焼結体を、前記加圧下で冷却することを特徴とする複合
    材料の製造方法。
  28. 【請求項28】請求項24〜27のいずれか1項に記載
    の複合材料の製造方法において、 基材となる焼結体に少なくとも銅を含む金属を含浸処理
    するに際し、加圧状態におく工程を上下双方からのプレ
    ス処理により行うとともに、冷却工程を下室周辺からの
    間接冷却処理により行うことを特徴とする複合材料の製
    造方法。
  29. 【請求項29】請求項8記載の複合材料の製造方法にお
    いて、 前記第5の工程は、基材となる焼結体と少なくとも銅を
    含む金属を負圧又は常圧下で接触させ、加熱処理して前
    記金属を溶融し、その後、加圧状態において速やかに前
    記焼結体中に前記金属を含浸させる含浸工程と、 少なくとも前記金属が含浸された前記焼結体を冷却する
    冷却工程とを有することを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  30. 【請求項30】請求項29記載の複合材料の製造方法に
    おいて、 前記含浸工程は、前記焼結体と前記金属とを互いに接触
    させた状態で負圧又は常圧状態におく工程と、 前記焼結体と前記金属とを負圧又は常圧下で所定温度ま
    で加熱し、前記金属を溶融する工程と、 前記溶融金属を加圧状態におく工程と、 前記加圧下の溶融金属と前記負圧又は常圧下の多孔質焼
    結体とを、速やかに接触させ、かつ、加圧状態におき、
    加圧下で前記焼結体中に前記溶融金属を含浸させる工程
    とを有し、 前記冷却工程は、前記溶融金属が含浸された前記焼結体
    を前記加圧下で冷却することを特徴とする複合材料の製
    造方法。
JP26513198A 1998-09-18 1998-09-18 複合材料及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3478737B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26513198A JP3478737B2 (ja) 1998-09-18 1998-09-18 複合材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26513198A JP3478737B2 (ja) 1998-09-18 1998-09-18 複合材料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000095586A true JP2000095586A (ja) 2000-04-04
JP3478737B2 JP3478737B2 (ja) 2003-12-15

Family

ID=17413058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26513198A Expired - Fee Related JP3478737B2 (ja) 1998-09-18 1998-09-18 複合材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3478737B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003006844A1 (fr) * 2001-07-12 2003-01-23 Ngk Insulators, Ltd. Materiau de frein et son procede de fabrication
US6933531B1 (en) 1999-12-24 2005-08-23 Ngk Insulators, Ltd. Heat sink material and method of manufacturing the heat sink material
JP2006170239A (ja) * 2004-12-13 2006-06-29 Soei Giken:Kk 滑り軸受組み合わせ摺動部材
JP2009076923A (ja) * 2001-10-26 2009-04-09 Ngk Insulators Ltd ヒートシンク材
JP2021516441A (ja) * 2018-02-26 2021-07-01 クオラム テクノロジーズ リミテッドQuorum Technologies Ltd 回動可能なステージ

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6933531B1 (en) 1999-12-24 2005-08-23 Ngk Insulators, Ltd. Heat sink material and method of manufacturing the heat sink material
WO2003006844A1 (fr) * 2001-07-12 2003-01-23 Ngk Insulators, Ltd. Materiau de frein et son procede de fabrication
JP2003026479A (ja) * 2001-07-12 2003-01-29 Ngk Insulators Ltd ブレーキ材およびその製造方法
EP1416184A1 (en) * 2001-07-12 2004-05-06 Ngk Insulators, Ltd. Brake material and method of manufacturing the brake material
EP1416184A4 (en) * 2001-07-12 2007-09-05 Ngk Insulators Ltd BRAKE MATERIAL AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
JP4540890B2 (ja) * 2001-07-12 2010-09-08 日本碍子株式会社 ブレーキ材
JP2009076923A (ja) * 2001-10-26 2009-04-09 Ngk Insulators Ltd ヒートシンク材
JP2006170239A (ja) * 2004-12-13 2006-06-29 Soei Giken:Kk 滑り軸受組み合わせ摺動部材
JP2021516441A (ja) * 2018-02-26 2021-07-01 クオラム テクノロジーズ リミテッドQuorum Technologies Ltd 回動可能なステージ
JP7291730B2 (ja) 2018-02-26 2023-06-15 クオラム テクノロジーズ リミテッド 回動可能なステージ、当該ステージを備える電子顕微鏡、および当該ステージのロータを冷却する方法
US11810750B2 (en) 2018-02-26 2023-11-07 Quorum Technologies Ltd. Rotatable stage

Also Published As

Publication number Publication date
JP3478737B2 (ja) 2003-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100304457B1 (ko) 반도체히트싱크용복합재료및그제조방법
US6933531B1 (en) Heat sink material and method of manufacturing the heat sink material
JP4348565B2 (ja) 高熱伝導・低熱膨張複合材及び放熱基板
US6323160B1 (en) Carbon-carbon composite material made from densified carbon foam
WO2010027504A1 (en) Machinable metal/diamond metal matrix composite compound structure and method of making same
JP4344934B2 (ja) 高熱伝導・低熱膨張複合材及び放熱基板並びにこれらの製造方法
JP2000500112A (ja) 多孔性基体内に溶融したケイ素組成物を送り込む方法
WO2010038483A1 (ja) 複合部材
NO172449B (no) Metallmatrikskompositt med tilfeldig orienterte, innleirede, uorganiske oksydfibre, prelaget legeme, samt fremgangsmaate for fremstilling av disse
JP3673436B2 (ja) 炭素基金属複合材料およびその製造方法
JPH11505177A (ja) 電気絶縁体を含む金属地複合体の製造方法
JP2004525050A (ja) 熱伝導性材料
FI91492C (fi) Menetelmä metallimatriisikomposiitin valmistamiseksi
FI91724B (fi) Menetelmä metallimatriisikomposiitin valmistamiseksi negatiivista seosmuottia käyttäen
US5437921A (en) Electronic components mounting base material
JP2004002144A (ja) 繊維強化セラミック材料からなる成形体の製造方法
JP2000095586A (ja) 複合材料及びその製造方法
RU2392090C2 (ru) Способ получения композиционного материала
JP4203283B2 (ja) 複合材料
JPH11269577A (ja) 金属基複合鋳造品及びその製造方法
JP5462618B2 (ja) 複合材料の製造方法
JP3436702B2 (ja) 複合材料
JP2004285372A (ja) 銅−炭素繊維複合材およびその製造方法ならびにそれを用いた半導体デバイス
RU2261780C1 (ru) Способ получения металлического композиционного материала и изделия из него
JP4437617B2 (ja) 炭素繊維強化SiC系複合材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081003

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081003

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091003

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101003

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101003

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131003

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees