JP2000093419A - X線スキャン装置及びx線ctスキャナ - Google Patents

X線スキャン装置及びx線ctスキャナ

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JP2000093419A
JP2000093419A JP10286076A JP28607698A JP2000093419A JP 2000093419 A JP2000093419 A JP 2000093419A JP 10286076 A JP10286076 A JP 10286076A JP 28607698 A JP28607698 A JP 28607698A JP 2000093419 A JP2000093419 A JP 2000093419A
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Kazuhide Urabe
和英 占部
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 構造が簡単で信頼性があり、超高速スキャン
型CTスキャナに使用できる小形で低価格のX線スキャ
ン装置及びこのX線スキャン装置を用いて構成されるX
線CTスキャナを提供すること。 【解決手段】 ドーナツ形の真空外囲器Aと、該ドーナ
ツ形真空外囲器Aの排気された環状空間に取り付けられ
た環状X線ターゲット100と、該ドーナツ形真空外囲
器Aの排気された環状空間に取り付けられた環状陰極固
定フレーム222と、この環状陰極固定フレーム222
の回りに回転自在に取り付けられた環状陰極回転フレー
ム221と、該環状陰極回転フレーム221に機械的に
連結されており、該環状陰極回転フレーム221が回転
するにつれて環状の軌道に沿って前記環状X線ターゲッ
ト100に衝突してX線を発生させる電子ビームを発生
するための少くとも1 つの電子放出源200とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線スキャン装置
及びこのX線スキャン装置を利用して設けられる超高速
スキャン型CTスキャナ等のX線CTスキャナに関す
る。
【0002】
【従来の技術】通常、CTスキャナを使った検査では被
検体(患者)は、CTスキャナの中心孔に配置された水平
な寝台の上に仰向けに寝かされる。CTスキャナ用の従
来のX線管装置全体が回転自在の回転架台部分に取り付
けられて被検体の周りに2〜0.75秒のスキャン時間
で周回される。
【0003】従来使われていたX線管は、いわゆる回転
陽極X線管といわれるものであり、真空に封じ切られた
真空外囲器の中でデスク状のX線ターゲットを回転さ
せ、これに対向した位置に固定された陰極から電子を取
り出し、この間の高電圧で加速してX線ターゲットに衝
突させることによってX線を取り出すものである。
【0004】このX線管で単位時間当りに発生するX線
量を多くするためにはX線ターゲットの熱容量を大きく
する必要があり、益々大きなX線ターゲットを備えたX
線管が作られるようになっており、その直径は12.5
〜20cmであり、重量は11Kgに達するものもあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、X線タ
ーゲットを大きくすれば、それだけX線管全体を大きく
しなければならないだけでなく、X線管用の冷却器も大
きくしなければならないので、例えばそのX線管装置合
計の重量は100Kg近くになるものもある。従って、
このX線管装置全体を被検体の周りに周回させるにはそ
の速度に限界があるだけでなく、X線管装置が、既存の
CTスキャナの架台の狭いスペースに搭載できにくくなっ
てきている。特に、大型のX線管装置と、大型の支持構
造体を組み入れた第4 世代のCTスキャナは、X線検出
器の直径を大きくする必要がある。
【0006】その結果、X線管装置と検出器との間のX
線パスの長さを長くしなければならない。X線パスの長
さを長くすると、X線検出器が所要の立体角をカバーす
るようにこれを物理的に大きくしなければならない。X
線検出器を大型化すれば、それだけコスト高になる。
【0007】CTスキャナのスキャン速度(1断面画像
のためのデータ採取速度)を高めるには、X線管装置を
より高速で周回させるが、X線管装置の周回速度を高く
すると、1 画像当りの正味のX線量が減少するので単位
時間当りに発生するX線量を高める必要があり、より大
型のX線管装置が開発されてきている。X線管装置が大
型になると、高速周回時の遠心力が大きくなり、架台が
大型になり高価となってきた。例えば、スキャン時間を
0.5秒にするためにはおよそ12Gの加速度を受ける
のでこれが限度と考えられている。
【0008】この改善のために、被検体の周りに環状に
配列された複数個の、例えば5 、6本の切挽可能なX線
管装置の配列体を用いる方式のCTスキャナが、例えば
米国特許第4 ,274 ,005 号等によって提案されてい
る。しかしながら、それらのX線管装置の配列体を静止
して使用した場合にはX線発生点の数が少なく、得られ
るCT画像の空間解像度が不足する。その改善のために
これらの多数のX線管装置をすばやく周回させてこの間
に発生する熱をすべて除去しようとすると、やはり上述
したのと同じ機械的な間題が避けられない。
【0009】更に、釣鐘状の真空外囲器を有し、被検体
をこの凹部内に横たわらせることができるようにした電
子ビームスキャン装置が、例えば、米国特許第4 ,122
,346 号及び4 ,135 ,095 号等によって提案されて
いる。X線ビーム発生用X線ターゲットは釣鐘状の真空
外囲器の頂部に配置されており、X線ターゲットに衝突
する電子ビームは釣鐘状の電子ビームスキャン用真空外
囲器の根元のところで発生される。電子ビームを釣鐘状
の電子ビームスキャン用真空外囲器の周りに走査させる
ための電子装置が設けられている。
【0010】この電子ビームスキャン装置の問題点の1
つは、電子ビームを長距離に渡って走行させるので焦点
内のX線強度分布を好ましい形に保つのが困難であるこ
とである。また、真空外囲器が大型になり、大きなスペ
ースが必要となる問題もある。
【0011】特開昭52−50186号公報には、ドー
ナツ型の真空外囲器内に環状のX線ターゲットを取付
け、該真空外囲器内で該環状のX線ターゲットに対向す
る位置に陰極をを設け、この陰極はトローリーに取り付
けられており、このトローリーには3つのホイールが取
り付けられており、これらのホイールは前記ドーナツ型
の真空外囲器内に取り付けたレールでガイドされてお
り、このレールに沿って前記陰極は移動可能となってお
り、該陰極には前記レールとホイールを通じて通電され
る構造のX線スキャン装置が記述されている。陰極への
通電はこのレールとホイールを通して行われる。
【0012】この構造では真空中で固体同士がが機械的
に接触しながら周回するので摩耗が発生するなどで高い
信頼性が得られない。また、電気的には接触抵抗の変化
があり安定しない。また、環状のX線ターゲットは固定
されており、調整時等のように陰極が周回しないときに
多量のX線を発生させようとするとX線ターゲットの表
面の温度が高くなり過ぎて溶融するなどの不具合が生じ
る。
【0013】更に別のタイプのX線発生装置として、例
えば米国特許第5 ,179 ,583 号等によって陰極スキャ
ン型X線管が提案されている。これはドーナツ状の真空
外囲器内に大きな径の環状の固定されたX線ターゲット
を持っており、これに対向した位置で陰極構体を周回さ
せてX線の焦点を周回させるものであり、電子の走行距
離を短くしている。この陰極構体は磁気軸受を使って非
接触で回転自在に支承された回転フレームに取り付けら
れている。陰極への給電は別の通電用陰極を追加して非
接触で行う構造になっている。このX線発生装置は構造
が複雑であり、磁気軸受を使用しているので高価にな
る。また、陰極への給電が不安定となり、信頼性の確保
が困難である。また、X線ターゲットが固定されている
ので上記の問題がある。
【0014】特公昭63―22407号公報には、ドー
ナツ型の真空外囲器内に環状のX線ターゲットを磁気軸
受によって非接触で回転自在に取付け、該真空外囲器内
で該環状のX線ターゲットに対向する位置に陰極構体を
磁気軸受によって非接触で回転自在に同軸状に取付け、
回転している環状のX線ターゲットの周上を該陰極構体
を周回させることによってX線発生点を周回させるX線
スキャン装置が開示されている。
【0015】しかし、周回する陰極のフィラメントへの
通電は真空中で使用するスリップリングが取り付けられ
ており、信頼性の確保が困難である。また、この構造で
は磁気軸受を使用しているので高価であり、価格上問題
となる。更に、X線の発生時に停電が起こった場合の安
全性の確保が難しい等の問題がある。
【0016】この種のX線スキャン装置で実現が困難で
あった最大の理由は、回転する陰極フィラメントに信頼
性良く給電する機構が実現できなかったことである。通
常、この陰極フィラメントにはおよそ15Vで5Aの電
力が供給され、陰極フィラメントはおよそ2500°K
に加熱されて熱電子を放出することにより陰極として作
動する。この電力を安定に供給することが重要であり、
これまでこのための都合の良い方法が見付からなかった
のでこの種のX線スキャン装置は実用できるレベルでは
実現していない。
【0017】この種の給電機構は、たとえば特開昭52
―50186号公報に真空外囲器中に設けたレールとト
ローリーの機械的接触を通じて回転移動する陰極フィラ
メントに給電する方法が開示されている。また、特公昭
63―22407号公報には真空外囲器中で機械的にブ
ラシ(スリップリング)を設け、これと回転部分との機
械的な接触によって給電する方法が開示されている。し
かし、これらの方法では真空外囲器中に摩耗粉が生じる
ことは避けられず、放電の原因を生じさせる。
【0018】同様に特開平4―274147号公報には
回転陰極構体内に変圧器を取り付けて給電ブラシを流れ
る電流値を小さくすることが述べられているが、これは
同様の不都合が生じることは明らかである。一方、回転
移動する陰極フィラメントに電磁誘導作用により非接触
で給電する方法が特許開平4―227237号公報に開
示されている。この方法では、供給される電力が不安定
であり、陰極が回転しない時には陰極フィラメントに給
電できないという不都合がある。また、構造が複雑で高
価になる。
【0019】また、特開平5―89807号公報には陰
極フィラメントに接続した光電池を回転陰極構体の表面
に取り付けてこれに向けて外部から光を照射することに
よって陰極フィラメントに給電する方法が記述されてい
る。しかし、この方法では陰極フィラメントから熱電子
を放出する場合に陰極フィラメント自体が赤熱されるた
めにこの光の影響を受けたり、放電時の閃光による影響
等で動作が不安定であり現実的でない。
【0020】また、特開平5―89808号公報には陰
極フィラメントに接続した蓄電池を回転陰極構体に取り
付け、これから陰極フィラメントに給電し、真空外囲器
の外部から伸縮自在の充電用端子を時々機械的に接触さ
せて蓄電池を充電する方法か記述されている。この方法
では蓄電池を非現実的なほど大きくしない限り陰極フィ
ラメントに供給される電流が安定しない。また、回転陰
極構体を静止させない限り充電ができないなど多くの不
都合を含んでいる。
【0021】更に、特開平5―128983号公報に
は、真空外囲器に送信用導波管を設け、回転陰極構体に
受信用導波管を設けてこれらの空間的電磁結合によって
非接触で給電する方法と、静電結合した電極を通じて非
接触で給電する方法が記述されている。この方法ではい
ずれも往復路間で相互の影響を受けるため給電が不安定
となり、現実的でない。
【0022】また、特開平5―12958号公報には回
転陰極構体の電極部および外部電源とに電気的に接触す
る溶融金属を回転陰極構体と同心状に取り付けられてお
り回転中心側に開口する容器に収容し、その容器内の溶
融金属に対して回転遠心力を作用させて溶融金属が真空
外囲器の真空空間内に漏出するのを防止しながら陰極フ
ィラメントに給電する方法が記述されている。この方法
では回転陰極構体の回転起動時や回転後の停止時のよう
な回転の過渡期において溶融金属の挙動が不安定にな
り、容器外に飛散する等の不都合がある。
【0023】これを回避するために溶融金属内に回転遠
心力を常時作用させるために回転磁場発生機構を真空外
囲器内に設ける案が同上の特開平5―12958号公報
に開示されている。この方法は構造が複雑であるだけで
なく、回転磁場発生の過渡期には同様に溶融金属の挙動
が不安定になり、容器外に飛散する等の不都合が発生す
る。
【0024】また、特開平5―129092号公報には
回転陰極構体内に溶融金属を入れた環状のタンクを設
け、これを環状の2個の永久磁石で非接触に挟むように
取り付けて回転陰極構体が回転した場合に電磁誘導によ
って溶融金属に起電力を生じさせ、これで陰極フィラメ
ントに給電する方法が記述されている。この方法では、
給電されるパワーが回転陰極構体の回転速度に依存する
ために安定しない。また、回転陰極構体が静止している
ときには給電できない。
【0025】更に、特開平5―151920号公報には
回転陰極構体に環状の放電電極を設け、これと対向する
位置の真空外囲器壁に固定の環状の放電電極を取り付け
てこれらの放電電極間で放電させて短絡することにより
外部から非接触で陰極フィラメントに給電する方法が記
述されている。この方法では安定して給電できないばか
りでなく、陽極と陰極との間での放電を誘発するなどで
実用にならない。
【0026】また、特開平5―166572号公報には
回転陰極構体に溶融金属を収容した容器を取り付け、こ
の開口を開閉する栓に前記溶融金属と接触する端子を取
り付けてこの端子と外部電源とを電気的に接続して溶融
金属と回転陰極構体の電極部とを電気的に接続する方法
が記述されている。この方法では真空外囲器の外部から
上記の栓を機械的に移動させる必要があり、また、この
栓が回転する容器と過渡的に擦れ合うことが発生して摩
耗紛の発生が避けられない。これらの理由により信頼性
良く陰極フィラメントに給電することは困難である。
【0027】更に、特開平5―226095号公報には
陰極フィラメントへの送電コイルが巻き付けられた2次
側磁心を回転陰極構体に設け、この2次側磁心と共に磁
路を形成する1次側磁心を前記回転陰極構体から所要の
空間を隔てて設置し、この1次側磁心から非接触で陰極
フィラメントに給電する方法と、これらの磁心の距離を
補正する方法が開示されている。この方法では、製造が
困難であるだけでなく漏洩磁束の影響で陰極フィラメン
トから放出された電子ビームの挙動が不安定となり、良
質のCT画像を得ることができない。
【0028】また、特開平5―242843号公報には
回転陰極構体に比較的融点が低い金属を収容した容器を
取り付け、その容器の近傍に加熱手段を設けてこれを断
続制御して前記比較的融点が低い金属を液体から固体へ
または固体から液体へ状態を変えるように制御すること
によって金属層が液体状態になった時点で真空外囲器の
外部に繋がった電極とこの金属層とを接触させて陰極フ
ィラメントへの給電を行う方法が開示されている。この
方法では金属層が液体と固体の相変化の過渡期に前記給
電用電極との機械的な接触が発生するなどして安定な動
作をするのが困難である。
【0029】更に、特開平6―20845号公報には回
転陰極構体に同心状に2次コイルを取付け、この2次コ
イルに鎖交した磁気回路を形成する1次コイルとを設
け、この1次コイルから非接触で陰極フィラメントに給
電する方法が記述されている。この方法では、製造が困
難であるだけでなく漏洩磁束の影響で陰極フィラメント
から放出された電子ビームの挙動が不安定となり、良質
のCT画像を得ることができない。
【0030】また、特開平7―176284号公報には
回転陰極構体に比較的融点が低くかつこの融点以下の温
度に保たれている導電性金属を取りつけ、真空外囲器等
の固定部にエッジ状の電極を取り付けて、このエッジ状
電極が回転体の回転中にその導電性金属に対して実質的
に常時接触するようにして、この間の摩擦熱によって接
触部の導電性金属が溶融する様にして陰極フィラメント
に給電する方法が開示されている。この方法では、接触
部分の溶融した金属が飛散する可能性があり、回転体の
回転立ち上がり時には摩擦が大きく、回転トルクが一定
とならないなどの欠点を持っている。また、構造も複雑
になり、高価となる。
【0031】本発明は、以上のような従来の実情に鑑み
なされたものであり、構造が簡単で信頼性があり、スキ
ャン時間が0.1秒以下の超高速スキャン型CTスキャ
ナに使用できる小形で低価格のX線スキャン装置を提供
することを課題としている。また、かかるX線スキャン
装置を利用して設けられる超高速スキャン型X線CTス
キャナを提供することを課題としている。特に、本発明
は、その達成のために、真空中で高速度で周回する陰極
フィラメントやその他の電極に通電する機構として簡易
な構造で信頼性のある機構を提供し、回転時には固定部
分の接触が無く、低振動で低騒音で、かつ長寿命であ
り、電気抵抗を十分に小さくできて回転時にも静止時に
も安定な通電作用を発揮することを課題としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】このため、本願の請求項
1に係る発明のX線スキャン装置は、排気された環状空
間を画定するドーナツ形の真空外囲器と、該ドーナツ形
真空外囲器の排気された環状空間に取り付けられた環状
X線ターゲットと、該ドーナツ形真空外囲器の排気され
た環状空間に取り付けられた環状陰極固定フレームと、
この環状陰極固定フレームの回りに回転自在に取り付け
られた環状陰極回転フレームと、該環状陰極回転フレー
ムに機械的に連結されており、該環状陰極回転フレーム
が回転するにつれて環状の軌道に沿って移動しながら前
記環状X線ターゲットに衝突してX線を発生させる電子
ビームを発生するための少くとも1 つの電子放出源と、
を含んで構成されるX線スキャン装置であって、前記電
子放出源に電力を供給するための環状通電機構組立体を
有し、該環状通電機構組立体は、通電用固定フレームと
該通電用固定フレームの回りに回転自在に取り付けられ
た通電用回転フレームとを有し、前記通電用固定フレー
ムと通電用回転フレームの相対する面の少なくとも一部
がギャップを有する通電軸受面を構成し、前記通電軸受
面のギャップの少なくとも一部に液体金属潤滑剤が充填
されると共に、該通電軸受面の少なくとも一方にはスパ
イラル状の溝が付けられていることことを特徴とする。
【0033】請求項2に係る発明は、前記通電用回転フ
レームの一部または通電用回転フレームに取り付けられ
た回転部材の少なくとも一部は、前記液体金属潤滑剤で
濡れない表面を有し、該面で液体金属潤滑剤の表面張力
が作用して回転フレームが静止した時にも前記液体金属
潤滑剤が真空外囲器の排気された環状空間に漏出するの
が防止されるようにしたことを特徴とする。
【0034】請求項3に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレームの少なくとも一部は、または該環状の通電
用回転フレームに取り付けられた回転部材の少なくとも
一部は前記液体金属潤滑剤で濡れていない第1の表面を
有し、該第1の表面に対向した前記環状の通電用固定フ
レーム上の面の少なくとも一部にあり、または該環状の
通電用固定フレームに取り付けた固定部材にあり、前記
第1の表面に対向した少なくとも一部の面を構成する第
2の表面は、前記液体金属潤滑剤で濡れていない表面を
有し、回転を停止した時の前記第1の表面と第2の表面
の濡れていない表面の下方の半径方向のギャップを
x、該濡れない表面の直径のうち大きい方をDg、前記
通電軸受面の直径のうち大きい方をDb,前記液体金属
潤滑剤の密度をρ、この液体金属潤滑剤の前記第1及び
第2の面の濡れない表面における表面張力をγ、重力加
速度をgとするとき、dx・(Db+Dg)<4・γ/
(ρ・g)なる関係があることを特徴とする。
【0035】請求項4に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレームの表面と前記環状の通電用固定フレームの
表面とではさまれており、前記環状の通電用軸受面を含
んだ液体金属潤滑剤の存在が許容される環状の領域内の
部分の容積をVg、この環状の領域内に充填された液体
金属潤滑剤の体積をV1とするとき、V1<Vgなる関係
があることを特徴とする。
【0036】請求項5に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレームが回転を停止したときに液体金属潤滑剤の
存在が許容される環状の領域の境界部分の濡れない面の
鉛直最下面からの液体金属潤滑剤の平衡液面の鉛直高さ
をH1、回転を停止した時の前記境界部分の濡れない面
間の下方の半径方向のギャップをdx、前記の液体金属
潤滑剤に濡れていない表面での前記液体金属潤滑剤の表
面張力をγ、液体金属潤滑剤の密度をρ、重力加速度を
gとするとき、dx・H1<2・γ/(ρ・g)なる関係
があることを特徴とする。
【0037】請求項6に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレーム上で液体金属潤滑剤が広がれる環状の領域
に少なくとも1個の窪みを設け、当該窪みの容積の総和
sと、該環状の領域内の該窪みを除く部分の前記環状
の通電用回転フレームの表面と前記環状の通電用固定フ
レームの表面とで囲まれる環状の領域の容積Vgとの和
の容積V2tよりもこの環状の領域内に挿入された液体金
属潤滑剤の体積V2が小さい一方、前記窪みは前記環状
の領域内に開口し、該環状の通電用回転フレームが回転
を停止している時には鉛直下方に位置する窪みの中に液
体金属潤滑剤が収納され、回転時には該窪みによって上
方に持ち上げられて液体金属潤滑剤が軸受面内に供給さ
れることを特徴とする。
【0038】請求項7に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレームの液体金属潤滑剤が広がれる環状の領域内
に環状の溝を設け、該環状の溝の容積Vfと、該環状の
領域内の該環状の溝を除く部分の環状の通電用回転フレ
ームの表面と前記環状の通電用固定フレームの表面とで
囲まれる容積Vgとの和の容積V3tよりも該環状の領域
内に挿入された液体金属潤滑剤の体積V3を小さくし、
前記環状の溝は該環状の領域内において該環状の領域と
連通しており、前記環状の通電用回転フレームが回転を
停止している時には鉛直下方の部分に液体金属潤滑剤が
満たされて前記濡れない面の最下部からの平衡液面の鉛
直高さH2が通電軸受の直径Dbと前記濡れない面の直径
gの平均値より小さくなり、前記環状の通電用回転フ
レームの回転時には該環状の溝に沿って鉛直上方に持ち
上げられてこの液体金属潤滑剤が軸受内に供給されるこ
とを特徴とする。
【0039】請求項8に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレームの液体金属潤滑剤が広がれる前記環状の領
域内に環状の溝を設け、この溝の中に液体金属潤滑剤と
共に回転自在に装着した潤滑リングを有し、回転時に液
体金属潤滑剤を軸受面に供給する作用を持たせたことを
特徴とする。
【0040】請求項9に係る発明は、前記環状の通電用
回転フレームの液体金属潤滑剤が広がれる環状の領域と
分離した位置に液体金属潤滑剤の貯蔵スペースを設け、
この貯蔵スペースの内部と該環状の領域内とが連通さ
れ、前記貯蔵スペースの容積V 4と、該環状の領域内の
前記環状の通電用回転フレームの表面と前記環状の通電
用固定フレームで囲まれる容積Vgの和の容積V4tより
もこの間に挿入された液体金属潤滑剤の体積Vm4を小さ
くし、環状の通電用回転フレームが回転を停止している
時には鉛直下方にある貯蔵スペースの鉛直下方の部分に
液体金属潤滑剤が収納され、前記環状の通電用回転フレ
ームの回転時には液体金属潤滑剤が上方に持ち上げられ
て前記連結穴を通じて軸受面内に供給されることを特徴
とする。
【0041】請求項10に係る発明は、前記環状の通電
用固定フレームと前記環状の通電用固定フレームの間に
ギャップが構成され、前記液体金属潤滑剤が挿入されて
おり、該液体金属潤滑剤の表面と前記真空外囲器内部の
真空空間とが連通するパスが該真空間に開口する部分
が、前記環状の通電用固定フレームと前記環状の通電用
固定フレームのそれぞれに取り付けられたカバーで交互
に覆われていることを特徴とする。
【0042】請求項11に係る発明は、前記液体金属潤
滑剤で濡れない表面は、金属酸化物であることを特徴と
する。
【0043】請求項12に係る発明は、前記液体金属潤
滑剤で濡れない表面は、前記液体金属潤滑剤で濡れない
表面を持つ薄板を巻き付けて構成されていることを特徴
とする。
【0044】請求項13に係る発明のX線CTスキャナ
は、請求項1〜12のうちいずれか1つに記載のX線ス
キャン装置と、前記環状X線ターゲットの表面から放出
されるX線ビームを検出するためのX線検出器と、前記
X線検出器の出力信号を再構成処理するための演算装置
と、前記演算装置により再構成された断面像を表示する
ための表示装置と、を含んで構成されたことを特徴とす
る。
【0045】次に、かかる本発明の作用について説明す
る。請求項1に係る発明において、電子放出源には環状
通電機構組立体を通して所定の電圧と電流が供給される
が、該環状通電機構組立体には環状の通電用固定フレー
ムと環状の通電用回転フレームが設けてあり、これらの
相対する面の少なくとも一部がギャップを有する通電用
軸受面を構成し、この軸受面のギャップの少なくとも一
部に液体金属潤滑剤が充填されており、この軸受面の少
なくとも一方にはスパイラル状の溝が付けられており、
環状の通電用回転フレームが回転している時には動圧を
発生し、環状の通電用回転フレームの一部または環状の
通電用回転フレームに取り付けられた回転部材の少なく
とも一部は前記した液体金属潤滑剤で濡れない表面を有
しており、この面の境界で液体金属潤滑剤の表面張力が
作用して環状の通電用回転フレームが回転を停止した時
にも液体金属潤滑剤が真空外囲器の排気された環状空間
に漏出するのを防止される。
【0046】請求項2〜7及び10〜12に係る発明に
おいて、回転停止時の液体金属潤滑剤の平衡液面が低く
なる工夫により、静止時には液体金属潤滑剤と軸受部材
の少なくとも一部との表面張力を作用させて液体金属潤
滑剤が軸受外の真空外囲器内に漏出するのが防止され
る。
【0047】請求項8に係る発明において、回転時に液
体金属潤滑剤を汲み上げて通電軸受面に供給する作用を
持たせることで、液体金属潤滑剤の供給効果が改善され
る。
【0048】請求項9に係る発明において、通電軸受面
に発生した気体は真空空間に放出され、通電軸受内の圧
力が高くなるのが防止される。
【0049】請求項13に係る発明のX線CTスキャナ
においては、小型化、低価格化、信頼性の向上を図れ
る。
【0050】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
の一実施形態によるX線スキャン装置及びその使用方法
を説明する。図1 には、本発明に係るCTスキャナが示さ
れている。このCTスキャナは、架台IIと、架台IIに
取り付けられたドーナツ形のX線スキャン装置Iと、電
子装置部IIIと、表示装置IVと、寝台Vで構成され
ている。
【0051】電子装置部IIIは、架台に作動電力及び
制御信号を供給し、架台からデータを受け取り、受け取
ったデータを電子画像表示として再構成し、電子画像を
人間が読み取ることができる形に変換し、表示装置IV
で表示する。図2は図1のX線スキャン装置Iの概略断
面図を表している。かかる図2を参照してX線スキャン
装置Iの構造について説明する。X線スキャン装置Iに
は、ドーナツ状の真空空間を作るドーナツ形の真空外囲
器A があり、該ドーナツ状の真空外囲器A の内部空間
に、その円周方向に沿って環状陽極組立体B が取り付け
られている。
【0052】この環状陽極組立体Bには環状X線ターゲ
ット100が取り付けてある。ドーナツ形の真空外囲器
A 内部で環状陽極組立体Bに対面した位置に環状陰極組
立体Cが配設されている。この環状陰極組立体Cには電
子銃組立体200が取り付けられており、電子銃組立体
200は環状X線ターゲット100の表面に電子ビーム
を照射するための熱電子を取り出す働きをする。
【0053】環状陽極組立体B及び環状陰極組立体Cは
中心軸がほぼ水平で互いに同心状にになる様に取り付け
られており、それらのうち少なくとも環状陰極組立体C
が回転自在に取り付けられている。好適には両方が回転
自在であり、互いに反対方向に回転するのが好適であ
る。
【0054】環状陰極組立体Cは陰極回転駆動組立体D
から、環状陽極組立体Bは回転駆動組立体Eから回転ト
ルクを受けてドーナツ形の真空外囲器A の内部で回転す
る。このとき、電子銃組立体200は環状X線ターゲッ
ト100の周辺の表面に対向した状態で環状X線ターゲ
ット100の表面に沿って周回する。この電子銃組立体
200から放出された電子はこれらの間に印加されてい
るおよそ150KVの高電圧で加速されて環状X線ター
ゲット100の外周部のX線発生点に入射されて制動輻
射によってX線を発生する。このようにしてX線発生点
即ちX線焦点は環状X線ターゲット100の外周部分を
周回することにより全周方向から回転中心軸z方向に向
かったX線でほぼ回転中心部分に位置された被検体を全
周方向からスキャンすることができる。
【0055】電子ビーム10が環状X線ターゲット100
の表面に入射してX線焦点で制動輻射によってX線束が
創生され、X線束は環状陰極組立体Cに取り付けられた
スリットFとウェッジフィルタGを通過した後、真空外
囲器AのアルミニュームでできたX線放射窓Hを通過
し、選択された環状のスリットSで分布が薄いファンビ
ーム状に制限されたX線が中央部の図示しない被検体
(患者)を通過した後、環状に配設されたX線検出器セ
グメントJ1,J2に入射する。このX線検出器セグメ
ントJ1,J2は、例えば光学的に結合されたシンチレ
ーション結晶とホトダイオードから成る複数のX線検出
器の環状配列体でできており、前置増幅器、フィルタ及
びA /D 変挽器等を含む検出器電子装置部(図示せず)
を備えている。
【0056】先ず、環状陽極組立体Bについて、図2の
一部を拡大したX線スキャン装置Iの一部の概略断面図
である図3を参照して詳述する。即ち、環状陽極組立体
B には、環状陽極固定フレーム124に環状の陽極軸受
128を介して回転自在に支えられた環状陽極回転フレ
ーム121が同軸状に取り付けられている。
【0057】環状陽極回転フレーム121には環状の陽
極ロータ122を取り付けている。この陽極ロータ12
2には銅でできた環状の陽極回転トルク発生部123と
透磁率が高い板、例えば珪素鋼板を積層した環状の陽極
透磁体132が取付けられている。この回転トルク発生
部123と面した位置の真空外囲器Aの外に円弧状のス
テータ130が取り付けてあり、これらがリニアモータ
を構成して環状陽極組立体B に回転トルクを与える。陽
極透磁体132に対向し、ドーナツ状の真空外囲器Aの
外側の位置に陽極移動用電磁石131が取り付けてあ
り、これにコイル133、134が巻かれている。コイ
ル133、134の一方に流す電流を他方の電流よりも
多くすることで陽極透磁体132を一方向により強く吸
引して環状陽極組立体B を陽極軸受128の回転中心軸
に平行方向に移動することができる。
【0058】陽極軸受128は液体金属潤滑剤で潤滑さ
れた動圧滑り軸受であり、この軸受面の少なくとも一方
の対向面に図5〜図9に示すようなヘリンボン状の溝が
ついている。この陽極軸受が真空外囲器Aの内部の真空
空間と連通するパスを有し、該パスが真空空間に開口す
る部分が前記環状陽極固定フレーム124と前記環状陽
極回転フレーム121のそれぞれから交互にオーバーラ
ップする様に取付けられた複数個の環状のカバー12
5、135、127、136が設けてあり、そのカバー
の内部の少なくとも一部の面が液体金属潤滑剤と濡れた
表面となっており、この部分で液体金属潤滑剤をトラッ
プする効果を持たせて突発事故があった場合にも液体金
属潤滑剤が真空外囲器Aの真空空間に漏出、飛散するの
を防止している。
【0059】環状陽極回転フレーム121には両端に金
属板111、113を接合した柱状絶縁体112が複数
個放射状に取り付けられている。この柱状絶縁体を介し
て環状陽極回転フレーム121と同心状に第2の陽極環
状フレーム104が取り付けてある。この陽極環状フレ
ーム104の一端には熱伝導率が極端に小さな金属でで
きた第3の陽極環状フレーム103が折り返して取り付
けてある。
【0060】第3の陽極環状フレーム103の他端には
同心状に折り返して第4の陽極環状フレーム102が取
り付けてある。第4の陽極環状フレーム102の他端に
は環状のターゲット支持体101を介して環状X線ター
ゲット100が取り付けてある。環状X線ターゲット1
00はモリブデンまたはその合金でできた円弧状のブロ
ックを組立てて環状に構成されている。これは必ずしも
円形になっていなくてもよく、例えば多角形に構成され
ていてもよい。
【0061】それぞれののブロックの表面にはタングス
テンまたはその合金でできた耐熱性が高い電子入射面を
持っている。陽極環状フレーム104の他端には環状通
電機構組立体140が取り付けてある。この環状通電機
構組立体140の他端には図2に示す複数の伝熱体15
1が取り付けてあり、これは絶縁体152によって支え
られている。
【0062】絶縁体152は真空隔壁をも構成してお
り、冷却領域153には絶縁油が図示しないポンプによ
って循環されており、これは伝熱体151を冷却する機
能と、これを高電圧に絶縁する機能を有する。環状X線
ターゲット100、ターゲット支持体101、陽極環状
フレーム102、103、104、環状通電機構組立体
140、伝熱体151は電気的にも熱的にも連通してお
り、これらは高電圧端子148を通してたとえば+75
KVの高電圧が外部の高電圧電源(図1のIIIの一
部)から印加されている。
【0063】また、環状陽極回転フレーム121、環状
陽極固定フレーム124、陽極ロータ122はアース電
位に保たれた真空外囲器Aに電気的、熱的にに連通して
おり、真空外囲器Aを冷却することによって冷却されて
いる。柱状絶縁体112の周囲には導電リング114、
115が取り付けてあり、柱状絶縁体112への帯電防
止と電界強度の緩和が行われている。
【0064】次に、環状陰極組立体Cについて同じく図
3を参照して詳述する。環状陰極組立体Cは、環状陰極
固定フレーム222に環状の陰極軸受227を介して回
転自在に支えられた環状陰極回転フレーム221を配設
している。環状陰極回転フレーム221には環状の陰極
ロータ223が取り付けられている。この陰極ロータ2
23には環状の銅でできた陰極回転トルク発生部224
と透磁率が高い板、例えば珪素鋼板で積層した陰極透磁
体271が取付けられている。
【0065】この陰極回転トルク発生部材224と面し
た真空外囲器のより半径が小さい外側に陰極ステータ3
00が取り付けてあり、これらがリニアモータを構成し
て環状陰極組立体Cに回転トルクを与える。複数個の陰
極ステータは円弧状構造体となっている。陰極透磁体2
71に対向し、真空外囲器Aの外側の位置に陰極移動用
電磁石272が取り付けてあり、これにコイル273、
274が巻かれている。
【0066】コイル273、274の一方に流す電流を
他方の電流よりも多くすることで陰極透磁体271を一
方により強く吸引して環状陰極組立体Cを軸受227の
中心軸に平行方向に移動することができる。環状の陰極
軸受227は液体金属潤滑剤で潤滑された動圧滑り軸受
であり、この軸受面の少なくとも一方の対向面に図5〜
図9に示す様なヘリンボン状の溝がついている。
【0067】この軸受の開口端が真空外囲器A内の真空
空間に連通するパスの開口端部にはこれらを覆う環状カ
バー234、235、236、225、陰極ロータ22
3がお互いにオーバラップするように設けてあり、突発
事故があった場合にも液体金属潤滑剤が軸受外で真空外
囲器A内の真空空間に漏出、飛散するのを防止してい
る。この環状カバーの回転部と固定部のギャップの小さ
い対向面のいずれかの部分にスパイラル状の溝が作られ
ており、万一液体金属潤滑剤が到達した場合に環状カバ
ーの内部に押し込む力を生じるようになっている。
【0068】環状陰極回転フレーム221には両端に金
属211、215を接合した柱状絶縁体212が複数個
放射状に取り付けられている。この柱状絶縁体212の
他端には環状陰極回転フレーム221と同心状に第2の
陰極環状フレーム203が取り付けている。この陰極環
状フレーム203の一端には電子ビーム10を放出する陰
極フィラメント201、集束電極を含んだ電子銃組立体
200が取付金具202を介して取り付けてあり、他端
には環状通電機構組立体230、240が同心状に取り
付けてある。
【0069】この環状通電機構組立体230、240の
他端には図2に示す複数の伝熱体245が取り付けてあ
り、これは絶縁体236、237によって支えられてい
る。絶縁体236、237は真空隔壁をも構成してお
り、領域238には絶縁油が図示しないポンプによって
循環されており、これは伝熱体245を冷却する効果を
有する。電子銃組立体200、陰極環状フレーム20
3、環状通電機構組立体230、240、伝熱体245
及び冷却領域238の絶縁油は熱的に連通しており、絶
縁油を循環させることにより高温になるのを防止してい
る。伝熱体245はこれに電気的に連通した高電圧端子
239、249を通して外部の高電圧電源(図1のII
Iの一部)によっておよそー75KVの高電圧が印加さ
れている。
【0070】高電圧端子239と249の間にはおよそ
15Vの電位差が上記の外部の高電圧電源から供給され
ており、これらは環状通電機構組立体230、240を
通じて前記した陰極フィラメント201の両端に接続さ
れており、およそ5アンペアの電流が流されて陰極フィ
ラメント201を加熱し、陰極フィラメント201は熱
電子を放出する。また、環状陰極回転フレーム221、
環状陰極固定フレーム222、陰極ロータ223は陰極
軸受227内に充填された液体金属潤滑剤を通じてアー
ス電位に保たれた真空外囲器Aに電気的、熱的に連通し
ている。柱状絶縁体212の周囲には導電リング21
3、214が取り付けてあり、柱状絶縁体212への帯
電防止と電界強度の緩和が行われている。
【0071】環状陰極回転フレーム221には環状の角
度表示板232が取り付けてあり、これは電子銃組立体
200と共に周回するようになっている。この角度表示
板232の表面には放射状のスリットまたは反射率が交
互に異なる表面の集まりを作っておき、真空外囲器の壁
701の一部に設けた透明なガラスでできた覗き窓25
3の外部に発光源と受光器とを設けてある。
【0072】前記電子銃極組立体200が所定の角度に
なった時には前記スリットまたは反射表面の形状を他と
異なる形にしておき、電子銃組立体200が回転したと
きにこの角度を基点として反射光のパルスを計測して電
子銃の現在位置をモニタできるようになっている。
【0073】環状陰極回転フレーム221には中性点接
地電極組立体260が取り付けられてあり、これは、環
状陰極回転フレーム221とは絶縁体261で絶縁され
ており、環状通電機構組立体250と電気的に連通して
おり、絶縁体251で真空外囲器Aとは絶縁された中性
点接地端子252に接続されている。動作時に、環状X
線ターゲット100に電子ビーム10が入射した際に生
じる反跳電子が入射した場合の通路を形成する。中性点
接地端子252は高電圧電源(図1のIIIの一部)の
中性点に接続されて中性点電流の通路を形成している。
【0074】前記中性点接地電極組立体260及び環状
陰極回転フレーム221にはX線を通過させるスリット
262、226が開いている。これに対して内側(ター
ゲットと反対側)に複数のウェッジフィルタ401、4
02、403が選択可能に取り付けられている。これら
は、予め決められた角度に来たときに真空外囲器Aの外
部に取り付けられたモータ414に電磁クラッチ41
0、411によって機械的に連結されてスリット226
との相対位置を変えられて選択される。
【0075】これにより被検体の大きさに従ってX線フ
ァンビームの広がりが被検体の大きさに応じて選択的に
制限でき、被検体を通過したX線強度の差の最大値を小
さくすることができる。これらのウェッジフィルタ40
1、402、403は環状陰極組立体Cと一体となって
周回する。スリット262、226と選択されたウェッ
ジフィルタ402を通過したファン状のX線ビームはア
ルミニウム合金でできた真空窓704を通過する。その
内側の真空外囲器Aの外部には環状スリット組立体50
0が取り付けてあり、選択されたスリット501によっ
て被検体に照射されるX線ビームの幅を制限する。
【0076】環状スリット組立体500はモータ503
によって回転中心軸方向に移動されて使用する環状スリ
ット501が選択できる。この環状スリット501を通
過したX線ビームは被検体を通過した後に図2に示すX
線検出器セグメントJ1,J2に入射して電気信号に変
換される。X線検出器セグメントJ1,J2の出力は演
算装置(図1のIIIの一部)に送られて、断面像とし
て画像表示装置(図1のIV)に表示される。
【0077】X線検出器セグメントJ1,J2は対向す
るX線検出器セグメントJ3,J4と共に環状の全周の
検出器組立体に形成されているが、円周方向に沿って分
割された複数個のセグメントの一部となっている。各X
線検出器セグメントは多数の検出器配列で構成されてい
る。X線焦点とほぼ180度異なる角度の位置にあるセ
グメントJ1,J2は横方向にスライドされてお互いに
密着することにより入射するX線ファンビームを有効に
複数のスライスのデータとして検出できるようになって
いる。
【0078】他方、これに対向する方向に位置するセグ
メントJ3,J4は互いに離れてギャップを構成し、こ
のギャップをX線が通過する様に構成されている。これ
らの検出器のセグメントの移動はX線焦点の周回に同期
して図示しない制御器によって自動的に行われる。
【0079】次に、陽極軸受128について図4〜図9
を参照して詳述する。本発明は陰極軸受227を必須と
しているが、その構造は陽極軸受128と同じであるの
で先ず陽極軸受128について説明するが、陰極軸受2
27の場合にはそれぞれの部分の番号を読み替えて対応
されたい。図4は環状陽極固定フレーム124の平面図
と側面図を表しており、その一部(K部)を拡大して図
5に示している。
【0080】図5〜図9は軸受部分の一部を拡大した図
であり、陽極回転フレーム121、環状カバー125、
127、135は断面の一部を表し、陽極固定フレーム
124は一部の外観を表している。陽極軸受128で
は、環状陽極固定フレーム124の外面とその外側に回
転自在に取り付けられ環状陽極回転フレーム121の内
面とが対面しておりこれらの面のギャップは数十ミクロ
ンとなっている。
【0081】このギャップの間には液体金属潤滑剤、例
えばガリウムとインジュームと鈴の合金が充填してあ
る。環状陽極固定フレーム124の表面にはヘリンボン
状の溝、124−a、124―b、124―c、124
―dが設けてあり、これらの溝は数十ミクロンの深さで
ある。環状陽極回転フレーム121が前記した方法で回
転トルクを受けて回転した場合に液体金属潤滑剤に動圧
が発生して環状陽極回転フレーム121を浮上させてス
ムースな回転ができるようになる。回転軸に垂直な軸受
面124―c、124―dは、それぞれの対向面と共働
してスラスト軸受を構成する。
【0082】この実施形態ではそれぞれの対向面とのギ
ャップを大きくしており、スラスト方向に移動できるよ
うになっているが、どちらか一方に接近した場合には動
圧が大きくなり、大きな面圧を発生する。
【0083】次に陰極軸受227について図3を参照し
て述べる。環状陰極固定フレーム222の外表面には図
5に示すヘリンボン状の溝124−a、124―bのよ
うな軸受溝がこれらとは180°異なった角度をもって
つけられている。陰極軸受227は、環状陰極回転フレ
ーム221の回転方向が環状通電用回転フレーム121
と反対方向であること以外は通電軸受128と同様の動
作を行うように作られているのでこれ以上の説明を省略
する。
【0084】次に、環状通電機構組立体140、23
0、240、250について図6〜図14を参照して詳
述する。本発明は複数の環状通電機構組立体を使用して
いるが代表として陽極に電力を供給する陽極用環状通電
機構組立体140と陰極フィラメント201に電力を供
給するための通電機構組立体230について説明してい
るが、その構造は全ての環状通電機構組立体140、2
30、240、250でどの実施形態を組み合わせても
良いことは勿論である。
【0085】先ず陽極用環状通電機構組立体140の実
施形態について図6〜図9を参照して説明する。前記し
たように、これらの環状通電機構組立体のインピーダン
スは十分に小さくしてあるので、陰極フィラメント20
1に供給する15V,5A程度の電力は安定して供給す
ることができる。
【0086】また、これにはおよそー75KVの電源に
接続されており、陰極の電位を決定している。図6は陽
極用環状通電機構組立体140の全体の正面図(a)と
側面図(b)を示し、図6の側面図(b)のL部の拡大
断面図を図7に示している。
【0087】電導体でできた環状カバー147が高電圧
端子148、図2に示す伝熱体151と、それらと連結
された図3に示す絶縁体149、図2の152で機械的
に固定されている。環状カバー147の中には電導体で
できた環状の集電カバー145、146が集電リング1
42を囲む状態で取り付けられている。集電リング14
2は結合体141で環状の陽極回転フレーム104に電
気的及び機械的に結合されている。
【0088】図8には集電リング142の正面図(a)
及び側面図(b)を示し、その一部(M部)を拡大して
図9に示している。外側の表面142−aには図示する
ようなスパイラル状の溝がつけてある。図9には面に垂
直方向に外部から見た溝の形状が示してある。同様に内
側の面142―bにも同様の溝がつけてある。これらの
溝の深さは数十ミクロンであり、これらの面と対向する
集電カバー145の内面及び集電カバー146の外面と
数十ミクロンのギャップを形成しており、このギャップ
内には液体金属潤滑剤が充填してある。
【0089】これらの面は液体金属潤滑剤で濡れる状態
になっており、集電リング142が回転した場合には液
体金属潤滑剤が上記の溝の効果で面の中央部に集められ
てこれらの部分で圧力が小さい動圧滑り軸受を構成し、
液体金属潤滑剤に浮上した状態で固体部分が接触するこ
となく回転する。これらのギャップには液体金属潤滑剤
が充填されているのでこれらの間の導通は信頼性良く確
保でき、高電圧端子148から安定して環状X線ターゲ
ット100に高電圧を供給することができる。
【0090】陽極軸受128と偏心している場合でも、
結合体141が偏心を許容するようにできており、面1
42−a、142―bはそれぞれの対向する面との間で
互いに反撥する方向に動圧を生じるのでこれらは回転時
に機械的に接触することはない様になっている。集電カ
バー145、146の内部は液体金属潤滑剤収容室14
5―bを構成しており、その中の少なくとも一部分に液
体金属潤滑剤が収容されている。
【0091】その出口部の表面145−a、146−a
は液体金属潤滑剤で濡れない状態にしてある。これらの
面に対向する集電リング142の面142−c、142
―dも液体金属潤滑剤で濡れない状態にしてある。これ
らの面が構成するギャップは十分に小さくなっており、
毛細管現象によって液体金属潤滑剤を内部に閉じ込め、
集電リング142が回転を停止した場合にも液体金属潤
滑剤を液体金属潤滑剤収容室145―b内部に閉じ込め
る様に作用する。
【0092】回転を停止した場合に液体金属潤滑剤の漏
出を防止する方法は他の実施形態を用いて以下に説明し
ているのと同じ構造を採用することができる。
【0093】面142―c、142―dには図9に示す
ようにスパイラル状の溝があり、対向する面145−
a、146―aと共働してもしこのギャップに液体金属
潤滑剤が挿入された時にこれを液体金属潤滑剤収容室1
45―b内部に送り込むポンプ作用を持つている。これ
により液体金属潤滑剤が液体金属潤滑剤収容室145―
bから漏出するのを防止している。
【0094】万一、液体金属潤滑剤が液体金属潤滑剤収
容室145―bから漏出した場合でも第2の集電カバー
143、144によって構成される第2の液体金属潤滑
剤収容室143―a、144−aがこれを捕獲する。こ
れらの出口部の対向面144―b、145―c及び14
3―b、146―cは液体金属潤滑剤で濡れない面とな
っており、前記したポンプ作用をする溝があり、液体金
属潤滑剤が漏出するのを防止する効果を持っている。
【0095】その外側には同様の第3の液体金属潤滑剤
収容室147―a、147−bが設けてあり、液体金属
潤滑剤が真空外囲器Aの真空空間に漏出するのを防止し
ている。集電カバー144の内表面144―c、集電カ
バー147の外側の内表面147―cは液体金属潤滑剤
で濡れる表面となっており、万一この中に入ってきた液
体金属潤滑剤を付着させて液体金属潤滑剤が真空外囲器
Aの真空空間に漏出するのを防止している。
【0096】これらの機能により、集電リング142が
回転している時も静止している時も液体金属潤滑剤が真
空空間に漏出することなく、しかもいつも十分に低いイ
ンピーダンスで液体金属潤滑剤を通じて導通を確保する
ことができる。
【0097】次に環状通電機構組立体の他の実施形態に
ついて図10〜図14を用いて説明する。この実施形態
では陰極用環状通電機構組立体230を構成する環状の
通電用固定フレーム324の外側に環状の通電用回転フ
レーム321が同心状に取り付けてあり、これらの固定
方法は前述の実施形態と同様であるので説明を省略す
る。
【0098】図10〜図14は通電軸受部分の一部を拡
大した図であり、通電用回転フレーム321、環状カバ
ー325、327、335は断面の一部を表し、通電用
固定フレーム324は一部の外観を表している。通電軸
受328では、環状の通電用固定フレーム324の外面
とその外側に回転自在に取り付けられ環状の通電用回転
フレーム321の内面とが対面しておりこれらの面のギ
ャップは数十ミクロンとなっている。このギャップの間
には液体金属潤滑剤、例えばガリウムとインジュームと
錫の合金が充填してある。
【0099】環状の通電用固定フレーム124の表面に
はスパイラル状の溝、324−aが設けてあり、これら
の溝は数十ミクロンの深さである。環状の通電用回転フ
レーム321が前記した方法で回転トルクを受けて回転
した場合に液体金属潤滑剤に動圧が発生して環状の通電
用回転フレーム321を浮上させてスムースな回転がで
きるようになる。
【0100】通電軸受面324−aとその対向面は一対
のラジアル軸受を構成している。通電軸受面324−a
の各両端部分には溝の無い環状の領域324−e、32
4―fがあり、以下に述べる液体金属潤滑剤の漏出防止
の効果を持たせている。通電軸受面324−a及びその
対向面は液体金属潤滑剤で濡れた状態になっている。こ
れを達成するためには、これらの面をあらかじめ液体金
属潤滑剤で反応させておくのも一つの方法であり、ま
た、液体金属潤滑剤と反応しやすい金属、例えば金やイ
ンジュームや銀等をメッキしたりイオンプレーテイング
するなども一つの方法である。
【0101】他の方法として、液体金属潤滑剤で濡れた
状態にしたい領域に液体金属潤滑剤を付けた状態で表面
研磨手段を使って研磨することにより表面を清浄化する
ことによって濡れ性を確保することもできる。更に、予
め液体金属潤滑剤で濡れる材質で作成した薄板を通電軸
受の表面に巻き付けてもよい。
【0102】また、これらの通電軸受面と液体金属潤滑
剤との反応が進んでギャップが変化すると通電軸受の特
性が変化するので、この部分の温度を十分に低くした
り、反応の進行が遅い材質を選択することでこれは防止
されている。これらの通電軸受面のいずれかは対向する
面に溝をつけておいても良いことは当然である。
【0103】この実施形態では環状の通電用固定フレー
ム324の表面に彫刻等で直接ヘリンボン状の溝を作っ
ているが、0.1mm程度の薄い金属の板に数十ミクロ
ンの深さの溝をあらかじめ作っておき、この薄板を通電
用固定フレーム324の表面に巻き付ける等でも同じ効
果を生じさせることができる。この薄板は、モリブデン
やタングステンで作っておくとガリウム合金の液体金属
潤滑剤との反応を遅くすることができるが、この部分の
温度を低くしておくと鉄合金でも差し支えない。
【0104】これらの通電軸受の内部に製造途中に取り
込まれまたは完成後に発生したガスの膨張等で液体金属
潤滑剤を通電軸受の領域外に押し出すのを防止するため
に通電軸受領域の内部に、真空外囲器の真空空間に連通
する図示しない通路を設けている。これにより、通電軸
受領域が加熱されても部分的に圧力が高くなることが無
く、液体金属潤滑剤が所定の場所から漏出するのを防ぐ
ことができる。
【0105】また、特別な場合として通電軸受の中央部
を平行な通電軸受面としその外側にはギャップが次第に
広がる部分を設け、回転を開始したときに通電軸受の中
央部から順次液体金属潤滑剤が満たされてゆく構造にす
ると、液体金属潤滑剤が漏出するのを防ぎながら通電軸
受の損失を小さくすることができる。また、通電軸受が
少し傾斜した場合にも機械的な接触が起こらない。さて
動作時には、通電軸受面内の液体金属潤滑剤は通電軸受
面内の軸受溝(324−a)によって液体金属潤滑剤を
通電軸受面の中央部に押し込む作用が働き、液体金属潤
滑剤が通電軸受面の外に漏出するのが防がれている。
【0106】しかしながら、環状の通電用回転フレーム
321が回転を停止した場合には対向する通電軸受面3
24−aと対向面の相対速度がゼロになってこの吸引作
用がなくなり、通電軸受ギャップ内にある液体金属潤滑
剤は重力加速度の影響で液面の高さが低くなろうとし、
通電軸受面から漏出しようとする。これを防ぐための一
つの方法は境界面に液体金属潤滑剤と濡れない対向する
面324―m、327―c、321―n、324―nを
作り、この境界面で液体金属潤滑剤の表面に表面張力γ
を作用させることである。
【0107】この濡れない面は、通電軸受面を濡れない
材質でコーテイングしても良いし、この部分の材質その
ものを濡れない材質で作っても良いが、表面にできる酸
化膜を利用すると製造が容易になる。また、液体金属潤
滑剤で濡れない表面を持つ薄板を環状の通電用回転フレ
ーム321または通電用固定フレーム324の一部に巻
き付けても同様の効果を得ることができる。
【0108】次に、通電軸受の液体金属潤滑剤の漏出防
止の工夫について説明する。一般に、ギャップがx(c
m)の平行平板に働く表面張力γ0(dyn/cm)
は、 γ0=ρ・g・x・y/2 (1) で表わされる。ここで、ρは液体金属潤滑剤の密度(g
/cm3)であり、gは重力加速度(cm/sec2)で
あり、yは釣り合う液体金属潤滑剤の液面の高さの差
(cm)である。
【0109】本発明の通電軸受の半径は十分に大きいの
で近似的に(1)式が成り立つ。実施形態を具体的に考
えるために図15を参照する。図15は、前記環状の通
電用回転フレームが回転を停止した場合の液体金属潤滑
剤の分布の様子を模式的に表している。ここで、NWS
は、液体金属潤滑剤に濡れない面、WSは、液体金属潤
滑剤に濡れる面、Liquid Metalは、液体金
属潤滑剤である。円筒状の通電軸受面の直径Dbは小型
にするためにできる限り小さくしたいがこの種のX線ス
キャン装置ではDbは18cm以下では実用にならな
い。少なくとも50cmは必要で、好適にはおよそ12
0cmであり、周方向で平均した通電軸受の半径方向の
ギャップの全周にわたる平均値dbはおよそ50μmで
ある。環状の通電用回転フレーム121が正規の速度で
回転している状態では通電軸受面に強い動圧が作用する
ために通電軸受ギャップは全周にわたってほぼ平均化さ
れてどの部分でもギャップはおよそdbに等しくなる。
【0110】しかるに環状の通電用回転フレーム321
が回転を停止した場合には動圧がなくなるので鉛直下方
の部分での通電軸受面間のギャップxは2dbとなる。
通電軸受の半径方向のギャップの全周にわたる平均値d
bを小さくすると動圧が増えるが軸受損失が過大とな
り、通電軸受面の温度が高くなり過ぎる。これを防ぐた
めに必要な動圧を得る最小限度の損失に押さえるために
bをできる限り大きくすることが好ましい。
【0111】上記の実施形態では液体金属潤滑剤として
Ga,In,Snの合金を使用しているので表面張力γ
はおよそ500dyn/cm、密度ρはおよそ5.6g
/cm3、重力加速度gは980cm/sec 2、x=2d
b=100μmであるので(1)式を満たすyの値はお
よそ18cmとなる。
【0112】つまり、開口部よりも18cm以上高い液
面があれば液体金属潤滑剤が漏出することを意味してい
る。一方、この値yを通電軸受面の直径120cmより
も大きくするためにはxの値をおよそ15μm以下にす
る必要があり、軸受ギャップの平均値dbは7.5μm
以下である必要がある。この場合、軸受損失が過大とな
らないように回転時に液体金属潤滑剤が分布する面積S
rを小さくする必要がある。
【0113】前記した濡れない面324―m、327−
c、321―n、324−nの対向面間の回転時のギャ
ップdgは機械的な接触を予防するために通電軸受面の
半径方向のギャップの全周にわたる平均値dbよりも大
きくしてある。回転停止時には上記の濡れない面の下方
のギャップdxは(dg+db)となる。ところが、前記
濡れない面の回転中心が、前記通電軸受の回転中心から
移動できる構造にすると、前記濡れない面間のギャップ
xはこれよりも小さくできる。また、濡れない面の直
径のうち大きい方をDg、通電軸受面の直径のうち大き
い方をDbとするとき、濡れない面の最下端から通電軸
受面の最上端までの高さは(Dg+Db)/2となる。回
転停止時にこの環状の領域Seのギャップ内に貯えられ
た液体金属潤滑剤が予め定められた環状の領域Seの外
に漏出しないためには、(1)式のxにdxを、yに
(Dg+Db)/2を代入して得られる値が環状の領域S
eの境界部分における液体金属潤滑剤の表面張力γより
も小さくなければならないので dx・(Dg+Db)< 4・γ/(ρ・g) (2) の関係が成り立つ必要がある。ここで、γは温度によっ
て変化するので動作温度範囲での最小値としなければな
らないのは勿論である。
【0114】環状の陰極回転フレーム321の回転速度
が十分に小さい場合または環状の通電用回転フレーム3
21に取り付けてある部品の質量の総和が十分に小さい
場合には回転時に液体金属潤滑剤が分布する面積Sr
十分に小さくして軸受損失の増大を防げるので(2)式
を満たす通電軸受を実現することができる。しかるに、
回転部分の負荷が大きい場合やインピーダンスを十分に
小さくする必要がある場合には上記の面積Srを小さく
できないので環状の通電軸受の軸受損失を小さな値にす
るためには上記のギャップの平均値dbを過大にする必
要があり回転停止時に液体金属潤滑剤が漏出するなどの
不都合が生じるので以下の工夫が必要となる。
【0115】前記濡れない面324―m、327−c、
321―n、324―nにおける液体金属潤滑剤の表面
張力γによって液体金属潤滑剤の漏出を防止するために
は環状の通電用回転フレーム321の回転停止時の前記
濡れない面324―m、327−c、321―n、32
4―nの鉛直最下面からの液体金属潤滑剤の平衡液面の
高さをH(cm)とするとき、 dx・H<2・γ/(ρ・g) (3) が成り立つ必要がある。
【0116】言い換えるとH<(Db+Dg)/2あり、
液体金属潤滑剤の存在が許されている環状の領域Se
環状の通電用回転フレーム321の表面と環状の通電用
固定フレーム324の表面で囲まれた部分の容積V
g(cm3)よりも環状の領域Seに封入された液体金属
潤滑剤の体積V1(cm3)は小さい必要がある。
【0117】これを実現させる具体的な方法は、この通
電軸受の半径方向のギャップの全周にわたる平均値db
を適正な値に保っておき、環状の通電用回転フレーム3
21が回転を停止した時には通電軸受面外の別の環状の
領域Seへの移動を許容し、濡れない面の最下面からの
液体金属潤滑剤の平衡高さHを低くすることである。
【0118】環状の領域Seの境界の濡れない面におけ
る液体金属潤滑剤の表面張力γによって液体金属潤滑剤
の漏出を防止するためのまず第1の方法は、図10に示
している様に、通電軸受面324―aの横に液体金属潤
滑剤で濡れており、その存在が許される環状の領域32
4―e、324―fを設けておき、液体金属潤滑剤の存
在が許される環状の領域Seを増すことである。
【0119】環状の通電用回転フレーム321の回転時
には通電軸受面324―aの吸引作用により液体金属潤
滑剤は環状の領域324―e、324―fから通電軸受
面324―aに移動し、環状の領域324―e、324
―fの少なくとも一部は液体金属潤滑剤が存在しない領
域ができる。一方、環状の通電用回転フレーム321が
回転を停止した場合には重力加速度gの影響で液体金属
潤滑剤は環状の領域324―e、324―fの鉛直下方
の端部方向に広がりながら鉛直下方から満たされてゆ
く。環状の領域324―e、324―fを十分に大きな
容積にしておくと液体金属潤滑剤の平衡液面の通電軸受
最下面からの高さH1を(3)式が成り立つH以下にす
ることができる。
【0120】第2の方法について図11を参照して説明
すると、前記環状の通電用固定フレーム324を前記通
電軸受面328の径より径が小さい側に、該通電軸受面
328の径より径が大きい側に位置する部分を前記環状
の通電用回転フレーム321に設け、該環状の通電用回
転フレーム321の通電軸受面324―aまたは環状の
領域324―e、324―fに対向する面に図11に示
す様に窪み321−a、321―bを複数個円周方向に
分布させて取り付ける。
【0121】環状の通電用回転フレーム321が回転を
停止した場合には該窪みの内の鉛直最下方にあるものか
ら順次液体金属潤滑剤が満たされてゆき、環状の領域S
eの境界の濡れない面の最下面からの平衡液面の高さH2
は、平衡液面より鉛直下方にある窪みの容積の合計Vs
を大きくしておくと、前記した環状の領域324―e、
324―fの面積を大きくしなくてもH2を(3)式が
成り立つHより小さくすることができる。
【0122】環状の通電用回転フレーム321が回転を
開始すると下方にあった窪みが上方に移動し、その中に
溜まっていた液体金属潤滑剤が上方に移動させられると
共に通電軸受面324−aに供給される。それらの液体
金属潤滑剤は通電軸受面324―aの吸引作用によりこ
れらの面内に満たされ、液体金属潤滑剤が閉じ込められ
る。この場合、平衡液面の下方にある窪みの容積の総和
sと、該液体金属潤滑剤が広がれる環状の領域Seの環
状の通電用固定フレーム324の表面と環状の通電用回
転フレーム321の表面とで囲まれる環状の領域の容積
gとの和の容積V2tよりもこの環状の領域のギャップ
の間に挿入された液体金属潤滑剤の体積V2が小さくな
っている。
【0123】更に第3の方法について図12を参照して
述べる。前記環状の通電用固定フレーム324を前記通
電軸受面328の径より径が小さい側に、該通電軸受面
328の径より径が大きい側に位置する部分を前記環状
の通電用回転フレーム321に設け、該環状の通電用回
転フレーム321の通電軸受面324―aまたは環状の
領域324―e、324―fの対向面に図12に示す様
に環状の溝121−a' 、121―b' を円周方向に沿
って設ける。
【0124】この環状の溝の容積の合計Vfと、液体金
属潤滑剤の分布が許容されている環状の領域Se内で環
状の通電用固定フレーム324の表面と環状の通電用回
転フレーム321の表面とで囲まれる環状の領域の容積
gとの和の容積V3tよりもこの環状の領域Seのギャッ
プ間に挿入された液体金属潤滑剤の体積V3を小さくし
てあり、この環状の溝は該環状の領域Se内、好適には
スパイラル状の溝を有する通電軸受面324−aの周辺
部で該環状の領域Seと連通しており、環状の通電用回
転フレーム321が回転を停止した場合には鉛直最下方
にある環状の溝の部分から液体金属潤滑剤が満たされて
ゆき、平衡液面の通電軸受最下面からの高さH3(c
m)は、平衡液面より鉛直下方にある環状の溝の容積の
合計Vsを大きくしておくと、前記した環状の領域32
4―e、324―fの表面積を大きくしなくてもH3
(3)式が満たされるHよりも小さくできる。環状の通
電用回転フレーム321が回転を開始すると環状の溝3
21−a' 、321―b' の下方にあった部分が上方に
移動し、その壁の移動に伴ってその中に溜まっていた液
体金属潤滑剤が鉛直上方に移動すると共に環状の領域S
eの鉛直上部に供給される。それらの液体金属潤滑剤は
通電軸受面324―aの吸引作用によりこれらの面内に
満たされる。
【0125】更に、図13に示すように上記の環状の溝
321−a' 、321―b' には液体金属潤滑剤と共に
回転自在に装着した潤滑リング329−a、329―b
を有し、回転時に液体金属潤滑剤を汲み上げて通電軸受
面324−aに供給する作用を持たせると上記の液体金
属潤滑剤の供給効果は改善される。
【0126】更に他の方法について図14を参照して述
べる。前記環状の通電用固定フレーム324を通電軸受
面328の径より径が小さい側に、該通電軸受面328
の径より径が大きい側に位置する部分を前記環状の通電
用回転フレーム321に設け、図14に示すように該環
状の通電用回転フレーム321の通電軸受面と分離した
位置に液体金属潤滑剤の貯蔵スペース321−eを設
け、この貯蔵スペース321−eの内部と液体金属潤滑
剤の存在が許容されている環状の領域Se内、好適には
通電軸受溝324−aがある環状の領域の周辺部とが連
通孔121−a" 、121―b" で連通されており、こ
の貯蔵スペース321−eの容積V4と、液体金属潤滑
剤の分布が許容されている環状の領域Seの環状の通電
用固定フレーム324の表面と環状の通電用回転フレー
ム321の表面で囲まれる環状の領域の容積Vgとの和
の容積V4tよりもこの間に挿入された液体金属潤滑剤の
体積Vm4を小さくしてあり、環状の通電用回転フレーム
321が回転を停止している時には鉛直下方にある貯蔵
スペース321−eの鉛直下方の部分に液体金属潤滑剤
が収納されて環状の領域Seの境界の濡れない面の最下
面からの液体金属潤滑剤の平衡液面の高さH4(cm)
が該通電軸受の直径Db(cm)より小さくなり、さら
に、平衡液面より鉛直下方にある貯蔵スペース321−
eの容積の合計Vsを大きくしておくと、前記した環状
の領域324―e、324―fの面積を大きくしなくて
もH4を(3)式が満たされるHより小さくすることが
できる。前記環状の通電用回転フレーム321の回転時
には液体金属潤滑剤が上方に持ち上げられて前記連結穴
321−a" 、321―b" を通じて通電軸受内に供給
される。
【0127】これらの実施形態ではいずれも通電用回転
フレーム321が回転を停止した場合に液体金属潤滑剤
の平衡液面の高さH1,H2,H3,H4が前記領域Se
境界部の直径よりも小さいので通電軸受面の上部には領
域Seの境界部の一部を通って真空外囲器Aの真空空間
に通じるパスが生じる。これにより、通電軸受面に発生
した気体は真空空間に放出され、通電軸受内の圧力が高
くなるのが防止される。
【0128】次に、中性点接地電極組立体260につい
て図3を参照して述べる。環状陰極回転フレーム221
には絶縁体261を介して中性点接地電極組立体260
が取り付けてあり、これは中性点接地電極用の環状通電
機構組立体250によって端子252に接続されてい
る。この端子は高電圧電源(図1のIIIの一部)の中
性点に接続されており、環状X線ターゲット100から
飛び出した反挑電子の通路を形成し、真空外囲器705
の電位が変動するのを防止している。また、中性点接地
電極組立体260にはスリット262が取り付けてあ
り、発生したX線の通路の妨げになるのを防止してい
る。中性点接地電極用の環状通電機構組立体250はそ
の構造と動作が陽極用の環状通電機構組立体230と同
様であるので説明を省略する。
【0129】次に、陰極回転駆動組立体Dの一部である
回転駆動機構について図3を参照して述べる。真空外囲
器壁705の外側で径が小さい側に回転トルク発生部2
24と対向する位置に陰極ステータ300が取り付けて
ある。陰極ステータ300は回転トルク発生部224に
沿った円弧状のセグメントでできており円周方向に複数
の磁極とスロットを持っており、これと対向する回転ト
ルク発生部224の部分と共にリニアモータを構成して
回転トルクを発生する。
【0130】陰極ステータ300は複数個を円周状に取
り付けると回転トルクを大きくすることができる。この
場合、真空外囲器壁705は非磁性の材質、例えば薄い
ステンレス板で作られている。環状陰極固定フレーム2
22は磁性体でできており、磁束の漏洩を防止して回転
トルクの増大を行っている。
【0131】次に、陰極回転駆動組立体Dの一部である
陰極位置移動機構について図3を参照して述べる。陰極
ロータ223には磁性体でできた透磁体271が取り付
けられている。これに対向した位置で真空外壁705の
外側に磁極272−a、272―b、272―cを持っ
た陰極移動用電磁石があり、磁極272−aにはコイル
273が、磁極272−bにはコイル274が巻かれて
おり、それぞれの磁極は透磁体271を通して磁路を形
成する。通常は両方の吸引力がバランスするので透磁体
271は特定の位置に固定される。例えばコイル273
に流れる電流を増すと、透磁体271は磁極272−a
の方向に移動し、コイル274の電流を増せば反対方向
に移動する。このようにして陰極ロータ223の位置調
整が行えるようになっている。これによって電子銃組立
体200の位置を任意に制御できる様にしてある。
【0132】これは、これを用いたCTスキャナのX線
焦点の位置を移動させた時にその相対関係をいつも同一
に保つことができることを意味し、焦点の大きさやイン
ピーダンスをいつも一定に保てることを意味している。
反対に、環状X線ターゲット100との相対位置をあら
かじめ決められた関係で制御することにより、X線焦点
の大きさを任意に制御することができる。
【0133】次に、陽極回転駆動組立体Eの一部である
陽極回転駆動機構について図3を参照して述べる。真空
外囲器壁702の外側の径が大きい側で回転トルク発生
部123と対向する位置に円弧状の陽極ステータ130
が取り付けてある。陽極ステータ130は回転トルク発
生部123に沿った円弧状のセグメントでできており円
周方向に複数の磁極とスロットを持っており、これと対
向する回転トルク発生部123の部分と共にリニアモー
タを構成して回転トルクを発生する。
【0134】陽極ステータ130は複数個を周方向に取
り付けると回転トルクを大きくすることができる。この
場合、真空外囲器壁702は非磁性の材質、例えば厚さ
が1mm程度の薄いステンレス板で作られている。環状
カバー125は磁性体でできており、磁束の漏洩を防止
して回転トルクの増大を行っている。
【0135】次に、陽極回転駆動機構Eの一部である陽
極位置移動機構について図3を参照して述べる。陽極ロ
ータ122には磁性体でできた陽極透磁体132が取り
付けられている。これに対向した位置で真空外囲器壁7
02の外側に磁極131−a、131―b、131―c
を持つ陽極移動用電磁石131があり、磁極131−a
にはコイル134が、磁極131−bにはコイル133
が、巻かれており、それぞれの磁極は透磁体132を通
して磁路を形成する。
【0136】通常は両方の吸引力がバランスするので透
磁体132は特定の位置に固定される。例えばコイル1
34に流れる電流を増すと、透磁体132は磁極131
−aの方向に移動し、コイル133にの電流を増せば反
対方向に移動する。このようにして陽極ロータ122の
位置調整が行えるようになっている。これによって環状
X線ターゲット100の位置を任意に制御できる様にし
てある。これは、これを用いたCTスキャナのX線焦点
の位置をすばやく正確に制御できることを意味してい
る。
【0137】以上、本発明を実施形態に関連して説明し
たが、本発明は、ここに例示した実施形態の構造及び形
態に限定されるものではなく、本発明の精神及び範囲か
ら逸脱することなく、種々の実施形態が可能であり、い
ろいろな変更及げ改変を加えることができることを理解
されたい。例えば、この発明では陽極構造体と陰極構造
体の両方を回転させる構造を示しているが、陽極構造体
及びこれに繋がっている部分を固定にした構造のX線ス
キャン装置を含むことは勿論である。
【0138】
【発明の効果】請求項1に係る発明のX線スキャン装置
によれば、構造が簡単で信頼性があり、超高速スキャン
型CTスキャナに使用できる小形で低価格のX線スキャ
ン装置を提供することができ、特に、真空中で高速度で
周回する陰極フィラメントやその他の電極に通電する機
構として簡易な構造で信頼性のある機構を提供でき、回
転時には固部分の接触が無く、低振動で低騒音で、かつ
長寿命であり、電気抵抗を十分に小さくできて安定な通
電作用を発揮することができる。
【0139】請求項2〜7及び10〜12に係る発明に
よれば、回転停止時の液体金属潤滑剤の平衡液面が低く
なる工夫により、液体金属潤滑剤が軸受外の真空外囲器
内に漏出するのを効果的に防止することができる。
【0140】請求項8に係る発明によれば、回転時に液
体金属潤滑剤を汲み上げて通電軸受面に供給する作用を
持たせることで、液体金属潤滑剤の供給効果が改善でき
る。
【0141】請求項9に係る発明によれば、通電軸受面
に発生した気体は真空空間に放出され、通電軸受内の圧
力が高くなるのが防止できる。
【0142】請求項13に係る発明のX線CTスキャナ
によれば、小型化、低価格化、信頼性の向上を図れる。
【0143】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のX線スキャン装置を組み入
れたCTスキャナの斜視図である。
【図2】 図2は、本発明のX線スキャン装置の概略断
面図である。
【図3】 図3は、本発明のX線スキャン装置の概略断
面図の一部の拡大図である。
【図4】 図4は、陽極固定フレームの正面図(a)と
その側面図(b)である。
【図5】 図5は、図4の一部の拡大図である。
【図6】 図6は、本発明の環状通電機構組立体の正面
図(a)と側面図(b)である。
【図7】 図7は、図6のL印部分の断面拡大図であ
る。
【図8】 図8は、環状通電機構組立体を構成する集電
リングの正面図(a)とその側面図(b)である。
【図9】 図9は、図8の一部の拡大図である。
【図10】 図10は、本発明の他の実施形態の環状通
電機構組立体の一部の拡大図である。
【図11】 図11は、本発明の他の実施形態の環状通
電機構組立体の一部の拡大図である。
【図12】 図12は、本発明の他の実施形態の環状通
電機構組立体の一部の拡大図である。
【図13】 図13は、本発明の他の実施形態の環状通
電機構組立体の一部の拡大図である。
【図14】 図14は、本発明の他の実施形態の環状通
電機構組立体の一部の拡大図である。
【図15】 図15は、液体金属潤滑剤の分布説明図で
あり、(a)は、軸受の正面図、(b)は、その断面図
を示す。
【符号の説明】
A 真空外囲器 100 環状X線ターゲット 222 環状陰極固定フレーム 221 環状陰極回転フレーム 200 電子放出源 230、240 環状通電機構組立体 324 通電用固定フレーム 321 通電用回転フレーム

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気された環状空間を画定するドーナツ
    形の真空外囲器と、該ドーナツ形真空外囲器の排気され
    た環状空間に取り付けられた環状X線ターゲットと、該
    ドーナツ形真空外囲器の排気された環状空間に取り付け
    られた環状陰極固定フレームと、この環状陰極固定フレ
    ームの回りに回転自在に取り付けられた環状陰極回転フ
    レームと、該環状陰極回転フレームに機械的に連結され
    ており、該環状陰極回転フレームが回転するにつれて環
    状の軌道に沿って移動しながら前記環状X線ターゲット
    に衝突してX線を発生させる電子ビームを発生するため
    の少くとも1 つの電子放出源と、を含んで構成されるX
    線スキャン装置であって、 前記電子放出源に電力を供給するための環状通電機構組
    立体を有し、 該環状通電機構組立体は、通電用固定フレームと該通電
    用固定フレームの回りに回転自在に取り付けられた通電
    用回転フレームとを有し、 前記通電用固定フレームと通電用回転フレームの相対す
    る面の少なくとも一部がギャップを有する通電軸受面を
    構成し、 前記通電軸受面のギャップの少なくとも一部に液体金属
    潤滑剤が充填されると共に、該通電軸受面の少なくとも
    一方にはスパイラル状の溝が付けられていることを特徴
    とするX線スキャン装置。
  2. 【請求項2】 前記通電用回転フレームの一部または通
    電用回転フレームに取り付けられた回転部材の少なくと
    も一部は、前記液体金属潤滑剤で濡れない表面を有し、
    該面で液体金属潤滑剤の表面張力が作用して回転フレー
    ムが静止した時にも前記液体金属潤滑剤が真空外囲器の
    排気された環状空間に漏出するのが防止されるようにし
    たことを特徴とする請求項1記載のX線スキャン装置。
  3. 【請求項3】 前記環状の通電用回転フレームの少なく
    とも一部は、または該環状の通電用回転フレームに取り
    付けられた回転部材の少なくとも一部は前記液体金属潤
    滑剤で濡れていない第1の表面を有し、該第1の表面に
    対向した前記環状の通電用固定フレーム上の面の少なく
    とも一部にあり、または該環状の通電用固定フレームに
    取り付けた固定部材にあり、前記第1の表面に対向した
    少なくとも一部の面を構成する第2の表面は、前記液体
    金属潤滑剤で濡れていない表面を有し、回転を停止した
    時の前記第1の表面と第2の表面の濡れていない表面の
    下方の半径方向のギャップをdx、該濡れない表面の直
    径のうち大きい方をDg、前記通電軸受面の直径のうち
    大きい方をDb,前記液体金属潤滑剤の密度をρ、この
    液体金属潤滑剤の前記第1及び第2の面の濡れない表面
    における表面張力をγ、重力加速度をgとするとき、 dx・(Db+Dg)<4・γ/(ρ・g)なる関係があ
    ることを特徴とする請求項2記載のX線スキャン装置。
  4. 【請求項4】 前記環状の通電用回転フレームの表面と
    前記環状の通電用固定フレームの表面とではさまれてお
    り、前記環状の通電用軸受面を含んだ液体金属潤滑剤の
    存在が許容される環状の領域内の部分の容積をVg、こ
    の環状の領域内に充填された液体金属潤滑剤の体積をV
    1とするとき、 V1<Vgなる関係があることを特徴とする請求項1〜3
    のうちいずれか1つに記載のX線スキャン装置。
  5. 【請求項5】 前記環状の通電用回転フレームが回転を
    停止したときに液体金属潤滑剤の存在が許容される環状
    の領域の境界部分の濡れない面の鉛直最下面からの液体
    金属潤滑剤の平衡液面の鉛直高さをH1、回転を停止し
    た時の前記境界部分の濡れない面間の下方の半径方向の
    ギャップをdx、前記の液体金属潤滑剤に濡れていない
    表面での前記液体金属潤滑剤の表面張力をγ、液体金属
    潤滑剤の密度をρ、重力加速度をgとするとき、 dx・H1<2・γ/(ρ・g)なる関係があることを特
    徴とする請求項2記載のX線スキャン装置。
  6. 【請求項6】 前記環状の通電用回転フレーム上で液体
    金属潤滑剤が広がれる環状の領域に少なくとも1個の窪
    みを設け、当該窪みの容積の総和Vsと、該環状の領域
    内の該窪みを除く部分の前記環状の通電用回転フレーム
    の表面と前記環状の通電用固定フレームの表面とで囲ま
    れる環状の領域の容積Vgとの和の容積V2tよりもこの
    環状の領域内に挿入された液体金属潤滑剤の体積V2
    小さい一方、前記窪みは前記環状の領域内に開口し、該
    環状の通電用回転フレームが回転を停止している時には
    鉛直下方に位置する窪みの中に液体金属潤滑剤が収納さ
    れ、回転時には該窪みによって上方に持ち上げられて液
    体金属潤滑剤が軸受面内に供給されることを特徴とする
    請求項2記載のX線スキャン装置。
  7. 【請求項7】 前記環状の通電用回転フレームの液体金
    属潤滑剤が広がれる環状の領域内に環状の溝を設け、該
    環状の溝の容積Vfと、該環状の領域内の該環状の溝を
    除く部分の環状の通電用回転フレームの表面と前記環状
    の通電用固定フレームの表面とで囲まれる容積Vgとの
    和の容積V3tよりも該環状の領域内に挿入された液体金
    属潤滑剤の体積V3を小さくし、前記環状の溝は該環状
    の領域内において該環状の領域と連通しており、前記環
    状の通電用回転フレームが回転を停止している時には鉛
    直下方の部分に液体金属潤滑剤が満たされて前記濡れな
    い面の最下部からの平衡液面の鉛直高さH2が通電軸受
    の直径Dbと前記濡れない面の直径Dgの平均値より小さ
    くなり、前記環状の通電用回転フレームの回転時には該
    環状の溝に沿って鉛直上方に持ち上げられてこの液体金
    属潤滑剤が軸受内に供給されることを特徴とする請求項
    2記載のX線スキャン装置。
  8. 【請求項8】 前記環状の通電用回転フレームの液体金
    属潤滑剤が広がれる前記環状の領域内に環状の溝を設
    け、この溝の中に液体金属潤滑剤と共に回転自在に装着
    した潤滑リングを有し、回転時に液体金属潤滑剤を軸受
    面に供給する作用を持たせたことを特徴とする請求項7
    記載のX線スキャン装置。
  9. 【請求項9】 前記環状の通電用回転フレームの液体金
    属潤滑剤が広がれる環状の領域と分離した位置に液体金
    属潤滑剤の貯蔵スペースを設け、この貯蔵スペースの内
    部と該環状の領域内とが連通され、前記貯蔵スペースの
    容積V4と、該環状の領域内の前記環状の通電用回転フ
    レームの表面と前記環状の通電用固定フレームで囲まれ
    る容積Vgの和の容積V4tよりもこの間に挿入された液
    体金属潤滑剤の体積Vm4を小さくし、環状の通電用回転
    フレームが回転を停止している時には鉛直下方にある貯
    蔵スペースの鉛直下方の部分に液体金属潤滑剤が収納さ
    れ、前記環状の通電用回転フレームの回転時には液体金
    属潤滑剤が上方に持ち上げられて前記連結穴を通じて軸
    受面内に供給されることを特徴とする請求項2記載のX
    線スキャン装置。
  10. 【請求項10】 前記環状の通電用固定フレームと前記
    環状の通電用固定フレームの間にギャップが構成され、
    前記液体金属潤滑剤が挿入されており、該液体金属潤滑
    剤の表面と前記真空外囲器内部の真空空間とが連通する
    パスが該真空間に開口する部分が、前記環状の通電用固
    定フレームと前記環状の通電用固定フレームのそれぞれ
    に取り付けられたカバーで交互に覆われていることを特
    徴とする請求項1〜9のうちいずれか1つに記載のX線
    スキャン装置。
  11. 【請求項11】 前記液体金属潤滑剤で濡れない表面
    は、金属酸化物であることを特徴とする請求項2〜8の
    うちいずれか1つに記載のX線スキャン装置。
  12. 【請求項12】 前記液体金属潤滑剤で濡れない表面
    は、前記液体金属潤滑剤で濡れない表面を持つ薄板を巻
    き付けて構成されていることを特徴とする請求項2〜9
    のうちいずれか1つに記載のX線スキャン装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のうちいずれか1つに
    記載のX線スキャン装置と、 前記環状X線ターゲットの表面から放出されるX線ビー
    ムを検出するためのX線検出器と、 前記X線検出器の出力信号を再構成処理するための演算
    装置と、 前記演算装置により再構成された断面像を表示するため
    の表示装置と、 を含んで構成されたことを特徴とするX線CTスキャ
    ナ。
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