JP2000093437A - 固定手段付き擦拭シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造により指先に確実に固定して使用
することができる、使用性に優れた擦拭シートを得る。 【解決手段】 折畳むことによって指先に被着可能なる
ような形状及び大きさに形成されたシート状基材２の一
部に、指を挿入、係止させるための穴３を設けることに
より擦拭シート１Ａを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、清掃や化粧、マッ
サージ等のために対象部位を擦拭する擦拭シートに関す
るものであり、更に詳しくは、指先に固定して対象部位
を擦拭することができる擦拭シートに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】身体の各部位を清掃、化粧、マッサー
ジ、手入れ、怪我の治療等を目的として擦拭する擦拭シ
ートや、物品の表面を清掃、つや出し、装飾等を目的と
して擦拭する擦拭シートとして、従来より各種のものが
提案されている。これらの擦拭シートは、不織布のよう
な繊維集合体で形成されているものが多く、具体的に
は、ウェットティッシュ、ウェットワイパー、化粧品濡
れティッシュ、殺菌剤含浸ティッシュ、ガーゼ、油とり
紙、使い捨ての化学雑巾、リビングクロスなどが良く知
られている。

【０００３】このような擦拭シートは、平滑で広範囲な
部分に使用されるだけでなく、凹凸があって細部を指先
で細かく擦拭しなければならないような部分の清掃や化
粧等にもよく使用される。例えば、身体の清掃や化粧等
を目的とする場合には、目、鼻、口、耳などに使用され
ることが多いが、細かな部分を的確に処理するために
は、擦拭シートが指にしっかり固定できて、指の細かな
動きに追随できるようになっていることが必要である。

【０００４】中でも、上記擦拭シートを使用して歯や歯
茎、粘膜等の口腔部分に清掃やマッサージを施したり、
薬剤を塗布するといった処理を施す場合には、指から外
れたシートを誤飲することによって窒息等の危険が生じ
ることも考えられるため、該シートが指にしっかり固定
できて使用中に外れないようになっていることが要求さ
れる。

【０００５】しかしながら従来の擦拭シートは、形状が
単純で手指に固定しにくいため、擦掃、払拭、塗布、パ
ッティング等を行う際に、指が滑ったりシートが指から
外れたりして思うように力を加えにくく、使いにくいこ
とが多かった。

【０００６】一方、従来より、指に固定できる口腔用の
清掃具として、指にはめ込む方式の清掃具（特開昭６１
−２４０９０８、特開平１−９７４０５、特開平９−２
２０２４３、特公昭６１−４６１４６）や、指に接着す
るテープ状の清掃具（特開昭６１−４４８０７）などが
提案されている。

【０００７】しかしながら、これらの清掃具は何れも、
形状や構造が複雑で加工が面倒であるばかりでなく、使
い方も難しく、指への固定も不十分で使用中に指が滑っ
たり外れたりして使いづらく、より簡単な方法で指にし
っかり固定できる、使い勝手に優れた擦拭シートの出現
が望まれてきた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、簡単な構造により指先に確実に固定して使用するこ
とができる、使用性に優れた擦拭シートを提供すること
にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明によれば、折畳むことによって指先に被着可
能なシート状基材の一部に、指を固定するための固定手
段を設けたことを特徴とする固定手段付き擦拭シートが
提供される。

【００１０】このように、指を固定するための固定手段
を設けた擦拭シートは、指先にしっかりと固定した状態
で被着することができるため、使用中に指が滑ったり擦
拭シートが指から外れたりするようなことが全くなく、
対象部位を該擦拭シートで確実に擦拭することができ
る。

【００１１】本発明において好ましくは、上記固定手段
が少なくとも一つの穴又は切り込みにより形成されてい
ることである。具体的には、上記基材の一端部寄りの位
置に一つの穴又は切り込みを設けるか、あるいは、基材
の複数箇所に、該基材を折り畳むことによって共通の指
に順次挿入、係止させる複数の穴又は切り込みを設ける
ことが望ましい。

【００１２】これにより、上記穴又は切り込み内に指を
挿入、係止させた状態で擦拭シートを指先に被着するこ
とができるため、該擦拭シートの取付がより確実なもの
になる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る擦拭シートの
好ましい幾つかの実施形態について詳細に説明する。図
１には、身体の擦拭、特に歯や歯茎などの口腔組織を擦
掃したりマッサージしたりするのに適した擦拭シートの
第１実施例が示されている。この擦拭シート１Ａは、織
布や不織布等の繊維質素材からなる柔軟なシート状基材
２の一端に、指を固定するための固定手段として、何れ
か１本又は複数本の指を挿入、係止可能な穴３を穿設し
たもので、折畳むことによって指先に被着し得るような
形状及び大きさに形成されている。具体的には、例えば
３０ｍｍ×３０ｍｍ以上の矩形状に形成された基材２の
角隅部に、上記穴３を一つ形成したものである。

【００１４】上記擦拭シート１Ａを使用するときは、図
２Ａに示すように、上記穴３内に例えば中指を挿入、係
止させ、その状態で擦拭シート１Ａを、図２Ｂ及び図２
Ｃに示すように、人差し指を包み込むように折線４，５
に沿って順次折り曲げ、該人差し指の回りに被着する。
そして、該擦拭シート１Ａの基端部を人差し指と親指と
の間などに挟持した状態で、歯や歯茎等の対象部位を上
記人差し指を使って擦拭するようにする。

【００１５】これにより、上記擦拭シート１Ａを指先に
しっかりと固定した状態で使用することができるため、
使用時に指が滑ったり擦拭シートが指から外れたりする
ことがなく、該擦拭シート１Ａで対象部位を確実に擦拭
することができる。

【００１６】上記穴３の大きさは、１本の指を挿入する
ように構成する場合は５〜３０ｍｍ程度とすることが好
ましいが、２〜３本の指を挿入するように構成する場合
は、１０〜８０ｍｍ程度とすることが望ましい。穴が５
ｍｍより小さい場合は、指の挿入が困難となってシート
の固定が不十分になり易く、８０ｍｍより大きいと、３
本の指を入れても空隙が大きくシートが固定されにくい
うえ、使用中に穴が裂ける場合がある。

【００１７】擦拭シートを形成する基材２の形状は、正
方形や長方形のような矩形に限定されるものではなく、
その他の任意の形状であっても良い。例えば、図３Ａに
示す擦拭シート１Ｂのように円形や楕円形であっても、
図３Ｂに示す擦拭シート１Ｃのように三角形であって
も、図３Ｃに示す擦拭シート１Ｄのように台形であって
も、図３Ｄに示す擦拭シート１Ｅのように中間にくびれ
部を有する特殊形状等であっても良い。

【００１８】なお、各実施例の擦拭シートを区別して表
示する必要があるとき以外は、それらを共通符号「１」
によって表示するものとする。

【００１９】上記穴３の形状は円形に限定されるもので
はなく、楕円形や矩形、その他の多角形など、任意の形
状とすることができる。更に、上記穴３を設ける位置
は、擦拭シート１の縁に近い位置であることが望ましい
が、指の挿入時及び使用時に該穴３が拡大してシートの
縁まで破れてしまわないように、あまり端部に寄りすぎ
ない位置に設けることが必要である。

【００２０】上記各実施例では、擦拭シートに１つの穴
３が設けられているが、複数の穴を設けることもでき
る。このように複数の穴を備えた例として図４Ａには、
正方形の基材２の対角位置に２つの穴３，３を設けた擦
拭シート１Ｆが示され、図４Ｂには、長方形の基材２の
長手方向の両端位置に２つの穴３，３を設けた擦拭シー
ト１Ｇが示され、図４Ｃには、円形の基材２の中心対称
位置に４つの穴３を設けた擦拭シート１Ｈが示されてい
る。

【００２１】２つの穴を設けた上記擦拭シート１Ｆを使
用する場合は、例えば図５Ａに示すように、第１の穴３
ａ内に例えば中指を挿入、係止させたあと、該擦拭シー
ト１Ｆを山折線６に沿って人差し指を取り囲むように図
５Ｂに示す方向に折り曲げ、更に谷折線７に沿って図５
Ｃに示すように折り曲げて、第２の穴３ｂを中指に嵌
合、係止させる。これにより該擦拭シート１Ｆを、人差
し指を完全に包み込んだ状態で上記２つの穴３ａ，３ｂ
により中指に簡単かつ強固に固定することができる。こ
の結果、擦拭シートが指に強固に固定されるから、その
端部を隣接する指の間で強く挟持しなくても、該擦拭シ
ートが使用時にずれ動いたり外れたりすることがない。

【００２２】上記各実施例では、固定手段が穴３で形成
されているが、固定手段はこのような穴に限定されな
い。例えば、図６Ａ〜６Ｅに示すような各種形状の切り
込み４であっても良い。あるいは、上述した穴３又は切
り込み４の代わりに、図７Ａに示すようにフード状の指
サック８を取付けたものであっても、図７Ｂに示すよう
に伸縮性又は非伸縮性のバンド９を取付けたものであっ
ても、図７Ｃに示すように、指先が当接する位置に粘着
材が塗布された粘着部１０を形成したものであっても良
い。要するに、指を係止させることができるものであれ
ば、どのようなものでも良いのである。

【００２３】なお、複数の穴３又は切り込み４を設ける
場合は、形状の異なる穴同士又は切り込み同士を組み合
わせて設けても、穴と切り込みとを組み合わせて設けて
も良い。

【００２４】また、上記擦拭シートを形成する基材２の
材質、製法については、特に限定されるものではなく、
用途に応じて、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、レーヨン、ナイロン、アクリル等の合成繊維お
よび／又は綿、パルプ、絹などの天然繊維の中から好適
な材質が用いられ、織布又は不織布としてシート化され
る。

【００２５】例えば、擦拭シート１が顔の清掃、化粧や
口腔内の清掃、マッサージ、薬剤塗布等を目的として使
用される場合には、肌触りが良く吸水性、保水性に優れ
たレーヨン、綿、絹、パルプ等が好適に使われる。

【００２６】本発明の擦拭シートは、乾燥状態で使用し
ても良いが、必要に応じて水系又は非水系の液状組成物
を浸漬又は噴霧等の方法により含浸させることもでき
る。擦拭シートを例えば口腔内の清掃に用いる場合に
は、上記液状組成物として、水、アルコール、保湿剤、
研磨剤、界面活性剤、香料、甘味剤、ｐＨ調整剤、防腐
剤、殺菌剤、薬用成分等が１種又は複数種用いられる。

【００２７】この場合、基材と液状組成物との重量比は
１：０．１〜１：５０の範囲であることが好ましく、よ
り好ましくは１：０．２〜１：３０の範囲である。液状
組成物の比率が１：０．１未満では、薬剤が清掃素材か
ら充分に放出されずに歯面の汚れを除去する効果が不十
分となり、１：５０より多いと、過剰の薬剤が口腔内に
流出し使用感が著しく低下するうえ、唾液が分泌される
ため薬剤の滞留性が低下し、清掃効果が低下する。

【００２８】

【実施例】次に、本発明の擦拭シートの性能について、
実施例と比較例を示して具体的に説明する。なお、本発
明はこれによって限定されるものではない。

【００２９】〔実験方法〕試験サンプルとして、図８に
示すように、１枚の大きさが７０×１５０ｍｍ、重量
１．０５ｇ、目付１００ｇ／ｍ² のレーヨン製不織布を
基材とし、これに直径２０ｍｍの穴を２つ開けると共
に、３．１５ｇの精製水を含浸させた擦拭シートを１０
枚用意した。また比較サンプルには、同じ材質、形状、
含水量の不織布で穴を開けないものを用いた。

【００３０】１０人のパネラーに試験サンプルおよび比
較サンプル各１枚ずつを渡し、それぞれのサンプルで１
分間の口腔清掃をしてもらった。使用後にアンケート調
査を行い、指への固定のし易さ、口中での清掃のし易
さ、シートと指の滑り易さ、シートが指から抜ける危険
性、総合評価、について下記の基準に基づく５段階評価
を行った。結果を表１に示す。

【００３１】 評点基準 指への固定のし易さ： ５点 非常に固定しやすい ４点 やや固定しやすい ３点 どちらともいえない ２点 やや固定しにくい １点 非常に固定しにくい

【００３２】 口中での清掃のし易さ： ５点 非常に清掃しやすい ４点 やや清掃しやすい ３点 どちらともいえない ２点 やや清掃しにくい １点 非常に清掃しにくい

【００３３】 シートと指の滑り易さ： ５点 全く滑らない ４点 殆ど滑らない ３点 どちらともいえない ２点 やや滑る感じ １点 滑って使いにくい

【００３４】 指から抜ける危険性： ５点 全く感じない ４点 殆ど感じない ３点 どちらともいえない ２点 やや抜ける危険を感じる １点 常に抜ける危険を感じる

【００３５】 総合評価： ５点 非常に使いやすい ４点 やや使いやすい ３点 どちらともいえない ２点 やや使いにくい １点 非常に使いにくい

【００３６】

【表１】

【００３７】表１の結果より、擦拭シートが指にしっか
り固定されるため使い易く、使用中に指から滑ったり外
れたりすることもなく、使用性に優れたものであること
が確認された。

【００３８】

【発明の効果】このように本発明によれば、擦拭シート
に固定手段を設けるという簡単な構成により、該擦拭シ
ートを指先に確実に固定して使用することができ、使用
性に優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る擦拭シートの一例を示す正面図で
ある。

【図２】Ａ，Ｂ，Ｃは、図１の擦拭シートを指に取り付
ける方法を順を追って示す正面図である。

【図３】Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄはそれぞれ、擦拭シートの異な
る例を示す正面図である。

【図４】Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ、擦拭シートの更に異な
る例を示す正面図である。

【図５】Ａ，Ｂ，Ｃは、擦拭シートを指に取り付ける他
の方法を順を追って示す正面図である。

【図６】Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅはそれぞれ、擦拭シートの
更に異なる例を示す正面図である。

【図７】Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ、擦拭シートの更に異な
る例を示す正面図である。

【図８】性能実験に使用した試験サンプルの構成を示す
正面図である。

【符号の説明】

１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ，１Ｅ，１Ｆ，１Ｇ，１Ｈ 擦
拭シート ２ 基材 ３ 穴 ４ 切り込み

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】折畳むことによって指先に被着可能なるよ
   うな形状及び大きさに形成されたシート状基材の一部
   に、指を固定するための固定手段を設けたことを特徴と
   する固定手段付き擦拭シート。
2. 【請求項２】請求項１に記載の擦拭シートにおいて、上
   記固定手段が、指を挿入、係止させるための少なくとも
   一つの穴又は切り込みにより形成されていることを特徴
   とするもの。
3. 【請求項３】請求項２に記載の擦拭シートにおいて、基
   材の一端寄りの位置に一つの穴又は切り込みが設けられ
   ていることを特徴とするもの。
4. 【請求項４】請求項２に記載の擦拭シートにおいて、基
   材の複数箇所に、該基材を折り畳むことによって共通の
   指に順次嵌合、係止させる複数の穴又は切り込みが設け
   られていることを特徴とするもの。