JP2000085074A - 医療用容器 - Google Patents

医療用容器

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JP2000085074A
JP2000085074A JP10270532A JP27053298A JP2000085074A JP 2000085074 A JP2000085074 A JP 2000085074A JP 10270532 A JP10270532 A JP 10270532A JP 27053298 A JP27053298 A JP 27053298A JP 2000085074 A JP2000085074 A JP 2000085074A
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resin
container
linear polyethylene
polypropylene
range
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Inventor
Kazuya Araki
和也 荒木
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 収容した薬液と共に温度120℃以上の高圧
蒸気滅菌処理にも耐えることができる医療用容器を提
供。 【構成】 透明性及び柔軟性を有する樹脂の積層構造壁
からなり、且つ収容した薬液と共に高圧蒸気滅菌処理さ
れる医療用容器において、上記容器壁は、密度が0.910
〜0.940g/cm3の範囲にある線状ポリエチレンとポリプロ
ピレン系樹脂とからなり、且つ上記線状ポリエチレンと
上記ポリプロピレン系樹脂の重量比(PE/PP)が5
5/45〜95/5の範囲にある内層と、上記ポリプロ
ピレン系樹脂と上記線状ポリエチレンとからなり、且つ
上記ポリプロピレン系樹脂と上記線状ポリエチレンとの
重量比(PP/PE)が80/20〜99.9/0.1
の範囲にある上記内層に隣接する中間層又は外層と、か
らなり、上記内層はその厚みが10〜80μmの範囲に
限られることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薬液を収容した医療用容
器に関する。本発明は基本的に柔軟性及び透明性を有し
た樹脂容器であって、特に温度120℃以上の高圧蒸気
滅菌に耐える医療用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用容器はガラス容器から樹脂容器に
代わりつつある。樹脂容器は柔軟な容器であるため、使
用時、エア針等を必要としないため医療用容器に好まし
く、その廃棄処理もガラス容器より簡単であるからであ
る。その容器に用いる樹脂はポリ塩化ビニル、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン等である。容器の
廃棄問題の点、及び内容物に悪影響を与えない点で特に
ポリエチレンが頻繁に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】医療用の樹脂容器は一
般にその容器壁が耐熱性、透明性、及び柔軟性(内容液
の滴下性)に優れていることが望ましい。このような樹
脂容器としてはポリエチレン容器がある。従来のポリエ
チレン容器は耐熱性、透明性、及び柔軟性に優れている
ことが知られている。しかし、このような容器に高圧蒸
気滅菌を行う場合、その加熱温度は115℃以下であ
る。それ以上の温度でこのような容器に高圧蒸気滅菌を
行うと、容器が変形したりする。また、容器の内壁同
士、又は外壁同士が互いに接着したりして、壁同士が完
全に離れなくなるブロッキングを生じる場合がある。こ
のため、更に耐熱性のある医療用のポリエチレン容器が
望まれている。最近、高密度ポリエチレンを使用した耐
熱性の容器が提案されている(特開平4−266759
号公報)。このポリエチレン容器はその容器壁が種類の
異なる樹脂の積層構造からなる。その容器壁の外層は低
密度ポリエチレンに5〜40%程度の高密度ポリエチレ
ンが混合された樹脂からなる。そして、高密度ポリエチ
レンによって容器壁の耐熱性が保たれている。また、耐
熱性のあるポリプロピレン系樹脂を用いた医療用容器も
あるが、かかる容器は内層から微粒子などの溶出物が多
いとう問題がある。本発明の目的は、温度120℃以上
の高圧蒸気滅菌に耐える医療用容器を提供するものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明性及び柔
軟性を有する樹脂の積層構造壁からなり、且つ収容した
薬液と共に高圧蒸気滅菌処理される医療用容器におい
て、上記容器壁は、密度が0.910〜0.940g/cm3の範囲に
ある線状ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂とからな
り、且つ上記線状ポリエチレンと上記ポリプロピレン系
樹脂の重量比(PE/PP)が55/45〜95/5の
範囲にある内層と、上記ポリプロピレン系樹脂と上記線
状ポリエチレンとからなり、且つ上記ポリプロピレン系
樹脂と上記線状ポリエチレンとの重量比(PP/PE)
が80/20〜99.9/0.1の範囲にある上記内層
に隣接する中間層又は外層と、からなり、上記内層はそ
の厚みが10〜80μmの範囲に限られることを特徴と
する医療用容器を提供するものである。
【0005】本発明の医療用容器は樹脂容器であり、そ
の樹脂容器はその壁が積層構造からなる。樹脂容器は基
本的に透明性及び柔軟性を有するものである。容器の透
明性は容器内の収容薬液中の沈殿物や微粒子等の不純物
が確認できる程度の透明性を有するものである。容器の
柔軟性は点滴針等を取り付けた排出口等から収容薬液が
自然滴下できる程度に柔軟性を有するものである。上記
樹脂容器はブロー成形、圧空成形、真空成形、射出成形
したもの、或いはフィルム或いはシートを適宜に裁断し
て周縁を熱溶着シールして成形したものである。上記容
器壁を樹脂の積層構造とする場合、ブロー成形、圧空成
形、真空成形、或いは射出成形等のときは各樹脂の共押
出によって形成される。フィルム或いはシートを使用す
るときは、そのフィルム或いはシートを共押出しによっ
て形成するか、各樹脂フィルムを個々に形成した後、こ
れらをラミネートして製造する。
【0006】本発明に係る医療用容器には輸液、透析
液、臓器保存液等の薬液が収容される。薬液は容器に収
容された後、医療用容器と共に高圧蒸気滅菌処理され
る。高圧蒸気滅菌処理は従来と異なり、温度120℃以
上で行うことが望ましい。このような処理温度にあって
は薬液の滅菌が完全且つ迅速に行うことができる。
【0007】上記容器壁は、密度が0.910〜0.940g/cm3
の範囲にある線状ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂
とからなり、且つ上記線状ポリエチレンと上記ポリプロ
ピレン系樹脂の重量比(PE/PP)が55/45〜9
5/5の範囲にある内層を有する。
【0008】上記線状ポリエチレンは、その密度が0.91
0〜0.940g/cm3の範囲にある線状低密度ポリエチレン及
び中密度ポリエチレンである。上記線状ポリエチレンは
イオン重合によって得られる線状ポリエチレンである。
上記イオン重合はTi系触媒(チーグラー法)、Cr系
触媒(フィリップ法)、又はZi系触媒(カミンスキー
法)が用いられる。中でも、カミンスキー法によるメタ
ロセン触媒によって得られる線状ポリエチレンは分子量
及び立体規則性が狭い。このため、加熱処理される容器
材料としては熱変形、ブロッキングが起き難い点で特に
望ましい。重合プロセスは気圧〜100(kg/cm2)の範囲の
条件下で、溶液法、スラリー法、又は気相法が用いられ
る。上記線状ポリエチレンはその密度が0.910〜0.940g/
cm3の範囲、特に0.910〜0.940g/cm3の範囲にあることが
望ましい。上記線状ポリエチレンはその密度を調製する
ため、少量のα−オレフィンが共重合される。α−オレ
フィンを数%共重合させると、線状ポリエチレンの主鎖
に短鎖の分岐が導入され、線状ポリエチレンは低密度化
される。α−オレフィンはプロピレン、ブテン−1、ヘ
キセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1等
である。上記線状ポリエチレンのビカッド軟化点温度
(JIS:K6760法)は、105〜120℃の範囲にあるこ
とが望ましい。上記線状ポリエチレンは耐熱性、透明性
及び柔軟性を十分に有している。尚、上記線状ポリエチ
レンには耐熱性及び透明性に影響を与えない範囲、例え
ば、20重量%以下の高圧法による低密度ポリエチレン
を添加しても良い。
【0009】上記ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー
・ナッタ触媒を用いて重合されるポリプロピレンであ
る。上記ポリプロピレン系樹脂はメタロセン触媒を用い
て重合されるポリプロピレンである。上記ポリプロピレ
ン系樹脂は少量のα−オレフィンを共重合させた共重合
体であっても良い。上記チーグラー・ナッタ触媒を用い
て重合されるポリプロピレンは、主にアイソタクチック
ポリプロピレンである。上記メタロセン触媒を用いて重
合されるポリプロピレンは主にアイソタクチックポリプ
ロピレン及びシンジオタクチックポリプロピレンであ
る。上記アイソタクチックは副生成物のアタックチック
ポリマー等を少量含んでも良い。しかし、上記アイソタ
クチックポリプロピレンはアタックチックポリマーを除
去したものが望ましい。上記メタロセン触媒を用いて重
合されるポリプロピレンは、その触媒が可溶性で活性点
が1種のため、その分子量や立体規則性の分布が狭い点
で望ましい。また上記シンジオタクチックポリプロピレ
ンはシクロペンタジエニル環とフルオレニル環とからな
るメタロセン触媒を用いて重合される。上記シンジオタ
クチックポリプロピレンはアイソタクチックポリプロピ
レンに較べて軟らかく、透明性があるため、柔軟な医療
用バックに適用することが望ましい。上記プロピレン/
α−オレフィン共重合体は、プロピレン/エチレンラン
ダム共重合体、プロピレン/ブテンランダム共重合体、
及びプロピレン/エチレン/ブテン共重合体等である。
共重合体中のα−オレフィンは1〜10重量%、特に3
〜7重量%の範囲で含まれることが望ましい。α−オレ
フィンはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−
メチルペンテン−1、オクテン−1である。上記α−オ
レフィンをプロピレンに共重合させることによって、そ
のポリマーに柔軟性と透明性とを賦与することができ
る。一般にポリプロピレンに核剤等を添加して透明性を
賦与するが、医療用バックではこのような核剤を使用で
きない場合があるため、上記共重合体とすることは好ま
しい。上記ポリプロピレンはビカッド軟化点温度(JI
S:K6758法)が温度140℃以上であることが望まし
く、上記温度特性を有するポリプロピレンでは、耐熱性
を示すことができる。
【0010】上記内層は、上記線状ポリエチレンと上記
ポリプロピレン系樹脂の重量比(PE/PP)が55/
45〜95/5の範囲にある。好ましい混合重量比(P
E/PP)は60/40〜90/10の範囲である。上
記線状ポリエチレンと上記ポリプロピレン系樹脂との混
合重量比が上記範囲内であれば、上記容器壁の透明性、
及び柔軟性が十分にあると共に、温度120℃以上の高
圧蒸気滅菌、例えば、温度121℃、30分間の高圧蒸
気滅菌処理後におても、その透明性が十分に維持され
る。このため、上記内層は耐熱性のある容器壁を提供す
ることができる。上記線状ポリエチレンと上記ポリプロ
ピレン系樹脂との混合重量比における上記ポリプロピレ
ン系樹脂の重量比が上回れば、上記容器壁の内層同士の
熱接着性、即ち、ヒートシール性が悪くなる。このた
め、扁平ブロー成形における周縁部の金型同士のくわえ
込み部分の再シールが不完全となったり、シート同士の
周縁のシールが悪くなり、製造上に問題が生じる。ま
た、上記内層に上記ポリプロピレン系樹脂の混合量が多
くなるに従って、容器内の内容液中の微粒子が増加す
る。即ち、上記内層のポリプロピレン系樹脂量が増加す
ると、上記内層から内容液内への微粒子の流出が増大
し、医療用容器として好ましくない。しかし、上記範囲
内であれば、内容液への微粒子の流出を十分に抑えるこ
とができる。上記線状ポリエチレンと上記ポリプロピレ
ン系樹脂との混合重量比における上記ポリプロピレン系
樹脂の重量比が下回れば、高圧蒸気滅菌処理後の上記内
層が十分に透明性を維持することができなくなる。
【0011】上記内層はその厚みが10〜80μmの範
囲に限られる。上記内層の厚みは、特に20〜60μm
の範囲にあることが望ましい。上記範囲内の厚みであれ
ば、上記容器壁の透明性、及び柔軟性が十分にあると共
に、温度120℃以上の高圧蒸気滅菌、例えば、温度1
21℃、30分間の高圧蒸気滅菌処理後におても、その
透明性の低下は少ない。上記内層の厚みが上記範囲を下
回ると問題が生じる。上記内層を容器壁に共押し出し形
成する上で、多少の厚みのばらつきが生じ、製造上のば
らつき厚みが5〜6μm程度に達する場合もある。この
ため、上記中間層又は外層が直接或いは実質的に内容液
に接する状態におかれるおそれが生じる。内容液に微粒
子などが多量に混入する危険性がある。これは医療用容
器としての安全性を欠くものである。上記内層の厚みが
上記範囲を上回ると、高圧蒸気滅菌処理後の上記内層が
十分に透明性を維持することができなくなる。
【0012】上記内層に隣接する中間層又は外層は、上
記ポリプロピレン系樹脂と上記線状ポリエチレンとから
なり、且つ上記ポリプロピレン系樹脂と上記線状ポリエ
チレンとの重量比(PP/PE)が80/20〜99.
9/0.1の範囲にある。上記ポリプロピレン系樹脂及
び線状ポリエチレンは上記内層に用いた樹脂と同様な種
類のものである。特に、上記中間層又は外層に用いられ
る樹脂は、上記内層に用いられる各樹脂と一部同一又は
全く同一であることが望ましい。樹脂が同一であれば、
容器壁の積層構造が強く、層間のデラミネーションなど
が生じない。上記内層との隣接する層は上記容器壁が二
層構造であれば外層として存在し、三層以上であれば中
間層として存在しても良い。上記ポリプロピレンと上記
線状ポリエチレンとの混合層は少なくとも上記内層に隣
接する層である。上記ポリプロピレン系樹脂と上記線状
ポリエチレンとの重量比(PP/PE)が80/20〜
99.9/0.1の範囲、特に86/14〜99/1の
範囲であることが望ましい。上記範囲内の重量比でれ
ば、上記線状ポリエチレンの配合により上記ポリプロピ
レン系樹脂が透明性を増加させ、上記中間層又は外層が
400μm以上の厚みであっても上記容器壁に十分な透
明性を賦与する。上記線状ポリエチレンの配合量が上記
範囲を下回れば、透明性が悪くなると共に、上記内層と
の接着性も悪くなる。上記線状ポリエチレンの配合量が
上記範囲を上回れば、高圧蒸気滅菌処理後の容器壁の透
明性の維持が困難となる。
【0013】このように構成される本発明に係る医療用
容器にあっては、上記中間層又は外層の厚みを厚くする
ことができる。このため、上記容器壁に十分な強度を賦
与することができる。上記中間層又は外層が容器壁の大
部分を占めても、上記容器壁の透明性及び柔軟性は十分
に維持される。これは、ポリプロピレン系樹脂の単体よ
り、少量の線状ポリエチレンをブレンドすることによっ
て透明性及び柔軟性が賦与されるからである。従って、
医療用容器における薬液の状態の観察が十分にでき、ま
た点滴時等における自然滴下性を容器壁は十分に維持し
ている。更に、ポリプロピレン系樹脂を多量に含む混合
層は微粒子などの溶出物が高圧蒸気滅菌後、多量にでる
が、上記医療用容器においてはその内層のポリプロピレ
ン系樹脂が半分以下なので、ポリプロピレン系樹脂の単
独容器壁或いはポリプロピレン系樹脂がリッチな混合樹
脂の容器壁等に較べると、微粒子など溶出物が少ない。
上記医療用容器を温度120℃以上で高圧蒸気滅菌処理
した後も、上記内層の線状ポリエチレンとポリプロピレ
ン系樹脂とのブレンド樹脂は、ポリエチレン層の単独に
較べて高圧蒸気滅菌後の耐熱性を有し、上記容器壁に白
化現象等の曇りが生じ難い。また上記内層の厚みを極力
薄くしているので、容器壁の透明性も十分に維持され
る。従って、医療用容器は基本的な透明性と柔軟性を有
することができ、120℃以上の高圧蒸気滅菌にも十分
に耐えることができる。
【0014】更に、上記内層に上記線状ポリエチレンと
ポリプロピレン系樹脂とを一定の混合比率にしたブレン
ド物を一定の厚みでヒートシール層として設けたので、
容器壁同士の固着シール形成及び剥離可能なシール形成
を簡単に行うことができる。このため、使用時まで容器
内の2成分を分離して保存し、使用時に剥離可能なシー
ル部を外側から剥離するような医療用容器として提供す
ることが簡単にできる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の医療用容器に関する実施例を
詳述する。図1は本発明の医療用容器に関する実施例の
平面図である。図2は本発明の医療用容器に関する実施
例のシートの断面図である。図3は本発明の医療用容器
に関する実施例のシートの拡大断面図である。
【0016】図1に示す如く、本実施例に係る医療用容
器10は2室12、14が形成され、各室12、14に
は異なる薬液16、18が収容される。各室12、14
には、充填口兼排出口のポート20、22がそれぞれ取
付られる。図2及び図3に示す如く医療用容器10は2
枚のシート24、26から成形される。各シート24、
26はそれぞれのフィルムがラミネートされ、積層構造
になっている。シート24、26が容器10壁となった
とき、外層32は耐熱樹脂層として形成され、中間層3
4は補強樹脂層として形成され、また内層36はヒート
シール層として形成される。尚、実施例2のみが中間層
34を有する。
【0017】各シート24、26は互いの周縁部28が
固着シールされる。周縁部28は温度150℃でヒート
シールされる。この熱接着シールの際に、内層36は完
全に溶解し、中間層34はその固着シールに関与する。
各シート24、26の中央部には剥離可能な隔離シール
部30が形成され、隔離シール部30によって医療用容
器10は室12、14に区分される。隔離シール部30
は温度125℃でヒートシールされる。そして、各シー
ト24、26の互いの内層36、36同士が熱接着シー
ルされ、使用時に外側から剥離可能なシール部30とし
て形成される。医療用容器10は薬液16、18を排出
口から充填した後、各室12、14は密封され、医療用
容器10は温度121℃で、30分間高圧蒸気滅菌処理
される。このような医療用容器10はその使用にあって
は、隔離シール部30を剥離した後、各薬液16、18
が無菌的に混合された状態で点滴等がされる。また、保
存時においては、反応し易い薬液16、18同士を隔離
した状態にして置くことができる。
【0018】上記医療用容器の各実施例のシート24、
26を構成する外層32、中間層34、及び内層36の
各樹脂フィルム、及びその厚みは表1に示してある。各
実施例1〜8における表1の各樹脂フィルムは以下の材
料からなる。上記各樹脂フィルムは、PE、HDPE(1)、P
E/PP(1)〜(7)、及びPP/PE(1)〜(5)である。上記PE
は、密度が0.926(g/cm3)であり、そのMFR(J
IS K6760)が1.0(g/10min)である線状ポリエチレ
ンである。上記HDPE(1)は、密度が0.952(g/cm3
であり、そのMFR(JIS K6760)が1.1(g/10min)
である線状ポリエチレンである。
【0019】上記PE/PP(1)は、密度が0.926(g/cm
3)であり、そのMFR(JIS K6760)が1.0(g/10mi
n)である線状ポリエチレン70重量%と、MFR(JIS
K6758)が(6.6g/10min)でアイソタクチックペン
タッド分率が0.88のアイソタクチックポリプロピレ
ン30重量%とをブレンドした混合樹脂である。上記PE
/PP(2)は、密度が0.926(g/cm3)であり、そのM
FR(JIS K6760)が1.0(g/10min)である線状ポリ
エチレン90重量%と、MFR(JIS K6758)が(6.
6g/10min)でアイソタクチックペンタッド分率が0.
88のアイソタクチックポリプロピレン10重量%とを
ブレンドした混合樹脂である。上記PE/PP(3)は、密度が
0.926(g/cm3)であり、そのMFR(JIS K6760)
が1.0(g/10min)である線状ポリエチレン60重量
%と、MFR(JIS K6758)が(6.6g/10min)でア
イソタクチックペンタッド分率が0.88のアイソタク
チックポリプロピレン40重量%とをブレンドした混合
樹脂である。
【0020】上記PE/PP(4)は、密度が0.918(g/cm
3)であり、そのMFR(JIS K6760)が0.9(g/10mi
n)である線状ポリエチレン60重量%と、MFR(JIS
K6758)が(6.6g/10min)でアイソタクチックペン
タッド分率が0.88のアイソタクチックポリプロピレ
ン40重量%とをブレンドした混合樹脂である。上記PE
/PP(5)は、密度が0.935(g/cm3)であり、そのM
FR(JIS K6760)が1.0(g/10min)である線状ポリ
エチレン90重量%と、MFR(JIS K6758)が(6.
8g/10min)でシンジオタクチックペンタッド分率が
0.87のシンジオタクチックポリプロピレン10重量
%とをブレンドした混合樹脂である。
【0021】上記PE/PP(6)は、密度が0.926(g/cm
3)であり、そのMFR(JIS K6760)が1.0(g/10mi
n)である線状ポリエチレン70重量%と、MFR(JIS
K6758)が(6.8g/10min)でシンジオタクチックペ
ンタッド分率が0.87のシンジオタクチックポリプロ
ピレン30重量%とをブレンドした混合樹脂である。上
記PE/PP(7)は、密度が0.926(g/cm3)であり、そ
のMFR(JIS K6760)が1.0(g/10min)である線状
ポリエチレン70重量%と、MFR(JIS K6758)が
(6.6g/10min)で、エチレンを4重量%含むプロピ
レン−エチレンランダム共重合体30重量%とをブレン
ドした混合樹脂である。
【0022】上記PP/PE(1)は、MFR(JIS K6758)が
(6.6g/10min)でアイソタクチックペンタッド分率
が0.88のアイソタクチックポリプロピレン90重量
%と、密度が0.926(g/cm3)であり、そのMFR
(JIS K6760)が1.0(g/10min)である線状ポリエチ
レン10重量%とをブレンドした混合樹脂である。上記
PP/PE(2)は、MFR(JIS K6758)が(6.6g/10mi
n)でアイソタクチックペンタッド分率が0.88のア
イソタクチックポリプロピレン85重量%と、密度が
0.918(g/cm3)であり、そのMFR(JIS K6760)
が1.0(g/10min)である線状ポリエチレン15重量
%とをブレンドした混合樹脂である。上記PP/PE(3)は、
MFR(JIS K6758)が(6.6g/10min)でアイソタ
クチックペンタッド分率が0.88のアイソタクチック
ポリプロピレン99重量%と、密度が0.935(g/cm
3)でありであり、そのMFR(JIS K6760)が1.0
(g/10min)である線状ポリエチレン1重量%とをブレ
ンドした混合樹脂である。
【0023】上記PP/PE(4)は、MFR(JIS K6758)が
(6.8g/10min)でシンジオタクチックペンタッド分
率が0.87のシンジオタクチックポリプロピレン90
重量%と、密度が0.926(g/cm3)であり、そのM
FR(JIS K6760)が1.0(g/10min)である線状ポリ
エチレン10重量%とをブレンドした混合樹脂である。
上記PP/PE(5)は、MFR(JIS K6758)が(6.6g/10
min)で、エチレンを4重量%含むプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体90重量%と、密度が0.926
(g/cm3)であり、そのMFR(JIS K6760)が1.0
(g/10min)である線状ポリエチレン10重量%とをブ
レンドした混合樹脂である。
【0024】各シートから医療用容器10を作製し、そ
の耐熱変形性、透明性、自然滴下性及びシール性を測定
した。耐熱性は、以下の事項を測定した。容器内壁にブ
ロッキングなどが生じるか否かである。また容器壁に白
濁又は斑点が生じるか否かである。更に容器壁にしわな
どの変形が生じるか否かである。これらの事項の全てが
良好なものを耐熱性が良好であるとした。少なくとも1
つの事項に不良を生じているものを耐熱性がないとし
た。透明性は以下の方法によって測定した。滅菌後の容
器からその厚さが均一な壁の部分を採り、この部分から
測定用サンプルを作製する。各サンプルは0.9×4c
mの大きさに切断したものを5個作製する。紫外線吸収
スペクトル測定用セルに水を満たし、セル内の水に各サ
ンプルを浸す。対照は水だけを満たしたセルである。光
透過測定法により波長450nmにおける各セルの透過率
を測定する。容器壁の透過率が55%未満のものを不可
とする。自然滴下性は以下の方法によって測定した。医
療用容器の排出口に点滴針を連結し、点滴針の位置から
1.5m下に静脈針を配する。この静脈針から滴下する
液量を単位時間毎に測定する。 ○:時間1分当たりの滴下量の各区分毎のばらつきは8
0%以内である。 ×:時間1分当たりの滴下量の各区分毎のばらつきが8
0%を下回るものである。 隔離シール部30の剥離性は医療用容器10の室12を
0.2kg/cm2まで加圧するように外側を手で押圧した時
に、剥離可能シール部が十分に剥離するか否かで調べ
る。周縁部28の固着シール性は、容器10内を2kg/c
m2まで加圧したときのピンホール等を調べ、ピンホール
のないものを漏れのない合格品とする。以上の評価の結
果を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】上記表2に示すように、実施例1〜8の測
定結果は良好であった。特に実施例7の透明性が優れ、
また内容液中の溶出物等の溶出もなかった。また、比較
例1に示す如く、容器壁の内層が線状ポリエチレンのも
のは高圧蒸気滅菌後に変形不良を起こしたのみでなく、
白化現象も生じていた。このため、容器壁の透明性の測
定及び自然滴下性の測定は不可能であった。また、比較
例2に示す如く、容器壁の内層が厚すぎると、高圧蒸気
滅菌処理後、白化現象が増大し、容器壁の透明性も悪く
なった。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用
容器では、上記容器壁は、密度が0.910〜0.940g/cm3
範囲にある線状ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂と
からなり、且つ上記線状ポリエチレンと上記ポリプロピ
レン系樹脂の重量比(PE/PP)が55/45〜95
/5の範囲にある内層と、上記ポリプロピレン系樹脂と
上記線状ポリエチレンとからなり、且つ上記ポリプロピ
レン系樹脂と上記線状ポリエチレンとの重量比(PP/
PE)が80/20〜99.9/0.1の範囲にある上
記内層に隣接する中間層又は外層と、からなり、上記内
層はその厚みが10〜80μmの範囲に限られるので、
温度120℃以上の高圧蒸気滅菌に耐える医療用容器を
提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の医療用容器に関する実施例の平
面図である。
【図2】図2は本発明の医療用容器に関する実施例のシ
ートの断面図である。
【図3】図3は本発明の医療用容器に関する実施例のシ
ートの拡大断面図である。
【符号の説明】
10 医療用容器 12、14 室 16、18 薬液 20、22 排出口 24、26 シート 28 周縁部 30 隔離シール部 32 外層 34 中間層 36 内層
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK04A AK04B AK04C AK05 AK07A AK07B AK07C AK64A AK64B AK64C AL03A AL03B AL03C AL05A AL05B AL05C BA03 BA10A BA10C BA16 BA27 GB16 JA13A JA13B JA13C JA20A JJ03 YY00A YY00B YY00C 4J002 BB03W BB12X BB15X GB01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明性及び柔軟性を有する樹脂の積層構造
    壁からなり、且つ収容した薬液と共に高圧蒸気滅菌処理
    される医療用容器において、 上記容器壁は、密度が0.910〜0.940g/cm3の範囲にある
    線状ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂とからなり、
    且つ上記線状ポリエチレンと上記ポリプロピレン系樹脂
    の重量比(PE/PP)が55/45〜95/5の範囲
    にある内層と、上記ポリプロピレン系樹脂と上記線状ポ
    リエチレンとからなり、且つ上記ポリプロピレン系樹脂
    と上記線状ポリエチレンとの重量比(PP/PE)が8
    0/20〜99.9/0.1の範囲にある上記内層に隣
    接する中間層又は外層と、からなり、上記内層はその厚
    みが10〜80μmの範囲に限られることを特徴とする
    医療用容器。
  2. 【請求項2】上記内層に用いる上記線状ポリエチレン及
    び上記ポリプロピレン系樹脂は、上記中間層又は外層に
    用いられる上記ポリプロピレン系樹脂及び線状ポリエチ
    レンと同一の樹脂であることを特徴とする請求項1記載
    の医療用容器。
  3. 【請求項3】上記ポリプロピレン系樹脂は、アイソタク
    チックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピ
    レン、又は1〜10重量%の範囲でエチレンを共重合す
    るプロピレン−エチレンランダム共重合体であることを
    特徴とする請求項1記載の医療用容器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002205362A (ja) * 1999-11-10 2002-07-23 Japan Polychem Corp 積層体及び医療用袋
JP2006212058A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Terumo Corp 医療用容器の製造方法

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