JP2000069771A - 振動アクチュエータ - Google Patents
振動アクチュエータInfo
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Landscapes
- General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 駆動効率を向上し、熱や音の発生を防止する
ことができる振動アクチュエータを提供する。 【解決手段】 電気機械変換素子12及びその電気機械
変換素子12の励振によって振動を発生する弾性体11
からなる振動体10と、被駆動体母材21及びその被移
動体体母材21に接合され弾性体11に接する摺動材2
2とからなり、振動体10に加圧接触され前記振動によ
って相対運動する被駆動体20とを含み、被駆動体母材
21と摺動材22との間に、被駆動体母材21及び摺動
材22よりも縦弾性係数の小さい1種類以上の材質から
なる弾性層23を設け、この弾性層23は、縦弾性率が
E=390kgf/mm2 以下、及び/又は、層平均厚
さを15μm以上とした。
ことができる振動アクチュエータを提供する。 【解決手段】 電気機械変換素子12及びその電気機械
変換素子12の励振によって振動を発生する弾性体11
からなる振動体10と、被駆動体母材21及びその被移
動体体母材21に接合され弾性体11に接する摺動材2
2とからなり、振動体10に加圧接触され前記振動によ
って相対運動する被駆動体20とを含み、被駆動体母材
21と摺動材22との間に、被駆動体母材21及び摺動
材22よりも縦弾性係数の小さい1種類以上の材質から
なる弾性層23を設け、この弾性層23は、縦弾性率が
E=390kgf/mm2 以下、及び/又は、層平均厚
さを15μm以上とした。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動アクチュエー
タに関し、特に、相対運動する相対運動体の構造を改良
した振動アクチュエータに関するものである。 【0002】 【従来の技術】図6は、従来の円環型の振動アクチュエ
ータの一例を示す断面図である。従来の円環型の振動ア
クチュエータは、振動体10と、被駆動体(相対移動
体)20と、支持部材30等とを備えていた。 【0003】振動体10は、弾性体11と圧電体などの
電気機械変換素子12とからなり、弾性体11の下面に
電気機械変換素子12が接着されている。この弾性体1
1には、中立軸付近にフランジ部13が設けられてい
る。このフランジ部13は、弾性体11の外周に設けら
れた薄肉部13aと、さらに、その外側に設けられた厚
肉部13bとを備えており、厚肉部13bの下面が円環
状の支持部材30に取り付けられている。 【0004】被駆動体20は、被駆動体母材21と摺動
材22とからなり、被駆動体母材21の下面に不図示の
接着層によって摺動材22が接着されている。被駆動体
20は、図示しない加圧機構により、振動体10に加圧
され接触している。 【0005】電気機械変換素子12には、電極群が形成
されており、各電極群に相互にπ/2の位相差を有する
交流信号を印加することによって、弾性体11に振動を
発生させ、加圧接触した被駆動体20を駆動する。 【0006】この種の振動アクチュエータは、駆動効率
の高効率化、振動体の発熱を減ずるために、振動体を構
成する弾性体と電気機械変換素子の間の層を改良したも
の(特開平6−62587)などが提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の振動アクチュエータでは、駆動効率が悪いということ
は、例えば、電池を電源とする各種機器等においては、
駆動可能時間が著しく制限されることになる。 【0008】また、振動アクチュエータに入力した電力
のうちで、駆動出力として取り出せない電力は、熱や音
として消費されるために、振動体の温度上昇を招き、振
動アクチュエータの発熱に対して、許容できない状態で
の使用が制限され、その結果として、用途が限定されて
しまう。この温度上昇により、振動アクチュエータの特
性が変化してしまう可能性がある。また、異音の発生に
より、振動アクチュエータの特徴の一つである静粛性が
阻害されてしまう。 【0009】本発明の課題は、駆動効率を向上し、熱や
音の発生を防止することができる振動アクチュエータを
提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1 の発明は、電気機械変換素子及びその電気
機械変換素子の励振によって振動を発生する弾性体から
なる振動体と、相対運動体母材及びその相対運動体母材
に接合され前記弾性体に接する摺動材とからなり、前記
振動体に加圧接触され前記振動によって相対運動する相
対運動体と、を含む振動アクチュエータにおいて、前記
相対運動体母材と前記摺動材との間に、前記相対運動体
母材及び前記摺動材よりも縦弾性係数の小さい1種類以
上の材質からなる弾性層を設けたことを特徴とする振動
アクチュエータである。 【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載の振動
アクチュエータにおいて、前記弾性層は、縦弾性率がE
=390kgf/mm2 以下であることを特徴とする振
動アクチュエータである。 【0012】請求項3の発明は、電気機械変換素子及び
その電気機械変換素子の励振によって振動を発生する弾
性体からなる振動体と、相対運動体母材及びその相対運
動体母材に接合され前記弾性体に接する摺動材とからな
り、前記振動体に加圧接触され前記振動によって相対運
動する相対運動体と、を含む振動アクチュエータにおい
て、前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、層平均
厚さを15μm以上とした1種類以上の材質からなる弾
性層を設けたことを特徴とする振動アクチュエータであ
る。 【0013】請求項4の発明は、電気機械変換素子及び
その電気機械変換素子の励振によって振動を発生する弾
性体からなる振動体と、相対運動体母材及びその相対運
動体母材に接合され前記弾性体に接する摺動材とからな
り、前記振動体に加圧接触され前記振動によって相対運
動する相対運動体と、を含む振動アクチュエータにおい
て、前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、縦弾性
率がE=390kgf/mm2 以下であり、かつ、層平
均厚さを15μm以上とした弾性層を設けたことを特徴
とする振動アクチュエータである。 【0014】請求項5の発明は、請求項1から請求項4
までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおい
て、前記弾性層は、層厚みを均一にする厚み制御部材を
含むことを特徴とする振動アクチュエータである。 【0015】請求項6の発明は、請求項1から請求項5
までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおい
て、前記弾性層は、前記相対運動体母材と前記摺動材と
を接着する接着層であり、その接着剤は、二液タイプエ
ポキシ系接着剤であって、主剤をエポキシ系として、硬
化剤をポリアミド系としたことを特徴とする振動アクチ
ュエータである。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面などを参照しながら、
実施形態をあげて、本発明をさらに詳しく説明する。ま
た、以下に説明する各実施形態では、振動アクチュエー
タとして、超音波領域の振動を用いる超音波モータを例
にして説明する。 【0017】(第1実施形態)図1は、本発明による超
音波モータの第1実施形態を示す部分拡大図である。な
お、以下に示す各実施形態では、前述した従来例と同様
な機能を果たす部分には、同一の符号を付して重複する
説明を省略する。振動体10は、駆動面11aに振動を
発生する弾性体11と、弾性体11に接合され、駆動信
号により励振して、その励振により弾性体11に振動を
発生させる圧電体等の電気機械変換素子12とからな
り、不図示の支持部材により支持されている。 【0018】被駆動体20は、不図示の移動目的物体に
接続される被駆動体母材21と、被駆動体母材21に接
合され、摺動面22aによって弾性体11の駆動面11
aに加圧接触されている摺動材22とを備えている。 【0019】第1の実施形態では、被駆動体母材21と
摺動材22が接着層23によって接着されている。接着
層23は、層平均厚さを15μm以上であることが好ま
しい。この接着層23は、内部損失が少なく、被駆動体
母材21と摺動材22よりも、縦弾性率(好ましくはE
=390kgf/mm2 以下)の小さい物質を用いるこ
とが望ましく、たとえば、エポキシ系、ウレタン系、ア
クリル系等の接着剤により形成することができる。ま
た、接着層23は、接着剤によらず、適切な樹脂材料等
の物質を充填することにより形成してもよい。 【0020】図2は、第1実施形態による超音波モータ
の接着層平均厚さと消費電力の関係を示す線図である。
図2において、横軸は接着層平均厚さ、縦軸は消費電力
を示している。第1実施形態では、接着層23は、平均
厚さが異なるようにして、被駆動体20を作製し、消費
電力を測定した。消費電力は、弾性体11に発生する進
行波の振幅がある一定値に達したときの消費電力値であ
る。 【0021】図2によると、接着層23の層平均厚さが
15μm以上の箇所では、層平均厚さがそれよりも薄い
箇所よりも、若干消費電力が小さくなっている。この理
由は、層平均厚さが薄すぎる場合に、振動体10からの
振動が強すぎるために、被駆動体20が跳ねるのである
が、接着層23を厚くすることにより、その強すぎる振
動が緩和されているためである。しかし、それよりもさ
らに厚く柔らかくなると、強すぎる振動は緩和される
が、振動体10からの振動エネルギーを減衰してしまう
ために、逆に、消費電流が増加する。 【0022】第1実施形態は、接着層23の層平均厚さ
を15μm以上としたので、消費電力が小さくなる、と
いう効果がある。 【0023】(第2実施形態)第2実施形態は、縦弾性
率がE=390kgf/mm2 以下の接着剤を用いた接
着層23により、摺動材22と被駆動体母材21とを接
合した。構成は、第1実施形態と同じであるために、説
明や図示は省略する。 【0024】図3は、第2実施形態による超音波モータ
の接着層の縦弾性率と消費電力との関係を示す線図であ
る。図3において、横軸は縦弾性率、縦軸は消費電力を
示している。横軸の縦弾性率は、二液タイプエポキシ系
接着剤の主剤に対して、硬化剤の成分又は含有量を変え
ることによって得た。主剤は、主成分としてエポキシ樹
脂中間体を用いた。縦弾性率が最も低い点が、硬化剤に
主成分としてポリサルファイドを用いた場合であり、縦
弾性率が2番目に低い点からは、硬化剤に主成分として
脂肪族ポリアミドを用いた場合である。さらに、主成分
である脂肪族ポリアミドの含有量を様々に変えることに
より、様々の縦弾性率を得るようにした。 【0025】硬化時に縦弾性率がE=390kgf/m
m2 以下の性質を持つ接着剤としては、表1に示した接
着剤があり、本実施形態の消費電力を小さくするという
ことにおいて好適な結果が得られる。 【0026】 【表1】 【0027】縦弾性率の測定は、JIS K 7106
に規定してある試験片の曲げモーメントを測定する方法
により行った。試験片は、厚さが一様に薄くなるような
型に接着剤を流し込んで硬化させ、その後に、規定の寸
法に切り出すことにより得た。縦軸の消費電力は、上述
のような縦弾性率になる硬化条件により、被駆動体20
を作製し、弾性体11に発生する進行波の振幅がある一
定値に達したときの消費電力値である。 【0028】図3によると、接着層23の縦弾性率が1
00〜390kgf/mm2 付近では、縦弾性率がそれ
よりも高い箇所よりも消費電力が小さくなっている。こ
の理由は、縦弾性率が390kgf/mm2 より高すぎ
る場合には、振動体10からの振動を被駆動体20が吸
収しきれずに被駆動体20が跳ねて、振動体10と被駆
動体20との間で損失が生じてしまうためである。縦弾
性率が390kgf/mm2 以下の場合には、振動を若
干柔らかめな接着層23により緩和されているためであ
る。 【0029】第2実施形態によれば、摺動材22と被駆
動体母材21との接合に用いる接着剤23を、縦弾性率
がE=390kgf/mm2 以下としたので、摺動材2
2から被駆動体母材21に伝達される振動エネルギーの
減衰が低減される、という効果がある。 【0030】なお、前述した第2実施形態は、摺動材2
2と被駆動体母材21との接合のために、縦弾性率E=
390kgf/mm2 以下の性質をもつ接着剤を用いた
が、同様な性質をもつ接着剤として、表2に示したもの
を使用することができ、消費電力を小さくすることにお
いて好適な結果が得られる。縦弾性率の測定方法は、前
述したものと同様に、JIS K 7106に規定して
ある方法に基づいて行った。試験片も前述したものと同
様に、厚さが一様になるような型に接着剤を流し込んで
硬化させ、その後に規定の寸法に切り出すことにより得
た。 【0031】 【表2】 【0032】(第3実施形態)第1実施形態では、摺動
材22と被駆動体母材21との接合に用いる接着層23
の平均厚さを15μm以上とし、第2実施形態では、摺
動材22と被駆動体母材21との接合に用いる接着剤2
3Aを、縦弾性率E=390kgf/mm2 以下とした
が、第3実施形態では、摺動材22と被駆動体母材21
との接合に用いる接着剤23Aを、接着層23の平均厚
さ15μm以上、かつ、縦弾性率E=390kgf/m
m2 以下とした。構成は、第1実施形態と同じであるた
めに、説明や図示は省略する。 【0033】 【表3】 【0034】表3は、第3実施形態による層平均厚さを
15μm以上かつ縦弾性率390kgf/mm2 以下の
接着剤を用いた接着層の特性を示す表である。消費電力
は、定格駆動時(ある負荷をかけて、ある回転速度を発
生させたとき)に必要な電力を示しており、値が小さい
ほど駆動効率が向上していることを表している。この測
定では、接着剤の特性以外に対する影響をなくすため
に、同一工程、同一ロットで製造された同一寸法の被駆
動体母材21と、同一材質で同一寸法の摺動材22とを
用い、接着は、同一日のほぼ同一時間で同一作業者によ
り行った。また、性能を測定するために用いた振動体1
0は、どの測定においても同一とした。表3に示した接
着剤を超音波モータに用いると、消費電力も小さくでき
ることがわかる。第3実施形態のようにすると、接着層
23内での振動の減衰が低減され、摺動材22と被駆動
体母材23に伝達される振動エネルギー効率の向上を図
れるという点においては、さらに大きな効果が生じる。 【0035】(第4、第5実施形態)図4,図5は、本
発明の超音波モータの第4,第5実施形態を示す部分拡
大断面図である。以下に説明する各実施形態での被駆動
体母材、接着層、摺動材の符号は図1と同様である。第
4、5実施形態は、接着層23の厚さを均一にする構造
である。図4の実施形態は、接着層23の厚さを目的の
厚さにするために、矩形断面の層み厚制御部材24を用
いた例である。図5の実施形態は、金属、ガラス、炭素
等の繊維や、金属や樹脂等の粉末等の円形断面の厚み制
御部材25用いた例である。この場合、繊維の径や粉末
の粒径を変更することにより、任意の目的の層平均厚さ
を確保することができる。 【0036】(変形形態)以上説明した各実施形態に限
定されることなく、種々の変形や変更ができ、それらも
本発明の均等の範囲内である。例えば、上記実施形態で
は、円環状の進行波型超音波モータを用いたが、各種超
音波モータでも被駆動体母材と摺動材の接合を接着剤に
より行っているもの全ての超音波モータにおいて、前記
実施形態のように縦弾性率E=390kgf/mm2 以
下の接着剤か、又は、接着層平均厚さを15μm以上と
するか、双方の性質を満たした接着剤を用いることによ
って、摺動材から被駆動体母材に伝達される振動エネル
ギーの減衰を低減することができるという効果が生じ
る。 【0037】また、例えば、接着層の厚さ、用いる材料
の特性を変えることにより、同一の弾性体、同一の摺動
材によっても異なる特性の超音波モータを簡単に作製す
ることができるさらに、振動子と相対振動体とは、支持
構造などによって、いずれかを固定して、他方を相対移
動させることができる。 【0038】 【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
れば、相対移動体を構成する相対移動体母材と摺動材と
の間に、弾性層を設けたので、従来の超音波モータに比
較して、起動トルクや消費電力,駆動効率を大きく向上
することができ、振動アクチュエータの熱や音の発生を
減じることができる。
タに関し、特に、相対運動する相対運動体の構造を改良
した振動アクチュエータに関するものである。 【0002】 【従来の技術】図6は、従来の円環型の振動アクチュエ
ータの一例を示す断面図である。従来の円環型の振動ア
クチュエータは、振動体10と、被駆動体(相対移動
体)20と、支持部材30等とを備えていた。 【0003】振動体10は、弾性体11と圧電体などの
電気機械変換素子12とからなり、弾性体11の下面に
電気機械変換素子12が接着されている。この弾性体1
1には、中立軸付近にフランジ部13が設けられてい
る。このフランジ部13は、弾性体11の外周に設けら
れた薄肉部13aと、さらに、その外側に設けられた厚
肉部13bとを備えており、厚肉部13bの下面が円環
状の支持部材30に取り付けられている。 【0004】被駆動体20は、被駆動体母材21と摺動
材22とからなり、被駆動体母材21の下面に不図示の
接着層によって摺動材22が接着されている。被駆動体
20は、図示しない加圧機構により、振動体10に加圧
され接触している。 【0005】電気機械変換素子12には、電極群が形成
されており、各電極群に相互にπ/2の位相差を有する
交流信号を印加することによって、弾性体11に振動を
発生させ、加圧接触した被駆動体20を駆動する。 【0006】この種の振動アクチュエータは、駆動効率
の高効率化、振動体の発熱を減ずるために、振動体を構
成する弾性体と電気機械変換素子の間の層を改良したも
の(特開平6−62587)などが提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の振動アクチュエータでは、駆動効率が悪いということ
は、例えば、電池を電源とする各種機器等においては、
駆動可能時間が著しく制限されることになる。 【0008】また、振動アクチュエータに入力した電力
のうちで、駆動出力として取り出せない電力は、熱や音
として消費されるために、振動体の温度上昇を招き、振
動アクチュエータの発熱に対して、許容できない状態で
の使用が制限され、その結果として、用途が限定されて
しまう。この温度上昇により、振動アクチュエータの特
性が変化してしまう可能性がある。また、異音の発生に
より、振動アクチュエータの特徴の一つである静粛性が
阻害されてしまう。 【0009】本発明の課題は、駆動効率を向上し、熱や
音の発生を防止することができる振動アクチュエータを
提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1 の発明は、電気機械変換素子及びその電気
機械変換素子の励振によって振動を発生する弾性体から
なる振動体と、相対運動体母材及びその相対運動体母材
に接合され前記弾性体に接する摺動材とからなり、前記
振動体に加圧接触され前記振動によって相対運動する相
対運動体と、を含む振動アクチュエータにおいて、前記
相対運動体母材と前記摺動材との間に、前記相対運動体
母材及び前記摺動材よりも縦弾性係数の小さい1種類以
上の材質からなる弾性層を設けたことを特徴とする振動
アクチュエータである。 【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載の振動
アクチュエータにおいて、前記弾性層は、縦弾性率がE
=390kgf/mm2 以下であることを特徴とする振
動アクチュエータである。 【0012】請求項3の発明は、電気機械変換素子及び
その電気機械変換素子の励振によって振動を発生する弾
性体からなる振動体と、相対運動体母材及びその相対運
動体母材に接合され前記弾性体に接する摺動材とからな
り、前記振動体に加圧接触され前記振動によって相対運
動する相対運動体と、を含む振動アクチュエータにおい
て、前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、層平均
厚さを15μm以上とした1種類以上の材質からなる弾
性層を設けたことを特徴とする振動アクチュエータであ
る。 【0013】請求項4の発明は、電気機械変換素子及び
その電気機械変換素子の励振によって振動を発生する弾
性体からなる振動体と、相対運動体母材及びその相対運
動体母材に接合され前記弾性体に接する摺動材とからな
り、前記振動体に加圧接触され前記振動によって相対運
動する相対運動体と、を含む振動アクチュエータにおい
て、前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、縦弾性
率がE=390kgf/mm2 以下であり、かつ、層平
均厚さを15μm以上とした弾性層を設けたことを特徴
とする振動アクチュエータである。 【0014】請求項5の発明は、請求項1から請求項4
までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおい
て、前記弾性層は、層厚みを均一にする厚み制御部材を
含むことを特徴とする振動アクチュエータである。 【0015】請求項6の発明は、請求項1から請求項5
までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおい
て、前記弾性層は、前記相対運動体母材と前記摺動材と
を接着する接着層であり、その接着剤は、二液タイプエ
ポキシ系接着剤であって、主剤をエポキシ系として、硬
化剤をポリアミド系としたことを特徴とする振動アクチ
ュエータである。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面などを参照しながら、
実施形態をあげて、本発明をさらに詳しく説明する。ま
た、以下に説明する各実施形態では、振動アクチュエー
タとして、超音波領域の振動を用いる超音波モータを例
にして説明する。 【0017】(第1実施形態)図1は、本発明による超
音波モータの第1実施形態を示す部分拡大図である。な
お、以下に示す各実施形態では、前述した従来例と同様
な機能を果たす部分には、同一の符号を付して重複する
説明を省略する。振動体10は、駆動面11aに振動を
発生する弾性体11と、弾性体11に接合され、駆動信
号により励振して、その励振により弾性体11に振動を
発生させる圧電体等の電気機械変換素子12とからな
り、不図示の支持部材により支持されている。 【0018】被駆動体20は、不図示の移動目的物体に
接続される被駆動体母材21と、被駆動体母材21に接
合され、摺動面22aによって弾性体11の駆動面11
aに加圧接触されている摺動材22とを備えている。 【0019】第1の実施形態では、被駆動体母材21と
摺動材22が接着層23によって接着されている。接着
層23は、層平均厚さを15μm以上であることが好ま
しい。この接着層23は、内部損失が少なく、被駆動体
母材21と摺動材22よりも、縦弾性率(好ましくはE
=390kgf/mm2 以下)の小さい物質を用いるこ
とが望ましく、たとえば、エポキシ系、ウレタン系、ア
クリル系等の接着剤により形成することができる。ま
た、接着層23は、接着剤によらず、適切な樹脂材料等
の物質を充填することにより形成してもよい。 【0020】図2は、第1実施形態による超音波モータ
の接着層平均厚さと消費電力の関係を示す線図である。
図2において、横軸は接着層平均厚さ、縦軸は消費電力
を示している。第1実施形態では、接着層23は、平均
厚さが異なるようにして、被駆動体20を作製し、消費
電力を測定した。消費電力は、弾性体11に発生する進
行波の振幅がある一定値に達したときの消費電力値であ
る。 【0021】図2によると、接着層23の層平均厚さが
15μm以上の箇所では、層平均厚さがそれよりも薄い
箇所よりも、若干消費電力が小さくなっている。この理
由は、層平均厚さが薄すぎる場合に、振動体10からの
振動が強すぎるために、被駆動体20が跳ねるのである
が、接着層23を厚くすることにより、その強すぎる振
動が緩和されているためである。しかし、それよりもさ
らに厚く柔らかくなると、強すぎる振動は緩和される
が、振動体10からの振動エネルギーを減衰してしまう
ために、逆に、消費電流が増加する。 【0022】第1実施形態は、接着層23の層平均厚さ
を15μm以上としたので、消費電力が小さくなる、と
いう効果がある。 【0023】(第2実施形態)第2実施形態は、縦弾性
率がE=390kgf/mm2 以下の接着剤を用いた接
着層23により、摺動材22と被駆動体母材21とを接
合した。構成は、第1実施形態と同じであるために、説
明や図示は省略する。 【0024】図3は、第2実施形態による超音波モータ
の接着層の縦弾性率と消費電力との関係を示す線図であ
る。図3において、横軸は縦弾性率、縦軸は消費電力を
示している。横軸の縦弾性率は、二液タイプエポキシ系
接着剤の主剤に対して、硬化剤の成分又は含有量を変え
ることによって得た。主剤は、主成分としてエポキシ樹
脂中間体を用いた。縦弾性率が最も低い点が、硬化剤に
主成分としてポリサルファイドを用いた場合であり、縦
弾性率が2番目に低い点からは、硬化剤に主成分として
脂肪族ポリアミドを用いた場合である。さらに、主成分
である脂肪族ポリアミドの含有量を様々に変えることに
より、様々の縦弾性率を得るようにした。 【0025】硬化時に縦弾性率がE=390kgf/m
m2 以下の性質を持つ接着剤としては、表1に示した接
着剤があり、本実施形態の消費電力を小さくするという
ことにおいて好適な結果が得られる。 【0026】 【表1】 【0027】縦弾性率の測定は、JIS K 7106
に規定してある試験片の曲げモーメントを測定する方法
により行った。試験片は、厚さが一様に薄くなるような
型に接着剤を流し込んで硬化させ、その後に、規定の寸
法に切り出すことにより得た。縦軸の消費電力は、上述
のような縦弾性率になる硬化条件により、被駆動体20
を作製し、弾性体11に発生する進行波の振幅がある一
定値に達したときの消費電力値である。 【0028】図3によると、接着層23の縦弾性率が1
00〜390kgf/mm2 付近では、縦弾性率がそれ
よりも高い箇所よりも消費電力が小さくなっている。こ
の理由は、縦弾性率が390kgf/mm2 より高すぎ
る場合には、振動体10からの振動を被駆動体20が吸
収しきれずに被駆動体20が跳ねて、振動体10と被駆
動体20との間で損失が生じてしまうためである。縦弾
性率が390kgf/mm2 以下の場合には、振動を若
干柔らかめな接着層23により緩和されているためであ
る。 【0029】第2実施形態によれば、摺動材22と被駆
動体母材21との接合に用いる接着剤23を、縦弾性率
がE=390kgf/mm2 以下としたので、摺動材2
2から被駆動体母材21に伝達される振動エネルギーの
減衰が低減される、という効果がある。 【0030】なお、前述した第2実施形態は、摺動材2
2と被駆動体母材21との接合のために、縦弾性率E=
390kgf/mm2 以下の性質をもつ接着剤を用いた
が、同様な性質をもつ接着剤として、表2に示したもの
を使用することができ、消費電力を小さくすることにお
いて好適な結果が得られる。縦弾性率の測定方法は、前
述したものと同様に、JIS K 7106に規定して
ある方法に基づいて行った。試験片も前述したものと同
様に、厚さが一様になるような型に接着剤を流し込んで
硬化させ、その後に規定の寸法に切り出すことにより得
た。 【0031】 【表2】 【0032】(第3実施形態)第1実施形態では、摺動
材22と被駆動体母材21との接合に用いる接着層23
の平均厚さを15μm以上とし、第2実施形態では、摺
動材22と被駆動体母材21との接合に用いる接着剤2
3Aを、縦弾性率E=390kgf/mm2 以下とした
が、第3実施形態では、摺動材22と被駆動体母材21
との接合に用いる接着剤23Aを、接着層23の平均厚
さ15μm以上、かつ、縦弾性率E=390kgf/m
m2 以下とした。構成は、第1実施形態と同じであるた
めに、説明や図示は省略する。 【0033】 【表3】 【0034】表3は、第3実施形態による層平均厚さを
15μm以上かつ縦弾性率390kgf/mm2 以下の
接着剤を用いた接着層の特性を示す表である。消費電力
は、定格駆動時(ある負荷をかけて、ある回転速度を発
生させたとき)に必要な電力を示しており、値が小さい
ほど駆動効率が向上していることを表している。この測
定では、接着剤の特性以外に対する影響をなくすため
に、同一工程、同一ロットで製造された同一寸法の被駆
動体母材21と、同一材質で同一寸法の摺動材22とを
用い、接着は、同一日のほぼ同一時間で同一作業者によ
り行った。また、性能を測定するために用いた振動体1
0は、どの測定においても同一とした。表3に示した接
着剤を超音波モータに用いると、消費電力も小さくでき
ることがわかる。第3実施形態のようにすると、接着層
23内での振動の減衰が低減され、摺動材22と被駆動
体母材23に伝達される振動エネルギー効率の向上を図
れるという点においては、さらに大きな効果が生じる。 【0035】(第4、第5実施形態)図4,図5は、本
発明の超音波モータの第4,第5実施形態を示す部分拡
大断面図である。以下に説明する各実施形態での被駆動
体母材、接着層、摺動材の符号は図1と同様である。第
4、5実施形態は、接着層23の厚さを均一にする構造
である。図4の実施形態は、接着層23の厚さを目的の
厚さにするために、矩形断面の層み厚制御部材24を用
いた例である。図5の実施形態は、金属、ガラス、炭素
等の繊維や、金属や樹脂等の粉末等の円形断面の厚み制
御部材25用いた例である。この場合、繊維の径や粉末
の粒径を変更することにより、任意の目的の層平均厚さ
を確保することができる。 【0036】(変形形態)以上説明した各実施形態に限
定されることなく、種々の変形や変更ができ、それらも
本発明の均等の範囲内である。例えば、上記実施形態で
は、円環状の進行波型超音波モータを用いたが、各種超
音波モータでも被駆動体母材と摺動材の接合を接着剤に
より行っているもの全ての超音波モータにおいて、前記
実施形態のように縦弾性率E=390kgf/mm2 以
下の接着剤か、又は、接着層平均厚さを15μm以上と
するか、双方の性質を満たした接着剤を用いることによ
って、摺動材から被駆動体母材に伝達される振動エネル
ギーの減衰を低減することができるという効果が生じ
る。 【0037】また、例えば、接着層の厚さ、用いる材料
の特性を変えることにより、同一の弾性体、同一の摺動
材によっても異なる特性の超音波モータを簡単に作製す
ることができるさらに、振動子と相対振動体とは、支持
構造などによって、いずれかを固定して、他方を相対移
動させることができる。 【0038】 【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
れば、相対移動体を構成する相対移動体母材と摺動材と
の間に、弾性層を設けたので、従来の超音波モータに比
較して、起動トルクや消費電力,駆動効率を大きく向上
することができ、振動アクチュエータの熱や音の発生を
減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波モータの第1実施形態を示
す概略図である。 【図2】第1実施形態による超音波モータの接着層の厚
さと消費電力の関係を示した図である。 【図3】第2実施形態による超音波モータの接着層の縦
弾性率と消費電力の関係を示した図である。 【図4】本発明による超音波モータの第4実施形態を示
す部分拡大断面図である。 【図5】本発明による超音波モータの第5実施形態を示
す部分拡大断面図である。 【図6】従来の超音波モータを説明する概略図である。 【符合の説明】 10 振動体 11 弾性体 12 電気機械変換素子 20 被駆動体(相対運動体) 21 被駆動体母材 22 摺動材 23 接着剤層 24 厚み制御部材 25 厚み制御部材 30 支持部材
す概略図である。 【図2】第1実施形態による超音波モータの接着層の厚
さと消費電力の関係を示した図である。 【図3】第2実施形態による超音波モータの接着層の縦
弾性率と消費電力の関係を示した図である。 【図4】本発明による超音波モータの第4実施形態を示
す部分拡大断面図である。 【図5】本発明による超音波モータの第5実施形態を示
す部分拡大断面図である。 【図6】従来の超音波モータを説明する概略図である。 【符合の説明】 10 振動体 11 弾性体 12 電気機械変換素子 20 被駆動体(相対運動体) 21 被駆動体母材 22 摺動材 23 接着剤層 24 厚み制御部材 25 厚み制御部材 30 支持部材
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フロントページの続き
Fターム(参考) 5H680 AA06 AA18 BB03 BB16 CC07
DD01 DD02 DD03 DD23 DD53
DD66 DD72 DD87 EE10 FF08
FF33 GG20 GG41 GG42
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1 】 電気機械変換素子及びその電気機械変換
素子の励振によって振動を発生する弾性体からなる振動
体と、 相対運動体母材及びその相対運動体母材に接合され前記
弾性体に接する摺動材とからなり、前記振動体に加圧接
触され前記振動によって相対移動する相対運動体と、を
含む振動アクチュエータにおいて、 前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、前記相対運
動体母材及び前記摺動材よりも縦弾性係数の小さい1種
類以上の材質からなる弾性層を設けたことを特徴とする
振動アクチュエータ。 【請求項2】 請求項1に記載の振動アクチュエータに
おいて、 前記弾性層は、縦弾性率がE=390kgf/mm2 以
下であることを特徴とする振動アクチュエータ。 【請求項3】 電気機械変換素子及びその電気機械変換
素子の励振によって振動を発生する弾性体からなる振動
体と、 相対運動体母材及びその相対運動体母材に接合され前記
弾性体に接する摺動材とからなり、前記振動体に加圧接
触され前記振動によって相対移動する相対運動体と、を
含む振動アクチュエータにおいて、 前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、層平均厚さ
を15μm以上とした1種類以上の材質からなる弾性層
を設けたことを特徴とする振動アクチュエータ。 【請求項4】 電気機械変換素子及びその電気機械変換
素子の励振によって振動を発生する弾性体からなる振動
体と、 相対運動体母材及びその相対運動体母材に接合され前記
弾性体に接する摺動材とからなり、前記振動体に加圧接
触され前記振動によって相対移動する相対運動体と、を
含む振動アクチュエータにおいて、 前記相対運動体母材と前記摺動材との間に、縦弾性率が
E=390kgf/mm2 以下であり、かつ、層平均厚
さを15μm以上とした弾性層を設けたことを特徴とす
る振動アクチュエータ。 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1
項に記載の振動アクチュエータにおいて、 前記弾性層は、層厚みを均一にする厚み制御部材を含む
ことを特徴とする振動アクチュエータ。 【請求項6】 請求項1から請求項5までのいずれか1
項に記載の振動アクチュエータにおいて、 前記弾性層は、前記相対運動体母材と前記摺動材とを接
着する接着層であり、その接着剤は、二液タイプエポキ
シ系接着剤であって、主剤をエポキシ系として、硬化剤
をポリアミド系としたことを特徴とする振動アクチュエ
ータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10233401A JP2000069771A (ja) | 1998-08-20 | 1998-08-20 | 振動アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10233401A JP2000069771A (ja) | 1998-08-20 | 1998-08-20 | 振動アクチュエータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000069771A true JP2000069771A (ja) | 2000-03-03 |
Family
ID=16954506
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10233401A Pending JP2000069771A (ja) | 1998-08-20 | 1998-08-20 | 振動アクチュエータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000069771A (ja) |
-
1998
- 1998-08-20 JP JP10233401A patent/JP2000069771A/ja active Pending
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