JP2000087169A - 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

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JP2000087169A JP10253529A JP25352998A JP2000087169A JP 2000087169 A JP2000087169 A JP 2000087169A JP 10253529 A JP10253529 A JP 10253529A JP 25352998 A JP25352998 A JP 25352998A JP 2000087169 A JP2000087169 A JP 2000087169A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱交換器などの構造用部材として用いる弱酸
性からアルカリ性に渡る広範囲pHに対する耐食性に優
れたアルミニウム合金クラッド材を提供する。 【解決手段】 Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7
を越え〜1.5%を含有し、必要に応じてSi:0.1
〜1.0%、Cu:0.1〜0.7%の内の1種または
2種および/またはTi:0.05〜0.2%、Zr:
0.05〜0.2%の内の1種または2種を含有し、残
りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金か
らなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl
−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片
面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜
2.0%を含有し、必要に応じてIn:0.005〜
0.2%、Sn:0.05〜0.2%の1種または2種
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
の犠牲陽極皮材をクラッドする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐食性、特にア
ルカリ環境下から酸性環境下に至る広範囲pH領域での
耐食性に優れた熱交換器などの構造用部材として用いる
アルミニウム合金クラッド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のラジエーターやヒーター
コアのチューブ材としては、Al−Mn系合金からなる
芯材の片面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系
ろう材をクラッドし、芯材の他方の片面に、犠牲陽極皮
材としてAl−Zn系合金をクラッドした3層のアルミ
ニウム合金クラッド材が使用されている。最も一般に使
用されている具体的なアルミニウム合金クラッド材は、
JIS 3003(重量%で、Mn:1.0〜1.5
%、Fe:0.05〜0.20%、Si:0.6%以
下、Zr:0.7以下%、Zn:0.10以下%、残
部:Alおよび不可避不純物)を芯材とし、その片面に
JIS 7072からなるAl−Zn系合金犠牲陽極皮
材をクラッドし、芯材の他方の片面にAl−Si系ある
いはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドしてなるアル
ミニウム合金クラッド材は知られている。
【0003】前記アルミニウム合金クラッド材のAl−
Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材は、ろう付け
時にチューブ材とフィン材の接合、およびチューブ材と
ヘッダープレートとの接合に用いられ、犠牲陽極皮材は
芯材との電気化学的性質の違いにより皮材を主として腐
食し、芯材の孔食を抑制する作用をなすものである。こ
れらアルミニウム合金クラッド材は、ラジエーターやヒ
ーターコアのチューブ材として熱交換器に使用した場
合、弱酸性から中性領域では優れた犠牲陽極効果を発揮
する。しかし、実際に使用される冷却水は不凍液と防錆
剤からなるLLC(ロングライフクーラント)が混入し
たアルカリ性を示すものであり、冷却水がpH9以上の
アルカリ性溶液の場合なお耐食性が十分でなく、早期に
孔食が発生したり、防食効果が発揮されない場合があ
る。
【0004】これらを改良するために、重量%で(以下
%は重量%を示す)(a)Mn:1.0〜1.5%、F
e:0.7%以下、Si:0.6%以下、Cu:0.0
5〜0.2%、Zn:0.1%以下を含有し、残りがA
lおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる
芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si
−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:0.1〜1.5%、Fe:0.7を越え〜1.2
%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱
交換器用アルミニウム合金クラッド材(特開平10−1
7967号公報参照)、(b)Mn:0.3〜2.0%
およびCu:0.10〜0.8%の1種または2種を含
有し、必要に応じてMg:0.1〜0.5%、Si:
0.1〜1%を含有し、さらに必要に応じてCr:0.
05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Ti:
0.05〜0.3%、B:0.01〜0.1%の内の1
種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面
に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材を
クラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:1.5〜
4.0%、Fe:0.5%を越え3%以下を含有し、必
要に応じてMg:0.1〜2.5%、Sn:0.01〜
0.2%、Ga:0.01〜0.2%の内の1種または
2種以上を含有し、さらにCr:0.05〜0.3%、
Zr:0.05〜0.3%、Ti:0.05〜0.3
%、B:0.01〜0.1、Mn:0.1〜2.0%、
Si:0.1〜1%の内の1種または2種以上を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材(特開平10−72632
号公報参照)、などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記改良された従来の
アルミニウム合金クラッド材で作製したラジエーターや
ヒーターコアのチューブに、弱酸性溶液からアルカリ性
溶液まで広範囲のpH領域の水溶液を流しても良好な耐
食性が得られるが、その耐食性はいまだ十分でなく、更
なる耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材が求め
られている。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、従
来よりも耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材を
得るべく研究を行った結果、(a)Mn:0.8〜1.
8%、Fe:0.7を越え〜1.5%を含有し、残りが
Alおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からな
る芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−S
i−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.
0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる
組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなるアルミニウム合
金クラッド材は、弱酸性溶液からpH10以上のアルカ
リ性溶液の広範囲のpH領域の水溶液に対する耐食性が
従来よりも一層向上し、熱交換器用構造材として優れた
ものとなる、(b)前記(a)に記載の芯材に、Si:
0.1〜1.0%、Cu:0.1〜0.7%の内の1種
もしくは2種、またはTi:0.05〜0.2%、Z
r:0.05〜0.2%の内の1種もしくは2種を含有
してもよく、さらにSi:0.1〜1.0%、Cu:
0.1〜0.7%の内の1種または2種、およびTi:
0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%の内の
1種または2種を同時に含有してもよい、(c)前記
(a)に記載の犠牲陽極皮材に、In:0.005〜
0.2%、Sn:0.05〜0.2%の内の1種または
2種を含有してもよい、という知見を得たのである。
【0007】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、(1)Mn:0.8〜1.8%、F
e:0.7を越え〜1.5%を含有し、残りがAlおよ
び不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の
一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn
系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:
4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(2)Mn:0.8〜
1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Si:0.
1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、
Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラ
ッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜
10%、Fe:0.3〜2.0%を含有し、残りがAl
および不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラ
ッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
金クラッド材、(3)Mn:0.8〜1.8%、Fe:
0.7を越え〜1.5%、Cu:0.1〜0.7%を含
有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のA
l合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系ある
いはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の
他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:
0.3〜2.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐
食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(4)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜
1.5%、Si:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜
0.7%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物から
なる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al
−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッド
し、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10
%、Fe:0.3〜2.0%を含有し、残りがAlおよ
び不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッド
してなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金ク
ラッド材、(5)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.
7を越え〜1.5%、Ti:0.05〜0.2%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl
合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あるい
はAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他
方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.
3〜2.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性
に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(6)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜
1.5%、Zr:0.05〜0.2%を含有し、残りが
Alおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からな
る芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−S
i−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.
0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる
組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(7)Mn:
0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、T
i:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の
Al合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あ
るいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材
の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:
0.3〜2.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐
食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、
(8)前記(2)、(3)または(4)記載の芯材に、
さらに、Ti:0.05〜0.2%含有し、残りがAl
および不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯
材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−
Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Z
n:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の
犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換
器用アルミニウム合金クラッド材、(9)前記(2)、
(3)または(4)記載の芯材に、さらに、Zr:0.
05〜0.2%含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、
Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラ
ッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜
10%、Fe:0.3〜2.0%を含有し、残りがAl
および不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラ
ッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
金クラッド材、(10)前記(2)、(3)または(4)
記載の芯材に、さらにTi:0.05〜0.2%、Z
r:0.05〜0.2%含有し、残りがAlおよび不可
避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の
片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう
材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0
を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%を含有し、残
りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮
材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミ
ニウム合金クラッド材、(11)Mn:0.8〜1.8
%、Fe:0.7を越え〜1.5%を含有し、残りがA
lおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる
芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si
−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0
%、In:0.005〜0.2%を含有し、残りがAl
および不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラ
ッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
金クラッド材、(12)Mn:0.8〜1.8%、Fe:
0.7を越え〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方
の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろ
う材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.
0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、Sn:
0.05〜0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避
不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材、(13)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越
え〜1.5%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、
Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラ
ッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜
10%、Fe:0.3〜2.0%、In:0.005〜
0.2%、Sn:0.05〜0.2%を含有し、残りが
Alおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材を
クラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
ム合金クラッド材、(14)Mn:0.8〜1.8%、F
e:0.7を越え〜1.5%、Si:0.1〜1.0%
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系
あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯
材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、F
e:0.3〜2.0%、In:0.005〜0.2%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の
犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換
器用アルミニウム合金クラッド材、(15)Mn:0.8
〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Si:
0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面
に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材を
クラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越
え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、Sn:0.05
〜0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物か
らなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(16)
Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5
%、Si:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよ
び不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の
一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn
系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:
4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、I
n:0.005〜0.2%、Sn:0.05〜0.2%
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交
換器用アルミニウム合金クラッド材、(17)Mn:0.
8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Cu:
0.1〜0.7%を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面
に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材を
クラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越
え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、In:0.00
5〜0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性
に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(1
8)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜
1.5%、Cu:0.1〜0.7%を含有し、残りがA
lおよび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる
芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si
−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、
Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0
%、Sn:0.05〜0.2%を含有し、残りがAlお
よび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッ
ドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材、(19)Mn:0.8〜1.8%、Fe:
0.7を越え〜1.5%、Cu:0.1〜0.7%を含
有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のA
l合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系ある
いはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の
他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:
0.3〜2.0%、In:0.005〜0.2%、S
n:0.05〜0.2%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドして
なる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッ
ド材、(20)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を
越え〜1.5%、Si:0.1〜1.0%、Cu:0.
1〜0.7%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物
からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、
Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラ
ッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜
10%、Fe:0.3〜2.0%、In:0.005〜
0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物から
なる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優
れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(21)M
n:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5
%、Si:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜0.7%
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系
あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯
材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、F
e:0.3〜2.0%、Sn:0.05〜0.2%を含
有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠
牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器
用アルミニウム合金クラッド材、(22)Mn:0.8〜
1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Si:0.
1〜1.0%、Cu:0.1〜0.7%を含有し、残り
がAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金から
なる芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−
Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面
に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.
0%、In:0.005〜0.2%、Sn:0.05〜
0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物から
なる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優
れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(23)M
n:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5
%、Ti:0.05〜0.2%を含有し、残りがAlお
よび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材
の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Z
n系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Z
n:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、
In:0.005〜0.2%を含有し、残りがAlおよ
び不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッド
してなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金ク
ラッド材、(24)Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.
7を越え〜1.5%、Ti:0.05〜0.2%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl
合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あるい
はAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他
方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.
3〜2.0%、Sn:0.05〜0.2%を含有し、残
りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮
材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミ
ニウム合金クラッド材、(25)Mn:0.8〜1.8
%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Ti:0.05〜
0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物から
なる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al
−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッド
し、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10
%、Fe:0.3〜2.0%、In:0.005〜0.
2%、Sn:0.05〜0.2%を含有し、残りがAl
および不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラ
ッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合
金クラッド材、(26)Mn:0.8〜1.8%、Fe:
0.7を越え〜1.5%、Zr:0.05〜0.2%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の
Al合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あ
るいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材
の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:
0.3〜2.0%、In:0.005〜0.2%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(27)Mn:0.8〜
1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Zr:0.
05〜0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純
物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の片面
に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材を
クラッドし、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越
え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、Sn:0.05
〜0.2%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物か
らなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に
優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、(28)
Mn:0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5
%、Zr:0.05〜0.2%を含有し、残りがAlお
よび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材
の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Z
n系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Z
n:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、
In:0.005〜0.2%、Sn:0.05〜0.2
%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱
交換器用アルミニウム合金クラッド材、(29)Mn:
0.8〜1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、T
i:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の
Al合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あ
るいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材
の他方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:
0.3〜2.0%、In:0.005〜0.2%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲
陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材、(30)Mn:0.8〜
1.8%、Fe:0.7を越え〜1.5%、Ti:0.
05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%を含有し、
残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金
からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系あるいはA
l−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の
片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜
2.0%、Sn:0.05〜0.2%を含有し、残りが
Alおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材を
クラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
ム合金クラッド材、(31)Mn:0.8〜1.8%、F
e:0.7を越え〜1.5%、Ti:0.05〜0.2
%、Zr:0.05〜0.2%を含有し、残りがAlお
よび不可避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材
の一方の片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Z
n系ろう材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、Z
n:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、
In:0.005〜0.2%、Sn:0.05〜0.2
%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成の犠牲陽極皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱
交換器用アルミニウム合金クラッド材、(32)前記
(8)、(9)または(10)記載の耐食性に優れた熱交
換器用アルミニウム合金クラッド材において、芯材の他
方の片面に、Zn:4.0を越え〜10%、Fe:0.
3〜2.0%、In:0.005〜0.2%を含有し、
残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極
皮材をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アル
ミニウム合金クラッド材、(33)前記(8)、(9)ま
たは(10)記載の耐食性に優れた熱交換器用アルミニウ
ム合金クラッド材において、芯材の他方の片面に、Z
n:4.0を越え〜10%、Fe:0.3〜2.0%、
Sn:0.05〜0.2%を含有し、残りがAlおよび
不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドし
てなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラ
ッド材、(34)前記(8)、(9)または(10)記載の
耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
において、該芯材の他方の片面に、Zn:4.0を越え
〜10%、Fe:0.3〜2.0%、In:0.005
〜0.2%、Sn:0.05〜0.2%を含有し、残り
がAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材
をクラッドしてなる耐食性に優れた熱交換器用アルミニ
ウム合金クラッド材、に特徴を有するものである。
【0008】まず、この発明の熱交換器用アルミニウム
合金クラッド材の成分組成を上述のごとく限定した理由
を述べる。 (A)芯材 Mn:Mnは、芯材素地中にAl−Mn金属間化合物と
して分散し、耐食性を低下させることなく強度を向上せ
しめる成分であるが、その含有量が0.8%未満では所
望の効果が得られず、一方、1.8%を越えて含有する
と粗大な金属間化合物の生成によって加工性を劣化させ
るので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.
8〜1.8%に定めた。Mnの含有量のいっそう好まし
い範囲は1.0〜1.5%である。
【0009】Fe:Feは、素地中にAl−Fe金属間
化合物を微細に分散させるために面食の腐食形態とな
り、腐食速度を遅くするが、その含有量が0.7%以下
では所望の効果が得られず、一方、1.5%を越えると
芯材の自己腐食性が増大するので好ましくない。したが
って、Feの含有量は、0.7を越え〜1.5%に定め
た。Feの含有量のいっそう好ましい範囲は0.8〜
1.3%である。
【0010】Si:Siは、Mnと共存させることによ
りAl−Mn−Si金属間化合物となって素地中に分
散、あるいはマトリックスに固溶して芯材の強度を向上
させる作用があるが、その含有量が0.1%未満では所
望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有する
と芯材の融点を低下させるので好ましくない。したがっ
て、Siの含有量を0.1〜1.0%に定めた。Siの
含有量のいっそう好ましい範囲は0.2〜0.5%であ
る。
【0011】Cu:芯材に含まれるCuは、マトリック
スに固溶して芯材の強度を向上させると共に、芯材の電
気化学的性質を貴にして、犠牲陽極皮材およびろう材と
の電位差を大きくする作用を有するが、その含有量が
0.1%未満では所望の効果が得られず、一方、0.7
%を越えて含有すると芯材の融点が低下するためろう付
け時に材料が溶融しやすく、さらに酸性溶液中で粒界腐
食が起こりやすくなり、耐食性が低下するので好ましく
ない。したがって、Cuの含有量を0.1〜0.7%に
定めた。Cuの含有量の一層好ましい範囲は0.3〜
0.5%である。
【0012】Ti:Ti成分は、ろう付け後に微細な金
属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度を向上さ
せる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含
有量が0.05%未満では所望の効果が得られず、一
方、0.2%を越えると加工性を阻害するので好ましく
ない。したがって、Tiの含有量は0.05〜0.2%
に定めた。Tiの含有量の一層好ましい範囲も0.07
〜0.15%である。
【0013】Zr:ZrもTiと同様に、ろう付け後に
微細な金属間化合物として素地中に分散し、芯材の強度
を向上させる作用を有するので必要に応じて添加する
が、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得ら
れず、一方、0.2%を越えると加工性を阻害するので
好ましくない。したがって、Zrの含有量は0.05〜
0.2%に定めた。Zrの含有量の一層好ましい範囲も
0.07〜0.18%である。
【0014】(B)犠牲陽極皮材 Fe:Feは、素地中にAl−Fe金属間化合物を微細
に分散させるために、そこを起点として材料表面に微小
ピットが多数発生するが、その数が多く材料表面に均一
に分布するため腐食深さは浅くなり、腐食形態は面食と
なるため、深い孔食は発生しない。しかし犠牲陽極皮材
に含まれるFeの含有量が0.3%未満では所望の効果
が得られず、一方、2.0%を越えると犠牲陽極皮材の
自己腐食性が増大するので好ましくない。したがって、
Feの含有量は、0.3〜2.0%に定めた。Feの含
有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.0%である。
【0015】Zn:Znは、犠牲陽極皮材の電位を卑に
し、芯材に対する犠牲陽極効果を向上させ、芯材に孔食
が発生するのを防止する作用を有するが、その含有量が
4%以下では酸性領域で十分な犠牲陽極効果が得られ
ず、一方、10%を越えて含有すると自己腐食性が増大
し過ぎて好ましくない。したがって、犠牲陽極皮材中の
Zn含有量は、4を越え〜10%に定めた。Znの含有
量の一層好ましい範囲は4.5〜8%である。
【0016】In:Inは、犠牲陽極皮材の電位を卑に
し、芯材に対する犠牲陽極効果を一層有効なものにし、
芯材の孔食の発生を防止する作用を有するので必要に応
じて添加するが、その含有量が0.005%未満では所
望の効果が得られず、一方、0.2%を越えて含有する
と自己腐食性が増大し過ぎて好ましくない。したがっ
て、犠牲陽極皮材中のIn含有量は、0.005〜0.
2%に定めた。
【0017】Sn:SnもIn同様に犠牲陽極皮材の電
位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果を有効なものに
し、芯材の孔食の発生を防止する作用を有するので必要
に応じて添加するが、その含有量が0.05%未満では
所望の効果が得られず、一方、0.2%を越えて含有す
ると自己腐食性が増大し過ぎて好ましくない。したがっ
て、犠牲陽極皮材中のSn含有量は、0.05〜0.2
%に定めた。
【0018】(C)ろう材 この発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材で使
用するろう材は、通常のAl−Si系あるいはAl−S
i−Zn系ろう材であればよく、特に限定されるもので
はないが、ろう材中に含まれるSiは融点を下げると共
に流動性を付与する成分であり、その含有量が5%未満
では所望の効果が得られず、一方、15%を越えて含有
するとかえって流動性が低下するので好ましくない。し
たがって、ろう材中のSiの含有量を3〜15%に定め
た。ろう材中のSiの含有量のいっそう好ましい範囲は
5〜12%である。また、Al−Si−Zn系ろう材に
含まれるZnは1.0〜5.0%が好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】表1〜表3に示す成分組成のAl
合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このイン
ゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、
厚さ:150mmの熱延板からなる芯材a〜Dを作製し
た。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】 (*印は、この発明の範囲から外れている値を示す)
【0023】さらに、表4〜5に示す成分組成のAl合
金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴ
ットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚
さ:30mmの熱延板からなる犠牲陽極皮材ア〜トを作
製した。
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】一方、表6に示す成分組成のAl合金を溶
解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを
通常の条件で熱間圧延を行い、厚さ:20mmの熱延板
からなるろう材〜を作製した。
【0027】
【表6】
【0028】これら表1〜表3の芯材a〜D、表4〜表
5の犠牲陽極皮材ア〜トおよび表6のろう材〜を表
7〜表9に示される組み合わせにしたがって重ね合わ
せ、熱間圧延にてクラッドし、引き続いて中間焼鈍を行
ったのち、冷間圧延を行うことによりいずれも板厚:
0.25mm、犠牲陽極皮材およびろう材にクラッド率
がそれぞれ15%および10%で調質H14の本発明ク
ラッド材1〜63、比較クラッド材1〜7および従来ク
ラッド材1〜2を作製した。これら本発明クラッド材1
〜63、比較クラッド材1〜7および従来クラッド材1
〜2を用いてそれぞれの試験片を作製し、これら試験片
を600℃に3分間保持した後、冷却速度:100℃/
min.で室温まで冷却するろう付けを想定した熱処理
を行い、その後、下記の条件の腐食試験を行った。
【0029】腐食試験1 Cl- :195ppm,SO4 2-:60ppm,F
3+:30ppm,Cu2+:1ppmを含む水溶液(p
H:3.4)を腐食液として用意し、前記本発明クラッ
ド材1〜73、比較クラッド材1〜7および従来クラッ
ド材1〜2の熱処理した試験片を自動車用熱交換器の冷
却水を想定して、流速:1m/sec.で流れている温
度:80℃の腐食液の中に8時間浸漬保持した後、室温
の静止腐食液の中に16時間浸漬保持すると云う温度サ
イクルを加える操作を60日間行い、60日間経過後の
犠牲陽極皮材層の表面からの最大腐食深さを測定し、そ
の測定結果を表7〜表10に示した。
【0030】腐食試験2 Cl- :195ppm,SO4 2-:60ppm,F
3+:30ppm,Cu2+:1ppmを含む水溶液をN
aOHでpH11に調整した水溶液を腐食液として用意
し、前記本発明クラッド材1〜63、比較クラッド材1
〜7および従来クラッド材1〜2の熱処理した試験片を
自動車用熱交換器の冷却水を想定して、流速:1m/s
ec.で流れている温度:80℃の腐食液の中に8時間
浸漬保持した後、室温の静止腐食液の中に16時間に浸
漬保持すると云う温度サイクルを加える操作を60日間
行い、60日間経過後の犠牲陽極皮材層の表面からの最
大腐食深さを測定し、その測定結果を表7〜表10に示
した。
【0031】
【表7】
【0032】
【表8】
【0033】
【表9】
【0034】
【表10】
【0035】表7〜表10に示される結果から、本発明
クラッド材1〜63は、従来クラッド材1〜2に比べ
て、表面からの最大腐食深さが極めて小さいところか
ら、耐食性に優れていることが分かる。また、構成成分
の内の少なくとも1つの成分含有量がこの発明の範囲か
ら外れている比較クラッド材1〜7は耐食性またはその
他の特性が劣ることも分かる。
【0036】
【発明の効果】上述のように、この発明のクラッド材は
耐食性に優れているため、この発明のクラッド材を用い
て作製した熱交換器は、広範囲のpHの冷却水を使用し
ても貫通することなく長期間使用することができ、産業
上優れた効果をもたらすものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F28F 19/06 F28F 19/06 B (72)発明者 江戸 正和 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 (72)発明者 坂田 和幸 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 (72)発明者 黒田 周 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 (72)発明者 当摩 建 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 4K060 AA02 BA13 BA19 BA43 EA04 EB05 FA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Mn:0.8〜1.8%、 Fe:0.7を越え〜1.5%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    のAl合金からなる芯材の一方の片面に、Al−Si系
    あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドし、該芯
    材の他方の片面に、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐
    食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Mn:0.8〜1.8%、 Fe:0.7を越え〜1.5%、 を含有し、さらに、 Si:0.1〜1.0%、 Cu:0.1〜0.7%、 の内の1種または2種を含有し、残りがAlおよび不可
    避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の
    片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう
    材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐
    食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Mn:0.8〜1.8%、 Fe:0.7を越え〜1.5%、 を含有し、さらに、 Ti:0.05〜0.2%、 Zr:0.05〜0.2%、 の内の1種または2種を含有し、残りがAlおよび不可
    避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の
    片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう
    材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐
    食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  4. 【請求項4】 重量%で、 Mn:0.8〜1.8%、 Fe:0.7を越え〜1.5%、 を含有し、さらに、 Si:0.1〜1.0%、 Cu:0.1〜0.7%、 の内の1種または2種を含有し、さらに、 Ti:0.05〜0.2%、 Zr:0.05〜0.2%、 の内の1種または2種を含有し、残りがAlおよび不可
    避不純物からなる組成のAl合金からなる芯材の一方の
    片面に、Al−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう
    材をクラッドし、該芯材の他方の片面に、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    の犠牲陽極皮材をクラッドしてなることを特徴とする耐
    食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  5. 【請求項5】 前記犠牲陽極皮材は、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、さらに、 In:0.005〜0.2%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    を有する犠牲陽極皮材であることを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の耐食性に優れた熱交換器用ア
    ルミニウム合金クラッド材。
  6. 【請求項6】 前記犠牲陽極皮材は、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、さらに、 Sn:0.05〜0.2%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    を有する犠牲陽極皮材であることを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の耐食性に優れた熱交換器用ア
    ルミニウム合金クラッド材。
  7. 【請求項7】 前記犠牲陽極皮材は、 Zn:4.0を越え〜10%、 Fe:0.3〜2.0%、 を含有し、さらに、 In:0.005〜0.2%、 Sn:0.05〜0.2%、 を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
    を有する犠牲陽極皮材であることを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の耐食性に優れた熱交換器用ア
    ルミニウム合金クラッド材。
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JP2012188723A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Furukawa-Sky Aluminum Corp 自動車冷却水配管用アルミニウムコルゲートチューブ及びその製造方法

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