JP2000064478A - 複合梁床およびその構築方法 - Google Patents

複合梁床およびその構築方法

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JP2000064478A
JP2000064478A JP10239040A JP23904098A JP2000064478A JP 2000064478 A JP2000064478 A JP 2000064478A JP 10239040 A JP10239040 A JP 10239040A JP 23904098 A JP23904098 A JP 23904098A JP 2000064478 A JP2000064478 A JP 2000064478A
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concrete slab
space
steel
air
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Koji Hayashi
浩二 林
Isao Kamei
功 亀井
Katsuji Nakazawa
勝司 中沢
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Obayashi Corp
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Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の鉄骨梁の上下端部をコンクリート版で
閉止して、上方のコンクリート版を床スラブ、下方のコ
ンクリート版を天井として用いることにより、天井スペ
ースを縮小するとともに、複数の鉄骨梁間に形成される
空洞部をダクト空間として用いることによりダクトを省
略し、かつ、空気の吹出口または吸込口の配置部位を容
易にレイアウトする。 【解決手段】 一定間隔をもって互いに平行に配置した
複数の鉄骨梁12を1組とし、この複数の鉄骨梁12の
上端部間および下端部間に、上方コンクリート版14お
よび下方コンクリート版16をそれぞれ密閉状態で取り
付けて一体化する。鉄骨梁12と上,下方コンクリート
版14,16とで囲まれる空洞部を、調和空気を流通
し、かつ、設備スペースとしても機能するダクト空間1
8とする。下方コンクリート版16にダクト空間18に
連通する調和空気の吹出口20を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の鉄骨梁の
上,下端部間をコンクリート版により密閉状態で一体化
し、その内部に形成される空洞部を空気が流通し、また
は配管,配線を配設する多目的スペースとして用いるよ
うにした複合梁床およびその構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビル等の多層階建物における各階の階高
は天井高さと天井代(天井スペース)との和によって決
定される。一般にフロアの天井代は、鉄骨造では、床
仕上げおよび下地材、床スラブ(コンクリート造の場
合は梁成に含まれる)、鉄骨梁成、鉄骨梁の耐火被
覆、設備スペース、天井仕上げおよび下地の各要素
で構成され、特に、,の構造梁成との設備スペー
スとによって基本的な階高が決定される。
【0003】梁は床荷重を支えることと、耐震部材とし
て必要な断面を確保することの双方の要請を満たすよう
に設計され、梁のスパン等にもよるが、通常、天井代は
1m以上が必要となり、これによって大きな階高とな
る。また、階高は上述したように建物高さを直接決定す
る要因であり、コストに及ぼす影響も大きく、かつ、高
さ制限があるオフィスビルの場合は室内の容積確保が困
難になる。
【0004】このため、建物の高さを低くしたり容積を
確保するためには、上述した強度および耐震性を満足し
つつ天井スペースの縮小を達成する必要がある。そこ
で、近年では特公平7−6248号公報に開示されるよ
うに、平行に配置した2本の鉄骨梁の下端部を下スラブ
コンクリートに埋設して予め一体化しておき、これを現
場に搬入して大梁に掛け渡すとともに、前記鉄骨梁上に
取り外し可能に床パネルを敷設することにより、梁と床
を同時に構築するようにしたボイドスラブ工法が提案さ
れている。
【0005】即ち、このように2本の鉄骨梁の下端部を
下スラブコンクリートに一体化するとともに、上端部に
床パネルを敷設することにより複合梁床が構成され、こ
の複合梁床では下スラブコンクリートを天井面とし、床
パネルを直上階の床面とすることにより、所定の剛性を
確保しつつ天井スペースを縮小することができる。そし
て、この複合梁床では平行配置された鉄骨梁間には、下
スラブコンクリートと床パネルとによって挟まれた状態
で空洞部が形成されるが、この空洞部に設備用の配線や
空調ダクトを収納できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の複合梁床では、平行配置された鉄骨梁間の空洞部
は密閉空間であるにもかかわらず、単に配線や空調ダク
トの収納スペースとして用いられるのみであり、特に、
ダクトをレイアウトする場合には鉄骨梁の長さ方向に沿
って配索するのみならず、部屋全体に空気を供給した
り、排気または排煙するためには、該ダクトを鉄骨梁に
直角方向に通す必要が生ずる。このため、該鉄骨梁にダ
クト挿通用の比較的大きな開口部を設けたりして、大掛
かりな工事が必要となるのみならず、この開口部によっ
て梁強度が著しく低下される。また、長いダクトを要す
るため、設備費用が著しく嵩むという課題があった。
【0007】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て成されたもので、複数の鉄骨梁の上下端部をコンクリ
ート版で閉止して、上方のコンクリート版を床スラブ、
下方のコンクリート版を天井として用いることにより、
天井スペースを縮小するとともに、複数の鉄骨梁間に形
成される空洞部が密閉構造であることに着目して、該空
洞部自体を空気が流通し、または配管,配線を配設する
空間として用いることによりダクトの省略を達成し、か
つ、空気の吹出口または吸込口の配置部位を容易にレイ
アウトすることができる複合梁床およびその構築方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)かかる目的を達成
するために本発明の請求項1に示す複合梁床は、互いに
平行に配置した複数の鉄骨梁を1組とし、この1組とな
った複数の鉄骨梁の上端部間および下端部間に、上方コ
ンクリート版および下方コンクリート版をそれぞれ密閉
状態で取り付けて一体化し、これら鉄骨梁と上,下方コ
ンクリート版とで囲まれる空洞部を、空気が流通し、ま
たは配管,配線を配設する空間とし、かつ、前記上,下
方コンクリート版の少なくとも一方に、該空間に連通す
る空気の吹出口または吸込口を形成する。
【0009】以上の構成により、請求項1の複合梁床
は、鉄骨梁と上,下方コンクリート版を一体化すること
により、上,下方コンクリート版を鉄骨梁の補強並びに
補剛のために利用することができる。
【0010】また、上方コンクリート版および下方コン
クリート版を上下端部間に取り付けた複数の鉄骨梁間の
空洞部をダクト空間として空気を流通させたり、配管,
配線用の設備スペースとして用いるようにしたので、本
来は別体として設置されるダクトを廃止して空気を流通
させることができるし、配管,配線を該空洞部に配設す
ることもできる。
【0011】従って、このように各鉄骨梁間の空洞部に
空気を流通できるので、複合梁床全体に空気を行き渡ら
せることができる。このため、例えば、前記上方コンク
リート版に前記ダクト空間に連通する調和空気の吹出口
または吸込口を形成することにより、床吹き出し方式の
空調システムを簡単に構成することができるとともに、
下方コンクリート版に同様の吹出口または吸込口を形成
することにより、天井吹き出し方式の空調システムを簡
単に構成することができる。また、前記ダクト空間は
上,下方コンクリート版の略全面に亘って形成されるた
め、前記吹出口の形成位置の選択自由度が著しく増大す
る。
【0012】更に、前記鉄骨梁の上端部間に取り付けた
上方コンクリート版を床スラブとして用い、鉄骨梁の下
端部間に設けた下方コンクリート版を天井として用いる
ことにより、天井スペースを大幅に縮小でき、延いて
は、天井高を高くすることができたり、あるいは、階高
を低くして建物全体の高さを低く抑制することができ
る。
【0013】(2)また、本発明の請求項2に示す複合
梁床は、前記上方コンクリート版の上側に、空気を流通
する程度の隙間をもって床板を設け、この床板下を上方
コンクリート版に形成した開口部を介して前記空間に連
通するとともに、この床板の適宜部位に空気の吹出口ま
たは吸込口を形成する。以上の構成によれば、床板下の
全体を空気の流通路とすることができる。従って、前記
床板のいかなる部位にも吹出口または吸込口を形成する
ことができるため、該吹出口または吸込口のレイアウト
が更に容易となる。
【0014】(3)更に、本発明の請求項3に示す複合
梁床は、前記上方コンクリート版を、鉄骨梁の上端に直
接当接する波形のデッキプレートと、このデッキプレー
トの上側に打設されるコンクリートとで構成し、該デッ
キプレートの上方に凹設された波形部分内に鉄骨梁の上
端部を嵌入させる。以上の構成によれば、鉄骨梁に対し
てデッキプレートをより下方に配置することができる。
従って、該デッキプレートの上側にコンクリートを打設
して複合梁床を完成した場合に、この複合梁床の全体高
を低く形成することができるため、前記天井スペースを
より縮小することができる。
【0015】(4)更にまた、本発明の請求項4に示す
複合梁床の構築方法は、1組となった複数の鉄骨梁を互
いに平行に配置し、これら鉄骨梁の上端部間および下端
部間の一方に下方コンクリート版を密閉状態で取り付け
て一体化することにより梁床の予備組付け体を形成し、
この予備組付け体を前記下方コンクリート版を下向きに
して現場に設置した後、複数の鉄骨梁の上端部間に上方
コンクリート版を密閉状態で取り付ける。
【0016】以上の構築方法によれば、前記予備組付け
体の形成段階では、これを現場とは異なる広い作業スペ
ースを確保できる場所、例えば工場などで製作し、これ
を現場に搬入し下方コンクリート版を下向きにして設置
し、上方コンクリート版を密閉状態で取付けることがで
きる。従って、前記予備組付け体の製作を広い作業スペ
ースで行うことができるため、複数の予備組付け体を同
時製作するなどして大量生産を可能とし、これによって
生産能率の大幅な向上ととともに、安全性をも確保する
ことができる。
【0017】(5)また、本発明の請求項5に示す複合
梁床の構築方法は、前記下方コンクリート版にプレスト
レスを導入する。この構築方法によれば、曲げ強度の補
強効果が生ずるとともに、下方コンクリート版のひび割
れを防止できる。
【0018】(6)更にまた、本発明の請求項6に示す
複合梁床の構築方法は、複数の前記予備組付け体を前記
下方コンクリート版を下向きにして現場に設置して、こ
れら予備組付け体の上端部間に上方コンクリート版を連
続して取付け、各予備組付け体の端部の鉄骨梁間に形成
される空間部を還気・排気通路または排煙通路として用
いる。
【0019】この構築方法によれば、還気・排気通路ま
たは排煙通路を前記空気供給用の空間と併設して梁床に
形成することができるため、該還気・排気通路または排
煙通路のレイアウトを容易にするとともに、還気・排気
または排煙のためのダクトを余分に設ける必要が無くな
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1,図2は本発明の複
合梁床およびその構築方法の一実施形態を示し、図1は
複合梁床の建込み状態を示す要部断面図、図2は複合梁
床の製作途中を示す説明図である。
【0021】即ち、図1に示すように本実施形態の複合
梁床10は、一定間隔をもって互いに平行に配置した複
数(本実施形態では3本)の鉄骨梁12を1組とし、こ
の1組となった複数の鉄骨梁12の上端部間および下端
部間に、上方コンクリート版14および下方コンクリー
ト版16をそれぞれ密閉状態で取り付けて一体化してあ
る。そして、前記鉄骨梁12と上,下方コンクリート版
14,16とで囲まれる空洞部を、例えば、調和空気を
流通し、または、配管,配線を配設する設備スペースと
して機能する空間18とし、かつ、前記下方コンクリー
ト版16に該空間18に連通する調和空気の吹出口20
を形成することにより構成してある。
【0022】前記複合梁床10を構築するにあたって
は、まず、図2に示すように1組となった3本の鉄骨梁
12を互いに平行に配置し、これら鉄骨梁12の上端部
間に下方コンクリート版16を密閉状態で取り付けて一
体化して予備組付け体22を形成する。この予備組付け
体22は、広い作業スペースが確保される工場などで形
成され、その後、現場に搬入するようになっている。そ
して、現場に搬入された前記予備組付け体22は、前記
下方コンクリート版16を下向きにして両端部を図外の
大梁に据え付ける。そして、隣設される予備組付け体2
2に跨って鉄骨梁12の上端部間に前記上方コンクリー
ト版14を連続して密閉状態で取り付ける。そして、前
記上方コンクリート版14は床面として用いられ、か
つ、前記下方コンクリート版16は直下階の天井として
用いられる。
【0023】前記鉄骨梁12は、上下端部にフランジ1
2a,12bおよびこれらを連結するウェブ12cから
なるI型またはH型断面を有する鉄骨によって形成され
る。例えば、前記予備組付け体22を形成する段階で
は、1組の鉄骨梁12の下側のフランジ12bが上方に
配置されており、このフランジ12bの外側面に前記下
方コンクリート版16が固定される。また、予備組付け
体22を現場に据え付けた状態では、前記鉄骨梁12は
上側のフランジ12aが上方に配置されており、このフ
ランジ12aの外側面に前記上方コンクリート版14が
固定される。尚、本発明において、予備組付け体22の
形成段階における上下関係は逆であってもよい。
【0024】前記上方コンクリート版14は波形のデッ
キプレート24と、このデッキプレート24の上側に打
設されるコンクリート26とで構成される。デッキプレ
ート24は現場に据え付けられた複数の予備組付け体2
2に跨って配置され、それぞれの鉄骨梁12の上側のフ
ランジ12aに連続して固定される。そして、このデッ
キプレート24の上側に前記コンクリート26が打設さ
れて床スラブが構築される。また、前記上方コンクリー
ト版14の上面には、コンクリート26との間に若干の
隙間δを設けてフロア仕上げ材28が取り付けられる。
【0025】また、本実施形態では、例えば、前記デッ
キプレート24が鉄骨梁12間に取り付けられる際、該
デッキプレート24の上方に凹設された波形部分24a
内に、鉄骨梁12の上側のフランジ12aを配置させる
ようになっている。更に、同一の予備組付け体22に配
置される鉄骨梁12間、および、隣設される予備組付け
体22の端部に配置される鉄骨梁12間に、相互を連結
するために、トラス形状、ブレース形状、開口を有する
鉄板またはこれらの組合せを連結材30として取り付け
られる(破線図示はその一例である)。尚、本実施形態
では、連結材30を設けることが望ましいが、該連結材
30は必ずしも本発明において必須ではない。
【0026】そして、前記予備組付け体22を現場に据
え付けられる際、隣設される予備組付け体22の端部の
鉄骨梁12間に所定の間隔Sが設けられる。この間隔S
はこれの下端部間、つまり、隣設される下方コンクリー
ト版16間に蛍光灯32を取り付けて閉塞し、この閉塞
された空間部を例えば空調の排気通路34として用いる
ようになっている。また、前記蛍光灯32の両側部分に
は例えば吸込み口36が設けられる。
【0027】従って、本実施形態の複合梁床10は、予
備組付け体22に設けた3本の鉄骨梁12間に、上方コ
ンクリート版14および下方コンクリート版16により
上下が密閉されたダクト空間18を形成したので、この
ダクト空間18に調和空気を直接供給することにより、
この調和空気は該ダクト空間18を流通して、下方コン
クリート版16に形成した吹出口20から吹き出され
る。このとき、該下方コンクリート版16は天井となる
ため、前記吹出口20は天井吹き出し方式となり、ま
た、予備組付け体22間に設けられる吸込み口36も天
井吸込み方式となり、この吸込み口36から室内空気が
吸引されて室外に排出される。従って、前記吹出口20
から調和空気が供給される一方、前記吸込み口36から
室内空気が排出されることにより室内の換気が効率良く
行われる。
【0028】従って、このように各鉄骨梁12間の空洞
部をダクト空間18として調和空気を流通するようにし
たので、複合梁床10の略全体に調和空気を行き渡らせ
ることができる。また、前記ダクト空間18は上,下方
コンクリート版14,16間の略全面に亘って形成され
るため、前記吹出口20の形成位置の選択自由度が著し
く増大する。そして、本実施形態のようにダクト空間1
8に連通するように下方コンクリート版16に吹出口2
0を形成すればよいため、天井吹き出し方式の空調シス
テムを簡単に構成することができる。
【0029】このように、鉄骨梁12間の空洞部をダク
ト空間18として、このダクト空間18に直接調和空気
を流通させるので、従来用いられていた空調ダクトを廃
止することができる。このため、空調ダクトを配索する
作業を省略できるとともに、この空調ダクト自体を設け
る必要がないため、これによって省力化および経費の削
減を図ることができる。また、前記ダクト空間18は調
和空気の流通に用いられるのみならず、調和空気以外の
空気は勿論、配管,配線などの設備スペースとしても用
いることができる。
【0030】また、本実施形態の複合梁床10にあって
は、前記鉄骨梁12の上端部間に取り付けた上方コンク
リート版14を床スラブとして用い、鉄骨梁12の下端
部間に設けた下方コンクリート版16を天井として用い
ることにより、天井スペースを大幅に縮小でき、延いて
は、天井高を高くすることができたり、あるいは、階高
を低くして建物全体の高さを低く抑制することができ
る。
【0031】更に、本実施形態のように、前記上方コン
クリート版14のデッキプレート24に凹設された波形
部分24a内に鉄骨梁12の上側のフランジ12aを嵌
入させれば、鉄骨梁12に対してデッキプレート24を
より下方に配置することができる。これらにより、該デ
ッキプレート24の上側にコンクリート26を打設して
複合梁床10を完成した場合に、この複合梁床10の全
体高を低く形成することができるため、前記天井スペー
スをより縮小でき、延いては、建物の全体高さを更に低
くすることができる。
【0032】ところで、本実施形態の複合梁床を構築す
るにあたっては、まず、1組とした3本の鉄骨梁12を
互いに平行に配置し、これら鉄骨梁12の上端部間に下
方コンクリート版16を密閉状態で取り付けて一体化す
ることにより梁床の予備組付け体22を形成し、この予
備組付け体22を現場に搬入して上方コンクリート版1
4を取り付けるようにしたので、この予備組付け体22
の製作を工場などの広い作業スペースで行うことができ
るため、複数の予備組付け体22の大量生産を可能と
し、これによって生産能率の大幅な向上が図れるととも
に、作業の容易性をも確保できる。
【0033】また、前記各予備組付け体22の端部の鉄
骨梁12間に形成される空間部を空調の還気・排気通路
または排煙通路34として用いることにより、この還気
・排気通路または排煙通路34を調和空気供給用のダク
ト空間18と併設して梁床に形成することができるた
め、該還気・排気通路または排煙通路34のレイアウト
を容易にするとともに、還気・排気または排煙のための
ダクトを余分に設ける必要が無くなる。
【0034】ここで、建物の全体構造計画により、フロ
アは床荷重を支えるだけの構造とし、これにより構造梁
成の縮小を図ることができる。また、平行配置の鉄骨梁
12を上,下方コンクリート版14,16で補剛一体化
して断面性能を高めることにより、高い剛性と梁型の出
ないフラットな構造にでき、構造梁成の更なる縮小を達
成できる。更に、床仕上げ下地および天井仕上げ下地を
構造材兼用とすることにより、仕上げしろを削減するこ
とができる。更にまた、耐火被覆を構造材兼用とするこ
とにより、耐火被覆しろを削減することができる。
【0035】また、前記上方コンクリート版14のコン
クリート26は、軽量コンクリートを用いることが望ま
しく、更に、鉄骨梁12に耐火鋼を用いることが望まし
い。更にまた、連結材30を用いて鉄骨梁12相互を梁
の中央付近で連結するようにしたので、積載荷重の分散
効果によりたわみ性状や振動性状が改善される。即ち、
上下にコンクリート版14,16があるので、鉄骨梁1
2相互を連結材30で連結すると、直交方向にも曲げ剪
断剛性が確保されて床全体に大きな2方向板としての効
果を発生させることができる。
【0036】ところで、前記予備組付け体22を工場な
どで製作する際に、下方コンクリート版16にプレスト
レスを導入しておくことにより、曲げ強度の補強効果が
生ずるとともに、下方コンクリート版16のひび割れを
防止できる。また、プレストレスの導入は、鉄骨梁12
にむくりを採り、下向きに強制変形を与えた状態で下方
コンクリート版16を打設することもできる。このよう
にプレストレスを導入することにより、曲げ強度の補強
効果を発生し、梁下コンクリートのひび割れ防止や、む
くり確保により梁の撓みを制限することができる。
【0037】図3は他の実施形態を示す。同図は図1に
対応する断面図であり、前記実施形態と同一構成部分に
同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0038】即ち、この実施形態では、例えば調和空気
の吹出口20aを、上方コンクリート版14側に形成し
たものである。前記上方コンクリート版14の上面には
フロア仕上げ材28が設けられるが、このフロア仕上げ
材28の適宜部位に吹出口20aが形成される。この場
合、上方コンクリート版14は、ダクト空間18に連通
させる部分が大きく開口40が形成されており、開口4
0と前記吹出口20aとがそれぞれ対応して形成され
る。
【0039】従って、この実施形態ではダクト空間18
を流通する調和空気は、前記開口40から上方コンクリ
ート版14とフロア仕上げ材28との間に導入され、そ
して、吹出口20aから室内に供給される。このとき、
吹出口20aが上方コンクリート版14側に形成された
ことにより、この空調方法は床吹き出し方式となる。ま
た、この実施形態にあっても隣設される予備組付け体2
2間に還気・排気通路または排煙通路34が設けられ
る。
【0040】図4は更に他の実施形態を示す図1に対応
する断面図で、前記実施形態と同一構成部分に同一符号
を付して重複する説明を省略して述べる。
【0041】即ち、この実施形態にあっても床吹き出し
方式で、この複合梁床10は、前記上方コンクリート版
14の上側に、調和空気を流通する程度に比較的大きな
隙間Lをもって床板42を設け、かつ、この床板42に
例えば吹出口20bを形成してある。
【0042】従って、この実施形態にあっては、前記床
板42下を上方コンクリート版14に形成した開口部4
4を介してダクト空間18に連通するとともに、この床
板42の適宜部位に吹出口20bを形成したので、この
床板42下は全体を調和空気の流通路とすることができ
る。従って、前記床板42のいかなる部位にも吹出口を
形成することができるため、該吹出口20bのレイアウ
トが更に容易となる。また、この実施形態にあっても隣
設される予備組付け体22間に還気・排気通路または排
煙通路34が設けられる。
【0043】ところで、前記各実施形態に示す空調シス
テムでは、図1によって天井吹き出し方式を開示し、か
つ、図3,図4によって床吹き出し方式を開示したが、
上方コンクリート版14および下方コンクリート版16
の両者に、ダクト空間18に連通する吹出口20,20
a,20bを形成することにより、天井吹き出し方式と
床吹き出し方式の両機能を兼備することができる。ま
た、吹出口20,20a,20bを空気の吸込口に代え
ることもできる。さらに、前記各実施形態では鉄骨梁1
2を3本用いてこれを1組としてあるが、これに限るこ
となく該鉄骨梁12は2本以上の複数本とすることによ
っても複合梁床10を構成することができる。
【0044】
【発明の効果】(1)以上説明したように本発明の請求
項1に示す複合梁床にあっては、平行配置した複数の鉄
骨梁の上,下端部間に上方コンクリート版および下方コ
ンクリート版をそれぞれ密閉状態で取り付けて一体化し
たため、上,下方コンクリート版を鉄骨梁の補強並びに
補剛のために利用することができ、複合梁としての耐力
並びに剛性が鉄骨梁のみの場合よりも小さい部材の成で
確保することができ、コンクリートを構造上有効に利用
するので経済的でもある。
【0045】そして、複数の鉄骨梁間の空洞部を空気が
流通し、または配管,配線を配設する空間としたので、
この空間に直接空気を流通させるとともに、これを設備
スペースとして用いるようにしたので、別体として設置
されるダクトを廃止することができる。従って、ダクト
を配索する作業を省略できるとともに、このダクト自体
を設ける必要がないため、省略化および経費の削減を図
ることができる。
【0046】また、このように各鉄骨梁間の空洞部に空
気を流通できるので、複合梁床全体に空気を行き渡らせ
ることができ、かつ、上方コンクリート版および下方コ
ンクリート版の少なくとも一方に空気の吹出口または吸
込口を形成するのみであるから、空調システムの構成を
簡単化できる。更に、前記空間は上,下方コンクリート
版の略全面に亘って形成されるため、前記吹出口または
吸込口の形成位置の選択自由度を著しく増大することが
できる。
【0047】また、前記鉄骨梁の上端部間に取り付けた
上方コンクリート版を床スラブとして用い、鉄骨梁の下
端部間に設けた下方コンクリート版を天井として用いる
ことにより、天井スペースを大幅に縮小でき、延いて
は、天井高を高くすることことができたり、あるいは、
階高を低くして建物全体の高さを低く抑制することがで
きる。
【0048】(2)また、請求項2の複合梁床は、前記
上方コンクリート版の上側に、調和空気を流通する程度
の隙間をもって床板を設け、この床板下を上方コンクリ
ート版に形成した開口部を介して前記空間に連通すると
ともに、この床板の適宜部位に吹出口または吸込口を形
成したので、この床板下は、全体を空気の流通路とする
ことができる。従って、前記床板のいかなる部位にも吹
出口または吸込口を形成することができるため、該吹出
口または吸込口のレイアウトが更に容易となる。
【0049】(3)更に、請求項3の複合梁床は、前記
上方コンクリート版を、鉄骨梁の上端に直接当接する波
形のデッキプレートと、このデッキプレートの上側に打
設されるコンクリートとで構成し、該デッキプレートの
上方に凹設された波形部分内に鉄骨梁の上端部を嵌入さ
せたので、鉄骨梁に対してデッキプレートをより下方に
配置することができる。従って、該デッキプレートの上
側にコンクリートを打設して複合梁床を完成した場合
に、この複合梁床の全体高を低く形成することができる
ため、前記天井スペースをより縮小することができる。
【0050】(4)更にまた、請求項4の複合梁床の構
築方法は、1組となった複数の鉄骨梁を互いに平行に配
置し、これら鉄骨梁の上端部間および下端部間の一方に
下方コンクリート版を密閉状態で取り付けて一体化する
ことにより梁床の予備組付け体を形成し、この予備組付
け体を前記下方コンクリート版を下向きにして現場に設
置した後、複数の鉄骨梁の上端部間に上方コンクリート
版を密閉状態で取り付けるようにしたので、前記予備組
付け体の形成段階では、これを現場とは異なる広い作業
スペースを確保できる場所、例えば工場などで製作し、
これを現場に搬入して設置し、残りのコンクリート版を
取付けることができる。従って、前記予備組付け体の製
作を広い作業スペースで行うことができるため、複数の
予備組付け体を同時製作するなどして大量生産を可能と
し、これによって生産能率の大幅な向上ととともに、安
全性をも確保することができる。
【0051】(5)また、本発明の請求項5に示す複合
梁床の構築方法は、下方コンクリートにプレストレスを
導入することにより、曲げ強度の補強効果が生ずるとと
もに、下方コンクリート版のひび割れを防止できる。
【0052】(6)更にまた、本発明の請求項6に示す
複合梁床の構築方法は、複数の前記予備組付け体を前記
下方コンクリート版を下向きにして現場に設置して、こ
れら予備組付け体の上端部間に上方コンクリート版を連
続して取付け、各予備組付け体の端部の鉄骨梁間に形成
される空間部を還気・排気通路または排煙通路として用
いることにより、この還気・排気通路または排煙通路を
前記空気供給用の空間と併設して梁床に形成することが
できるため、該還気・排気通路または排煙通路のレイア
ウトを容易にするとともに、還気・排気または排煙のた
めのダクトを余分に設ける必要が無くなるという優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる複合梁床の一実施形態を示す断
面図である。
【図2】本発明にかかる複合梁床の製作途中を示す要部
断面図である。
【図3】本発明にかかる複合梁床の他の実施形態を示す
断面図である。
【図4】本発明にかかる複合梁床の更に他の実施形態を
示す断面図である。
【符号の説明】
10 複合梁床 12 鉄骨梁 14 上方コンクリート版 16 下方コンクリート版 18 ダクト空間 20 吹出口 22 予備組付け体 24 デッキプレート 26 コンクリート 42 床板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 9/06 E04B 5/55 W

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置した複数の鉄骨梁を1
    組とし、この1組となった複数の鉄骨梁の上端部間およ
    び下端部間に、上方コンクリート版および下方コンクリ
    ート版をそれぞれ密閉状態で取り付けて一体化し、これ
    ら鉄骨梁と上,下方コンクリート版とで囲まれる空洞部
    を、空気が流通し、または配管,配線を配設する空間と
    し、かつ、前記上,下方コンクリート版の少なくとも一
    方に、該空間に連通する空気の吹出口または吸込口を形
    成したことを特徴とする複合梁床。
  2. 【請求項2】 前記上方コンクリート版の上側に、空気
    を流通する程度の隙間をもって床板を設け、この床板下
    を上方コンクリート版に形成した開口部を介して前記空
    間に連通するとともに、この床板の適宜部位に空気の吹
    出口または吸込口を形成したことを特徴とする請求項1
    に記載の複合梁床。
  3. 【請求項3】 前記上方コンクリート版は、鉄骨梁の上
    端に直接当接する波形のデッキプレートと、このデッキ
    プレートの上側に打設されるコンクリートとで構成し、
    該デッキプレートの上方に凹設された波形部分内に鉄骨
    梁の上端部を嵌入させたことを特徴とする請求項1また
    は2に記載の複合梁床。
  4. 【請求項4】 1組となった複数の鉄骨梁を互いに平行
    に配置し、これら鉄骨梁の上端部間および下端部間の一
    方に下方コンクリート版を密閉状態で取り付けて一体化
    することにより梁床の予備組付け体を形成し、この予備
    組付け体を前記下方コンクリート版を下向きにして現場
    に設置した後、複数の鉄骨梁の上端部間に上方コンクリ
    ート版を密閉状態で取り付けることを特徴とする複合梁
    床の構築方法。
  5. 【請求項5】 前記下方コンクリートにプレストレスを
    導入することを特徴とする請求項4に記載の複合梁床の
    構築方法。
  6. 【請求項6】 複数の前記予備組付け体を前記下方コン
    クリート版を下向きにして現場に設置して、これら予備
    組付け体の上端部間に上方コンクリート版を連続して取
    付け、各予備組付け体の端部の鉄骨梁間に形成される空
    間部を還気・排気通路または排煙通路として用いること
    を特徴とする請求項4または5に記載の複合梁床の構築
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003074142A (ja) * 2001-08-30 2003-03-12 Ohbayashi Corp 床および天井構造
US6930115B2 (en) 2000-06-23 2005-08-16 Mitsubishi Pharma Corporation Antitumor effect potentiators

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US6930115B2 (en) 2000-06-23 2005-08-16 Mitsubishi Pharma Corporation Antitumor effect potentiators
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