JP2000082388A - 電子源及び該電子源製造方法及びその装置及び前記電子源を用いた画像表示装置 - Google Patents

電子源及び該電子源製造方法及びその装置及び前記電子源を用いた画像表示装置

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JP2000082388A
JP2000082388A JP25304098A JP25304098A JP2000082388A JP 2000082388 A JP2000082388 A JP 2000082388A JP 25304098 A JP25304098 A JP 25304098A JP 25304098 A JP25304098 A JP 25304098A JP 2000082388 A JP2000082388 A JP 2000082388A
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electron source
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Akira Fujii
明 藤井
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造した電子放出素子の特性バラツキの許容
範囲内に入らない電子放出素子を廃棄する工程で、廃棄
行為が環境への好影響を及ぼし、廃棄コストを低減し、
無駄なコストアップを低減することを可能とすることを
課題とする。 【解決手段】 基板上に複数個の電子放出素子を配置し
た電子源の製造方法であって、前記電子源の通電活性化
処理工程後でかつ前記電子源の気密容器の封止工程の前
に、前記電子放出素子の特性測定を行い、前記電子放出
素子の特性測定後でかつ前記電子源の気密容器の封止工
程の前に、再通電活性化処理工程を施すことを特徴とす
る。また、前記再通電活性化処理工程は、前記特性測定
時に放出電流が所定値以下であった電子放出素子に対し
て行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源及びその応
用である画像表示装置に関し、特に電子放出素子を複数
個備える電子源及びその製造方法および製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば電界放出型素子(以下FE型と記
す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下MIM型
と記す)や、表面伝導型放出素子などが知られている。
【0003】FE型の例としては、たとえば、W.P.Dyke
&W.W.Dolan,“Field emission",Advance in Electron P
hysics,8,89(1956)や、あるいは、C.A.Spindt,“Physic
al properties of thin-film field emission cathodes
with molybdenium cones",J.Appl.Phys.,47,5248(197
6)などが知られている。
【0004】また、MIM型の例としては、たとえば、
C.A.Mead,“Operation of tunnel-emission Devices",
J.Appl.Phys.,32,646(1961)などが知られている。
【0005】また、表面伝導型放出素子としては、たと
えば、M.I.Elinson,Radio Eng.Electron Phys.,10,129
0,(1965)や、後述する他の例が知られている。
【0006】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの[G.D
ittmer:“Thin Solid Films",9,317(1972)]や、In2
3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fons
tad:“IEEE Trans.EDConf.",519(1975)]や、カーボン薄
膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、
22(1983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図19に前述のM.Hartwellらによる
素子の平面図を示す。同図において、3001は基板
で、3004はスパッタで形成された金属酸化物よりな
る導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示のよう
にH字形の平面形状に形成されている。該導電性薄膜3
004に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を
施すことにより、電子放出部3005が形成される。図
中の間隔Lは、0.5〜1[mm]、Wは、0.1[m
m]で設定されている。尚、図示の便宜から、電子放出
部3005は導電性薄膜3004の中央に矩形の形状で
示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出
部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0008】また、M.Hartwellらによる素子をはじめと
して上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出を
行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ば
れる通電処理を施すことにより電子放出部3005を形
成するのが一般的であった。すなわち、通電フォーミン
グとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電
圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりと
したレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電
性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変
質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005
を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形
もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀裂
が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜30
04に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近に
おいて電子放出が行われる。
【0009】上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純
で製造も容易であることから、大面積にわたり多数の素
子を形成できる利点がある。そこで、たとえば本出願人
による特開昭64−31332号公報において開示され
るように、多数の素子を配列して駆動するための方法が
研究されている。
【0010】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0011】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP 5,066,883や特
開平2−257551号公報において開示されているよ
うに、表面伝導型放出素子と電子ビームの照射により発
光する蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研
究されている。表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合
わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表
示装置よりも優れた特性が期待されている。たとえば、
近年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型
であるためバックライトを必要としない点や、視野角が
広い点が優れているといえる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記従来
技術に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、
製法、構造の表面伝導型放出素子を試みてきた。さら
に、多数の表面伝導型放出素子を配列したマルチ電子ビ
ーム源、ならびにこのマルチ電子ビーム源を応用した画
像表示装置について研究を行ってきた。
【0013】発明者らは、たとえば、図17に示す電気
的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。
すなわち、表面伝導型放出素子を2次元的に多数個配列
し、これらの素子を図示のようにマトリクス状に配線し
たマルチ電子ビーム源である。
【0014】図中、4001は表面伝導型電子放出素子
を模式的に示したもの、4002は行方向配線、400
3は列方向配線である。行方向配線4002および列方
向配線4003は、実際には有限の電気抵抗を有するも
のであるが、図においては配線抵抗4004および40
05として示されている。上述のような配線方法を、単
純マトリクス配線と呼ぶ。
【0015】なお、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、たとえば画像表示装置用のマルチ電子
ビーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りる
だけの素子を配列し配線するものである。
【0016】表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビーム
を出力させるため、行方向配線4002および列方向配
線4003に適宜の電気信号を印加する。たとえば、マ
トリクスの中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動
するには、選択する行の行方向配線4002には選択電
圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線400
2には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列
方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動電
圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗400
4および4005による電圧降下を無視すれば、選択す
る行の表面伝導型放出素子には、Ve−Vsの電圧が印
加され、また非選択行の表面伝導型放出素子にはVe−
Vnsの電圧が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜
の大きさの電圧にすれば選択する行の表面伝導型放出素
子だけから所望の強度の電子ビームが出力されるはずで
あり、また列方向配線の各々に異なる駆動電圧Veを印
加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電
子ビームが出力されるはずである。また、表面伝導型放
出素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印
加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される
時間の長さも変えることができるはずである。
【0017】したがって、表面伝導型電子放出素子を単
純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源はいろいろな
応用可能性があり、たとえば画像情報に応じた電気信号
を適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適
に用いることができる。
【0018】しかしながら、表面伝導型電子放出素子を
単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源には、その
製造過程において実際には以下に述べるような問題が発
生していた。
【0019】従来のマルチ電子ビーム源の製造工程の一
部を、図18を用いて簡単に説明する。
【0020】最初に、電子源基板上に表面伝導型放出素
子を形成する(S1)。表面伝導型放出素子の形成工程
(S1)は、おもに、配線形成(S11)、導電性薄膜
形成(S12)、通電フォーミング(S13)、通電活
性化処理(S14)の各工程からなる。
【0021】通電フォーミング(S13)とは、すでに
述べたように、導電性薄膜に電流を流して該薄膜を局所
的に破壊もしくは変形もしくは変質させて亀裂を形成す
る処理である。
【0022】この後さらに通電活性化処理(S14)を
行うことにより、通電活性化処理(S14)は、気密容
器内を真空排気し(S141)、気密容器内に有機物ガ
スを導入し(S142)、電子放出素子に通電活性化の
ための電圧パルスを印加する(S143)。電子放出特
性を大幅に改善させる。通電活性化処理とは通電フォー
ミング処理により形成された電子放出部に適宜の条件で
通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積せしめる処理のことである。たとえば、適宜の分圧の
有機物ガスを導入した全圧が10のマイナス4乗ないし
10のマイナス5乗[torr]の真空雰囲気中におい
て、電圧パルスを定期的に印加することにより、電子放
出部の近傍に単結晶グラファイト、多結晶グラファイ
ト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合
物を堆積させる。
【0023】通電活性化終了後には、真空雰囲気中の有
機物の分圧を低減させるため、マルチ電子ビーム源の気
密容器内を10のマイナス7乗[Torr]程度の真空
度まで排気し(S2)、気密容器の封止をする(S
3)。
【0024】その後、点灯検査(S4)として、表面伝
導型放出素子の特性測定を行い(S41)、特性のばら
つきを評価する(S42)。ばらつきが許容範囲以下の
場合、以降の駆動回路の実装等の次工程に送り(S
5)、ばらつき分布が許容範囲以上の場合廃棄する判断
をしている(S43)。
【0025】上記の点灯検査で、次工程に送るのを見合
わせたマルチ電子ビーム源は、再利用するのが難しいた
め、廃棄するのが通例である(S43)。しかしなが
ら、廃棄することにより、環境へ悪影響を及ぼすこと、
廃棄のためのコストが増大すること、廃棄するまでに電
子源基板に投入するコストが無駄になること、等々の問
題を引き起こすことになる。よって製造の途中で廃棄す
るマルチ電子ビーム源をできる限り少なくする必要に迫
られている。
【0026】本発明は、製造した電子放出素子の特性バ
ラツキの許容範囲内に入らない電子放出素子を廃棄する
工程で、廃棄行為が環境への好影響を及ぼし、廃棄コス
トを低減し、無駄なコストアップを低減することを可能
とすることを課題とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明では、電子放出素
子の点灯検査で、素子特性のばらつきが許容範囲を超え
たため廃棄の対象になったマルチ電子ビーム源を再利用
し、表面伝導型放出素子等の電子放出素子の特性のばら
つきを小さくし直す、マルチ電子ビーム源の製造方法及
び製造装置を提案する。
【0028】具体的には、マルチ電子ビーム源の通電活
性化処理の後で、かつ気密容器の封止工程の前に、表面
伝導型放出素子の特性測定を行うことを第1の特徴とし
ている。
【0029】さらに、この特性測定の後でかつ気密容器
の封止工程の前に、前記の特性測定の結果をもとに電子
放出量が少ない表面伝導型放出素子に対し再通電活性化
処理を行うことを第2の特徴としている。
【0030】また、本発明者らは鋭意研究した結果、こ
の再通電活性化処理により電子放出量が少ない表面伝導
型放出素子の電子放出量を増大させることができ、点灯
検査時の素子特性ばらつきを許容範囲内に揃えることが
できることを確認している。特性測定および再通電活性
化処理を気密容器の封止前に行うのは、電子放出量が少
ない表面伝導型放出素子に対し、再通電活性化処理を行
うため、有機物ガスを気密容器内に導入することができ
るようにしておくためである。
【0031】
【発明の実施の形態】[実施形態1] (表示パネルの構成と製造法)次に、本発明を適用した
画像表示装置の表示パネルの構成と製造法について、具
体的な例を示して説明する。
【0032】図1は、本実施形態に用いた表示パネルの
斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を切
り欠いて示している。
【0033】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、符号10
05〜1007により表示パネルの内部を真空に維持す
るための気密容器を形成している。気密容器を組み立て
るにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性
を保持させるため封着する必要があるが、たとえば接着
剤としてフリットガラスを接合部に塗布し、大気中ある
いは窒素雰囲気中で、摂氏400〜500度で10分以
上焼成することにより封着を達成して気密容器を形成す
る。気密容器内部を真空に排気する方法については後述
する。
【0034】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には表面伝導型放出素子
1002がN×M個形成されている。ここで、N,Mは
2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じ
て適宜設定される。たとえば、高品位テレビジョンの表
示を目的とした表示装置においては、N=3000,M
=1000以上の数を設定することが望ましい。本実施
形態においては、N=3072,M=1024とした。
前記N×M個の表面伝導型放出素子は、M本の行方向配
線1003と、N本の列方向配線1004により単純マ
トリクス配線されている。前記、符号1001〜100
4によって構成される部分をマルチ電子ビーム源と呼
ぶ。
【0035】図2に示すのは、マルチ電子ビーム源の平
面図である。基板上には、表面伝導型放出素子が配列さ
れ、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配
線電極1004により単純マトリクス状に配線されてい
る。行方向配線電極1003と列方向配線電極1004
の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成
されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0036】図2のA−A′に沿った断面を、図3に示
す。図において、1001はガラス等の基板、1003
はマトリクス形状の行方向配線電極、1004はマトリ
クス形状の列方向配線電極、1102,1103は素子
電極、1104は導電性薄膜、1105は導電性薄膜1
104に通電フォーミング処理を施した結果形成した電
子放出部、1113は通電フォーミング処理後の通電活
性化処理により形成された薄膜である。
【0037】なお、このような構造のマルチ電子ビーム
源は、あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列
方向配線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、およ
び表面伝導型放出素子の素子電極1102,1103と
導電性薄膜1104を形成した後、行方向配線電極10
03および列方向配線電極1004を介して、各素子に
給電して通電フォーミング処理と通電活性化処理を行う
ことにより製造した。
【0038】なお、マルチ電子ビーム源の製造方法や構
造については、後程で詳しく述べる。
【0039】本実施形態においては、気密容器のリアプ
レート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を
固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板10
01が十分な強度を有するものである場合には、気密容
器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板10
01自体を用いてもよい。
【0040】また、図1によれば、フェースプレート1
007の下面には、蛍光膜1008とメタルバック10
09が形成されている。本実施形態はカラー表示装置で
あるため、蛍光膜1008の部分にはCRTの分野で用
いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられ
ている。各色の蛍光体は、たとえば図4の(a)に示す
ようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライ
プの間には黒色の導電体1010が設けてある。黒色の
導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置
に多少のずれがあっても表示色にずれが生じないように
する事や、外光の反射を防止して表示コストラストの低
下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップ
を防止する事などである。黒色の導電体1010には、
黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するもの
であればこれ以外の材料を用いても良い。
【0041】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図4(a)に示したストライプ状の配列に限られるもの
ではなく、たとえば図4(b)に示すようなデルタ状配
列や、それ以外の配列であってもよい。
【0042】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0043】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜100
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起し
た電子の導電路として作用させる事などである。メタル
バック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート
基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。
なお、蛍光膜1008に低電圧で駆動する低電圧用の蛍
光体材料を用いた場合には、メタルバック1009は用
いない。
【0044】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。この場合は、メタルバック1009は不要である。
【0045】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気路とを
電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端
子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方
向配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム
源の列方向配線1004と、Hvはフェースプレートの
メタルバック1009と電気的に接続している。
【0046】以上、本発明実施形態の表示パネルの基本
構成と製法を説明した。
【0047】(マルチ電子ビーム源の製造方法)次に、
前記実施形態の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源
の製造方法について説明する。
【0048】本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子
ビーム源は、表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
した電子源であれば、表面伝導型放出素子の材料や形状
あるいは製法に制限はない。しかしながら、本発明者ら
は、表面伝導型放出素子の中では、電子放出部もしくは
その周辺部を微粒子膜から形成したものが電子放出特性
に優れ、しかも製造が容易に行えることを見いだしてい
る。したがって、高輝度で大画面の画像表示装置のマル
チ電子ビーム源に用いるには、最も好適であるといえ
る。そこで、上記実施形態の表示パネルにおいては、電
子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表
面伝導型放出素子を用いた。
【0049】そこで、好適な表面伝導型放出素子につい
て基本的な構成と製法および特性を説明する。
【0050】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0051】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図5に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図5(a)、および
断面図5(b)である。図中、1101は基板、110
2と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、11
05は通電フォーミング処理により形成した電子放出
部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜であ
る。
【0052】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0053】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn2 3 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0054】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメータ
ーの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常は数百オングストロームから数マイクロメーターの
範囲から適当な数値が選ばれる。
【0055】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0056】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0057】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2 ,In2 3 ,PbO,Sb2 3 ,などをはじ
めとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,C
eB6 ,YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物
や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,Hf
N,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0058】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。なお、導電性薄膜1104と素子
電極1102および1103とは、電気的に良好に接続
されるのが望ましいため、互いの一部が重なりあうよう
な構造をとっている。その重なり方は、図5の例におい
ては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積
層したが、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素
子電極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0059】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図5においては模式的に示した。
【0060】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0061】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのがさらに好ましい。
【0062】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図5においては模式的
に示した。また、平面図(a)においては、薄膜111
3の一部を除去した素子を図示した。
【0063】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施形態においては以下のような素子を用いた。
【0064】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0065】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメーター]とした。
【0066】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。
【0067】図6の(a)〜(d)は、表面伝導型放出
素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表
記は前記図5と同一である。
【0068】(1)まず、図6(a)に示すように、基
板1101上に素子電極1102および1103を形成
する。
【0069】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。(堆積する方法として
は、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術
を用ればよい。)その後、堆積した電極材料を、フォト
リソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニング
し、(a)に示した一対の素子電極(1102と110
3)を形成する。
【0070】(2)次に、同図(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0071】形成するにあたっては、まず前記(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である。(具体的
には、本実施形態では主要元素としてPdを用いた。ま
た、実施形態では塗布方法として、ディッピング法を用
いたが、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法
を用いてもよい。) また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法として
は、本実施形態で用いた有機金属溶液の塗布による方法
以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、あるいは化
学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0072】(3)次に、図6(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する。
【0073】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0074】通電方法をより詳しく説明するために、図
7に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜
をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好まし
く、本実施形態の場合には同図に示したようにパルス幅
T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次
昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニ
ターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角
波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1
111で計測した。
【0075】本実施形態においては、たとえば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、
たとえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2
を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割りで、モニターパルスPmを挿
入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがない
ように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に
設定した。そして、素子電極1102と1103の間の
電気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、す
なわちモニターパルス印加時に電流計1111で計測さ
れる電流が、1×10のマイナス7乗[A]以下になっ
た段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了し
た。
【0076】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0077】(4)次に、図6の(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。
【0078】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。図6(d)において
は、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材11
13として模式的に示した。なお、通電活性化処理を行
うことにより、通電活性化処理を行う前と比較して、同
じ印加電圧における放出電流を典型的には100倍以上
に増加させることができる。
【0079】具体的には、有機化合物ガスを導入した1
0のマイナス4乗ないし10のマイナス5乗[tor
r]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に
印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合
物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。
基板1101を、表示パネルの中に組み込んでから活性
化処理を行う場合には、気密容器の排気管より有機物ガ
スを導入する。堆積物1113は、単結晶グラファイ
ト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストローム]以下、より好ましくは300[オングスト
ローム]以下である。
【0080】通電方法をより詳しく説明するために、図
8の(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。本実施形態においては、一定
電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行っ
たが、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V],
パルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10
[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施形
態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、
表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに
応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0081】図6の(d)に示す1114は該表面伝導
型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するため
のアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流
計1116が接続されている。なお、基板1101を、
表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合
には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114とし
て用いる。
【0082】活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図8(b)に示すが、活性化電源111
2からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とと
もに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとん
ど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽
和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停
止し、通電活性化処理を終了する。
【0083】ところで図6の(d)は、電圧印加方法を
単純化して簡単に説明するためのものであり、実際は表
面伝導型放出素子に対し、個別に電圧を印加する方法は
とらない。なぜならば、本実施形態のような多数の全表
面伝導型放出素子を備えるマルチ電子ビーム源におい
て、電圧に個別に印加すると通電活性化処理に要する時
間が膨大となるためである。
【0084】そこで、実際の電圧印加方法の一例を図9
を用いて説明する。図9において、201は電子源基
板、202は行方向配線、203は列方向配線、204
は活性化電圧発生装置である。また不図示の表面伝導型
放出素子が行方向配線202と、列方向配線203によ
りマトリクス状に配線されているものとする。
【0085】この例では、各表面伝導型放出素子を連続
した行方向配線i本(本実施形態ではi=8とした)を
単位としたブロックに分け、1ブロック中の複数の表面
伝導型放出素子に対し、行方向配線202より同時に活
性化電圧を印加している。さらに電圧を印加するブロッ
クを順次切り替えることでマルチ電子ビーム源を構成す
る全表面伝導型放出素子に対し電圧の印加を行ってい
く。一方この時、列方向配線203はすべて電気的にグ
ランドに落としている。このように複数の表面伝導型放
出素子に対し同時に活性化電圧を印加することで活性化
処理に要する時間を短縮することができる。
【0086】ところで、上記の電圧の印加方法はあくま
で一例であり、ブロックわけの方法、電圧の印加方法等
も上記の方法に限るものではない。
【0087】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0088】従来のマルチ電子ビーム源の製造方法で
は、上記の通電活性化処理の後、気密容器を真空排気し
マルチ電子ビーム源の気密容器を封止する。さらに気密
容器の封止後に、点灯検査として表面伝導型放出素子個
別の特性を測定し、特性のばらつきを評価する。この点
灯検査の結果をもとに素子特性ばらつきが許容範囲内の
マルチ電子ビーム源を次の工程にまわし、素子特性ばら
つきが許容範囲以上のものを廃棄するという判断を行っ
ていた。
【0089】ところで、通電活性化処理を行う際に放出
電流Ieを測定しているにもかかわらず、表面伝導型放
出素子の素子特性にばらつきが生じる理由は、以下の原
因によっている。
【0090】まず、電子放出素子により導電性薄膜の抵
抗値や形状および通電フォーミングにより形成される亀
裂の形状等にごくわずかであるが、ばらつきがあるため
に、それぞれの素子により通電活性化処理で放出電流I
eが、飽和する時間にばらつきが生じていることであ
る。さらに通電活性化処理の電圧の印加は複数個の素子
に対し同時に行っているため、通電活性化処理時に測定
している放出電流Ieの値は複数個の素子で平均化され
たものとなっており、素子個別の特性ばらつきを反映し
ていない。以上2つの理由により、素子個別で見ると活
性化処理終了後に放出電流Ieが未飽和で、放出電流I
eが小さい表面伝導型放出素子が存在する可能性がある
のである。
【0091】本発明では点灯検査時の素子特性のばらつ
きが、許容範囲以上のマルチ電子ビーム源を廃棄するこ
となく再利用するために、通電活性化処理後は従来とは
別の製造方法をとる。まず本発明のマルチ電子ビーム源
製造方法を図10のフローチャートを用いて簡単に説明
する。
【0092】最初に、図10に示すように、通電活性化
処理終了後で(S14)、かつ気密容器の封止前に(S
8)、点灯検査に入り(S4)、表面伝導型放出素子の
特性を測定する(S41)。この測定の結果、素子特性
のばらつきが許容範囲内(本実施形態では素子特性のば
らつきの許容範囲を1[%]以内としている)であるな
らば(S42)、真空排気(S7)、気密容器の封止
(S8)、さらに次工程に送る(S9)。
【0093】一方測定の結果素子特性のばらつきが許容
範囲を超える場合は(S42)、従来ではそのマルチ電
子ビーム源を廃棄処分としていたが、本実施形態では再
通電活性化処理に入り(S6)、気密容器内を真空排気
し(S61)、再度有機物ガスを導入し(S62)、電
子放出量の小さかった素子に対し電圧を印加し放出電子
量を他の素子と揃える処理(以降は再活性化処理と呼
ぶ)を行う(S63)。再活性化処理により素子特性の
ばらつきを許容範囲内に抑え直した後、次工程に送るよ
うにする。
【0094】ところで素子特性の測定を気密容器の封止
前に行うのは、再活性化処理のため有機物ガスを導入で
きるようにしておくためである。以下で詳しく素子特性
の測定方法と、再活性化処理の方法についてのべる。
【0095】素子特性の測定方法の説明に先立ち、素子
の特性について説明する。
【0096】図11に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0097】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0098】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと
呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放
出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電
圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0099】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0100】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0101】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0102】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth
以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電
圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り
替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表示を
行うことが可能である。
【0103】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。発光輝度の度合
いで所定のしきい値以上であればバラツキ内と判断す
る。
【0104】(5)素子特性の測定は、上記の第二の特
性を利用し、図12に示すような装置を用いて行う。
【0105】まず図12で装置の説明をする。電子源基
板301上には不図示の表面伝導型放出素子が行方向配
線302および列方向配線303によりマトリクスに配
線されている。電子源基板301の上方にはアノード電
極310(本実施形態では表示パネルの蛍光面がこれに
当たる)を設けており、電流計311を介し直流高圧電
源309と接続している。本実施形態では、直流高圧電
源の電圧Vaを1.0[kV]とした。ところでアノー
ド電極310は実際には電子源基板301を完全に覆う
形で設置しているものであり、図12のそれは模式的に
あらわしたものである。
【0106】行方向配線302は個々に配線切り替器3
04に接続している。配線切り替器304は各行方向配
線を個別に半導体素子またはリレーなどのスイッチング
素子を介して、行方向配線側電圧パルス発生装置305
およびグランドに接続しており、電圧の印加またはグラ
ンドの切り替え制御を各行方向配線ごと個別にできるよ
うにしている。列方向配線303も行方向配線側と同様
になっており、各配線に対し個別に電圧の印加またはグ
ランドの切り替え制御を行えるようになっている。
【0107】行方向配線切り替器304および列方向配
線切り替器306の制御、および電流計311からのデ
ータ転送等は、GBIPまたはI/O等で接続したパソ
コンまたはワークステーションなどの制御装置308に
より行った。
【0108】以上説明した装置で素子特性の測定を行う
方法を、行方向配線m番と列方向配線n番により接続さ
れる素子S(m、n)を例にして説明する。
【0109】まず行方向配線m番を行方向配線側電圧パ
ルス発生装置305に接続し、その他の行方向配線はす
べてグランドする。列方向配線側は列方向配線n番を列
方向配線側電圧パルス発生装置307に接続し、その他
の列方向配線はすべてグランドする。この接続が終了し
た後行方向配線側電圧パルス発生装置305から波高値
が−Vth[v]の電圧パルスを印加、同時に列方向配線
側電圧パルス発生装置307からは波高値が+Vth
[v]の電圧パルスを印加する。このようにすると素子
S(m、n)には絶対値が2Vth[v]の電圧がかか
り、その他の素子には絶対値が0[v]もしくはVth
[v]の電圧がかかることになる。よって先に説明した
素子の第2の特性から素子S(m、n)からのみ電子放
出が起こり、アノード電極310で補足した放出電流I
eを電流計311で計測すれば素子S(m、n)の特性
が測定できることになる。
【0110】この測定の際は、測定時に印加する電圧に
より素子特性の変化を起こすことがないよう気密容器の
排気管と不図示の真空ポンプとを接続し、気密容器内を
10のマイナス7乗[Torr]程度の真空度まであら
かじめ排気しておくことが望ましい。
【0111】以上の測定を全素子に対し、制御装置30
8のソフトウエアで自動的に行うことで素子特性のばら
つきのデータを取得することができる。また測定の際に
印加した電圧パルスの周期およびパルスの幅等は通電活
性化処理の際に用いた条件と同じにした。
【0112】なお本実施形態では、素子特性の測定とし
て放出電流Ieの測定を行っているが、放出電流Ieと
一定の相関を持つ素子電流Ifの測定を行うことによっ
ても、素子特性のばらつきデータを取得することができ
る。
【0113】以上説明したようにして取得したマルチ電
子ビーム源の素子特性のばらつきデータをもとに、ばら
つきが許容範囲以内のものは次の工程に送り、ばらつき
が許容範囲を超えるものについては再活性化処理を行い
電子源を廃棄せず再利用する。
【0114】(6)再活性化処理の最初の手順として、
封止前の気密容器に有機化合物ガスを再度導入し、10
のマイナス4乗ないし10のマイナス5乗[torr]
の範囲内の真空雰囲気にする。
【0115】この後、素子特性測定の結果放出電流が少
なかった素子に対し個別に一定電圧の電圧パルスを印加
して再活性化処理を行った。再活性化処理の際も図12
で示した装置を用い、たとえば放出電流の少なかった素
子S(m、n)に電圧パルスを印加する場合、行方向配
線m番を行方向配線側電圧パルス発生装置305に接続
し、その他の行方向配線はすべてグランドする。列方向
配線側は列方向配線n番を列方向配線側電圧パルス発生
装置307に接続しその他の列方向配線はすべてグラン
ドする。接続が終了した後、素子S(m、n)に活性化
電圧Vacが印加されるよう、行方向配線側電圧パルス
発生装置305から波高値が−Vac/2[v]の電圧
パルスを印加、同時に行方向配線側電圧パルス発生装置
307からは波高値が+Vac/2[v]の電圧パルス
を印加する。その他矩形波の条件は活性化処理のときの
ものと同様である。
【0116】電圧パルスの印加中は、電流計311で素
子の放出電流Ieを計測しモニターする。電圧の印加と
ともに放出電流Ieが増加していく、さらに電圧の印加
を続け放出電流Ieほぼ飽和した時点で素子への電圧の
印加を中止した。この処理を放出電流Ieが少ない素子
に対し順次行っていき放出電流Ieを増加させること
で、すべての素子の電子放出量を揃えることが可能で最
終的には素子特性のばらつきを許容範囲内に抑えること
ができる。
【0117】以上のようにして、図6(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0118】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を、微粒子膜から形成した表
面伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわ
ち垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明す
る。
【0119】図13は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
【0120】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、前記図5の平面型における素子電極間隔L
は、垂直型においては段差形成部材1206の段差高L
sとして設定される。なお、基板1201、素子電極1
202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1
204、については、前記平面型の説明中に列挙した材
料を同様に用いることが可能である。また、段差形成部
材1206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶
縁性の材料を用いる。
【0121】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図14の(a)〜(f)は、製造工
程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図1
3と同一である。
【0122】(1)まず、図14(a)に示すように、
基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0123】(2)次に、同図(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0124】(3)次に、同図(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0125】(4)次に、同図(d)に示すように、絶
縁層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、
素子電極1203を露出させる。
【0126】(5)次に、同図(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。
【0127】形成するには、前記平面型の場合と同じ
く、たとえば塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0128】(6)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する。
(図6(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミン
グ処理と同様の処理を行えばよい。) (7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処
理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を
堆積させる。この通電活性化処理は、図6(d)を用い
て説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行え
ばよい。
【0129】(8)次に素子特性の測定を行い、特性の
ばらつきが許容範囲以上のものについては再活性化の処
理を行い、ばらつきを許容範囲内にする。
【0130】以上のようにして、図14(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0131】表面伝導型放出素子を製造した後、気密容
器の排気管と真空ポンプとを接続し、気密容器内を10
のマイナス7乗[Torr]程度の真空度まで排気す
る。その後、排気管を封止するが、気密容器内の真空度
を維持するために、封止の直前あるいは封止後に気密容
器内の所定の位置にゲッター膜(不図示)を形成する。
ゲッター膜とは、たとえばBaを主成分とするゲッター
材料をヒーターもしくは高周波加熱により加熱し蒸着し
て形成した膜であり、該ゲッター膜の吸着作用により気
密容器内は1×10マイナス5乗ないしは1×10マイ
ナス7乗[Torr]の真空度に維持される。
【0132】(画像表示装置の周辺駆動方式)図15
は、前記説明の表面伝導型放出素子を電子ビーム源とし
て用いたディスプレイパネルに、たとえばテレビジョン
放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画
像情報を表示できるように構成した表示装置の一例を示
すための図である。
【0133】図中、2100はディスプレイパネル、2
101はディスプレイパネルの駆動回路、2102はデ
ィスプレイコントローラ、2103はマルチプレクサ、
2104はデコーダ、2105は入出力インターフェー
ス回路、2106はCPU、2107は画像生成回路、
2108および2109および2110は画像メモリー
インターフェース回路、2111は画像入力インターフ
ェース回路、2112および2113はTV信号受信回
路、2114は入力部である。
【0134】なお、本表示装置は、たとえばテレビジョ
ン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を
受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生
するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声
情報の受信、分離、再生、処理、記憶などに関する回路
やスピーカーなどについては説明を省略する。
【0135】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明してゆく。
【0136】まず、TV信号受信回路2113は、たと
えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて
伝送されるTV画像信号を受信する為の回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、た
とえば、NTSC方式,PAL方式,SECAM方式な
どの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走
査線よりなるTV信号(たとえばMUSE方式をはじめ
とするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化
に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好
適な信号源である。TV信号受信回路2113で受信さ
れたTV信号は、デコーダ2104に出力される。
【0137】また、TV信号受信回路2112は、たと
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。前記TV信号受信回路2113と同様に、受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、ま
た本回路で受信されたTV信号もデコーダ2104に出
力される。
【0138】また、画像入力インターフェース回路21
11は、たとえばTVカメラや画像読み取りスキャナー
などの画像入力装置から供給される画像信号を取り込む
ための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ210
4に出力される。
【0139】また、画像メモリーインターフェース回路
2110は、ビデオテープレコーダー(以下、VTRと
略す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路
で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力さ
れる。
【0140】また、画像メモリーインターフェース回路
2109は、ビデオディスクに記憶されている画像信号
を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコ
ーダ2104に出力される。
【0141】また、画像メモリーインターフェース回路
2108は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画
像データを記憶している装置から画像信号を取り込むた
めの回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ2
104に出力される。
【0142】また、入出力インターフェース回路210
5は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコン
ピュータネットワークもしくはプリンターなどの出力装
置とを接続するための回路である。画像データや文字・
図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によ
っては本表示装置の備えるCPU2106と外部との間
で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能
である。
【0143】また、画像生成回路2107は、前記入出
力インターフェース回路2105を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU
2106より出力される画像データや文字・図形情報に
もとずき表示用画像データを生成するための回路であ
る。本回路の内部には、たとえば画像データや文字・図
形情報を蓄積するための書き換え可能メモリーや、文字
コードに対応する画像パターンが記憶されている読み出
し専用メモリーや、画像処理を行うためのプロセッサー
などをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込ま
れている。
【0144】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ2104に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフェース回路2105を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンターに出力するこ
とも可能である。
【0145】また、CPU2106は、主として本表示
装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わ
る作業を行う。
【0146】たとえば、マルチプレクサ2103に制御
信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号
を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際に
は表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコント
ローラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周
波数や走査方法(たとえばインターレースかノンインタ
ーレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作
を適宜制御する。
【0147】また、前記画像生成回路2107に対して
画像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるい
は前記入出力インターフェース回路2105を介して外
部のコンピュータやメモリーをアクセスして画像データ
や文字・図形情報を入力する。
【0148】なお、CPU2106は、むろんこれ以外
の目的の作業にも関わるものであって良い。たとえば、
パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのよう
に、情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良
い。
【0149】あるいは、前述したように入出力インター
フェース回路2105を介して外部のコンピュータネッ
トワークと接続し、たとえば数値計算などの作業を外部
機器と協同して行っても良い。
【0150】また、入力部2114は、前記CPU21
06に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなど
を入力するためのものであり、たとえばキーボードやマ
ウスのほか、ジョイスティック、バーコードリーダー、
音声認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能であ
る。
【0151】また、デコーダ2104は、前記2107
ないし2113より入力される種々の画像信号を3原色
信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するた
めの回路である。なお、同図中に点線で示すように、デ
コーダ2104は内部に画像メモリーを備えるのが望ま
しい。これは、たとえばMUSE方式をはじめとして、
逆変換するに際して画像メモリーを必要とするようなテ
レビ信号を扱うためである。また、画像メモリーを備え
る事により、静止画の表示が容易になる。あるいは前記
画像生成回路2107およびCPU2106と協同して
画像の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとする
画像処理や編集が容易に行えるようになるという利点が
生まれるからである。
【0152】また、マルチプレクサ2103は、前記C
PU2106より入力される制御信号にもとずき表示画
像を適宜選択するものである。すなわち、マルチプレク
サ2103はデコーダ2104から入力される逆変換さ
れた画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動
回路2101に出力する。その場合には、一画面表示時
間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわ
ゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分け
て領域によって異なる画像を表示することも可能であ
る。
【0153】また、ディスプレイパネルコントローラ2
102は、前記CPU2106より入力される制御信号
にもとずき駆動回路2101の動作を制御するための回
路である。
【0154】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、たとえばディスプレイパネルの駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路2101に対して出力する。
【0155】また、ディスプレイパネルの駆動方法に関
わるものとして、たとえば画面表示周波数や走査方法
(たとえばインターレースかノンインターレースか)を
制御するための信号を駆動回路2101に対して出力す
る。
【0156】また、場合によっては表示画像の輝度やコ
ントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路2101に対して出力する場
合もある。
【0157】また、駆動回路2101は、ディスプレイ
パネル2100に印加する駆動信号を発生するための回
路であり、前記マルチプレクサ2103から入力される
画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ21
02より入力される制御信号にもとずいて動作するもの
である。
【0158】以上、各部の機能を説明したが、図15に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル2
100に表示する事が可能である。
【0159】すなわち、テレビジョン放送をはじめとす
る各種の画像信号はデコーダ2104において逆変換さ
れた後、マルチプレクサ2103において適宜選択さ
れ、駆動回路2101に入力される。一方、ディスプレ
イコントローラ2102は、表示する画像信号に応じて
駆動回路2101の動作を制御するための制御信号を発
生する。駆動回路2101は、上記画像信号と制御信号
にもとずいてディスプレイパネル2100に駆動信号を
印加する。
【0160】これにより、ディスプレイパネル2100
において画像が表示される。これらの一連の動作は、C
PU2106により統括的に制御される。
【0161】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ2104に内蔵する画像メモリーや、画像生成回路2
107およびCPU2106が関与することにより、単
に複数の画像情報の中から選択したものを表示するだけ
でなく、表示する画像情報に対して、たとえば拡大、縮
小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、
画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合
成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどをはじめとす
る画像編集を行う事も可能である。また、本実施形態の
説明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集
と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうため
の専用回路を設けても良い。
【0162】したがって、本表示装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像およ
び動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機
器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、
ゲーム機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、
産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0163】なお、上記図15は、表面伝導型放出素子
を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示
装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定さ
れるものでない事は言うまでもない。たとえば、図15
の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回
路は省いても差し支えない。またこれとは逆に、使用目
的によってはさらに構成要素を追加しても良い。たとえ
ば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合に
は、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む
送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0164】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルが
容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行きを小さ
くすることが可能である。それに加えて、表面伝導型放
出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大画
面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本
表示装置は臨場感にあふれ迫力に富んだ画像を視認性良
く表示する事が可能である。
【0165】[実施形態2]本実施形態では、マルチ電
子ビーム源の構成、および製造工程は、通電活性化処理
までは[実施形態1]と同様である。通電活性化処理の
後[実施形態1]では素子特性の測定として電子放出量
Ieを測定しているが、本実施形態では素子特性の測定
として、画像表示装置の画素の輝度を測定する。画素の
輝度と電子放出量には一定の相関があるため、画素の輝
度から素子の電子放出量Ieの大小を評価することがで
きる。しかも各画素の輝度の算出はCCDカメラ等で取
り込んだ画像のワークステーションやパソコンなどのソ
フトウエアで行うことができるため、素子特性の測定に
要する時間を大幅に短縮することが可能である。
【0166】そこで本実施形態で用いた素子特性測定装
置と、測定方法について図4を用いて説明する。
【0167】図16は本実施形態で用いた素子特性測定
装置の構成を示す図である。図16において、電子源基
板401上には不図示の表面伝導型放出素子が行方向配
線402および列方向配線403によりマトリクスに配
線されている。電子源基板401の上方にはアノード電
極405(本実施形態では、表示パネルの蛍光面がこれ
に当たる)を設けており、直流高圧電源404と接続し
ている。本実施形態では、直流高圧電源の電圧Vaを
5.0[kV]とした。ところでアノード電極405は
実際には電子源基板401を完全に覆う形で設置してい
るものであり、図4のそれは模式的にあらわしたもので
ある。アノード電極405上にはCCDカメラ406
を、その視野の中にアノード電極405を完全に収める
位置に設置している。CCDカメラ406はパソコンま
たはワークステーションなどの計算機408に接続して
おり、画像データの転送が可能なようになっている。行
方向配線402はすべて電圧パルス発生装置408に接
続し、列方向配線403はすべて電気的にグランドして
いる。また、図16に示した装置を外光を遮断した暗室
に設置しておくこが望ましい。
【0168】次に素子特性の測定の手順を簡単に説明す
る。
【0169】まず電圧パルス発生装置から、電圧がVth
[v]よりも大きいVf[v](本実施形態では15.
0[v])、パルス幅0.1[ms]、パルス周期1
6.6[ms]の電圧パルスを印加する。電圧パルスの
印加により各表面伝導型放出素子から電子放出がアノー
ド電極405に起こり、蛍光面の各画素を発光させる。
この際は、印加する電圧パルスにより素子特性の変化を
起こすことがないよう気密容器の排気管と不図示の真空
ポンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗
[Torr]程度の真空度まであらかじめ排気してある
ことが望ましい。
【0170】同時に各画素の発光をCCDカメラ406
で撮影し、その画素データを407に転送する。転送し
た画像データより407上で動作するソフトウエアを用
いて、画素の色の補正、ブラックストライプなど発光し
ない部分の削除を行った後、素子特性のばらつきデータ
を作成する。
【0171】本実施形態では素子特性の測定をCCDカ
メラでの撮影とソフトウエアの処理で行うことができる
ため、測定に要する時間を大幅に短縮できる利点があ
る。
【0172】素子特性のばらつきデータが作成された後
の製造工程は[実施形態1]と同様である。
【0173】上記実施形態では、真空封止前に素子特性
として放出電流Ieの値や実際の蛍光膜への輝度量で判
断し、再度の通電活性化処理を行う例を示したが、さら
に、再度の通電フォーミング処理と、再度の通電活性化
処理を行っても良いし、さらに、再再度の通電活性化処
理を行うようにしてもよい。
【0174】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の特徴であ
る通電活性化処理の後でかつ電子源の気密容器の封止前
の素子特性の測定と、合わせて前記の素子特性の測定後
で、かつ電子源の気密容器の封止前に再活性化処理とを
行うことで、従来では点灯検査の結果をもとに、廃棄し
ていたマルチ電子ビーム源の大部分を再利用することが
可能となった。こうして、電子源或いは画像形成装置の
歩留まりを向上でき、製造コストの大幅な削減を可能と
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である画像表示装置の、表示
パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態で用いたマルチ電子ビーム源
の基板の平面図である。
【図3】本発明の実施形態で用いたマルチ電子ビーム源
の基板の一部の断面図である。
【図4】本発明の表示パネルのフェースプレートの蛍光
体配列を例示した平面図である。
【図5】本発明の実施形態で用いた平面型の表面伝導型
放出素子の平面図(a)、断面図(b)である。
【図6】本発明の平面型の表面伝導型放出素子の製造工
程を示す断面図である。
【図7】本発明の通電フォーミング処理の際の印加電圧
波形である。
【図8】本発明の通電活性化処理の際の印加電圧波形
(a)、放出電流Ieの変化(b)である。
【図9】本発明の実施形態1での通電活性化処理の電圧
印加方法を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態1でのマルチ電子ビーム源
の製造工程の一部を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態で用いた表面伝導型放出素
子の典型的な特性を示すグラフである。
【図12】本発明の実施形態1での素子特性の測定およ
び再活性化処理に用いた装置を説明する図である。
【図13】本発明の実施形態で用いた垂直型の表面伝導
型放出素子の断面図である。
【図14】本発明の垂直型の表面伝導型放出素子の製造
工程を示す断面図である。
【図15】本発明の実施形態である画像表示装置を用い
た多機能画像表示装置のブロック図である。
【図16】本発明の実施形態2での素子特性の測定に用
いた装置を説明する図である。
【図17】本発明者らが試みたが課題の発生した電子放
出素子の配線方法を説明する図である。
【図18】従来のマルチ電子ビーム源の製造工程の一部
を説明するフローチャートである。
【図19】従来知られた表面伝導型放出素子の一例であ
る。
【符号の説明】
201 電子源基板 202,302,402 行方向配線 203,303,403 列方向配線 204 活性化電圧発生回路 301,401 電子源基板 304 行方向配線切替器 305 行方向配線側電圧パルス発生器 306 列方向配線切替器 307 列方向配線側電圧パルス発生器 308 制御装置 309,404 直流高圧電源 310,405 アノード電極 311 電流計 406 CCDカメラ 407 計算機 408 電圧パルス発生装置 1001 基板 1002 電子放出素子 1003 行方向電極配線 1004 列方向電極配線 1006 支持枠 1007 フェースプレート 1008 蛍光膜 1009 メタルバック 1010 黒色導電材 1102,1103,1202,1203 素子電極 1104,1204 導電性薄膜 1105,1205 電子放出部 1110 通電フォーミング印加電源 1111 素子電流計 1112 通電活性化電源 1113,1213 薄膜 1114 陽極アノード 1115 高圧直流電源 1116 放出電流計 1113 薄膜 2100 ディスプレイパネル 2101 駆動回路 2102 ディスプレイパネルコントローラ

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に複数個の電子放出素子を配置し
    た電子源の製造方法であって、 前記電子源の通電活性化処理工程後でかつ前記電子源の
    気密容器の封止工程の前に、前記電子放出素子の特性測
    定を行い、前記電子放出素子の特性測定後でかつ前記電
    子源の気密容器の封止工程の前に、再通電活性化処理工
    程を施すことを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記再通電活性化処理工程は、前記特性
    測定時に放出電流が所定値以下であった電子放出素子に
    対して行うことを特徴とする請求項1に記載の電子源の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子の特性測定の測定は、
    電子源の気密容器内を所定の真空度以下にして行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子の特性測定の測定は、
    前記電子放出素子への印加電圧に対する放出電流の測定
    であることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記電子放出素子の特性測定の測定は、
    前記電子放出素子への印加電圧に対する素子電流の測定
    であることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記電子放出素子の特性測定の測定は、
    複数個の電子放出素子に対向する面の画素の輝度の測定
    であることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記再通電活性化処理工程で、その過程
    において前記電子放出素子の特性の測定を行うことを特
    徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電子放出素子は、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    か1項に記載の電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 基板上に複数個の電子放出素子を配置し
    た電子源の製造装置であって、前記電子源の通電活性化
    処理用電圧印加手段と、前記電子放出素子の特性測定手
    段と、前記電子源の気密容器を封止する封止手段とから
    なり、前記封止手段の前に前記特性測定手段を動作する
    ことを特徴とする電子源製造装置。
  10. 【請求項10】 前記通電活性化処理用電圧印加手段
    は、再通電活性化処理工程において、前記電子放出素子
    に個別に再通電活性化処理用電圧を印加できることを特
    徴とする請求項9に記載の電子源の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記電子放出素子の特性測定手段は、
    再通電活性化処理工程の過程において、前記放出素子の
    特性の測定を行うことができることを特徴とする請求項
    9に記載の電子源の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記電子放出素子の特性測定手段は、
    再通電活性化処理工程において、前記電子放出素子に個
    別に再通電活性化処理用電圧を印加できることを特徴と
    する請求項9に記載の電子源の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放
    出素であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれ
    か1項に記載の電子源の製造装置。
  14. 【請求項14】 基板上に複数個の電子放出素子を配置
    した電子源であって、請求項1乃至8のいずれか1項に
    記載の電子源の製造方法によって製造されることを特徴
    とする電子源。
  15. 【請求項15】 基板上に複数個の電子放出素子を配置
    した電子源であって、請求項9乃至13のいずれか1項
    に記載の電子源の製造装置により製造されることを特徴
    とする電子源。
  16. 【請求項16】 請求項14または15のいずれか1項
    に記載の電子源と、画像信号を入力する入力手段と、前
    記入力手段により入力された画像信号により前記電子源
    を駆動する駆動手段と、前記駆動手段により駆動された
    前記電子源から放出される電子の照射により発光する発
    光手段と、を有することを特徴とする画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7326095B2 (en) 2002-07-23 2008-02-05 Canon Kabushiki Kaisha Recycling method and manufacturing method for an image display apparatus

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US7326095B2 (en) 2002-07-23 2008-02-05 Canon Kabushiki Kaisha Recycling method and manufacturing method for an image display apparatus

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