JP2000086211A - 混合ガス中の硫化カルボニル及び/又はシアン化水素の転化方法 - Google Patents

混合ガス中の硫化カルボニル及び/又はシアン化水素の転化方法

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JP2000086211A
JP2000086211A JP11189301A JP18930199A JP2000086211A JP 2000086211 A JP2000086211 A JP 2000086211A JP 11189301 A JP11189301 A JP 11189301A JP 18930199 A JP18930199 A JP 18930199A JP 2000086211 A JP2000086211 A JP 2000086211A
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Hideyuki Matsumoto
英之 松本
Shinya Ishigaki
慎也 石垣
Eiichi Hosoya
栄一 細谷
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Sued Chemie Catalysts Japan Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 COS及びHCNを含む混合ガスを水蒸気の
存在下、アルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒
と接触させてCOS及びHCNを転化するにあたり、2
000h-1以上の大きな処理速度でも高い転化率を得る
こと。 【解決手段】COS及びHCNを含む混合ガスを、容量
比0.05≦水蒸気/混合ガス≦0.3の割合の水蒸気
の存在下、150〜250℃にて、2000h-1以上の
空塔速度でアルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触
媒と接触させて転化を行う場合に、前記触媒の粒径を1
mm以上4.5mm以下に設定する。このようにすると
触媒の表面積がある程度大きくなるので、触媒活性が大
きくなって大きな処理速度が得られる一方、副生反応の
発生は抑制されるので、副生反応が原因となるCOS及
び/又はHCNの転化率の低下が抑えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば重質油や石
炭を部分酸化して得られる、硫化カルボニル(COS)
やシアン化水素(HCN)を含む混合ガスからCOSや
HCNを除去するにあたり、前記混合ガスをアルカリ化
酸化クロム−酸化アルミニウム触媒と接触させることに
より、COSはCO2 とH2 Sに、HCNはNH3とC
O又はCH4に転化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重質油や石炭を部分酸化した水素及び一
酸化炭素を主成分とするガスには例えば硫化水素(H2
S)やCOS,HCN等の不純物が含まれているが、H
2 Sを除去する方法の一つとしてメチレンジエタノ−ル
アミン(MDEA)を用いた湿式吸収法が知られてい
る。この方法はH2 Sを選択的に除去するものであり、
COSの除去率は低く、またHCNはMDEAと強固な
化合物を形成してMDEAを劣化させてしまうので、前
処理としてCOSやHCNの転化処理を行う必要があ
る。
【0003】この前処理は以下の化学式((1)〜
(3)式)に示す加水分解反応ならびに水素化反応によ
り、COSはMDEAで処理しやすいH2 Sの形に、H
CNはMDEA溶液処理に悪影響を与えないNH3 に転
化するために行われる処理である。
【0004】 COS+H2 O→CO2 +H2 S・・・(1) HCN+H2 O→NH3 +CO ・・・(2) HCN+3H2 →NH3 +CH4 ・・・(3) 通常COSの転化にはアルミナ系の触媒が使われる。例
えば活性アルミナ触媒としては、特公平5−70500
号や特公平7−68528号等に報告されているアルカ
リ金属の水酸化物や塩を担持したアルカリ化アルミナ
や、特公平5−4133号に報告されているアルミナと
バリウム酸化物からなるもの等が用いられている。
【0005】ところが前記アルカリ化アルミナ触媒はC
OS転化性能が大きいものの、僅か0.3気圧程度のス
チ−ムの共存下でもアルミナのベ−マイト化が進行し、
前記加水分解性能が著しく劣化してしまうことが経験的
に認められている。またこれらにはHCNの転化活性は
ほとんどない。一方前記アルミナとバリウム酸化物から
なる触媒では、低温でのCOS転化活性が大きい上に、
スチ−ム雰囲気下でのアルミナのベ−マイト化が抑制さ
れるので、低温でのCOS加水分解活性には優れるが、
やはりHCNの転化に対する活性が極めて低いことが認
められている。
【0006】このようなことからスチ−ムの共存下での
COS加水分解性能の劣化を抑制すると共に、HCNの
転化性能も大きい触媒が要求され、このような触媒とし
ては特公平5−80257号に報告されているアルカリ
化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記アル
カリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒は処理速度が
小さいため、COSやHCNを含む混合ガスを大量に転
化する場合には処理に長時間かかってしまい、処理時間
を短縮しようとすると触媒が大量に必要となるので装置
が大型化し、コスト高を招くという問題がある。
【0008】つまり工業的には、前記混合ガスを水蒸気
の存在下で触媒と接触させて転化を行うにあたり、水蒸
気と前記混合ガスの容量比が0.05≦水蒸気/混合ガ
ス≦0.3である前記混合ガス及び水蒸気を、150〜
250℃の温度にて2000h-1以上の空塔速度(単位
触媒層容積[m3]あたりに供給する混合ガスの流量
[Nm3/h])で触媒と接触させ、長時間連続して処
理することが要求されており、この点からは処理速度が
大きく、しかも長時間の処理においても触媒の活性の低
下が抑えられる触媒が求められている。
【0009】ところで前記アルカリ化酸化クロム−酸化
アルミニウム触媒の大きさは粒径5〜6mm程度である
が、一般に触媒は単位重量あたりの触媒の幾何学的表面
積が大きくなると活性が大きくなることが知られてお
り、この点から本発明者らは前記アルカリ化酸化クロム
−酸化アルミニウム触媒の大きさの最適化を図ることに
より、混合ガスを工業的規模で大量処理する場合に適し
た触媒を得ることに着目した。
【0010】本発明はこのような事情の下になされたも
のであり、その目的は、COS及び/又はHCNを含む
混合ガスを大量に転化処理する場合に、COSとHCN
とを同時に大きな処理速度で転化でき、かつ長時間の処
理においてもCOS及び/又はHCNの高い転化率を得
ることのできる混合ガス中のCOS及び/又はHCNの
転化方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、硫化
カルボニル及び/又はシアン化水素を含む混合ガスを、
水蒸気の存在下でアルカリ化酸化クロム−酸化アルミニ
ウム触媒と接触させることにより、前記混合ガス中の硫
化カルボニル及び又はシアン化水素を転化する方法にお
いて、前記混合ガスと水蒸気との容量比が0.05≦水
蒸気/混合ガス≦0.3である前記混合ガス及び水蒸気
を、粒径が1mm以上4.5mm以下の前記アルカリ化
酸化クロム−酸化アルミニウム触媒に、150℃以上2
50℃以下の温度にて、2000h-1以上の空塔速度で
接触させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を、例えば重質油や
石炭を部分酸化して得た、COSやHCN,H2 S等の
不純物を含む混合ガスからこれら不純物を除去する方法
に適用した場合を例にして説明するが、この例では本発
明方法はH2 Sを除去する湿式吸収工程の前工程であ
る、COS及びHCNの転化工程に適用される。
【0013】前記転化工程ではCOS及びHCNを含む
混合ガス(以下「混合ガス」という)を水蒸気の存在下
で触媒と接触させることにより、COSやHCNを転化
する処理が行われるが、本発明はこの工程を工業的規模
で行う場合には、前記混合ガスと水蒸気との容量比が
0.05≦水蒸気/混合ガス≦0.3である前記混合ガ
ス及び水蒸気を、150℃以上250℃以下の温度に
て、2000h-1以上の空塔速度で触媒と接触させ、こ
の処理を8000hr以上連続して行うことが要求され
ていることから、この条件下において処理速度を大きく
し、かつ触媒の活性の劣化を抑えるために触媒の粒径の
最適化を図ったものである。
【0014】先ず本発明方法が実施されるCOSやHC
Nの転化装置の一例について図1により説明する。図中
11は反応容器であり、この反応容器11の頂部及び底
部には、各々バルブV1,V2を備えたガス供給管12
とガス排出管13とが夫々接続されている。また反応容
器11の内部には後述する触媒が充填された触媒床14
が設けられており、この触媒床14は触媒サポ−ト1
5,16により上下両側から支持されている。前記触媒
サポ−ト15,16には、混合ガスを通流させ、かつ触
媒を通過させない程度の大きさのガス通流孔15a,1
6aが夫々多数形成されている。
【0015】次いで触媒について説明する。本発明で用
いられる触媒はアルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウ
ム触媒であり、この触媒は約1〜40重量%、好ましく
は3〜20重量%の酸化クロム(Cr2 O3 )と、酸化
物として約0.1〜15重量%、好ましくは約1〜10
重量%のアルカリ性アルカリ金属化合物とを含み、触媒
の担持物質としては例えば30〜300m2 /g、好ま
しくは60〜220m2 /gの表面積を有するγ−酸化
アルミニウム(Al2 O3 )等の酸化アルミニウムが用
いられる。前記アルカリ性アルカリ金属化合物としては
炭酸カリウム(K2 CO3 )を用いることが適している
が、この他ナトリウム(Na)やカリウム(K),ルビ
ジウム(Rb),セシウム(Cs)等の水酸化物、炭酸
塩、重炭酸塩、酢酸塩、修酸塩等を用いてもよい。
【0016】このようなアルカリ化酸化クロム−酸化ア
ルミニウム触媒は次のように製造される。つまり例えば
酸化アルミニウム担体を20〜120℃の温度にてクロ
ム酸塩溶液中に浸漬し、この後80〜800℃の温度に
て段階的に乾燥し、かつ焼成する。こうして得られた酸
化クロム−酸化アルミニウムを炭酸カリウムの溶液中に
浸漬し、再び80〜180℃の温度にて乾燥してアルカ
リ化を行い、アルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム
触媒を得る。本発明では酸化クロム−酸化アルミニウム
をアルカリ性アルカリ金属化合物の水溶液に浸漬して乾
燥する処理をアルカリ化と称し、この処理により得られ
る触媒をアルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒
という。
【0017】こうして8〜12重量%のCr2 O3 と約
4重量%のK2 CO3 と残部γ−Al2 O3 とを有する
表面積150m2 /g程度のアルカリ化酸化クロム−酸
化アルミニウム触媒を得、これを粒径が1mm以上4.
5mm以下となるように、例えば直径が1mm以上4.
5mm以下であり、かつ高さが1mm以上4.5mm以
下の円柱形のタブレット状ないしは押出成型品にする。
このようなアルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触
媒としては商品名G41−P(ガ−ドラ−社製)を用い
ることができる。
【0018】本発明はアルカリ化酸化クロム−酸化アル
ミニウム触媒の粒径を1mm以上4.5mm以下に設定
したことに特徴があるが、前記触媒の形状は円柱形タブ
レット状に限らず、押出成型品や球状やラシヒリング状
やハニカム状等に成形してもよい。この際触媒の粒径を
1mm以上4.5mm以下に設定するとは、触媒を球状
に成形した場合には直径を1mm以上4.5mm以下に
することをいい、その他の形状に成形した場合には相当
直径(幾何学的体積と表面積の比の6倍の長さ)を1m
m以上4.5mm以下にすることをいう。
【0019】続いて上述の転化装置にて実施される本発
明方法について説明する。先ずバルブV1,V2を開放
しておき、ガス供給管12を介して予め150〜250
℃に加熱された、容量比0.05≦水蒸気/混合ガス≦
0.3の割合の混合ガス及び水蒸気を、20〜80kg
/cm2Gの圧力の下、反応容器11内に導入する。反
応容器11内では前記混合ガス及び水蒸気は触媒サポ−
ト15の通流孔15aを介して触媒床14内に通流して
いき、150〜250℃にて触媒と2000h-1以上の
空塔速度で接触する。この際上述の(1)、(2)及び
(3)式に示すCOS及びHCNの転化が行われて、C
OSはCO2 とH2 Sに転化され、HCNはNH3 とC
O又はCH4に転化される。
【0020】こうしてCOSとHCNの転化が行われ、
COSとHCNが転化により除去された混合ガスは、ガ
ス排出管13を介して反応容器11の外部に排出され、
この後次工程の湿式吸収工程において例えばMDEA水
溶液によるH2 Sの除去処理が行われる。
【0021】続いてアルカリ化酸化クロム−酸化アルミ
ニウム触媒の最適粒径を見出だすに至った経緯について
実験結果と共に説明する。先ず本発明者らは触媒床14
の単位重量あたりの幾何学的表面積を大きくすれば触媒
の活性が大きくなることに着目し、COS加水分解反応
性に及ぼす触媒の粒径の影響を確認することとした。つ
まり図1の装置と類似の実験室規模の転化装置を用い、
COSを400ppmvの割合で含む混合ガス(水素ガ
ス)と水蒸気とを、水蒸気/混合ガス容量比=1/6.
5の割合で反応容器11内に導入し、当該反応容器11
内において、圧力27kg/cm2G,温度180℃の
条件下で前記アルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム
触媒に接触させ、触媒と混合ガスとの接触時間(反応時
間)とCOS残存率(COS未転化率)との関係を調べ
た。この際触媒の粒径を変えて実験を行った。
【0022】この結果を図2に示すが、図中横軸は触媒
と混合ガスとの接触時間、縦軸はCOS残存率を夫々示
している。ここで接触時間は1/空塔速度(GHSV(G
as Hourly Space Velocity) [h-1])により計算され
る値である(以下同じ)。また図中○は平均粒径0.8
mmの触媒(以下「粒径0.8mmの触媒」という)、
△は直径1mm高さ1mmの円柱状の触媒(以下「粒径
1mmの触媒」という)、□は直径3mm高さ3mmの
円柱状の触媒(以下「粒径3mmの触媒」という)、●
は直径4.5mm高さ4.5mmの円柱状の触媒(以下
「粒径4.5mmの触媒」という)、▲は直径5mm高
さ5mmの円柱状の触媒(以下「粒径5mmの触媒」と
いう)を夫々示している。
【0023】この実験結果によりCOS転化率は触媒の
粒径に依存することが認められ、COS転化率は粒径1
mmまでは粒径が小さくなるほど大きくなることが確認
された。これは触媒の粒径が小さくなって触媒の単位重
量あたりの幾何学的表面積が大きくなったためと考えら
れる。またCOS転化率は粒径1mmまでは接触時間が
長くなるほど大きくなることが認められ、これは接触時
間が長くなると加水分解反応がより進行するためと考え
られる。
【0024】さらにCOS転化率の目標値を98%に設
定した場合(残存率の目標値を2%に設定した場合)に
は、粒径5mmの触媒では接触時間が5×10-4時間を
越えても、すなわち空塔速度が2000h-1以下になっ
ても、転化率98%を達成できないことが認められ、C
OS転化率98%,空塔速度を2000h-1以上に設定
した場合には、粒径は4.5mm以下にすることが望ま
しいことが確認された。
【0025】一方粒径0.8mmの触媒では、一旦転化
率が急激に上昇(残存率が急激に下降)するものの、接
触時間が長くなると次第に残存率が大きくなって接触時
間が5×10-4時間のときには残存率2%を越えてしま
うことが認められ、これよりCOS転化率98%,空塔
速度を2000h-1以上に設定した場合には、粒径は1
mm以上にすることが望ましいことが確認された。これ
は触媒粒径を小さくして接触時間を長くすると、次の
(4)式に示す副生反応が起きてしまうからであると推
察される。
【0026】CO+H2 S→COS+H2 ・・・(4) 続いてCOS転化反応性の経時変化を調べ、8000時
間連続して処理を行った場合の触媒活性の低下について
確認した。つまり図1の装置と類似の実験室規模の転化
装置を用い、COSを400ppmvの割合で含む混合
ガス(水素ガス)と水蒸気とを、水蒸気/混合ガス容量
比=1/8の割合で反応容器11内に導入し、当該反応
容器11内において、圧力27kg/cm2G,温度2
20℃にて前記アルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウ
ム触媒に接触させ、前記接触時間とCOS残存率との関
係を調べた。このとき新しい触媒と、8000時間連続
して処理に用いた触媒とについて、触媒の粒径を変えて
実験を行った。
【0027】この結果を図3に示すが、図中横軸は接触
時間、縦軸はCOS残存率を夫々示し、また図中○は粒
径1mmの新しい触媒、△は粒径3mmの新しい触媒、
□は粒径4.5mmの新しい触媒、●は粒径1mmの8
000時間処理後の触媒、▲は粒径3mmの8000時
間処理後の触媒、■は粒径4.5mmの8000時間処
理後の触媒を夫々示している。
【0028】この実験結果により新しい触媒よりも80
00時間処理後の触媒の方がCOS転化率が小さくな
り、長時間処理を行うことにより触媒の活性が低下する
ことが認められた。これは加水分解は水蒸気との反応で
あるため、この水蒸気により触媒の成分であるAl2 O
3 がベ−マイト化されて触媒の活性成分が不活性なもの
に変化し、結果として活性が悪くなるためと推察され
る。
【0029】また新しい触媒も8000時間処理後の触
媒も触媒粒径が小さくなるほどCOS転化率が大きくな
ることが認められたが、8000時間処理後の触媒であ
っても粒径が4.5mm以下であれば、接触時間が5×
10-4時間つまり空塔速度が2000h-1のときにCO
S転化率98%を達成できることが認められ、さらに粒
径が3mmであれば空塔速度が3500h-1のときにC
OS転化率98%を達成できることが認められた。これ
により触媒の粒径を1mm以上4.5mm以下に設定す
れば、空塔速度を2000h-1以上に設定して8000
時間連続して処理を行なう場合であっても、触媒の活性
の低下を抑え、COS転化率98%という高い触媒活性
を得ることができることが確認された。
【0030】続いてCOS転化処理に伴う触媒のアルミ
ナのベ−マイト化率と処理時間との関係を次のように確
認した。つまり図1の装置と類似の実験室規模の転化装
置を用い、COSを400ppmvの割合で含む混合ガ
ス(水素ガス)と水蒸気とを、水蒸気/混合ガス容量比
=1/6.5、空塔速度1000h-1で反応容器11内
に導入し、当該反応容器11内において、圧力27kg
/cm2G,温度220℃にて前記アルカリ化酸化クロ
ム−酸化アルミニウム触媒に接触させ、相対ベ−マイト
化率と処理時間との関係を調べた。ここで用いた触媒の
粒径は4.5mmであり、相対ベ−マイト化率は800
0時間連続して処理に用いた触媒のX線回折チャ−ト上
のベ−マイトピ−ク面積を100として相対値を調べ
た。
【0031】この結果を図4に示すが、図中横軸は処理
時間、縦軸は相対ベ−マイト化率を夫々示している。こ
の結果により当該触媒では処理時間が長くなるにつれて
ベ−マイト化率が高くなることが認められ、これにより
触媒の活性が処理時間の増加に伴って低下するのは、ア
ルミナのベ−マイト化の進行が原因であることが理解さ
れる。
【0032】さらにCOS加水分解処理において、処理
時間とCOS転化率98%を達成するための空塔速度と
の関係を次のように確認した。つまり図1の装置と類似
の実験室規模の転化装置を用い、COSを400ppm
vの割合で含む混合ガス(水素ガス)と水蒸気とを、水
蒸気/混合ガス容量比=1/8の割合で反応容器11内
に導入し、当該反応容器11内において、圧力27kg
/cm2G,温度220℃にて前記アルカリ化酸化クロ
ム−酸化アルミニウム触媒に接触させ、COS転化率9
8%を達成したときの空塔速度を処理時間毎に調べた。
この際触媒の粒径を変えて同様の実験を行った。
【0033】この結果を図5に示すが、図中横軸は処理
時間、縦軸はCOS転化率98%を達成するための空塔
速度を夫々示し、また図中●は粒径1mmの触媒、▲は
粒径3mmの触媒、■は粒径4.5mmの触媒を夫々示
している。この結果により処理時間が長くなるにつれて
COS転化率98%を達成するための空塔速度が小さく
なっていくこと、及び同じ処理時間であっても粒径が大
きくなるにつれてCOS転化率98%を達成するための
空塔速度が小さくなっていくことが認められ、この実験
からも処理時間が長くなれば触媒の活性が低下すること
及び粒径が小さくなれば触媒の活性が向上することが確
認された。またこの実験からも粒径4.5mmの触媒を
用いて連続して8000時間処理を行う場合には、CO
S転化率98%を達成するためには空塔速度を2000
h-1としなければならないことが確認された。
【0034】続いて触媒の粒径のHCNの転化性能に及
ぼす影響を確認するために次のような実験を行った。つ
まり図1の装置と類似の実験室規模の転化装置を用い、
HCNを180ppmvの割合で含む混合ガス(水素ガ
ス)と水蒸気とを、水蒸気/混合ガス容量比=1/6.
5の割合で反応容器11内に導入し、当該反応容器11
内において、圧力27kg/cm2G,温度180℃に
て3750h-1の空塔速度で前記アルカリ化酸化クロム
−酸化アルミニウム触媒に接触させ、HCN残存率(H
CN未転化率)と処理時間との関係を触媒の粒子径を変
えて調べた。また反応温度を200℃,空塔速度を75
00h-1に変えて同様の実験を行った。
【0035】この結果を図6に示すが、図中横軸は処理
時間、縦軸はHCN残存率を夫々示している。また図中
○は粒径0.8mmの触媒、△は粒径1mmの触媒、□
は粒径4.5mmの触媒、◇は粒径5mmの触媒を用
い、反応温度180℃,空塔速度3750h-1の場合、
●は粒径0.8mmの触媒、▲は粒径1mmの触媒、■
は粒径4.5mmの触媒、◆は粒径5mmの触媒を用
い、反応温度200℃,空塔速度7500h-1の場合を
夫々示している。
【0036】この結果よりHCN転化率は反応温度18
0℃,空塔速度3750h-1のときには98%以上であ
り、反応温度200℃,空塔速度7500h-1のときに
は95%以上であって当該触媒はHCNの転化に対して
も高い活性を有することが確認された。
【0037】またHCN転化率は触媒の粒径を変えても
反応温度や空塔速度が同じであればほぼ一定であって、
また処理時間が長くなってもほぼ一定であることが認め
られ、HCN加水分解の進行の度合いは反応温度や空塔
速度に依存するものの触媒の粒径には依存しないこと、
また処理時間が長くなっても触媒の活性は低下しないこ
とが確認された。
【0038】以上の実験により、COS及びHCNを含
む混合ガスを、容量比0.05≦水蒸気/混合ガス≦
0.3の割合の水蒸気の存在下で、アルカリ化酸化クロ
ム−酸化アルミニウム触媒と150〜250℃の温度に
て、2000h-1以上の空塔速度で接触させて転化を行
う場合に、8000時間以上の長時間の処理においても
98%以上の高いCOS転化率と95%以上の高いHC
N転化率を得るためには、アルカリ化酸化クロム−酸化
アルミニウム触媒の粒径を1mm以上4.5mm以下に
設定すればよいことが見出された。
【0039】ここで本発明において反応温度を150〜
250℃としているのは、250℃以上にすると触媒活
性が大きくなり過ぎ、触媒の寿命が短くなってしまうお
それがあり、また高温にするとエネルギ−の消費が大き
くなるので、エネルギ−上の問題から従来よりこの程度
の反応温度にしているからである。また水蒸気と混合ガ
スの容量比を0.05≦水蒸気/混合ガス≦0.3とし
ているのは、従来よりCOS及びHCNに対する量論量
以上の水蒸気量であって、アルミナのベ−マイト化を抑
制するために露点組成以下の水蒸気量となるように設定
しているからである。
【0040】このように本実施の形態によれば、COS
及びHCNを含む混合ガスの転化処理を行う場合に、ア
ルカリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒の粒径の最
適化を図ったので、2000h-1以上の空塔速度で処理
を行ってもCOS及びHCNの高い転化率を得ることが
できる。このようにCOSとHCNとを同時に大きな処
理速度で転化できるので、工業的規模で大量処理を行う
場合であっても触媒床が小形化され、結果として装置全
体を小型化してコストダウンを図ることができる。
【0041】またアルカリ化酸化クロム−酸化アルミニ
ウム触媒の粒径の最適化を図ったので副生反応の進行が
抑制され、8000時間という長時間の処理においても
COS転化率98%、HCN転化率95%を達成するこ
とができる。
【0042】以上において本発明の対象となる混合ガス
はCOSのみを含むガスであってもよいし、HCNのみ
を含むガスであってもよい。また本発明方法は混合ガス
中のCOSのみを転化する処理に適用してもよいし、混
合ガス中のHCNのみを転化する処理に適用してもよ
い。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、COS及
び/又はHCNを含む混合ガスを水蒸気の存在下でアル
カリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒に接触させて
COS及び/又はHCNの転化処理を行う場合に、アル
カリ化酸化クロム−酸化アルミニウム触媒の粒径を1m
m以上4.5mm以下に設定したので、例えば空塔速度
2000h-1以上の大きな処理速度で処理を行うことが
でき、COS及び/又はHCNの高い転化率を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための転化装置の一例を
示す縦断側面図である。
【図2】COS残存率と触媒と混合ガスとの接触時間と
の関係を示す特性図である。
【図3】COS残存率と触媒と混合ガスとの接触時間と
の関係を示す特性図である。
【図4】相対ベ−マイト化率と処理時間との関係を示す
特性図である。
【図5】空塔速度と処理時間との関係を示す特性図であ
る。
【図6】HCN残存率と処理時間との関係を示す特性図
である。
【符号の説明】
11 反応容器 12 ガス供給管 13 ガス排出管 14 触媒床 15,16 触媒サポ−ト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 31/20 B01D 53/36 ZABC (72)発明者 石垣 慎也 愛知県半田市洲崎2−110 日揮株式会社 衣浦研究所内 (72)発明者 細谷 栄一 東京都千代田区九段南3−9−14 日産ガ −ドラ−触媒株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化カルボニル及び/又はシアン化水素
    を含む混合ガスを、水蒸気の存在下でアルカリ化酸化ク
    ロム−酸化アルミニウム触媒と接触させることにより、
    前記混合ガス中の硫化カルボニル及び/又はシアン化水
    素を転化する方法において、 前記混合ガスと水蒸気との容量比が0.05≦水蒸気/
    混合ガス≦0.3である前記混合ガス及び水蒸気を、粒
    径が1mm以上4.5mm以下の前記アルカリ化酸化ク
    ロム−酸化アルミニウム触媒に、150℃以上250℃
    以下の温度にて、2000h-1以上の空塔速度で接触さ
    せることを特徴とする混合ガス中の硫化カルボニル及び
    /又はシアン化水素の転化方法。
JP11189301A 1998-07-06 1999-07-02 混合ガス中の硫化カルボニル及び/又はシアン化水素の転化方法 Withdrawn JP2000086211A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010534758A (ja) * 2007-07-31 2010-11-11 シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ H2s、co2及びhcn及び/又はcosを含有する原料ガスから精製ガスを製造する方法
WO2018097063A1 (ja) * 2016-11-22 2018-05-31 三菱重工業株式会社 ガス精製装置及びガス精製方法

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