JP2000119185A - 細胞分化誘導因子作用増強剤 - Google Patents

細胞分化誘導因子作用増強剤

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JP2000119185A
JP2000119185A JP11227915A JP22791599A JP2000119185A JP 2000119185 A JP2000119185 A JP 2000119185A JP 11227915 A JP11227915 A JP 11227915A JP 22791599 A JP22791599 A JP 22791599A JP 2000119185 A JP2000119185 A JP 2000119185A
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Haruhiko Makino
治彦 牧野
Yukio Fujisawa
幸夫 藤澤
Masaaki Hasama
正聡 波佐間
Takashi Soda
隆 左右田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細胞分化誘導因子の作用増強剤を提供する。 【解決手段】式(I) 【化1】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
わされる化合物(I)またはその塩を含有してなる細胞
分化誘導因子作用増強剤。 【効果】上記細胞分化誘導因子作用増強剤は、例えば強
いBMP作用増強活性、骨形成促進作用増強活性および
神経栄養因子作用増強活性を有するため、種々の骨疾患
もしくは神経性疾患の治療および予防に用いることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨粗鬆症、骨折、
再骨折、骨再建などの骨疾患の治療および予防、アルツ
ハイマー病,脳血管性痴呆,筋萎縮性側索硬化症(ロウ
・ゲーリッヒ病),糖尿病性の末梢神経障害(ニューロ
パシー)などの神経性疾患の治療および予防に有効な細
胞分化誘導因子作用増強剤に関する。
【0002】
【従来の技術】骨形成因子(bone morphogenetic prote
in, BMP)は、脱灰骨から単離された異所性の骨誘導能
を有することが知られている唯一の蛋白因子群である。
〔A. E. Wang、トレンズ・イン・バイオテクノロジー
(Trends Biotechnol.), 11巻,379-383頁 (1993)〕。
BMPは骨芽細胞の分化を直接促進することから、骨リ
モデリングにおけるカップリング・ファクターとしての
役割が想定されており、骨代謝との密接な関わりがあ
る。また、老齢動物における骨基質中のBMP含量は相
当低下していることが報告されており〔M. L. Urist、
ボーン・アンド・ミネラル・リサーチ(Boneand Mineral
Research), 6巻 (edited by W. A. Peck), 57-112頁,
Elsevier,1989〕、骨量の維持にBMPが深く関与して
いる。
【0003】そのようなBMP作用増強活性を有する物
質は、現在までに報告のあるものとして、レチノイン
酸、ビタミンD3、エストロゲン、およびグルココルチコ
イドがある〔V. Rosen & R. S. Thies, トレンズ・イン
・ジェネティックス(Trends Genet.), 8巻, 97-102頁
(1992); Y. Takuwaら、バイオケミカル・アンド・バ
イオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション(Bioc
hem. Biophys. Res. Commum.), 174巻, 96-101頁 (199
1)〕。しかし、これらの物質は体内に投与した場合、骨
吸収を促進したり、高カルシウム血症や卵巣ガンの発生
などの副作用が知られており、骨疾患治療薬として必ず
しも適当ではない。
【0004】一方、神経栄養因子(neurotrophic facto
r)は神経細胞の生存維持および機能発現において重要
な役割を担っている一群の蛋白性因子で、神経成長因子
(nerve growth factor:NGF)、脳由来神経栄養因子
(brain-derived neurotrophicfactor:BDNF)、ニュー
ロトロフィン3(neurotrophin-3:NT-3)などがある。
NGFは、末梢神経系では神経冠の交感神経節細胞(sympa
thetic ganglion)および脊髄後根神経節細胞(dorsal
root ganglion)の分化・成熟を促進し〔A. M. Davies
& R. M. Lindsay, ディベロップメンタル・バイオロジ
ー(Dev. Biol.), 111巻, 62-72頁 (1985); R. Levi-M
ontalcini, エンボ・ジャーナル(EMBOJ.), 6巻, 1145
-1154頁 (1987)〕、中枢神経系では中隔野(前脳基底
核)のコリン作動性神経細胞(cholinergic neurons of
septa)に作用する〔H. Gnahnら、ディベロップメンタ
ル・ブレイン・リサーチ(Dev. Brain. Res.), 9巻, 4
5-52頁 (1983);H. Hatanaka & H. Tsukui, Dev. Brain
Res., 30巻, 47-56頁 (1986);F. Hefti, ジャーナル
・オブ・ニューロサイエンス(J. Neurosci.),6巻,215
5-2162頁 (1986)〕。NGFは神経細胞の分化が完了した後
も神経機能を維持するために必要である。BDNFは、末梢
神経系では脊髄後根神経節細胞や節状神経節細胞に対し
て作用するが、交感神経節細胞には作用しない〔R. M.
Lindsay & H.Rohrer, Dev. Biol., 112巻, 30-48頁 (19
85);R. M. Lindsayら、Dev. Biol.,112巻, 319-328頁
(1985);A. M. Daviesら、J. Neurosci., 6巻, 1897-
1904頁 (1986)〕。中枢神経系では中隔野のコリン作動
性神経細胞やギャバ(GABA:γ-aminobutyric acid)作
動性神経細胞、および中脳のドーパミン作動性神経細胞
(dopaminergic neurons of midbrain)に作用する〔R.
F. Aldersonら、ニューロン(Neuron), 5巻, 297-30
6頁 (1990);C. Hymanら、ネイチャー(Nature), 350
巻, 230-232頁 (1991);B. Knuselら、プロシーディン
グ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・
アメリカ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 88巻, 961-
965頁 (1991)〕。NT-3は、末梢神経系ではNGFやBDNFと
重なるが、神経板由来の知覚神経細胞に強い作用を示す
のが特徴である〔P. Ernforsら、Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 87巻, 5454-5458頁 (1990);A. Rosenthalら、
Neuron, 4巻, 767-773頁 (1990)〕。
【0005】そこで、例えばNGFの作用を増強する化合
物であれば、生体内に存在するNGFまたは生体に投与さ
れたNGFの作用を強めることができ、前述のような抗痴
呆薬や抗末梢神経傷害薬となることが期待される。その
ような作用を有する物質としては、サベルゾール〔sabe
luzole,4-(2-Benzothiazolylmethl-amino)-α[(p-flu
orophenoxy)]methyl]-1-piperidineethanol〕が報告さ
れている〔ニュウ・カレント(New Current), 第4巻26
号, 14頁(1993年)〕。しかし、その作用機構については
未だに解明されておらず、臨床試験において、頭痛、め
まい、疲労感などの副作用が認められており、神経性疾
患治療薬として必ずしも適当ではない。また、NGFの分
泌誘導作用を有する化合物として、ステロイド類、カテ
コール類およびサイトカイン類の報告があり〔エクスペ
リメンタル・ニュウロロジー(Experimental Neurolog
y), 124巻, 36-42頁(1993)〕、特開平3-81218号公報に
はイデベノンの報告がある。しかし、これらの化合物
は、神経毒性を有するもの、あるいは免疫力の低下、高
カルシウム血症、骨吸収の促進など好ましくない作用を
有するものがあり、NGF分泌誘導作用と神経系以外の組
織への悪影響とは必ずしも分離できないのが現実であ
り、実用には十分満足できるものではない。
【0006】アルツハイマー型痴呆症は、中隔野を含む
前脳基底核のコリン作動性神経細胞の変性・脱落以外に
も、大脳皮質神経細胞の広範な障害・脱落が認められて
おり、NGFや新しい栄養因子もその治療薬の一つの候補
と考えられている〔F. Hefti& W. J. Weiner, アニュア
ル・ニューロロジー(Annu. Neurol.), 20巻, 275-281
頁 (1986)〕。また、脳の中脳ドーパミン作動性神経細
胞が変性脱落する疾患であるパーキンソン病には、その
神経細胞に対する栄養因子であるBDNFに治療薬としての
期待がある。しかし、これら神経栄養因子は蛋白質であ
るため、その適用には限界がある。
【0007】ところが近年、BMPは神経栄養因子とし
ての活性を有することも報告されている〔V. M. Paralk
arら、ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J. Cel
l Biol.), 119巻, 1721-1728頁 (1992)〕。また、脳組
織には、BMP遺伝子の強い発現が知られている〔E. O
zkaynakら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカ
ル・リサーチ・コミュニケーション(Biochem. Biophy
s. Res. Commun.), 179巻, 116-123頁 (1991)〕。ま
た、BMPが胚発生時の神経管形成に重要な役割を果た
していることが示唆されている〔K. Baslerら、セル(C
ell), 73巻, 687-702頁 (1993)〕。したがって、BM
Pは神経細胞の分化あるいは機能維持にも深く関与して
いることが知られるに至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】BMPに代表される細
胞分化誘導因子は蛋白質であるため、生体への投与にお
いては限界がある。そこで、生体内に存在する細胞分化
誘導因子または生体内に投与された細胞分化誘導因子の
作用を増強する化合物として、低分子のものが好まし
い。上述のような状況に鑑みて、本発明は、BMPに代
表される細胞分化誘導因子の作用を増強する低分子化合
物を見いだし、種々の骨疾患または神経性疾患の治療お
よび予防に有用な細胞分化誘導因子作用増強剤を提供す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる技
術背景のもとに、BMPによる骨芽細胞や神経細胞の分
化作用を特異的に増強する薬物の開発を目的とし、細胞
分化誘導因子の作用を増強する低分子化合物を探索すべ
く鋭意研究を進めた結果、下記式(I)で表されるベン
ゾチエピン誘導体およびベンゾチオピラン誘導体が、B
MPの作用を増強する優れた活性を示すことを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、 (1)ベンゾチエピン誘導体もしくはベンゾチオピラン
誘導体またはこれらの塩からなる、細胞分化誘導因子作
用増強剤; (2)式
【化4】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
わされる化合物(I)またはその塩を含有してなる細胞
分化誘導因子作用増強剤; (3)環Aは、ハロゲン原子,C1-10アルキル基,C
1-10アルコキシ基,式:−O−(CH2)n−O−(式中、
nは1〜3の整数を示す)で表されるアルキレンジオキ
シ基およびC1-10アルキルチオ基から選ばれる1または
2個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環であ
り、Rは、水素原子、C1-6アルキル基またはフェニル
基であり、Bは、式:−CON(R1)(R2)(式中、R1
は水素原子またはC1-10アルキル基を、R2はハロゲ
ン,C1-6アルコキシ,モノ−若しくはジ−C1-6アルコ
キシホスホリル,モノ−若しくはジ−C1-6アルコキシ
ホスホリル−C1-3アルキル(ジ−C1-6アルコキシにお
けるジアルキルは、一緒になってC1-6アルキレン基と
なっていてもよい)またはC1-6アルコキシカルボニル
で置換されていてもよいフェニル若しくはフェニル−C
1-3アルキル基を、それぞれ示す。)で表わされる基で
ある化合物(I)またはその塩を含有してなる(2)に
記載の細胞分化誘導因子作用増強剤; (4)式
【化5】 〔式中、 R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
それぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になっ
てC1-6アルキレン基を示す。〕で表わされる光学活性
化合物(II)またはその塩を含有してなる(2)に記載の
細胞分化誘導因子作用増強剤; (5)式
【化6】 〔式中、環Aは、2個のメトキシ基で置換されたベンゼ
ン環であり、R3は水素原子であり、R4およびR5はそ
れぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になって
1-6アルキレン基を示す。〕で表わされる化合物 (II
I)またはその塩を含有してなる(2)に記載の細胞分化
誘導因子作用増強剤; (6)化合物(II)および化合物(III)の置換基R4並びに
5がそれぞれC1-4アルキル基であるはその塩を含有し
てなる(4)または(5)に記載の細胞分化誘導因子作
用増強剤; (7)光学活性な化合物(II)が(2R,4S)−
(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フ
ェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル
−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾ
チエピン−2−カルボキサミドである、(4)に記載の
細胞分化誘導因子作用増強剤; (8)化合物(III)がN−[4−(ジエトキシホスホ
リルメチル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒド
ロ−7,8−ジメチトキシ−5−オキソ−3−ベンゾチ
エピン−2−カルボキサミドである、(5)に記載の細
胞分化誘導因子作用増強剤; (9)(2)に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤を含
有してなる医薬組成物; (10)生体内分解性ポリマーを含有する徐放性製剤で
ある、(9)に記載の医薬組成物; (11)局所投与用である(9)に記載の医薬組成物; (12)経口投与用である(9)に記載の医薬組成物; (13)注射投与用である(9)に記載の医薬組成物; (14)骨疾患の治療または予防用である(9)に記載
の医薬組成物; (15)神経疾患の治療または予防用である(9)に記
載の医薬組成物; (16)細胞分化誘導因子が、骨形成因子である(2)
に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤; (17)細胞分化誘導因子が、神経栄養因子である
(2)に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤;および (18)神経栄養因子が、NGFファミリーに属するも
のである(17)に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤
を提供するものである。
【0011】本発明で用いられる式(I)で表されるベ
ンゾチエピン誘導体およびベンゾチオピラン誘導体(以
下化合物(I)と略記する)は、前述のBMPまたはNG
Fの作用増強活性を有する物質とは構造的に全く異なる
ものである。
【0012】前記式(I)において、環Aで示される置
換されたベンゼン環における置換基としては、例えば、
ハロゲン原子,ニトロ基,置換されていてもよいアルキ
ル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていても
よいメルカプト基,置換されていてもよいアミノ基,ア
シル基,モノ−またはジ−アルコキシホスホリル基,ホ
スホノ基,置換されていてもよいアリール基,置換され
ていてもよいアラルキル基または置換されていてもよい
芳香族複素環基が用いられ、これらの置換基は同一また
は異なって1ないし4個、好ましくは1ないし2個、ベ
ンゼン環上に置換していてもよい。
【0013】該「ハロゲン原子」としては、例えばフッ
素,塩素,臭素,ヨウ素等が用いられる。該「置換され
ていてもよいアルキル基」におけるアルキル基として
は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメ
チル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソ
ブチル,sec-ブチル,tert-ブチル,ペンチル,イソペ
ンチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチ
ル,ノニルまたはデシル等)、炭素数3〜7のシクロア
ルキル基(例えばシクロプロピル,シクロブチル,シク
ロヘキシルまたはシクロヘプチル等)等が用いられ、こ
れらは、例えばハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭
素,ヨウ素等),水酸基,炭素数1〜6のアルコキシ基
(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,ヘ
キシルオキシ等),モノ−またはジ−C1-6アルコキシホ
スホリル基(例えば、メトキシホスホリル、エトキシホ
スホリル、ジメトキシホスホリル、ジエトキシホスホリ
ルなど),ホスホノ基等で1〜3個置換されていてもよ
い。置換されたアルキル基の具体例としては,例えばト
リフルオロメチル,トリフルオロエチル,トリクロロメ
チル,ヒドロキシメチル,2−ヒドロキシエチル,メト
キシエチル,1−メトキシエチル,2−メトキシエチ
ル,2,2−ジエトキシエチル,2−ジエトキシホスホ
リルエチル,ホスホノメチル等が挙げられる。
【0014】該「置換されていてもよい水酸基」におけ
る置換された水酸基としては、例えばアルコキシ基,ア
ルケニルオキシ基,アラルキルオキシ基,アシルオキシ
基,アリールオキシ基等が用いられる。該「アルコキシ
基」としては、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ
基(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,
tert-ブトキシ,ペンチルオキシ,ヘキシルオキシ,ヘ
プチルオキシまたはノニルオキシ等)、炭素数4〜6の
シクロアルコキシ基(例、 シクロブトキシ,シクロペン
トキシまたはシクロヘキシルオキシ等)等が用いられ
る。該「アルケニルオキシ基」としては、好ましくは炭
素数2〜10のアルケニルオキシ基、例えばアリルオキ
シ,クロチルオキシ,2−ペンテニルオキシ,3−ヘキ
セニルオキシ,2−シクロペンテニルメトキシまたは2
−シクロヘキセニルメトキシ等が用いられる。該「アラ
ルキルオキシ基」としては、好ましくは炭素数7〜19
のアラルキルオキシ基、さらに好ましくは炭素数6〜1
4のアリール−炭素数1〜4のアルキルオキシ基(例、
ベンジルオキシ, フェネチルオキシ等)が用いられる。
該「アシルオキシ基」としては、好ましくはアルカノイ
ルオキシ基、例えば炭素数2〜10のアルカノイルオキ
シ基(例、 アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,n-ブ
チリルオキシ,ヘキサノイルオキシ等)が用いられる。
該「アリールオキシ基」としては、好ましくは炭素数6
〜14のアリールオキシ基(例、 フェノキシ,ビフェニ
ルオキシ等)が用いられる。これらの基はさらに、例え
ば前記したと同様のハロゲン原子,水酸基,炭素数1〜
6のアルコキシ基,モノ−またはジ−C1-6アルコキシ
ホスホリル基、ホスホノ基等で1〜3個置換されていて
もよい。置換された水酸基の具体例としては,例えばト
リフルオロメトキシ,2,2,2−トリフルオロエトキ
シ,ジフルオロメトキシ,2−メトキシエトキシ,4−
クロロベンジルオキシ,2−(3,4−ジメトキシフェニ
ル)エトキシ等が挙げられる。
【0015】該「置換されていてもよいメルカプト基」
における置換されたメルカプト基としては、例えばアル
キルチオ基,アラルキルチオ基,アシルチオ基等が用い
られる。該「アルキルチオ基」としては、好ましくは炭
素数1〜10のアルキルチオ基(例、メチルチオ,エチ
ルチオ,プロピルチオ,ブチルチオ,ペンチルチオ,ヘ
キシルチオ,ヘプチルチオ,ノニルチオ等)、炭素数4
〜6のシクロアルキルチオ基(例、 シクロブチルチオ,
シクロペンチルチオ, シクロヘキシルチオ等)等が用い
られる。該「アラルキルチオ基」としては,好ましくは
炭素数7〜19のアラルキルチオ基、さらに好ましくは
炭素数6〜14のアリール−炭素数1〜4のアルキルチ
オ基、例えばベンジルチオまたはフェネチルチオ等が用
いられる。該「アシルチオ基」としては,好ましくはア
ルカノイルチオ基、例えば炭素数2〜10のアルカノイ
ルチオ基(例、 アセチルチオ,プロピオニルチオ,n-ブ
チリルチオ,ヘキサノルチオ等)が用いられる。これら
の基はさらに例えば、前記したと同様のハロゲン原子,
水酸基,炭素数1〜6のアルコキシ基,モノ−またはジ
−C1-6アルコキシホスホリル基、ホスホノ基等で1〜
3個置換されていてもよい。置換されたメルカプト基の
具体例としては、例えばトリフルオロメチルチオ,2,
2,2−トリフルオロエチルチオ,2−メトキシエチル
チオ,4−クロロベンジルチオ,3,4−ジクロロベン
ジルチオ,4−フルオロベンジルチオ,2−(3,4−ジ
メトキシフェニル)エチルチオ等が挙げられる。
【0016】該「置換されていてもよいアミノ基」にお
ける置換されたアミノ基の置換基としては,前記したと
同様の炭素数1〜10のアルキル基,炭素数2〜10の
アルケニル基(例、アリル,ビニル,2−ペンテン−1
−イル,3−ペンテン−1−イル,2−ヘキセン−1−
イル,3−ヘキセン−1−イル,2−シクロヘキセニ
ル,2−シクロペンテニル,2−メチル−2−プロペン
−1−イル,3−メチル−2−ブテン−1−イル等),
炭素数6〜14のアリール基(例、フェニル、ナフチル
等)または炭素数7〜19のアラルキル基(例、ベンジ
ル、フェネチル等)が1または、同一または異なって2
個用いられ、これらの置換基は前記したと同様のハロゲ
ン原子,炭素数1〜6のアルコキシ基,モノ−またはジ
−C1-6アルコキシホスホリル基,ホスホノ基等で置換
されていてもよい。置換されたアミノ基の具体例として
は、例えばメチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミ
ノ,ジエチルアミノ,ジブチルアミノ,ジアリルアミ
ノ,シクロヘキシルアミノ,フェニルアミノまたはN−
メチル−N−フェニルアミノ,N−メチル−N−(4−
クロロベンジル)アミノ,N,N−ジ(2−メトキシエチ
ル)アミノ等が挙げられる。
【0017】該「アシル基」としては,有機カルボン酸
アシル基または炭素数1〜6の炭化水素基[例、C1-6
アルキル(例、メチル,エチル,n-プロピル,ヘキシル
等),フェニル等]を有するスルホン酸アシル基等が用
いられる。該「有機カルボン酸アシル基」としては、例
えばホルミル,炭素数1〜10のアルキル−カルボニル
基(例、アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリ
ル,ピバロイル,ヘキサノイル,オクタノイル,シクロ
ブタンカルボニル,シクロヘキサンカルボニル,シクロ
ヘプタンカルボニル等),炭素数2〜10のアルケニル
−カルボニル基(例、クロトニル,2−シクロヘキセン
カルボニル等),炭素数6〜14のアリール−カルボニ
ル基(例、ベンゾイル等),炭素数7〜19のアラルキ
ル−カルボニル基(例、べンジルカルボニル,ベンズヒ
ドリルカルボニル等),5または6員芳香族複素環カル
ボニル基(例、ニコチノイル,4−チアゾリルカルボニ
ル等),5または6員芳香族複素環アセチル基(例、3
−ピリジルアセチル, 4−チアゾリルアセチル等)が用
いられる。該「炭素数1〜6の炭化水素基を有するスル
ホン酸アシル基」としては、例えばメタンスルホニル,
エタンスルホニル等が用いられる。これらの基はさらに
置換基、例えば前記したと同様のハロゲン原子,水酸
基,炭素数1〜6のアルコキシ基,アミノ基等で1〜3
個置換されていてもよい。アシル基の具体例としては,
例えばトリフルオロアセチル,トリクロロアセチル,4
−メトキシブチリル,3−シクロヘキシルオキシプロピ
オニル,4−クロロベンゾイル,3,4−ジメトキシベ
ンゾイル等が挙げられる。
【0018】該「モノ−またはジ−アルコキシホスホリ
ル基」としては、例えばメトキシホスホリル,エトキシ
ホスホリル,プロポキシホスホリル,イソプロポキシホ
スホリル,ブトキシホスホリル,ペンチルオキシホスホ
リル,ヘキシルオキシホスホリル等のモノ−C1-6アル
コキシホスホリル基、例えばジメトキシホスホリル,ジ
エトキシホスホリル,ジプロポキシホスホリル,ジイソ
プロポキシホスホリル,ジブトキシホスホリル,ジペン
チルオキシホスホリル,ジヘキシルオキシホスホリル等
のジ−C1-6アルコキシホスホリル基等が用いられる。
好ましくはジ−C1-6アルコキシホスホリル基、例えば
ジメトキシホスホリル,ジエトキシホスホリル,ジプロ
ポキシホスホリル,ジイソプロポキシホスホリル,エチ
レンジオキシホスホリル,ジブトキシホスホリル等が用
いられる。該「置換されていてもよいアリール基」にお
けるアリール基としては,好ましくは炭素数6〜14の
アリール基、例えばフェニル,ナフチル,アントリル等
が用いられ、これらは前記したと同様の炭素数1〜10
のアルキル基,ハロゲン原子,水酸基,炭素数1〜6の
アルコキシ基等で1〜3個置換されていてもよい。置換
されたアリール基の具体例としては,例えば4−クロロ
フェニル,3,4−ジメトキシフェニル,4−シクロヘ
キシルフェニル,5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナ
フチル等が挙げられる。
【0019】該「置換されていてもよいアラルキル基」
におけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜
19のアラルキル基、例えばベンジル,ナフチルエチ
ル,トリチル等が用いられ、芳香環上に前記した炭素数
1〜10のアルキル基,ハロゲン原子,水酸基,炭素数
1〜6のアルコキシ基等で1〜3個置換されていてもよ
い。置換されたアラルキル基の具体例としては,例えば
4−クロロベンジル,3,4−ジメトキシベンジル,4
−シクロヘキシルベンジル,5,6,7,8−テトラヒド
ロ−2−ナフチルエチル等が挙げられる。該「置換され
ていてもよい芳香族複素環基」における芳香族複素環基
としては、好ましくは窒素原子,酸素原子または/及び
硫黄原子を1〜4個有する5〜6員芳香族複素環基、例
えばフリル,チエニル,イミダゾリル,チアゾリル,オ
キサゾリル, チアジアゾリル等が用いられ、これらの基
は前記した炭素数1〜10のアルキル基,ハロゲン原
子,水酸基,炭素数1〜6のアルコキシ等で1〜3個置
換されていてもよい。
【0020】2個のアルキル基がベンゼン環A上で互い
に隣接して置換されている場合、互いに連結して式:−
(CH2)m−〔式中、mは3〜5の整数を示す〕で表わさ
れるアルキレン基(例、トリメチレン,テトラメチレ
ン,ペンタメチレン等)を形成してもよく、2個のアル
コキシ基が互いに隣接して置換されている場合、式:−
O−(CH2)n−O−〔式中、nは1〜3の整数を示す〕
で表されるアルキレンジオキシ基(例、メチレンジオキ
シ,エチレンジオキシ,トリメチレンジオキシ等)を形
成してもよい。このような場合は、ベンゼン環の炭素原
子とともに5〜7員環が形成される。
【0021】前記式(I)において、Rは水素原子また
は置換されていてもよい炭化水素基を示す。Rで示され
る「置換されていてもよい炭化水素基」における炭化水
素基としては、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜1
0のアルキル基、例えば、メチル,エチル,プロピル,
イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,ter
t-ブチル,ペンチル,イソペンチル、ネオペンチル,ヘ
キシル等が挙げられる。)、前記したと同様のアルケニ
ル基(好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基),さ
らに、それぞれ前記したと同様の、アリール基(好まし
くは炭素数6〜14のアリール基),アラルキル基(好
ましくは炭素数7〜19のアラルキル)等が用いられ
る。炭化水素基上の置換基としては、5〜6員芳香族複
素環基(例、フリル,チエニル,イミダゾリル,チアゾ
リル,オキサゾリル, チアジアゾリル等),前記したと
同様のハロゲン原子,前記したと同様のジ−C1-6アル
コキシホスホリル基,ホスホノ基等が用いられる。
【0022】前記式(I)において、Bはエステル化ま
たはアミド化されていてもよいカルボキシル基を示す。
Bで示される「エステル化されていてもよいカルボキシ
ル基」におけるエステル化されたカルボキシル基として
は、例えばアルコキシカルボニル基、好ましくはC1-10
アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エ
トキシカルボニル,プロポキシカルボニル,ブトキシカ
ルボニル等),アリールオキシカルボニル基、好ましく
はC6-14アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシ
カルボニル等),アラルキルオキシカルボニル基、好ま
しくはC7-19アラルキルオキシカルボニル基(例、ベン
ジルオキシカルボニル等)等が用いられる。
【0023】Bで示される「アミド化されていてもよい
カルボキシル基」におけるアミド化されたカルボキシル
基は、好ましくは、式:−CON(R1)(R2)〔式中、R
1,R2はそれぞれ水素原子,置換されていてもよい炭化
水素基または置換されていてもよい5〜7員複素環基を
示す。〕で表される置換されていてもよいカルバモイル
基が挙げられる。R1,R2で示される「置換されていて
もよい炭化水素基」における炭化水素基としては、アル
キル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例、
メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イ
ソブチル,sec-ブチル,tert-ブチル,ペンチル,イソ
ペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチ
ル,ノニル,デシル等)、アルケニル基、好ましくは炭
素数2〜10のアルケニル基(例、アリル,ビニル,2
−ペンテン−1−イル,3−ペンテン−1−イル,2−
ヘキセン−1−イル,3−ヘキセン−1−イル,2−シ
クロヘキセニル,2−シクロペンテニル,2−メチル−
2−プロペン−1−イル,3−メチル−2−ブテン−1
−イル等)、アリール基、好ましくは炭素数6〜14の
アリール基(例、フェニル,ナフチル,アントリル
等)、アラルキル基、好ましくは炭素数7〜19のアラ
ルキル基(例、ベンジル,ナフチルエチル,トリチル
等)等が用いられ、これらの炭化水素基は、例えば(i)
ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素等),
(ii)水酸基,(iii)炭素数1〜6のアルコキシ基(例、
メトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,tert-ブ
トキシ,ペンチルオキシ,ヘキシルオキシ等),(iv)炭
素数1〜6のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピ
ル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec-ブチル,
tert-ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチ
ル,ヘキシル等)で置換されていてもよいアミノ基
(例、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチル
アミノ,ジエチルアミノ,ジプロピルアミノ等),(v)
アシル基(例、炭素数1〜10のアルカノイル基等)で
置換されたアミノ基(例、アセチルアミノ,プロピオニ
ルアミノ,ベンゾイルアミノ等),(vi)炭素数1〜6の
アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基
(例、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジメチルカ
ルバモイル,ジエチルカルバモイル等),(vii)C1-6
ルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エト
キシカルボニル,プロポキシカルボニル等),(viii)モ
ノ−またはジ−アルコキシホスホリル基〔例、モノ−ま
たはジ−C1-6アルコキシホスホリル基(例えば、ジメ
トキシホスホリル,ジエトキシホスホリル,エチレンジ
オキシホスホリル等)等〕,(ix)モノ−またはジ−アル
コキシホスホリルアルキル基〔例、モノ−またはジ−C
1-6アルコキシホスホリル−C1-3アルキル基(例、メト
キシホスホリルメチル、エトキシホスホリルメチル、メ
トキシホスホリルエチル、エトキシホスホリルエチル、
ジメトキシホスホリルメチル、ジエトキシホスホリルメ
チル、ジメトキシホスホリルエチル、ジエトキシホスホ
リルエチル等)等〕,(x)式
【化7】 [式中、pは2ないし4の整数を示す。] (xi)ホスホノ基,(xii)芳香族複素環基(前記と同意
義)等で1〜3個置換されていてもよい。
【0024】R1,R2で示される「置換されていてもよ
い5〜7員複素環基」における5〜7員複素環基として
は、例えば1個の硫黄原子,窒素原子または酸素原子を
含む5〜7員複素環基,2〜4個の窒素原子を含む5〜
6員複素環基,1〜2個の窒素原子および1個の硫黄原
子または酸素原子を含む5〜6員複素環基が用いられ、
これらの複素環基は2個以下の窒素原子を含む6員環,
ベンゼン環または1個の硫黄原子を含む5員環と縮合し
ていてもよい。該「置換されていてもよい5〜7員複素
環基」が有していてもよい置換基としては、前記R1
よびR2で示される「置換されていてもよい炭化水素
基」の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のも
のが1ないし4個用いられる。R1,R2で示される5〜
7員複素環基の好ましい例としては、例えば2−ピリジ
ル,ピリミジル,ピラジニル,ピリダジニル,ピラゾリ
ル,イミダゾリル,チアゾリル,オキサゾリル,テトラ
ゾリル,チアジアゾリル,オキサジアゾリル,トリアジ
ニル,トリアゾリル,チエニル,ピロリル,ピロリニ
ル,フリル,ピロリジニル,ベンゾチエニル,インドリ
ル,イミダゾリジニル,ピペリジル,ピペリジノ,ピペ
ラジニル,モルホリニル,モルホリノ,ピリド[2,3−
d]ピリミジル,ベンゾピラニル,1,8−ナフチリジ
ル,キノリル,チエノ[2,3−b]ピリジル等が挙げら
れる。
【0025】R1とR2は、互いに連結して式:−N
(R1)(R2)が5〜7員環を形成していてもよく、この
ような環としては、例えばモルホリン,ピペリジン,チ
オモルホリン,ホモピペリジン,ピペリジン,ピロリジ
ン,チアゾリジン,アゼピン等が挙げられる。R1およ
びR2で示される「置換されていてもよい炭化水素基」
の好ましい例である置換されたアルキル基の具体例とし
ては、例えばトリフルオロメチル,トリフルオロエチ
ル,ジフルオロメチル,トリクロロメチル,2−ヒドロ
キシエチル,2−メトキシエチル,2−エトキシエチ
ル,2,2−ジメトキシエチル,2,2−ジエトキシエチ
ル,2−ピリジルメチル,3−ピリジルメチル,4−ピ
リジルメチル,2−(2−チエニル)エチル,3−(3−
フリル)プロピル,2−モルホリノエチル,3−ピロリ
ルブチル,2−ピペリジノエチル,2−(N,N−ジメチ
ルアミノ)エチル,2−(N−メチル−N−エチルアミ
ノ)エチル,2−(N,N−ジイソプロピルアミノ)エチ
ル,5−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチル,N,N−ジ
メチルカルバモイルエチル,N,N−ジメチルカルバモ
イルペンチル,エトキシカルボニルメチル,イソプロポ
キシカルボニルエチル,tert−ブトキシカルボニルプロ
ピル,2−ジエトキシホスホリルエチル,3−ジプロポ
キシホスホリルプロピル,4−ジブトキシホスホリルブ
チル,エチレンジオキシホスホリルメチル,2−ホスホ
ノエチル,3−ホスホノプロピル等、置換されたアラル
キル基の具体例としては、例えば4−クロロベンジル,
3−(2−フルオロフェニル)プロピル,3−メトキシベ
ンジル,3,4−ジメトキシフェネチル,4−エチルベ
ンジル,4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ブチ
ル,4−アセチルアミノベンジル,4−ジメチルアミノ
フェネチル,4−ジエトキシホスホリルベンジル,2−
(4−ジプロポキシホスホリルメチルフェニル)エチル
等、置換されたアリール基の具体例としては、例えば4
−クロロフェニル,4−シクロヘキシルフェニル,5,
6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル,3−トリフル
オロメチルフェニル,4−ヒドロキシフェニル,3,4,
5−トリメトキシフェニル,6−メトキシ−2−ナフチ
ル,4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル,3,4
−メチレンジオキシフェニル,4− (2,2,2−トリフ
ルオロエトキシ)フェニル,4−プロピオニルフェニ
ル,4−シクロヘキサンカルボニルフェニル,4−ジメ
チルアミノフェニル,4−ベンゾイルアミノフェニル,
4−ジエトキシカルバモイルフェニル,4−tert−ブト
キシカルボニルフェニル,4−ジエトキシホスホリルフ
ェニル,4−ジエトキシホスホリルメチルフェニル,4
−(2−ジエトキシホスホリルエチル)フェニル,2−ジ
エトキシホスホリルメチルフェニル,3−ジエトキシホ
スホリルメチルフェニル,4−ジプロポキシホスホリル
フェニル,4−(2−ホスホノエチル)フェニル,4−ホ
スホノメチルフェニル,4−ホスホノフェニル等、置換
された5〜7員複素環基の具体例としては、 例えば5−
クロロ−2−ピリジル,3−メトキシ−2−ピリジル,
5−メチル−2−ベンゾチアゾリル,5−メチル−4−
フェニル−2−チアゾリル,3−フェニル−5−イソオ
キサゾリル,4−(4−クロロフェニル)−5−メチル−
2−オキサゾリル,3−フェニル−1,2,4−チアジア
ゾ−ル−5−イル,5−メチル−1,3,4−チアジアゾ
ール−2−イル,5−アセチルアミノ−2−ピリミジ
ル,3−メチル−2−チエニル,4,5−ジメチル−2
−フラニル,4−メチル −2−モルホリニル等が挙げ
られる。
【0026】前記のうち、環Aは好ましくは同一または
異なって、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキ
ル基、置換されていてもよい水酸基、置換されていても
よいメルカプト基または/および置換されていてもよい
アミノ基の1またはそれ以上、より好ましくは1または
2個で置換されていてもよいベンゼン環である。より好
ましい環Aとしては、同一または異なって、ハロゲン原
子,炭素数1〜10(さらに好ましくは炭素数1〜5)
のアルキル基,炭素数1〜10(さらに好ましくは炭素
数1〜5)のアルコキシ基,式:−O−(CH2)n−O−
〔式中、nは1〜3の整数を示す〕で表されるアルキレ
ンジオキシ基または/および炭素数1〜10(さらに好
ましくは炭素数1〜5)のアルキルチオ基の1または2
個で置換されていてもよいベンゼン環である。環Aの特
に好ましい例としては、式:−O−(CH2)n−O−〔式
中、nは1〜3の整数を示す〕で表されるアルキレンジ
オキシ基で置換されたベンゼン環である。
【0027】Rは水素原子、C1-6アルキル基(例え
ば、メチル、エチル等)またはフェニル基が好ましい。
Bは、例えばアルコキシ−カルボニル基および式:−C
ON(R1)(R2)〔式中、R1,R2はそれぞれ水素原子,
置換されていてもよい炭化水素基または置換されていて
もよい5〜7員複素環基を示す〕で表される基などが好
ましい。R1およびR2の好ましい例は、R1が水素原子
または炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル等)で、R2がハロゲン(例、フッ素、塩
素、臭素等),C1-6アルコキシ(例、メトキシ、エト
キシ等),モノ−またはジ−アルコキシホスホリル
(例、ジメトキシホスホリル、ジエトキシホスホリルな
どのモノ−またはジ−C1-6アルコキシホスホリル
等),モノ−またはジ−アルコキシホスホリルアルキル
(例、ジメトキシホスホリルメチル、ジエトキシホスホ
リルメチルなどのモノ−またはジ−C1-6アルコキシホ
スホリル−C1-3アルキルなど)(ジ−C1-6アルコキシ
におけるジアルキルは、一緒になってC1-6アルキレン
基となっていてもよい)またはC1-6アルコキシカルボ
ニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル
等)で置換されていてもよいフェニルまたはフェニル−
1-3アルキル基、あるいはフェニル基で置換されてい
てもよい1または2個の窒素原子あるいは1個の窒素原
子と1個の硫黄原子をもつ5または6員環複素環基
(例、ピリジル等)である。R1およびR2のより好まし
い例としては、R1が水素原子で、R2がモノ−またはジ
−C1-6アルコキシホスホリル−C1-3アルキルで置換さ
れたフェニル基(例、4−ジエトキシホスホリルメチル
フェニル等)である。
【0028】前記式(I)において、Xは−CH(OH)
−または−CO−を示し、好ましくは、−CO−であ
る。前記式(I)において、kは0または1、k’は
0、1または2を示し、好ましくはkが1で、k’が0
の場合である。
【0029】化合物(I)のさらに好ましい例として
は、例えば式(II)
【化8】 〔式中、R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
それぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になっ
てC1-6アルキレン基を示す〕で表される光学活性ベン
ゾチエピン誘導体が挙げられる。
【0030】また、他の好ましい例としては、例えば式
(III)
【化9】 〔式中、環Aは、2個のメトキシ基を示し、R3は水素
原子を示し、R4およびR5はそれぞれC1-6アルキル基
を示すか、または一緒になってC1-6アルキレン基を示
す〕で表されるベンゾチエピン誘導体が挙げられる。
【0031】前記式(II)および(III)において、
3、R4およびR5で示される「C1-6アルキル基」とし
ては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル
等のアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1ない
し4のアルキル基が挙げられる。R4およびR5は一緒に
なって、C1-6アルキレン基を形成してもよく、この場
合例えば、
【化10】 〔式中、 pは2ないし4の整数を示す。〕で表すことが
できる。R3、R4およびR5としては、例えばそれぞれ
メチル、エチル等の炭素数1ないし4のアルキル基等が
好ましい。化合物(II)は、(2R,4S)配位の光学
活性体であって、(2S,4R)配位の化合物を実質的
に含まず、光学純度が100%に近いほど好ましいもの
である。
【0032】化合物(II)の特に好ましい例としては、
例えば(2R,4S)−(−)−N−〔4−(ジエトキシホス
ホリルメチル)フェニル〕−1,2,4,5−テトラヒドロ
−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ
−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミド(以下、化
合物Aと称することもある)またはその塩である。化合
物Aの構造は、次の式で示される。
【化11】 また、化合物(III)の特に好ましい例としては、例えば
N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]
−1,2,4,5−テトラヒドロ−7,8−ジメチトキ
シ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサ
ミド(以下、化合物Bと称することもある)又はその塩
である。化合物Bの構造は、次の式で示される。
【化12】
【0033】本発明で用いられる化合物(I)の塩とし
ては、好ましくは薬理学的に許容される塩が用いられ
る。薬理学的に許容される塩としては、無機塩基との
塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩また
は塩基性若しくは酸性アミノ酸との塩等が用いられる。
具体的には、無機塩基との塩としては、アルカリ金属塩
(例、ナトリウム塩,カリウム塩等)、アルカリ土類金
属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩等)が、有機
塩基との塩としては、例えばトリメチルアミン塩,トリ
エチルアミン塩,ピリジン塩,ピコリン塩,N,N−ジ
ベンジルエチレンジアミン塩,ジエタノールアミン塩等
が、無機酸との塩としては、塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨ
ウ化水素酸塩,リン酸塩,硝酸塩,硫酸塩等が、有機酸
との塩としては、ギ酸塩,酢酸塩,トリフルオロ酢酸
塩,シュウ酸塩,酒石酸塩,フマール酸塩,マレイン酸
塩,メタンスルホン酸塩,ベンゼンスルホン酸塩,p−
トルエンスルホン酸塩,クエン酸塩等が、塩基性または
酸性アミノ酸との塩としては、例えばアルギニン塩、リ
ジン塩、アスパラギン酸塩,グルタミン酸塩等が用いら
れる。
【0034】化合物(I)は、公知であり、例えば、特
開平8−231569号公報に記載された方法により製
造される。
【0035】本発明で対象とする細胞分化誘導因子とし
ては、骨形成因子としてのBMPであり、また、神経栄
養因子、腫瘍増殖因子(TGF)-βまたはアクチビンなどの
TGF-βスーパーファミリーに属する因子、塩基性繊維芽
細胞増殖因子(bFGF)または酸性繊維芽細胞増殖因子(aFG
F)などのFGFスーパーファミリーに属する因子、白血病
抑制因子(leukemia inhibitory factor; LIF、またはc
holinergic differentiation factor; CDFと呼ぶこと
もある)またはシリアリー・ニューロトロフィック・フ
ァクター(cilialy neurotrophic factor; CNTF)などの
ニューロポイエテイック・サイトカイン・ファミリー
(neuropoietic cytokine family)に属する因子、イン
ターロイキン-1(IL-1、以下同様に略記する),IL-2,IL
-3,IL-5,IL-6,IL-7,IL-9,IL-11,腫瘍壊死因子-α(TNF-
α),インターフェロン-γ(INF-γ)など骨芽細胞や神経
細胞のように特定の組織において生体機能を維持する細
胞が未分化な前駆体から分化する過程に特徴的な形質を
誘導する因子が挙げられ、好ましくは骨形成因子または
神経栄養因子が挙げられる。骨形成因子としては、骨形
成および軟骨形成を促進させる蛋白質であるBMP-2,-
4,-5,-6-,-7,-8,-9,-10,-11,-12などのBMPファミリ
ー、とりわけBMP-2,-4,-6-,-7が挙げられる。BMP
は上記に挙げた因子のそれぞれのホモ二量体または可能
なすべての組み合わせによるヘテロ二量体であってもよ
い。神経栄養因子としては、神経成長因子(nerve grow
th factor:NGF)、脳由来神経栄養因子(brain-derive
d neurotrophic factor:BDNF)およびニューロトロフ
ィン3(neurotrophin-3:NT-3)などが挙げられ、好ま
しくはNGFファミリーが挙げられる。
【0036】化合物(I)を含有してなる細胞分化誘導
因子作用増強剤は、単独でまたは細胞分化誘導因子作用
を有する物質、例えばBMPや神経栄養因子等と併用し
て、骨折治癒促進、骨再建促進、骨粗鬆症など種々の骨
疾患の治療および予防に、また、脳血管性痴呆、老年性
痴呆症もしくはアルツハイマー病などにおける神経退行
性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ロウ・ゲーリッヒ病)ま
たは糖尿病性の末梢神経障害(ニューロパシー)など種
々の脳機能障害もしくは神経性疾患の治療および予防に
用いることができる。さらに、BMPや神経栄養因子な
どが、前述の生体内で果たす役割以外に、これらの作用
を増強することによって病態が改善される疾患にも、本
発明の細胞分化誘導因子作用増強剤は、治療薬および予
防薬として用いられる。化合物(I)を含有してなる細
胞分化誘導因子作用増強剤と細胞分化誘導因子作用を有
する物質(例えばBMPや神経栄養因子等)とを併用す
る場合、これらを時間差をおいて別々に、あるいは同時
に経口的あるいは非経口的に投与することができる。細
胞分化誘導因子作用を有する物質は、単独で用いてもよ
く、化合物(I)を含有してなる細胞分化誘導因子作用
増強剤と混合して製剤化してもよく、また生理学的に許
容されうる担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合し
て製剤化し用いてもよい。本発明の細胞分化誘導因子作
用増強剤は、ヒトはもちろん、その他の哺乳動物(例、
マウス、ラット、ウサギ、犬、猫、牛、豚など)の上記
疾患に適用することもできる。)。本発明の細胞分化誘
導因子作用増強剤をヒトに投与する場合、投与方法は、
経口的、非経口的いずれのルートによってもよい。経口
投与する場合の剤形としては、固体または液体の剤形、
具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含
む)、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を
含む)、シロップ剤、乳剤または懸濁剤などが挙げられ
る。かかる製剤は、自体公知の方法によって製造され、
製剤分野において通常用いられる担体もしくは賦形剤を
含有せしめることができる。かかる担体もしくは賦形剤
としては、例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては乳
糖、でんぷん、蔗糖およびステアリン酸マグネシウムな
どが挙げられる。非経口投与のための組成物としては、
例えば注射剤、座剤などが挙げられ、注射剤は皮下注射
剤、皮内注射剤、筋肉注射剤などの剤形を包含する。か
かる注射剤は自体公知の方法、即ち、化合物(I)を通
常注射剤に用いられる無菌の水性液または油性液に溶
解、懸濁または乳化することによって水溶液として調製
される。注射用の水性液としては生理食塩水、等張液な
どが挙げられ、必要により適当な懸濁化剤、例えばカル
ボキシメチルセルロースナトリウム、非イオン性界面活
性剤などと併用してもよい。油性液としては、ゴマ油、
大豆油などが挙げられ、溶解補助剤としては安息香酸ベ
ンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調
製された注射液は通常適当なアンプルに充填される。本
発明の細胞分化誘導因子作用増強剤を上記疾患の治療ま
たは予防に用いる場合、成人(体重50kg)一日あたり
の投与量は、経口投与の場合0.1-1000mg、好ましくは1-
100mgである。化合物(I)含有細胞分化誘導因子作用
増強剤は低毒性であり、安全に用いることができる。
【0037】本発明の細胞分化誘導因子作用増強剤は、
骨形成促進作用増強活性が強いため、骨修復や骨移植の
際の骨形成促進薬として骨再建用の担体に混合すること
もできる。例えば、化合物(I)を金属、セラミック、
あるいは高分子を材料とする人工骨などに付着または含
有させて用いることができる。人工骨は、それが骨欠損
部に移植された際に生体組織において本発明の細胞分化
誘導因子作用増強剤が放出されうるように表面を多孔性
にすることが好ましい。化合物(I)は、適当な分散
剤、結合剤、希釈剤など(例えば、コラーゲン、生理食
塩水、クエン酸溶液、酢酸溶液、ハイドロオキシアパタ
イト、フィブリンまたはこれらの混合液など)に分散さ
せ、これを人工骨に塗布または含浸し、乾燥させること
によって付着または含有させることができる。このよう
な人工骨は骨欠損部に移植され、欠損部に強固に固定さ
れる。人工骨の固定化剤は、有効成分である化合物
(I)を、医薬として使用する際生理的に許容される分
散媒、結合剤、希釈剤、骨再生に有効な他の成分(例え
ばカルシウム)などと混合して調製することができる。
人工骨固定剤は、これを人工骨に付着または含有させる
ことなく、宿主の骨欠損部に移植される人工骨とその骨
欠損部との間隙に充填するように用いることもできる。
なお、ここで述べた非経口の組成物は、BMPファミリ
ーなど骨形成を促進させる蛋白質を付着または含有させ
て用いることもできる。
【0038】化合物(I)を含有する細胞分化誘導因子
作用増強剤は徐放性組成物として用いてもよい。徐放性
組成物用の基剤としては、生体内分解性高分子重合物が
用いられる。適当な生体内分解性高分子重合物は、水に
難溶または不溶で生体内分解型の高分子重合物である。
その具体例としては、例えば脂肪酸ポリエステル〔例、
α−ヒドロキシカルボン酸類(例、乳酸,グリコール
酸,2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−
ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン
酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカ
プリル酸等),ヒドロキシジカルボン酸類(例、リンゴ
酸等),ヒドロキシトリカルボン酸類(例、リンゴ酸
等),乳酸カプロラクトン,バレロラクトン等の1種以
上の重合物、共重合物、あるいはこれらの混合物〕,お
よびその誘導体(例、ポリ乳酸,ポリグリコール酸及び
ポリエチレングリコールのブロック重合物等),ポリ−
α−シアノアクリル酸エステル,ポリ−β−ヒドロキシ
酪酸,ポリアルキレンオキサレート類(例、ポリトリメ
チレンオキサレート,ポリテトラメチレンオキサレート
等),ポリオルソエステル,ポリオルソカーボネート,
ポリカーボネート類(例、ポリエチレンカーボネート,
ポリエチレンプロピレンカーボネート等),ポリアミノ
酸類(例、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸,ポ
リ−L−アラニン,ポリ−γ−メチル−L−グルタミン
酸等),ヒアルロン酸エステル類,ポリスチレン,ポリ
メタアクリル酸,アクリル酸とメタアクリル酸との共重
合物,ポリアミノ酸,デキンステアレート,エチルセル
ロース,アセチルセルロース,ニトロセルロース,無水
マレイン酸系共重合物,エチレンビニールアセテート系
共重合物,ポリビニールアセテート,ポリアクリルアミ
ド、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、ヒドロキシア
パタイト等が用いられる。
【0039】これらの生体内分解性高分子重合物は1種
でもよく、また2種以上の共重合物、あるいは単なる混
合物でもよい。重合の形式はランダム、ブロック、グラ
フトの何れでもよい。生体内分解性高分子重合物の好ま
しい例は、例えば脂肪族ポリエステル等である。特に、
例えばα−ヒドロキシカルボン酸類の1種以上から合成
された重合物、共重合物が生体内分解性および生体適合
性の観点から好ましく、具体的には乳酸,グリコール
酸,2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸等の1
種以上から合成された共重合物、またはこれらの混合物
が使用される。本発明における生体内分解性共重合物
は、自体公知の方法、例えば特開昭61−28521号
公報に記載の方法またはそれに準じた方法により製造さ
れる。
【0040】前記α−ヒドロキシカルボン酸類はD−
体、L−体、およびD、L−体のいずれでもよいが、
D、L−体が好ましい。前記α−ヒドロキシカルボン酸
類の単一重合物の例としては乳酸、グリコール酸、2−
ヒドロキシ酪酸等の単一重合物が挙げられ、該α−ヒド
ロキシカルボン酸類としては乳酸が好ましい。α−ヒド
ロキシカルボン酸類の共重合物の例としてはグリコール
酸と他のα−ヒドロキシカルボン酸類との共重合物が挙
げられ、例えばα−ヒドロキシカルボン酸類としては乳
酸、2−ヒドロキシ酪酸等が好ましい。具体的には、例
えば乳酸−グリコール酸共重合物、2−ヒドロキシ酪酸
−グリコール酸共重合物等、好ましくは乳酸−グリコー
ル酸共重合物等が用いられる。
【0041】これらの生体内分解性高分子重合物の平均
分子量は約2,000ないし約800,000のものが
好ましく、より好ましくは約5,000ないし約20
0,000の範囲から選定される。乳酸単一重合物(以
下、ポリ乳酸と称することもある)において、その重量
平均分子量は約5,000から約100,000のもの
が好ましい。さらに好ましくは約6,000から約5
0,000である。ポリ乳酸は、自体公知の製造方法、
例えば特開昭61−28521号公報に記載の方法に従
って合成できる。乳酸−グリコール酸共重合物におい
て、その乳酸とグリコール酸との組成比は約100/0
から約50/50(W/W)が好ましく、特に約90/1
0から50/50(W/W)が好ましい。乳酸−グリコー
ル酸共重合物の重量平均分子量は約5,000から約1
00,000が好ましい。さらに好ましくは約8、00
0から50,000である。乳酸−グリコール酸共重合
物は、自体公知の製造方法、例えば特開昭61−285
21号公報に記載の方法に従って合成できる。該共重合
体は無触媒脱水重縮合で合成された物が好ましい。
【0042】2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合
物において、グリコール酸が約40から約70モル%、
残りが2−ヒドロキシ酪酸である場合が好ましい。2−
ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合物の重量平均分子
量は、約5,000から約100,000が好ましい。
さらに好ましくは約8,000から約50,000であ
る。2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合物は、自
体公知の製造方法、例えば特開昭61−28521号公
報に記載の方法に従って合成できる。該共重合体は無触
媒脱水重縮合で合成された物が好ましい。前記した2−
ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合物は、さらにポリ
乳酸と混合して使用してもよい。2−ヒドロキシ酪酸−
グリコール酸共重合物とポリ乳酸とを混合して使用する
場合、その混合比は例えば約10/90から約90/1
0(重量%)である。混合比はさらに好ましくは約25
/75から約75/25(重量%)である。
【0043】本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパー
ミェーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した
ポリスチレン換算の分子量をいう。測定は、GPCカラ
ムKF804L×2(昭和電工製)、RIモニターL−
3300(日立製作所製)を使用し、移動相としてクロ
ロホルムを用いる。前記の生体内分解性高分子重合物の
使用量は、徐放性目的が達成される限り、化合物(I)
の薬理活性の強さと、生体内分解性高分子重合物からの
薬物放出の速度および期間等によって変えることがで
き、例えば当該生理活性物質に対して約0.2ないし1
0,000倍(重量比)の量で用いられ、好ましくは約
1ないし1,000倍(重量比)、さらに好ましくは約
1ないし100倍(重量比)の量で用いるのがよい。徐
放性医薬組成物は、通常の医薬組成物の製造法に従って
製造することができ、例えば化合物(I)を生体内分解
性重合物に分散させる、あるいはあらかじめ一定の形に
成型した中空の生体内分解性重合物内部に充填する等に
よって製造される。具体的には、例えば水中乾燥法、相
分離法、噴霧乾燥法あるいはこれらに準ずる方法などが
挙げられる。前記製造法によって得られる徐放性医薬組
成物の形状は、例えば微粒子状,球状,棒状,針状,ペ
レット状,フイルム状,クリーム状等が挙げられるが、
目的を達する限り特に限定されない。本明細書中、微粒
子状の医薬組成物を、マイクロカプセルまたはマイクロ
スフィアと称することもある。以下に、例えばマイクロ
カプセルを製造する場合の製造方法について記述する。
【0044】(1)水中乾燥法(o/w法) 本方法においては、まず生体内分解性重合物の有機溶媒
溶液を作製する。徐放性医薬組成物の製造の際に使用す
る有機溶媒は、沸点が120℃以下であることが好まし
い。該有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素
(例、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、
ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、
脂肪族エステル(例、酢酸エチル,酢酸ブチル等)、エ
ーテル類(例、エチルエーテル,イソプロピルエーテル
等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン,トルエン,キシ
レンなど)等が挙げられる。これらは2種以上適宜の割
合で混合して用いてもよい。有機溶媒は、好ましくはジ
クロロメタン、アセトニトリルである。有機溶媒は、好
ましくはジクロロメタンである。
【0045】生体内分解性重合物の有機溶媒溶液中の濃
度は、生体内分解性重合物の分子量、有機溶媒の種類な
どによって異なるが、一般的には約0.01〜約80%
(w/w)から選ばれる。好ましくは約0.1〜約70%
(w/w)、さらに好ましくは約1〜約60%(w/w)であ
る。このようにして得られた生体内分解性重合物の有機
溶媒溶液中に、化合物(I)を、必要により凍結乾燥あ
るいは真空乾燥した後、添加し溶解させる。この際化合
物(I)の添加量は、生体内分解性高分子重合物の有機
溶媒溶液中の濃度として、約0.001%〜約90%(w
/w)、好ましくは約0.01%〜約80%(w/w)、さら
に好ましくは約0.1〜50%(w/w)である。
【0046】ついで、このようにして得られる有機溶媒
溶液をさらに水相中に加えて、タービン型撹拌機などを
用いてo/wエマルジョンを形成させる。この際の水相
体積は一般的には油相体積の約1倍〜約10,000倍
から選ばれる。さらに好ましくは、約2倍〜約5,00
0倍から選ばれる。特に好ましくは、約5倍〜約2,0
00倍から選ばれる。前記外相の水相中に乳化剤を加え
てもよい。該乳化剤は、一般的に安定なo/wエマルジ
ョンを形成できるものであれば何れでもよい。乳化剤と
しては、例えばアニオン性界面活性剤、非イオン性界面
活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチ
ルセルロース、レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸など
が挙げられる。これらは適宜組み合わせて使用してもよ
い。外水相中の乳化剤の濃度は、好ましくは約0.00
1%〜約20%(w/w)である。さらに好ましくは約0.
01%〜約10%(w/w)、特に好ましくは約0.05%
〜約5%(w/w)である。
【0047】油相の溶媒の蒸発には、通常用いられる方
法が採用される。該方法としては、プロペラ型撹拌機、
あるいはマグネチックスターラー等で撹拌しながら常圧
もしくは徐々に減圧して行うか、ロータリーエバポレー
ターなどを用いて、真空度を調節しながら行う。このよ
うにして得られるマイクロカプセルは遠心分離法あるい
は濾過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着
している遊離の化合物(I)、乳化剤などを、例えば水
またはヘプタン等で数回繰り返し洗浄した後、再び、蒸
留水などに分散して凍結乾燥する。洗浄中の粒子同士の
凝集を防ぐために、凝集防止剤〔例、マンニトール,ラ
クトール,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ
等)などの水溶性糖類、グリシン,アラニン等のアミノ
酸類、ゼラチン、フィブリン,コラーゲン等の蛋白質
等〕を加えてもよい。前記したo/w法においては、化
合物(I)を生体内分解性重合物の有機溶媒溶液中に分
散させる方法、すなわちs/o/w法によりマイクロカ
プセルを製造してもよい。
【0048】(2)水中乾燥法(w/o/w法) 本方法においては、まず水に化合物(I)を前記の濃度
になるように溶解または分散し、これに必要であれば蛋
白質(例、ゼラチン等)、海草類(例、寒天等)、多糖
類(例、アルギン酸等)、合成高分子物質(例、ポリビ
ニールアルコール等)あるいは塩基性アミノ酸(例、ア
ルギニン、リジン等)等の薬物保持物質を加えて溶解も
しくは懸濁し、内水相とする。これらの内水相中には、
化合物(I)の安定性、溶解性を保つためのpH調整剤
として、酢酸,シュウ酸,クエン酸などの有機酸、炭
酸,リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム等のアルカリ
金属水酸化物、アルギニン,リジン等の塩基性アミノ酸
及びそれらの塩(例、酢酸,シュウ酸,クエン酸などの
有機酸、炭酸,リン酸,塩酸などの無機酸等との塩)な
どを添加してもよい。また、化合物(I)の安定化剤と
して、さらに蛋白質(例、アルブミン、ゼラチンな
ど)、デンプン誘導体(例、デキストリン,プルラン
等)、有機酸(例、クエン酸など)、エチレンジアミン
四酢酸アルカリ金属塩(例、エチレンジアミン四酢酸ナ
トリウム等)、亜硫酸水素アルカリ金属塩(例、亜硫酸
水素ナトリウム等)、合成高分子物質(例、ポリエチレ
ングリコール等)などを添加してもよい。あるいは保存
剤として、一般に用いられるパラオキシ安息香酸エステ
ル類(例、メチルパラベン,プロピルパラベン等)、ベ
ンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサールな
どを添加してもよい。この際化合物(I)の添加量は、
内水相中の濃度として、約0.001%〜約90%(W/
W)、好ましくは約0.01%〜約80%(W/W)、さら
に好ましくは約0.1〜50%(W/W)である。
【0049】このようにして得られる内水相液を、生体
内分解性高分子重合物を含む溶液(油相)中に加え、次
いで乳化操作を行い、w/oエマルジョンをつくる。該
乳化操作は、公知の分散法、例えば、断続振とう法、プ
ロペラ型撹拌機或いはタービン型撹拌機などのミキサー
による方法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音
波照射法等が用いられる。前記生体内分解性高分子重合
物を含む溶液(油相)は、生体内分解性高分子物質を有
機溶媒中に溶解した物が用いられる。該溶媒としては、
沸点が約120℃以下で、かつ水と混和しない性質の物
であればよく、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、脂肪族エステ
ル(例、酢酸エチル,酢酸ブチル等)、エーテル類
(例、エチルエーテル,イソプロピルエーテル等)、芳
香族炭化水素(例、ベンゼン,トルエン,キシレンな
ど)等が挙げられる。これらは2種以上適宜の割合で混
合して用いてもよい。ついでこのようにして製造される
w/oエマルジョンをさらに水相中に加えて、w/o/
wエマルジョンを製造し、油相溶媒を蒸発させマイクロ
カプセルを製造する。具体的操作は前記(1)に準ず
る。得られるマイクロカプセルは遠心分離法あるいは濾
過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着して
いる遊離の化合物(I)、乳化剤などを、例えば水また
はヘプタン等で数回繰り返し洗浄した後、再び、蒸留水
などに分散して凍結乾燥する。洗浄中の粒子同士の凝集
を防ぐために、凝集防止剤〔例、マンニトール,ラクト
ール,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)
などの水溶性糖類、グリシン,アラニン等のアミノ酸
類、ゼラチン、フィブリン,コラーゲン等の蛋白質等〕
を加えてもよい。
【0050】(3)相分離法 本方法においては、前記w/oエマルジョンに撹拌下、
コアセルベーション剤を徐々に加え、生体内分解性高分
子重合物を、析出、固化させる。コアセルベーション剤
としては、生体内分解性高分子重合物の溶媒に混和する
高分子系、鉱物油系または、植物油系の化合物で、カプ
セル化用重合物を溶解しない物であればよく、例えば、
シリコン油、植物油脂(例、ゴマ油,大豆油,コーン
油,綿実油,ココナツ油,アマニ油等)、鉱物油、炭化
水素類(例、n−ヘキサン,n−ヘプタン等)などが挙
げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。こ
のようにして得られるマイクロカプセルは、濾過して分
取した後、ヘプタン等により繰り返し洗浄し、コアセル
ベーション剤を除去する。さらに、水中乾燥法と同様の
方法で遊離薬物の除去、溶媒の脱離を行う。洗浄中の粒
子同士の凝集を防ぐために、凝集防止剤〔例、マンニト
ール,ラクトール,ブドウ糖,デンプン類(例、コーン
スターチ等)などの水溶性糖類、グリシン,アラニン等
のアミノ酸類、ゼラチン、フィブリン,コラーゲン等の
蛋白質等〕を加えてもよい。
【0051】(4)噴霧乾燥法 本方法によりマイクロカプセルを製造する場合には、前
記w/oエマルジョンを、ノズルを用いてスプレードラ
イヤー装置(噴霧乾燥機)の乾燥室内へ噴霧し、きわめ
て短時間に微粒化液滴内の有機溶媒及び水を揮発させマ
イクロカプセルを調製する。ノズルとしては、二液体ノ
ズル型、圧力ノズル型、回転ディスク型等がある。この
とき、所望により、w/oエマルジョンの噴霧と同時に
マイクロカプセルの凝集防止を目的として、前述の凝集
防止剤の水溶液を別ノズルより噴霧する事も有効であ
る。このようにして得られるマイクロカプセルは、必要
があれば加温し、減圧化でマイクロカプセル中の水分及
び溶媒の除去をより完全に行う。
【0052】前記したマイクロカプセル以外にも、適当
な方法で化合物(I)を分散させた生体内分解性高分子
重合物を溶解し、球状,棒状,針状,ペレット状,フイ
ルム状等に賦形して徐放性医薬組成物を製造することも
できる。該化合物(I)を分散させた生体内分解性高分
子重合物は、自体公知の方法、例えば特公昭50−17
525号公報に記載の方法にしたがって製造される。さ
らには、該化合物(I)を分散させた生体内分解性高分
子重合物を、例えば特開平6−234656号公報に記
載のターボカウンタージェットミル粉砕機や超音波ジェ
ット粉砕機を用いた方法等で適当な大きさの粒径に粉砕
し、徐放性医薬組成物を製造することもできる。具体的
には、例えば生体内分解性高分子重合物の有機溶媒中
に、化合物(I)を添加し溶解させる。次いで真空乾燥
して得られる固溶体を粗粉砕して篩濾し、さらに脱溶媒
後、超音波ジェット粉砕機を用いて制御された粒径に粉
砕して徐放性医薬組成物を製造する。
【0053】徐放性医薬組成物は、例えばマイクロカプ
セルそのまま、あるいはマイクロカプセルまたは球状,
棒状,針状,ペレット状,フイルム状,クリーム状の医
薬組成物を原料物質として種々の剤型に製剤化する。ま
たはこの製剤を用いて、局所投与用の非経口剤(例、筋
肉内,皮下,臓器,関節部位などへの注射剤、埋め込み
剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、懸濁剤等の液剤、軟膏
剤等)などとして投与することもできる。例えば、マイ
クロカプセルを注射剤とするには、マイクロカプセルを
分散剤(例、Tween 80、HCO−60等の界面活性
剤、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウ
ム、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリソルベート等)、保
存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等
張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビト
ール、ブドウ糖等)、緩衝剤(例、炭酸カルシウム
等)、pH調整剤(例、リン酸ナトリウム、リン酸カリ
ウム等)等と共に水性懸濁剤とすることにより実用的な
注射用製剤が得られる。また、ゴマ油、コーン油などの
植物油あるいはこれにレシチンなどのリン脂質を混合し
たもの、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグ
リオール812等)と共に分散して油性懸濁剤として実
際に使用できる注射剤とする。徐放性医薬組成物剤は、
リン酸またはその塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン
酸カリウム等)を含有していてもよく、リン酸塩を加え
ることによって、骨形成促進作用をさらに増強させるこ
とができる。注射剤にリン酸またはその塩が含まれる場
合、その注射剤中のリン酸ナトリウムあるいはリン酸カ
リウムの濃度は約0.1mMないし500mMであり、
約1mMないし100mMのときが好ましい。
【0054】好ましい徐放性医薬製剤の組成は、(A)
乳酸−グリコール酸共重合体:乳酸/グリコール酸共重
合体の組成比が約90/10ないし50/50(w/
w)で、かつ重量平均分子量が約8,000ないし5
0,000である、(B)(2R,4S)−(−)−N
−〔4−(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル〕−
1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチル−7,8−
メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベンゾチエピン−
2−カルボキサミド、及び(C)リン酸ナトリウムの場
合である。(A)における(B)の含有量は、約5ない
し30%(w/w)で、(A)及び(B)における
(C)の含有量は、約0.1ないし20%である。マイ
クロカプセルの粒子径は、例えば懸濁注射剤として使用
する場合にはその分散度、通針性を満足する範囲であれ
ばよく、例えば平均粒子径として約0.1〜約300μm
の範囲が挙げられる。好ましくは、約1〜150μm、
さらに好ましくは、約2〜100μmの範囲の粒子径で
ある。徐放性医薬組成物は、前記のように懸濁液である
ことが好ましい。
【0055】徐放性医薬組成物は微粒子状であることが
好ましい。なぜならば該医薬組成物は、通常の皮下ある
いは筋肉内注射に使用される注射針を通して投与される
方が、患者に対し過度の苦痛を与えることがないからで
ある。徐放性医薬組成物は特に注射剤であることが好ま
しい。マイクロカプセルを無菌製剤にするには、製造全
工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐
剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されな
い。徐放性医薬組成物は、化合物(I)の細胞分化誘導
因子作用増強活性が増強されているとともに徐放性を有
し、生体内分解性重合物の種類、配合量などによりその
徐放期間は異なるが、通常1週から3カ月の徐放期間を
有する。徐放性医薬組成物は、低毒性なので上記した哺
乳動物に対して安全に用いることができる。徐放性医薬
組成物は、一定した薬物量を長期にわたって放出するた
め、無毒ないし低毒性で安定した薬効が得られる。
【0056】徐放性医薬組成物の投与量は、化合物
(I)の種類と含量、剤型、薬物放出の持続時間、投与
対象動物などにより異なるが、該化合物(I)の有効量
であればよく、例えばマイクロカプセルとして骨折部位
に使用する場合、1回当りの投与量として、成人(体重
50kg)当たり、有効成分の化合物(I)として約0.
01mgから500mg。好ましくは約5mgから50mgを1
週間ないし3カ月に1回投与すればよい。
【0057】
【発明の実施の形態】以下に実験例および実施例を示
し、本発明を具体的に説明する。なお、以下の化合物A
および化合物Bはそれぞれ公知であり、例えば、特開平
8−231569号公報の実施例および参考例に記載の
方法で製造されたものを用いた。
【0058】
【実施例】実験例1:マウス骨芽細胞株におけるアルカ
リ性ホスファターゼ(ALP)産生誘導 マウス由来骨芽細胞株MC3T3-E1を10%ウシ胎仔血清(FC
S:fetal calf serum)含有α-最小必須培地(MEM:min
imun essential medium)中で96穴プレートに播種し(4
000/well)、3日後BMP-4/7ヘテロ二量体(特開平7-265
083号に記載)を3ng/ml含むまたは含まない培地で〔表
1〕に示す濃度に希釈した検体を一面に生育(コンフル
エント)した細胞に加えて72時間培養を続けた。プレー
トを生理食塩水で一回洗浄した後、基質溶液を加えて室
温で15分間インキュベートした。0.05Nの水酸化ナトリ
ウムを加えて反応を停止させ、405nmの吸光度を測定し
た。その結果、〔表1〕に示すとおり、化合物A及び化
合物Bは、BMP活性即ちBMPによるALPの産生誘導
を増強することが、またBMPの有無にかかわらず単独
でも優れたALP産生誘導活性を有していることが証明さ
れた。
【0059】
【表1】
【0060】実施例1 下記に示す(1)〜(6)の成分を混合して剤型形成機で1錠
当たり化合物Aを5mgを含有する直径6.5mmの素剤を約1,
000錠作製できる。これを下記に示す(7)〜(9)の成分で
被覆し、直径6.6mmフィルムコーティング錠が得られ
る。 (1)化合物A 5g (2)乳糖 82.5g (3)ヒドロキシプロピルセルロース 2.8g (4)ステアリン酸マグネシウム 0.4g (5)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 2.994g (6)トウモロコシデンプン 19.3g (7)マクロゴール6000 0.6g (8)酸化チタン 0.4g (9)黄色三二酸化鉄 0.006g
【0061】実施例2 下記に示す(1)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)および(8)の
成分を精製水に懸濁あるいは溶解し、下記の(2)の核粒
にコーティングし素細粒を作製できる。この素細粒上に
下記に示す(9)〜(11)の成分をコーティングしコーティ
ング細粒を作り、下記の(12)の成分と混合して化合物A
の細粒1%、約500gを作製し得る。これを500mgずつ分包
する。 (1)化合物A 5g (2)乳糖・結晶セルロース(粒) 330g (3)D-マンニトール 29g (4)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 20g (5)タルク 25g (6)ヒドロキシプロピルセルロース 50g (7)アスパルテーム 3g (8)グリチルリチン酸二カリウム 3g (9)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 30g (10)酸化チタン 3.5g (11)黄色三二酸化鉄 0.5g (12)軽質無水ケイ酸 1g
【0062】実施例3 〔表2〕に示す処方で乳酸−グリコール酸共重合物〔以
下PLGAと称することがある。乳酸−グリコール酸の
組成比(モル%)及びGPC測定による重量平均分子量
は〔表2〕に示す〕及び乳酸単一重合物(以下PLAと
称することがある)のジクロルメタン溶液を調製する
(以下溶液Aと称することがある)。同様に、化合物A
0.1g及びジクロルメタン1.0mlから溶液を調製
する(以下溶液Bと称することがある)。溶液Aおよび
溶液Bを均一に混合し、あらかじめ15℃に調節の〔表
2〕に記載した容量の0.1%ポリビニルアルコール
(EG−40、日本合成化学製)水溶液(PVA溶液)
に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,000
rpm でO/Wエマルジョンとする。このO/Wエマルジ
ョンを室温で3時間撹拌してジクロルメタンを発揮さ
せ、油相を固化させ、遠心分離器(05PR−22、日
立製作所)を用いて2,000rpm で捕集する。これを
再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物
等を洗浄する。捕集されるマイクロカプセルは少量の蒸
留水を加えて再分散し、凍結乾燥する。
【0063】
【表2】
【0064】実施例4 乳酸−バレロラクトン共重合物(PLV 2500M
L、多木化学製)、またはグリコール酸−カプロラクト
ン共重合物(PGC 2500MG、多木化学製)約8
gを遠沈管にいれ水浴中約50℃で加温し、化合物A約
80mgをそれぞれに混合し、均一に分散して軟膏状製剤
を得る。冷所において保存する。 実施例5 実施例1で得られる500mgのマイクロカプセルNo.1
をティシール(日本臓器製薬製)用フィブリノーゲン液
2本に均一に分散し、ティシール用トロンビン液2本を
徐々に添加する。次いで速やかにプラスチック製注射筒
に吸入し、37℃で30分静置して固化させる。固化後
注射筒先端より押し出し、カミソリで切断して体積約2
00μl のペレットを製造する。
【0065】
【発明の効果】本発明の式(I)で表される光学活性ベ
ンゾチエピン誘導体を含有してなる細胞分化誘導因子作
用増強剤は、例えば、強いBMP作用増強活性および骨
形成促進作用増強活性を有し、骨組織に作用して骨量と
骨強度を増加させる。従って、本剤は骨粗鬆症、骨折治
癒促進または骨再建促進など種々の骨疾患の治療および
予防に有用である。また、本作用増強剤は神経栄養因子
の作用増強活性を有し、アルツハイマー型痴呆症および
一般の老人性痴呆症、運動ニューロン障害(筋萎縮性側
索硬化症など)、糖尿病性の末梢神経障害など種々の神
経性疾患の治療および予防に有用である。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベンゾチエピン誘導体もしくはベンゾチオ
    ピラン誘導体またはこれらの塩からなる、細胞分化誘導
    因子作用増強剤。
  2. 【請求項2】式 【化1】 [式中、環Aは置換されていてもよいベンゼン環を、R
    は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、
    Bはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボ
    キシル基を、Xは−CH(OH)−または−CO−を、k
    は0または1を、k'は0、1または2を示す。]で表
    わされる化合物(I)またはその塩を含有してなる細胞
    分化誘導因子作用増強剤。
  3. 【請求項3】環Aは、ハロゲン原子,C1-10アルキル
    基,C1-10アルコキシ基,式:−O−(CH2)n−O−
    (式中、nは1〜3の整数を示す)で表されるアルキレ
    ンジオキシ基およびC1-10アルキルチオ基から選ばれる
    1または2個の置換基で置換されていてもよいベンゼン
    環であり、Rは、水素原子、C1-6アルキル基またはフ
    ェニル基であり、Bは、式:−CON(R1)(R2)(式
    中、R1は水素原子またはC1-10アルキル基を、R2はハ
    ロゲン,C1-6アルコキシ,モノ−若しくはジ−C1-6
    ルコキシホスホリル,モノ−若しくはジ−C1-6アルコ
    キシホスホリル−C1-3アルキル(ジ−C1-6アルコキシ
    におけるジアルキルは、一緒になってC1-6アルキレン
    基となっていてもよい)またはC1-6アルコキシカルボ
    ニルで置換されていてもよいフェニル若しくはフェニル
    −C1-3アルキル基を、それぞれ示す。)で表わされる
    基である化合物(I)またはその塩を含有してなる請求
    項2に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤。
  4. 【請求項4】式 【化2】 〔式中、 R3はC1-6アルキル基を示し、R4およびR5
    はそれぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒にな
    ってC1-6アルキレン基を示す。〕で表わされる光学活
    性化合物(II)またはその塩を含有してなる請求項2に記
    載の細胞分化誘導因子作用増強剤。
  5. 【請求項5】式 【化3】 〔式中、環Aは、2個のメトキシ基で置換されたベンゼ
    ン環であり、R3は水素原子であり、R4およびR5はそ
    れぞれC1-6アルキル基を示すか、または一緒になって
    1-6アルキレン基を示す。〕で表わされる化合物 (II
    I)またはその塩を含有してなる請求項2に記載の細胞分
    化誘導因子作用増強剤。
  6. 【請求項6】化合物(II)および化合物(III)の置換基R4
    並びにR5がそれぞれC1-4アルキル基であるはその塩を
    含有してなる請求項4または5に記載の細胞分化誘導因
    子作用増強剤。
  7. 【請求項7】光学活性な化合物(II)が(2R,4S)
    −(−)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメチル)
    フェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4−メチ
    ル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3−ベン
    ゾチエピン−2−カルボキサミドである、請求項4に記
    載の細胞分化誘導因子作用増強剤。
  8. 【請求項8】化合物(III)がN−[4−(ジエトキ
    シホスホリルメチル)フェニル]−1,2,4,5−テ
    トラヒドロ−7,8−ジメチトキシ−5−オキソ−3−
    ベンゾチエピン−2−カルボキサミドである、請求項5
    に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤。
  9. 【請求項9】請求項2に記載の細胞分化誘導因子作用増
    強剤を含有してなる医薬組成物。
  10. 【請求項10】生体内分解性ポリマーを含有する徐放性
    製剤である、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 【請求項11】局所投与用である請求項9に記載の医薬
    組成物。
  12. 【請求項12】経口投与用である請求項9に記載の医薬
    組成物。
  13. 【請求項13】注射投与用である請求項9に記載の医薬
    組成物。
  14. 【請求項14】骨疾患の治療または予防用である請求項
    9に記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】神経疾患の治療または予防用である請求
    項9に記載の医薬組成物。
  16. 【請求項16】細胞分化誘導因子が、骨形成因子である
    請求項2に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤。
  17. 【請求項17】細胞分化誘導因子が、神経栄養因子であ
    る請求項2に記載の細胞分化誘導因子作用増強剤。
  18. 【請求項18】神経栄養因子が、NGFファミリーに属
    するものである請求項17に記載の細胞分化誘導因子作
    用増強剤。
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