JP2000063973A - 自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材及びその製造方法 - Google Patents

自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材及びその製造方法

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JP2000063973A
JP2000063973A JP10311208A JP31120898A JP2000063973A JP 2000063973 A JP2000063973 A JP 2000063973A JP 10311208 A JP10311208 A JP 10311208A JP 31120898 A JP31120898 A JP 31120898A JP 2000063973 A JP2000063973 A JP 2000063973A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 スポット溶接性と、化成処理性、脱脂性など
の表面処理性とに優れ、高い強度と延性を有して衝撃吸
収性の優れた自動車車体構造部材用アルミニウム合金押
出材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Si、Mg、Mn、Zn、Cu、Feを
特定したAl合金を用いた押出材であって、導電率48
%IACS以下、溶融開始温度570℃以下である自動
車車体構造部材用アルミニウム合金押出材、及び前記組
成のアルミニウム合金鋳塊を、520℃を越え570℃
以下のビレット温度で1時間以上の均質化処理後400
℃を越え520℃以下の温度で1時間以上保持する均質
化処理後、冷却、再加熱し、330℃を越え500℃以
下のビレット温度で熱間押出を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強度及び衝撃吸収性
とスポット溶接性及び表面処理性に優れ、かつ、原料と
して自動車回収アルミ鋳物屑、アルミ缶屑等の回収アル
ミニウム材を用いて低価格で製造しうる自動車車体構造
部材用アルミニウム合金押出材及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車の構造部材には、形状が複雑で、
中空の部材が多く、アルミニウム合金材は、軽量で他の
材料より押出成形に適するので、自動車車体構造部材と
してアルミニウム合金の押出材の使用が検討されてい
る。このアルミニウム合金の押出材は軽量の上、高剛性
といった特徴があり、さらにそれ自体がクラッシュする
ことにより衝突時のエネルギーを吸収することができ、
安全性を高めることができることからも好適な材料であ
る。しかし、このようなアルミニウム合金の押出材に従
来用いられていた材質は主として6063をはじめとす
る6000系アルミニウム合金であるが、これらの60
00系アルミニウム合金は他の材料に比べ比較的強度が
低く、衝撃吸収エネルギーが小さいため、材料肉厚を厚
くする必要があるという問題があった。またスポット溶
接性が低く、自動車の組立工程において、スポット溶接
に非常な大電流を必要とし、生産性を下げること、表面
塗装などを行う場合に、脱脂性、化成処理性が悪く、そ
のため耐久性の良い塗装が困難なこと等の問題があっ
た。特に自動車の構造部材の中でもサイドフレーム、リ
ヤフレーム、センターピラー、サイドシル、フロアフレ
ームのような車体構造部材と呼ばれるものは、スポット
溶接などによって固定されると同時に外部環境に露出さ
れ、さらにドロ水等の腐食環境にさらされるため、耐食
性を向上させる目的で塗装などが行われることから、化
成処理性まで必須の材料である。
【0003】しかし、従来、アルミニウム合金として要
求される押出性と強度及び加工性、スポット溶接性、表
面処理性等の自動車車体構造部材として必要な各種性能
を備え、リサイクル性にも優れた材料は開発されていな
かった。 (1)例えば、特開昭58−31055号には、Si
2.3〜6wt%、Mg0.4〜1.0wt%、Mn
0.4〜1.0wt%及び少量のZn及びSnを含み、
残部がAlよりなる、強度、溶接性、切削性を改善させ
た構造用アルミニウム合金が開示されているが、スポッ
ト溶接性は十分でなく、Cu、Znの両元素を含有し、
アルミニウム合金の溶融温度を低下させ、スポット溶接
性と塗装前処理時の化成処理性(りん酸亜鉛の付着性)
を改善したものでない点で本発明とは大きく異なる。 (2)また、特開昭61−190051号には、5〜1
5wt%のSiと1.0wt%までのMgを含み、Fe
の含有量を0.5wt%以下とし、Cu、Mnなどを
0.25wt%以下としたAl合金を用いるAl系中空
押出形材の製造方法が開示されているが、このAl合金
は、本発明よりSi添加量が多く、耐熱・耐磨耗特性を
向上させた合金で、自動車の高温暴露部材や摺動部材用
の棒材及び厚肉押出材として使用され、スポット溶接性
及びりん酸亜鉛付着性等の表面処理性が低く、押出性も
不足する。従ってこの材料は、本発明のような車体構造
用押出部材として使用しうるものではない。
【0004】(3)さらに、特開平5−271834号
には、Mg 0.2〜1.2wt%、Si 1.2〜
2.6wt%を含有し、かつ、{Si(wt%)−Mg
(wt%)/1.73}の値が0.85を超え2.0未
満で、残部がAlよりなり、結晶粒が微細で、人工時効
性が安定なアルミニウム合金が開示されている。これは
MgとSiの組成比を化学量論的な組成より、過剰Si
側として、Mg2 Siを生成しやすくした合金で、これ
らは従来のJIS 6N01合金やAA6005合金の
組成について、Mg、Siの成分範囲を大きくしたに過
ぎず、押出性は優れるが、その他のスポット溶接性や表
面処理性は不十分である。 (4)さらにまた、特開平8−25874号には、Si
0.5〜2.5wt%、Fe 0.2〜1.0wt
%、Zn 0.45〜1.5wt%、Cu 0.05〜
1.0wt%、Mn 0.4〜1.5wt%を含有する
自動車構造部材用アルミニウム合金押出材が記載されて
いる。この押出材は、押出性、強度、表面処理性は優れ
るが、素材の電気抵抗が低く、スポット溶接性には問題
があった。即ち、自動車の車体構造部材の量産ラインの
スポット溶接においては、溶接用電極の損耗が問題であ
り、電極の損耗が進むと溶接部の組織が不安定となり、
ナゲット寸法が変化し接合部の強度が低下するため、電
極の交換を頻繁に行わなければならず、量産ラインの生
産性を乱す最大の原因で、溶接用電極の損耗がスポット
溶接性に絡む最大の問題であった。また近年、環境問
題、資源の有効利用などの点から、使用済みの製品のリ
サイクルの重要性が高まってきており、自動車部品の回
収義務を立法化しようという動きもあり、金属屑の再利
用について種々検討されている。この中でとりわけ、回
収されているアルミ缶や廃車になった自動車の屑から高
品質の材料を再生する技術の確立が切望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
スポット溶接性と、化成処理性、脱脂性などの表面処理
性とに優れ、高い強度と延性を有して衝撃吸収性の優れ
た自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材を提供
することを目的とする。また、本発明は、このようなス
ポット溶接性、表面処理性及び衝撃吸収性の優れた自動
車車体構造部材用アルミニウム合金押出材の製造方法を
提供することを目的とする。さらに本発明は、原料にア
ルミ缶回収屑や自動車アルミニウム部品屑を用いて製造
しうる上記のような優れた特性を有する自動車車体構造
部材用押出材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、特定の組成を有するアルミニウ
ム合金を用い、これを特定の条件で均質化処理後、熱間
圧延処理することにより得られた押出材により、上記課
題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明
をなすに至った。すなわち本発明は、(1)Si 2.
6wt%(以下単に、wt%を%と記す)を越え4.0
%以下、Mg 0.3%を越え1.5%以下、Mn
0.3%を越え1.2%以下、Zn 0.3%を越え
1.2%以下、Cu 0.2%を越え1.2%以下、及
びFe 0.1%を越え1.5%以下を含有し、残部が
Al及び不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を用
いた押出材であって、導電率48%IACS以下、溶融
開始温度570℃以下であることを特徴とする自動車車
体構造部材用アルミニウム合金押出材、(2)前記アル
ミニウム合金がさらにSr又はSbを50〜500pp
m含有することを特徴とする(1)項記載の自動車車体
構造部材用アルミニウム合金押出材、(3)アルミニウ
ム合金鋳塊を、520℃を越え570℃以下のビレット
温度で1時間以上の均質化処理後400℃を越え520
℃以下の温度で1時間以上保持する均質化処理後、冷
却、再加熱し、330℃を越え500℃以下のビレット
温度で熱間押出を行うことを特徴とする(1)又は
(2)項記載の自動車車体構造部材用アルミニウム合金
押出材の製造方法、(4)押出ダイスの材料摺動面の少
なくとも一部がセラミックスコーティングを有すること
を特徴とする(3)項記載の自動車車体構造部材用アル
ミニウム合金押出材の製造方法、及び(5)アルミニウ
ム合金鋳塊の少なくとも一部に、Mn 0.5%を越え
1.2%以下及びMg 1.2%を越え2.0%以下を
含むアルミニウム缶回収屑と、Si 2.5%を越え1
4%以下を含む自動車アルミニウム部品屑を使用したこ
とを特徴とする(3)又は(4)項記載の製造方法で製
造した自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材を
提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いるアルミニウ
ム合金は、Si 2.6%を越え4.0%以下、好まし
くは2.6〜3.5%、Mg 0.3%を越え1.5%
以下、好ましくは0.3〜0.8%、Mn 0.3%を
越え1.2%以下、好ましくは0.3〜0.8%、Zn
0.3%を越え1.2%以下、好ましくは0.3〜
0.8%、Cu 0.2%を越え1.2%以下、好まし
くは0.2〜0.8%、及びFe0.1%を越え1.5
%以下、好ましくは0.1〜1.0%以下を含有する。
【0008】本発明のAl合金材中の各元素の作用を説
明する。SiはAl合金材の強度を高める一方、必要な
伸びを確保し、衝撃吸収エネルギー増大の作用を奏す
る。その含有量が2.6%未満ではその作用が不足し、
4.0%を越えると押出しが困難となる。ここで衝撃吸
収エネルギーとは圧縮、伸び変形などによって吸収しう
るエネルギーをいい、本発明では引張試験における破断
までの変形エネルギーで評価する。この値は0.035
Nm/mm2 以上が好ましく、0.04Nm/mm2
上がより好ましい。また、Mgは、上記Siと金属間化
合物を形成し、Mg2 Siを生成し強度を向上する作用
がある。Mgが少なすぎると、その効果が不足し、多す
ぎると押出性が悪化する。Mnは、強度を増大させ衝撃
吸収エネルギーを向上させる。Mnが少なすぎるとその
作用が不足し、多すぎるとAl−Mnの粗大晶出相を発
生し衝撃吸収エネルギーが低下するとともに押出性を低
下させる。Znは合金の融点を低下させ、スポット溶接
性を向上させると同時に、表面反応性を増加させ、これ
により脱脂性、化成処理性等の表面処理性を向上させ
る。従来の自動車構造部材用アルミニウム合金押出材で
はZnを多くすると、自己耐食性が悪化するという難点
があったのに対し、本発明の組成では表面塗装が施され
るため、自己耐食性低下の許容範囲が拡大することによ
り、これが阻止されている。Znが少なすぎるとスポッ
ト表面処理性が不足し、多すぎると耐食性が低下する。
Cuは合金の強度を増大させると同時に導電性及び融点
を低下させ、スポット溶接性を向上させる。また、合金
の強度増大による衝撃吸収エネルギーの向上にも寄与す
る。Cuが少なすぎるとその作用が不足し、多すぎると
押出しが困難となる。また、Feは、結晶粒微細化によ
る靱性向上、衝撃吸収エネルギー増大の作用がある。F
eが少なすぎるとその作用が不足し、多すぎると粗大晶
出相により、押出し性が悪化し、衝撃吸収エネルギーが
低下する。
【0009】本発明においてアルミニウム合金には、必
要に応じてさらにSr又はSbを50〜500ppm含
有させることができる。このSr又はSbは、上記した
アルミニウム合金のSi粒子を微細化する作用を奏す
る。Sr又はSbは添加量が50ppm以下では微細化
効果が不足し、500ppmを越えると微細化効果がな
くなり、いわゆるオーバーモディフィケーション状態と
なる。したがって、これらの元素は50〜500pp
m、好ましくは50〜300ppm程度添加される。ま
た、Si粒子の微細化のため、SrやSbの代わりに、
Naが用いられることがあるが、熱間押出時の割れ原因
となるため、極力使用せず、SrやSbを使用すること
が望ましい。NaはSi粒子の微細化処理の観点からは
最大でも約150ppm程度で十分とされているが、押
出時の熱間割れを考慮すると、使用量はその数分の1と
する必要がある。また、本発明のアルミニウム合金押出
材の導電率は48%IACS以下、好ましくは46%I
ACS以下であり、かつ、溶融開始温度が570℃以
下、好ましくは560℃以下である。導電率が低く、か
つ、溶融開始温度が低いことにより、車体組立工程にお
いてスポット溶接を大電流を必要とせず、電極寿命も大
幅に改善できるため、スポット溶接部の溶接品質と溶接
ラインの生産性を維持しながらスポット溶接を行うこと
ができる自動車車体構造部材用押出材とすることができ
る。
【0010】本発明の自動車車体構造部材用アルミニウ
ム合金押出材は、上記した組成のアルミニウム合金鋳塊
を特定の条件で均質化処理したのち、冷却、再加熱し、
所定の温度で熱間押出を行うことにより製造できる。こ
のときの均質化処理は、450℃を越え520℃以下
の温度で1時間以上の均質化処理、520℃を越え5
70℃以下のビレット温度で1時間以上の均質化処理、
又は520℃を越え570℃以下のビレット温度で1
時間以上の均質化処理後400℃を越え520℃以下の
温度で1時間以上保持、の、又はのいずれかによ
って行うことができる。450℃を越える温度での均質
化処理により、Mg2 Siが析出し、変形抵抗が低下す
る。さらに520℃を越える高温での均質化処理を行う
とMn系析出物が粗大化し、Mg共存下での高温変形抵
抗が軽減され、押出速度の上限を上げることができる。
400℃を越え520℃以下の温度での均質化処理は、
Mg2 Siを析出させ、さらに変形抵抗を減少させるこ
とができ、これにより押出速度の上限がさらに増大す
る。また、ビレット加熱温度は低すぎると圧力が過大に
なり押出ができなくなる。高すぎると押出時の加工発熱
で溶融が発生する。
【0011】本発明の自動車車体構造部材用アルミニウ
ム合金押出材はその製造においては、従来法より押出速
度をより大きくしうることを特徴とする。さらに、押出
ダイスの材料摺動面の一部又は全部にセラミックスコー
ティングを行うと、摺動抵抗が低下し、押出材速度の上
限を約20%向上させることができ、好ましい。セラミ
ックスコーティングは、少なくとも3mm以下のクリア
ランスを有する部分、もしくはダイス面全部に施すこと
がさらに好ましい。上記のように、特定の組成のアルミ
ニウム合金鋳塊を特定の温度で均熱処理、押出処理する
ことで、押出時の割れの発生、押出荷重の過大等が改善
され、生産性が向上する。押出時の割れの原因はメタル
フローの差によって各部位の速度に差ができ、押出形材
の内部に内部剪断力が働きその張力で破断にいたるもの
と推定され、特に中柱のあるホロー材は部位による速度
差がつきやすく加工発熱も一般に大きいため割れ発生の
可能性が高いが、本発明方法によればこのような形状の
部材も割れを発生することなく高い押出速度で製造する
ことができる。
【0012】本発明における合金では熱間押出時に割れ
が発生しやすく、生産性を悪化させる恐れがあるが、以
下に示す、均質化処理及び押出材の形状との関係から求
まる速度で押出を行うことにより、割れを回避すること
ができる。(Vは押出速度(m/分)、Tは押出開始時
のビレット温度(℃)を表わす。) 450℃を越え520℃以下の温度で1時間以上の均質化処理を行った場合 中柱のあるホロー材 :V < 14000/T 中柱のないホロー材及びソリッド材:V < 20000/T 520℃を越え570℃以下の温度で1時間以上の均質化処理を行った場合 中柱のあるホロー材 :V < 15000/T 中柱のないホロー材及びソリッド材:V < 22000/T 520℃を越え570℃以下の温度で1時間以上の均質化処理を行った後、4 00℃を越え530℃以下の温度で1時間以上の保持を行った場合 中柱のあるホロー材 :V < 16000/T 中柱のないホロー材及びソリッド材:V < 24000/T 上記の通り、押出速度は、、の順に優れる。
【0013】本発明の自動車車体構造部材用アルミニウ
ム合金押出材の製造方法では、アルミ缶や廃車になった
自動車のアルミニウム層をリサイクルして使用すること
ができることが特徴の1つである。本発明で用いるアル
ミニウム合金はSi、Mn、Znを多く含むので、その
原料として各種の金属屑をリサイクル利用することが可
能である。利用できるリサイクル屑としては例えば、回
収したアルミニウム缶や自動車のエンジン屑をはじめと
する部品屑などがある。好ましくはMn 0.5%を越
え1.2%以下及びMg 1.2%を越え2.0%以下
を含むアルミニウム缶回収屑、及びSi 2.5%を越
え14%以下を含む自動車アルミニウム部品屑などの回
収材を原料の一部に用いる。この場合、回収材には必要
に応じて純化処理を行うが、これらの純化処理は、α固
溶体分離処理等の通常行われている方法で行うことがで
きる。このような純化処理方法自体は公知であり、例え
ば、特開平7−54061号、同7−197140号な
どに記載があり、これに従って行うことができる。上記
のような屑を使用することにより、得られる部材の衝撃
吸収エネルギーを増加させることができる。また、これ
らの屑は比較的入手しやすく、部材のコスト低減にもつ
ながる。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。表4及び表5に示すように、表1に示すA
〜Iの組成のアルミニウム合金を、表3に示すI〜VIの
条件でソーキング、押出加工を行い、アルミニウム合金
押出材試料1〜15の製造試験を行った。押出時ファン
空冷後、180℃で2時間時効処理したのち、下記の特
性を評価した。結果を表4及び表5に示した。なお、表
1のA〜Cに用いたADC12Z、UBC及びAC4C
Hの組成は表2の通りであり、純化はα固溶体分離処理
法によって行った。各特性の試験方法は次の通りであ
る。 引張試験(引張り強さ、耐力、伸び値) インストロン型引張試験機で、JIS5号試験片を用
い、引張速度10mm/minで行い、引張強さ、耐
力、伸び値を求めた。 衝撃吸収エネルギー 押出形材の引張、圧縮等の塑性変形によって吸収し得る
エネルギーのことで、引張試験における破断までの変形
エネルギーを求めた。 導電率 標準試験片にて調整した測定装置により渦電流法により
測定し、IACS%で表した。
【0015】溶融開始温度 昇温速度20℃/minでDSC法にて、熱分析を行っ
て求めた。 リン酸亜鉛付着量 リン酸亜鉛処理は、各工程とも、日本パーカーライジン
グ製の市販薬剤を用い、70mm×150mmの寸法の
試験片にて、脱脂及び表面調整の前処理後、リン酸亜鉛
処理を行うという手順で行った。その処理工程は、脱脂
剤(商品名FC−L4460)で43℃×2minの脱
脂後、表面調整剤(商品名PL−4040)で室温×3
0sec後、さらにリン酸亜鉛処理剤(商品名PB−L
3020)で43℃×2minのリン酸亜鉛処理を行
い、処理終了後、水洗、乾燥し、リン酸亜鉛の単位面積
当たりの付着重量を測定した。
【0016】スポット溶接性 スポット溶接は、単相整流溶接器にて、1%Cr−Cu
Rタイプ電極R=150を用い、加圧力3923N
(400Kgf)、溶接電流30KAで行った。なお、
スポット溶接は、加圧力を一定時間保持し、その加圧力
保持の間に溶接電流を印加し、一定溶接電流を一定時間
保持した後、溶接電流印加終了後も、材料のナゲット部
が完全に凝固するまでの間、加圧力を保持する方法で行
った。ここで加圧力付加後、溶接電流の立ち上がるまで
の時間(スクイズタイム)は35サイクル(0.70s
ec)、一定電流値を保持し材料を溶融する時間(ウエ
ルドタイム)を12サイクル(0.24sec)、さら
に電流印加終了後の保持時間(ホールドタイム)を15
サイクル(0.30sec)とし、溶接は1スポット/
3secで行い、その結果、引張せん断荷重が3000
kN以下となった点を電極寿命として評価した。 曲げ加工性 90°のV字曲げ(先端R 2mm)を行い、割れが発
生しなければ良好、割れの発生したものは不良と評価し
た。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】表4及び表5の結果から明らかなように、
比較例としての試料10は、衝撃吸収エネルギーが低
く、スポット溶接時の電極寿命が短い。さらに溶融開始
温度が高く、りん酸亜鉛付着量も小さく表面処理性が劣
る。試料11は、引張強さ及び耐力が著しく劣り、衝撃
吸収エネルギーが著しく小さく、強度等機械的特性面で
実用性がない。また、この試料11は導電率と溶融開始
温度が高く、スポット溶接時の電極寿命も短く、りん酸
亜鉛付着量(1.8g/m2 以上が必要であり、2.0
g/m2 以上が好ましい)も0.75g/m2 と著しく
低い。また試料12は、引張強さ、伸び、衝撃吸収エネ
ルギーは大きく、溶接性も良いが、りん酸亜鉛付着量が
1.65g/m2 と低く、化成処理性に劣る。以上、試
料10〜12は、強度、衝撃吸収エネルギー、溶接性
(スポット溶接時の電極寿命)、化成処理性のいずれか
が低い等の問題がある。また試料13〜15は、押出性
が著しく悪く、試料13及び15はホロー材の中柱が割
れ、試料14は押出不能で、目的の押出材が得られなか
った。これに対し本発明の試料1〜9は、引張強さ及び
伸びが優れ、衝撃吸収エネルギーが高く、導電率、溶融
開始温度が低い。そして表面処理性を示すリン酸亜鉛付
着量は1.87〜2.44g/m2 の値を示し非常に優
れ、さらにスポット溶接時の電極の損耗が少なく、電極
の寿命が長くスポット溶接性も優れる。
【0023】
【発明の効果】本発明の自動車車体構造部材用アルミニ
ウム合金押出材は、導電性と溶融開始温度が低いためス
ポット溶接時に電極の損耗が少なく、組立工程の生産性
向上を達成でき、脱脂性、化成処理性がよいため表面処
理性に優れ、さらに強度も高く、衝撃吸収エネルギーが
大きいので、肉厚が薄くてよいという優れた効果を奏す
る。このアルミニウム合金押出材は、自動車車体構造部
材として、サイドフレーム、リアフレーム、センターピ
ラー、サイドシル、フロアフレームのようなスポット溶
接性と表面処理性の両者が要求される用途に用いられ
る。また、本発明の製造方法によれば、高い押出速度で
割れのない押出材を生産性よく製造できる。さらに本発
明の自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材は、
アルミ缶回収屑や自動車アルミニウム部品屑などを用い
て高品質、低コストで製造することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 631 C22F 1/00 631Z 661 661A 682 682 683 683 691 691B 691A 693 693A 693B 694 694B (72)発明者 柏崎 和久 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 大原 伸昭 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 林 登 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si 2.6wt%を越え4.0wt%
    以下、Mg 0.3wt%を越え1.5wt%以下、M
    n 0.3wt%を越え1.2wt%以下、Zn 0.
    3wt%を越え1.2wt%以下、Cu 0.2wt%
    を越え1.2wt%以下、及びFe 0.1wt%を越
    え1.5wt%以下を含有し、残部がAl及び不可避的
    不純物よりなるアルミニウム合金を用いた押出材であっ
    て、導電率48%IACS以下、溶融開始温度570℃
    以下であることを特徴とする自動車車体構造部材用アル
    ミニウム合金押出材。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金がさらにSr又は
    Sbを50〜500ppm含有することを特徴とする請
    求項1記載の自動車車体構造部材用アルミニウム合金押
    出材。
  3. 【請求項3】 アルミニウム合金鋳塊を、520℃を越
    え570℃以下のビレット温度で1時間以上の均質化処
    理後400℃を越え520℃以下の温度で1時間以上保
    持する均質化処理後、冷却、再加熱し、330℃を越え
    500℃以下のビレット温度で熱間押出を行うことを特
    徴とする請求項1又は2記載の自動車車体構造部材用ア
    ルミニウム合金押出材の製造方法。
  4. 【請求項4】 押出ダイスの材料摺動面の少なくとも一
    部がセラミックスコーティングを有することを特徴とす
    る請求項3記載の自動車車体構造部材用アルミニウム合
    金押出材の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルミニウム合金鋳塊の少なくとも一部
    に、Mn 0.5wt%を越え1.2wt%以下及びM
    g 1.2wt%を越え2.0wt%以下を含むアルミ
    ニウム缶回収屑と、Si 2.5wt%を越え14wt
    %以下を含む自動車アルミニウム部品屑を使用したこと
    を特徴とする請求項3又は4記載の製造方法で製造した
    自動車車体構造部材用アルミニウム合金押出材。
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