JP2000095524A - 硫酸コバルト溶液の製造方法 - Google Patents

硫酸コバルト溶液の製造方法

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JP2000095524A
JP2000095524A JP10266341A JP26634198A JP2000095524A JP 2000095524 A JP2000095524 A JP 2000095524A JP 10266341 A JP10266341 A JP 10266341A JP 26634198 A JP26634198 A JP 26634198A JP 2000095524 A JP2000095524 A JP 2000095524A
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ammonia
nitrate
cobalt compound
reducing agent
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English (en)
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Tomoshi Matsumoto
智志 松本
Nobuhiro Matsumoto
伸弘 松本
Kazuyuki Takaishi
和幸 高石
Naoyuki Tsuchida
直行 土田
Masaki Imamura
正樹 今村
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモニアおよび硝酸イオンを不純物として
含むコバルト化合物を不活性雰囲気中、もしくは還元剤
とともに焙焼することでアンモニアおよび硝酸根を低エ
ネルギーで、かつ低濃度まで効率的に除去することがで
き、効率的に硫酸コバルト溶液を製造することができ
る。 【解決手段】 コバルト化合物を含んだ溶液に、硫酸
と、メタノール、エタノール、亜硫酸ソーダあるいは亜
硫酸ガスから選ばれた少なくとも1種の還元剤とを使用
して、50℃以上の温度で溶解させることを特徴とする
ものであり、また前記還元剤として使用した亜硫酸ガス
を、前記コバルト化合物を含んだ溶液の酸化還元電位が
300mV以上で700mV以下となるよう添加するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニアおよび
硝酸根を不純物として含む原料コバルト化合物から、ア
ンモニアおよび硝酸根を除去して高純度なコバルト化合
物とし、このコバルト化合物を効率よく溶解し、安価に
高純度な硫酸コバルト溶液を製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】コバルトは耐熱合金や超硬合金などの特
殊合金、あるいは永久磁石や磁気テープなどの磁性材料
として広く使用されている金属である。この中で、磁性
特性を要する用途では、一般にコバルト源として硫酸コ
バルトが使用されている。従来より実施されている硫酸
コバルトの製造方法は、水酸化コバルト、酸化コバルト
もしくは金属コバルトなどのコバルト含有物を硫酸で溶
解し、濃縮・結晶化させることで硫酸コバルトの結晶を
得ている。
【0003】一般にコバルト鉱石は、酸化物、硫化物な
どの形で産出されるが、ニッケル製錬の副産物として産
出されることも多く、この副産物からコバルトを製造す
るにはニッケルを始めとする不純物との分離が不可欠で
ある。
【0004】近年では、溶媒抽出法やイオン交換樹脂技
術を適用することによりニッケル、銅や亜鉛などの金属
不純物イオンは完全に分離除去することができ、前記の
金属不純物の含有量の極めて少ない高純度のコバルト化
合物を得ることが可能になってきている。
【0005】ところでニッケルおよびコバルトの製造方
法の1つにアンモニア浸出法がある。これは一般に酸化
物である原料鉱石を還元焙焼した後、アンモニア浸出を
行い、溶媒抽出を経て原料コバルト化合物を回収する方
法である。この方法では溶媒抽出法の使用によって、前
述のようにコバルト化合物から金属不純物の少ない原料
コバルト化合物として、すなわち炭酸コバルト、もしく
は水酸化コバルトの形態で回収される。しかしこのアン
モニア浸出法ではコバルトはアンモニア性の溶液から回
収されることになるので、回収された原料コバルト化合
物にはアンモニア(NH)の混入が避けられない。ま
たアンモニアの一部は酸化されて硝酸となるため、原料
コバル卜化合物中の硝酸根(NO)の濃度も高くなる
のが一般的である。このような原料コバルト化合物から
アンモニアや硝酸根を除去してコバルト化合物を得るに
は、これまではつぎの方法により行われていた。
【0006】その1つの方法は、アンモニアや硝酸根
は、水などに高い溶解性を有するので、原料コバルト化
合物を溶解度の高い水などで繰り返し洗浄して除去する
ものである。その他の方法としてはアンモニアは揮発性
であること、硝酸根は高温では分解することから、これ
らを含有する原料コバルト化合物を加熱しアンモニアと
硝酸根を分解揮発して除去させるものである。
【0007】しかしながら、まず水などによる原料コバ
ルト化合物の洗浄ではアンモニアや硝酸根を完全に除去
するためには多量の水が必要であり、また繰り返して何
度も洗浄する必要がある。さらにアンモニアや硝酸根が
複塩などの溶解性の低い化合物として固定されている場
合には、水による洗浄のみでは完全な除去はできず、ま
た洗浄水の排水処理も注意深く行わなければならないた
め有効な方法とはいい難いものである。さてアンモニア
のみが含まれている原料コバルト化合物の場合には、空
気中で200℃程度加熱すると完全にアンモニアを分解
揮発させることができる。しかし硝酸根を分解揮発する
には極めて高温の加熱が必要であり、硝酸根を含む原料
コバルト化合物を500℃に加熱してはじめて分解揮発
し、0.01重量%以下の含有量となる。換言するとア
ンモニアが分解揮発できる200〜300℃の低温領域
では硝酸根は殆ど分解揮発による除去はされない。
【0008】一方アンモニアのみが含まれている原料コ
バルト化合物を加熱して分解揮発させても、空気などの
酸素がある状態で焙焼すると、一旦分解揮発されたアン
モニアが空気中で酸化されて硝酸根となり、再び前記原
料コバルト化合物中に含有されてしまい、これを完全に
除去するためには上述の硝酸根の分解揮発による除去と
同様に500℃以上に加熱する必要があった。
【0009】このように原料コバルト化合物の加熱によ
りアンモニアおよび硝酸根を分解揮発して除去する方法
では500℃以上の高温が必要であるため、エネルギー
消費が過大であり、経済的に問題があった。さらに前述
したような製造方法によって原料コバルト化合物から得
られたコバルト化合物から、さらに最適な硫酸コバルト
の結晶を得るためには、濃縮・結晶化の溶液のpHを1
以上にしておく必要がある。これは溶液から硫酸コバル
トを晶析させて最終的に得られる硫酸コバルトの結晶
が、pHを4.5以上とすることが要求されているため
である。この要求の理由はpHが4.5未満であると、
再溶解して使用する際に中和する必要があり、そのため
高純度で高価な中和剤が必要となるためである。
【0010】しかし一方で、3価のコバルトを含有する
水酸化物や酸化コバルトなどのコバルト化合物は、硫酸
に溶解し難く通常の条件下では、溶解率が低く効率が悪
い。したがってこれらコバルト化合物の溶解工程におい
て、溶解率を高くし、処理時間を短縮させるためには、
過剰の硫酸を添加してpHを低下させ、また高温度での
処理が必要であった。このためコバルト溶解液のpHが
大幅に低下し、必然的に得られる硫酸コバルト結晶のp
Hが低下するのみではなく、製造設備も耐酸性・耐熱性
が要求されるため設備の材質の選定が問題となってい
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決し、アンモニアおよび硝酸根を含有する原
料コバルト化合物からこれらを効率的に低濃度まで除去
し、得られたコバルト化合物を還元溶解することによっ
て効率よく硫酸コバルトを製造する方法を提供すること
をを目的とするものである。
【0012】
【課題を達成するための手段】本発明者らは、コバルト
化合物から硫酸コバルトを効率よく製造する方法につい
て鋭意研究した結果、アンモニアおよび硝酸根を含有す
る原料コバル卜化合物を、300゜C以上で500℃未
満、好ましくは350゜C以上で450℃以下の不活性
ガス気流中で焙焼するか、もしくは還元剤とともに35
0゜C以上で500℃未満の温度で焙焼して、原料コバ
ルト化合物からのアンモニアおよび硝酸根を除去し、ア
ンモニアおよび硝酸根の含有量をそれぞれ0.01重量
%以下まで低下させたコバルト化合物を得た後、硫酸に
加えて還元剤を添加して該コバルト化合物を還元溶解す
ることにより効率的に硫酸コバルトを製造できることを
見出し発明を完成するに至った。
【0013】したがって上記目的を達成するため本発明
に係る硫酸コバルト溶液の製造方法は、コバルト化合物
を含んだ溶液に、硫酸と、メタノール、エタノール、亜
硫酸ソーダあるいは亜硫酸ガスから選ばれた少なくとも
1種の還元剤とを使用して、50℃以上の温度で溶解さ
せることを特徴とするものであり、また前記還元剤とし
て使用した亜硫酸ガスを、前記コバルト化合物を含んだ
溶液の酸化還元電位が300mV以上で700mV以下
となるよう添加することを特徴とするものである。
【0014】そして本発明においては前記コバルト化合
物は、窒素ガス雰囲気のような不活性ガス気流中で30
0℃以上で500℃未満の温度、好ましくは350℃以
上で450℃以下の温度で焙焼され、かつ焙焼前の原料
コバルト化合物中に含まれるアンモニアおよび硝酸根を
除去されたものである。
【0015】さらに本発明においては前記コバルト化合
物は、還元剤とともに350℃以上で500℃未満の温
度で焙焼され、かつ焙焼前の原料コバルト化合物中に含
まれるアンモニアおよび硝酸根を除去されたものであ
り、前記還元剤としてカーボン、活性炭、水素ガスある
いは一酸化炭素から選ばれた少なくとも1種を使用して
焙焼され、かつ前記還元剤としてカーボンまたは活性炭
を使用し、かつアンモニアおよび硝酸イオンを含む焙焼
前の原料コバルト化合物に対して0.05重量%以上で
5重量%以下の範囲で添加して焙焼されることを特徴と
するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る硫酸コバルト溶液の
製造方法では、コバルト化合物を含んだ溶液に、硫酸
と、メタノール、エタノール、亜硫酸ソーダおよび/あ
るいは亜硫酸ガスからなる還元剤とを使用して、50℃
以上の温度で溶解させるものであり、前記還元剤として
使用した亜硫酸ガスを、前記コバルト化合物を含んだ溶
液の酸化還元電位が300mV以上で700mV以下と
なるよう添加することが肝要である。前述した通りアン
モニアは揮発し易く、200℃付近の温度で揮発できる
が、硝酸根は以下の反応式1のように分解揮発して除去
されるものと考えられる。なおこの反応には500℃以
上の高温が必要である。
【0017】
【式1】2HNO=2NO+3O+H
【0018】そこで本発明では硝酸根の除去方法とし
て、上述した通常の除去反応ではなく、つぎの2つの除
去方法を用いるものである。
【0019】すなわち本発明における第1の硝酸根の除
去方法では、アンモニアと硝酸根との両者を含む原料コ
バルト化合物の特徴を活かして、不活性ガス気流中で焙
焼することによりアンモニアと硝酸根を反応させ500
℃より低い温度で除去するものである。つまり原料コバ
ルト化合物中のアンモニアを還元剤として利用すること
で、これまで除去に高温が必要とされていた硝酸根を除
去しようとするものである。通常の焙焼では空気中で行
われるため、硝酸根は分解揮発されることではじめて原
料コバルト化合物から除去される。しかしながら原料コ
バルト化合物に含まれているアンモニアを還元剤として
使用すれば効率的かつ低温で硝酸根も除去される。
【0020】このためには硝酸根との反応に必要な最低
量以上のアンモニアが存在しなければならないが、アン
モニア浸出法から産出される原料コバルト化合物には基
本的にアンモニアのみしか存在せず、硝酸根はアンモニ
アの酸化によって二次的に生じたものであるから、硝酸
根に対してアンモニアは大過剰に存在するのが通常であ
り、したがってそのまま不活性雰囲気中で焙焼すればア
ンモニアおよび硝酸根が除去される。硝酸根の還元に必
要と考えられるアンモニアは硝酸根に対して0.3重量
%以上あればよい。
【0021】本発明における不活性ガス気流中での焙焼
温度は、硝酸根の分解に必要な温度ではなく、硝酸根が
アンモニアと反応するために必要な温度であるから、空
気中で行う焙焼で必要な500℃以上よりも極めて低温
でよく、300℃以上で反応が進行して、アンモニアお
よび硝酸根がほぼ完全に除去される。また焙焼温度が高
いほど硝酸根の除去はより完全になるが、500℃以上
では、エネルギー消費が従来同様に多くなるので好まし
くない。また焙焼温度を高くすると、後の浸出工程にお
いてコバルトが浸出されにくくなる傾向があり、一般的
には450℃を超えてもアンモニアおよび硝酸根の除去
の程度は、殆ど変わらないので350〜450℃が好ま
しい。不活性ガスとしては、通常使用されている窒素、
アルゴン、へリウムなどが使用でき、特に限定されるも
のではないが、価格や取扱いの点から窒素を使用するこ
とが望ましい。硝酸根の除去は不活性ガス中の酸素濃度
により変化し、僅かな酸素でも除去効率が低下するの
で、純窒素などを使用することが必要である。また本発
明では不活性ガスは反応に直接関与しないのでガスの流
速などの条件は限定されない。
【0022】なお本発明のこの方法においては、不活性
ガス雰囲気中で300℃以上の温度で焙焼するので、硝
酸根と反応しない余剰のアンモニアも酸化されることな
く揮発し、効率的に除去できる。またアンモニア浸出法
から産出された原料コバルト化合物は粉粒状であるから
そのまま本発明の方法により処理できるが、原料コバル
ト化合物自体の寸法が大きい場合には、適度の大きさの
粉粒状に粉砕してから処理することが好ましい。
【0023】つぎに本発明における第2の硝酸根の除去
方法は、アンモニアに比べ揮発し難い硝酸根を還元し
て、より揮発し易い化合物であるアンモニアに変化させ
るとともに、揮発除去されたアンモニアを酸化させるこ
となく効率的に除去することを特徴とする方法である。
すでに述べたようにアンモニアは揮発し易く、200℃
付近の温度で分解揮発し、一方硝酸イオンは前述の反応
式1により分解揮発して除去されるものと考えられる
が、この反応には高温が必要である。しかしながら硝酸
根に比ベアンモニアが除去され易いことから硝酸根を適
当な還元剤により還元してアンモニアに変化させれば、
揮発除去され易くなる。つまり本発明の第2の方法で
は、硝酸根を含有する原料コバルト化合物に積極的に還
元剤を共存させて焙焼することによって、これまで除去
され難かった硝酸根をアンモニアに還元すると同時に、
本来含まれていたアンモニアとともに効率的に分解揮発
させ、350℃以上で500℃未満の温度で硝酸根およ
びアンモニアを除去することができるものである。
【0024】本発明のこの方法に使用される還元剤とし
ては、カーボン、活性炭、水素ガス、一酸化炭素ガス、
二酸化硫黄など一般的に使用されているものが使用でき
る。このうちカーボンや活性炭のように固形状の還元剤
は、原料コバルト化合物中に混ぜ込んだ後焙焼すればよ
く、ハンドリング性が優れている。ただし過剰のカーボ
ンは反応せずに、得られたコバルト化合物中に残留する
ので好ましくない。カーボンや活性炭を使用した場合の
添加量は原料コバルト化合物中の硝酸根の濃度により決
定されるが、硝酸根に対しておよそ2当量のカーボンで
十分なアンモニアへの還元が達成される。また通常アン
モニア浸出法から産出される原料コバルト化合物中の硝
酸根はアンモニアの酸化によって二次的に生じたもので
あり、硝酸根の含有量は非常に少ないことを考慮する
と、原料コバルト化合物に対して0.05〜5重量%の
範囲でカーボンまたは活性炭を添加することが好まし
い。添加量が0.05重量%未満ではアンモニアへの還
元が十分になされず、一方5重量%を超えて添加すると
得られたコバルト化合物中に還元剤が残留してしまう。
【0025】このように除去され難い硝酸根を還元して
分解揮発され易いアンモニアとすることから、アンモニ
アおよび硝酸根を除去するために必要とされる温度は前
記した通り350℃以上で500℃未満という低温でよ
く、エネルギー的なコストメリットは大きい。また還元
雰囲気中で焙焼することになるので低温領域で揮発され
るアンモニアも硝酸根に酸化されることなく効率的に除
去できる。
【0026】本発明における前記した第1、第2の硝酸
根の除去方法を用いることによって得られたコバルト化
合物、具体的には除去操作前に水酸化コバルトの状態で
あった化合物は、この焙焼によって2価と3価の水酸化
コバルトを主成分とし、さらに一部酸化コバルトなどの
化合物が混合した状態になると考えられる。そして本発
明は前記焙焼によりアンモニアおよび硝酸根を除去され
たコバルト化合物を含んだ溶液を硫酸に効率的に溶解さ
せるものである。すなわち前記コバルト化合物中の3価
のコバルトを還元溶解することにより、溶解に必要な硫
酸の添加量を少なくし、硫酸コバルト溶液のpHの低下
を抑制してpH1以上に保持するとともに、50℃以上
の温度で効率的にコバルト化合物を溶解して硫酸コバル
トを製造することを要旨とするものである。例えばコバ
ルト化合物の1つとしてCoOOH(オキシ水酸化コバ
ルト)に硫酸を添加した場合は、以下の反応式2により
コバルト化合物が溶解すると考えられる。
【0027】
【式2】CoOOH+HSO=Co2++SO
2−+3/2HO+1/4O
【0028】一方で、硫酸とともに還元剤として亜硫酸
ガスを添加した場合は、以下の反応式3で溶解すると考
えられる。
【0029】
【式3】CoOOH十1/2HSO+1/2SO
=Co2+SO 2−+H
【0030】この2つの溶解反応を比較すると、反応式
2においては反応式3よりも反応速度が遅く高温での処
理が必要となる。つまり本発明は、コバルト化合物を含
んだ溶液に硫酸と還元剤とを添加することによって、5
0℃以上の温度でコバルト化合物を効率的に溶解して硫
酸コバルトを製造するものである。この際硫酸(H
)モル/コバルト(Co)モル比を0.5〜0.7
とすることが好ましく、また使用される還元剤として
は、メタノール、エタノール、亜硫酸ソーダ、亜硫酸ガ
スおよびこれらの混合物などの一般的に使用されている
水溶性の還元剤が使用できるが、前記溶液中への不純物
の混入がなく、高純度の硫酸コバルト溶液を得るために
は、分子中に炭素やナトリウムを含まない亜硫酸ガスが
製品中への不純物の混入を未然に防止することができる
ことから特に適している。しかしながら亜硫酸ガスを過
剰に使用すると亜硫酸ガスがコバルト化合物を含んだ溶
液中に残留し、硫酸イオンとなって硫酸根が製品硫酸コ
バルト中に残留したり、pHを低下させる原因となるた
め、後処理として過酸化水素などの酸化剤を投入して分
解する必要性が生じることになる。
【0031】したがって亜硫酸ガスを添加し、還元溶解
を行う際の亜硫酸ガスの使用量は、前記コバルト化合物
を含んだ溶液の酸化還元電位を300mV以上に保持す
る量とすることがよくこれ未満になるまで亜硫酸ガスを
多量に使用した場合は、前述の酸化剤による分解操作が
必要となってしまう。また酸化還元電位が700mV以
下に保つ量を添加しなければ溶解速度が遅く実用的でな
いため、亜硫酸ガスの使用量は前記溶液の酸化還元電位
が300mV以上で700mV以下となるようにするこ
とが好ましい。なお50℃以上の温度で溶解させるの
は、50℃未満の温度では、硫酸コバルトの飽和濃度が
低いためである。一方100℃を超える温度で溶解させ
るとエネルギーのロスとなり経済的な方法とはいえな
い。よって上限は100℃程度が適当である。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の実施例を比較例とともに説
明する。 [実施例1] (不活性ガス気流中での加熱による不純物除去)原料コ
バルト化合物としてコバルトを63.6重量%含む水酸
化コバルトを用いて、該水酸化コバルト10.0gを窒
素ガス気流中で下記する表1に示す300〜500℃で
焙焼した。また比較のため同じ原料コバルト化合物を用
いて空気中において上記と同じ温度で焙焼した。なお原
料コバルト化合物の水酸化コバルトには0.84重量%
のアンモニア(NH)および0.42重量%の硝酸根
(NO)が含まれていた。上記した通り各温度で1時
間焙焼した後各試料を取り出し、焙焼後のコバルト化合
物中に含まれるNHおよびNOを分析し、その結果
を下記する表1に併せて示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1から分かる通り、窒素ガス気流中で
は、300℃ですでにアンモニア(NH)および硝酸
根(NO)が約0.01重量%以下まで除去されてい
た。一方空気中の焙焼ではアンモニア(NH)は30
0℃でほぼは完全に除去されているが、硝酸銀(N
)は450℃でも0.077重量%残留しており完
全な除去には500℃以上の焙焼温度が必要であること
が分かった。
【0035】[実施例2] (不活性ガス気流中での加熱による不純物除去)気流中
の窒素と空気の比率を下記する表2に示すように変えた
以外は実施例1と同様にして同じ原料コバルト化合物を
400℃で1時間焙焼した。焙焼後のコバルト化合物中
のアンモニア(NH)および硝酸根(NO)を分析
し、その結果を下記する表2に併せて示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2から分かる通り焙焼雰囲気としては純
窒素が好ましく、酸素量が増えるほど硝酸銀(NO
が除去され難くなっていた。
【0038】[実施例3] (還元剤添加して加熱による不純物除去)原料コバルト
化合物としてコバルトを63.6重量%含む水酸化コバ
ルトを用いて、該水酸化コバルト30.0gに対してカ
ーボンを0.1重量%添加し、十分に混合した後空気中
において下記する表3に示すように300〜500℃の
温度で焙焼した。また前記と同様の水酸化コバルト15
0.0gに対して活性炭を0.5重量%添加し、十分に
混合した後空気中において下記する表3に示すように3
00〜500℃の温度で焙焼した。比較のためカーボン
や活性炭を全く添加せず、他の条件は上記と同様にして
焙焼を行った。なお原料コバルト化合物の水酸化コバル
ト中には0.84重量%のアンモニア(NH)および
0.42重量%の硝酸根(NO)が含まれていた。上
記各温度で1時間焙焼した後、各試料を取出してコバル
ト化合物中に含まれるアンモニア(NH)および硝酸
根(NO)を分析し、その結果を下記する表3に併せ
て示す。
【0039】
【表3】
【0040】表3から分かる通り、カーボンを添加しな
いときには、400℃でアンモニア(NH)濃度は<
0.01重量%となりほぼ完全に除去されているもの
の、硝酸根(NO)は400℃でも0.27重量%ま
でしか除去されていなかった。一方、0.1重量%のカ
ーボンを添加したものでは同条件でアンモニア(N
)のみならず、硝酸根(NO)も<0.01重量
%まで除去されており還元剤の添加の効果が認められ
た。同様に0.5重量%の活性炭を添加したものでは同
条件でアンモニア(NH)のみならず、硝酸根(NO
)も<0.01重量%まで除去されており還元剤の添
加の効果が認められた。
【0041】[実施例4]添加するカーボンの量を下記
する表4に示す以外は実施例3の450℃の場合と同様
に原料コバルト化合物を空気中で1時間焙焼した。焙焼
後のコバルト化合物中のアンモニア(NH)および硝
酸根(NO)を分析し、その結果を下記する表4に併
せて示す。
【0042】
【表4】
【0043】表4から分かる通り、添加するカーボンは
原料コバルト化合物に対して0.05重量%以上の場合
にアンモニア(NH)のみならず硝酸根(NO)も
<0.01重量%まで除去されており還元剤の添加の効
果が認められた。
【0044】[実施例6] (還元溶解による除去)実施例1により400℃の窒素
ガス雰囲気で得られた、アンモニア(NH):<0.
005重量%、硝酸根(NO):0.008重量%を
含有し、コバルト(Co)を63.6重量%含む水酸化
コバルトを主成分とするコバルト化合物をスラリー濃度
が100g/リットルになるように調整した後、硫酸
(HSO )モル/コバルト(Co)モル比を0.6
として濃度98%の硫酸を添加し、この硫酸に加えて還
元剤として亜硫酸ガスを添加して、酸化還元電位(OR
P)を300〜700mVに保持しながら70℃の温度
で溶解を行い、その結果を下記する表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】表5から分かる通り、還元剤を添加するこ
とにより硫酸添加量を少なくしても、99.7%のコバ
ルトの溶解率が得られた。なお最終pHは1.5、最終
酸化還元電位は440mVであった。
【0047】[実施例7]また実施例1〜5のように焙
焼することにより、水酸化コバルト(CoOOH)が一
部酸化して、酸化コバルト(Co)が生成しても
効率的に溶解できることを確認するため、コバルト化合
物としてコバルトを72重量%含む酸化コバルト(Co
)を用いて、実施例6の水酸化コバルトの溶解試
験と同様に硫酸に加えて還元剤として亜硫酸ガスを添加
して、70℃の温度で溶解を行い、その結果を下記する
表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】表6から分かる通り還元剤を添加すること
によって硫酸の添加量を少なくしても、97.0%のコ
バルトの溶解率が得られた。なお最終pHは2.0、最
終酸化還元電位は480mVであった。
【0050】[比較例]実施例6と同様にコバルト化合
物としてコバルトを63.6重量%含む水酸化コバルト
を用いて、該水酸化コバルトをスラリー濃度が100g
/リットルになるように調整した後、HSOモル/
Coモル比を変化させて濃度98%の硫酸を添加し、還
元剤を添加することなく85〜95℃の温度で溶解し、
その結果を下記する表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】表7から分かる通り、コバルトの溶解率を
高めるためには過剰の硫酸の添加が必要であり、その結
果溶液のpHが低くなり、いずれの場合もpHが1未満
まで低下した。
【0053】
【発明の効果】以上述べた通り本発明によれば、アンモ
ニアおよび硝酸イオンを不純物として含むコバルト化合
物を不活性雰囲気中、もしくは還元剤とともに焙焼する
ことでアンモニアおよび硝酸根を低エネルギーで、かつ
低濃度まで効率的に除去することができ、効率的に硫酸
コバルト溶液を製造することができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高石 和幸 愛媛県新居浜市西原町3−5−3 住友金 属鉱山株式会社別子事業所内 (72)発明者 土田 直行 愛媛県新居浜市西原町3−5−3 住友金 属鉱山株式会社別子事業所内 (72)発明者 今村 正樹 愛媛県新居浜市磯浦町17−5 住友金属鉱 山株式会社新居浜研究所内 Fターム(参考) 4G048 AA07 AB02 AC03 AC08 AE05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルト化合物を含んだ溶液に、硫酸
    と、メタノール、エタノール、亜硫酸ソーダあるいは亜
    硫酸ガスから選ばれた少なくとも1種の還元剤とを使用
    して、50℃以上の温度で溶解させることを特徴とする
    硫酸コバルト溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記還元剤として使用した亜硫酸ガス
    を、前記コバルト化合物を含んだ溶液の酸化還元電位が
    300mV以上で700mV以下となるよう添加するこ
    とを特徴とする請求項1記載の硫酸コバルト溶液の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記コバルト化合物は、不活性ガス気流
    中で300℃以上で500℃未満の温度で焙焼され、か
    つ焙焼前の原料コバルト化合物中に含まれるアンモニア
    および硝酸根を除去されたものであることを特徴とする
    請求項1または2に記載の硫酸コバルト溶液の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記焙焼は、窒素ガス雰囲気中において
    350℃以上で450℃以下の温度で実施されることを
    特徴とする請求項3記載の硫酸コバルト溶液の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記コバルト化合物は、還元剤とともに
    350℃以上で500℃未満の温度で焙焼され、かつ焙
    焼前の原料コバルト化合物中に含まれるアンモニアおよ
    び硝酸根を除去されたものであることを特徴とする請求
    項1または2記載の硫酸コバルト溶液の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記還元剤としてカーボン、活性炭、水
    素ガスあるいは一酸化炭素から選ばれた少なくとも1種
    を使用して焙焼されることを特徴とする請求項5記載の
    硫酸コバルト溶液の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記還元剤としてカーボンまたは活性炭
    を使用し、かつアンモニアおよび硝酸イオンを含む焙焼
    前の原料コバルト化合物に対して0.05重量%以上で
    5重量%以下の範囲で添加して焙焼されることを特徴と
    する請求項6記載の硫酸コバルト溶液の製造方法。
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KR101021180B1 (ko) * 2010-07-27 2011-03-15 코스모화학 주식회사 고순도 황산 코발트 제조방법
CN105668651A (zh) * 2016-02-03 2016-06-15 广东佳纳能源科技有限公司 一种七水硫酸钴的生产方法

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