JP2000086592A - 炭酸ジエステルの精製方法および精製装置 - Google Patents

炭酸ジエステルの精製方法および精製装置

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JP2000086592A
JP2000086592A JP10250546A JP25054698A JP2000086592A JP 2000086592 A JP2000086592 A JP 2000086592A JP 10250546 A JP10250546 A JP 10250546A JP 25054698 A JP25054698 A JP 25054698A JP 2000086592 A JP2000086592 A JP 2000086592A
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carbonic acid
acid diester
distillation
distillate
purification
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JP10250546A
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Hiroyuki Miura
裕幸 三浦
Hidehiko Nakajima
英彦 中島
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭酸ジエステルの精製方法において、熱エネ
ルギーを効率的に利用する。 【解決手段】 抽出蒸留工程で、炭酸ジエステルと低級
アルコールとを含有する混合物を水により抽出蒸留し
て、アルコール含有抽出物と留出炭酸ジエステルとを分
離する。前記抽出物は加圧蒸留工程で、加圧下で蒸留し
て水と留出成分とに分離し、留出成分を前記抽出蒸留工
程又は抽出蒸留工程に先行又は後続する蒸留工程の加熱
源として利用する。留出炭酸ジエステルは精製蒸留工程
で、精製蒸留によりさらに精製してもよく、留出成分は
抽出蒸留工程及び精製蒸留工程の両方の工程の加熱源と
して利用できる。炭酸ジエステルは炭酸ジメチルであ
り、低級アルコールはメタノールである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸ジエステルの
精製方法および精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸ジエステル、中でも炭酸ジメチル
は、ガソリンの増量剤、オクタン価向上剤、有機溶剤と
して広くもちいられているだけでなく、近年、イソシア
ネート類、ポリカーボネート類および種々の医薬品、農
薬などの製造プロセスにおいてホスゲンの代替原料とし
て用いられており、その用途がますます拡大している。
【0003】この炭酸ジメチルの製造方法としては、塩
化銅の存在下、一酸化炭素、メタノール及び酸を反応さ
せる方法(特公昭45−11129号公報、特公昭55
−45655号公報)、触媒の存在下、一酸化炭素と亜
硝酸エステルとを気相反応させる方法(特願平1−27
4816号公報、特願平2−201146号公報)等が
知られている。これらのプロセスでは、炭酸ジメチルが
メタノールの混合物として得られるため、炭酸ジメチル
とメタノールとを分離する必要がある。しかし、炭酸ジ
メチルとメタノールとは、組成比30対70(重量比)
の共沸混合物を形成するため、常圧で炭酸ジメチルとメ
タノールとを蒸留分離することは困難である。
【0004】このため、両者の混合物から炭酸ジメチル
を精製する方法について多くの検討がされている。例え
ば、特公昭56−17333号公報には、炭酸ジメチル
とメタノールの混合物から、水を用いて低級アルコール
を抽出し、炭酸ジメチルを留出させることにより、炭酸
ジメチルを精製する抽出蒸留法が開示されている。しか
し、メタノールの蒸発潜熱が大きいため(225kcal/k
g 、65℃)、炭酸ジメチルとメタノールとを分離する
ためにはかなりの熱エネルギーを必要とし、精製コスト
が大きくなる。さらに、この方法では、抽出物(塔底成
分)から蒸留によりメタノールを分離回収している。し
かし、抽出蒸留とメタノール回収とを独立して行うため
熱効率が低下する。そのため、工業的に有利に高い熱効
率で炭酸ジエステルを精製することが困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、熱効率よく炭酸ジエステルを精製できる炭酸ジエス
テルの精製方法及び精製装置を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、炭酸ジエステルの精
製において、熱効率よく高純度の低級アルコールも得る
ことができる炭酸ジエステルの精製方法及び精製装置を
提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、高純度の炭酸
ジエステルを熱効率良く得ることができる炭酸ジエステ
ルの精製方法及び精製装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を達
成するため鋭意検討した結果、抽出蒸留による抽出物
(塔底成分)を加圧下で蒸留すると、高純度の低級アル
コールを留出できるだけでなく、留出成分の温度を高
め、抽出蒸留工程及び精製蒸留工程の加熱源として再利
用でき、熱エネルギーを有効に利用できることを見いだ
し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の炭酸ジエステルの精製
方法は、炭酸ジエステルと低級アルコールとを含有する
混合物を水により抽出蒸留し、低級アルコール含有抽出
物と留出炭酸ジエステルとを分離する炭酸ジエステルの
精製方法において、前記抽出物を加圧下で蒸留して水と
留出成分とを分離し、前記抽出蒸留工程及び抽出蒸留工
程に先行又は後続する1又は複数の蒸留工程から選ばれ
た少なくとも一つの工程の加熱源として、前記留出成分
を利用する方法である。留出炭酸ジエステルは精製蒸留
によりさらに精製してもよく、留出成分を抽出蒸留工程
及び精製蒸留工程の両方の工程の加熱源として利用して
もよい。抽出蒸留工程又は精製蒸留工程の圧力は、常圧
又は減圧であってもよい。炭酸ジエステルは炭酸ジメチ
ルであってもよく、低級アルコールはメタノールであっ
てもよい。
【0010】本発明には、炭酸ジエステルと低級アルコ
ールとを含有する混合物を水により抽出蒸留し、低級ア
ルコール含有抽出物と留出炭酸ジエステルとを分離する
ための抽出蒸留塔と、前記抽出物を加圧下で蒸留し、水
と留出成分とを分離するための加圧蒸留塔と、前記抽出
蒸留塔及び抽出蒸留塔に先行又は後続する1又は複数の
蒸留塔から選ばれた少なくとも一つの蒸留塔の加熱源の
熱媒として、前記留出成分を供給するための熱媒ライン
とを備えている炭酸ジエステルの精製装置も含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、必要に応じて添付図面を
参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0012】図1は本発明の精製方法及び精製装置を説
明するためのフロー図である。図1に示す装置(方法)
は、炭酸ジエステルと低級アルコールとを含有する混合
物を水により抽出蒸留し、低級アルコール含有抽出物
(塔底成分)と炭酸ジエステル含有留出物(塔頂成分)
とを分離するため抽出蒸留塔A(抽出蒸留工程)、留出
した炭酸ジエステルを精製するための精製蒸留塔B(精
製蒸留工程)、抽出蒸留工程の抽出物を加圧下で蒸留す
ることにより水と低級アルコールとを分離するための加
圧蒸留塔C(加圧蒸留工程)とで構成されており、熱媒
ライン4Cを通じて、抽出蒸留塔A及び精製蒸留塔Bと
に、加圧蒸留塔からの留出成分を順次供給することによ
り、留出成分を抽出蒸留工程及び精製蒸留工程の加熱源
(熱媒)として利用している。以下、各工程に分けて詳
細に説明する。 [抽出蒸留工程]炭酸ジエステルと低級アルコールとを
含有する混合物(以下、炭酸ジエステル混合物という)
は、抽出蒸留塔Aの適当な領域(例えば、抽出蒸留塔A
の全長を1としたとき、抽出蒸留塔Aの塔頂から0.2
〜0.6程度低い中間域など)に設けられた混合物供給
ライン1を通じて連続的にフィードされる。また、抽出
溶媒として用いる水は、水供給ライン2を通じて抽出蒸
留塔Aに連続的にフィードされる。
【0013】前記炭酸ジエステルとしては、例えば、炭
酸ジC1-4 アルコールエステル(炭酸ジメチル、炭酸ジ
エチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジi−プロピル、炭酸ジ
ブチルなど)、好ましくは炭酸ジメチルが挙げられる。
【0014】前記低級アルコールとしては、例えば、C
1-4 アルコール(メタノール、エタノール、プロパノー
ル、i−プロパノール、ブタノールなど)、好ましくは
メタノールが挙げられる。低級アルコールは、通常、炭
酸ジエステルを構成するアルコールに対応しており、炭
酸ジエステル合成工程の未反応の原料アルコールである
ことが多い。
【0015】炭酸ジエステル混合物中の炭酸ジエステル
の含有量は、例えば、5〜50重量%程度(例えば、5
〜40重量%程度)、特に10〜30重量%程度であっ
てもよい。また、炭酸ジエステル混合物中の低級アルコ
ールの含有量は、例えば、40〜90重量%程度、好ま
しくは50〜80重量%程度、さらに好ましくは65〜
75重量%程度である。低級アルコールの含有量が少な
すぎると、加圧蒸留工程の留出成分の蓄熱量が小さくな
り、熱媒として有効に利用できなくなる。
【0016】混合物中の炭酸ジエステルと低級アルコー
ルの割合(重量比)は、通常、前者/後者=0.1/1
〜1/1程度、好ましくは0.15/1〜0.5/1程
度、さらに好ましくは0.2/1〜0.3/1程度であ
る。
【0017】炭酸ジエステル混合物の供給速度は、抽出
蒸留塔Aの大きさに応じて適宜選択でき、例えば、抽出
蒸留塔1m3 当たり、1〜20kg/hr程度である。
炭酸ジエステル混合物と水との供給速度の割合は、例え
ば、前者/後者=0.1/1〜1/1程度、好ましくは
0.2/1〜0.5/1程度、さらに好ましくは0.3
/1〜0.4/1程度である。
【0018】炭酸ジエステル混合物としては、一酸化炭
素を用いた前記炭酸ジエステルの合成反応による反応混
合物(反応粗液)を用いることが多く、反応混合物に
は、通常、低沸点不純物や水なども含まれている。
【0019】抽出蒸留塔Aの底部(ボトム)は、熱媒に
より加熱可能な第一熱交換器3Aが設けられている。そ
のため、炭酸ジエステル混合物と水とを抽出蒸留塔Aに
連続的に供給して抽出蒸留すると、低級アルコールは水
により抽出でき、炭酸ジエステルは塔頂から、同伴する
水と共に留出させることができる。炭酸ジエステルを主
成分とし、かつ水を同伴する留出物は、塔頂に設けられ
た第一ベーパーライン4Aを通じて、第一コンデンサー
6Aに供給される。この第一コンデンサー6Aで凝縮し
た留出物は、デカンター7により、炭酸ジエステルを主
成分とする下層液と水を主成分とする上層液に分液され
る。上層液は、ライン9を通じて還流液として抽出蒸留
塔Aに還流している。なお、留出物の分液は必ずしも必
要ではなく、留出物は分液することなく後続する精製蒸
留工程に供給してもよい。
【0020】抽出蒸留において、第一熱交換器3Aによ
る加熱温度(塔底部温度)(TA )は、炭酸ジエステル
の種類に応じて選択でき、例えば、炭酸ジエステルとし
て炭酸ジメチルを用い、常圧で通出蒸留する場合には、
通常、80〜100℃程度、好ましくは80〜98℃程
度、さらに好ましくは85〜95℃程度である。
【0021】抽出蒸留塔Aの圧力は、常圧であることが
多いが、減圧(例えば、0.1〜0.9気圧程度)であ
ってもよい。
【0022】分液された下層液中の炭酸ジエステルの含
有量は、通常、85〜99重量%程度、好ましくは90
〜95重量%程度であり、前記下層液には、低沸点不純
物が0.5〜10重量%程度、水が0.5〜10重量%
程度含まれていることが多い。
【0023】[精製蒸留工程]抽出蒸留工程からの留出
物又は分液された下層液は、そのまま製品(炭酸ジエス
テル)としてもよいが、必要に応じて、1又は複数の精
製蒸留工程により精製して高純度の炭酸ジエステルとし
てもよい。
【0024】精製蒸留工程により、例えば、低沸点不純
物及び水と炭酸ジエステルとを分離し、高純度の炭酸ジ
エステルを得ることができる。図1において、分液した
下層液は、精製蒸留塔Bの適当な領域(例えば、精製蒸
留塔Bの全長を1としたとき、精製蒸留塔Bの塔頂から
0.1〜0.5程度低い中間域など)に設けられたライ
ン8を通じて、精製蒸留塔Bに連続的にフィードしてい
る。底部(ボトム)には熱媒により加熱可能な第二熱交
換器3Bが設けられ、この熱交換器により精製蒸留塔B
を加熱(炊き上げ)することにより、低沸点不純物を留
出ベーパーとして除去している。留出ベーパーは、塔頂
に設けられた第二ベーパーライン4B、及びこのベーパ
ーラインから分岐した第二留出ライン10Bを通じて、
系外に排出される。下層液の若干の水は、第二蒸留塔B
の適当な領域(例えば、精製蒸留塔Bの全長を1とした
とき、精製蒸留塔Bの塔頂から0.2〜0.8程度低い
中間域など)に設けられたベーパーサイドカットライン
12を通じて、蒸気として抜き取られる。この蒸気は炭
酸ジエステルも含んでいるため、蒸気を前記第一コンデ
ンサー6Aに供給して冷却し、前記デカンター7で分液
することにより、炭酸ジエステルを回収している。
【0025】前記低沸点不純物としては、炭酸ジエステ
ルよりも沸点が低い化合物、例えば、炭酸ジメチルを精
製する場合には、蟻酸メチル、メチラールなどを挙げる
ことができる。抽出蒸留工程からの留出物又は分液した
下層液の供給速度は、抽出蒸留工程への炭酸ジエステル
混合物の供給速度に応じて適宜選択でき、例えば第二蒸
留塔1m3 当たり、0.1〜5kg/hr程度である。
【0026】精製蒸留塔Bの圧力は、常圧であることが
多いが、減圧(例えば、0.1〜0.9気圧程度)であ
ってもよい。精製蒸留工程において、第二熱交換器3B
による加熱温度(塔底部温度)(T B )は、低沸点不純
物及び炭酸ジエステルの種類に応じて選択でき、例え
ば、炭酸ジエステルとして炭酸ジメチルを用い、常圧で
蒸留する場合には、通常、80〜100℃程度、好まし
くは85〜100℃程度、さらに好ましくは88〜98
℃程度である。
【0027】精製蒸留温度(塔底部温度TB )は、抽出
蒸留温度(塔底部温度TA )と同じであってもよく、低
くてもよいが、常圧で蒸留する場合、通常、1〜10℃
程度、好ましくは2〜5℃程度高い場合が多い。
【0028】このようにして低沸点不純物及び水を除去
することにより、精製蒸留塔Bの底部に設けられた第二
塔底ライン5B及び下部域に設けられたリボイラーベー
パーサイドカットライン13を通じて高純度炭酸ジエス
テルを得ることができる。高純度炭酸ジエステルの純度
は、98〜100重量%程度、好ましくは99〜100
重量%程度、さらに好ましくは99.5〜100重量%
程度である。なお、精製蒸留は単一の蒸留塔で行っても
よく、複数の蒸留塔で順次行ってもよい。 [加圧蒸留工程]抽出蒸留塔Aにおける抽出物(水と低
級アルコールを主成分とする抽出物)は、第一塔底ライ
ン5Aを通じて加圧蒸留塔Cにフィードされる。加圧蒸
留塔の底部(ボトム)には第三リボイラー3Cが設けら
れ、このリボイラーにより加圧下で抽出除去物を加熱
(炊き上げ)することにより、水と留出成分とを分離さ
せている。なお、留出成分は低級アルコールの種類によ
り異なるが、通常、低級アルコールが主成分である。そ
して、加圧下で蒸留することにより、留出成分の留出温
度を高めることができ、大きな熱量の高温の留出成分
を、塔頂に設けられた熱媒ライン4Cを通じて、前記精
製蒸留塔の第二熱交換器3Bを経て、抽出蒸留塔の第一
熱交換器3Aに、熱媒として順次供給している。そのた
め、熱エネルギーを有利に利用でき、留出成分の高い熱
量により、抽出蒸留工程及び精製蒸留工程での蒸留操作
を行うことができる。特に、低級アルコールの蒸発潜熱
が大きいため、留出成分の蓄熱量を大きくできる。さら
に、蒸留により、留出成分(低級アルコール)と水とを
分離できるため、留出成分(低級アルコール)の純度を
高めることができるとともに、高純度の低級アルコール
は、炭酸ジエステルの反応工程の原料として利用でき
る。留出成分中の低級アルコール含量は、例えば、98
重量%以上、好ましくは99重量%以上である。
【0029】加圧蒸留工程の圧力は、第三リボイラー3
Cの熱源側の温度に応じて適宜選択でき、例えば、30
00〜6000mmHg程度、好ましくは3500〜5
000mmHg程度、さらに好ましくは4000〜50
00mmHg程度である。圧力が6000mmHgを超
えると、第三リボイラー3Cの加熱源として熱媒や高圧
蒸気を用いる必要が生じ、工業的に不利である。
【0030】留出成分の温度(TC )は加圧により高め
ることができ、例えば、105〜150℃程度、好まし
くは105〜140℃程度、さらに好ましくは110〜
130℃程度である。このようにして加圧蒸留すると、
留出成分の温度(TC )を抽出蒸留塔Aの塔底部温度
(TA )及び精製蒸留塔Bの塔底部温度(TB )より高
くすることができる(TC >TA 、TC >TB )ととも
に、留出成分の蓄熱量Q X を、抽出蒸留工程の加熱に必
要な熱量QA 及び精製蒸留工程の加熱に必要な熱量QB
よりも大きくできる(Qx >QA +QB )。そのため、
留出成分を抽出蒸留工程及び精製蒸留工程の加熱源とし
て有効に利用できる。このように、本発明では熱効率を
高めることができるため、系外から供給する熱量は、加
圧蒸留工程の必要熱量QC のみに低減できる。
【0031】なお、炭酸ジメチル混合物1kgを抽出蒸
留するために必要な熱量QA は、100〜400kcal程
度、炭酸ジエステル混合物1kgから得られる炭酸ジエ
ステルを蒸留精製するために必要な熱量QB は50〜1
50kcal程度、炭酸ジエステル混合物1kgから得られ
る抽出残留物を加圧蒸留するために必要な熱量QC は5
00〜1000kcal程度、炭酸ジエステル混合物1kg
から得られる留出成分に蓄熱される熱量QX は300〜
800kcal程度である。
【0032】なお、本発明において、留出成分は必ずし
も抽出蒸留工程及び精製蒸留工程のの加熱源として利用
する必要はなく、抽出蒸留工程又は抽出蒸留工程に先行
又は後続する少なくとも1つの蒸留工程の加熱源として
利用すればよい。また、留出成分を抽出蒸留工程及び精
製蒸留工程の両方の工程の加熱源として利用する場合に
は、精製蒸留工程の加熱源として利用した後、さらに抽
出蒸留工程の加熱源として利用してもよく、反対に、先
ず抽出蒸留工程の加熱源として利用し、その後精製蒸留
工程の加熱源として利用してもよい。また、留出成分
を、精製蒸留工程及び抽出蒸留工程とにそれぞれ熱媒と
して供給してもよい。
【0033】加熱源として利用された留出成分のうち、
未凝縮の留出成分は第三コンデンサー6Cで凝縮され、
凝縮した留出成分は第三留出ライン10Cを通じて回収
される。このようにして得られた留出成分は、高純度の
低級アルコールを含有しているため、炭酸ジエステル合
成の原料アルコールとして再利用できる。
【0034】一方、加圧蒸留塔の塔底成分(水を主成分
とする成分)は、第3塔底ライン5Cを通じて排出す
る。水を主成分とする塔底成分(缶出液)は、加圧蒸留
のため非常に高温であり、例えば、4000mmHgで
分離工程を運転したときの水(缶出液)の温度は約15
4℃である。このため、缶出液を、例えば炭酸ジエステ
ル合成工程の加熱源として利用することにより、さらに
熱効率を向上できる。
【0035】なお、本発明に用いる蒸留塔(抽出蒸留
塔、精製蒸留塔、加圧蒸留塔など)としては、例えば、
棚段塔、充填塔などを挙げることができる。蒸留塔の段
数は、炭酸ジエステルや低級アルコールの種類に応じて
選択でき、例えば、10〜100段程度である。
【0036】
【発明の効果】本発明の精製方法及び精製装置による
と、加圧蒸留による留出成分を他の蒸留工程の加熱源と
して利用できるので、熱効率よく炭酸ジエステルを精製
できる。また、経済的に高純度炭酸ジエステル及び高純
度の低級アルコールを得ることができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0038】実施例1 図1に示す精製システムを用いて炭酸ジメチルを精製し
た。すなわち、充填高さ6mの充填塔型抽出蒸留塔A
(操作圧力常圧)の塔頂から2.4mの位置に設けられ
た混合物供給ライン1を通じて、炭酸ジメチル合成反応
の反応混合物(炭酸ジメチル混合物。メタノール72.
7重量%、炭酸ジメチル17.8重量%、メチラール
0.2重量%、蟻酸メチル0.3重量%、水9.0重量
%)を26.8kg/hrの供給速度で連続的にフィー
ドした。また、同時に塔頂から水供給ライン2を通じ
て、抽出溶媒として用いる水を75.8kg/hrの供
給速度で連続的にフィードした。ボトムを第一熱交換器
3Aにより加熱(炊き上げ)することにより、塔底部の
温度を約87℃に維持し、第一ベーパーライン4Aを通
じて留出物(炭酸ジメチル83.7重量%、水13.5
重量%、メタノール0.2重量%、蟻酸メチル1.6重
量%、メチラール1.1重量%)を留出させた。留出物
を第一コンデンサー6Aで凝縮し、デカンター7で分液
した。水が主成分である上層液をライン9を通じて、還
流液として抽出蒸留塔Aへ戻し、炭酸ジメチルが主成分
である下層液はライン8を通じて、70段の多孔板棚式
の精製蒸留塔B(操作圧力常圧)の上から20段目に連
続的にフィードした。
【0039】精製蒸留塔Bを第二熱交換器3Bにより加
熱し、塔底部の温度を約90℃に維持し、還流比60で
還流した。第二ベーパーライン4Bを通じて低沸点不純
物であるメチラール及び蟻酸メチルを留出させ、第二留
出ライン10Bより0.2kg/hrの留出速度で抜き
取った。
【0040】また、水は炭酸ジメチルと共に、精製蒸留
塔Bの塔頂から23段目に設けたベーパーサイドカット
ライン12を通じて第一コンデンサー6Aに供給し、抽
出蒸留塔Aの留出ベーパーと共に凝縮させた。デカンタ
ー7を介して水は抽出蒸留塔Aに戻し、炭酸ジメチルは
精製蒸留塔Bに回収した。
【0041】缶底部に濃縮された高純度炭酸ジメチル
は、リボイラーベーパーサイドカットライン13から
4.4kg/hrの速度で得ることができた。また、第
二塔底ライン5Bからも0.3kg/hrの速度で得る
ことができた。得られた高純度炭酸ジメチルは約100
重量%(ガスクロマトグラフィー)であり、水分含量1
00ppm以下(水分計)であった。
【0042】抽出蒸留塔Aの底部に溜まった抽出物(メ
タノール19.9重量%、水80.0重量%)は、第一
塔底ライン5Aを通じて、充填高さ6mの充填塔型加圧
蒸留塔の上から2mの位置に連続的にフィードした。加
圧蒸留塔Cを4000mmHgに加圧し、リボイラー3
Cを加熱することにより、還流比2.5で留出成分(メ
タノール99.6重量%、水0.1重量%、炭酸ジメチ
ル0.3重量%)を還流した。留出成分の塔頂部での温
度は114℃であり、留出量は68.4kg/hrであ
った。前記留出成分を、第二熱交換器3B(90℃)及
び第一熱交換器3A(87℃)に順次供給し、熱交換器
の加熱源(熱媒)として利用した。その後、留出成分を
第三コンデンサー6Cで凝縮し、一部を第三留出ライン
10Cを通じて抜き出した(19.5kg/hr)。塔
底部に溜まった缶出液(水100重量%、メタノール1
00ppm以下)は、第三塔底ライン5Cを通じて抜き
取った(78.2kg/hr、154℃)。各ラインを
通過した物質量及び熱量を表1及び表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1、表2に示すデータに基づいて、抽出
蒸留塔A、精製蒸留塔B及び加圧蒸留塔Cに1時間当た
り供給された熱量(QA 、QB 、QC )を、蒸留塔への
供給物のエンタルピーと蒸留塔からの留出物のエンタル
ピーとの差から求めた(kcal/hr)。また、留出成分の蓄
熱量(Qx )を、蒸発したメタノール量とメタノールの
蒸発潜熱との積から求めた(kcal/hr)。さらに、1時間
当たり炭酸ジメチル混合物を26.8kg処理すること
より、炭酸ジメチル混合物1kgを処理するために必要
な各工程の熱量(QA 、QB 、QC 、QX )も算出した
(kcal) 。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】表1〜表3より明らかなように、留出成分
は、蒸発潜熱が大きい(225kcal/kg )ため、1.5
4×104kcal/hrと大きな熱量QX を得ることができ
る。留出成分の蓄熱量QX は、抽出蒸留塔Aの供給熱量
A (0.65×104kcal/hr)及び精製蒸留塔の供給
熱量QB (0.20×104kcal/hr)の合計熱量(0.
85×104kcal/hr)より大きい(Qx >QA
B )。また、加圧蒸留工程の留出成分の温度Tc (1
14℃)は、抽出蒸留塔Aの塔底部温度TA (87℃)
及び精製蒸留塔Bの塔底部温度TB (90℃)より大き
い(Tc >TA 、Tc >TB )。このため、留出成分の
熱量を、抽出蒸留塔A及び精製蒸留塔Bの加熱源として
利用(熱回収)できる。熱回収により熱効率を高めるこ
とができるため、系外から供給する熱量は、加圧蒸留塔
Cの供給熱量QC (2.22×104kcal/hr)だけに低
減できる。
【0048】比較例1 図2に示す精製システムを用いた。このシステムでは、
各蒸留塔をそれぞれ独立して加熱した。すなわち、抽出
蒸留塔Dを第一リボイラー3Dで加熱し、精製蒸留塔E
を第二リボイラー3Eで加熱し、加圧蒸留塔Fを第三リ
ボイラー3Fで加熱した。なお、図1と共通する部材及
び要素には同一の符号を付した。各ラインを通過した物
質量及び熱量を表4及び表5に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】実施例1と異なり、加圧蒸留塔Fの塔頂ベ
ーパー(メタノール)の温度は65℃であり、抽出蒸留
塔Dの塔底温度(87℃)及び精製蒸留塔Eの塔底温度
(90℃)よりも低いため熱回収できない。
【0052】また、抽出蒸留塔Dの必要熱量(QD )、
精製蒸留塔Eの必要熱量(QE )及び加圧蒸留塔Fの必
要熱量(QF )は、実施例1と同様に算出できる。結果
を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】表3及び表6から明らかなように、比較例
1で、系外から各蒸留塔に独立して供給される熱量は、
抽出蒸留塔(QD )では0.65×104kcal/hr、精製
蒸留塔(QE )では0.20×104kcal/hr、加圧蒸留
塔(QF )では1.84×104kcal/hrである。このた
め、系外から供給される全熱量(QD +QE +QF
は、2.69×104kcal/hrである。実施例1で系外か
ら供給される全熱量(Q C )は、比較例1の全熱量(Q
D +QE +QF )より小さく、実施例の精製方法及び精
製装置は熱効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の精製方法及び精製装置を説明す
るためのフロー図である。
【図2】図2は比較例を説明するためのフロー図であ
る。
【符号の説明】
A…抽出蒸留塔 B…精製蒸留塔 C…加圧蒸留塔 3A…第一熱交換器 3B…第二熱交換器 3C…第三リボイラー 4A…第一ベーパーライン 4C…熱媒ライン 5A…第一塔底ライン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ジエステルと低級アルコールとを含
    有する混合物を水により抽出蒸留し、低級アルコール含
    有抽出物と留出炭酸ジエステルとを分離する炭酸ジエス
    テルの精製方法において、前記抽出物を加圧下で蒸留し
    て水と留出成分とを分離し、前記抽出蒸留工程及び抽出
    蒸留工程に先行又は後続する1又は複数の蒸留工程から
    選ばれた少なくとも一つの工程の加熱源として、前記留
    出成分を利用する炭酸ジエステルの精製方法。
  2. 【請求項2】 炭酸ジエステルと低級アルコールとを含
    有する混合物を水により抽出蒸留し、低級アルコール含
    有抽出物と留出炭酸ジエステルとを分離するための抽出
    蒸留工程と、前記留出炭酸ジエステルをさらに精製する
    精製蒸留工程と、前記抽出物を加圧下で蒸留することに
    より水と留出成分とを分離する加圧蒸留工程とを含み、
    前記抽出蒸留工程及び精製蒸留工程の加熱源として前記
    留出成分を利用する請求項1記載の炭酸ジエステルの精
    製方法。
  3. 【請求項3】 抽出蒸留工程又は精製蒸留工程の圧力
    が、常圧又は減圧である請求項1記載の炭酸ジエステル
    の精製方法。
  4. 【請求項4】 炭酸ジエステルが炭酸ジメチルであり、
    低級アルコールがメタノールである請求項1記載の炭酸
    ジエステルの精製方法。
  5. 【請求項5】 炭酸ジエステルと低級アルコールとを含
    有する混合物を水により抽出蒸留し、低級アルコール含
    有抽出物と留出炭酸ジエステルとを分離するための抽出
    蒸留塔と、前記抽出物を加圧下で蒸留し、水と留出成分
    とを分離するための加圧蒸留塔と、前記抽出蒸留塔及び
    抽出蒸留塔に先行又は後続する1又は複数の蒸留塔から
    選ばれた少なくとも一つの蒸留塔の加熱源の熱媒とし
    て、前記留出成分を供給するための熱媒ラインとを備え
    ている炭酸ジエステルの精製装置。
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