JP2000072678A - 軟骨疾患予防治療剤 - Google Patents

軟骨疾患予防治療剤

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JP2000072678A
JP2000072678A JP11168076A JP16807699A JP2000072678A JP 2000072678 A JP2000072678 A JP 2000072678A JP 11168076 A JP11168076 A JP 11168076A JP 16807699 A JP16807699 A JP 16807699A JP 2000072678 A JP2000072678 A JP 2000072678A
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cartilage
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preventive
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JP11168076A
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Haruhiko Makino
治彦 牧野
Takashi Soda
隆 左右田
Kohei Notoya
浩平 能登谷
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ベンゾチエピン誘導体等を含有する軟骨疾患
の予防治療に有効な薬剤を提供する。 【解決手段】式 【化1】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
される化合物(I)およびその塩が、I型コラゲナーゼ
等のメタロプロテアーゼ遊離抑制作用、プロテオグリカ
ン遊離抑制作用、プロテオグリカン合成促進作用または
II型コラーゲン合成促進作用を示し、軟骨基質、具体
的にはプロテオグリカンおよびII型コラーゲンの合成を
促進する。その結果、強い軟骨破壊抑制作用、軟骨形成
促進作用、軟骨細胞分化誘導促進作用を有し、かつ安定
性、吸収性、体内利用性等の臨床上有用な性質が優れて
いるので、化合物(I)を含有してなる本発明の医薬組
成物は、軟骨疾患予防治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベンゾチエピン誘
導体等を有効成分として含有してなる軟骨疾患の予防治
療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】関節疾患は、関節軟骨の変性を主病変と
する疾患である。軟骨はコラーゲンとプロテオグリカン
によって構成される組織であが、様々な原因により、こ
の軟骨組織からのプロテオグリカン遊離が促進され,か
つ組織におけるプロテオグリカンの合成能が低下し始め
る。同時にI型コラゲナーゼなどのメタロプロテアーゼ
の遊離・活性化が亢進し軟骨組織のコラーゲンが分解さ
れる。これらの一連の反応によって軟骨組織の破壊が進
み、次いで、病変の進行により滑膜の増性、軟骨下骨の
破壊、関節辺縁部の軟骨肥大あるいは骨新生がおこり、
関節の変形を経て、重篤な場合には機能不全に至る。関
節疾患は膝関節に最も高頻度にみられるが、肘、股、
足、指関節にもみられる。関節疾患のなかでも最も患者
数の多い疾患は変形性関節症であるが、本疾患の原因の
一つとして加齢が考えられているため、これからの高齢
化社会においては患者の増加が予想される。治療法とし
ては、軟骨変性・軟骨下骨破壊に伴う痛みを取る目的か
ら鎮痛消炎剤やヒアルロン酸製剤が用いられている。し
かしながら、いずれも対症療法的に用いられているに過
ぎず、十分な効果はあげていない。軟骨形成促進、軟骨
破壊抑制および軟骨細胞分化誘導促進をはかることは、
軟骨疾患の予防と治療に有効と考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】対症療法的な薬剤しか
ない軟骨疾患治療および予防薬の分野に、新しいより根
治療法に近く、かつ有用な医薬品としての性質(安定
性、吸収性、体内利用性など)に優れた軟骨疾患予防治
療剤が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、軟骨細胞
に直接作用して軟骨破壊を抑制し、さらに軟骨再生を促
進する薬剤の開発を目的として鋭意研究を行ったとこ
ろ、式
【化3】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
わされる化合物(I)またはその塩が、優れた軟骨形成
促進作用、軟骨破壊抑制作用および軟骨細胞分化誘導促
進作用を示すことを見いだし、これらの知見に基づい
て、さらに研究した結果、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(1)式
【化4】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
わされる化合物(I)またはその塩を含有してなる軟骨
疾患予防治療剤、(2)環Aは、ハロゲン原子,C1-10
アルキル基,C1-10アルコキシ基,式:−O−(CH2)n
−O−(式中、nは1〜3の整数を示す)で表されるア
ルキレンジオキシ基およびC1-10アルキルチオ基から選
ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいベ
ンゼン環であり、Rは、水素原子、C1-6アルキル基ま
たはフェニル基であり、Bは、式:−CON(R1)(R2)
(式中、R1は水素原子またはC1-10アルキル基を、R2
はハロゲン,C1-6アルコキシ,モノ−若しくはジ−C
1-6アルコキシホスホリル,モノ−若しくはジ−C1-6
ルコキシホスホリル−C1-3アルキル(ジ−C1-6アルコ
キシにおけるジアルキルは、一緒になってC1-6アルキ
レン基となっていてもよい)またはC1-6アルコキシカ
ルボニルで置換されていてもよいフェニル若しくはフェ
ニル−C1-3アルキル基を、それぞれ示す。)で表わさ
れる基である化合物(I)またはその塩を含有してなる
上記(1)項記載の軟骨疾患予防治療剤、
【0006】(3)式
【化5】 〔式中、R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
それぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になっ
てC1-6アルキレン基を示す。〕で表わされる光学活性
化合物 (II)またはその塩を含有してなる上記(1)項
記載の軟骨疾患予防治療剤、(4)R3、R4およびR5
がそれぞれC1-4アルキル基である化合物 (II)またはそ
の塩を含有してなる上記(3)項記載の軟骨疾患予防治
療剤、(5)(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジ
エトキシホスホリルメチル)フェニル]−1,2,4,5
−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキ
シ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサ
ミドまたはその塩を含有してなる上記(3)項記載の軟
骨疾患予防治療剤、
【0007】(6)生体内分解性高分子化合物を含む徐
放性製剤である上記(1)項記載の軟骨疾患予防治療
剤、(7)局所投与製剤である上記(1)項記載の軟骨
疾患予防治療剤、(8)経口投与製剤である上記(1)
項記載の軟骨疾患予防治療剤、(9)注射剤である上記
(1)項記載の軟骨疾患予防治療剤、(10)軟骨破壊
抑制剤、軟骨形成促進剤または軟骨細胞分化誘導促進剤
である上記(1)項記載の軟骨疾患予防治療剤、(1
1)I型コラゲナーゼ抑制剤,プロテオグリカン遊離抑
制剤,プロテオグリカン合成促進剤またはII型コラー
ゲン合成促進剤である上記(1)の軟骨疾患予防治療
剤、(12)メタロプロテアーゼ遊離抑制剤または軟骨
基質合成促進剤である上記(1)記載の軟骨疾患予防治
療剤,および(13)軟骨疾患が、軟骨欠損症、慢性関
節リウマチまたは変形性関節症である上記(1)項記載
の軟骨疾患予防治療剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】前記式(I)において、環Aで示
される置換されたベンゼン環における置換基としては、
例えば、ハロゲン原子,ニトロ基,置換されていてもよ
いアルキル基,置換されていてもよい水酸基,置換され
ていてもよいメルカプト基,置換されていてもよいアミ
ノ基,アシル基,モノ−またはジ−アルコキシホスホリ
ル基,ホスホノ基,置換されていてもよいアリール基,
置換されていてもよいアラルキル基または置換されてい
てもよい芳香族複素環基が用いられ、これらの置換基は
同一または異なって1ないし4個、好ましくは1ないし
2個、ベンゼン環上に置換していてもよい。
【0009】該「ハロゲン原子」としては、例えばフッ
素,塩素,臭素,ヨウ素等が用いられる。該「置換され
ていてもよいアルキル基」におけるアルキル基として
は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメ
チル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソ
ブチル,sec-ブチル,tert-ブチル,ペンチル,イソペ
ンチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチ
ル,ノニルまたはデシル等)、炭素数3〜7のシクロア
ルキル基(例えばシクロプロピル,シクロブチル,シク
ロヘキシルまたはシクロヘプチル等)等が用いられ、こ
れらは、例えばハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭
素,ヨウ素等),水酸基,炭素数1〜6のアルコキシ基
(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,ヘ
キシルオキシ等),モノ−またはジ−C1-6アルコキシホ
スホリル基(例えば、メトキシホスホリル、エトキシホ
スホリル、ジメトキシホスホリル、ジエトキシホスホリ
ルなど),ホスホノ基等で1〜3個置換されていてもよ
い。置換されたアルキル基の具体例としては,例えばト
リフルオロメチル,トリフルオロエチル,トリクロロメ
チル,ヒドロキシメチル,2−ヒドロキシエチル,メト
キシエチル,1−メトキシエチル,2−メトキシエチ
ル,2,2−ジエトキシエチル,2−ジエトキシホスホ
リルエチル,ホスホノメチル等が挙げられる。
【0010】該「置換されていてもよい水酸基」におけ
る置換された水酸基としては、例えばアルコキシ基,ア
ルケニルオキシ基,アラルキルオキシ基,アシルオキシ
基,アリールオキシ基等が用いられる。該「アルコキシ
基」としては、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ
基(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,
tert-ブトキシ,ペンチルオキシ,ヘキシルオキシ,ヘ
プチルオキシまたはノニルオキシ等)、炭素数4〜6の
シクロアルコキシ基(例、 シクロブトキシ,シクロペン
トキシまたはシクロヘキシルオキシ等)等が用いられ
る。該「アルケニルオキシ基」としては、好ましくは炭
素数2〜10のアルケニルオキシ基、例えばアリルオキ
シ,クロチルオキシ,2−ペンテニルオキシ,3−ヘキ
セニルオキシ,2−シクロペンテニルメトキシまたは2
−シクロヘキセニルメトキシ等が用いられる。該「アラ
ルキルオキシ基」としては、好ましくは炭素数7〜19
のアラルキルオキシ基、さらに好ましくは炭素数6〜1
4のアリール−炭素数1〜4のアルキルオキシ基(例、
ベンジルオキシ, フェネチルオキシ等)が用いられる。
該「アシルオキシ基」としては、好ましくはアルカノイ
ルオキシ基、例えば炭素数2〜10のアルカノイルオキ
シ基(例、 アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,n-ブ
チリルオキシ,ヘキサノイルオキシ等)が用いられる。
該「アリールオキシ基」としては、好ましくは炭素数6
〜14のアリールオキシ基(例、 フェノキシ,ビフェニ
ルオキシ等)が用いられる。これらの基はさらに、例え
ば前記したと同様のハロゲン原子,水酸基,炭素数1〜
6のアルコキシ基,モノ−またはジ−C1-6アルコキシ
ホスホリル基、ホスホノ基等で1〜3個置換されていて
もよい。置換された水酸基の具体例としては,例えばト
リフルオロメトキシ,2,2,2−トリフルオロエトキ
シ,ジフルオロメトキシ,2−メトキシエトキシ,4−
クロロベンジルオキシ,2−(3,4−ジメトキシフェニ
ル)エトキシ等が挙げられる。
【0011】該「置換されていてもよいメルカプト基」
における置換されたメルカプト基としては、例えばアル
キルチオ基,アラルキルチオ基,アシルチオ基等が用い
られる。該「アルキルチオ基」としては、好ましくは炭
素数1〜10のアルキルチオ基(例、メチルチオ,エチ
ルチオ,プロピルチオ,ブチルチオ,ペンチルチオ,ヘ
キシルチオ,ヘプチルチオ,ノニルチオ等)、炭素数4
〜6のシクロアルキルチオ基(例、 シクロブチルチオ,
シクロペンチルチオ, シクロヘキシルチオ等)等が用い
られる。該「アラルキルチオ基」としては,好ましくは
炭素数7〜19のアラルキルチオ基、さらに好ましくは
炭素数6〜14のアリール−炭素数1〜4のアルキルチ
オ基、例えばベンジルチオまたはフェネチルチオ等が用
いられる。該「アシルチオ基」としては,好ましくはア
ルカノイルチオ基、例えば炭素数2〜10のアルカノイ
ルチオ基(例、 アセチルチオ,プロピオニルチオ,n-ブ
チリルチオ,ヘキサノルチオ等)が用いられる。これら
の基はさらに例えば、前記したと同様のハロゲン原子,
水酸基,炭素数1〜6のアルコキシ基,モノ−またはジ
−C1-6アルコキシホスホリル基、ホスホノ基等で1〜
3個置換されていてもよい。置換されたメルカプト基の
具体例としては、例えばトリフルオロメチルチオ,2,
2,2−トリフルオロエチルチオ,2−メトキシエチル
チオ,4−クロロベンジルチオ,3,4−ジクロロベン
ジルチオ,4−フルオロベンジルチオ,2−(3,4−ジ
メトキシフェニル)エチルチオ等が挙げられる。
【0012】該「置換されていてもよいアミノ基」にお
ける置換されたアミノ基の置換基としては,前記したと
同様の炭素数1〜10のアルキル基,炭素数2〜10の
アルケニル基(例、アリル,ビニル,2−ペンテン−1
−イル,3−ペンテン−1−イル,2−ヘキセン−1−
イル,3−ヘキセン−1−イル,2−シクロヘキセニ
ル,2−シクロペンテニル,2−メチル−2−プロペン
−1−イル,3−メチル−2−ブテン−1−イル等),
炭素数6〜14のアリール基(例、フェニル、ナフチル
等)または炭素数7〜19のアラルキル基(例、ベンジ
ル、フェネチル等)が1または、同一または異なって2
個用いられ、これらの置換基は前記したと同様のハロゲ
ン原子,炭素数1〜6のアルコキシ基,モノ−またはジ
−C1-6アルコキシホスホリル基,ホスホノ基等で置換
されていてもよい。置換されたアミノ基の具体例として
は、例えばメチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミ
ノ,ジエチルアミノ,ジブチルアミノ,ジアリルアミ
ノ,シクロヘキシルアミノ,フェニルアミノまたはN−
メチル−N−フェニルアミノ,N−メチル−N−(4−
クロロベンジル)アミノ,N,N−ジ(2−メトキシエチ
ル)アミノ等が挙げられる。
【0013】該「アシル基」としては,有機カルボン酸
アシル基または炭素数1〜6の炭化水素基[例、C1-6
アルキル(例、メチル,エチル,n-プロピル,ヘキシル
等),フェニル等]を有するスルホン酸アシル基等が用
いられる。該「有機カルボン酸アシル基」としては、例
えばホルミル,炭素数1〜10のアルキル−カルボニル
基(例、アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリ
ル,ピバロイル,ヘキサノイル,オクタノイル,シクロ
ブタンカルボニル,シクロヘキサンカルボニル,シクロ
ヘプタンカルボニル等),炭素数2〜10のアルケニル
−カルボニル基(例、クロトニル,2−シクロヘキセン
カルボニル等),炭素数6〜14のアリール−カルボニ
ル基(例、ベンゾイル等),炭素数7〜19のアラルキ
ル−カルボニル基(例、べンジルカルボニル,ベンズヒ
ドリルカルボニル等),5または6員芳香族複素環カル
ボニル基(例、ニコチノイル,4−チアゾリルカルボニ
ル等),5または6員芳香族複素環アセチル基(例、3
−ピリジルアセチル, 4−チアゾリルアセチル等)が用
いられる。該「炭素数1〜6の炭化水素基を有するスル
ホン酸アシル基」としては、例えばメタンスルホニル,
エタンスルホニル等が用いられる。これらの基はさらに
置換基、例えば前記したと同様のハロゲン原子,水酸
基,炭素数1〜6のアルコキシ基,アミノ基等で1〜3
個置換されていてもよい。アシル基の具体例としては,
例えばトリフルオロアセチル,トリクロロアセチル,4
−メトキシブチリル,3−シクロヘキシルオキシプロピ
オニル,4−クロロベンゾイル,3,4−ジメトキシベ
ンゾイル等が挙げられる。
【0014】該「モノ−またはジ−アルコキシホスホリ
ル基」としては、例えばメトキシホスホリル,エトキシ
ホスホリル,プロポキシホスホリル,イソプロポキシホ
スホリル,ブトキシホスホリル,ペンチルオキシホスホ
リル,ヘキシルオキシホスホリル等のモノ−C1-6アル
コキシホスホリル基、例えばジメトキシホスホリル,ジ
エトキシホスホリル,ジプロポキシホスホリル,ジイソ
プロポキシホスホリル,ジブトキシホスホリル,ジペン
チルオキシホスホリル,ジヘキシルオキシホスホリル等
のジ−C1-6アルコキシホスホリル基等が用いられる。
好ましくはジ−C1-6アルコキシホスホリル基、例えば
ジメトキシホスホリル,ジエトキシホスホリル,ジプロ
ポキシホスホリル,ジイソプロポキシホスホリル,エチ
レンジオキシホスホリル,ジブトキシホスホリル等が用
いられる。該「置換されていてもよいアリール基」にお
けるアリール基としては,好ましくは炭素数6〜14の
アリール基、例えばフェニル,ナフチル,アントリル等
が用いられ、これらは前記したと同様の炭素数1〜10
のアルキル基,ハロゲン原子,水酸基,炭素数1〜6の
アルコキシ基等で1〜3個置換されていてもよい。置換
されたアリール基の具体例としては,例えば4−クロロ
フェニル,3,4−ジメトキシフェニル,4−シクロヘ
キシルフェニル,5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナ
フチル等が挙げられる。
【0015】該「置換されていてもよいアラルキル基」
におけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜
19のアラルキル基、例えばベンジル,ナフチルエチ
ル,トリチル等が用いられ、芳香環上に前記した炭素数
1〜10のアルキル基,ハロゲン原子,水酸基,炭素数
1〜6のアルコキシ基等で1〜3個置換されていてもよ
い。置換されたアラルキル基の具体例としては,例えば
4−クロロベンジル,3,4−ジメトキシベンジル,4
−シクロヘキシルベンジル,5,6,7,8−テトラヒド
ロ−2−ナフチルエチル等が挙げられる。該「置換され
ていてもよい芳香族複素環基」における芳香族複素環基
としては、好ましくは窒素原子,酸素原子または/及び
硫黄原子を1〜4個有する5〜6員芳香族複素環基、例
えばフリル,チエニル,イミダゾリル,チアゾリル,オ
キサゾリル, チアジアゾリル等が用いられ、これらの基
は前記した炭素数1〜10のアルキル基,ハロゲン原
子,水酸基,炭素数1〜6のアルコキシ等で1〜3個置
換されていてもよい。
【0016】2個のアルキル基がベンゼン環A上で互い
に隣接して置換されている場合、互いに連結して式:−
(CH2)m−〔式中、mは3〜5の整数を示す〕で表わさ
れるアルキレン基(例、トリメチレン,テトラメチレ
ン,ペンタメチレン等)を形成してもよく、2個のアル
コキシ基が互いに隣接して置換されている場合、式:−
O−(CH2)n−O−〔式中、nは1〜3の整数を示す〕
で表されるアルキレンジオキシ基(例、メチレンジオキ
シ,エチレンジオキシ,トリメチレンジオキシ等)を形
成してもよい。このような場合は、ベンゼン環の炭素原
子とともに5〜7員環が形成される。
【0017】前記式(I)において、Rは水素原子また
は置換されていてもよい炭化水素基を示す。Rで示され
る「置換されていてもよい炭化水素基」における炭化水
素基としては、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜1
0のアルキル基、例えば、メチル,エチル,プロピル,
イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,ter
t-ブチル,ペンチル,イソペンチル、ネオペンチル,ヘ
キシル等が挙げられる。)、前記したと同様のアルケニ
ル基(好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基),さ
らに、それぞれ前記したと同様の、アリール基(好まし
くは炭素数6〜14のアリール基),アラルキル基(好
ましくは炭素数7〜19のアラルキル)等が用いられ
る。炭化水素基上の置換基としては、5〜6員芳香族複
素環基(例、フリル,チエニル,イミダゾリル,チアゾ
リル,オキサゾリル, チアジアゾリル等),前記したと
同様のハロゲン原子,前記したと同様のジ−C1-6アル
コキシホスホリル基,ホスホノ基等が用いられる。
【0018】前記式(I)において、Bはエステル化ま
たはアミド化されていてもよいカルボキシル基を示す。
Bで示される「エステル化されていてもよいカルボキシ
ル基」におけるエステル化されたカルボキシル基として
は、例えばアルコキシカルボニル基、好ましくはC1-10
アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エ
トキシカルボニル,プロポキシカルボニル,ブトキシカ
ルボニル等),アリールオキシカルボニル基、好ましく
はC6-14アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシ
カルボニル等),アラルキルオキシカルボニル基、好ま
しくはC7-19アラルキルオキシカルボニル基(例、ベン
ジルオキシカルボニル等)等が用いられる。
【0019】Bで示される「アミド化されていてもよい
カルボキシル基」におけるアミド化されたカルボキシル
基は、好ましくは、式:−CON(R1)(R2)〔式中、R
1,R2はそれぞれ水素原子,置換されていてもよい炭化
水素基または置換されていてもよい5〜7員複素環基を
示す。〕で表される置換されていてもよいカルバモイル
基が挙げられる。R1,R2で示される「置換されていて
もよい炭化水素基」における炭化水素基としては、アル
キル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例、
メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イ
ソブチル,sec-ブチル,tert-ブチル,ペンチル,イソ
ペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチ
ル,ノニル,デシル等)、アルケニル基、好ましくは炭
素数2〜10のアルケニル基(例、アリル,ビニル,2
−ペンテン−1−イル,3−ペンテン−1−イル,2−
ヘキセン−1−イル,3−ヘキセン−1−イル,2−シ
クロヘキセニル,2−シクロペンテニル,2−メチル−
2−プロペン−1−イル,3−メチル−2−ブテン−1
−イル等)、アリール基、好ましくは炭素数6〜14の
アリール基(例、フェニル,ナフチル,アントリル
等)、アラルキル基、好ましくは炭素数7〜19のアラ
ルキル基(例、ベンジル,ナフチルエチル,トリチル
等)等が用いられ、これらの炭化水素基は、例えば(i)
ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素等),
(ii)水酸基,(iii)炭素数1〜6のアルコキシ基(例、
メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,tert-ブ
トキシ,ペンチルオキシ,ヘキシルオキシ等),(iv)炭
素数1〜6のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピ
ル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec-ブチル,
tert-ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチ
ル,ヘキシル等)で置換されていてもよいアミノ基
(例、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチル
アミノ,ジエチルアミノ,ジプロピルアミノ等),(v)
アシル基(例、炭素数1〜10のアルカノイル基等)で
置換されたアミノ基(例、アセチルアミノ,プロピオニ
ルアミノ,ベンゾイルアミノ等),(vi)炭素数1〜6の
アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基
(例、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジメチルカ
ルバモイル,ジエチルカルバモイル等),(vii)C1-6
ルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エト
キシカルボニル,プロポキシカルボニル等),(viii)モ
ノ−またはジ−アルコキシホスホリル基〔例、モノ−ま
たはジ−C1-6アルコキシホスホリル基(例えば、ジメ
トキシホスホリル,ジエトキシホスホリル,エチレンジ
オキシホスホリル等)等〕,(ix)モノ−またはジ−アル
コキシホスホリルアルキル基〔例、モノ−またはジ−C
1-6アルコキシホスホリル−C1-3アルキル基(例、メト
キシホスホリルメチル、エトキシホスホリルメチル、メ
トキシホスホリルエチル、エトキシホスホリルエチル、
ジメトキシホスホリルメチル、ジエトキシホスホリルメ
チル、ジメトキシホスホリルエチル、ジエトキシホスホ
リルエチル等)等〕,(x)式
【化6】 [式中、pは2ないし4の整数を示す。] (xi)ホスホノ基,(xii)芳香族複素環基(前記と同意
義)等で1〜3個置換されていてもよい。
【0020】R1,R2で示される「置換されていてもよ
い5〜7員複素環基」における5〜7員複素環基として
は、例えば1個の硫黄原子,窒素原子または酸素原子を
含む5〜7員複素環基,2〜4個の窒素原子を含む5〜
6員複素環基,1〜2個の窒素原子および1個の硫黄原
子または酸素原子を含む5〜6員複素環基が用いられ、
これらの複素環基は2個以下の窒素原子を含む6員環,
ベンゼン環または1個の硫黄原子を含む5員環と縮合し
ていてもよい。該「置換されていてもよい5〜7員複素
環基」が有していてもよい置換基としては、前記R1
よびR2で示される「置換されていてもよい炭化水素
基」の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のも
のが1ないし4個用いられる。R1,R2で示される5〜
7員複素環基の好ましい例としては、例えば2−ピリジ
ル,ピリミジル,ピラジニル,ピリダジニル,ピラゾリ
ル,イミダゾリル,チアゾリル,オキサゾリル,テトラ
ゾリル,チアジアゾリル,オキサジアゾリル,トリアジ
ニル,トリアゾリル,チエニル,ピロリル,ピロリニ
ル,フリル,ピロリジニル,ベンゾチエニル,インドリ
ル,イミダゾリジニル,ピペリジル,ピペリジノ,ピペ
ラジニル,モルホリニル,モルホリノ,ピリド[2,3−
d]ピリミジル,ベンゾピラニル,1,8−ナフチリジ
ル,キノリル,チエノ[2,3−b]ピリジル等が挙げら
れる。
【0021】R1とR2は、互いに連結して式:−N
(R1)(R2)が5〜7員環を形成していてもよく、この
ような環としては、例えばモルホリン,ピペリジン,チ
オモルホリン,ホモピペリジン,ピペリジン,ピロリジ
ン,チアゾリジン,アゼピン等が挙げられる。R1およ
びR2で示される「置換されていてもよい炭化水素基」
の好ましい例である置換されたアルキル基の具体例とし
ては、例えばトリフルオロメチル,トリフルオロエチ
ル,ジフルオロメチル,トリクロロメチル,2−ヒドロ
キシエチル,2−メトキシエチル,2−エトキシエチ
ル,2,2−ジメトキシエチル,2,2−ジエトキシエチ
ル,2−ピリジルメチル,3−ピリジルメチル,4−ピ
リジルメチル,2−(2−チエニル)エチル,3−(3−
フリル)プロピル,2−モルホリノエチル,3−ピロリ
ルブチル,2−ピペリジノエチル,2−(N,N−ジメチ
ルアミノ)エチル,2−(N−メチル−N−エチルアミ
ノ)エチル,2−(N,N−ジイソプロピルアミノ)エチ
ル,5−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチル,N,N−ジ
メチルカルバモイルエチル,N,N−ジメチルカルバモ
イルペンチル,エトキシカルボニルメチル,イソプロポ
キシカルボニルエチル,tert−ブトキシカルボニルプロ
ピル,2−ジエトキシホスホリルエチル,3−ジプロポ
キシホスホリルプロピル,4−ジブトキシホスホリルブ
チル,エチレンジオキシホスホリルメチル,2−ホスホ
ノエチル,3−ホスホノプロピル等、置換されたアラル
キル基の具体例としては、例えば4−クロロベンジル,
3−(2−フルオロフェニル)プロピル,3−メトキシベ
ンジル,3,4−ジメトキシフェネチル,4−エチルベ
ンジル,4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ブチ
ル,4−アセチルアミノベンジル,4−ジメチルアミノ
フェネチル,4−ジエトキシホスホリルベンジル,2−
(4−ジプロポキシホスホリルメチルフェニル)エチル
等、置換されたアリール基の具体例としては、例えば4
−クロロフェニル,4−シクロヘキシルフェニル,5,
6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル,3−トリフル
オロメチルフェニル,4−ヒドロキシフェニル,3,4,
5−トリメトキシフェニル,6−メトキシ−2−ナフチ
ル,4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル,3,4
−メチレンジオキシフェニル,4− (2,2,2−トリフ
ルオロエトキシ)フェニル,4−プロピオニルフェニ
ル,4−シクロヘキサンカルボニルフェニル,4−ジメ
チルアミノフェニル,4−ベンゾイルアミノフェニル,
4−ジエトキシカルバモイルフェニル,4−tert−ブト
キシカルボニルフェニル,4−ジエトキシホスホリルフ
ェニル,4−ジエトキシホスホリルメチルフェニル,4
−(2−ジエトキシホスホリルエチル)フェニル,2−ジ
エトキシホスホリルメチルフェニル,3−ジエトキシホ
スホリルメチルフェニル,4−ジプロポキシホスホリル
フェニル,4−(2−ホスホノエチル)フェニル,4−ホ
スホノメチルフェニル,4−ホスホノフェニル等、置換
された5〜7員複素環基の具体例としては、 例えば5−
クロロ−2−ピリジル,3−メトキシ−2−ピリジル,
5−メチル−2−ベンゾチアゾリル,5−メチル−4−
フェニル−2−チアゾリル,3−フェニル−5−イソオ
キサゾリル,4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−
2−オキサゾリル,3−フェニル−1,2,4−チアジア
ゾ−ル−5−イル,5−メチル−1,3,4−チアジアゾ
ール−2−イル,5−アセチルアミノ−2−ピリミジ
ル,3−メチル−2−チエニル,4,5−ジメチル−2
−フラニル,4−メチル −2−モルホリニル等が挙げ
られる。
【0022】前記のうち、環Aは好ましくは同一または
異なって、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキ
ル基、置換されていてもよい水酸基、置換されていても
よいメルカプト基または/および置換されていてもよい
アミノ基の1またはそれ以上、より好ましくは1または
2個で置換されていてもよいベンゼン環である。より好
ましい環Aとしては、同一または異なって、ハロゲン原
子,炭素数1〜10(さらに好ましくは炭素数1〜5)
のアルキル基,炭素数1〜10(さらに好ましくは炭素
数1〜5)のアルコキシ基,式:−O−(CH2)n−O−
〔式中、nは1〜3の整数を示す〕で表されるアルキレ
ンジオキシ基または/および炭素数1〜10(さらに好
ましくは炭素数1〜5)のアルキルチオ基の1または2
個で置換されていてもよいベンゼン環である。環Aの特
に好ましい例としては、式:−O−(CH2)n−O−〔式
中、nは1〜3の整数を示す〕で表されるアルキレンジ
オキシ基で隣接する炭素原子が置換されたベンゼン環で
ある。
【0023】Rは水素原子、C1-6アルキル基(例え
ば、メチル、エチル等)またはフェニル基が好ましい。
Bは、例えばアルコキシ−カルボニル基および式:−C
ON(R1)(R2)〔式中、R1,R2はそれぞれ水素原子,
置換されていてもよい炭化水素基または置換されていて
もよい5〜7員複素環基を示す〕で表される基などが好
ましい。R1およびR2の好ましい例は、R1が水素原子
または炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル等)で、R2がハロゲン(例、フッ素、塩
素、臭素等),C1-6アルコキシ(例、メトキシ、エト
キシ等),モノ−またはジ−アルコキシホスホリル
(例、ジメトキシホスホリル、ジエトキシホスホリルな
どのモノ−またはジ−C1-6アルコキシホスホリル
等),モノ−またはジ−アルコキシホスホリルアルキル
(例、ジメトキシホスホリルメチル、ジエトキシホスホ
リルメチルなどのモノ−またはジ−C1-6アルコキシホ
スホリル−C1-3アルキルなど)(ジ−C1-6アルコキシ
におけるジアルキルは、一緒になってC1-6アルキレン
基となっていてもよい)またはC1-6アルコキシカルボ
ニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル
等)で置換されていてもよいフェニルまたはフェニル−
1-3アルキル基、あるいはフェニル基で置換されてい
てもよい1または2個の窒素原子あるいは1個の窒素原
子と1個の硫黄原子をもつ5または6員環複素環基
(例、ピリジル等)である。R1およびR2のより好まし
い例としては、R1が水素原子で、R2がモノ−またはジ
−C1-6アルコキシホスホリル−C1-3アルキルで置換さ
れたフェニル基(例、4−ジエトキシホスホリルメチル
フェニル等)である。
【0024】前記式(I)において、Xは−CH(OH)
−または−CO−を示し、好ましくは、−CO−であ
る。前記式(I)において、kは0または1、k’は
0、1または2を示し、好ましくはkが1で、k’が0
の場合である。
【0025】化合物(I)のさらに好ましい例として
は、例えば式(II)
【化7】 〔式中、R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
それぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になっ
てC1-6アルキレン基を示す〕で表される光学活性ベン
ゾチエピン誘導体が挙げられる。
【0026】前記式(II)において、R3、R4およびR
5で示される「C1-6アルキル基」としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペ
ンチル、ネオペンチル、ヘキシル等のアルキル基が挙げ
られ、好ましくは、炭素数1ないし4のアルキル基が挙
げられる。R4およびR5は一緒になって、C1-6アルキ
レン基を形成してもよく、この場合例えば、
【化8】 〔式中、 pは2ないし4の整数を示す。〕で表すことが
できる。R3、R4およびR5としては、例えばそれぞれ
メチル、エチル等の炭素数1ないし4のアルキル基等が
好ましい。化合物(II)は、(2R,4S)配位の光学
活性体であって、(2S,4R)配位の化合物を実質的
に含まず、光学純度が100%に近いほど好ましいもの
である。
【0027】化合物(II)の特に好ましい例としては、
例えば(2R,4S)−(−)−N−〔4−(ジエトキシホス
ホリルメチル)フェニル〕−1,2,4,5−テトラヒドロ
−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ
−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド(以下、化
合物Aと称することもある)またはその塩である。化合
物Aの構造は、次の式で示される。
【化9】
【0028】本発明で用いられる化合物(I)の塩とし
ては、好ましくは薬理学的に許容される塩が用いられ
る。薬理学的に許容される塩としては、無機塩基との
塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩また
は塩基性若しくは酸性アミノ酸との塩等が用いられる。
具体的には、無機塩基との塩としては、アルカリ金属塩
(例、ナトリウム塩,カリウム塩等)、アルカリ土類金
属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩等)が、有機
塩基との塩としては、例えばトリメチルアミン塩,トリ
エチルアミン塩,ピリジン塩,ピコリン塩,N,N−ジ
ベンジルエチレンジアミン塩,ジエタノールアミン塩等
が、無機酸との塩としては、塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨ
ウ化水素酸塩,リン酸塩,硝酸塩,硫酸塩等が、有機酸
との塩としては、ギ酸塩,酢酸塩,トリフルオロ酢酸
塩,シュウ酸塩,酒石酸塩,フマール酸塩,マレイン酸
塩,メタンスルホン酸塩,ベンゼンスルホン酸塩,p−
トルエンスルホン酸塩,クエン酸塩等が、塩基性または
酸性アミノ酸との塩としては、例えばアルギニン塩、リ
ジン塩、アスパラギン酸塩,グルタミン酸塩等が用いら
れる。本発明の予防治療剤に含有される化合物(I)ま
たはその塩は、特開平3−232880号公報(ヨーロ
ッパ特許出願公開公報第376197号公報)、特開平
4−364179号公報(ヨーロッパ特許出願公開公報
第460488号公報)、特開平8−231569号公
報(ヨーロッパ特許出願公開公報第719782号公
報)に記載された方法と同一の方法、これらと類似の方
法またはこれらに準じた方法により製造することができ
る。
【0029】当該化合物(I)またはその塩には優れた
アルカリフォスファターゼ誘導活性があり、強い骨形成
促進作用を示すことが既に知られている(上掲特開平8
−231569号公報等)。しかし、本発明によって化
合物(I)またはその塩に新たに見出された種々の薬理
作用は、病変しつつある軟骨組織の状態を正常化すると
いう効果を示す点で、骨自体の形成を促進する作用とは
全く異なるものである。そのため、化合物(I)または
その塩を有効成分とする本発明の軟骨疾患予防治療薬
は、病変が骨自体に至る以前の軟骨疾患に特に有用であ
り、慢性関節リウマチや変形性関節症などの初期の段階
の治療はもちろんのこと、これらの疾患の予防にも応用
できる。即ち、化合物(I)またはその塩は、I型コラ
ゲナーゼ等のメタロプロテアーゼ遊離抑制作用、プロテ
オグリカン遊離抑制作用、プロテオグリカン合成促進作
用またはII型コラーゲン合成促進作用を示し、軟骨基
質、具体的にはプロテオグリカンおよびII型コラーゲン
の合成を促進する。その結果、強い軟骨破壊抑制作用、
軟骨形成促進作用、軟骨細胞分化誘導促進作用を有し、
かつ安定性、吸収性、体内利用性等の臨床上有用な性質
が優れているので、哺乳動物(例、ヒト、ラット、マウ
ス、ネコ、イヌ、ウサギ、牛、豚など)における種々の
軟骨の疾患、例えば、軟骨欠損症、軟骨が関与する慢性
関節リウマチ、軟骨が関与する変形性膝関節炎あるいは
それらの類縁疾患における関節等における軟骨の破壊等
の予防ならびに治療のために使用され得る。
【0030】本発明において、化合物(I)またはその
塩を軟骨疾患予防治療剤として用いる場合、常法に従っ
て薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;またはシロップ剤、
注射剤などの液状製剤として製剤化することができ、経
口または非経口的に投与することができる。
【0031】薬学的に許容される担体としては、製剤素
材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いら
れ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊
剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等
張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また
必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤など
の製剤添加物を用いることもできる。賦形剤の好適な例
としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デン
プン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられ
る。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイ
ドシリカなどが挙げられる。結合剤の好適な例として
は、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、
デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン
などが挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば
デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリ
ウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げ
られる。溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、ア
ルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ
油、トウモロコシ油などが挙げられる。溶解補助剤の好
適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジ
ル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロー
ル、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸
ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例とし
ては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシ
チン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モ
ノステアリン酸グリセリン、などの界面活性剤;例えば
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、
ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分
子などが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、例
えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールな
どが挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、例えばリ
ン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液など
が挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えばベ
ンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例
としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロ
ロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコ
ール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗
酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコル
ビン酸などが挙げられる。適当な方法で化合物(I)ま
たはその塩を分散させた懸濁液を溶解し、マイクロカプ
セル、球状,棒状,針状,ペレット状,フイルム状等に賦形
して本発明の予防治療剤を製造することもできる。
【0032】更に、本発明の予防治療剤は、化合物
(I)またはその塩と生体内分解性高分子化合物とを含
む徐放性製剤に成形してもよい。該徐放性製剤の調製
は、特開平9−263545号公報に記載の方法に準ず
ることができる。該生体内分解性高分子化合物として
は、水に難溶または不溶で成形性を有し、治療のための
一定期間内に生体内で分解するいわゆる生体内分解型の
高分子化合物が挙げられる。その具体例としては、例え
ば脂肪酸ポリエステル〔例、α−ヒドロキシカルボン酸
類(例、乳酸,グリコール酸,2−ヒドロキシ酪酸、2−
ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、
2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロ
ン酸、2−ヒドロキシカプリル酸等),ヒドロキシジカ
ルボン酸類(例、リンゴ酸等),ヒドロキシトリカルボ
ン酸類(例、リンゴ酸等),乳酸カプロラクトン,バレロ
ラクトン等の1種以上の重合物、共重合物、あるいはこ
れらの混合物〕,およびその誘導体(例、ポリ乳酸,ポリ
グリコール酸及びポリエチレングリコールのブロック重
合物等),ポリ−α−シアノアクリル酸エステル,ポリア
ルキレンオキサレート類(例、ポリトリメチレンオキサ
レート,ポリテトラメチレンオキサレート等),ポリオル
ソエステル,ポリオルソカーボネート,ポリカーボネート
類(例、ポリエチレンカーボネート,ポリエチレンプロ
ピレンカーボネート等),ポリアミノ酸類(例、ポリ−
γ−ベンジル−L−グルタミン酸,ポリ−L−アラニン,
ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸等),ヒアルロン
酸エステル類,ポリスチレン,ポリメタアクリル酸,アク
リル酸とメタアクリル酸との共重合物,ポリアミノ酸,デ
キンステアレート,エチルセルロース,アセチルセルロー
ス,ニトロセルロース,無水マレイン酸系共重合物、コラ
ーゲン、ゼラチン、フィブリン、ヒドロキシアパタイト
等が用いられる。
【0033】これらの生体内分解性高分子化合物は1種
でもよく、また2種以上の共重合物、あるいは単なる混
合物でもよい。重合の形式はランダム、ブロック、グラ
フトの何れでもよい。生体内分解性高分子化合物の好ま
しい例は、例えば脂肪族ポリエステル等である。特に、
例えばα−ヒドロキシカルボン酸類の1種以上から合成
された重合物、共重合物が生体内分解性および生体適合
性の観点から好ましく、具体的には乳酸,グリコール酸,
2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸等の1種以
上から合成された共重合物、またはこれらの混合物が使
用される。生体内分解性高分子化合物は、自体公知の方
法、例えば特開昭61−28521号公報に記載の方法
またはそれに準じた方法により製造される。
【0034】前記α−ヒドロキシカルボン酸類はD−
体、L−体、およびD、L−体のいずれでもよいが、
D、L−体が好ましい。前記α−ヒドロキシカルボン酸
類の単一重合物の例としては乳酸、グリコール酸、2−
ヒドロキシ酪酸等の単一重合物が挙げられ、該α−ヒド
ロキシカルボン酸類としては乳酸が好ましい。α−ヒド
ロキシカルボン酸類の共重合物の例としてはグリコール
酸と他のα−ヒドロキシカルボン酸類との共重合物が挙
げられ、他のα−ヒドロキシカルボン酸類としては、例
えば乳酸、2−ヒドロキシ酪酸等が好ましい。具体的に
は、例えば乳酸−グリコール酸共重合物、2−ヒドロキ
シ酪酸−グリコール酸共重合物等、好ましくは乳酸−グ
リコール酸共重合物等が用いられる。
【0035】これらの生体内分解性高分子化合物の平均
分子量は約2,000ないし約800,000のものが好
ましく、より好ましくは約5,000ないし約200,0
00の範囲から選定される。乳酸単一重合物(以下、ポ
リ乳酸と称することもある)において、その重量平均分
子量は約5,000から約100,000のものが好まし
い。さらに好ましくは約6,000から約50,000で
ある。ポリ乳酸は、自体公知の製造方法、例えば特開昭
61−28521号公報に記載の方法に従って合成でき
る。乳酸−グリコール酸共重合物において、その乳酸と
グリコール酸との組成比は約100/0から約50/5
0(W/W)が好ましく、特に約90/10から50/5
0(W/W)が好ましい。乳酸−グリコール酸共重合物の
重量平均分子量は約5,000から約100,000が好
ましい。さらに好ましくは約8、000から50,00
0である。乳酸−グリコール酸共重合物は、自体公知の
製造方法、例えば特開昭61−28521号公報に記載
の方法に従って合成できる。該共重合体は無触媒脱水重
縮合で合成された物が好ましい。
【0036】2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合
物において、グリコール酸が約40から約70モル%、
残りが2−ヒドロキシ酪酸である場合が好ましい。2−
ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合物の重量平均分子
量は、約5,000から約100,000が好ましい。さ
らに好ましくは約8,000から約50,000である。
2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合物は、自体公
知の製造方法、例えば特開昭61−28521号公報に
記載の方法に従って合成できる。該共重合体は無触媒脱
水重縮合で合成された物が好ましい。前記した2−ヒド
ロキシ酪酸−グリコール酸共重合物は、さらにポリ乳酸
と混合して使用してもよい。2−ヒドロキシ酪酸−グリ
コール酸共重合物とポリ乳酸とを混合して使用する場
合、その混合比は例えば約10/90から約90/10
(重量%)である。混合比はさらに好ましくは約25/
75から約75/25(重量%)である。
【0037】重量平均分子量は、ゲルパーミェーション
クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン
換算の分子量をいう。測定は、GPCカラムKF804
L×2(昭和電工製)、RIモニターL−3300(日
立製作所製)を使用し、移動相としてクロロホルムを用
いた。生体内分解性高分子化合物の使用量は、化合物
(I)またはその塩の薬理活性の強さと、生体内分解性
高分子化合物からの薬物放出の速度および期間等によっ
て変えることができ、例えば当該生理活性物質に対して
約0.2ないし10,000倍(重量比)の量で用いら
れ、好ましくは約1ないし1,000倍(重量比)、さ
らに好ましくは約1ないし100倍(重量比)の量で用
いるのがよい。化合物(I)またはその塩を生体内分解
性高分子化合物に含有せしめる方法は常法により実施す
ることができ、例えば化合物(I)またはその塩を生体
内分解性高分子化合物に分散させマイクロカプセル化ま
たはマイクロスフェア化する方法、あるいはあらかじめ
一定の形に成型した中空の生体内分解性高分子化合物内
部に充填する方法等によって製造される。マイクロカプ
セル化またはマイクロスフェア化する方法としては、具
体的には、例えば水中乾燥法、相分離法、噴霧乾燥法あ
るいはこれらに準ずる方法などが挙げられる。
【0038】以下に、マイクロカプセル化し徐放化た本
発明の予防治療剤を製造する場合の製造方法について記
述する。 (1)水中乾燥法(o/w法) 本方法においては、まず生体内分解性高分子化合物の有
機溶媒溶液を作製する。本方法に使用する有機溶媒は、
沸点が120℃以下であることが好ましい。該有機溶媒
としては、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメ
タン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、
トリクロロエタン、四塩化炭素等)、脂肪族エステル
(例、酢酸エチル,酢酸ブチル等)、エーテル類(例、
エチルエーテル,イソプロピルエーテル等)、芳香族炭
化水素(例、ベンゼン,トルエン,キシレンなど)等が挙
げられる。これらは2種以上適宜の割合で混合して用い
てもよい。有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、ア
セトニトリルであり、より好ましくはジクロロメタンで
ある。生体内分解性高分子化合物の有機溶媒溶液中の濃
度は、生体内分解性高分子化合物の分子量、有機溶媒の
種類などによって異なるが、一般的には約0.01〜約
80%(w/w)から選ばれる。好ましくは約0.1〜約7
0%(w/w)、さらに好ましくは約1〜約60%(w/w)
である。
【0039】このようにして得られた生体内分解性高分
子化合物の有機溶媒溶液中に、化合物(I)またはその
塩を、必要により凍結乾燥あるいは真空乾燥した後、添
加し溶解させる。この際化合物(I)またはその塩の添
加量は、薬物の種類、軟骨破壊抑制・形成促進における
作用機作および効果の持続時間等により異なるが、生体
内分解性高分子化合物の有機溶媒溶液中の濃度として、
約0.001%〜約90%(w/w)、好ましくは約0.0
1%〜約80%(w/w)、さらに好ましくは約0.1〜5
0%(w/w)である。
【0040】次いで、このようにして調製された有機溶
媒溶液をさらに水相中に加えて、タービン型撹拌機など
を用いてo/wエマルジョンを形成させる。この際の水
相体積は一般的には油相体積の約1倍〜約10,000
倍から選ばれる。さらに好ましくは、約2倍〜約5,0
00倍から選ばれる。特に好ましくは、約5倍〜約2,
000倍から選ばれる。前記外相の水相中に乳化剤を加
えてもよい。該乳化剤は、一般的に安定なo/wエマル
ジョンを形成できるものであれば何れでもよい。乳化剤
としては、例えばアニオン性界面活性剤、非イオン性界
面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリビ
ニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメ
チルセルロース、レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸な
どが挙げられる。これらは適宜組み合わせて使用しても
よい。外水相中の乳化剤の濃度は、好ましくは約0.0
01%〜約20%(w/w)である。さらに好ましくは約
0.01%〜約10%(w/w)、特に好ましくは約0.0
5%〜約5%(w/w)である。
【0041】油相の溶媒の蒸発には、通常用いられる方
法が採用される。該方法としては、プロペラ型撹拌機、
あるいはマグネチックスターラー等で撹拌しながら常圧
もしくは徐々に減圧して行うか、ロータリーエバポレー
ターなどを用いて、真空度を調節しながら行う。このよ
うにして得られたマイクロカプセルは遠心分離法あるい
は濾過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着
している化合物(I)、乳化剤などを、例えば水または
ヘプタン等で数回繰り返し洗浄した後、再び、蒸留水な
どに分散して凍結乾燥する。洗浄中の粒子同士の凝集を
防ぐために、凝集防止剤〔例、マンニトール,ラクトー
ル,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)など
の水溶性糖類、グリシン,アラニン等のアミノ酸類、ゼ
ラチン、フィブリン,コラーゲン等の蛋白質等〕を加え
てもよい。前記したo/w法においては、化合物(I)
またはその塩を生体内分解性高分子化合物の有機溶媒溶
液中に分散させる方法、すなわちs/o/w法によりマ
イクロカプセルを製造してもよい。
【0042】(2)水中乾燥法(w/o/w法) 本方法においては、まず水に化合物(I)またはその塩
を前記の濃度になるように溶解または分散し、これに必
要であれば蛋白質(例、ゼラチン等)、海草類(例、寒
天等)、多糖類(例、アルギン酸等)、合成高分子物質
(例、ポリビニールアルコール等)あるいは塩基性アミ
ノ酸(例、アルギニン、リジン等)等の薬物保持物質を
加えて溶解もしくは懸濁し、内水相とする。これらの内
水相中には、化合物(I)またはその塩の安定性、溶解
性を保つためのpH調整剤として、酢酸,シュウ酸,クエ
ン酸などの有機酸、炭酸,リン酸等の無機酸、水酸化ナ
トリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルギニン,リジ
ン等の塩基性アミノ酸及びそれらの塩(例、酢酸,シュ
ウ酸,クエン酸などの有機酸、炭酸,リン酸,塩酸などの
無機酸等との塩)などを添加してもよい。また、さらに
化合物(I)またはその塩の安定化剤として、蛋白質
(例、アルブミン、ゼラチンなど)、デンプン誘導体
(例、デキストリン,プルラン等)、有機酸(例、クエ
ン酸など)、エチレンジアミン四酢酸アルカリ金属塩
(例、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等)、亜硫酸
水素アルカリ金属塩(例、亜硫酸水素ナトリウム等)、
合成高分子物質(例、ポリエチレングリコール等)など
を添加してもよい。あるいは保存剤として、一般に用い
られるパラオキシ安息香酸エステル類(例、メチルパラ
ベン,プロピルパラベン等)、ベンジルアルコール、ク
ロロブタノール、チメロサールなどを添加してもよい。
この際化合物(I)またはその塩の添加量は、薬物の種
類、軟骨破壊抑制・形成促進における作用機作および効
果の持続時間等により異なるが、内水相中の濃度とし
て、約0.001%〜約90%(W/W)、好ましくは約
0.01%〜約80%(W/W)、さらに好ましくは約0.
1〜50%(W/W)である。
【0043】このようにして得られた内水相液を、生体
内分解性高分子化合物を含む溶液(油相)中に加え、次
いで乳化操作を行い、w/oエマルションをつくる。該
乳化操作は、公知の分散法、例えば、断続振とう法、プ
ロペラ型撹拌機或いはタービン型撹拌機などのミキサー
による方法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音
波照射法等が用いられる。前記生体内分解性高分子化合
物を含む溶液(油相)は、生体内分解性高分子化合物を
有機溶媒中に溶解した物が用いられる。該溶媒として
は、沸点が約120℃以下で、かつ水と混和しない性質
の物であればよく、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジ
クロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロ
エタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、脂肪族エ
ステル(例、酢酸エチル,酢酸ブチル等)、エーテル類
(例、エチルエーテル,イソプロピルエーテル等)、芳
香族炭化水素(例、ベンゼン,トルエン,キシレンなど)
等が挙げられる。これらは2種以上適宜の割合で混合し
て用いてもよい。洗浄中の粒子同士の凝集を防ぐため
に、凝集防止剤〔例、マンニトール,ラクトール,ブドウ
糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)などの水溶性
糖類、グリシン,アラニン等のアミノ酸類、ゼラチン、
フィブリン,コラーゲン等の蛋白質等〕を加えてもよ
い。ついでこのようにして製造されたw/oエマルショ
ンをさらに水相中に加えて、w/o/wエマルションを
製造し、油相溶媒を蒸発させマイクロカプセルを製造す
る。具体的操作は前記(1)に準ずる。
【0044】(3)相分離法 本方法においては、前記w/oエマルションに撹拌下、
コアセルベーション剤を徐々に加え、生体内分解性高分
子化合物を、析出、固化させる。コアセルベーション剤
としては、生体内分解性高分子化合物の溶媒に混和する
高分子系、鉱物油系または、植物油系の化合物で、マイ
クロカプセル化用重合物を溶解しない物であればよく、
例えば、シリコン油、植物油脂(例、ゴマ油,大豆油,コ
ーン油,綿実油,ココナツ油,アマニ油等)、鉱物油、炭
化水素類(例、n−ヘキサン,n−ヘプタン等)などが
挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルは、濾過して
分取した後、ヘプタン等により繰り返し洗浄し、コアセ
ルベーション剤を除去する。さらに、水中乾燥法と同様
の方法で遊離薬物の除去、溶媒の脱離を行う。洗浄中の
粒子同士の凝集を防ぐために、凝集防止剤〔例、マンニ
トール,ラクトール,ブドウ糖,デンプン類(例、コーン
スターチ等)などの水溶性糖類、グリシン,アラニン等
のアミノ酸類、ゼラチン、フィブリン,コラーゲン等の
蛋白質等〕を加えてもよい。
【0045】(4)噴霧乾燥法 本方法によりマイクロカプセルを製造する場合には、前
記w/oエマルションを、ノズルを用いてスプレードラ
イヤー装置(噴霧乾燥機)の乾燥室内へ噴霧し、きわめ
て短時間に微粒化液滴内の有機溶媒及び水を揮発させマ
イクロカプセルを調製する。ノズルとしては、二液体ノ
ズル型、圧力ノズル型、回転ディスク型等がある。この
とき、所望により、w/oエマルションの噴霧と同時に
マイクロカプセルの凝集防止を目的として、前述の凝集
防止剤の水溶液を別ノズルより噴霧する事も有効であ
る。このようにして得られたマイクロカプセルは、必要
があれば加温し、減圧化でマイクロカプセル中の水分及
び溶媒の除去をより完全に行う。
【0046】マイクロカプセルの粒子径は、例えば懸濁
注射剤として使用する場合にはその分散度、通針性を満
足する範囲であればよく、例えば平均粒子径として約
0.1〜約300μm の範囲が挙げられる。好ましく
は、約1〜150μm、さらに好ましくは、約2〜10
0μmの範囲の粒子径である。マイクロカプセルを無菌
製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ
線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられ
るが、特に限定されない。
【0047】前記したマイクロカプセル以外にも、適当
な方法で化合物(I)またはその塩を分散させた生体内
分解性高分子化合物を溶解し、球状,棒状,針状,ペレッ
ト状,フイルム状等に賦形して本発明の徐放性製剤を製
造することもできる。更には、化合物(I)またはその
塩を分散させた生体内分解性高分子化合物を、例えば特
開平6−234656号公報に記載のターボカウンター
ジェットミル粉砕機や超音波ジェット粉砕機を用いた方
法等で適当な大きさの粒径に粉砕し、本発明の徐放性製
剤を製造することもできる。具体的には、例えば生体内
分解性高分子化合物の有機溶媒中に、化合物(I)また
はその塩を添加し溶解させる。次いで真空乾燥して得ら
れた固溶体を粗粉砕して篩濾し、さらに脱溶媒後、超音
波ジェット粉砕機を用いて制御された粒径に粉砕して本
発明の徐放性製剤を製造する。
【0048】以上の製剤化において、化合物(I)また
はその塩を含有させる割合は、製剤全体に対して約0.
01〜約95重量%、好ましくは約0.1〜約20重量
%である。化合物(I)またはその塩は経口用製剤とし
て用いることができるが、化合物(I)またはその塩
は、局所投与製剤に成形して投与すると軟骨疾患の患部
に直接投与することができるので好ましい。この場合
は、注射剤とするのが好ましい。局所投与用の非経口剤
(例、筋肉内,皮下,臓器,関節部位などへの注射剤、埋
め込み剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、懸濁剤等の液
剤、軟膏剤等)などとして投与することもできる。例え
ば、注射剤とするには、化合物(I)またはその塩を分
散剤(例、Tween80、HCO−60等の界面活性剤、
カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、
ヒアルロン酸等の多糖類、ポリソルベート等)、保存剤
(例、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等張化
剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトー
ル、ブドウ糖等)、緩衝剤(例、炭酸カルシウム等)、
pH調整剤(例、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム
等)等と共に水性懸濁剤とすることにより実用的な注射
用製剤が得られる。また、ゴマ油、コーン油などの植物
油あるいはこれにレシチンなどのリン脂質を混合したも
の、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオ
ール812等)と共に分散して油性懸濁剤として実際に
使用できる注射剤とする。
【0049】とりわけ、変形性関節症患者に対しては関
節腔内へ局所投与剤として直接投与するような場合に
は、注射用ヒアルロン酸製剤(例えば、科研製薬製:ア
ルツ注)を分散媒として、化合物(I)またはその塩を
分散することにより調製することができる。分散媒中に
用いられるヒアルロン酸は、その非毒性塩を用いてもよ
く、その例としてはナトリウム、カリウムなどのアルカ
リ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土
類金属塩があげられ、とりわけナトリウム塩が好ましく
用いられる。ヒアルロン酸およびその非毒性塩としては
分子量約20万〜500万(粘度法)、好ましくは約5
0万〜300万、さらに好ましくは約70万〜250万
のものが用いられる。本分散剤におけるヒアルロン酸ま
たはヒアルロン酸ナトリウムの最終濃度は1%(W/
V)未満が粘度として適当であり各種操作、投与の容易
さなどの点で好ましく、とりわけ約0.02〜1%未満
が好ましく、さらに好ましくは約0.1〜1%(W/
V)である。上記分散媒には、自体公知の方法により、
pH調節剤、局所麻酔剤、抗生物質、溶解補助剤、等張
化剤、吸着防止剤、グリコサミノグリカン、多糖類など
を含有させてもよい。その好ましい例としては、マンニ
トール、ソルビトール、食塩、グリシン、酢酸アンモニ
ウム、あるいは実質的に薬理活性を示さずに体液内に注
入しうる水溶性蛋白などが挙げられる。該グリコサミノ
グリカンとしては、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コ
ンドロイチン硫酸A,コンドロイチン硫酸C,デルマタン
硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケウタン硫酸などが挙
げられる。該多糖類としては、アルギニン酸のような酸
性多糖類が挙げられる。上記水溶性蛋白としては、水、
生理食塩水または緩衝液に溶解するものであればよく、
例えばヒト血清アルブミン、ヒト血清グロブリン、コラ
ーゲン、ゼラチンなどがあげられる。上記pH調節剤と
しては、たとえばグリシン、酢酸アンモニウム、クエン
酸、塩酸、水酸化ナトリウムなどがあげられる。上記局
所麻酔剤としては、例えばクロロブタノール、塩酸キシ
ロカインなどがあげられる。上記抗生物質としては、た
とえばゲンタマイシンなどがあげられる。上記溶解補助
剤としては、例えばグリセリン、ポリエチレングリコー
ル400などがあげられる。上記等張化剤としては、た
とえばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムな
どがあげられる。上記吸着防止剤としては、たとえばポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどがあげ
られる。
【0050】さらに分散媒中に水溶性蛋白を含有する場
合の該水溶性蛋白の含有量としては、一回投与の製剤あ
たり、好ましくは0.05〜50mg,さらに0.5〜2
0mgが好ましく、より好ましくは0.75〜10mg
である。 該製剤は、リン酸またはその塩(例えば、リ
ン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)を含有していても
よい。注射剤にリン酸またはその塩が含まれる場合、そ
の注射剤中のリン酸ナトリウムあるいはリン酸カリウム
の濃度は約0.1mMないし500mMであり、約1m
Mないし100mMのときが好ましい。本発明の予防治
療剤の好ましい組成としては、(A)乳酸−グリコール
酸共重合体が乳酸/グリコール酸共重合体の組成比が約
90/10ないし50/50(w/w)で、かつ重量平
均分子量が約8,000ないし50,000のものであ
り、(B)化合物(I)が(2R,4S)−(−)−N
−〔4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル〕−
1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチ
レンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−
カルボキサミドであり、(C)リン酸またはその塩がリ
ン酸ナトリウムである、場合が挙げられる。(A)にお
ける(B)の含有量は、約5ないし30%(w/w)
で、(A)及び(B)における(C)の含有量は、約
0.1ないし20%である。
【0051】本発明の予防治療剤は、前記のように懸濁
液であることが好ましい。また、本発明の予防治療剤は
微粒子状であることが好ましい。通常の皮下あるいは筋
肉内注射に使用される注射針を通して投与される方が、
患者に対し過度の苦痛を与えることがないからである。
本発明製剤は特に注射剤であることが好ましい。無菌製
剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線
で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられる
が、特に限定されない。
【0052】本発明の予防治療剤は、優れた軟骨形成促
進作用、軟骨破壊抑制作用、軟骨細胞分化誘導促進作用
を有するので、軟骨疾患(例えば,慢性関節リウマチ,変
形性膝関節炎およびそれらの類似疾患における関節軟骨
の破壊等)の予防,治療に用いることができる。これら
の中で特に、患部を固定しギブスなどで覆うことが多疾
患のために、頻回投与を避け1回の投与で持続的に治癒
促進することが望まれるため、本発明の徐放性製剤は特
に有効である。本発明の予防治療剤においては、他の関
節疾患治療剤と共に用いることもできる。例えば、化合
物(I)またはその塩が軟骨破壊抑制・軟骨細胞分化誘
導促進剤として用いられる場合、他の関節疾患治療剤と
組み合わせて用いることもできる。該組み合される薬剤
としては、抗炎症ステロイド剤(例、プレドニゾロン、
ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタ
ゾン、ベタメタゾン等)、非ステロイド性消炎鎮痛剤
(例、インドメタシン、ジクロフェナク、ロキソプロフ
ェン、イブプロフェン、アスピリン、ピロキシカム、ス
リンダク等)あるいはヒアルロン酸製剤(例、ヒアルロ
ン酸ナトリウム等)などが挙げられる。本発明の予防治
療剤は、軟骨疾患の予防,治療、軟骨組織の修復再生等
に合致した、安全で効能の高い製剤として用いられる。
例えば軟骨形成促進作用を局所において効率的に発揮さ
せ、関節軟骨の疲弊あるいは破壊による疼痛などにより
日常生活に支障をきたしている患者のクオリティーオブ
ライフを改善することが可能である。化合物(I)また
はその塩を、軟骨疾患の予防治療剤として使用する場
合、その1日当たりの投与量は、患者の状態や体重、投
与方法、製剤からの放出速度により異なるが、経口投与
の場合、成人(体重50kg)1人当たり化合物(I)
またはその塩として約5から約1000mg、好ましく
は約30から約600mgであり、1から3回にわけて
投与する。非経口投与の場合、成人(体重50kg)1
人当たり化合物(I)またはその塩として約0.1から
約500mg、好ましくは約1から約50mgであり、
1から3回にわけて投与する。本発明の医薬組成物が徐
放性製剤である場合の投与量は、化合物(I)又はその
塩の種類と含量、剤形、薬物放出の持続時間、投与対象
動物(例、ヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウサ
ギ、牛、豚等の哺乳動物)、投与目的により種々異なる
が、例えば非経口投与により適用する場合には、1週間
に約0.1から約100mgの化合物(I)が投与製剤
から放出されるようにすればよい。本発明の医薬組成物
は低毒性で安全に使用することができる。例えば、化合
物Aを500mg/kg/日の用量で2週間ラットに経
口投与しても何等異常所見は認められなかった。特に化
合物Aは、対応するラセミ体に比べて経口投与されたと
きの吸収性において優れているので、経口用製剤のため
に有利に使用できる。
【0053】
【実施例】以下に参考例、実施例および試験例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに
限定されるるものではない。化合物A、即ち(2R,4
S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチ
ル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メ
チル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベ
ンゾチエピン−2−カルボキサミドは、特開平8−23
1569号公報の実施例1に記載の方法と同じ方法で製
造されたものを用いた。
【0054】実施例1 乳酸−バレロラクトン共重合物(PLV 2500M
L、多木化学製、以下PLVと称することがある)、ま
たはグリコール酸−カプロラクトン共重合物(PGC
2500MG、多木化学製、以下PGCと称することが
ある)約8gを遠沈管にいれ水浴中約50℃で加温し、
化合物A約80mgをそれぞれに混合し、均一に分散して
本発明の軟膏状製剤を得る。冷所において保存する。
【0055】実施例2 特開平9−263545号公報の実施例1で得られた5
00mgのマイクロカプセルを、ティシール(日本臓器製
薬株式会社製)用フィブリノーゲン液2本に均一に分散
し、ティシール用トロンビン液2本を徐々に添加する。
次いで速やかにプラスチック製注射筒に吸入し、37℃
で30分静置して固化させる。固化後注射筒先端より押
し出し、カミソリで切断して体積約200μl のペレッ
トを作製し、本発明の製剤を得る。
【0056】実施例3 化合物A4mgを骨補填剤である中空型ヒドロキシアパタ
イト(住友製薬製、ボーンセラムP、直径3mm長さ14
mm、孔径1mm)に充填して、本発明の製剤を得る。中空
孔の両端は粘土で密封する。
【0057】実施例4 特開平9−263545号公報の実施例1で得られた、
化合物A含有(含量4%)マイクロカプセルに20%の
微粉化ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製)を添加し
て、直系5.5mm、重量125mgの本発明のマイク
ロカプセル含有錠剤を作成する。
【0058】実施例5 乳酸−グリコール酸の組成比85/15(モル%)、重
量平均分子量14,900のPLGA(和光純薬工業株
式会社製)を用いた以外は、特開平9−263545号
公報の実施例1に記載の方法に従って化合物Aを10%
含有する本発明のマイクロカプセル製剤を作成する。平
均粒径は31μmである。
【0059】実施例6 特開平9−263545号公報の実施例1に記載の方法
と同様の方法で、乳酸−グリコール酸の組成比85/1
5、重量平均分子量14,900のPLGA(和光純薬
工業株式会社製)2.4gおよび化合物A 0.1gを含
有するジクロロメタン溶液を調製する。さらにこの有機
溶媒溶液にエストラジオール0.2gを溶解した後、P
VA溶液に注入して、O/Wエマルションを作成し、化
合物Aおよびエストラジオールを含有する本発明のマイ
クロカプセル製剤を作成する。平均粒子径は27μmで
ある。
【0060】実施例7 カプセル剤の製造:ヒアルロン酸(キューピー株式会社
製、製品名:HATMKW7001,分子量:約210
万)を2mg、食塩を2mg、ツイーン(Tween)
80(日光ケミカル社製、製品名:レオドールTW−0
120 INJ NF)1mgを、それぞれ秤量して注
射用蒸留水1mlに溶解して分散媒とした。一方、化合
物Aを10%含有するマイクロカプセルを,特開平9−
263545号公報の実施例6の方法により調製した。
本マイクロカプセル10mgを秤量し、上記分散媒0.
2mlに分散し水性懸濁液を調製した。これを、化合物
Aを有効成分として含有する軟骨疾患予防治療剤とす
る。
【0061】試験例1 インターロイキンー1(IL−1)刺激ウサギ軟骨細胞
におけるI型コラーゲナーゼ遊離に及ぼす影響:軟骨細
胞の調製および培養は、Suzukiらの方法(新生化学実験
講座18細胞培養技術:871−875、1990)に
準じて行った。すなわち、離乳直後の日本白色ウサギ
(雄性、400〜500g)を炭酸ガスにより屠殺し、
全身を70%エタノールで滅菌後、クリーンベンチ内で
胸郭を無菌的に摘出した。肋軟骨・骨移行部を一本ずつ
分離し、周囲の軟組織を含まない軟骨片を得た。この軟
骨片をメスで細切し、Ca2+およびMg2+を含まないTy
rode's液中で洗浄後、10%牛胎児血清を含むDulbeco'
s modification of Eagle's medium(DMEM)中に懸
濁し、4×104cells/wellの密度で12ウェルプレー
トに播種した。細胞を1週間培養した後、無血清の培養
液に交換し、IL−1β(30ng/ml)および化合物A
を所定濃度で添加した。添加してから48時間後に培養
上清を回収し、培養上清中のコラゲナーゼ活性を市販の
キット(I型コラゲナーゼ活性測定キット、コスモバイ
オ製)で測定した。その結果を[図1]に示す。(*:
p<0.05、ダンネットテストによる) [図1]において、対照は、化合物A無添加を示す。
[図1]の結果から、化合物Aは、I型コラゲナーゼ
(メタロプロテアーゼI)の遊離抑制作用を示し、関節
炎などに帰因する軟骨破壊を抑制する作用を有すること
が分かる。
【0062】試験例2 インターロイキンー1刺激ウサギ軟骨細胞におけるプロ
テオグリカン遊離に及ぼす影響:軟骨細胞の調製および
培養は、鈴木らの方法(新生化学実験講座18細胞培養
技術:871−875、1990)に準じて行った。す
なわち、離乳直後の日本白色ウサギ(雄性、400〜5
00g)を炭酸ガスにより屠殺し、全身を70%エタノ
ールで滅菌後、クリーンベンチ内で胸郭を無菌的に摘出
した。肋軟骨・骨移行部を一本ずつ分離し、周囲の軟組
織を可及的に除去した後、骨と軟骨の境界部を切断して
他の組織を含まない軟骨片を得た。この軟骨片をメスで
細切し、Ca2+およびMg2+を含まないTyrode's液中
で、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)(0.1%、
20分、2回)、トリプシン(0.15%、60分)、
コラゲナーゼ(0.2%、3時間)により、37℃の条
件下に順次処理して軟骨細胞を分散した。細胞を同Tyro
de's液で洗浄後、10%牛胎児血清を含む Dulbeco's
modification of Eagle's medium(DMEM)中
に懸濁し、1×104 cells/wellの密度で96ウェルプ
レートに播種した。細胞を4日間培養した後、無血清/
35S]硫酸 0.5%μci(1×106dpm/well)の濃
度の培養液で3日間培養し、2回洗浄してから[35S]
硫酸 freeの培養液で培養した。6時間後、再度、IL
−1β(3ng/ml)および化合物Aを所定濃度で添加し
培養した。添加してから24時間後に培養上清を回収
し、放射活性を測定した。細胞については、4Mグアニ
ジン塩酸で抽出した後、同様に測定した。その結果を
[図2]に示す。[図2]において、対照は、化合物A
無添加を示す。 **は、IL−1非添加との比較でp
<0.01(ステューデント t−テストによる)を示
す。##は、IL−1添加との比較でp<0.01(ダ
ンネットテストによる)を示す。[図2]の結果から、
化合物Aは、軟骨からのプロテオグリカンの遊離を抑制
する作用、即ち軟骨破壊抑制作用を有することが分か
る。
【0063】試験例3 インターロイキンー1(IL−1)刺激ウサギ軟骨細胞
におけるプロテオグリカン合成に及ぼす影響:試験例1
に示した方法と同様の方法で調製した軟骨細胞をDulbec
o's modification of Eagle's medium(DMEM)
中に懸濁し、1×104 cells/wellの密度で96穴ウ
ェルプレートに播種した。4日間培養した後、無血清で
IL−1(0.3ng/ml)を24時間作用させた。
次いで、洗浄後[35S]硫酸を添加し48時間培養し
た。培養終了後、生理食塩水で洗浄した後4Mグアニジ
ン塩酸で抽出し、得られた溶液の放射活性を測定し、プ
ロテオグリカン合成量とした。結果を[図3]に示す。
[図3]において対照はIL−1(0.3ng/ml)
添加、薬剤無添加を示す。化合物Aは10μMを
35S]硫酸添加と同時に添加した([図3]の
(1))。また、インシュリン様成長因子(IGF)−
Iは10ng/mlを[35S]硫酸添加と同時に添加し
た([図3]の(2))。[図3]の(3)は、化合物
A10μMおよびIGF−I、10ng/mlを
35S]硫酸添加と同時に添加した。[図3]におい
て、*P<0.05、**P<0.01:ダンネットテス
トにより対照と比較;##P<0.01、スチューデン
ト t−テストによりIGF−I単独添加と比較;$$
P<0.01、スチューデント t−テストにより化合
物A単独添加と比較をそれぞれ示す。[図3]の結果か
ら、化合物Aはプロテオグリカン合成促進作用を有する
ことがわかる。
【0064】試験例4 II型コラーゲンmRNA合成に及ぼす影響 マウス細胞株ATDC5(理化学研究所より購入)を6
ウェルプレートに1×105 cells/wellの密度で播種
し、5%牛胎児血清および10μg/mlインシュリン
存在下DMEM/F−12培地を用いて培養した。培養
7日目に化合物A10μMを添加し培養を続けた。培養
液は1−2日置きに交換した。14および21日目に細
胞を回収し、STAT60(コスモバイオ社)によりm
RNAを抽出した後、RT−PCR法によりII型コラー
ゲンmRNA発現量を測定した。対照として、アクチン
mRNA発現量を測定した。結果を[表1]に示す。対
照は10μg/mlインシュリンでの培養を示す。
【0065】
【表1】 [表1]の結果から化合物AはII型コラーゲンmRNA
合成促進作用を有することがわかる。
【0066】
【発明の効果】本発明の軟骨疾患予防治療剤は、I型コ
ラゲナーゼ(メタロプロテアーゼI)遊離抑制作用、プ
ロテオグリカン遊離抑制作用、プロテオグリカン合成促
進作用またはII型コラーゲン合成促進作用を示し、軟
骨基質、具体的にはプロテオグリカンおよびII型コラー
ゲンの合成を促進する。その結果、強い軟骨破壊抑制作
用、軟骨形成促進作用、軟骨細胞分化誘導促進作用を有
し、かつ安定性、吸収性、体内利用性等の臨床上有用な
性質が優れているので、軟骨疾患の予防・治療薬として
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、試験例1で得られた、インターロイキン−
1刺激ウサギ軟骨細胞におけるコラゲナーゼ活性に及ぼ
す影響に関する試験結果を示す。
【図2】は、試験例2で得られた、インターロイキン−
1刺激ウサギ軟骨細胞におけるプロテオグリカン遊離に
及ぼす影響に関する試験結果を示す。
【図3】は、試験例3で得られた、インターロイキン−
1刺激ウサギ軟骨細胞におけるプロテオグリカン合成に
及ぼす影響に関する試験結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/00 643 A61K 31/00 643D

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
    は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
    Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
    キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
    は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
    わされる化合物(I)またはその塩を含有してなる軟骨
    疾患予防治療剤。
  2. 【請求項2】環Aは、ハロゲン原子,C1-10アルキル
    基,C1-10アルコキシ基,式:−O−(CH2)n−O−
    (式中、nは1〜3の整数を示す)で表されるアルキレ
    ンジオキシ基およびC1-10アルキルチオ基から選ばれる
    1または2個の置換基で置換されていてもよいベンゼン
    環であり、Rは、水素原子、C1-6アルキル基またはフ
    ェニル基であり、Bは、式:−CON(R1)(R2)(式
    中、R1は水素原子またはC1-10アルキル基を、R2はハ
    ロゲン,C1-6アルコキシ,モノ−若しくはジ−C1-6
    ルコキシホスホリル,モノ−若しくはジ−C1-6アルコ
    キシホスホリル−C1-3アルキル(ジ−C1-6アルコキシ
    におけるジアルキルは、一緒になってC1-6アルキレン
    基となっていてもよい)またはC1-6アルコキシカルボ
    ニルで置換されていてもよいフェニル若しくはフェニル
    −C1-3アルキル基を、それぞれ示す。)で表わされる
    基である化合物(I)またはその塩を含有してなる請求
    項1記載の軟骨疾患予防治療剤。
  3. 【請求項3】式 【化2】 〔式中、 R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
    はそれぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒にな
    ってC1-6アルキレン基を示す。〕で表わされる光学活
    性化合物 (II)またはその塩を含有してなる請求項1記
    載の軟骨疾患予防治療剤。
  4. 【請求項4】R3、R4およびR5がそれぞれC1-4アルキ
    ル基である化合物 (II)またはその塩を含有してなる請
    求項3記載の軟骨疾患予防治療剤。
  5. 【請求項5】(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジ
    エトキシホスホリルメチル)フェニル]−1,2,4,5
    −テトラヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキ
    シ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサ
    ミドまたはその塩を含有してなる請求項3記載の軟骨疾
    患予防治療剤。
  6. 【請求項6】生体内分解性高分子化合物を含む徐放性製
    剤である請求項1記載の軟骨疾患予防治療剤。
  7. 【請求項7】局所投与製剤である請求項1記載の軟骨疾
    患予防治療剤。
  8. 【請求項8】経口投与製剤である請求項1記載の軟骨疾
    患予防治療剤。
  9. 【請求項9】注射剤である請求項1記載の軟骨疾患予防
    治療剤。
  10. 【請求項10】軟骨破壊抑制剤、軟骨形成促進剤または
    軟骨細胞分化誘導促進剤である請求項1記載の軟骨疾患
    予防治療剤。
  11. 【請求項11】I型コラゲナーゼ遊離抑制剤、プロテオ
    グリカン遊離抑制剤、プロテオグリカン合成促進剤また
    はII型コラーゲン合成促進剤である請求項1記載の軟
    骨疾患予防治療剤。
  12. 【請求項12】メタロプロテアーゼ遊離抑制剤または軟
    骨基質合成促進剤である請求項1記載の軟骨疾患予防治
    療剤。
  13. 【請求項13】軟骨疾患が、軟骨欠損症、慢性関節リウ
    マチまたは変形性関節症である請求項1記載の軟骨疾患
    予防治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005515181A (ja) * 2001-11-13 2005-05-26 アルコン,インコーポレイティド 骨関節症を治療するための、ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸との混合物の使用

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