JP2000070239A - 磁気共鳴イメ―ジング方法および磁気共鳴イメ―ジング装置 - Google Patents
磁気共鳴イメ―ジング方法および磁気共鳴イメ―ジング装置Info
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Abstract
気共鳴イメージング方法。 【解決手段】 シングルスキャン単一点ディクソンMR
I系列から分離画像を生成する場合に使用され、水を主
としたMR信号データと、脂肪を主としたMR信号デー
タとを作り出す磁気共鳴イメージング方法および装置。
静磁場不均一性の影響は、自乗したMR信号の偏角を求
め、信号位相を定量化することで取り除かれる。多項式
モデルによる領域拡張アルゴリズムは、分離画像生成の
ために水ピクセルデータと脂肪ピクセルデータとを分離
して生成するために使用する位相を巻き戻すために使用
される。本発明は、2−D又は3−Dの、スピンエコー
又はフィールドエコー収集のために使用され得る。
Description
ング技術に関するものであり、特に、シングルスキャン
・単一点ディクソン法により水画像情報と脂肪画像情報
を分離する技術に関する。
c Resonance Imaging:以下、MR
I)は、広く普及してきている。このMRIは、核磁気
共鳴現象(NMR:Nuclear Magnetic
Resonance)の影響を受けやすい原子核の集
団を有する対象物(例えば、人体等)の内部構造を、デ
ジタル化された画像にして見るのに、有効な技術であ
る。MRIにおいては、画像化される人体中の原子核
は、強力な静磁場H0を印加して整列される。選択され
た原子核は、特定のNMR周波数の高周波信号を印加す
ることで励起される。位置情報が与えられた磁場を空間
的に分散させて得られる原子核からのRF応答を適当に
解析することで、原子核の位置を示す関数として、相対
的なNMR応答のマップや画像が決定される。そして、
フーリエ解析に従えば、空間にNMR応答を表すデータ
をCRTに表示することができる。
ジングシステムは、静磁場をかけるための主磁石10
と、三次元直交座標系において空間的に分散された傾斜
磁場を生じさせる傾斜磁場コイル12と、選択した原子
核へRF信号を伝送する、或いは当該原子核からRF信
号を受信するRFコイル14とを具備している。RFコ
イル14によって受信されたNMR信号は、MRIシス
テム制御装置16に伝送される。このMRIシステム制
御装置16は、受信した信号をコントロールターミナル
18が有するディスプレイに表示する画像処理を行う。
こうして得られる磁気共鳴画像は、「ピクセル」と呼ば
れる画素で構成されている。このピクセルの強度は、画
像化された対象物に対応する体積要素、すなわち「ボク
セル」の有するNMR信号強度に比例している。さら
に、MRIシステム制御装置16は、RF増幅器/検出
器20と傾斜磁場アンプ22とのそれぞれを通して、R
Fコイル14と傾斜磁場コイル12の動作の制御を行
う。
一つ以上の組織を含んでいる。人体の組織は、主に水と
脂肪から成っている。脂肪と水は、多くの水素原子核を
含んでいる(人体の約63%は水素原子核である。)。
水素原子核は、容易に認識できるNMR信号を発するか
ら、人体の磁気共鳴イメージングは、主に水素原子核か
らのNMR信号を画像化するものである。
は中性子のいづれか一方、若しくは両方を奇数個有する
原子核の整列に利用される。この結果、整列される原子
核は、スピン角運動量と磁気双極子モーメントをもつ。
第1の磁場に対して横方向の単一パルスとして使用され
る第2のRF磁場は、前記原子核にエネルギを加え励起
させる。この励起によって、原子核の偏角配向(z軸と
原子核のスピン軸とがなす偏角)は、例えば90°又は
180°倒されることになる。この励起の後、原子核は
歳差運動し、そして静磁場による元の整列状態へと次第
に緩和していく。原子核は、緩和し歳差運動しながら、
微小ではあるが検出可能な自由誘導減衰(FID:Fr
ee Induction Decay)としてエネル
ギを発する。NMRイメージングシステムによって感知
されたこれらのFID信号、及び/またはRF、あるい
は傾斜磁場によりリフォーカスされたエコー(以下、こ
れらをMR信号と総称する)は、人体の画像を生成する
コンピュータにより使用される。
変える)とFID振動数とは、ラーモアの関係によって
関係づけられる。この関係は、式(1)に示すように、
原子核の歳差運動についての角振動数ω0は、磁場の強
さB0と、いわゆる磁気回転比と呼ばれ原子核の種類ご
との基本的な物理定数γとの積に等しいというものであ
る。
重畳させることにより、(これらは、通常Z軸方向に定
義される)、例えば、所定のX−Y平面にある原子核
は、X軸又はY軸に沿って印加される横方向の励起用の
RF磁場の周波数を適当に選択することで励起される。
同様に、MR信号を探知する間、前記X−Y平面から発
せられるMR信号にその周波数と位相、若しくはいずれ
か一方に従った空間的な位置情報を与えるため、傾斜磁
場はX−Y平面に印加される。
種々のコイルがMR信号を作り出す操作の一例を示して
いる。これは、MRIによって得られる信号系列の一例
であって、「フィールドエコー」系列と呼ばれるものを
パルスシーケンスとして表現したものである。まず、特
定のRF共鳴周波数に対して画像化される人体中の原子
核の「スラブ」を敏感に計測するために、傾斜磁場G
sliceは、静静磁場に重畳される。そして、スラブ
にある原子核のうちの幾つかが、静静磁場に直交する方
向に歳差運動をするように、章動(nutation)RFパル
スを特定の周波数で印加する。その後、その振幅が変化
する傾斜磁場パルスGpeとGsliceは、断層面の
方向に沿って異なる位置に存在する原子核の周波数の
差、そしてそれに伴う位相差を誘導することで、原子核
の位相エンコードをするために使用される。「ro」方
向(又はリード方向)にあって、「pe」方向に直交す
る方向に印加される傾斜磁場Groは、まず「フィール
ドエコー」MR信号を形成するために、原子核に位相ず
らしを行った後、再び位相を合わせる。このフィールド
エコーの間は、印加された傾斜磁場Groの周波数は、
読み出し方向において原子核の選択断層面をエンコード
する。こうして得られるMR信号(「生データ」又は
「周波数空間(k空間)データ」とも呼ばれる)は、読
み出されフーリエ解析によって解析される。この解析の
周波数(領域)プロットは、フーリエ空間における原子
核集団についての情報を与えるために計測され、この情
報はX−Y−Zの位置に対応している。
ーケンスの他の例を示している。この場合における原子
核のスライスは、スピンエコーを生成する180°RF
パルスを従える90°RFパルスで選択されている。1
80°RFパルスの中心とエコー中心との間の時間が9
0°RFパルスの中心と180°RFパルスの中心の時
間と同じである場合、対称なスピンエコーが生成され
る。しかしながら、非対称スピンエコーが代わりに作ら
れるように磁場の傾斜を調節することによって、エコー
中心を移動することができる。
情報を使用することに加えて、周波数領域のMR信号の
位相は、幾つかの物理量を示す情報を提供するために利
用することができる。例えば、MR位相は、使用したパ
ルスシーケンスの型に依存しており、静磁場B0の不均
一性を表すことができ、また、スピンの速度に比例し求
めるものである。
X、Y、Z軸に作られる傾斜磁場によって決定される。
NMRにおける原子核現象を記述するとき、記述する数
学を簡略化するために、Z´軸の周りにラーモア周波数
で回転する、X´−Y´−Z´回転座標系がよく用いら
れる。静磁場B0によって整列し歳差運動する選択され
た原子核は、ラーモア周波数のRFパルスの垂直磁場に
よって影響を受ける(章動運動する)。そして、当該原
子核の集団が静磁場B0の方向から傾く。こうして、所
定の原子核は静磁場B0によってZ´軸の方向に整列さ
れ始め、当該原子核に印加されたRF信号によりX´−
Y´平面を回転する。そして、原子核はX´−Y´平面
を歳差運動する。
のエリアにおいては標的であるアイソトープの一種以上
を倒す。MRIシーケンス解析においてその記述を簡略
化するために、各RFパルスはその中心によって特徴付
けることができる。この中心においては、原子核は全て
同相にある(in-phase)ものと考えることができ、ま
た、各種原子核は、おのおのの特有のスピードで歳差運
動を行う。歳差運動する原子核の位相は、当該原子核が
置かれている物理的又は化学的環境のパラメータの結果
として、次第にずれていく(ディフェーズ:de-phaseす
る)ことになる。例えば、脂肪の原子核は、化学シフト
の違いから、水原子核の場合と異なった速度で歳差運動
をする。磁場の傾きと不均一性も、この位相のずれに寄
与する要因である。
コーを生成する傾斜磁場を反転する、若しくはスピンエ
コーを生成するRFリフォーカスパルスの印加によっ
て、十分にエコー中心にリフォーカスするような傾斜磁
場を持つように常に設定されている。静磁場B0の不均
一性と化学シフトは、対称のスピンエコーにおいてリフ
ォーカスされるが、フィールドエコーと非対称スピンエ
コーにおいては、そうではない。
として知られているプロセスによって、Z´成分を前記
平衡状態の大きさM0に復元させようとする。そして、
X´−Y´平面にある磁気モーメントの位相コヒーレン
ト成分は減衰する。通常、この二つのプロセスは指数関
数で特徴づけられる。前者の指数関数の時間定数はスピ
ン・格子緩和時間T1、後者はスピン・スピン緩和時間
T2と呼ばれる。磁気共鳴信号が、X´−Y´平面と共
在するある平面上での磁束振動を通じて観測された場
合、これらの双方のプロセスによって、時間の関数とし
て信号の強さが減衰する。見かけ上の緩和時間T
2 *は、スピン・スピン緩和と静磁場B0不均一性を原
因とする横方向信号の減衰を特徴とするために使用され
る。
を含んでいるにもかかわらず、MRI画像が重ねられた
場合、互いの解釈の妨害となることがあり、MR画像成
分が適切に判断しずらくなることがある。ある組織の他
の組織に対する違いは、脂肪成分のMRI画像と、水分
或いは水を基本成分とする組織のMRI画とを分離する
情報として使用することができる(これらの目的のため
に、「水を基本成分とする組織」と「水分」は同じ意味
として使う。)。
された場合、結果として得られる画像は、それぞれ真に
水のみの画像と真に脂肪のみの画像と呼ばれる。あまり
用いられないが、一つのアプローチとして、画像を、脂
肪よりも水を多く含む画素(以下、水ピクセルと呼ぶ)
と、水よりも脂肪を多く含む画素(以下、脂肪ピクセル
と呼ぶ)とに分離する手法がある。このような分離は、
ある種の診断における評価に対しては、既に十分なもの
であると言える。
水と脂肪のうちの一方の抑制は、選択的励起や非励起の
アプローチによって実現することができる。しかしなが
ら、中程度の強度の磁場、あるいは低い強度の磁場で
は、化学的シフト選択に基いたアプローチは、不可能で
はないが、現実的なものではなくなってしまう。全ての
強度の磁場において、水画像と脂肪画像の分離の困難さ
は、大きな静磁場不均一性のある場合には、更に自体を
悪化させる。
クソン法と呼ばれるものがある。この方法は、中間又は
低い強度の磁場への適用に対して、好ましい特徴を有し
ている。これらの方法は、静磁場B0の不均一性の効果
を修正して、水と脂肪を分離するための十分な情報をう
るために、三つの画像を必要とする。この画像は、フィ
ールドエコー法と同様に、スピンエコー法を使用するこ
とによっても得ることができる。例えばGloverらにより
「静磁場B0の不均一性を補正した真の水―脂肪分解の
ための三点ディクソン法"Three-point Dixon Technique
for True-Water-Fat Decompositions with B0 Inhomog
enity Corrected"」として、「MagneticResonance in M
edicine 18(1991)」の371頁乃至383頁に開示され
ている方法は3回のスキャンを必要とする。また、Yenn
gらにより「In Situにおける磁場の非同次性の修正によ
る真の水―脂肪分離画像"Separation of True Fat andW
ater Images by Correcting Magnetic Field Inhomogen
eity In Situ"」として、「Ragiology 159(1986)」の7
83頁乃至786頁に開示されている方法は2回のスキ
ャンを必要とする。Williamらにより「多重エコー取得
による真の水と真の脂肪のMRI画像"True Water Fat
MR Imagings with Use of Multiple-Echo Acuisitio
n"」として、「Radiology 173(1989)」の249頁乃至
253頁に、若しくは、Zhangらにより「‘サンドウィ
ッチ’エコーを使用した0.35Tでのシングルスキャ
ンにおける水MR画像と脂肪MR画像の分離"Separatio
n of True Fat and Water MR Images in a Single Scan
at 0.35T Using "Sandwich" Echoes"」として、「JM
RI6」の909頁乃至917頁に開示されている方法
はシングルスキャンで撮影する。
参考として取り入れるものとする。
取得は、水画像と脂肪画像の間の位相差が、三画像の間
で連続的にπずつ変わるように制御される。この画像デ
ータは、以下の様に表すことができる。
している。すなわち、WとFはそれぞれ水と脂肪の成分
である。Ψは、S0についての水信号と脂肪信号の間の
位相差である。Φ0は、静磁場B0オフセット及び他の
システムソースにより引き起こされた、S0における位
相である。Φは、静磁場B0オフセットによって引き起
こされるS−πとS0、及びS0とSπ間の位相変化で
ある。
影響を取り除き、最終的に水と脂肪との画像を分離する
情報を得るための処理が施される。静磁場B0の不均一
性は、以下でさらに詳しく説明する「位相巻き戻し(ph
ase unwrapping)」と呼ばれる処方によって、三画像か
ら決定される。
ように定義する。
る。
係式(6)、(7)に従って再構成される。
って、水と脂肪との信号の位相が反転している一枚の画
像のみを得るものである。この方法による画像Sは、以
下の式(8)様に表すことができる。
は、水と脂肪の画素を分離する前にB0の不均一性を決
定できるようにすることである。
と脂肪の画素(以下、Ifat−pixel)は、それ
ぞれ次の式(10)、(11)ように分離することがで
きる。
された場合、複素信号の絶対位相を決定するプロセスで
ある。
定すれば、不定なものではなくなるので、MRI信号の
位相は、その偏角から明確に決定することはできない。
−πからπまでの範囲を超えたあらゆる位相は、−πか
らπの間に巻き込むことができる。
好ましいアルゴリズムは、多項式関数を使用した静磁場
をモデルとした組み合わせと、領域成長(region growi
ng)法により導かれる位相巻き戻しを取り入れることで
ある。
Φの空間方向についての偏導関数を計算すると、次に示
す多項式(13)、(14)を満足する。
により決定される最小自乗の重みを用いることで、実行
できる。
maxは、画像の最大値である。
に示す式(16)、(17)に従って求めることができ
る。
た小さな誤差領域において比較的に正確なものであれ
ば、巻き戻しは、単に計測された位相Φと予測された位
相Φpとを比較することで実行できる。
使用されるΦfは、次に示す式(19)により決定され
る。
をとるものである。
において、累積誤差を引き起こし得る多大の誤差を含ん
でいることがあり、その結果、最終画像において、水と
脂肪との相互の悪影響を招くことがある。更に自動的に
できる巻き戻し法として、「領域拡張」アルゴリズムが
あり、それは以下の(a)〜(f)の手法により実行さ
れる。
のサブシードとして選ばれ、計測された位相値は、次の
式(20)に示すように、水と脂肪画像の再構成のため
に使用される最終位相値に割り当てられる。
し、右辺のΦ(x0,y 0)は計測された位相値を表
す。
において中心とされる6×6領域にあるすべてのピクセ
ルが十分な信号強度を持つように選択される。サブシー
ドの近傍にある4つのピクセルは、まず、位相値をサブ
シード値と比較することで巻き戻しが行われる。例え
ば、その差ΔΦが、予め設定しておいたしきい値よりも
大きい場合には、次の式(21)、(22)に示すよう
に2πの巻き戻しを実行する。
領域にあるピクセルは、既に決定されている五つのピク
セルに基づいて設定される。2πの位相巻き戻しは、一
ピクセルと既に巻き戻しされている隣接のピクセルとの
位相差が所定のしきい値を上回る場合には、常に実行さ
れる。
(23)の様に、三つのピクセルからの予測によって4
×4領域に拡張される。
る。また、Φf −i(i=1,2,3)は既に巻き戻し
された位相値であり、i=1は第1の、i=2は第2
の、i=3は第3の近傍のピクセルに対応している。Δ
Φ−iは、既に巻き戻しされ、予測する方向に沿った近
傍の画素に対する、位相の空間方向の導関数である。
きい値よりも大きい場合に実行される。
ば、縦四つ横四つの「交差した」領域は、四つの画素の
予測を使用することで次の式(24)の様に設定され
る。
同一の四画素の予測によるアプローチにより巻き戻しが
行われる。しかし、それは二方向についてのみである。
巻き戻しは、巻き戻しに対して二方向で同一のものとな
る場合に実行される。その他の設定では、予測した値の
平均値が使用される。画素値がしきい値を下回る場合に
は、位相値は再び予測した平均値に設定される。
場の不均一性があっても、水と脂肪を簡単に分離できる
シングルスキャンの磁気共鳴イメージング方法、および
装置を提供することである。
タ収集スキャンにおいて単一点ディクソン法を使用する
ことで、水画像と脂肪画像とを分離して生成するのに必
要な情報を得るための方法及び装置を提供するものであ
る。本発明は、水画像と脂肪画像を生成するためのシン
グルスキャン単一点ディクソン法として使用され、水原
子核と脂肪原子核とが位相が反転するようなk空間信号
を得る、MR画像パルスシーケンス(例えば2−Dや3
−Dのフィールドエコー法やスピンエコー法等)も使用
することができる。また、本発明における位相巻き戻し
は、水ピクセルと脂肪ピクセルを生成するシングルスキ
ャン単一点ディクソン画像を解析する際に用いられる。
したZhangeらにより出願中の「サンドウィッチ」スピン
エコー法が、実際に水と脂肪とを分離した画像を作り出
す一方、本発明に係る一点ディクソン法は、「水ピクセ
ル」と「脂肪ピクセル」との画像を作り出す。ここで、
「脂肪ピクセル」とは、純粋な脂肪信号のピクセルに対
して、脂肪信号が主成分となるピクセルのことをいう。
場の不均一性と化学シフトの影響は、複素信号を自乗し
たものの偏角を求め、複素信号の位相を定量化すること
により、MR信号から取り除かれる。この偏角は、関数
の独立変数(本発明では、MR信号の位相)を返す数学
的演算によって得られる。次に、前述したように、多項
式モデルによる領域拡張アルゴリズムは、分離画像の生
成を目的として、水ピクセルデータと脂肪ピクセルデー
タとの個々の計算に使用される位相を巻き戻す場合に使
用される。本発明に係る後述する実施形態で述べる方法
の、特に重要なステップは、図3のフローチャートに示
してある。
対に、本発明に係るシングルスキャン単一点ディクソン
法は、パルスシーケンスの実行においては、何も犠牲に
なるものはない。このことは、3−D画像若しくは高速
イメージングへの適用においては特に重要である。なぜ
なら、より短いTR(系列の反復時間)を、スキャン時
間を減らすために使用できるからである。更には、リー
ド傾斜磁場の反転を含んでいないので、単一点ディクソ
ン法は、「サンドイッチ」スピンエコー法に備わってい
る幾何的歪みであるアーチファクトとは関係しなくな
る。
装置は、2−Dマルチスライスデータ画像と同様に3−
Dマルチスラブデータ画像についても適用可能である。
の実施形態を説明する。
の位相をもって特定の周波数での歳差運動をする。傾斜
磁場を直交する異なる複数の方向に原子核に印加するこ
とで、歳差運動の周波数と位相は、原子核を空間的にエ
ンコードするために使用される。一つの直交方向におい
て、原子核の「スライス」が励起される。このスライス
によって、MR信号はスライスの残りの二次元から導き
出され、その結果、一方向の原子核を空間的にエンコー
ドするために選択した原子核の歳差運動の周波数を使用
し、そして他方向の原子核を空間的にエンコードするた
めに選択した原子核の歳差運動の位相を使用する。結果
として得られるMR信号の複素周波数及び複素位相を解
析することで、選択したスライスにおける原子核密度に
ついての情報を判別することができる。
る。このようなシステムの一例として(株)東芝製のOP
ART MRIシステムがある。例えば、MRIシステ
ムは、検体(患者)イメージング領域11内に実質的に
均一な静磁場B0を生成する、巨大な主磁石10を具備
している。イメージング領域11内にある患者15の所
望の部位は、移動式架台13によって所定の位置に挿入
される。傾斜磁場は傾斜磁場コイルによって静磁場B0
内に選択的に作り出される。RF原子核章動パルス(以
下、RFパルスと称する)は、イメージング領域11内
にある患者15の組織に伝送される。MR信号を構成す
るRF応答は、適当なRFコイル構造を経由して患者1
5の組織から受信される。
めに、コントロールターミナル18にあるMRIパルス
シーケンスコントローラを制御することにより、傾斜磁
場とRFパルスとを生成する。加えて、制御装置16
は、傾斜磁場アンプ22とRF増幅器19を制御する。
RF増幅器19とMR信号・RF検出器20は、MRI
システムガントリにある電磁コイルとRFコイルに適当
に接続される。受信したMR応答は、デジタル装置21
によってデジタル化され、MRI画像制御装置16に送
り出される。このMRI画像制御装置16は、一般に図
示していないアレイプロセッサと適当なコンピュータプ
ログラム記憶媒体(例えば、半導体メモリや磁気記憶媒
体)とを備えている。当該媒体には、コントロールター
ミナル18のCRT上にデジタル化された画像を表示す
るための得られたMR信号データの処理を制御するため
のプログラムが記憶され、選択的に利用される。画像
は、コンピュータ若しくは制御装置16により、フィル
ム23に直接記録される。そして、コントロールターミ
ナル18は、MRIシーケンスコントローラや、連結さ
れ一体となっているMR画像制御装置16を制御し操作
するための適当なキーボード等を備えている。
装置16の操作において、選択メニューを見せられる。
本発明に係る実施形態においては、オペレータにとって
有益な選択メニューのうちの一つは、水ピクセルと脂肪
ピクセルとが分離されたMRI画像を生成するためのプ
ログラムである。当該分離されたMRI画像は、必要と
するシングルスキャン単一点のディクソン系列MR信号
データを得て、計測されたNMR原子核の脂肪ピクセル
画像又は水ピクセル画像を生成し表示する、又は生成す
るか表示することで得られる。本発明において描写処理
に影響を及ぼすのに適切な具体的コンピュータプログラ
ムの生成は、図3に示したフローチャート、及びこれに
関連した本明細書中の記載により、当業者の能力を持っ
てすれば十分可能であると思われる。
ルドエコー法とスピンエコー法のシングルスキャン単一
点ディクソン系列の一般的なMRI画像収集シーケンス
を示している。まず、図2の(a)について述べると、
フィールドエコー法におけるMR信号Sは、RFパルス
の送信からエコー時間(以下、TEと呼ぶ。)の後に得
られる。TEは、水信号と脂肪信号がエコー中心におい
て位相が反転するように制御される。0.35Tの静磁
場強度においては、この制御によって、TEは約9.5
msの奇数倍(すなわち、9.5、28.5、….、m
s)に拘束される。また、隣接したRFパルスの励起間
の反復時間(TR)も示してある。RFパルスβは、傾
斜磁場Gsliceによって同一視されたスラブにある
選択された原子核を章動運動させる。傾斜磁場Gpeと
Gsliceを変化させることによって、位相は、選択
されたスラブにおいて原子核をエンコードする。第3の
傾斜磁場Groの周波数は、スライス中の原子核をエン
コードし、その結果MR信号Sとなる。当該系列は、も
う一つのRFパルスTxについても繰り返される。
ー系列を形成する事象は、同様に描写される。この系列
において、RFパルスは、異なるタイミング、振幅で二
回発生し、90°の章動の後、原子核の180°リフォ
ーカス回転を引き起こす。結果として得られたエコー信
号Sのエコー中心は、実際のスピンエコーの位置から、
前述したように、水信号と脂肪信号がエコー中心におい
て位相が反転する様な量だけシフトされる。
ンMRI系列から分離画像を再構成するときに使用す
る、水を主とするMR信号データと、脂肪を主とするM
R信号データとを作り出すための各ステップを示したフ
ローチャートである。各ステップは、得られたMR信号
データを解析するために、当該技術分野においてよく知
られている手法によりプログラムされたMRIシステム
の制御装置16(若しくは、接続されたコンピュータや
処理装置)によって実行される。
している水と脂肪が混在した情報から成るシングルスキ
ャン単一点ディクソン系列からのMR信号が得られ、フ
ーリエ変換される。このようにフーリエ変換された水・
脂肪混在MR信号Sは、画像周波数領域において次の式
(25)で表すことができる。
た、Φは静磁場不均一性と他の系からの影響による信号
位相である。
素画像領域(例えば、フーリエ解析後等)のMR信号S
の自乗の偏角をとることで定量化される。このステップ
もまた化学シフトの影響を除去する。数学的には、次の
式(26)で表すことができる。
算を意味する。
要か否かの判別が行われる。ステップ34においては、
多項式モデルによる領域拡張アルゴリズムが位相巻き戻
しのために使用される(信号は−πから+πの間におい
てのみ、不確定さを有するからである。)。
位相Φが得られると、水の画素(以下、I
water−pixel)と脂肪の画素(以下、I
fat−pixel)は、MRIシステム制御装置16
によりステップ36において次に示す式(27)、(2
8)に従って計算される。
ステップ36までの処理は、たとえスキャンで全てのピ
クセルデータが得られないにしても、得られたMRスキ
ャンデータの全てが処理される。そして、水ピクセル画
像と脂肪ピクセル画像とが、フィルム上への画像若しく
は公知の方法でCRT18に表示するための画像を生成
するために使用される。
ンエコー法によるシングルスキャン単一点ディクソンM
RI画像の例を示すもので、水或いは脂肪の位相が反転
している混在画像(a)を、水ピクセル画像(b)、脂
肪ピクセル画像(c)と比較して示す。
ィールドエコー法によるシングルスキャン単一点ディク
ソンMRI画像の例を示すもので、水或いは脂肪の位相
が反転している混在画像(a)を、水ピクセル画像
(b)、脂肪ピクセル画像(c)と比較して示す。
い実施形態に従って本発明を説明したが、本発明は、上
記実施形態の内容に限定されるものではなく、その趣
旨、内容が同一の範囲において種々の修正、変形が可能
である。
磁場の不均一性の影響を受けず、水と脂肪を簡単に分離
できるシングルスキャンの磁気共鳴イメージング方法、
および装置を提供することができる。
周波数とスピンエコーパルス周波数の一例を示す図。
方を実行する場合のフローチャート。
画像の例を示す図。
RI画像の例を示す図。
Claims (12)
- 【請求項1】 水の原子核の位相と脂肪の原子核の位相
が反転している磁気共鳴イメージング系列の周波数空間
のデータから脂肪を主とした磁気共鳴イメージングデー
タと水分を主とした磁気共鳴イメージングデータとを求
める磁気共鳴イメージング方法であって、 位相が反転している水と脂肪が混在した情報からなる複
素画像信号Sを求めるために、磁気共鳴周波数空間デー
タ信号をフーリエ変換するステップと、 前記画像信号Sの自乗を求めるステップと、 前記画像信号Sの自乗の位相偏角を求め、 2φ = arg {S2} に基いて前記画像信号Sについての位相値情報Φを求め
るステップと、 多項式モデルによる領域拡張位相巻き戻し法(region-gr
owing phase unwrapping method)に従って、前記位相値
情報Φを巻き戻すステップと、 Iwater-pixel = |S| + S exp {iφ} and I
fat-pixel = |S| - S exp {iφ} に従って前記巻き戻した位相値情報Φを使用し、水が支
配的である画素データIwater−pixelと脂肪
が支配的である画素データIfat−pixe lを求め
るステップと、 を具備することを特徴とする磁気共鳴イメージング方
法。 - 【請求項2】 前記周波数空間のデータは、シングルス
キャンの単一点ディクソン磁気共鳴イメージング系列か
ら得られるものであることを特徴とする請求項1記載の
磁気共鳴イメージング方法。 - 【請求項3】 水の原子核の位相と脂肪の原子核の位相
が反転している磁気共鳴イメージング系列の周波数空間
のデータから脂肪を主とした磁気共鳴イメージングデー
タと水分を主とした磁気共鳴イメージングデータとを求
める磁気共鳴イメージング装置であって、 位相が反転している水と脂肪が混在した情報からなる複
素画像信号Sを求めるために、磁気共鳴生データ信号を
フーリエ解析する解析手段と、 前記フーリエ解析の後、画像信号Sの自乗を求める第1
の演算手段と、 前記画像信号Sの自乗の位相偏角を求め、 2φ = arg {S2} に基いて前記画像信号Sについての位相値情報Φを求め
るステップと、 多項式モデルによる領域拡張位相巻き戻し法に従って、
前記位相値情報Φを巻き戻す位相巻き戻し手段と、 Iwater-pixel = |S| + S exp {iφ} and I
fat-pixel = |S| - S exp {iφ}. に従って前記巻き戻した位相値情報Φを使用し、水が支
配的である画素データIwater−pixelと脂肪
が支配的である画素データIfat−pixe lを求め
る画像データ生成手段と、 を具備することを特徴とする磁気共鳴イメージング装
置。 - 【請求項4】 前記周波数空間のデータは、シングルス
キャンの単一点ディクソン磁気共鳴系列から得られた生
データであることを特徴とする請求項3記載の磁気共鳴
イメージング装置。 - 【請求項5】 記憶メモリを備えたコンピュータと、入
出力装置とを具備し、 水原子核と脂肪原子核の位相が反転しているフーリエ解
析後の磁気共鳴イメージング系列周波数空間データから
脂肪が支配的である磁気共鳴画像データと水が支配的で
ある磁気共鳴画像データを求める磁気共鳴イメージング
装置において、 前記メモリは、各磁気共鳴信号解析を実行する規則、構
造の少なくとも一方を記憶しており、 前記コンピュータは、 フーリエ変換された周波数領域の磁気共鳴信号Sの自乗
値を求め、前記磁気共鳴信号Sの自乗値の位相偏角を求
め、 2φ = arg {S2} に従って磁気共鳴信号Sに対する位相値情報Φを求め、
多項式モデルによる領域拡張位相巻き戻し法に従って位
相値情報を巻き戻し、 Iwater-pixel = |S| + S exp {iφ} and I
fat-pixel = |S| - S exp {iφ} に従って前記巻き戻した位相値情報Φを使用し、水が支
配的である画素データIwater−pixelと脂肪
が支配的である画素データIfat−pixe lを求め
ることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 【請求項6】 前記周波数空間のデータは、シングルス
キャンの単一点ディクソン磁気共鳴系列から得られた生
データであることを特徴とする請求項5記載の核磁気共
鳴イメージングデータ取得装置。 - 【請求項7】 磁気共鳴イメージング画像データを解析
するコンピュータを具備した磁気共鳴イメージングシス
テムであって、 前記コンピュータは、 磁気共鳴信号解析を実行する規則、構造の少なくとも一
方が記憶された記憶メモリと、 入出力装置と、 プロセッサと、を具備し、前記プロセッサは、 周波数領域においてフーリエ変換された複素磁気共鳴イ
メージング信号Sの自乗値を求め、 2φ = arg {S2} に従って、前記信号Sの自乗値の位相偏角を求め、前記
信号Sに対する位相値情報を求め、多項式モデルによる
領域拡張位相巻き戻しアルゴリズムに従って位相値情報
を巻き戻し、 Iwater-pixel = |S| + S exp {iφ} and I
fat-pixel = |S| - S exp {iφ} に従って水が支配的である画素データI
water−pixelと脂肪が支配的である画素デー
タIfat−pixelを求め、 水の原子核と脂肪の原子核とが位相反転している磁気共
鳴イメージング系列周波数空間データからフーリエ解析
後、脂肪が支配的である磁気共鳴画像データと水が支配
的である磁気共鳴画像データとを求めることを特徴とす
る磁気共鳴イメージングシステム。 - 【請求項8】 前記周波数空間のデータは、シングルス
キャンの単一点ディクソン磁気共鳴系列から得られた生
データであることを特徴とする請求項7記載の磁気共鳴
イメージングシステム。 - 【請求項9】 前記周波数空間のデータは、フィールド
エコー法により得られたデータであることを特徴とする
請求項7記載の磁気共鳴イメージングシステム。 - 【請求項10】 前記周波数空間のデータは、スピンエ
コー法により得られたデータであることを特徴とする請
求項7記載の磁気共鳴イメージングシステム。 - 【請求項11】 前記周波数空間のデータは、高速イメ
ージング表示から得られたデータであることを特徴とす
る請求項7記載の磁気共鳴イメージングシステム。 - 【請求項12】 前記周波数空間のデータは、シングル
スキャン単一点ディクソン磁気共鳴イメージング系列を
用いて得られたデータであることを特徴とする請求項1
記載の磁気共鳴イメージングシステム。
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