JP2000063668A - 熱媒体用配管部材 - Google Patents

熱媒体用配管部材

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JP2000063668A
JP2000063668A JP10251990A JP25199098A JP2000063668A JP 2000063668 A JP2000063668 A JP 2000063668A JP 10251990 A JP10251990 A JP 10251990A JP 25199098 A JP25199098 A JP 25199098A JP 2000063668 A JP2000063668 A JP 2000063668A
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heat medium
thermoplastic resin
piping member
resin composition
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JP10251990A
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Satoshi Usui
智 臼井
Yasuhiro Suzuki
康浩 鈴木
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度、靭性、耐久性、成形加工性、表面性、
二次加工性、耐熱性、耐溶剤性などに優れた熱可塑性樹
脂製の熱媒体用配管部材を提供すること。 【解決手段】 (A)温度310℃、剪断速度1200
/秒で測定した溶融粘度が100〜700Pa・sのポ
リアリーレンスルフィド樹脂40〜95重量%、(B)
他の熱可塑性樹脂2〜30重量%、及び(C)平均粒子
径が150μm以下の無機充填材3〜58重量%を含有
し、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶
融粘度が250〜750Pa・sの熱可塑性樹脂組成物
を成形してなる熱媒体用配管部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィド樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形して
なる熱媒体用配管部材に関し、さらに詳しくは、強度、
靭性、耐久性、成形加工性、表面性、二次加工性(例え
ば、ライニング加工性)、耐熱性、耐溶剤性などに優れ
た熱媒体用配管部材に関する。本発明の熱媒体用配管部
材は、それ自体で、あるいは金属管内面にライニング加
工したライニング管として、温水、沸騰水、水蒸気、冷
媒などの各種熱媒体を流通させるための配管部材として
好適である。本発明の熱媒体用配管部材は、例えば、大
規模地域冷暖房システム、病院、ホテルなどでの大規模
な給湯設備用配管、一般家庭での給湯器具や冷暖房器具
用配管、太陽熱利用システムでの温水配管、温泉地での
温泉配管などとして、広範な分野で使用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、
「PAS樹脂」と略記)は、式[−Ar−S−](式
中、Arは、アリーレン基である。)で表されるアリー
レンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする
芳香族ポリマーであり、ポリフェニレンスルフィド樹脂
(以下、「PPS樹脂」と略記)がその代表例である。
PPS樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、寸法安定
性、機械的特性、電気絶縁性などに優れたエンジニアリ
ングプラスチックであり、広範な分野で使用されてい
る。
【0003】従来より、PAS樹脂は、耐熱性、耐熱水
性などの特性を活かして、例えば、給湯管などの熱媒体
用配管部材の用途に用いられている。より具体的には、
例えば、(1)金属製の管や継手などの内面にPAS樹
脂をコーティング加工した配管部材(コーティング
管)、(2)金属管の内面にPAS樹脂をライニング加
工した配管部材(ライニング管)、(3)PAS樹脂と
強化材のガラス繊維とを含有する樹脂組成物から形成さ
れた配管部材(樹脂管)などが知られている。これらの
配管部材は、耐熱性、耐熱水性、耐蝕性などに優れてい
る。しかしながら、これら公知の配管部材は、それぞれ
一長一短があって、十分に満足する性能を有するもので
はなかった。
【0004】具体的に、コーティング管は、管内面に平
滑なPAS樹脂の皮膜が形成されているため、汚染や腐
食から保護されている。しかしながら、コーティング法
により、長い金属管の内面にPAS樹脂の薄い皮膜を形
成するには、技術的な制約がある。特に小さな口径の長
い金属管に対して、コーティング法により、その内面に
薄い均一な皮膜を形成することは、極めて困難である。
即ち、コーティング法では、皮膜の厚みが不均一になり
やすく、さらには、製膜時にピンホールが発生しやす
い。したがって、コーティング法は、配管部材の大規模
生産には不適当な方法であった。コーティング法によ
り、各種継手を生産する場合も、金属部品の一個一個に
対してコーティング処理を施す必要があるため、量産性
に乏しく、高価格な製品になってしまうという問題があ
った。
【0005】従来、金属管にPAS樹脂をライニング加
工したライニング管として、特開昭59−85747号
公報には、加熱した金属管に室温状態のPAS樹脂管を
挿入し、金属管を絞り込み加工(即ち、縮径)して、両
者を一体化したものが提案されている。しかしながら、
従来のPAS樹脂製の管部材は、このような縮径加工時
に加えられる極めて大きな外力によって、破損やクラッ
クの発生などの問題を生じやすく、得られる製品の品質
及び歩留に限界があった。
【0006】PAS樹脂にガラス繊維を配合した樹脂組
成物を用いて形成した樹脂管は、主として射出成形品を
中心に、給湯管関連部材に応用されている。しかしなが
ら、この樹脂管は、熱水下に長時間さらされると、強度
低下が起きやすく、信頼性が十分ではなかった。また、
この樹脂管は、ガラス繊維が内表面に浮き出るため、耐
汚染性が不十分であり、雑菌の繁殖のおそれがあった。
さらに、このようなガラス繊維強化樹脂管を金属管と組
み合わせてライニング加工すると、樹脂管の破損が生じ
やすい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、強
度、靭性、耐久性、成形加工性、表面性、二次加工性、
耐熱性、耐溶剤性などに優れた熱可塑性樹脂製の熱媒体
用配管部材を提供することにある。より具体的に、本発
明の目的は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含有する
樹脂材料から形成された耐熱性、耐熱水性、機械的特性
に優れ、金属管内面へのライニング加工性が良好で、し
かも接液面となる内面が平滑な熱媒体用配管部材を提供
することにある。本発明の他の目的は、このような諸特
性に優れた熱可塑性樹脂製の配管部材が金属管(例え
ば、鋼管)の内面にライニング加工された熱媒体用ライ
ニング管を提供することにある。
【0008】本発明者らは、前記従来技術の問題点を克
服するために鋭意研究した結果、PAS樹脂に、他の熱
可塑性樹脂と平均粒子径が150μm以下の無機充填材
とを配合した特定の熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出
成形または押出成形して得られる配管部材により、前記
目的を達成できることを見いだした。他の熱可塑性樹脂
と無機充填材とを併用することにより、成形加工性、引
張強度、引張伸度、耐久性などを高度にバランスさせる
ことができ、しかもライニング加工性が良好となる。ま
た、平均粒子径が小さな無機充填材を使用することによ
り、内面の平滑性が良好で、雑菌の繁殖のおそれのない
配管部材を得ることができる。本発明は、これらの知見
に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘
度が100〜700Pa・sのポリアリーレンスルフィ
ド樹脂40〜95重量%、(B)他の熱可塑性樹脂2〜
30重量%、及び(C)平均粒子径が150μm以下の
無機充填材3〜58重量%を含有し、温度310℃、剪
断速度1200/秒で測定した溶融粘度が250〜75
0Pa・sの熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱媒体
用配管部材が提供される。また、本発明によれば、以下
のような好ましい実施の態様が提供される。
【0010】1. (1)引張伸度が5.0%以上、
(2)引張強度が45.0MPa以上、かつ、(3)温
度120℃及び湿度100%の雰囲気下に120時間保
持した後に測定した引張強度の初期値に対する保持率が
65%以上である前記の熱媒体用配管部材。 2. 他の熱可塑性樹脂(B)が、ポリオレフィン及び
エポキシ変性ポリオレフィンからなる群より選ばれる少
なくとも一種のポリオレフィン系樹脂である前記の熱媒
体用配管部材。 3. 無機充填材(C)が、アルカリ金属炭酸塩、アル
カリ土類金属炭酸塩、及びシリカからなる群より選ばれ
る少なくとも一種である前記の熱媒体用配管部材。
【0011】4. 熱可塑性樹脂組成物を成形してなる
熱媒体用配管部材が、該熱可塑性樹脂組成物を射出成形
または押出成形により成形してなるものである前記の熱
媒体用配管部材。 5. 熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱媒体用配管
部材が、該熱可塑性樹脂組成物を押出機のダイからパイ
プ状に賦形して吐出し、次いで、外径サイジング法によ
り所定の径寸法に規制する押出成形法により成形してな
るパイプであって、該パイプの内面が平滑で、かつ、無
機充填材の浮き出しがないものである前記の熱媒体用配
管部材。 6. 第5項に記載のパイプを金属管内に挿入後、金属
管を縮径することにより、該パイプと金属管とを一体化
してなる熱媒体用ライニング管。
【0012】
【発明の実施の形態】(A)ポリアリーレンスルフィド
樹脂(PAS樹脂) 本発明で使用するPAS樹脂は、式[−Ar−S−]
(ただし、−Ar−は、アリーレン基である。)で表さ
れるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成
要素とする芳香族ポリマーである。繰り返し単位の[−
Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発
明で使用するPAS樹脂は、この繰り返し単位を通常5
0モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好まし
くは90モル%以上含有するポリマーである。
【0013】アリーレン基としては、例えば、p−フェ
ニレン基、m−フェニレン基、p,p′−ジフェニレン
スルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジ
フェニレンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボ
ニル基、ナフチレン基などの少なくとも一つのベンゼン
環を含む二価の芳香族残基を挙げることができる。これ
らの芳香族残基は、未置換のものだけではなく、所望に
より、アルキル基(好ましくは、炭素原子数1〜6のア
ルキル基)、フェニル基、ハロゲン原子(例えば、フッ
素、塩素、臭素)などの置換基が導入されていてもよ
い。PAS樹脂としては、主として同一のアリーレン基
を有するポリマーを好ましく用いることができるが、加
工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を含
んだコポリマーを用いることもできる。
【0014】これらのPAS樹脂の中でも、p−フェニ
レンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPP
S樹脂が、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易で
あることから特に好ましい。この他に、ポリアリーレン
ケトンスルフィド樹脂、ポリアリーレンケトンケトンス
ルフィド樹脂などを使用することができる。コポリマー
の具体例としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返
し単位とm−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有
するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンス
ルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィド
の繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリ
マー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレ
ンケトンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するラン
ダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィド
の繰り返し単位とアリーレンスルホンスルフィドの繰り
返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマーな
どを挙げることができる。これらのPAS樹脂は、結晶
性ポリマーであることが好ましい。また、PAS樹脂
は、靭性や強度などの観点から、直鎖状ポリマーである
ことが好ましい。
【0015】PAS樹脂は、極性溶媒中で、アルカリ金
属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応さ
せる公知の方法により得ることができる。アルカリ金属
硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなど
を挙げることができる。反応系中でNaSHとNaOH
を反応させることにより生成させた硫化ナトリウムも使
用することができる。ジハロゲン置換芳香族化合物とし
ては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベ
ンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロモベン
ゼン、2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ−
2,5−ジクロロベンゼン、4,4′−ジクロロビフェ
ニル、3,5−ジクロロ安息香酸、p,p′−ジクロロ
ジフェニルエーテル、4,4′−ジクロロジフェニルス
ルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホキシド、
4,4′−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げること
ができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0016】PAS樹脂に多少の分岐構造または架橋構
造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン
置換基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併
用することができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物と
しては、例えば、1,2,3−トリクロロベンゼン、
1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリク
ロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,
3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモ
ベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなど
のトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキ
ル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの
観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,
5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロ
ベンゼンがより好ましい。
【0017】極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロ
リドンなどのN−アルキルピロリドン、1,3−ジアル
キル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘ
キサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチ
ック有機アミド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子
量のポリマーが得やすいので好ましい。本発明では、実
質的に直鎖状のPPS樹脂が好ましく、また、重合後に
各種洗浄操作や熱処理を施したPPS樹脂も好適に使用
することができる。
【0018】本発明では、比較的高溶融粘度(即ち、高
分子量)のPAS樹脂を使用する。本発明で使用するP
AS樹脂の溶融粘度(温度310℃、剪断速度1200
/秒で測定)は、100〜700Pa・sの範囲であ
り、好ましくは120〜600Pa・s、より好ましく
は140〜500Pa・sである。PAS樹脂の溶融粘
度が低すぎると、PAS樹脂自体の靭性が乏しくなり、
ひいては、配管部材の靭性やその他の機械的物性が不十
分となるおそれがある。また、PAS樹脂の溶融粘度が
低すぎると、樹脂組成物の押出成形性が低下し、パイプ
等への成形加工が困難になる。さらに、そのような低溶
融粘度のPAS樹脂を含む樹脂組成物から成形した配管
部材は、耐久性が低下する傾向を示す。PAS樹脂の溶
融粘度が高すぎると、射出成形法では、樹脂組成物の粘
度が高くなりすぎて、最適成形条件の範囲が狭くなり、
また、押出成形法では、内表面が平滑なパイプを成形す
ることが困難になる。
【0019】(B)他の熱可塑性樹脂 本発明で使用する他の熱可塑性樹脂としては、成形時及
び成形後において安定なものが好ましく、例えば、高密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフ
ィン;ポリオレフィンにエポキシ基を導入したエポキシ
変性ポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、オキシナフトエ酸とオキシ
安息香酸とのコポリマー等の芳香族ポリエステル;ポリ
フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体等のフッ素樹脂;ポリアセタール、ポ
リスチレン、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポ
リアルキルアクリレート、ポリカーボネートなどが挙げ
られる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】これらの熱可塑性樹脂の中でも、樹脂組成
物とした場合に、良好な機械的物性を発現しやすいこ
と、並びに押出成形性や射出成形性に優れる点で、高密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリ
エチレン等のポリオレフィン、及びエポキシ変性ポリオ
レフィンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。靭性
及び耐久性(耐久試験後の引張強度保持率)などの観点
からは、エポキシ変性ポリオレフィン単独、あるいはエ
ポキシ変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの併用が
特に好ましい。
【0021】本発明で使用するエポキシ変性ポリオレフ
ィンとしては、例えば、(1)α−オレフィンとグリシ
ジル基含有不飽和単量体との共重合体、(2)α−オレ
フィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の
存在下に、少なくとも一種のビニル単量体とラジカル重
合性有機過酸化物とを共重合して得られるグラフト化前
駆体などを挙げることができる。
【0022】α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和
単量体との共重合体としては、両者の二元共重合体の他
に、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体と
他の不飽和単量体との三元以上の共重合体も含まれる。
共重合体中のα−オレフィン単位は、通常50〜99.
5重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましく
は70〜98重量%の範囲内である。グリシジル基含有
不飽和単量体単位は、通常0.5〜50重量%、好まし
くは1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%の
範囲内である。他の不飽和単量体単位は、通常0〜40
重量%、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0
〜20重量%の範囲内である。重合形態としては、ラン
ダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の
いずれでもよい。したがって、例えば、ポリオレフィン
の存在下にグリシジル基含有不飽和単量体をグラフト重
合して得られるグラフト変性ポリオレフィンなども、エ
ポキシ変性ポリオレフィンに含まれる。
【0023】α−オレフィンとしては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オク
テン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられるが、こ
れらの中でもエチレンが特に好ましく用いられる。グリ
シジル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル
酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モ
ノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリ
シジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエ
ステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステ
ル、マレイン酸モノグリシジルエステル、クロトン酸モ
ノグリシジルエステル、フマル酸モノグリシジルエステ
ルなどのグリシジルエステル類;ビニルグリシジルエー
テル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエ
チルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテ
ルなどのグリシジルエーテル類;p−グリシジルスチレ
ン等が挙げられる。これらの中でも、α,β−不飽和酸
のグリシジルエステルが好適に用いられる。他の不飽和
単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニルなどのビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量
体、(メタ)アクリロニトリル、スチレンなどのビニル
芳香族単量体、一酸化炭素などを挙げることができる。
【0024】α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和
単量体との共重合体の具体例としては、エチレン/メタ
クリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/
メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル
酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン
/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニ
ル/アクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。こ
れらの中でも好ましいものは、エチレン/メタクリル酸
グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メ
タクリル酸グリシジル共重合体、及びエチレン/酢酸ビ
ニル/アクリル酸グリシジル共重合体などである。α−
オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合
体は、通常、単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在
下に高圧重合することにより得ることができる。グラフ
ト変性する場合には、幹ポリマーの存在下に、グラフト
するモノマーを重合させればよい。
【0025】α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和
単量体との共重合体の存在下に、少なくとも一種のビニ
ル単量体とラジカル重合性有機過酸化物とを共重合して
得られるグラフト化前駆体は、例えば、特開平1−13
1220号公報、特開平1−138214号公報などに
開示されている公知のものである。このグラフト化前駆
体は、100〜300℃の温度に加熱することにより容
易にグラフト化する。グラフト化とは、α−オレフィン
とグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体に、ビニ
ル単量体の重合体がグラフト反応、架橋反応、これらの
混在した反応により、化学的に結合することを意味す
る。これらの重合体が化学的に結合していることは、例
えば、一方の重合体を溶解する溶剤により、2つの重合
体が分離できないことにより明らかにすることができ
る。α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体と
の共重合体には、前記と同様、他の不飽和単量体が共重
合した三元以上の共重合体も含まれる。
【0026】グラフト化前駆体中、α−オレフィンと不
飽和グリシジル基含有単量体との共重合体の割合は、通
常5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%であ
る。この共重合体の割合が少なすぎるとPAS樹脂との
相溶性が不充分となり、逆に、多すぎると樹脂組成物の
耐熱性が低下するおそれがある。グラフト化前駆体の製
造に使用されるビニル単量体としては、例えば、スチレ
ン、メチルスチレン、クロルスチレン等のビニル芳香族
単量体;(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜7のアル
キルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量
体;α,β−不飽和酸のグリシジルエステル単量体;
(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル単量
体;酢酸ビニル等のビニルエステル単量体等が挙げられ
る。
【0027】グラフト化前駆体は、α−オレフィンとグ
リシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネートなどのラジカル重合性有機過酸化物を用いて、少
なくとも一種のビニル単量体を(共)重合することによ
り得ることができる。このグラフト化前駆体は、100
〜300℃の溶融下で混練すると、グラフト化物が得ら
れる。グラフト化前駆体は、PAS樹脂及びその他の成
分との溶融混練時にグラフト化してもよいが、予めグラ
フト化してからPAS樹脂及びその他の成分と溶融混練
してもよい。ポリオレフィン及びエポキシ変性ポリオレ
フィンは、それぞれ単独で使用するか、あるいは両者を
併用することができる。
【0028】(C)無機充填材 本発明では、平均粒子径が150μm以下の無機充填材
を使用する。無機充填材の平均粒子径が大きすぎると、
熱可塑性樹脂組成物を押出機のダイからパイプ状に賦形
して吐出し、次いで、外径サイジング法により所定の径
寸法に規制する押出成形法によりパイプを成形した場
合、パイプ内面に充填材の浮き出しが生じて、平滑性が
損なわれる。パイプ内面の平滑性が損なわれると、耐汚
染性が低下し、さらには、パイプ内面の平滑でない部分
が滞留部分となり、O−157等の細菌の繁殖の場とな
る可能性があり、衛生上問題となりうる。したがって、
平均粒子径(平均長さ)が150μmを越えるガラス繊
維などの繊維状充填材は、パイプ内面の平滑性の観点か
ら好ましくない。しかも、ガラス繊維などの繊維状充填
材を配合した樹脂組成物を用いると、得られたパイプの
ライニング加工性が劣悪となり、金属管の縮径時にパイ
プの破壊やクラックを生じやすくなる。
【0029】本発明で使用する無機充填材としては、例
えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化チタ
ン、フェライト、クレー、ガラス粉、ガラスビーズ、酸
化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末等の粒状また
は粉末状充填材を挙げることができる。これらの無機充
填材の中でも、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸
塩、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩、及
びシリカは、樹脂組成物内での分散粒子径が小さく、内
面平滑性に優れたパイプ等の配管部材が得られやすいの
で、特に好ましい。これらの無機充填材は、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。また、無機充填材の平均粒子径は、好ましくは
100μm以下、より好ましくは50μm以下、特に好
ましくは30μm以下である。無機充填材の平均粒子径
の下限は、通常0.1μm程度であり、多くの場合1μ
m程度である。
【0030】熱可塑性樹脂組成物 本発明では、前記PAS樹脂(A)、他の熱可塑性樹脂
(B)、及び平均粒子径が150μm以下の無機充填材
(C)を含有する樹脂組成物を使用して、配管部材を成
形する。PAS樹脂(A)を使用することにより、耐熱
性、耐熱水性、耐薬品性、難燃性などのPAS樹脂が本
来有する優れた諸特性を発現することができる。他の熱
可塑性樹脂(B)、好ましくはポリオレフィン系樹脂を
配合することにより、引張伸度、成形加工性、ライニン
グ加工性などを改善することができる。無機充填材
(C)を配合することにより、引張強度、耐久性(耐久
試験後の引張強度保持率)、成形加工性などを改善する
ことができる。他の熱可塑性樹脂(B)と無機充填材
(C)とを併用することにより、成形加工性、引張強
度、引張伸度、耐久性などを高度にバランスさせること
ができ、しかもライニング加工性が良好となる。また、
平均粒子径が小さな無機充填材(C)を使用することに
より、内面の平滑な配管部材を得ることができる。
【0031】各成分の配合割合は、PAS樹脂(A)が
40〜95重量%、好ましくは43〜93重量%、より
好ましくは45〜90重量%、他の熱可塑性樹脂(B)
が2〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、より好
ましくは5〜20重量%、無機充填材(C)が3〜58
重量%、好ましくは4〜54重量%、より好ましくは5
〜50重量%である。PAS樹脂(A)の配合割合が小
さすぎると、耐熱性、耐熱水性、耐蝕性、耐薬品性など
のPAS樹脂の諸特性が低下し、大きすぎると、成形加
工性やライニング加工性が低下する。また、PAS樹脂
(A)の配合割合が小さすぎると、樹脂組成物を射出成
形した成形品(金型温度140℃)の引張伸度が5.0
%に達せず、靭性不足による加工時の割れの原因とな
る。PAS樹脂(A)の配合割合が大きすぎると、例え
ば、直径50mmを超えるパイプ等の配管部材の押出成
形時に、真円度や均一肉厚の保持等の加工性が低下し、
さらには、ライニング加工時に、金属管へパイプを挿入
後、金属管を縮径した際にパイプが破損しやすくなる。
【0032】他の熱可塑性樹脂(B)の配合割合が小さ
すぎると、引張伸度などの靭性が低下し、大きすぎる
と、押出時の成形加工性が低下することに加えて、樹脂
組成物中で該熱可塑性樹脂が連続相を形成し、PAS樹
脂が本来有している諸特性が損なわれる。無機充填材
(C)の配合割合が小さすぎると、引張強度や耐久性、
ライニング加工性などが低下し、大きすぎると、靭性や
成形加工性が低下する。他の熱可塑性樹脂(B)と無機
充填材(C)の合計量は、5〜60重量%、好ましくは
7〜57重量%、より好ましくは10〜55重量%であ
る。この合計量が少なすぎると、例えば、直径50mm
を超えるパイプ等の押出成形時に、真円度や均一肉厚の
保持等の加工性が極めて難しくなったり、成形品が高価
になり、工業的に好ましくない。この合計量が多すぎる
と、樹脂組成物を射出成形した成形品の引張伸度が5.
0%に達せず、靭性不足による加工時の割れの原因等に
なったり、パイプ成形時の内面の平滑性を悪化させる。
他の熱可塑性樹脂(B)と無機充填材(C)との割合
(重量比)は、好ましくは1:4〜4:1、より好まし
くは1:3〜3:1、特に好ましくは1:3〜2:1で
ある。
【0033】これらの各成分を前記配合割合でブレンド
することにより、強度、靭性、耐久性、成形加工性、表
面性、二次加工性(ライニング加工性)、耐熱性、耐溶
剤性などのバランスが高度に優れた熱可塑性樹脂製の熱
媒体用配管部材を得ることができる。また、これら各成
分を含有する樹脂組成物の溶融粘度(温度310℃、剪
断速度1200/秒で測定)は、250〜750Pa・
sの範囲であり、好ましくは260〜730Pa・sで
ある。樹脂組成物の溶融粘度が低すぎると、パイプ押出
等の押出成形での成形加工性が低下し、高すぎると、射
出成形法にとって高粘度すぎて最適成形条件範囲が狭く
なる。樹脂組成物の溶融粘度が前記範囲内にあることに
よって、射出及び押出成形の両法に対応することがで
き、しかも優れた諸特性を達成することができる。
【0034】本発明の樹脂組成物には、所望により各種
添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例
えば、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、2−ヒド
ロキシ−4−オクトシキベンゾフェノン、2−(2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等
の紫外線吸収剤、熱安定剤などの安定剤;ステアリン酸
亜鉛等の金属石鹸、ポリエチレンワックス、グリセロー
ルトリステアレート等の脂肪酸などの潤滑剤;離型剤、
結晶化促進剤、帯電防止剤、抗菌剤、難燃剤、染料・顔
料等の着色剤などを挙げることができる。これらの中
で、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸やポリエチレンワッ
クスなどの潤滑剤は、押出成形及び射出成形法の適用に
おいて、加工性を向上させる点で特に好ましい。これら
の添加剤の配合量は、それぞれ目的に応じて適宜選択す
ることができる。
【0035】熱媒体用配管部材 熱媒体とは、一般に、装置を一定の操作温度に維持する
ために加熱や冷却に使用する流体のことを意味するが、
本発明では、各種装置や器具で使用される流体や給湯に
使用される温水などの流体を広く包含する。したがっ
て、本発明では、熱媒体として、例えば、温水、沸騰
水、水蒸気、温泉、冷媒などを流通させるために用いら
れる配管部材を対象とする。熱媒体用配管部材として
は、例えば、パイプ、ライニング管、管継手類(エルボ
ー、チーズ、レデューサなど)、バルブ、流量計、シー
ル材(例えば、パッキン)などが挙げられる。
【0036】熱媒体用配管部材は、射出成形または押出
成形により製造することができる。本発明の樹脂組成物
は、射出成形性及び押出成形性が良好である。この樹脂
組成物から射出成形または押出成形により成形された配
管部材は、引張伸度が5.0%以上かつ引張強度が4
5.0MPa以上で、靭性及び強度に優れているが、こ
れに加えて、温度120℃及び湿度100%の雰囲気下
に120時間保持した後に測定した引張強度の初期値に
対する保持率が65%以上という優れた耐湿熱性(耐久
性)を示す。具体的に、本発明の成形品(配管部材)を
プレッシャークッカー試験器中に、温度120℃、湿度
100%の雰囲気下で120時間放置する耐湿熱性評価
試験で、試験前後の引張強度保持率が65%以上、好ま
しくは70%以上の優れた耐湿熱性を示す。この耐湿熱
性は、本発明の配管部材が使用される用途において、優
れた耐久性のあることを示すものである。この引張強度
保持率は、多くの場合80%以上であり、配合処方を変
化させることにより、90%以上にすることも可能であ
る。この引張強度保持率が低すぎると、熱媒体用配管部
材として長期使用中に破損事故の可能性が大きくなり、
信頼性が低下する。本発明の配管部材の引張伸度は、通
常5.0〜20.0%であり、引張強度は、通常45.
0〜80.0MPaであり、多くの場合50.0MPa
以上である。
【0037】本発明の配管部材は、外径サイジング法に
より成形することができる。即ち、熱可塑性樹脂組成物
を押出機のダイからパイプ状に賦形して吐出し、次い
で、外径サイジング法により所定の径寸法に規制する押
出成形法によりパイプに成形することができる。このよ
うにして得られたパイプは、その内面が平滑で、かつ、
無機充填材の浮き出しがないものである。したがって、
本発明の樹脂組成物を使用すると、内面が平滑であっ
て、所望の口径を有する配管部材を生産性良く製造する
ことができる。
【0038】また、このようにして得られたパイプを金
属管(例えば、鋼管)と組み合わせるライニング加工を
行うことができる。即ち、前記パイプを金属管内に挿入
後、金属管を縮径することにより、該パイプと金属管と
を一体化してライニング管を製造することができる。こ
のパイプは、金属管の縮径加工時に加えられる極めて大
きな外力によって、破損やクラックの発生などの問題を
生じることがない。このようにして、本発明によれば、
従来にない耐熱性、耐熱水性、機械的物性を有し、接液
面が平滑であり、しかも量産性のある押出成形法ないし
は射出成形法による成形が可能な熱媒体用配管部材が提
供される。
【0039】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついて、より具体的に説明する。本発明における物性の
測定法は、次のとおりである。 (1)溶融粘度 樹脂及び樹脂組成物の溶融粘度は、キャピログラフを用
いて、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定し
た。 (2)引張強度及び引張伸度 ASTM D−638に準拠し、測定温度23℃、標点
間距離50mm、クロスヘッド速度5mm/分で測定し
た。 (3)耐湿熱性試験 パイプ試料をプレッシャークッカー試験(PCT)器に
て、温度120℃×湿度100%で120時間保持した
後、試験片を切削しASTM D−256の方法で引張
強度を測定し、初期値に対する割合(保持率)を算出し
た。以下、PCT後の引張強度保持率(%)と呼ぶ。 (4)射出成形性 樹脂または樹脂組成物を射出成形機にて、シリンダ温度
280〜320℃の温度条件で成形し、その際の成形
の容易性について、以下の基準で評価した。 ○:良好、 ×:射出成形が困難である。
【0040】(5)押出成形性 樹脂または樹脂組成物を単軸押出機にて、シリンダ及び
ダイ温度280〜320℃の温度条件で、外径サイジン
グ法にて、外径59mm、肉厚3mmのパイプを成形
し、賦形性を以下の基準で評価した。 ○:良好、 △:真円度不可、 ×:賦形不可。 (6)パイプ内表面の状態 前記の押出成形により得られたパイプ内面の表面性を目
視にて観察し、以下の基準で評価した。 ○:平滑、 △:平滑であるが、局所的凹みあり、 ×:表面荒れがある。 (7)ライニング加工性 前記の押出成形により得られたパイプを、外径66mm
内径60mmの鋼管に挿入後、縮径機により鋼管内径が
56mmになるまでに縮径したライニング管を成形し、
その成形性を以下の基準で評価した。 ○:縮径時にパイプの割れや破損がなく、加工性が良
好、 △:加工条件が狭い、 ×:縮径時にパイプの割れや破損がある。
【0041】[実施例1〜11、及び比較例1〜5] <原料>PAS樹脂 A:溶融粘度 65Pa・s(呉羽化学工業社製) B:溶融粘度 140Pa・s(呉羽化学工業社製) C:溶融粘度 200Pa・s(呉羽化学工業社製) D:溶融粘度 350Pa・s(呉羽化学工業社製) E:溶融粘度 500Pa・s(呉羽化学工業社製) F:溶融粘度1000Pa・s(呉羽化学工業社製)他の熱可塑性樹脂 LLDPE:線状低密度ポリエチレン、エクソン社製E
xact3027 エポキシ変性ポリオレフィン:日本ポリオレフィン社製
レックスパール3015 無機充填材 炭酸カルシウム:白石工業社製whiton−P50
(平均粒子径=15μm) シリカ:龍森社製クリスタライトVXSR(平均粒子径
=2.5μm) ガラス繊維:日本電気硝子社製〔平均粒子径(平均長
さ)=3000μm〕 <樹脂組成物>表1に示す各成分をヘンシェルミキサー
で均一にドライブレンドした後、45mmφの二軸混練
機へ供給し、バレル温度280〜320℃の温度条件で
ペレット化した。得られたペレットについて、キャピロ
グラフにて、温度310℃、剪断速度1200/秒での
溶融粘度を測定した。各成分、配合割合、組成物の溶融
粘度などを一括して表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】<成形>上記ペレットを射出成形機へ供給
し、シリンダー温度280〜320℃の温度条件で試験
片を成形し、その際の成形の容易性について評価した。
また、この試験片を使用し、ASTM D−638に準
拠して、測定温度23℃、標点間距離50mm、クロス
ヘッド速度5mm/分で引張強度及び引張伸度を測定し
た。また、上記ペレットを単軸押出機へ供給し、シリン
ダー及びダイ温度280〜320℃の温度条件で、外径
サイジング法にて、外径59mm、肉厚3mmのパイプ
を成形し、その際の賦形性及びパイプ内面の表面性を目
視にて評価した。次に、このパイプを使用し、プレッシ
ャークッカー試験器にて、温度120℃×湿度100%
で120時間保持した後、試験片を切削し、ASTM
D−256の方法で引張強度を測定した。さらに、この
パイプを使用し、外径66mm、内径60mmの鋼管に
挿入後、縮径機により鋼管内径が56mmになるまでに
縮径したライニング管を成形し、その成形性を評価し
た。これらの結果を表2に示す。表2に示されるよう
に、本発明による熱媒体用配管部材は、優れた諸特性を
有するものである。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、強度、靭性、耐久性、
成形加工性、表面性、二次加工性、耐熱性、耐溶剤性な
どに優れた熱媒体用配管部材が提供される。本発明の配
管部材は、耐熱性、耐熱水性、機械的特性に優れ、金属
管内面へのライニング加工性が良好で、しかも接液面と
なる内面が平滑であり、耐汚染性や雑菌の繁殖防止性に
優れている。また、本発明によれば、このような諸特性
に優れた熱可塑性樹脂製の配管部材が金属管(例えば、
鋼管)の内面にライニング加工された熱媒体用ライニン
グ管が提供される。本発明の熱媒体用配管部材は、例え
ば、大規模地域冷暖房システム、病院、ホテルなどでの
大規模な給湯設備用配管、一般家庭での給湯器具や冷暖
房器具用配管、太陽熱利用システムでの温水配管、温泉
地での温泉配管などとして、広範な分野で使用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:00) (C08L 81/02 63:00) Fターム(参考) 3H111 AA01 BA01 BA15 BA31 BA34 CB03 CB08 CB14 DA11 DA26 DB03 DB09 EA04 4J002 BB032 BB072 BB122 BB172 BC032 BD142 BD152 BG052 BN122 CB002 CD192 CF062 CF072 CF082 CG002 CH072 CL002 CN011 DE106 DE116 DE136 DE146 DE226 DE236 DE246 DG046 DG056 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DL006 FA086 FD016 FD050 FD060 FD070 FD160 FD170

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)温度310℃、剪断速度1200
    /秒で測定した溶融粘度が100〜700Pa・sのポ
    リアリーレンスルフィド樹脂40〜95重量%、(B)
    他の熱可塑性樹脂2〜30重量%、及び(C)平均粒子
    径が150μm以下の無機充填材3〜58重量%を含有
    し、温度310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶
    融粘度が250〜750Pa・sの熱可塑性樹脂組成物
    を成形してなる熱媒体用配管部材。
  2. 【請求項2】 (1)引張伸度が5.0%以上、(2)
    引張強度が45.0MPa以上、かつ、(3)温度12
    0℃及び湿度100%の雰囲気下に120時間保持した
    後に測定した引張強度の初期値に対する保持率が65%
    以上である請求項1記載の熱媒体用配管部材。
  3. 【請求項3】 他の熱可塑性樹脂(B)が、ポリオレフ
    ィン及びエポキシ変性ポリオレフィンからなる群より選
    ばれる少なくとも一種のポリオレフィン系樹脂である請
    求項1または2に記載の熱媒体用配管部材。
  4. 【請求項4】 無機充填材(C)が、アルカリ金属炭酸
    塩、アルカリ土類金属炭酸塩、及びシリカからなる群よ
    り選ばれる少なくとも一種である請求項1ないし3のい
    ずれか1項に記載の熱媒体用配管部材。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱媒
    体用配管部材が、該熱可塑性樹脂組成物を射出成形また
    は押出成形により成形してなるものである請求項1ない
    し4のいずれか1項に記載の熱媒体用配管部材。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂組成物を成形してなる熱媒
    体用配管部材が、該熱可塑性樹脂組成物を押出機のダイ
    からパイプ状に賦形して吐出し、次いで、外径サイジン
    グ法により所定の径寸法に規制する押出成形法により成
    形してなるパイプであって、該パイプの内面が平滑で、
    かつ、無機充填材の浮き出しがないものである請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の熱媒体用配管部材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のパイプを金属管内に挿入
    後、金属管を縮径することにより、該パイプと金属管と
    を一体化してなる熱媒体用ライニング管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013155288A (ja) * 2012-01-30 2013-08-15 Polymer Associates Kk ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物並びに該樹脂組成物を基本素材とする成形品類
KR101585821B1 (ko) 2011-12-26 2016-01-14 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 다중 피복 강관 및 그 제조 방법
WO2019203062A1 (ja) * 2018-04-17 2019-10-24 ポリプラスチックス株式会社 ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物、押出成形品、押出成形品の製造方法、並びに輸送機、又は発電機

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