JP3389838B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、光分岐機能を有した光
導波路の製造方法に関する。詳しくは、光導波路に形成
された反射溝により、伝搬光の一部を外部に分岐する光
導波路に関し、反射溝の深さを正確に制御できる製造方
法に関する。本発明は、光伝送路の短い区間で多数の光
分岐を行う場合に、各反射溝の各深さを精密に制御する
場合に、特に、有効である。 【0002】 【従来の技術】一度のドライエッチングにより深さの異
なる溝を同時形成する方法として、Daeja Chin, Sang
H. Dhong, and Glenn J Long, "Structual effects on
a submicron trench process, "J. Electrochem. Soc.,
p.1706 (1985)と、特開平7-318740号公報が知られてい
る。 【0003】第1の方法は、エッチングマスクのスリッ
ト幅を1μm 未満程度に非常に狭くした場合に生じるダ
イヴァージング・フィールド効果を利用した方法であ
る。この方法でのエッチング速度は、スリット幅が広い
場合に比べて4割程度遅くなり、同一エッチング時間で
は、溝の深さはスリット幅が広い場合に比べて4割程度
浅くなる。 【0004】又、第2の方法は、ドライエッチングとウ
エットエッチングとを同時に行うことで、溝の幅と深さ
とを任意の値に制御可能として、所望の三角形状を断面
とする溝を得る方法である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
両方法は、エッチング深さの制御可能範囲が狭いという
問題がある。即ち、深さの異なる溝を多数、一度に形成
するには、スリットの幅を変化させて行うことになる。
例えば、多数の溝の深さを0〜光導波路の厚さの範囲で
多段階的に連続して分布させる場合には、スリット幅も
それに応じて0から20μm程度の範囲で多段階的に連
続して変化させる必要がある。しかしながら、スリット
幅を精密に狭くすることには限界があるため、このよう
な深さの異なる多数の溝を一度に形成することは困難で
ある。特に、上記の反射溝の形成において、スリットの
幅は0.2μm以下とする必要が生じるが、フォトリソ
グラフでスリット幅を0.2μm以下とすることは困難
である。 【0006】本発明は上記の課題を解決するために成さ
れたものであり、第1の目的は反射溝の深さの制御を容
易にすることであり、第2の目的は光を多数分岐するた
めの深さの異なる多数の反射溝を一度に精度良く形成す
ることである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に形成
された所定幅と所定厚さを有する光導波路において、ス
リットを有するマスクを用いて光導波路をエッチングす
ることで、伝送光の少なくとも一部を外部に反射させる
反射溝を、所定幅方向に長さを有し、伝送光の伝搬方向
に幅を有し、所定厚さ方向に深さを有する形状に形成す
る製造方法において、光導波路の材料に、熱膨張係数が
基板の熱膨張係数よりも大きい材料を用い、エッチング
の工程において、光導波路の温度を所定温度に上昇させ
ることで、光導波路を基板に対して熱膨張させて、スリ
ットの幅を制御することで、溝の深さを所望の値に制御
することを特徴とする。 【0008】上記のスリット幅の制御は、エッチング工
程において、温度によってスリット幅を0以外の当初の
幅よりも狭い値に制御する場合の他、温度によってスリ
ット幅を完全に0とする制御も含む。即ち、エッチング
工程において、光導波路の温度を所定温度に上昇させ
て、スリット幅を完全に0とし、その後のエッチングに
おいては、そのスリット下の反射溝のエッチングを停止
させるようにしても良い。又、エッチング工程は連続的
に行っても良いし、間に冷却工程を介在させたエッチン
グを繰り返しても良い。光導波路の温度の制御は、外部
から基板を冷却、又は、加熱して行っても良い。又、エ
ッチングにより光導波路の温度が上昇するので、1周期
のエッチング時間や冷却時間を変化させることで、光導
波路の温度を制御しても良い。即ち、エッチング時間の
デューティ比制御により光導波路の温度を制御すること
が可能である。 【0009】要するに、光導波路の温度の制御方法によ
り、スリット幅を時間に対してアナログ的に変化させた
り、時間に対して開状態と閉状態とを繰り返すようにデ
ィジタル的に変化させることが可能である。いずれの場
合においても、本発明は、実際にエッチングしている期
間におけるスリット下の反射溝のエッチング速度の平均
値を制御することで、反射溝の深さを制御することを要
旨とする。そして、このエッチング速度の平均値は、ス
リット幅の時間的変化やスリットが完全に閉じている時
間割合により決定される。 【0010】スリットの形状としては、概略長方形で光
導波路の幅方向に形成されている。又、スリットは光導
波路の全幅に渡り形成されている方が、スリットが一部
に形成されている場合よりもスリット幅の温度に対する
変化率は大きい。よって、スリットは光導波路の全幅に
形成されるのが望ましい。 【0011】本発明は、光導波路を形成するためのエッ
チングと反射溝を形成するためのエッチングとを、必ず
しも、同一工程で行う必要はないが、所定のエッチング
時間に対して反射溝の深さを所望値にすることができる
ので、同一工程に行うことが望ましい。又、本発明は、
反射溝の深さを正確に制御する全ての光導波路の製造に
応用でき、反射溝の深さは1種類でも良い。しかし、ス
リット幅の初期値により、反射溝の深さを所望の値に制
御できるので、深さが段階的に連続して変化する多数の
反射溝を有した多分岐光導波路の製造に特に有効であ
る。 【0012】又、反射溝の深さは、スリット幅の初期
値、隣接するスリット間の距離、基板と光導波路との熱
膨張係数差、エッチング時の光導波路の温度によって決
定される。即ち、上述したように、反射溝の深さは、反
射溝における実効的なエッチング速度の平均値で決定さ
れるが、そのエッチング速度の平均値は、スリット幅の
初期値、隣接するスリット間の距離、基板と光導波路と
の熱膨張係数差、エッチング時の光導波路の温度によっ
て決定することが可能である。 【0013】又、エッチングにより反射溝の形成後に、
光導波路が体積収縮するような温度で加熱処理して、反
射溝の反射面の方位を所定値に制御する工程を設けるの
が望ましい。この工程により、伝搬光の反射方向を正確
に所期の方向とすることができる。さらに、本光導波路
は、光ファイバーと接続される場合もあるが、その場合
には、光導波路又は光ファイバーの少なくとも一端をガ
ラス転移点以上に加熱した後、両者を加圧接触すること
が望ましい。光導波路の光入出力端面は上記の熱処理に
より傾斜し、光ファイバーとの密着接触が困難となる
が、このような処理により光導波路の光入出力端面と光
ファイバーとを密着させることができ、伝送損失を低下
させることができる。 【0014】上記の光導波路には、熱膨張係数が基板の
熱膨張係数よりも大きいものであれば、全ての高分子有
機材料を用いることができる。 【0015】 【発明の作用及び効果】本発明では、光導波路の材料
に、熱膨張係数が基板の熱膨張係数よりも大きい材料を
用いているので、エッチングの工程において、光導波路
の温度を所定温度に上昇させることで、光導波路を基板
に対して熱膨張させて、スリットの幅を制御することが
できる。このスリットの幅の制御により、スリット下に
形成される反射溝のエッチング速度の平均値を制御する
ことが可能となり、反射溝の深さを所望の値に正確に制
御することが可能となる。このエッチング速度の平均値
は、スリット幅の時間的変化やエッチング期間における
スリットが完全に閉じている時間割合により決定され
る。 【0016】スリット幅は、スリット幅の初期値、隣接
するスリット間の距離、基板と光導波路との熱膨張係数
差、エッチング時の光導波路の温度によって決定するこ
とができるので、反射溝の深さはこれらの値を所定値に
設定することで所定値を得ることができる。よって、溝
の深さの異なる複数の反射溝を一度のエッチング工程で
得ることができる。又、光導波路の形成と反射溝の形成
を同一のエッチング工程で行うこともでき、製造が容易
となる。 【0017】反射溝の深さが正確に制御可能となること
から、反射溝の反射面の面積を正確に設定することが可
能となり、分岐光の光量を正確に所定値に設定すること
ができる。よって、複雑で多数の光分岐機能を有した光
導波路の製造が容易となる。複雑な光回路の設計及び製
造が容易となる。 【0018】又、反射溝を形成した後、光導波路が体積
収縮する温度まで加熱処理することで、反射溝を形成す
る反射面の面方位を所定方位に設定することが可能とな
り、伝搬光の分岐方向を正確に設定することができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。なお本発明は下記実施例に限定され
るものではない。図1は、光分岐素子1の構造を示して
いる。光分岐素子1は光導波路であるコア層10を有
し、そのコア層10は周囲をクラッド層11で囲まれて
いる。コア層10の光の伝搬方向であるx軸に垂直な断
面は矩形形状をしている。このコア層10の一端に光フ
ァイバ12の一端が接続されている。又、コア層10に
は、コア層10の幅方向(y軸)に長さを有し、コア層
10の厚さ方向(z軸)に深さを有した反射溝20a、
20b、20cが形成されている。それらの反射溝20
a、20b、20cの深さは、x軸方向に沿ってそれぞ
れ深さが深くなっている。又、これらの反射溝20a、
20b、20cにはクラッド層11と同一の物質が充填
されている。 【0020】これらの反射溝20a、20b、20cに
より、光ファイバ12からコア層10に入射した伝搬光
L0は、反射溝20a、20b、20cの反射面21
a、21b、21cにより、それぞれ、分岐光La、L
b、Lcとしてコア層10の外部に出力される。分岐比
は、マルチモード伝走路の場合、コア層10のy軸断面
の面積と反射面21a、21b、21cのy軸断面への
正射影の面積との比に等しい。本実施例に係る製造方法
はこのような光分岐機能を有した光導波路を製造する方
法である。本実施例では、反射溝20a、20b、20
cの形成と、コア層10の成形とを同一の反応性イオン
エッチング(RIE)工程で行っている。 【0021】次に、光分岐素子の製造方法について説明
する。図2(a)に示すように、石英基板30上に、順
次、ポリフルオロアルキルメタクリレートから成る厚さ
20μmのアンダークラッド層111、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)から成る厚さ100 μmのコア層1
0が、ディップコーティング法により積層成膜された。
ディップコーティング法においては、ポリフルオロアル
キルメタクリレートをメチルエチルケトン溶媒に14wt%
溶解した溶液と、PMMAをモノクロロベンゼン溶媒と
メチルイソブチルケトン溶媒の等重量比の混合溶媒中に
24wt%溶解した溶液が、それぞれ、用いられた。 【0022】次に、コア層10の上に、厚さ1μmにAl
が蒸着され、さらに、レジストが塗布されて、通常のフ
ォトリソグラフィにより、レジストは導波路形状に成形
された。この時、Al膜にスリットが形成される位置のレ
ジストには幅がそれぞれ異なる複数のスリットが形成さ
れている。次に、成形されたレジストをマスクとし、混
合比を燐酸:酢酸:硝酸:水=16:2:1:1とするエッチン
グ液を用いて、Al膜がエッチングされた。これにより、
図2(b)に示すように、Alから成り、それぞれ、幅
(x軸方向)の異なる複数のスリット32a、32b、
32cの形成されたエッチングマスク31が得られた。 【0023】次に、エッチングマスク31を用いて、コ
ア層10とアンダークラッド層111がエッチングされ
た。エッチングにはRIE法が用いられた。RIE法に
は、直径40cmのカソード電極を有する平行平板電極型の
反応室が用いられ、エッチングガスとしてガス圧5Pa、
流量50SCCMの酸素が用いられた。又、印加電力はRF周
波数13.56MHz、200Wである。このエッチング工程によ
り、図2(c)に示すような形状に成形されたコア層1
0とアンダークラッド層111が得られた。又、コア層
10には、それぞれ、深さの異なる複数の反射溝20
a、20b、20cが形成された。 【0024】本実施例は、上記のエッチング工程におい
て、コア層10の温度を所定温度に上昇させて温度制御
することで、各反射溝20a、20b、20cの深さ
(z軸方向)を制御することを特徴とする。 【0025】次に、温度制御により各反射溝20a、2
0b、20cの深さを制御できる原理について説明す
る。図2(b)、(c)に示すように、25℃において、
コア層10の端面10aからスリット32aまで間隔、
スリット32a、32b、32c間のそれぞれの間隔、
スリット32cからコア層10の端面10bまでの間隔
(以下、これらの間隔を自由端面間隔という)を5mm と
し、1つのスリット32aの幅(x軸方向)を10μmと
し、コア層10の幅(y軸方向)を100 μmとする。石
英基板30の温度を上昇させた場合、x軸方向のスリッ
ト間隔5mm は、コア層10の幅100 μmに比べて十分に
長いため、コア層10の熱膨張によるx軸方向の伸び量
は、y軸方向の伸び量よりも十分に大きい。従って、y
軸方向の伸びは無視でき、x軸方向の伸びだけ考えれば
良い。 【0026】ここで、コア層10のPMMAの熱膨張係
数は約7×10-5cm・cm-1・℃-1であるので、温度上昇量
が30℃の時、コア層10はx軸方向に長さ5mm 当たりで
10.5μm 長くなる。これに対し、基板30の石英ガラス
の熱膨張係数は約7×10-7cm・cm-1・℃-1であるので、
膨張量は無視できる。従って、図3に示すように、コア
層10は温度上昇によりコア層10の熱膨張により圧縮
応力が生じ、反射溝20a、20b、20cの形成され
る表面部分では、各反射溝の幅(x軸方向)が狭くなる
ことで圧縮応力が緩和される。RIEにより基板温度が
25℃から55℃へと30℃上昇すると、コア層10にはx軸
方向に長さ5mm 当たりで10.5μm の線膨張量に相当する
圧縮応力が発生するので、自由端面間隔5mm 、幅10μm
のスリット32aは、完全に閉じてしまう。スリット3
2aが完全に閉じてしまえば、その後は反射溝20aは
エッチングされないので、その深さは大きくならない。
結局、エッチング工程において、反射溝20aはスリッ
ト32aが開口している間だけ有効にエッチングされる
ことになる。 【0027】RIE法の場合には、反射溝20aのz軸
方向のエッチング速度は、スリット32aの開度がある
値よりも小さな領域では、開度が小さくなる程エッチン
グ速度は小さくなる。よって、このスリット32aの開
度によって変化するエッチング速度のエンチング時間に
関する平均値を制御することで、反射溝20aの深さを
制御することが可能となる。スリット32aの開度は、
スリットの初期幅、自由端面間隔、基板30とコア層1
0との間の熱膨張率の差、エッチング工程におけるコア
層10の温度の過渡変化及び安定温度に依存する。よっ
て、光分岐素子1の設計規格によって決定される自由端
面間隔、基板30とコア層10の熱膨張率を考慮して、
スリットの初期幅を適正に設定し、エッチング工程にお
けるコア層10の温度を制御することで、反射溝20a
の深さを制御することが可能となる。尚、各反射溝20
a、20b、20cは同一エッチング工程で製造され、
各部分の温度を個別に制御することはできないので、ス
リット32a、32b、32cの各初期幅を適正に設定
することで各反射溝の各深さの制御が可能となる。 【0028】本発明の1つの制御方法は、エッチング工
程において、反射溝20a、20b、20cがそれぞれ
の所定深さまでエッチングされた時に、各スリット32
a、32b、32cが完全に閉じてしまうように、各ス
リットの初期幅を設定し、基板30の温度を制御するこ
とである。尚、各スリット32a、32b、32cが完
全に閉じるためには、各スリットは、コア層10の全幅
(y軸)に渡り形成され、端面10a、10bに平行に
形成されている必要がある。 【0029】次に、反射溝のエッチング速度の時間平均
値を制御するのに、連続してエッチングする他、所定時
間のエッチング期間と所定時間の冷却期間とを1周期と
してこれを繰り返してエッチングするようにしても良
い。次に、このような繰り返しエッチングにより反射溝
20を形成し、その反射溝20の深さとエッチング時間
との関係を測定した。図4に示すように、自由端面間隔
が5mm 、25℃における初期幅ΔLを17μmと30μm とす
る2つのスリットを形成した試料を準備した。反射溝2
0におけるエッチングの深さΔHは、比ΔH/Hで評価
した。尚、Hは、図4に示すように、基板30の面30
aが露出するまでのコア層10とアンダークラッド層1
11の総合した膜厚であり、H=120μである。この膜厚
Hだけエッチングが完了された時をエッチング終了時と
した。エッチングは、連続エッチング時間E=5〜20分
と、電力の印加を停止した自然冷却時間C=12 分とを1
周期とし、この周期を繰り返すことで行われた。基板3
0は、カソード電極と接触しており、このカソード電極
は温度25℃の循環水で一定温度に保持されている。基板
面30aが露出するまでの、120 μm の厚さのコア層1
0とアンダークラッド層111をエッチングするには、
エッチングの積算時間(時間Eの累積値)で約450 分を
要した。従って、エッチングの繰り返し回数は、450/E
である。このようなエッチングにおいて、連続エッチン
グ時間Eと比ΔH/Hとの関係を測定した。その結果を
図5に示す。 【0030】図5から理解されることは、スリット幅Δ
Lが同一であれば、連続エッチング時間Eが増加するに
伴い、反射溝20の深さΔHが小さくなること、連続エ
ッチング時間Eが同一であれば、スリット幅ΔLが大き
い程、反射溝20の深さΔHが大きくなることである。
この理由は次のように考えられる。RIE法は被エッチ
ング材料であるコア層10がプラズマ近くに配置される
ため、連続エッチング時間Eと冷却時間Cとの比が変化
すると、コア層10の実際にエッチングされている期間
(連続エッチング時間Eだけを集合させた期間)におけ
る平均温度が変化する。現実に、20分間の連続エッチン
グ時間Eにおいて、コア層10の表面温度は、25℃から
60℃程度まで上昇するものと推測される。又、スリット
幅ΔLは上述したように、コア層10の温度に依存して
変化し、スリット幅ΔLが狭くなれば、反射溝20のエ
ッチング速度は低下する。従って、エッチング速度の実
際のエッチング期間における時間平均値はコア層10の
実際のエッチング時間における平均温度が高くなる程、
低下する。このような理由から図5に示す特性が得られ
る。尚、スリット幅が所定値よりも狭い領域では、スリ
ット幅が狭くなる程、エッチング速度が低下するのは、
ダイヴァージング・フィールド効果のためである。 【0031】このように、図5の測定結果から、スリッ
トの初期幅とエッチング期間における温度を変化させる
ことで、反射溝20の深さを任意の値にすることが可能
となることが理解される。図5から分かるように、スリ
ットの初期幅ΔLが17μmの時、連続エッチング時間を
5 〜20分に増加することで、比ΔH/Hを0.52から0.22
まで、ΔHを62.4μmから26.4μmまで変化させること
ができ、スリットの初期幅ΔLが30μmの時は、比ΔH
/Hを0.82から0.45まで、ΔHを98.4μmから54μmま
で変化させることができることが分かる。又、スリット
の初期幅を30μmから17μmと約0.57倍に狭くすること
で、比ΔH/Hを連続エッチング時間Eが5分で0.82か
ら0.52へと約0.63倍に小さく、連続エッチング時間Eが
20分で0.45から0.22へと約0.49倍に小さくすることがで
きることが分かる。 【0032】尚、連続エッチング時間Eが20分の間に、
コア層10の温度は約35℃だけ上昇し、初期幅17μm、
30μmのスリットは、それぞれ、スリット幅5 μm、18
μmになり、完全に閉じていない。しかし、コア層10
の温度を49℃、86℃だけ上昇させれば、それぞれ、初期
幅17μm、30μmのスリットを完全に閉じることができ
る。スリットを開状態と閉状態とで2値的に変化させて
も、開状態のデューティ比と開状態のスリット幅により
反射溝20のエッチング速度を変化させることができ
る。コア層10の温度の制御方法は、上記のように、連
続エッチング時間Eと冷却時間Cとの比を変化させる
他、外部からの熱源により制御するようにしても良い。
又、エッチング期間と冷却期間とを1周期として繰り返
すことでエッチングしているが、スリットの初期幅ΔL
とコア層10の温度変化で反射溝20の深さが決定され
るので、1回の連続エッチングでこれを行うことも可能
である。又、1回の連続エッチングにおいて、コア層1
0の温度を時間経過に対して漸増させて、各スリットが
閉状態となる各時期を制御することで、反射溝20の各
深さを制御するようにしても良い。 【0033】上述の方法で製造された反射溝20は、表
面の凹凸が大きく、図6に示すように、反射面21の傾
きθ/2も小さい。よって、表面を平滑にし、反射面2
1の傾きを所定角度に大きくすることが必要となる。そ
こで、コア層10の材料のガラス転移点(PMMAの場
合、約105 度) 以上の温度で熱処理することにより、コ
ア層10の材料の表面張力と体積収縮により、反射面2
1の平滑化と傾斜角の調整を行うことができる。図6に
示すように、エッチングマスクを除去したコア層10は
熱処理温度によって深さを不変にして反射面21の角度
θ/2が変化する。 【0034】熱処理による反射面21の角度θ/2を測定
するために次の実験を行った。自由端面間隔3mm、スリ
ット幅ΔLを10〜25μm の範囲で変化させた多数のスリ
ットをコア層10の上に形成して、エッチングした。連
続エッチング時間Eは10分、自然冷却時間Cは11分、そ
の他のエッチング条件は前述した条件と同一である。こ
の時の各反射溝の深さΔHの全エッチング厚さHに対す
る割合ΔH/Hのスリット幅ΔLに対する特性を測定し
た結果を図7に示す。反射溝20の形成後の熱処理は、
窒素雰囲気中、147 ℃で10時間行った。そして、反射面
21の角度θ/2を測定した。その結果を図7に示す。
尚、底角θは処理温度が大きくなるにしたがって大きく
なる。 【0035】一方、コア層10の一端面10aは垂直端
面を有する光ファイバ12と接続するために垂直である
必要があるが、このような熱処理を行うと、図8(a)
に示すように、コア層10の端面10aも傾斜する。端
面10aが傾斜する結果、端面10aと光ファイバ12
の端面12aとの間に空隙が生じ、そこで、出射光の広
がりなどによる接続損失が増加する。 【0036】そこで、図8(b)に示すように、光ファ
イバ12又はコア層10の端部の少なくとも一方を、コ
ア層10及びアンダークラッド層111のうちガラス転
移点が高い方の転移点温度以上に局所的に加熱し、両者
を押圧する。このことにより、コア層10の端面10a
に光ファイバ12の端面12aを両者間に空隙なく密着
させることができる。このようにして接続損失の増加を
防ぐことができる。 【0037】本発明の実施例の光分岐素子1では、アン
ダークラッド層111の材料であるポリフルオロアルキ
ルメタクリレートのガラス転移点がコア層10の材料の
PMMAより高く、そのガラス転移点温度は120 ℃であ
る。よって、130 ℃の熱風を直径1mmのノズルよりコア
層10の端面10aに流量2リットル/分で吹き付けな
がら、光ファイバ12(クラッド径140 μm 、コア径10
0 μm)を押し当てて空隙を取り除いた。接続損失は、空
隙がある場合1.4dB であったのに対し、空隙除去後は1.
0dB となった。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の具体的な一実施例方法により製造され
る光分岐素子1の構造を示した断面図。 【図2】実施例に係る製造方法を示した説明図。 【図3】温度制御によりスリット幅が減少することを示
した説明図。 【図4】反射溝の深さ、スリット幅、全エッチング厚さ
の関係を示すための説明図。 【図5】反射溝の深さの比の連続エッチング時間に対す
る関係を示した測定図。 【図6】反射溝の反射面の傾斜角調整を示した説明図。 【図7】反射溝の深さの比、反射面角度のスリット幅に
対する関係を示した測定図。 【図8】本実施例の光分岐素子と光ファイバとを低損失
で接続する方法を示した説明図。 【符号の説明】 1…光分岐素子 10…コア層 10a、10b…端面 11…クラッド層 111…アンダークラッド層 12…光ファイバ 20、20a、20b、20c…反射溝 21…反射面 30…基板 31…エッチングマスク 32a、32b、32c…スリット
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−318740(JP,A) 特開 平1−231327(JP,A) 特開 平5−264870(JP,A) 各務学 et.al.,1995年春季第 42回応用物理学関係連合講演会予稿集, 1995年 3月28日,第3分冊,p.1089 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/12 - 6/14

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】基板上に形成された所定幅と所定厚さを有
    する光導波路において、スリットを有するマスクを用い
    て前記光導波路をエッチングすることで、伝送光の少な
    くとも一部を外部に反射させる反射溝を、前記所定幅方
    向に長さを有し、前記伝送光の伝搬方向に幅を有し、前
    記所定厚さ方向に深さを有する形状に形成する製造方法
    において、 前記光導波路の材料に、熱膨張係数が基板の熱膨張係数
    よりも大きい材料を用い、前記エッチングの工程におい
    て、前記光導波路の温度を所定温度に上昇させること
    で、前記光導波路を前記基板に対して熱膨張させて、前
    記スリットの前記幅を制御することで、前記溝の深さを
    所望の値に制御することを特徴とする光導波路の製造方
    法。
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各務学 et.al.,1995年春季第42回応用物理学関係連合講演会予稿集,1995年 3月28日,第3分冊,p.1089

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