JP2000071717A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JP2000071717A
JP2000071717A JP10248631A JP24863198A JP2000071717A JP 2000071717 A JP2000071717 A JP 2000071717A JP 10248631 A JP10248631 A JP 10248631A JP 24863198 A JP24863198 A JP 24863198A JP 2000071717 A JP2000071717 A JP 2000071717A
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belt
cord
tire
heat treatment
filament
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Yoshitaka Sato
至孝 佐藤
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルトのコード破断を有利に回避して、タイ
ヤの長寿命化を達成するとともに、軽量化をも実現し
た、空気入りラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 1対のビード部間でトロイド状に延びる
ラジアル配列コードのプライからなるカーカスを骨格と
し、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくと
も2層のベルトをそなえる空気入りラジアルタイヤであ
って、該ベルトは、伸線後に熱処理を経て、該熱処理前
の耐力に比較して熱処理後の耐力を5%以上増加した、
スチールフィラメントを含むフィラメントの複数本から
構成した、コードを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気入りラジア
ルタイヤ、とくに耐久性に優れた空気入りラジアルタイ
ヤに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、空気入りラジアルタイヤは、1
対のビード部間でトロイド状に延びるラジアル配列コー
ドのプライからなるカーカスを骨格とし、このカーカス
のクラウン部の外側にベルトおよびトレッドを順に配置
して成る。カーカスおよびベルトは、それぞれ多数本を
並列配置したコードをゴムで被覆して成り、そのコード
を、カーカスではタイヤ赤道に対して実質90°の角度に
て、またベルトではタイヤ赤道に対して0ないし30°の
角度にて、それぞれ配置するのが、通例である。そし
て、内圧充填によって生じる、タイヤ幅方向の張力をカ
ーカスで負担し、一方タイヤ周方向の張力をベルトで負
担している。
【0003】ここで、ベルトを補強するコードとして、
例えば乗用車用タイヤでは、スチールフィラメントの2
〜5本を同時に撚り合わせた、1×2、1×3、1×4
および1×5構造に代表される単撚り構造およびスチー
ルフィラメントの2本を撚り合わせたコアのまわりに、
7本のスチールフィラメントを撚り合わせてシースを配
置した、2+7構造に代表される層撚り構造が、使用さ
れている。またトラック・バス用タイヤでは、スチール
フィラメントの3本を撚り合わせたコアのまわりに、6
本のスチールフィラメントを撚り合わせてシースを配置
した、3+6構造および1本のコアのまわりに6本のフ
ィラメントによるシースを設けた、1+6構造、に代表
される層撚り構造が、使用されている。さらに、建設車
両用タイヤでは、スチールフィラメントの3本を撚り合
わせたコアのまわりに、9本のスチールフィラメントを
撚り合わせてシースを配置し、このシースの外側にさら
に15本のフィラメントによるシースを設けて、その周囲
にラッピングフィラメントを巻き付けた、3+9+15+
1構造、に代表される層撚り構造および1+6構造の層
撚りストランドの7本を同時に撚り合わせ、その周囲に
1本のラッピングフィラメントを巻き付けた、7×7+
1構造に代表される複撚り構造が、使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の省資
源および省エネルギーに対する社会的要請から、重荷重
用タイヤにおいても、自動車の低燃費化に寄与する、転
がり抵抗の小さいタイヤの開発、つまりタイヤの軽量化
が求められている。一方、ユーザー側からは、経済性を
考慮して、タイヤの長寿命化が求められている。
【0005】前者のタイヤの軽量化には、ベルトにおけ
るコード使用量を削減すること、つまりベルトでのコー
ドの打ち込み数を減少することが有効であるが、悪路や
未舗装路などの走行において、路上の石や障害物にタイ
ヤが乗り上げることによって、ベルトに大きな衝撃が加
わると、打ち込み数を減少したベルトでは容易にコード
折れ、さらにはコード破断が発生し、ベルト強度を低下
し、ひいてはタイヤの短命化をまねくことになる。
【0006】そこで、この発明は、ベルトのコード破断
を有利に回避して、タイヤの長寿命化を達成するととも
に、軽量化をも可能とする空気入りラジアルタイヤを提
供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、種々のコー
ドおよびタイヤの試作を重ねて検討した結果、特定のフ
ィラメントから成るスチールコードをベルトに適用する
ことにより、上記の問題点が解決されることを見出し、
この発明を完成するに到った。
【0008】この発明の要旨構成は、次のとおりであ
る。 (1) 1対のビード部間でトロイド状に延びるラジアル配
列コードのプライからなるカーカスを骨格とし、このカ
ーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも2層のベ
ルトをそなえる空気入りラジアルタイヤであって、該ベ
ルトの少なくとも1層は、伸線後に熱処理を経て、該熱
処理前の耐力に比較して熱処理後の耐力を5%以上増加
した、スチールフィラメントを含むフィラメントの複数
本から構成した、コードを用いて成ることを特徴とする
空気入りラジアルタイヤ。
【0009】(2) 上記(1) において、スチールフィラメ
ントの炭素含有量が0.6 〜1.0 mass%である空気入りラ
ジアルタイヤ。
【0010】(3) 上記(1) または(2) において、スチー
ルフィラメントの径が0.10〜0.50mmである空気入りラジ
アルタイヤ。
【0011】(4) 上記(1) 、(2) または(3) において、
スチールフィラメントの表面に、CuおよびZnのいずれか
一方または両方から成る、めっき膜を有することを特徴
とする空気入りラジアルタイヤ。
【0012】(5) 上記(1) 、(2) 、(3) または(4) にお
いて、ベルトの層間でコードを交差配置とした、少なく
とも2層のベルト層に、伸線後に熱処理を経て、該熱処
理前の耐力に比較して熱処理後の耐力を5%以上増加し
た、スチールフィラメントを含むフィラメントの複数本
から構成した、コードを用いた空気入りラジアルタイ
ヤ。
【0013】
【発明の実施の形態】さて、図1に、この発明に従う乗
用車用ラジアルタイヤの具体例を図解する。このタイヤ
は、1対のビードコア1間でトロイド状に延びるカーカ
ス2、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側
に配置した、少なくとも2層、図示例で2層のベルト3
およびこのベルト3のタイヤ径方向外側に配置したトレ
ッド4から成る。ベルト3は、それぞれ多数本を並列配
置したコードをゴムで被覆して成り、そのコードをタイ
ヤ赤道面に対して10ないし30°の角度でかつ層間でコー
ドが交差する向きにて、それぞれ配置して成る。そし
て、ベルト3の少なくとも1層、好ましくは層間でコー
ドを交差配置とした少なくとも2層に、伸線後に熱処理
を経て、該熱処理前の耐力に比較して熱処理後の耐力を
5%以上増加した、スチールフィラメントによるコード
を適用することを、特徴とする。
【0014】すなわち、ベルト3におけるスチールコー
ドの打ち込み数を減少した場合に問題となる、ベルトコ
ードへの入力増加によるコード折れ並びにコード破断を
回避するには、コード自体の耐疲労性を向上すること、
つまり伸線後に熱処理を経て、該熱処理前の耐力に比較
して熱処理後の耐力を5%以上増加した、スチールフィ
ラメントにてコードの少なくとも一部を構成すること
が、肝要である。なぜなら、スチールフィラメントにつ
いて、熱処理前の耐力に比較して熱処理後の耐力を5%
以上増加すると、該フィラメントは塑性変形に対する抵
抗が大きくなって、フィラメントに引張りおよび圧縮の
繰り返し入力があっても、フィラメントの塑性変形が抑
制される結果、コードの耐疲労性が向上するからであ
る。
【0015】なお、上記耐力は、図2に示すように引張
試験で得られた応力−歪み曲線において、歪 0.2%の点
から弾性伸び部分に平行に直線を引いたとき、該直線と
曲線との交点Y0.2に対する応力の値σY0.2を、意味す
る。
【0016】そして、この耐力が、熱処理前に比較して
熱処理後で5%以上増加していることが、肝要である。
なぜなら、スチールフィラメントの耐力の熱処理後の増
加が5%未満では、フィラメント表面が局部的な塑性変
形を起こし易くなる結果、タイヤ転動時のベルトコード
に繰り返し入力が付加された際に、耐ベルトコード疲労
性の低下がより顕著になるからである。すなわち、空気
入りタイヤが特に高負荷かつ低内圧の下に転動される
際、タイヤのベルトコードのフィラメントにおいて大き
い引張圧縮および曲げ変形が繰り返し付加されると、コ
ードを構成する各フィラメントの最表面に引張及び圧縮
歪による局部的な塑性変形から亀裂が発生し、特にフィ
ラメントの耐力が低いと亀裂が発生し易くなり、この亀
裂が拡大、成長し、最終的にフィラメントが破断する。
従って、ベルトコードの耐疲労性は、フィラメントの耐
力の熱処理後の増加を5%以上にすることによって、格
段に向上するのである。
【0017】ここで、熱処理前に比較して熱処理後の耐
力を5%以上増加したスチールフィラメントは、コード
を構成するフィラメントの少なくとも一部に、具体的に
は少なくとも半数には適用することが好ましく、より好
ましくは全てのフィラメントに適用することが、推奨さ
れる。
【0018】なお、スチールフィラメントの耐力を熱処
理前に比較して熱処理後で5%以上増加するには、ダイ
スでの引き抜きによって伸線された当該フィラメント
に、ブルーイング処理を施すことが有利である。具体的
には、一定の減面率で複数回、例えば3回の伸線加工を
行ったのち、めっき処理、次いで、例えば 340〜500 ℃
で数秒から数十秒程度の短時間保持する、ブルーイング
処理を施す。そして、このブルーイング処理を施したフ
ィラメントを用いて、例えば1+nまたは1×n構造
に、撚り合わせてコードとする。また、複数回の伸線後
にめっき処理を行ったフィラメントを撚り合わせてコー
ドとしたのち、該コードに対して、上記と同様のブルー
イング処理を施してよい。いずれの場合も、ブルーイン
グ処理後に酸処理を行うことによって、ゴムとの接着性
を高めることが、好ましい。
【0019】ちなみに、フィラメントの引張り強さは、
3000MPa 以上、好ましくは3500MPa以上であることが、
コード打ち込み数の削減による、タイヤの軽量化および
転がり抵抗の低減を所期する際に、推奨される。
【0020】また、コードは耐力を熱処理前に比較して
熱処理後で5%以上増加したスチールフィラメントで構
成されていれば、特に構造は限定されないが、次に示す
コード構造が有利に適合する。すなわち、乗用車用タイ
ヤでは、1×n(n:2〜7)の単撚り構造、1+n
(n:5〜8)、2+n(n:5〜11)、3+n(n:
6〜12)、1+n+m(n:5〜8,m:9〜15)、2
+n+m(n:5〜11,m:11〜17)、3+n+m
(n:6〜12,m:12〜18)の層撚り構造を採用でき
る。トラック・バス用およびライトトラック用タイヤで
は、上記の構造に加えて、1×n(n:8〜27)の単撚
り構造を、そして建設車両用タイヤでは、上記の構造に
加えて、さらにn×m(n:2〜7,m:2〜27)の複
撚り構造を、それぞれ採用できる。いずれの構造におい
ても、周囲にラッピングフィラメントを巻き付けること
が可能である。また、層撚り構造では、コアのフィラメ
ントに波または螺旋形の形付けを施してもよく、複数本
のフィラメントでコアを構成する場合は、フィラメント
を撚り合わせる態様以外に、単に束ねることも可能であ
る。
【0021】次に、スチールフィラメントの炭素含有量
を0.6 〜1.0 mass%とすることが、好ましい。すなわ
ち、フィラメントの炭素含有量が0.6 mass%未満では、
フィラメントの引張り強さが小さくなって、所定のベル
ト強度を確保するには、ベルトでの打ち込み数を増加し
なくてはならないため、タイヤの軽量化を阻害する他、
ベルトプライの端部に露出するコード端面の相互間隔が
狭くなってコードとゴムとの剥離がコード端面の相互で
連結してセパレーションに進展し、耐ベルトエンドセパ
レーション性が低下する原因となる。一方、フィラメン
トの炭素含有量が1.0 mass%をこえると、フィラメント
の延性が低下し、伸線加工性が劣化するため実際的では
ない。
【0022】さらに、スチールフィラメントの径は、0.
10〜0.50mmとすることが好ましい。なぜなら、フィラメ
ント径が0.10mm未満では、フィラメントの強力が小さく
なってベルト強度が小さくなるため、ベルトにおけるコ
ード打ち込み数を増加する必要が生じ、上記のようにタ
イヤの軽量化および耐ベルトエンドセパレーション性が
阻害されるから、0.10mm以上、より好ましくは0.15mm以
上とする。一方、フィラメント径が0.50mmをこえると、
フィラメントの曲げ剛性が大きくなり、コードにおける
トーション制御が難しくなる結果、カレンダー作業にて
コードとゴムとの複合体を成形する際に該複合体を平坦
にすることが難しくなり、その後の該複合体の裁断作業
を困難にするため実際的ではない。
【0023】さらにまた、スチールフィラメントの表面
に、CuおよびZnのいずれか一方または両方から成る、め
っき膜を有することが、ゴムとの接着性を確保する上で
有利である。
【0024】
【実施例】実施例1 図1に示した構造の乗用車用ラジアルタイヤのベルト3
に、表1および2に示す仕様の下に作製したスチールコ
ードを適用し、サイズ195 /75R14のタイヤを試作し
た。ここで、ベルト3は、カーカス2上に、タイヤの赤
道面に対してスチールコードを20°の角度で傾斜しかつ
層間でコードが交差する向きで配置した、2層構造に成
る。この2層の交差ベルト層から成るベルト3に適用す
る、スチールコードには、図3(a) に示す1×3構造、
図3(b) に示す1+6構造を採用した。
【0025】なお、この発明に従うタイヤは、次に示す
熱処理を施すことによって、そのベルトコードのスチー
ルフィラメントの耐力を調整した。すなわち、伸線後、
約450 ℃に保持した加熱炉中に耐力の所定の増加が得ら
れるまで熱処理した。この処理は、後述の実施例2およ
び3においても、同様である。
【0026】このスチールフィラメントの耐力は、フィ
ラメントをインストロン試験機で引っ張り、得られた応
力−歪み曲線から永久伸びが0.2 %の場合を算出した、
各表の比較例の耐力を100 として、同様に算出した発明
例の耐力を指数で表示した。この耐力の測定は、後述の
実施例2および3においても、同様である。
【0027】かくして得られたタイヤについて、そのベ
ルトの製造における、伸線加工性および裁断作業性、そ
してタイヤにおける、耐ベルトコード疲労性および耐ベ
ルトエンドセパレーション性について調査した。これら
の調査結果を表1および2に併記する。評価結果は、各
表における比較例を基準として表示した。
【0028】ここで、伸線加工性は、フィラメントの伸
線時に発生した断線回数を測定し、比較例の値を100 と
したときの指数で表示した。この指数が小さいほど断線
回数が少なく、伸線加工性に優れることを示している。
【0029】裁断加工性は、トリートを裁断してベルト
材を成形する際の作業性を、作業者の感覚によって、比
較例の作業性を基準として評価した。
【0030】耐ベルトコード疲労性は、各供試タイヤを
標準リムに組み込み、内圧150kPaを充填してから実車に
装着し、最大負荷能力の負荷の下に、一般路を6万km走
行させたのち、タイヤを解剖してベルトの最外層(トレ
ッド側のベルト)からゴム付きコードを取り出し、該コ
ードの引張り強さをインストロン試験機で測定し、この
測定値の、走行前のタイヤから同様に取り出し同様に測
定したコードの引張り強さに対する比を、コード強力保
持率として求めた。そして、このコード強力保持率を、
各表の比較例を100 としたときの指数にて表示した。こ
の指数が大きいほど、コード強力保持率が高く、耐ベル
トコード疲労性に優れる。
【0031】耐ベルトエンドセパレーション性は、ベル
トプライの端部における亀裂長さに支配されるから、こ
の亀裂長さを耐ベルトエンドセパレーション性の指標と
した。すなわち、上記の供試タイヤを標準リムに組み込
み、内圧150kPaを充填してから実車に装着し、最大負荷
能力に対応する負荷の下に、一般路を6万km走行させ、
しかる後タイヤを解剖してベルト(トレッド側のベル
ト)の内側層の端部での亀裂長さを測定し、比較例の亀
裂長さを100 としたときの指数で表示した。この指数が
小さいほど亀裂長さが小さく、耐ベルトエンドセパレー
ション性に優れる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表1および2における発明例と比較例との
比較から、この発明に従って耐力を5%以上増加したフ
ィラメントによるコードでベルトを構成することによっ
て、特に耐ベルトコード疲労性が向上することがわか
る。なお、発明例2および7はフィラメント径が0.07mm
の例、発明例3および8はフィラメント径が0.52mmの
例、発明例4および9は炭素含有量が0.50mass%の例、
そして発明例5および10は炭素含有量が1.10mass%の例
である。
【0035】実施例2 図4に示す、1対のビードコア1間でトロイド状に延び
るカーカス2、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径
方向外側に、タイヤの赤道に対して10〜30°のコード角
度で配置した、4層のベルト3およびこのベルト3のタ
イヤ径方向外側に配置したトレッド4から成る、トラッ
ク・バス用タイヤのベルト3に、スチールコードを適用
し、サイズ10.00 R20 14PRのタイヤを試作した。な
お、スチールコードには、図5(a) に示す1+6構造お
よび図5(b) に示す2+6+11構造を採用した。また、
ベルト3は、カーカス2上に、タイヤの赤道面に対して
スチールコードを径方向外側から順に第1、2、3およ
び4ベルトとしたとき、第1ベルトが52°、第2〜4ベ
ルトが20°の角度で傾斜する向きでかつ第2および第3
ベルトの層間でのコードを交差して配置した、4層構造
に成り、第2および第3ベルトのコードを1+6構造と
した場合は残る2層も1+6構造とし、一方第2および
第3ベルトのコードを2+6+11構造とした場合は残る
2層は1+6構造とした。第2および第3ベルトのコー
ドの仕様を表3および4に示し、その他の層のコードに
は従来のスチールコードを用いた。
【0036】かくして得られたタイヤについて、そのベ
ルトの製造における、伸線加工性および裁断作業性、そ
してタイヤにおける、耐ベルトコード疲労性および耐ベ
ルトエンドセパレーション性について調査した。これら
の調査結果を表3および4に併記する。評価結果は、各
表における比較例を基準として表示した。
【0037】ここで、伸線加工性および裁断作業性は、
上記実施例1の場合と同様に評価した。また、耐ベルト
コード疲労性は、各供試タイヤを標準リムに組み込み、
内圧725 Paを充填してから実車に装着し、最大負荷能力
の負荷の下に、一般路を10万kmでトレッドを更生して20
万km走行させたのち、タイヤを解剖してベルトの第3ベ
ルト層からゴム付きコードを取り出し、該コードの引張
り強さをインストロン試験機で測定し、この測定値の、
走行前のタイヤから同様に取り出し同様に測定したコー
ドの引張り強さに対する比を、コード強力保持率として
求めた。そして、このコード強力保持率を、各表の比較
例を100 としたときの指数にて表示した。この指数が大
きいほど、コード強力保持率が高く、耐ベルトコード疲
労性に優れる。
【0038】耐ベルトエンドセパレーション性は、ベル
トプライの端部における亀裂長さに支配されるから、こ
の亀裂長さを耐ベルトエンドセパレーション性の指標と
した。すなわち、上記の供試タイヤを標準リムに組み込
み、内圧725kPaを充填してから実車に装着し、最大負荷
能力に対応する負荷の下に、一般路を10万km走行させ、
しかる後タイヤを解剖してベルトの第3ベルト層の端部
での亀裂長さを測定し、比較例の亀裂長さを100 とした
ときの指数で表示した。この指数が小さいほど亀裂長さ
が小さく、耐ベルトエンドセパレーション性に優れる。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】表3および4における発明例と比較例との
比較から、この発明に従って耐力を5%以上増加したフ
ィラメントによるコードでベルトを構成することによっ
て、特に耐ベルトコード疲労性が向上することがわか
る。なお、発明例2および7は、フィラメント径が0.12
mmの例、発明例3および8はフィラメント径が0.52mmの
例、発明例4および9は炭素含有量が0.50mass%の例、
そして発明例5および10は炭素含有量が1.10mass%の例
である。
【0042】実施例3 図6に示す、1対のビードコア1間でトロイド状に延び
るカーカス2、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径
方向外側に、タイヤの赤道に対して0〜30°のコード角
度で配置した、6層のベルト3およびこのベルト3のタ
イヤ径方向外側に配置したトレッド4から成る、建設車
両用ラジアルタイヤのベルト3に、スチールコードを適
用し、サイズ37.00 R57のタイヤを試作した。なお、ス
チールコードには、図7(a) に示す3+9+15+1構造
および図7(b) に示す7×7+1構造を採用した。ま
た、ベルト3は、カーカス2上に、タイヤの赤道面に対
してスチールコードを径方向外側から順に第1、2、
3、5および6ベルト層としたとき、第1〜4ベルトが
20°、第5〜6ベルト層が25°の角度で傾斜する向き
で、かつ第1〜6ベルトの層間でのコードを交差して配
置した、6層構造に成り、第1〜4ベルトのコードを3
+9+15+1構造または7×7+1構造とした場合と
し、残る2層は4×6構造とした。第1〜4ベルトのコ
ードの仕様を表5および6に示し、その他のベルトのコ
ードについては従来のスチールコードを用いた。
【0043】かくして得られたタイヤについて、そのベ
ルトの製造における、伸線加工性および裁断作業性、そ
してタイヤにおける、耐ベルトコード疲労性および耐ベ
ルトエンドセパレーション性について調査した。これら
の調査結果を表5および6に併記する。評価結果は、各
表における比較例を基準として表示した。
【0044】ここで、伸線加工性および裁断作業性は、
上記実施例1の場合と同様に評価した。また、耐ベルト
コード疲労性は、各供試タイヤを標準リムに組み込み、
内圧500kPaを充填してから実車に装着し、最大負荷能力
の負荷の下に、一般路を5万kmでトレッドを更生して20
万km走行させたのち、タイヤを解剖してベルトの第4ベ
ルト層からゴム付きコードを取り出し、該コードの引張
り強さをインストロン試験機で測定し、この測定値の、
走行前のタイヤから同様に取り出し同様に測定したコー
ドの引張り強さに対する比を、コード強力保持率として
求めた。そして、このコード強力保持率を、各表の比較
例を100 としたときの指数にて表示した。この指数が大
きいほど、コード強力保持率が高く、耐ベルトコード疲
労性に優れる。
【0045】耐ベルトエンドセパレーション性は、ベル
トプライの端部における亀裂長さに支配されるから、こ
の亀裂長さを耐ベルトエンドセパレーション性の指標と
した。すなわち、上記の供試タイヤを標準リムに組み込
み、内圧500kPaを充填してから実車に装着し、最大負荷
能力に対応する負荷の下に、悪路を5万km走行させ、し
かる後タイヤを解剖してベルトの第4ベルトの端部での
亀裂長さを測定し、比較例の亀裂長さを100 としたとき
の指数で表示した。この指数が小さいほど亀裂長さが小
さく、耐ベルトエンドセパレーション性に優れることを
示している。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】表5および6における発明例と比較例との
比較から、この発明に従って耐力を5%以上増加したフ
ィラメントによるコードでベルトを構成することによっ
て、特に耐ベルトコード疲労性が向上することがわか
る。なお、発明例2および7は、フィラメント径が0.12
mmの例、発明例3および8はフィラメント径が0.52mmの
例、発明例4および9は炭素含有量が0.50mass%の例、
そして発明例5および10は炭素含有量が1.10mass%の例
である。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、空気入りラジアルタ
イヤにおける、耐久性、とくにベルトの疲労破壊に対す
る耐久性の改善を、有利に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う乗用車用タイヤの構造を示した
図である。
【図2】応力−歪曲線を示す図である。
【図3】乗用車用タイヤに適用するコード構造を例示し
た図である。
【図4】この発明に従うトラック・バス用タイヤの構造
を示した図である。
【図5】トラック・バス用タイヤに適用するコード構造
を例示した図である。
【図6】この発明に従う建設車両用タイヤの構造を示し
た図である。
【図7】複撚り構造の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 ビードコア 2 カーカス 3 ベルト 4 トレッド

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1対のビード部間でトロイド状に延びる
    ラジアル配列コードのプライからなるカーカスを骨格と
    し、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくと
    も2層のベルトをそなえる空気入りラジアルタイヤであ
    って、該ベルトの少なくとも1層は、伸線後に熱処理を
    経て、該熱処理前の耐力に比較して熱処理後の耐力を5
    %以上増加した、スチールフィラメントを含むフィラメ
    ントの複数本から構成した、コードを用いて成ることを
    特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、スチールフィラメン
    トの炭素含有量が0.6 〜1.0 mass%である空気入りラジ
    アルタイヤ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、スチールフ
    ィラメントの径が0.10〜0.50mmである空気入りラジアル
    タイヤ。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、スチー
    ルフィラメントの表面に、CuおよびZnのいずれか一方ま
    たは両方から成る、めっき膜を有することを特徴とする
    空気入りラジアルタイヤ。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4において、ベ
    ルトの層間でコードを交差配置とした、少なくとも2層
    のベルト層に、伸線後に熱処理を経て、該熱処理前の耐
    力に比較して熱処理後の耐力を5%以上増加した、スチ
    ールフィラメントを含むフィラメントの複数本から構成
    した、コードを用いた空気入りラジアルタイヤ。
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