JP2000089050A - 光分岐回路及びその製造方法 - Google Patents

光分岐回路及びその製造方法

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JP2000089050A JP27431698A JP27431698A JP2000089050A JP 2000089050 A JP2000089050 A JP 2000089050A JP 27431698 A JP27431698 A JP 27431698A JP 27431698 A JP27431698 A JP 27431698A JP 2000089050 A JP2000089050 A JP 2000089050A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡略なプロセスによる光分岐回路の製造方法を
提供すること。 【解決手段】石英ガラスから成る基板1上に、ポリフル
オロアルキルメタクリレートから成る下部クラッド層
2、ポリメチルメタクリレートから成るコア層3を順次
積層する。次に、フォトリソグラフィによりエッチング
して、光導波路30と、光導波路30の基板1とは反対
側の表面31から基板面11に向かって略垂直に切断面
41、42、43を形成する。この後、光導波路30を
形成するポリメチルメタクリレートのガラス転移点以上
の温度で熱処理することにより、切断面43が傾斜し、
光導波路ミラーが形成される。この時、各切断面間の距
離又はは熱処理温度を調整して、光導波路ミラーの傾斜
角を制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に形成され
た光導波路にミラーが一体的に形成された光分岐回路に
関する。また、光導波路にミラーが一体的に形成された
光分岐回路の製造方法に関する。本発明は、複数のミラ
ーが形成された光分岐回路の製造に特に有効である。
【0002】
【従来の技術】図7及び図8は、従来の光分岐回路の断
面図を示したものであり、光導波路内を通る導波光の分
岐方法を示したものである。図7は、J. Liu et al, Pr
oc.SPIE 3005, 230 (1997)による。また図8は、O. Sug
ihara et al, Proc.of POF Conference '97, 144によ
る。図7は、光導波路30の、基板1とは反対側の表面
31にホログラム61、62、63を形成した、光分岐
回路201を示している。この光分岐回路201から図
7の紙面上、上向きに分岐する各光出力は、ホログラム
61、62、63の格子深さと長さによって制御され
る。一方、図8は、光導波路30の、基板1と反対側の
表面31の一部に電子ビームを照射して削り出して全面
ミラー71、72、73を形成した、光分岐回路202
を示している。この光分岐回路202から図8の紙面
上、下向きに分岐する各光出力は、全面ミラー71、7
2、73の深さによって制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが両者とも、光
導波路30を形成した後にホログラム又は全面ミラーを
個別に形成しているため、光分岐回路201又は202
の生産性が悪い。特に、複数のホログラム又は全面ミラ
ーを一本の光導波路に一体的に形成し、各ホログラム又
は全面ミラーから分岐する各光出力の方向をそろえ、光
量を均一にしようとする場合、光分岐回路201又は2
02の設計及び製造工程が複雑となる。
【0004】図7の、ホログラム61、62、63を光
導波路30に形成した光分岐回路201の製造において
は、ホログラム61、62、63の設計が複雑である。
即ち、前段のホログラム61は分岐割合を少なく、後段
の62、63になるにしたがって順次分岐割合を100
%に近づけるよう干渉格子を設計及び形成しなければな
らない。これらホログラムの設計には入射光の干渉性が
格子設計上のパラメータとなるため、等位相面の乱れや
すいマルチモード導波路の場合は分岐する割合を大きく
できないという問題がある。
【0005】一方、図8の、電子ビームで削り出して、
全面ミラー71、72、73を光導波路30に形成した
光分岐回路202の製造においては、全面ミラーの個数
が増すと製造時間が著しく増大する。複数個のミラーか
らそれぞれ光出力を得るためには、前段の全面ミラー7
1は浅く、後段の全面ミラー72、73になるにしたが
って深い全面ミラーを形成しなければならない。特に最
終段の全面ミラー73は、ほとんど光導波路30の径に
等しい深さまで削り出す必要がある。即ち、後段の全面
ミラーほど、削り出すための電子ビームの露光時間が多
く必要である。これは、複数個の分岐を持つ光分岐回路
の作成のためには、全面ミラーを1個1個個別に形成す
ることを意味する。全面ミラーの角度をそろえるための
調整作業も合わせると、光分岐回路の製造作業は著しく
長時間となる。
【0006】本発明は上記の課題を解決するために成さ
れたものであり、その目的は、光導波路内を通る導波光
の一部若しくは全部を反射するミラーが一体的に形成さ
れた光分岐回路の、簡略なプロセスによる製造方法を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の手段によれば、光導波路が高分
子材料から形成され、ミラー面の傾斜が高分子材料の熱
収縮により形成されるので、ミラー面の深さにかかわら
ず、所望の傾斜角度を有するミラー面を得ることができ
る。
【0008】また、請求項2に記載の手段によれば、光
導波路が高分子材料から形成され、入射面及び各ミラー
面の互いに隣り合う間隔が、高分子材料の熱収縮の特性
に応じて、入射面から順に長くなっている。これによ
り、光導波路に複数のミラー面を形成した光分岐回路で
あって、光導波路の入射面に近い方から遠くなるにした
がって順にミラー面を深く形成した際に、高分子材料の
熱収縮により、ミラー面の傾斜角度を揃えることが可能
となる。
【0009】更に、請求項3に記載の手段によれば、光
路に略垂直な1以上の切断面を持つ高分子材料から成る
光導波路を作製し、ガラス転移点以上の温度で高分子材
料を熱収縮させ、切断面を傾斜させることによりミラー
を形成する。この際、ミラーの傾斜角度は、光導波路の
端面と切断面との間隔若しくは切断面と隣接する切断面
との距離、又は高分子材料を熱収縮させる温度により制
御するので、複数のミラーの傾斜角度を制御しつつ、複
数のミラーが一体的に形成された光分岐回路を容易に製
造することができる。各々のミラー面の深さに応じてミ
ラーの傾斜角度を制御する設計手段があるので、ミラー
面の形成作業が容易である。
【0010】
【作用】高分子材料で形成された光導波路に、光路に略
垂直な切断面を、導波路表面から基板面に向かって形成
する。高分子材料のガラス転移点以上の温度で熱処理を
行うと、高分子材料は分子の可動性により緻密化され、
収縮する。この収縮量は切断面の光路方向への変位とし
て現れるため、切断面が傾く。これは、光導波路の基板
と密着している部分は光路方向には熱収縮が抑制され、
切断面の先端から基板より離れるにしたがって抑制が少
なくなり、光路方向の熱収縮が大きくなっていくためで
ある。よって、傾斜角度を大きくするには2つの方法が
ある。第1の方法は、隣接する切断面との距離を大きく
することで、切断面に対する光路方向の総収縮量を大き
くし、切断面の傾斜角度を大きくすることである。第2
の方法は、熱処理温度を高くして熱収縮量を大きくし、
切断面の傾斜角度を大きくすることである。更にここか
ら、次のことも容易に理解できる。即ち、光路に略垂直
な複数の切断面を、光入射面に近いほうから遠ざかるに
したがって順に深くなるよう形成するとき、入射面及び
各切断面の互いに隣り合う間隔が高分子材料の熱収縮の
特性に応じて入射面から順に長くなるよう切断面を形成
することにより、高分子材料の熱収縮により切断面が傾
斜して形成されるミラー面の傾斜角度を均一に揃えるこ
とが可能となる。
【0011】
【発明の効果】本発明の光分岐回路は、光導波路中のミ
ラー(以下、光導波路ミラーという)が複数であって
も、各ミラーの深さに合わせて、反射面の角度を均一に
も、また個別に任意の角度にも設定できる手段を持って
いる。特に、光導波路に複数のミラー面を形成した光分
岐回路であって、光導波路の入射面に近い方から遠くな
るにしたがって順にミラー面を深く形成し、各ミラーか
ら光出力を同程度に分岐させる場合、入射面及び各ミラ
ー面の互いに隣り合う間隔を、高分子材料の熱収縮の特
性に応じて入射面から順に長くすれば、全ミラー面の傾
斜角度を均一に揃えることも可能となる。また、本発明
の光分岐回路の製造方法によれば、任意の角度に設定で
きる複数の光導波路ミラーを一括して光導波路に形成す
ることができ、光分岐回路を生産性良く製造できる。即
ち、光導波路内を通る導波光の一部若しくは全部を反射
するミラーが一体的に形成された光分岐回路が、簡略な
プロセスにより製造できる。また、本発明の光分岐回路
は、ハイブリッド集積回路用基板や、表示素子としての
応用が期待でき、且つ、生産性良く製造することが可能
である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1乃至
図6を用いて説明する。図1、図3、図4においては、
切断面を3つ形成したものを記載しているが、これらは
代表例として記載したものである。以下に示すとおり、
本発明の本質に関わるのは、切断面の深さと、光路上一
つ手前の切断面との距離である。切断面を3つ形成した
ものを記載したのはあくまでも説明の都合上であり、切
断面の個数は本発明の本質には関わらず、切断面の個数
は任意の1以上の個数である。また、図1、図3、図4
では、処理後の光分岐回路の光入射が紙面左側からであ
り、光路は光導波路30の左端面300から始まり右端
面301に向かうものとする。
【0013】光導波路ミラーを複数形成して、1の光入
射に対し各光導波路ミラーから光出力を同程度に分岐さ
せるためには、光導波路ミラーは、光入射面に近い方か
ら遠ざかるにしたがって深くなっていくよう形成しなけ
ればならない。即ち、図4で、3つの光導波路ミラー
(光が入射する左端面300に近い方から51、52、
53)は、左端面300に近い方から右端面301に近
づくにしたがって深くなっていくよう形成しなければな
らない。よって、図3で形成する3つの切断面(左端面
300に近い方から41、42、43)は、左端面30
0に近い41から右端面301に近づくにしたがって4
2、43と深くなっていくよう形成しなければならな
い。全く同様に、光導波路ミラーを任意の2個以上形成
する場合は、切断面を、左端面300に近い方から右端
面301に近づくにしたがって深くなっていくよう形成
しなければならない。
【0014】石英ガラスから成る基板1上に、ディップ
法で積層成膜して、ポリフルオロアルキルメタクリレー
トで構成されたアンダークラッド層2、ポリメチルメタ
クリレートで構成された光導波路層(コア層)3を順次
形成した。この際、膜厚をそれぞれ20μm及び 100μm
とした。続いてフォトリソグラフィを行うため、アルミ
ニウムのエッチングマスク90を、必要部分スリット9
1、92、93を持たせてコア層3の上にパターン形成
した(図1)。
【0015】スリット91、92、93の間隙は、形成
すべき略垂直な切断面の深さに関わる。左端面300に
近い方から3つの切断面41、42、43と順に深くし
ていくためには、スリット91、92、93の各間隙を
順に広くしていく必要がある。本実施例の方法によれば
エッチングによりコア層3をリッジ型の光導波路30と
する際に略垂直な切断面も同時に形成することができ
る。スリットの間隙により切断面の深さを制御すると同
時に光導波路を分離する技術は、特開平7−31874
0号公報に記載された公知の技術である。
【0016】エッチングは、平行平板型の反応性イオン
エッチング(RIE)を用いた。RIE等の反応性プラ
ズマを用いたエッチング法は、電界により加速された荷
電粒子による物理的なエッチングと反応性イオンによる
化学的エッチングが併用されている。一般的に基板上に
形成される光導波路30の断面は矩形状が要求され、そ
のために、エッチングの異方性(基板面に対して垂直方
向と水平方向のエッチング速度比)が大きくなるエッチ
ング条件が選定される。エッチングは、厚さHのコア層
3の不必要な部分のエッチングが完了して光導波路30
が分離され、基板面11が露出した状態となる時を停止
時とした。このエッチングにおいて、上記構成のコア層
3及びアンダークラッド層2のエッチング特性はほぼ同
じであった。
【0017】切断面43の形成について、図2で説明す
る。異方性エッチングにより、アルミニウムのエッチン
グマスク90の幅Wよりも2ΔSだけ幅の狭い光導波路
30が形成される。この時、間隙ΔLのスリット93に
ついて、スリットの直下に深さΔH、水平方向にΔSの
エッチングが施される。切断面43の深さΔHはスリッ
ト93の間隙ΔLとエッチング条件により調節でき、水
平方向のエッチング量ΔSはエッチング条件により調節
できる。本実施例では略垂直な切断面とするため、切断
面43の初期傾斜角が2〜3度となるよう、エッチング
条件を設定した。エッチング終了の後、エッチングマス
ク90は、リフトオフにより取り除かれた。
【0018】こうして、一回のエッチングにより、光導
波路30の形成と同時に、任意の深さの略垂直な複数の
切断面を持つ未処理の光分岐回路100が得られた。即
ち、図3の如く、矩形状の断面を持つ光導波路30と、
光導波路30の基板1とは反対側の表面31より基板面
11に向かって光路に略垂直に形成された切断面41、
42、43とを持つ、未処理の光分岐回路100が得ら
れた。以下、図3、図4での説明の都合上、着目する切
断面を切断面43とする。切断面43の深さはΔH、切
断面43から見て光路手前側(図4で切断面43のすぐ
左側)の切断面を切断面42とし、2つの切断面42と
43との距離をLとおく。
【0019】まず、切断面間の距離Lの、熱処理により
形成されるミラーの傾斜角度への影響を調べた。即ち、
2つの切断面42と43との距離Lが 5mmと 2.5mmのそ
れぞれの場合について、20μm から95μm までの間のさ
まざまの深さΔHの切断面43を持つ未処理光分岐回路
100を作製し、 147℃で10時間熱処理した。光導波路
30を形成するポリメチルメタクリレートのガラス転移
点は約 110℃であるので、この 147℃での熱処理により
コア層3は光路方向(紙面左右方向)に熱収縮し、切断
面43は傾斜した。こうして切断面43が傾斜すること
により、光導波路ミラー53が形成された。光導波路ミ
ラー53の傾斜角度(光路に垂直な平面と光導波路ミラ
ー53の成す角度、図4でθ)と、切断面の深さΔHと
光導波路径H(100μm)の比ΔH/Hとの関係を図5に示
す。これより、深さ比ΔH/Hが等しい場合でも、2つ
の切断面42と43との距離Lが長いほど、形成される
光導波路ミラー53の傾斜角度θが大きくなっているこ
とがわかる。
【0020】以上から、切断面間の距離Lを調整するこ
とにより、熱処理により形成される光導波路ミラー53
の傾斜角度θを広い範囲で制御できることがわかった。
即ち、光導波路ミラー53をある角度θになるようにす
るためには、深さΔHに対して光路手前側の切断面との
距離を調整すれば良い。光路上第1番目のミラーについ
ては光入射面である光導波路端面との距離を調整する。
図4の光分岐回路101の3つの光導波路ミラー51、
52、53の傾斜角度をある角度θにそろえるために
は、未処理光分岐回路100の設計、作製を次のとおり
とする。即ち、切断面41の深さ、切断面42の深さ、
切断面43の深さが順次大きくなるのに対応して、端面
300と切断面41との距離、切断面41と切断面42
との距離、切断面42と切断面43との距離を順次大き
く設計すれば良い。こうして、深さ比ΔH/Hを順次大
きくした光分岐回路を作製する際、切断面間の距離を順
次大きくすることにより、熱処理により形成される光導
波路ミラーの角度を制御することができる。
【0021】次に、熱処理温度の、熱処理により形成さ
れるミラーの傾斜角度への影響を調べた。まず、2つの
切断面42と43との距離Lを 2.5mmとし、切断面43
の深さΔHが20μm から95μm までの間でさまざまの未
処理光導波路100を作製した。これらを、 147℃、 1
52℃、 157℃で10時間熱処理して光導波路ミラー53を
形成し、熱処理済光分岐回路101を作製した。この際
の、切断面43が傾斜することにより形成される光導波
路ミラー53の傾斜角度(光路に垂直な平面と光導波路
ミラー53の成す角度、図4でθ)を測定した。結果を
図6に示す。これより、切断面の深さΔHと光導波路径
H(100μm)の比ΔH/Hが等しい場合でも、熱処理温度
が高いほど光導波路ミラー53の傾斜角度θが大きくな
っていることがわかる。
【0022】以上から、熱処理温度を調整することによ
り、熱処理により形成される光導波路ミラー53の傾斜
角度θを広い範囲で制御できることがわかった。即ち、
ある深さΔHを持つ光導波路ミラー53を、距離Lを変
化させずに角度θに設定するためには、熱処理温度を調
整すれば良い。
【0023】切断面間の距離Lと熱処理温度を同時に調
整すれば、複数個の光導波路ミラーの傾斜角度を更に容
易に制御することができることが容易に理解できる。即
ち、傾斜角度をある角度に設定するとき、熱処理温度を
高くすることにより、光路手前側の切断面との距離を短
く設定することができる。図4の光分岐回路101の3
つの光導波路ミラー51、52、53の傾斜角度をある
角度θにそろえるためには、未処理光分岐回路100の
設計、作製を次のとおりとする。即ち、切断面41の深
さ、切断面42の深さ、切断面43の深さに対応して、
熱処理後の傾斜角度がθに達するよう熱処理温度を決め
る。最も深い切断面43を熱処理後に傾斜角度をθとす
るためには熱処理温度を十分高くする必要がある。この
温度での、切断面の深さ、切断面間の距離、及び熱処理
により形成される光導波路ミラーの傾斜角度との関係か
ら、端面300と切断面41との距離、切断面41と切
断面42との距離、切断面42と切断面43との距離を
設計すれば良い。こうして、深さ比ΔH/Hを順次大き
くした光分岐回路を作製する際、切断面間の距離と熱処
理温度を同時に調整することにより、熱処理により形成
される光導波路ミラーの角度を更に容易に制御すること
ができる。
【0024】以上の通り、本発明によれば、略垂直な切
断面を複数個形成した光導波路を、熱処理することによ
り切断面を傾斜させて、複数個の光導波路ミラーが一体
的に形成された光分岐回路を容易に、生産性良く製造す
ることができる。上記実施例のように、特開平7−31
8740号公報記載の技術によれば、ガラス基板上に光
導波路となるべきコア層を積層した後、エッチングにて
光導波路を形成する際、同時に略垂直な切断面を一括形
成することができる。即ち、エッチング条件と、エッチ
ングマスクの各スリットの間隙を調整することで、略垂
直な複数個の切断面の深さを容易に制御できるので、多
数の未処理光分岐回路を一括して製造できる。これを本
発明と組み合わせることは光分岐回路の製造方法に有効
である。即ち、本発明による熱処理も、多数の光分岐回
路を一括して処理できるので、光分岐回路の製造の生産
性を著しく向上させることができる。
【0025】また、この際、1の光分岐回路のミラーの
個数と、各ミラーからの光出力の割合と光出力の方向を
容易に制御できることを意味する。また、本発明によ
り、入射面となる端面若しくは各切断面間の距離、又は
熱処理温度を調整することで、各ミラー面の傾斜角度を
それぞれ容易に制御できる。以上から、本発明によっ
て、各ミラー面の傾斜角度と光出力の割合を任意に設計
でき、簡易で大量生産に適した光分岐回路の製造が可能
となった。
【0026】上記実施例では、基板1として石英ガラ
ス、アンダークラッド層2としてポリフルオロアルキル
メタクリレートを用いたが、透光性のある他の無機ある
いは有機材料を使用しても良い。基板1の屈折率がコア
層3の屈折率より小さい場合は、アンダークラッド層2
を省略しても良い。また、光導波路30を形成するコア
層3の材料としてポリメチルメタクリレートを用いた
が、ガラス転移点を持つ他の無機あるいは有機材料とし
ても良い。尚、光導波路層30の保護のため、エッチン
グマスク90の下層にエッチング可能な保護層を積層し
ても良い。更に、本発明より光導波路ミラーを形成した
後、シリコン樹脂、フッ素系樹脂あるいはその他の材料
によりオーバークラッド層、上部基板を形成して保護層
とし、光分岐回路を作製しても良い。また、光導波路ミ
ラー面にアルミニウム等を蒸着して導波光の透過を防ぐ
などしてもよい。
【0027】上記実施例では、注目する切断面と光路手
前側の切断面との間隔に注目したが、光路上第1の切断
面の場合は、光の入射面である、光路の端面(図4で3
00)からの距離が、熱処理により形成される光導波路
ミラーの傾斜角度に寄与することは明らかである。
【0028】熱処理前の切断面の形成を、機械的方法に
より作成することも可能である。切断面の形成を機械的
方法により作成した場合も、本発明により、複数のミラ
ーを傾斜角度を制御しながら熱処理し、複数の光導波路
ミラーを形成した光分岐回路を多数、一括して製造する
ことが可能である。
【0029】また、上記実施例では、切断面を略垂直に
形成した後、光導波路材料のガラス転移点以上の温度で
処理して熱収縮させ、切断面を傾斜させたが、本発明の
本質は、ガラス転移点以上の温度で光導波路層を熱収縮
させて、切断面の傾斜角を増大させることである。更に
本発明の本質は、切断面間の距離或いは熱処理温度にて
ミラーの傾斜角の増大量を調整可能とするところにあ
る。したがって、熱処理前の切断面を略垂直に形成する
ことに必ずしもこだわる必要はない。例えば、上記実施
例で示した特開平7−318740号公報記載の技術で
あらかじめ十分傾斜した切断面を持った未処理光分岐回
路を作製し、本発明により傾斜角を増大させて所望の傾
斜角を持った分岐を形成した光分岐回路とするなどの変
形例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる、フォトリソグラフィのエッチ
ングマスク90とスリット91、92、93を示した、
エッチング前の積層板の斜視図。
【図2】(a)は、本発明にかかる、エッチングにより
形成された光導波路30のスリット93付近及び切断面
43を示した平面図、(b)はその正面図、(c)はそ
の断面図。
【図3】本発明にかかる、熱処理前の未処理光分岐回路
100を示した斜視図。
【図4】本発明にかかる、熱処理後の処理済光分岐回路
101を示した斜視図。
【図5】本発明にかかる、切断面間の距離Lを変えたと
きの、切断面の深さΔHと光導波路径Hの比ΔH/H
と、光導波路ミラー53の傾斜角θとの関係図。
【図6】本発明にかかる、熱処理温度を変えたときの、
切断面の深さΔHと光導波路径Hの比ΔH/Hと、光導
波路ミラー53の傾斜角θとの関係図。
【図7】従来例にかかる、ホログラムを形成した光分岐
回路201を示した断面図。
【図8】従来例にかかる、全面ミラーを形成した光分岐
回路202を示した断面図。
【符号の説明】 100 未処理光分岐回路 101 処理済光分岐回路 1 基板 11 基板表面 2 アンダークラッド層 3 光導波路を形成するコア層 30 光導波路 300、301 光導波路の、左及び右端面 31 光導波路の、基板とは反対側の表面 41、42、43 切断面 51、52、53 光導波路ミラー 61、62、63 ホログラム 71、72、73 全面ミラー 90 エッチングマスク 91、92、93 スリット 201 従来の、ホログラムを形成した光分
岐回路 202 従来の、全面ミラーを形成した光分
岐回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 博 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 2H047 KA05 LA09 LA14 PA21 PA24 PA28 QA05 TA42 TA43

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された光導波路に、該光導
    波路内を通る導波光の一部若しくは全部を反射する1個
    以上のミラーが一体的に形成された光分岐回路であっ
    て、 前記光導波路が高分子材料から形成されており、 前記ミラー面の傾斜が前記高分子材料の熱収縮により形
    成されたことを特徴とする光分岐回路。
  2. 【請求項2】 基板上に形成された光導波路に、該光導
    波路内を通る導波光の一部若しくは全部を反射する1個
    以上のミラーが一体的に形成された光分岐回路であっ
    て、 前記光導波路が高分子材料から形成されており、 前記光導波路の入射面及び各ミラー面の互いに隣り合う
    間隔が、前記高分子材料の熱収縮の特性に応じて、入射
    面から順に長くなっていることを特徴とする光分岐回
    路。
  3. 【請求項3】 基板上に形成された光導波路に、該光導
    波路内を通る導波光の一部若しくは全部を反射する1個
    以上のミラーが一体的に形成された光分岐回路の製造方
    法であって、(a)光路に略垂直な1個以上の切断面を
    持つ、高分子材料から成る光導波路を作製する工程と、
    (b)ガラス転移点以上の温度で前記高分子材料を熱収
    縮させて前記切断面を傾斜させることによりミラーを形
    成する工程と、から成り、 前記ミラー面の傾斜角度を、前記光導波路の端面と前記
    切断面との間隔若しくは前記切断面とそれに隣接する切
    断面との間隔、又は前記高分子材料を熱収縮させる温度
    により制御することを特徴とする光分岐回路の製造方
    法。
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