JP2000067641A - 極細銅線およびその製造方法 - Google Patents

極細銅線およびその製造方法

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JP2000067641A
JP2000067641A JP10236131A JP23613198A JP2000067641A JP 2000067641 A JP2000067641 A JP 2000067641A JP 10236131 A JP10236131 A JP 10236131A JP 23613198 A JP23613198 A JP 23613198A JP 2000067641 A JP2000067641 A JP 2000067641A
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copper wire
wire
silver
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copper
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JP10236131A
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Takao Ichikawa
貴朗 市川
Masayoshi Aoyama
正義 青山
Kazuhiro Yamada
和宏 山田
Tsutomu Takahashi
勉 高橋
Hidetoshi Nagayama
秀寿 長山
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Hitachi Cable Ltd
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工率の減少と、これに伴う伸線および焼鈍
回数の増加を招くことなく、伸線時における断線と、経
時変化による軟化現象を効果的に防止することのできる
極細銅線とその製造方法を提供する。 【解決手段】 重量で100〜500ppmの酸素を含
有するタフピッチ銅を鋳造する際に、重量で5〜150
ppmの銀を添加する。これにより伸線加工時の断線を
防止し、得られた極細銅線の経時変化による軟化現象、
即ち、引張強度と伸びの低下を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極細銅線およびそ
の製造方法に関し、特に、伸線時に断線することがな
く、経時変化による軟化現象の発生しない極細銅線とそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、時計のステッピングモータ、
磁気記録用磁気ヘッド、あるいはブラウン管のフライバ
ックトランス等に使用されるエナメル線には、たとえ
ば、外径が0.04mm程度の銅線にエナメル塗料を焼
き付けた極細エナメル線が使用される。
【0003】極細エナメル線の導体としては、タフピッ
チ銅、無酸素銅のような酸素含有量が0.1mass%
以下の純銅が使用されるのが普通であり、これらの純銅
は、高い導電率と高い熱伝導性を有していることから、
前記の用途をはじめとして各種リード線等にも大量に使
用されている。
【0004】荒引線から所定の外径の極細銅線を得るま
での製造過程においては、冷間加工工程を必ず経るが、
冷間加工を受けた純銅は高温下において再結晶による軟
化を起こす欠点があり、このため、伸線作業の際に断線
を起こす頻度が高い。
【0005】軟化現象は、伸線の際のダイスと伸線素材
との摩擦熱によって引き起こされるもので、これによっ
て軟化した素材は、ダイス引きの張力に耐えられなくな
って断線する。この種の断線は、加工率(断面積減少
率)が95%以上になると頻発し、線径が細くなるほど
多発する。
【0006】また、再結晶による素材の軟化現象は、室
温においても進行する性質があり、伸線後の放置時間が
長くなるにつれて、引張強度と伸びは徐々に低下するよ
うになる。この経時変化による物性の低下は、無酸素銅
と呼ばれる高純度の銅、たとえば、5Nあるいは6Nク
ラスの純銅において特に顕著であるが、純度が3Nクラ
スのタフピッチ銅であっても、伸線工程での加工率が高
ければ発生する。
【0007】このように室温下おいて発生する再結晶
は、素材全体にではなく局部的に発生し、その金属組織
は、特定の粒子が成長して粗大化した形を呈している。
また、金属組織が再結晶化して軟化した極細銅線に、た
とえば、エナメル塗料を焼き付けると、その際の加熱に
よって新たな微細粒子が発生し、この微細粒子が前述し
た粗大化粒子と混在する形となって、同様に導体として
の引張強度および伸び特性を低下させるようになる。
【0008】従来、この問題を解決する極細銅線の製造
方法として、たとえば、荒引線から極細銅線に至る間に
繰り返し行われる伸線工程での各加工率を、小さく設定
する方法が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような方
法によると、加工率が減少されることで素材の組織流動
が小さくなり、従って、その分、断線の発生率が減少
し、経時変化による物性低下の度合も少なくなるけれど
も、加工率の減少による伸線回数と焼鈍回数の増加が必
須となることから、経済的に不利であり、現実には、採
用しにくい方法である。
【0010】従って、本発明の目的は、加工率の減少
と、これによる伸線および焼鈍回数の増加を伴うことな
く、伸線時における断線を効果的に防止することのでき
る極細銅線とその製造方法を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、経時変化による軟化現象が発
生しない極細銅線とその製造方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、タフピッチ銅から成る銅線によって構成
され、前記タフピッチ銅は、重量で100〜500pp
mの酸素と、5〜150ppmの銀を含有することを特
徴とする極細銅線を提供するものである。
【0012】また、本発明は、上記の目的を達成するた
め、重量で100〜500ppmの酸素を含有するタフ
ピッチ銅を鋳造し、伸線することによって所定の外径の
極細銅線を製造する極細銅線の製造方法において、前記
鋳造のとき、前記タフピッチ銅に重量で5〜150pp
mの銀を添加することを特徴とする極細銅線の製造方法
を提供するものである。
【0013】酸素量100〜500ppmは、タフピッ
チ銅としての前提であり、多くの場合、この酸素量は、
200〜400ppmのより狭い範囲内に設定される。
銀の含有量あるいは添加量の下限値を5ppmに限定す
る理由は、5ppm未満では軟化温度の上昇が不足し、
このため、伸線時の断線、伸線後の経時変化による軟化
現象が発生するからである。
【0014】また、上限値を150ppmに設定する理
由は、これを超過すると軟化温度が過度に上昇し、エナ
メル線の製造時等において焼鈍が困難になるとともに、
導電率も低下するようになるからであり、これら上下限
値は、優れた特性の極細銅線を得、断線のない伸線工程
を構築するうえでの前提条件となる。
【0015】極細銅線の外径は0.015〜0.05m
mの範囲内に設定されるべきであり、引張強度は40K
gf/mm2 未満に設定されるべきである。これらは、
極細エナメル線用の導体として要求される値であり、エ
ナメル線を主な適用対象とする本発明の極細銅線におい
ては、多くの場合に設定される値である。
【0016】鋳造方法としては、たとえば、舟型のセラ
ミックるつぼ等を使用するバッチ式の鋳造方法を適用し
てもよく、あるいは連続鋳造方式を適用してもよい。作
業効率面からすると、後者の方法が望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明による極細銅線とそ
の製造方法の実施の形態について説明する。SCR連続
鋳造装置を使用して酸素含有量が重量で200〜400
ppmの範囲内に入り、それぞれ所定量の銀を含有させ
た9種類のタフピッチ銅から成る外径8mmの荒引線を
鋳造した。
【0018】銀の添加は、鋳造時の溶湯に対して行わ
れ、9種類のうちの5種類の銀量が本発明における規定
値内に設定され(実施例1〜5)、残りの4種類が規定
値外に設定された(比較例1〜4)。また、参考例とし
て、酸素量および銀量とも不純物レベルの無酸素銅が鋳
造され、外径8mmの荒引線が準備された。
【0019】表1にこれら実施例、比較例、および参考
例における各元素濃度の定量結果を示す。
【0020】
【表1】
【0021】表中の、断線有無は、各例の荒引線を外径
2.6mmまで冷間伸線し、一旦、焼鈍した後、外径
0.9mmまで冷間伸線し、焼鈍後、さらに外径が0.
04mmの極細銅線寸法まで冷間伸線したときに、この
間において断線が発生したか否かを示したものである。
【0022】表1によれば、銀量を本発明が規定する範
囲内に設定した実施例1〜5と、多量の銀を含む比較例
3、4が断線を発生させていないのに比べ、銀量の少な
い比較例1、2および参考例の場合には、断線を発生さ
せており、両者の間には明確な差が認められた。
【0023】図1は、極細銅線のサイズに伸線する前の
中間段階における焼鈍温度と引張強度との関係を示した
ものである。即ち、図1は、表1の実施例2と比較例1
の外径8mmの荒引線を外径2.6mmの中間サイズま
で冷間伸線した段階で、120〜400℃の範囲内の所
定の各温度に設定されたソルトバスの中に各1時間浸漬
して熱処理を行い、熱処理後の中間サイズ品の引張強度
を示したものである。引張試験は、引張速度を20mm
/分に設定して行われた。
【0024】図1において、δB (20℃)は伸線した
まゝで焼鈍しない中間サイズ品(温度20℃)の引張強
度を意味し、δB (400℃)は400℃の温度で完全
に焼鈍した中間サイズ品の引張強度を意味する。δ
B (20℃)とδB (400℃)の中間の値である〔δ
B (20℃)+δB(400℃)〕/2での熱処理温度
が半軟化温度であるとすると、実施例2は比較例1より
も半軟化温度が20℃高く評価されることになる。表2
は、各実施例、比較例、および参考例における外径2.
6mmの中間サイズ品を対象として半軟化温度を評価し
た結果と、これら各例における導電率を示したものであ
る。
【0025】
【表2】
【0026】この表2によれば、実施例1〜5が190
〜247℃の半軟化温度を示しているのに比べ、比較例
1、2の場合はいずれも180℃であり、さらに、参考
例にいたっては133℃でしかなく、従って、実施例1
〜5と比較例1、2および参考例との間には、明らかな
差が認められる。
【0027】また、銀を多量に含有した比較例3、4に
あっては、エナメル線に適用する極細銅線として好適な
190〜247℃の半軟化温度を有する実施例1〜5と
は異なり、その半軟化温度はそれぞれ330℃と370
℃であり、従って、これを使用してエナメル線等を製造
するときには、焼鈍が困難になることから、到底実用的
な極細エナメル線は得られない。導電率の対比におい
て、比較例4が他に比べて2%低いことも特徴的であ
り、この点からも比較例4は好ましくない。
【0028】表3は、実施例1〜3、比較例1、2、お
よび参考例から得られた外径0.04mmの極細銅線を
室温に50日間保管したときの、保管前後における引張
破断荷重と破断時の伸びを示したものである。
【0029】
【表3】
【0030】この表3によれば、ほゞ同レベルの初期値
を有する実施例1〜3と比較例1、2および参考例との
対比において、実施例1〜3が、50日間保管前後にお
いて破断荷重を0.1〜1.7gしか低下させておら
ず、さらに、伸びも0〜0.1%とほゞ同レベルを維持
しているのに比べ、比較例1、2、および参考例の場合
には、破断荷重を13〜30g、伸びを1.5〜1.7
%と大幅に低下させている。両者間の特性の差は明白で
ある。
【0031】表4は、表3において評価試験が行われた
のと同じ極細銅線を室温に50日間保管したときの、保
管前と保管後の焼鈍処理後における引張破断荷重と破断
時の伸びの変化を示したものである。
【0032】
【表4】
【0033】表4によれば、実施例1〜3が、50日間
保管の前後において、0.3〜0.6gの破断荷重の低
下と、0.3〜0.4%の伸び特性の低下にとどまって
いるのに比べ、比較例1、2および、参考例の場合に
は、破断荷重を2.4〜5.3g低下させ、さらに、伸
びも6.1〜11.8%と大きく低下させており、実施
例と比較例および参考例との間には、明らかな差が認め
られる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明による極細銅線お
よびその製造方法は、タフピッチ銅に特定量の銀を含有
させることによって、伸線加工中における断線と経時変
化による軟化現象とを効果的に防止するものであり、従
って、高品質の極細銅線を得、そして、経済的な極細銅
線の製造方法を確立するうえにおいて有用性大である。
なお、銀は高価ではあるが、添加量が極く微量であるこ
とから、加工率を減ずる代わりに伸線回数と焼鈍回数を
増やす従来の方法に比べれば、経済性への影響は無視で
きるほどに小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間加工段階における中間サイズ品を熱処理し
たときの熱処理温度と引張強度との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 和宏 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 高橋 勉 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 長山 秀寿 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 Fターム(参考) 5G301 AA01 AA08 AB02 AB08 AD01 AE10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タフピッチ銅から成る銅線によって構成さ
    れ、 前記タフピッチ銅は、重量で100〜500ppmの酸
    素と、5〜150ppmの銀を含有することを特徴とす
    る極細銅線。
  2. 【請求項2】前記銅線は、0.015〜0.05mmの
    外径を有することを特徴とする請求項第1項記載の極細
    銅線。
  3. 【請求項3】前記銅線は、40Kgf/mm2 未満の引
    張強度を有することを特徴とする請求項第1項記載の極
    細銅線。
  4. 【請求項4】重量で100〜500ppmの酸素を含む
    タフピッチ銅を鋳造し、伸線することによって所定の外
    径の極細銅線を製造する極細銅線の製造方法において、 前記鋳造のとき、前記タフピッチ銅に重量で5〜150
    ppmの銀を添加することを特徴とする極細銅線の製造
    方法。
  5. 【請求項5】前記鋳造は、連続鋳造であることを特徴と
    する請求項第4項記載の極細銅線の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190074705A (ko) 2017-12-20 2019-06-28 현대자동차주식회사 플렉서블 플랫 케이블 도체 및 이의 제조방법과 이를 이용한 플렉서블 플랫 케이블
US20210247337A1 (en) * 2018-07-02 2021-08-12 Shanghai Electric Cable Research Institute Co., Ltd. Method for determining softening temperature of copper and copper alloy

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KR20190074705A (ko) 2017-12-20 2019-06-28 현대자동차주식회사 플렉서블 플랫 케이블 도체 및 이의 제조방법과 이를 이용한 플렉서블 플랫 케이블
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