JP2000087244A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

成膜装置及び成膜方法

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JP2000087244A JP10274354A JP27435498A JP2000087244A JP 2000087244 A JP2000087244 A JP 2000087244A JP 10274354 A JP10274354 A JP 10274354A JP 27435498 A JP27435498 A JP 27435498A JP 2000087244 A JP2000087244 A JP 2000087244A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属含有原料ガスの噴射領域を狭くしてこの
噴射速度を高めることにより、膜中に含まれる反応副生
成物の量を抑制して絶縁耐圧特性等を向上させることが
できる成膜装置を提供する。 【解決手段】 金属含有原料ガスと酸化性ガスとを処理
容器16内の天井部に設けたシャワーヘッド部60へ供
給し、前記両ガスを前記シャワーヘッド部の下面のガス
噴射面66に設けた原料ガス噴射孔68及び酸化性ガス
噴射孔70からそれぞれ前記処理容器内へ導入して、前
記処理容器内の載置台30上に載置された被処理体Wの
表面に金属含有膜を形成する成膜装置において、前記原
料ガス噴射孔の形成領域86を、前記載置台上の被処理
体の上面に対応する面積84Wよりも小さく設定して前
記原料ガス噴射孔からの前記金属含有原料ガスの噴射速
度を高める。これにより、金属含有原料ガスの噴射領域
を狭くしてこの噴射速度を高め、膜中に含まれる反応副
生成物の量を抑制して絶縁耐圧特性等を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば酸化タンタ
ル等の絶縁膜に適する金属酸化膜を成膜する成膜装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体デバイスを製造するに
は、半導体ウエハに成膜処理やパターンエッチング処理
を繰り返し行なって所望のデバイスを製造するが、中で
も成膜技術は半導体デバイスが高密度化及び高集積化す
るに伴ってその仕様が年々厳しくなっており、例えばデ
バイス中のキャパシタの絶縁膜やゲート絶縁膜のように
非常に薄い酸化膜などに対しても更なる薄膜化が要求さ
れ、これと同時に更に高い絶縁性が要求されている。
【0003】これらの絶縁膜としては、シリコン酸化膜
やシリコンナイトライド膜等を用いることができるが、
最近にあっては、より絶縁特性の良好な材料として、金
属酸化膜、例えば酸化タンタル(Ta25 )等が用い
られる傾向にある。この金属酸化膜は、薄くても信頼性
の高い絶縁性を発揮できる。この金属酸化膜を形成する
には、例えば酸化タンタルを形成する場合を例にとって
説明すると、上記公報に開示されているように成膜用の
原料として、タンタルの金属アルコキシド(Ta(OC
255 )を用い、これをヘリウムガス等でバブリン
グしながら供給して半導体ウエハを例えば400℃程度
のプロセス温度に維持し、真空雰囲気下でCVD(Ch
emical Vapor Deposition)に
より酸化タンタル膜(Ta25 )を積層させている。
【0004】図9は上記した酸化タンタル膜を形成する
時の従来の成膜装置を示す概略構成図であり、図10は
図9の成膜装置内のシャワーヘッド部のガス噴射面を示
す平面図である。この成膜装置2は真空引き可能になさ
れた筒体状の処理容器4を有しており、この内部にはそ
の上面に半導体ウエハWを載置する載置台6が設けられ
ると共にその上方には、この載置台6に対向させてシャ
ワーヘッド部8が設けられている。このシャワーヘッド
部8には、金属含有原料ガスとして例えば液状の有機金
属材料である金属アルコキシド、例えばTa(OC2
55 をHeガス等によりバブリングすることにより気
化されたガスを導入すると共にまた、酸化性ガス、例え
ばO2 ガスを導入している。そして、これらの各ガス
は、シャワーヘッド部8の下面のガス噴射面10に設け
た原料ガス噴射孔12A及び酸化性ガス噴射孔12Bか
らそれぞれ個別に処理容器4内に噴射され、この処理空
間Sにて混合される。この混合ガスがウエハ面上で反応
することによりウエハWの表面に金属酸化膜としてTa
25 膜が形成されることになる。
【0005】この時、図10に示すように、シャワーヘ
ッド部8のガス噴射面10には、直径が例えば0.8〜
1.0mm程度に大きくなされた原料ガス噴射孔10A
と直径が例えば0.2〜0.3mm程度に小さくなされ
た酸化性ガス噴射孔10Bが略均等に略全面に渡って形
成されている。両噴射孔10A、10Bの形成領域は、
供給ガス量の処理空間Sにおける均一性を確保するため
に一点鎖線で示されるウエハ面積WSの大きさと同じ
か、これよりも少し大きくなるように設定されている。
図10に示す図示例では、両噴射孔10A、10Bの形
成領域は、ウエハ面積WSよりも少し大きくなされた場
合を示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体デバ
イスに用いられる絶縁膜としては、薄くてもより耐圧特
性に優れたものが要求されるが、上記したようにCVD
により形成されたTa25 膜中には、有機物であるC
3 CHO等の反応副生成物が非常に僅かではあるが混
入することは避けられず、このため、混入した反応副生
成物の影響により絶縁耐圧特性等が劣化してしまうとい
う問題があった。本発明は、以上のような問題点に着目
し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本
発明の目的は、金属含有原料ガスの噴射領域を狭くして
この噴射速度を高めることにより、膜中に含まれる反応
副生成物の量を抑制して絶縁耐圧特性等を向上させるこ
とができる成膜装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に規定する発明
は、金属含有原料ガスと酸化性ガスとを処理容器内の天
井部に設けたシャワーヘッド部へ供給し、前記両ガスを
前記シャワーヘッド部の下面のガス噴射面に設けた原料
ガス噴射孔及び酸化性ガス噴射孔からそれぞれ前記処理
容器内へ導入して、前記処理容器内の載置台上に載置さ
れた被処理体の表面に金属含有膜を形成する成膜装置に
おいて、前記原料ガス噴射孔の形成領域を、前記載置台
上の被処理体の上面に対応する面積よりも小さく設定し
て前記原料ガス噴射孔からの前記金属含有原料ガスの噴
射速度を高めるようにしたものである。
【0008】これにより、被処理体の表面の直上におけ
る反応副生成物の濃度が低下し、且つこの部分における
金属含有原料ガスの濃度が高くなって、膜中に取り込ま
れる反応副生成物の量を大幅に抑制することが可能とな
る。この場合、前記シャワーヘッド部内では、前記金属
含有原料ガスと前記酸化性ガスは区画分離された状態で
流れるようになされている。
【0009】また、前記原料ガス噴射孔の形成領域の直
径は、前記被処理体の上面の直径の5/8〜7/8の範
囲内に設定されてる。
【0010】上記両直径の比率が5/8よりも小さいと
被処理体の面上における原料ガス濃度の差が大きくなり
過ぎて膜厚の面内均一性が劣化してしまい、逆に、上記
比率が7/8よりも大きいと従来装置のように反応副生
成物の取り込みによって絶縁耐圧特性が劣化してしま
う。このような成膜工程においては、例えば前記金属含
有原料ガスは金属アルコキシド(Ta(OC25
5 )であり、前記金属含有膜はTa25 膜であり、前
記酸化性ガスはO2 ガスである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る成膜装置の
一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明
に係る成膜装置を示す構成図、図2は図1中に示すシャ
ワーヘッド部のガス噴射面を示す平面図である。ここで
は、金属含有原料ガスとして金属アルコキシド、例えば
Ta(OC255 を用い、且つ酸化性ガスとしてO
2ガスを用いて、金属含有膜としてTa25 膜を成膜
する場合を例にとって説明する。この成膜装置14は、
図示するように例えばアルミニウムにより筒体状に成形
された処理容器16を有している。この処理容器16の
底部18の中心部には、給電線挿通孔20が形成される
と共に周辺部には、真空引きポンプ、例えばターボ分子
ポンプ22及びドライポンプ24を介設した真空排気系
26に接続された排気口28が設けられており、容器内
部を真空引き可能としている。この排気口28は、容器
底部18に複数個、例えば等間隔で同一円周上に4個程
度設けられ、各排気口28は、真空排気系26により共
通に連通されている。
【0012】この処理容器16内には、非導電性材料、
例えばアルミナ製の円板状の載置台30が設けられ、こ
の載置台30の下面中央部には下方に延びる中空円筒状
の脚部32が一体的に形成され、この脚部32の下端は
上記容器底部18の給電線挿通孔20の周辺部にOリン
グ等のシール部材34を介在させてボルト36等を用い
て気密に取り付け固定される。従って、この中空脚部3
2内は、外側に開放され、処理容器16内に対して気密
状態となっている。上記載置台30には、例えば、Si
Cによりコーティングされたカーボン製の抵抗発熱体3
8が埋め込まれており、この上面側に載置される被処理
体としての半導体ウエハWを所望の温度に加熱し得るよ
うになっている。この載置台30の上部は、内部に銅な
どの導電板よりなるチャック用電極40を埋め込んだ薄
いセラミックス製の静電チャック42として構成されて
おり、この静電チャック42が発生するクーロン力によ
り、この上面にウエハWを吸着保持するようになってい
る。尚、この静電チャック42の表面にHeガスなどの
バックサイドガスを流してウエハへの熱伝導性を向上さ
せたり、ウエハ裏面への成膜を防止するようにしてもよ
い。また、この静電チャック42に代えてメカニカルク
ランプを用いるようにしてもよい。
【0013】上記抵抗発熱体38には、絶縁された給電
用のリード線44が接続され、このリード線44は、処
理容器16内に晒すことなく円筒状の脚部32内及び給
電線挿通孔20を通って外へ引き出され、開閉スイッチ
46を介して給電部48に接続される。また、静電チャ
ック42のチャック用電極40には、絶縁された給電用
のリード線50が接続され、このリード線50も処理容
器16内に晒すことなく円筒状の脚部32内及び給電線
挿通孔20を通って外へ引き出され、開閉スイッチ52
を介して高圧直流電源54に接続される。尚、ウエハを
加熱する手段として上記抵抗発熱体38に代え、ハロゲ
ンランプ等の加熱ランプを用いて加熱するようにしても
よい。
【0014】載置台30の周辺部の所定の位置には、複
数のリフタ孔56が上下方向に貫通させて設けられてお
り、このリフタ孔56内に上下方向に昇降可能にウエハ
リフタピン58が収容されており、ウエハWの搬入・搬
出時に図示しない昇降機構によりリフタピン58を昇降
させることにより、ウエハWを持ち上げたり、持ち下げ
たりするようになっている。このようなウエハリフタピ
ン58は、一般的にはウエハ周縁部に対応させて3本設
けられる。また、処理容器16の天井部には、本発明の
特徴とするシャワーヘッド部60が一体的に設けられた
天井板62がOリング等のシール部材64を介して気密
に取り付けられており、上記シャワーヘッド部60は載
置台30の上面の略全面を、或いはこれよりも広く覆う
ように対向させて設けられ、載置台30との間に処理空
間Sを形成している。このシャワーヘッド部60は処理
容器16内に成膜用の金属含有原料ガスと酸化性ガスを
シャワー状に導入するものであり、シャワーヘッド部6
0の下面のガス噴射面66にはそれぞれのガスを個別に
噴出するための多数の原料ガス噴射孔68と酸化性ガス
噴射孔70がそれぞれ形成される。
【0015】このシャワーヘッド部60内は、原料ガス
用ヘッド空間72と酸化性ガス用ヘッド空間74とに2
つに区画分離されており、原料ガス用ヘッド空間72に
連通されるガス導入ポート76には図示しないバブリン
グ装置から延びる原料供給通路78を接続して、例えば
Heガスによりバブリングされた気化状態のTa(OC
255 を導入するようになっている。また、酸化性
ガス用ヘッド空間74に連通される酸化性ガス導入ポー
ト79には前記ガス供給通路80を接続してO2 ガスを
導入するようになっている。そして、上記原料ガス用ヘ
ッド空間72は上記各原料ガス噴射孔68に連通されて
おり、また、酸化性ガス用ヘッド空間74は各酸化性ガ
ス用噴射孔70に連通されており、両噴射孔68、70
から噴出された原料ガスとO2 ガスとを処理空間Sにて
混合して、いわゆるポストミックス状態で供給するよう
になっている。上記原料供給通路78には、これに流れ
る原料ガスの再液化を防止するためのテープヒータ82
を巻回して、これを液化温度以上に加熱している。
【0016】ここで、上記原料ガス噴射孔68と酸化性
ガス噴射孔70は、従来装置にあっては図10に示した
ように共にウエハWの面積と同じ領域に、或いはそれよ
りも僅かに広い面積の領域に、略均等に分布させて設け
ていたが、本実施例にあっては図2に示すように酸化性
ガス噴射孔70は、従来装置と略同じようにウエハWの
面積と略同じ円形の領域84W、或いはそれよりも僅か
に広い面積の領域に略均等に分布させて配置している
が、原料ガス噴射孔68は、領域84Wよりも狭い円形
の領域(形成領域)86内に略均一に分布させてる配置
している。この場合、各噴射孔68、70の直径は従来
装置の場合と略同じであり、原料ガス噴射孔68の直径
d1は目詰まり防止のために0.8〜1.0mmの範囲
に大きく設定され、酸化性ガス噴射孔70の直径d2は
0.2〜0.3mmの範囲内に小さく設定されている。
【0017】この場合、各噴射孔68、70の単位面積
当たりの分布密度は、従来装置の場合と略同じであり、
それぞれ1個/cm2 程度及び1〜3個/cm2 程度で
ある。このように、原料ガス噴射孔68の形成領域86
の面積を従来装置よりも狭く設定することにより、従来
の成膜工程と原料ガスの供給量を同じとした場合に面積
が狭くなった分だけ、原料ガス噴射孔68からの原料ガ
スの噴射速度を上げるようになっている。
【0018】また、シャワーヘッド部60の側壁にはこ
の部分の温度を原料ガスの分解を防止するために、例え
ば140〜175℃程度に冷却するための冷却ジャケッ
ト90が設けられており、これに60℃程度の冷媒、例
えば温水を流すようになっている。尚、このシャワーヘ
ッド部60と載置台30との間の距離は略10〜30m
m程度に設定されている。また、処理容器16の側壁に
は、壁面を冷却するために例えば冷媒を流す冷却ジャケ
ット92が設けられており、これに例えば60℃程度の
温水を冷媒として流し、側面を原料ガスが液化しない
で、且つ熱分解しない温度、例えば140〜170℃の
範囲内に維持するようになっている。また、この容器1
6の側壁の一部には、ウエハ搬出入口94が設けられ、
ここに真空引き可能になされたロードロック室96との
間を連通・遮断する前記ゲートバルブ98を設けてい
る。尚、図示されていないがパージ用のN2 ガスの供給
手段を設けているのは勿論である。
【0019】次に、以上のように構成された成膜装置を
用いて行なわれる成膜処理について説明する。まず、真
空状態に維持された処理容器16内に、ロードロック室
96側からウエハ搬出入口94を介して未処理の半導体
ウエハWを搬入し、これを載置台30上に載置して静電
チャック42のクーロン力により吸着保持する。そし
て、抵抗発熱体38によりウエハWを所定のプロセス温
度に維持すると共に、処理容器16内を真空引きして所
定のプロセス圧力に維持しつつ、原料ガスと酸化性ガス
をシャワーヘッド部60から供給して成膜を開始する。
原料ガスとしては、液状の有機化合物のTa(OC2
55 をHeガスでバブリングすることにより気化状態
で供給され、その供給量は、成膜レートにもよるが、例
えば数mg/min程度と非常に少量である。シャワー
ヘッド部60に到達した原料ガスは、原料ガス用ヘッド
空間72に一旦流れ込み、これよりガス噴射面66に設
けた直径の大きな原料ガス噴射孔68から処理空間Sに
供給されることになる。
【0020】一方、ガス導入通路80内を流れてきたO
2 ガスはシャワーヘッド部60の酸化性ガス用ヘッド空
間74に到達し、これよりガス噴射面66に設けた直径
の小さな酸化性ガス噴射孔70から処理空間Sに供給さ
れることになる。このように処理空間Sに噴出された原
料ガスとO2 ガスは、この処理空間Sで混合されて反応
し、ウエハ表面にCVDにより、例えば酸化タンタル膜
(Ta25 )を堆積し、成膜すると同時に、CH3
HO等の反応副生成物が生成されることになる。例え
ば、8インチサイズのウエハを処理する場合は、成膜プ
ロセス圧力は、02〜0.3Torr程度、プロセス温
度は250〜450℃の範囲内、例えば400℃に設定
する。また、原料ガスの供給量は15mg/min、H
eガスの供給量は300sccm、O2 ガスの供給量は
1000sccm程度である。
【0021】この場合、本実施例にあっては、原料ガス
噴射孔68の形成領域86の面積を従来装置よりも狭く
設定することにより、従来の成膜工程と原料ガスの供給
量を同じとした場合に、面積が狭くなった分だけ原料ガ
ス噴射孔68からの原料ガスの噴射速度が上がってい
る。これにより、原料ガスが途中で熱分解されることな
くウエハ面に到達してウエハWの表面の直上における原
料ガスの濃度を上げることができ、且つこの部分におけ
る反応副生成物のガス濃度を低下させることが可能とな
る。このようにウエハ面の直上におけるCH3 CHO等
の反応副生成物の濃度が低くなると、これが成膜中に取
り込まれる確率が少なくなり、この膜の絶縁耐圧特性を
向上させることができる。
【0022】この場合、原料ガス噴射孔68の形成領域
86の直径D1とウエハWと同じ面積の領域D2との比
D1/D2は5/8〜7/8の範囲内になるように設定
する。この比が5/8よりも小さくてより狭い領域に原
料ガス噴射孔68を形成すると、原料ガス噴射速度が更
に上昇して処理空間Sの中心部における原料ガス濃度が
高くなり過ぎてウエハ中心部における金属酸化膜の膜厚
が厚くなり過ぎ、ウエハ面内の膜厚均一性が劣化する。
また逆に、上記比が7/8よりも大きくて従来装置の構
成に近付くと、発明が解決しようとする課題の欄で説明
したように、金属酸化膜の絶縁耐圧特性が劣化してしま
う。尚、単に原料ガスの噴射速度を上げるだけならば、
原料ガスの供給圧を上げるなどすればよいが、この場合
には、原料ガスの供給量が大幅に増加するので、それに
付随して他のガス、例えばバブリング用のHeガスやO
2 ガスの供給量も増大しなければならない。特に、ウエ
ハサイズが12インチの場合には、全てのガスの増加量
がかなり多くなるので現実的ではない。
【0023】ここで、本発明装置と従来装置を用いて絶
縁膜として成膜された酸化タンタルの評価を行なったの
で、その評価結果を図3に示す。ここでのシャワーヘッ
ド部60の構造は、6インチサイズのウエハWを処理す
るために、図2中の直径D2は6インチ、直径D1は
4.5インチに設定されている。図3中、□印で示され
る従来装置は直径D2の領域内に、両ガス噴射孔68、
70が均一に設けられ、○印で示される本発明装置は直
径D1の領域内に原料ガス噴射孔68が設けられ、酸化
ガス噴射孔70の分布は従来装置と同じである。この時
のプロセス条件は、ウエハ温度が450℃、圧力が0.
225Torr、原料ガス(Pet)の流量が15mg
/min、O2 の流量が1000sccm、Heの流量
が250sccmである。このグラフから明らかなよう
に、膜厚に関係なく、従来装置による絶縁膜よりも本発
明装置による絶縁膜の方が高い絶縁耐圧を示しており、
特性が良好であることが判明する。特に、本発明装置の
絶縁膜は実効膜厚が2.3nm程度と非常に薄い場合に
も高い絶縁特性を示していることが判明する。
【0024】次に、従来装置と本発明装置のシャワーヘ
ッド部の下方の原料ガス及び反応副生成物の濃度分布を
シミュレーションによって評価したので、その評価結果
を示す。図4は原料ガス(Ta2 (OC255 :P
et)の濃度分布を示し、図5は反応副生成物(CH3
CHO)の濃度分布を示す。図4及び図5中、(A)は
共に8インチサイズのウエハに対して、直径D1(図2
参照)が6インチの領域まで原料ガス噴射孔68を設け
た本発明装置の場合を示し、(B)は共に直径D2が8
インチの領域まで原料ガス噴射孔を設けた従来装置の場
合を示す。まず、図4から明らかなように、原料ガスに
ついては、シャワーヘッド部60からウエハWの面上に
向かうに従って、濃度は次第に低下している。そして、
図4(A)に示す本発明装置の場合には、ウエハWの直
上における原料ガスの濃度は1.9〜2.0×10-6
ol/m3 程度であるのに対して、図4(B)に示す従
来装置の場合には1.7〜1.8×10-6mol/m3
程度であり、本発明装置の場合の方がかなり高い濃度と
なっている。すなわち、本発明装置の場合には、噴射さ
れた原料ガスの内、多くの原料ガスが途中で分解される
ことなくウエハ面上に到達していることが判明する。
【0025】これに対して、図5から明らかなように反
応副生成物については、シャワーヘッド部60からウエ
ハWの面上に向かうに従って濃度は次第に高くなってい
る。そして、図5(A)に示す本発明装置の場合には、
ウエハWの直上における反応副生成物の濃度は50〜6
0×10-6mol/m3 程度であるのに対して、図5
(B)に示す従来装置の場合には75〜85×10-6
ol/m3 程度であり、本発明装置の場合の方がかなり
低い濃度となっている。すなわち、本発明装置の場合の
方が原料ガスの噴射速度が速いので、反応副生成物の排
除効率が高くなっていることが判明する。
【0026】次に、図4及び図5に示した場合と同様
に、8インチサイズのウエハに対して成膜処理を行なう
際に、シャワーヘッド部の原料ガス噴射孔の形成領域の
直径D1(図2参照)を種々変更した時のシミュレーシ
ョンを行なったので、その時の評価結果について説明す
る。濃度測定は、ウエハ面の直上において原料ガス、C
3 CHO(反応副生成物)についてそれぞれ行ない、
また、成膜レートについても測定を行なった。尚、酸化
性ガス噴射孔の形成領域の直径D1は図4及び図5に示
した場合と同様に8インチである。まず、図6はウエハ
面上における原料ガス濃度のシミュレーション結果を示
すグラフである。図中、曲線A〜Dは原料ガス濃度を示
し、曲線E〜HはO2 ガス濃度を示す。また、各曲線に
対応して記載された数値の内、左側の数値は原料ガス噴
射孔の形成領域D1の直径(インチ)を示し、右側の数
値はウエハサイズ或いは酸化性ガス噴射孔の形成領域D
2の直径(インチ)を示す。従って、例えば8−8の場
合には、従来装置のシャワーヘッド部を表し、6−8の
場合は本発明装置の典型例を表している。この表示方法
は、図7及び図8においても同様である。
【0027】さて、図6において明らかなように原料ガ
スの濃度分布(曲線A〜D)に関しては、ウエハ中心よ
り80mm〜100mmの範囲内において急激に濃度が
低下している。また、ウエハ中心〜80mmの間では、
曲線D(従来装置)は濃度が低くて良好ではない。これ
に対して、曲線C、B、Aの順で、すなわち直径D1が
小さくなる程、ウエハ面の直上における原料ガス濃度が
高くなって良好な結果を示している。図7はウエハ面上
における反応副生成物(CH3 CHO)濃度のシミュレ
ーション結果を示すグラフである。従来装置を示す曲線
E(8−8)にあっては全体的に反応副生成物の濃度は
7.0×10-7mol/m3 以上となって高く、あまり
良好な結果ではない。これに対して、本発明に係る曲線
F〜Hではウエハ中周部から中心部にかけて濃度は6.
0×10-7mol/m3 以下になって小さくなってお
り、また、この順序で反応副生成物の濃度が次第に小さ
くなっており、ウエハ周辺部にて濃度が次第に高くなっ
ている。従って、直径D1(図2参照)が小さくなる
程、原料ガスの噴射速度が大きくなるので、ウエハ中心
部及び周辺部における反応副生成物を排除する効果が増
大することが判明する。
【0028】図8はウエハ面内の酸化タンタル膜の成膜
レートのシミュレーション結果を示すグラフである。こ
のグラフから明らかなように、従来装置を示す曲線L
(8−8)の場合には、ウエハ中心部では1.10nm
/min、ウエハ周辺部では0.95nm/minであ
り、両者にそれ程成膜レートに差はなく、良好である。
また、本発明装置を示す曲線K〜Iは、前述のように原
料ガス濃度がウエハ中心部で高くなるので、上記順序で
ウエハ中心部における成膜レートが高くなり、最も成膜
レートが大きい曲線Iの場合には中心部の成膜レートが
1.20nm/minになる。しかしながら、この場合
には、ウエハ周辺部での成膜レートである0.95nm
/minとの差が0.25nm/minであり、この程
度であるならば、成膜の面内均一性をそれ程劣化させる
こともなく、許容範囲内である。また、これ以上、ウエ
ハ中心部と周辺部との成膜レートとの差が大きくなる
と、成膜の面内均一性が劣化して好ましくない。従っ
て、以上の結果より図2中における直径D1とD2との
比D1/D2は5/8〜7/8の範囲内に設定すること
が必要であり、好ましくは6/8程度に設定するのがよ
いことが判明する。上記シミュレーションは8インチサ
イズのウエハを例にとって説明したが、この直径の比D
1/D2の適用範囲はウエハサイズに関係なく、12イ
ンチサイズ、6インチサイズ或いはそれ以外のサイズの
ウエハを処理する場合にも適用できるのは勿論である。
【0029】尚、上記実施例では、酸化性ガスとしてO
2 を用いたが、これに限定されず、O3 、N2 O、N
O、気化状態のアルコール等を用いてもよい。また、金
属含有膜としては、TiN、WN等の金属窒化膜、或い
はPt、Ru、Ir、Ti等の金属膜を成膜する場合に
も用いることができる。この場合、金属含有原料ガスと
して錯体化合物であるTris(pentanedio
nato)iridium:C5723 Ir、T
etrakis(diethylamido)tita
nium:[(CH3 CH22 N]4 Ti、Bis
(cyclopentadienyl)rutheni
um:(C552 Ru、Methylcyclop
entadienyl(trimethyl)plat
inum:(CH334 )(CH33 Pt等を用
いることができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成膜装置
によれば、次のように優れた作用効果を発揮することが
できる。原料ガス噴射孔の形成領域を被処理体の上面に
対応する面積よりも小さく設定して、その分原料ガスの
噴射速度を上げるようにしたので、被処理体の表面の直
上における原料ガス濃度を上げることができると共に、
反応副生成物の濃度を減少させることができる。従っ
て、成膜中に含まれる反応副生成物の量を抑制すること
ができるので、膜厚の面内均一性を劣化させることなく
この絶縁耐圧特性を向上させることができる。特に、原
料ガス噴射孔の形成領域の直径を、被処理体の上面の直
径の5/8〜7/8の範囲内に設定することにより、上
記した絶縁耐圧特性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成膜装置を示す構成図である。
【図2】図1中に示すシャワーヘッド部のガス噴射面を
示す平面図である。
【図3】本発明装置と従来装置を用いて絶縁膜として成
膜された酸化タンタルの評価結果を示す図である。
【図4】原料ガス(Ta2 (OC255 :Pet)
の濃度分布を示す図である。
【図5】反応副生成物(CH3 CHO)の濃度分布を示
す図である。
【図6】原料ガスの濃度分布を示す図である。
【図7】ウエハ面上における反応副生成物(CH3 CH
O)濃度のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図8】ウエハ面内の酸化タンタル膜の成膜レートのシ
ミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】酸化タンタル膜を形成する時の従来の成膜装置
を示す概略構成図である。
【図10】図9の成膜装置内のシャワーヘッド部のガス
噴射面を示す平面図である。
【符号の説明】
14 成膜装置 16 処理容器 30 載置台 60 シャワーヘッド部 66 ガス噴射面 68 原料ガス噴射孔 70 酸化性ガス噴射孔 72 原料ガス用ヘッド空間 74 酸化性ガス用ヘッド空間 84W 半導体ウエハと同じ面積の領域 86 領域 W 半導体ウエハ(被処理体)
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月8日(1999.10.
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 成膜装置及び成膜方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば酸化タンタ
ル等の絶縁膜に適する金属酸化膜を成膜する成膜装置
び成膜方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る成膜装置
び成膜方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る成膜装置を示す構成図、図2は図1
中に示すシャワーヘッド部のガス噴射面を示す平面図で
ある。ここでは、金属含有原料ガスとして金属アルコキ
シド、例えばTa(OC255 を用い、且つ酸化性
ガスとしてO2ガスを用いて、金属含有膜としてTa2
5 膜を成膜する場合を例にとって説明する。この成膜
装置14は、図示するように例えばアルミニウムにより
筒体状に成形された処理容器16を有している。この処
理容器16の底部18の中心部には、給電線挿通孔20
が形成されると共に周辺部には、真空引きポンプ、例え
ばターボ分子ポンプ22及びドライポンプ24を介設し
た真空排気系26に接続された排気口28が設けられて
おり、容器内部を真空引き可能としている。この排気口
28は、容器底部18に複数個、例えば等間隔で同一円
周上に4個程度設けられ、各排気口28は、真空排気系
26により共通に連通されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成膜装置
及び成膜方法によれば、次のように優れた作用効果を発
揮することができる。原料ガス噴射孔の形成領域を被処
理体の上面に対応する面積よりも小さく設定して、その
分原料ガスの噴射速度を上げるようにしたので、被処理
体の表面の直上における原料ガス濃度を上げることがで
きると共に、反応副生成物の濃度を減少させることがで
きる。従って、成膜中に含まれる反応副生成物の量を抑
制することができるので、膜厚の面内均一性を劣化させ
ることなくこの絶縁耐圧特性を向上させることができ
る。特に、原料ガス噴射孔の形成領域の直径を、被処理
体の上面の直径の5/8〜7/8の範囲内に設定するこ
とにより、上記した絶縁耐圧特性を一層高めることがで
きる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K030 AA11 AA14 BA17 BA42 CA04 CA12 EA05 FA10 GA02 JA20 LA02 LA15 5F045 AB31 AC07 AC11 AC17 AD06 AD07 AD08 AE19 BB14 BB16 DP03 EB08 EC09 EF05 EF07 EJ01 EJ04 EJ09 EK07 EK11 EM03 EM05 EM10 GB17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属含有原料ガスと酸化性ガスとを処理
    容器内の天井部に設けたシャワーヘッド部へ供給し、前
    記両ガスを前記シャワーヘッド部の下面のガス噴射面に
    設けた原料ガス噴射孔及び酸化性ガス噴射孔からそれぞ
    れ前記処理容器内へ導入して、前記処理容器内の載置台
    上に載置された被処理体の表面に金属含有膜を形成する
    成膜装置において、前記原料ガス噴射孔の形成領域を、
    前記載置台上の被処理体の上面に対応する面積よりも小
    さく設定して前記原料ガス噴射孔からの前記金属含有原
    料ガスの噴射速度を高めるようにしたことを特徴とする
    成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記シャワーヘッド部内では、前記金属
    含有原料ガスと前記酸化性ガスは区画分離された状態で
    流れるようになされていることを特徴とする請求項1記
    載の成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記原料ガス噴射孔の形成領域の直径
    は、前記被処理体の上面の直径の5/8〜7/8の範囲
    内に設定されていることを特徴とする請求項1または2
    記載の成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記金属含有原料ガスは金属アルコキシ
    ド(Ta(OC255 )であり、前記金属含有膜は
    Ta25 膜であり、前記酸化性ガスはO2 ガスである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成
    膜装置。
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