JP2000063647A - ポリエステル樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびその成形体

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JP2000063647A JP10234036A JP23403698A JP2000063647A JP 2000063647 A JP2000063647 A JP 2000063647A JP 10234036 A JP10234036 A JP 10234036A JP 23403698 A JP23403698 A JP 23403698A JP 2000063647 A JP2000063647 A JP 2000063647A
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昌由 鈴田
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圭子 中村
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守 関口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紫外線吸収能を有しながらブランクとほぼ同等
の透明性を有するポリエステル樹脂組成物およびそれら
を用いた成形体を提供することを課題とする。 【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂中に紫外線吸収
能を有する無機化合物および顔料分散剤を配合し、その
無機化合物の添加量が、熱可塑性ポリエステル樹脂10
0重量部に対し、0.01〜5.00重量部であり、か
つ顔料分散剤添加量と無機化合物添加量の比(R=顔料
分散剤添加量/無機化合物添加量)が、0.1≦R≦5
であり、その成形体は透明性を有することを特徴とする
ポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
100重量部に対し、紫外線吸収効果を有する無機化合
物を0.01〜5.00重量部を配合し、さらに顔料分
散剤を、顔料分散剤添加量と無機化合物添加量の比(R
=顔料分散剤添加量/無機化合物添加量)を0.1≦R
≦5にすることで、紫外線吸収効果を有しながら、紫外
線吸収効果を有する無機化合物および顔料分散剤を含ま
ない樹脂(以後、ブランクと呼ぶ)とほぼ同等の透明性
を有するポリエステル樹脂組成物および、これらのポリ
エステル樹脂組成物を用いたボトル、プレートなどの成
形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、プラスチック成形品は、食品
・飲料・トイレタリー用品・化粧品などの容器に代表さ
れる包装材料を初めとして、機械材料、電気・電子材
料、光学材料、建装材料など、広い分野で使用されてい
る。これらプラスチック成形品は、使用目的に応じて機
能性を付与するために様々な添加物を加えられ、その一
例として紫外線吸収剤が挙げられる。
【0003】紫外線は波長100〜400nmの電磁波
のことを指し、この領域の光のエネルギーは、C,H,
Oの結合エネルギー(70〜110kcal/mol)
と同等のエネルギーを有する。そのため、主としてC,
H,Oの結合からなるプラスチック成形品は、紫外線が
照射するとその結合を崩壊し、樹脂の劣化、変色、機械
強度の低下を伴う恐れがある。一方、プラスチック成形
品だけでなく、包装材料に充填する内容物、特にトイレ
タリーや化粧品などは、紫外線を照射することにより内
容物の変色、変質、薬剤の分解を伴う恐れがある。
【0004】このような問題点を解決するため、プラス
チック成形品には上述した紫外線吸収剤を配合する。一
般に紫外線吸収材料としてよく使用されるのが有機系紫
外線吸収材料であり、その代表的なものとして、フェニ
ルサリチレート、2−ヒドロキシー4メトキシベンゾフ
ェノン、2(2’−ヒドロキシー5メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾールが挙げられる。有機系紫外線吸収材料
はプラスチック成形品に練り込むことで、透明かつ紫外
線吸収能を付与することが可能である。
【0005】しかしながら、有機系紫外線吸収材料は、
その紫外線吸収機構が原因で成形品を着色してしまうと
いう問題点がある。プラスチック成形品においては、こ
の着色の問題は外観不良を伴うもであり、できるだけ避
けたいところである。そこで、これらの有機紫外線吸収
材料に変わって無機系の紫外線吸収材料を使用するケー
スが増えてきた。これらの代表的なものとしては酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄などが挙げられ
る。
【0006】しかしながら、無機化合物の表面張力はプ
ラスチックのものより小さく、本来は無機化合物とプラ
スチックの相互作用は低いため、プラスチックを可塑化
・混練時に無機化合物微粒子を添加すると、以下の問題
が生じてくる。
【0007】一般に、超微粒子と呼ばれる無機化合物の
1次粒子の粒径は数nmオーダーであり、そのサイズは
可視光の波長以下である。この無機化合物を1次粒子の
状態でプラスチック中に分散させれば、そのプラスチッ
ク成形品の透明性を低下させる問題は生じない。しかし
ながら、このような無機化合物は、通常1次粒子が凝集
した2次粒子の状態でプラスチックに添加され、溶融混
練されている。また、プラスチックを可塑化・混練時に
無機化合物微粒子を添加すると、混練中に粒子間の相互
作用でプラスチック中での無機化合物粒子の分散性が低
下し、1次粒子もしくは2次粒子の凝集が起き、分散粒
子径が数μmから数十μmオーダーの2次粒子が生成す
る。プラスチック中に分散している無機化合物の粒径が
μmオーダーになると、可視光が無機化合物により散乱
し、その結果、プラスチック成形品の透明性を著しく低
下させる問題が生じる。また、2次凝集した粒子が分散
されていることは、無機化合物添加の効果が出る添加量
よりも多くの無機化合物を添加していることを意味し、
結果としてコストがかかってしまう。
【0008】無機系の紫外線吸収剤は、その優れた紫外
線吸収能から、紫外線吸収剤として様々なプラスチック
に練り込まれているが、プラスチックと溶融混練を行う
ことで2次凝集が起こり、その結果、プラスチック成形
品の透明性を低下させることから、できるだけ無機系の
紫外線吸収剤の分散状態が細かい状態で分散した、透明
性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を得たいの
が現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記の
実状を考慮したものであり、熱可塑性ポリエステル樹脂
100重量部に対し、紫外線吸収能を有する無機化合物
を0.01〜5.00重量部を配合し、さらに顔料分散
剤を、顔料分散剤添加量と無機化合物添加量の比(R=
顔料分散剤添加量/無機化合物添加量)を0.1≦R≦
5にすることで、紫外線吸収能を有しながらブランクと
ほぼ同等の透明性を有するポリエステル樹脂組成物およ
びそれらを用いた成形体を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために考えられたものであり、請求項1記載の発
明は、熱可塑性ポリエステル樹脂中に紫外線吸収能を有
する無機化合物および顔料分散剤を配合し、その無機化
合物の添加量が、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量
部に対し、0.01〜5.00重量部であり、かつ顔料
分散剤添加量と無機化合物添加量の比(R=顔料分散剤
添加量/無機化合物添加量)が、0.1≦R≦5であ
り、その成形体は透明性を有することを特徴とするポリ
エステル樹脂組成物、としたものである。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載のポ
リエステル樹脂組成物において、紫外線吸収効果を有す
る無機化合物として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリ
ウム、酸化鉄を少なくとも1種含んでいることを特徴と
するポリエステル樹脂組成物、としたものである。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂の酸成分がテレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン2,6ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、
サクシン酸、セバシン酸の少なくとも1種以上から選択
されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、とし
たものである。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項1又は2記
載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂のジオール成分が、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、あるい
はポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシア
ルキレングリコール類の少なくとも1種以上から選択さ
れることを特徴とするポリエステル樹脂組成物、とした
ものである。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1又は2記
載のポリエステル樹脂組成物において、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂がオキシ酸の重合体、あるいはオキシ酸の共
重合体からなるポリエステル樹脂組成物、としたもので
ある。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1から5の
いづれかに記載のポリエステル樹脂組成物において、顔
料分散剤として高級脂肪酸あるいはその金属塩、エステ
ル、アミド、または、低分子量ポリオレフィン系ワック
スあるいはその酸変性物、共重合物の単体を少なくとも
一種含んでいることを特徴とするポリエステル樹脂組成
物、としたものである。
【0016】請求項7記載の発明は、請求項1から6の
いづれかに記載のポリエステル樹脂組成物を厚さ2mm
のプレートにした際に、波長700nmにおける光線透
過率が75〜100%、波長360nmにおける光線透
過率が0〜20%、波長400〜700nmにおける光
線透過率が50〜75%であることを特徴とするポリエ
ステル樹脂組成物、としたものである。
【0017】請求項8記載の発明は、請求項1から7の
いづれかに記載のポリエステル樹脂組成物を厚さ2mm
のプレートにした際のヘーズが50%以下であることを
特徴とするポリエステル樹脂組成物、としたものであ
る。
【0018】請求項9記載の発明は、請求項1から8の
いづれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形
体であって、ボトル、シート(フィルム)、トレー、プ
レートであることを特徴とする成形体、としたものであ
る。
【発明の実施の形態】
【0019】以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂
は、その酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレン2,6ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、サ
クシン酸、セバシン酸の少なくとも1種以上、さらに、
ジオール成分が、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールなどのグリコール類、あるいはポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコ
ール類の少なくとも1種以上が重合されることにより構
成される。また、この他の酸成分としてジフェニルスル
ホンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサ
ヒドロイソフタル酸、アゼライン酸などが選択が可能で
あり、ジオール成分もネオペンチルグリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−シクロヘキサンジメチロー
ル、2,2−ビス(4−βーヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、1,4−ビス(βーヒドロキシエトキ
シ)ベンゼンなどが挙げられる。
【0021】また、さらに本発明の熱可塑性ポリエステ
ル樹脂は、オキシ酸の重合体、あるいはオキシ酸の共重
合体からなるポリエステル樹脂組成物でも構わなく、そ
のオキシ酸として乳酸、εカプロラクトン、p−オキシ
安息香酸、p−βーヒドロキシエトキシ安息香酸など様
々に選択することができる。
【0022】以上に述べた熱可塑性ポリエステル樹脂の
代表的な例として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、
ポリエチレンナフタレート樹脂などの芳香族ポリエステ
ル樹脂や、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレ
ンサクシネート樹脂などの脂肪族ポリエステル樹脂や、
ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂のようなオキシ
酸の重合体、あるいは 芳香族ポリエステルにポリオキ
シアルキレングリコールを共重合させたポリエステルエ
ラストマーでも使用が可能であり、その他なんでも使用
が可能である。また、これらのポリエステル樹脂は、必
要に応じて単体でもブレンドでも構わない。
【0023】本発明のポリエステル樹脂組成物における
紫外線吸収効果を有する無機化合物としては、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄が挙げられる。
しかしながら、酸化鉄は可視光領域の光を吸収するため
僅かに赤色に変化すること、また、酸化チタン、酸化セ
リウムは酸化亜鉛よりも紫外線吸収効果に劣ることか
ら、無機系の紫外線吸収剤としては酸化亜鉛が好まし
い。また、この酸化亜鉛に代表される無機系の紫外線吸
収材料の平均粒子径は、熱可塑性ポリエステル樹脂への
ブレンド、紫外線吸収効果を考慮すると、10〜100
nmの微粒子である方が好ましい。また、無機化合物の
表面は、光触媒活性の抑制や、プラスチック中への分散
性を向上させるなどの目的で、必要に応じて、シリカな
どの無機化合物や、ステアリン酸などの有機物などで表
面処理をしても構わない。
【0024】ポリエステル樹脂樹脂への、紫外線吸収効
果を有する無機化合物の添加量は、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し0.01〜5.00重量部と
する。0.01重量部よりも少ないと、ブランクと比較
した時の透明性は同等程度であるが紫外線吸収効果に劣
る。また、5.00重量部より多いと、紫外線吸収効果
には優れるが、ブランクと比較した時の透明性が著しく
低下する。そのような意味で、ポリエステル樹脂樹脂1
00重量部に対する無機化合物の添加量は0.01〜
5.00重量部とする、添加量については、光線透過度
の評価として使用するプレートの厚さに応じて添加量を
調整しても構わない。
【0025】紫外線吸収効果を有する無機化合物のプラ
スチックへの分散性を向上させるために、顔料分散剤を
配合する。この顔料分散剤の種類としては、ステアリン
酸のような高級脂肪酸やその金属塩、エステル、アミド
などが挙げられる。また、このような分散剤だけでな
く、粘度法による分子量が500〜10000の低分子
量ポリオレフィン系ワックスあるいはその酸変性物、各
種モノマーとの共重合物などを使用してもよい。また、
比較的高分子量の高分子でも、樹脂と紫外線吸収剤とを
溶融状態で練り込む際に、分解し、その分解生成物が分
散剤としての効果を発現するような分散剤も使用が可能
である。また、ベースとなる熱可塑性ポリエステル樹脂
の種類に応じて、上記記載の分散剤以外の顔料分散剤も
もちろん使用は可能である。
【0026】顔料分散剤の添加量は、顔料分散剤添加量
と無機化合物の添加量比(R=顔料分散剤添加量/無機
化合物添加量)が0.1≦R≦5とする。5よりも大き
いと(顔料分散剤が多いと)、樹脂組成物自体の平均分
子量が低下し、機械的強度が低下したり、加工性が低下
する恐れがある。また、0.1よりも小さいと(顔料分
散剤が少ないと)、紫外線吸収効果を有する無機化合物
の分散状態が低下し、樹脂組成物の透明性を低下させる
恐れがある。
【0027】本熱可塑性ポリエステル樹脂組成物での無
機系紫外線吸収剤の分散状態は、μmオーダーで分散す
る無機化合物の量が少なければ少ない方が好ましい。非
常に高い透明性を要求されるのであれば、最大粒径が4
00nm以下である方が好ましい。しかしながら、無機
化合物を添加することによる透明性の低下は、無機化合
物による光の散乱が原因であるため、実際評価に用いる
プレートの厚さ、要求される光線透過度に応じて、紫外
線吸収剤の添加量を抑制し、透明性を向上させることが
可能である。しかしながら、そのような場合でも、樹脂
組成物中に分散する無機化合物の最大粒径が5μm以
下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500n
m以下が好ましい。
【0028】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
の紫外線吸収効果は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を2
mmのプレートにした際、波長700nmの光線透過率
が75〜100%、波長360nmにおける光線透過度
が0〜40%、波長300nm以下の光線透過率が0〜
10%、波長400〜700nmにおける光線透過度が
50〜100%である。波長700nmの光線透過率が
75%以下であると透明性におとる。また、波長360
nmの光線透過度が40%以上、特に波長300nm以
下の光線透過率が10%以上では紫外線吸収効果に劣
る。また、波長400〜700nmの光線透過度が50
%以下であると透明性に劣る。しかしながら、この厚さ
2mmのプレートを用いた時の評価方法は限られた方法
でなく、厚さに依存なく紫外線吸収効果、透明性を維持
していた方が好ましい。
【0029】透明性の指標としては、ヘーズ測定も挙げ
られる。ただし、ヘーズ測定の場合は、ベースとなる樹
脂が結晶性か非晶性かによっても大きく変化するが、透
明性を要求されるのであれば、ヘーズ値は50%以下が
好ましい。特にポリエチレンテレフタレート樹脂のよう
に、透明性が良好な樹脂の場合は、好ましくはヘーズ値
が30%以下、さらに好ましくは20%以下、さらに好
ましくは10%以下が良い。この時の評価方法も、上述
した厚さ2mmのプレートを使用するが、この方法も限
られた方法でないので、厚さに依存なく紫外線吸収効
果、透明性を維持していた方が好ましい。
【0030】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法としては、上記記載の熱可塑性ポリエステル樹脂と、
所定量の無機系の紫外線吸収材料と顔料分散剤とをドラ
イブレンドにより溶融混練することによって行われる。
これらの組成物を溶融混練行う際には、単軸押出機、2
軸押出機、あるいはブラベンダータイプの混練機など、
様々な混練機を使用することが可能である。この熱可塑
性ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を作成する方
法としては、これらの混練機を用いて混練した溶融樹脂
を、水冷あるいは空冷により冷却しフィルムにすること
も可能であり、またストランド上に押出したサンプルを
ペレタイズした後に、射出成形、真空圧縮成形等の成形
法で評価用プレートを作成してもよい。また、あらかじ
め高含有量の無機系紫外線吸収剤を配合するマスターバ
ッチを上記混練機を用いて作成し、無機系紫外線吸収
剤、顔料分散剤が、上述した範囲の濃度になるようにド
ライブレンドしたものを、射出成形等の成形法で評価プ
レートを作成しても良い。
【0031】本発明のポリエステル樹脂組成物の成形体
の展開としては、上述したプレート以外にもフィルム成
形体、シート成形体、ボトル成形体、トレー成形体など
様々な形態が可能である。フィルムであればインフレー
ションや押出ラミネートなどの手法により、シートであ
れば押出成形や押出ラミネートなどの手法により、ボト
ルであれば射出成形、(延伸)ブロー成形、射出ブロー
成形などの成形法により、トレーではシート成形品を真
空圧縮成形などの手法により成形することが可能であ
る。これらの成形品以外にも、様々な成形体を得ること
が可能である。
【0032】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技
術的範囲はこれらの実施例に限られるものではない。な
お、以下の実施例、比較例において無機化合物、顔料分
散剤の添加量はポリエステル樹脂100部に対する重量
部である。
【0033】<実施例1>熱可塑性ポリエステル樹脂と
してポリエチレンテレフタレート樹脂を、無機系紫外線
吸収剤として平均一次粒子径が20nmの酸化亜鉛を、
顔料分散剤として低分子量ポリオレフィン系ワックスを
使用した。この時、酸化亜鉛の添加量は、低密度ポリエ
チレン樹脂100重量部に対し0.1重量部、顔料分散
剤を0.1重量部(R=顔料分散剤添加量/無機化合物
添加量=1)に設定した。この紫外線吸収剤と顔料分散
剤の混合物を、溶融状態のポリエチレンテレフタレート
樹脂に添加した。これらの混練には2軸押出機を利用し
た。2軸押出機により押出された溶融樹脂は、水冷後ペ
レタイズし、乾燥後、射出成形により、ポリエステル樹
脂組成物の厚さ2mmで100mm×100mmのプレ
ート成形体を作成した。このプレートの光線透過率は分
光光度計により、透明性はヘーズメーターおよび目視に
よるブランクとの比較により評価した。これらの結果を
表1に示す。
【0034】<実施例2>無機系紫外線吸収材料と顔料
分散剤の配合量を0.2重量部、R=1にした以外は実
施例1と同じである。
【0035】<実施例3>無機系紫外線吸収材料と顔料
分散剤の配合比を1.0重量部、R=1にした以外は実
施例1と同じである。
【0036】<実施例4>顔料分散剤として高級脂肪酸
の金属塩を用いた以外は実施例1と同じである。
【0037】<実施例5>無機系紫外線吸収材料の配合
量を0.3重量部、R=0.5とした以外は実施例1と
同じである。
【0038】<実施例6>ポリエステル樹脂として、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂に1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールを共重合させたコポリエステル樹脂(表
中ではコポリエステル1と記す)にした以外は実施例2
と同じである。
【0039】<実施例7>ポリエステル樹脂としてポリ
エチレンナフタレート樹脂を用い、酸化亜鉛添加量を
0.05重量部、R=2にした以外は実施例1と同じで
ある。
【0040】<実施例8>ポリエステル樹脂としてオキ
シ酸の重合体であるポリ乳酸を用いた以外は以外は実施
例2と同じである。
【0041】<実施例9>ポリエステル樹脂として、ポ
リブチレンテレフタレートとポリオキシアルキレングリ
コールを共重合させたポリエステルエラストマーを用い
た以外は実施例2と同じである。
【0042】<比較例1>顔料分散剤を添加しなかった
以外は実施例2と同じである。
【0043】<比較例2>酸化亜鉛添加量を10重量部
にした以外は実施例2と同じである。
【0044】<比較例3>無機化合物の添加量を同じに
し、R比を20とした以外は実施例2と同じであるが、
溶融粘度が低くなりすぎて、加工することができなかっ
た。
【0045】
【表1】
【0046】これらの結果より以下のことが言える。熱
可塑性ポリエステル樹脂に無機系の紫外線吸収剤およ
び、顔料分散剤である高級脂肪酸系あるいは低分子量ポ
リオレフィン系ワックスを配合し、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂100重量部に対し、無機系紫外線吸収剤を0.
01〜5.00重量部、顔料分散剤を顔料分散剤添加量
/無機化合物添加量比Rで0.1≦R≦5の範囲で設定
することで、紫外線吸収効果があり、ブランクと同等の
透明性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および
その成形体を得ることが可能である。
【0047】無機系紫外線吸収剤の紫外線吸収能は種類
によって異なり、酸化亜鉛を用いた方が、ブランクの透
明性を維持しながら、波長360nm付近の透過率も1
0%以下にすることが可能である。また、比較例1から
顔料分散剤を添加しないと分散性が低下し、透明性が低
下することが分かる。比較例2から、酸化亜鉛添加量が
多すぎると、R比を0.1≦R≦5に設定しても透明性
が阻害されることが分かる。
【0048】比較例3から、顔料分散剤の添加量が多く
なると、系全体の分子量の低下、可塑剤効果の影響で、
加工性が著しく低下することが分かる。
【0049】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物および
その成形体は、紫外線吸収効果の持続性、安全性、着
色、低耐熱性等の問題を持つ有機系紫外線吸収剤の代替
となり、かつポリエステル樹脂本来の透明性を損なうこ
ともない。また、ベースとなる材料によっては、ボト
ル、フィルム積層体への展開も可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/098 C08K 5/10 5/10 5/20 5/20 C08L 23/00 C08L 23/00 B65D 1/00 B Fターム(参考) 3E033 AA01 AA10 BA17 BB04 FA03 FA04 GA01 GA03 3E084 AA04 AA14 AA24 AA37 AB07 AB09 4F071 AA14 AA43 AA44 AA45 AA46 AB18 AC09 AC10 AC12 AE05 AE18 AF30 AH03 AH05 BA01 BB03 BB05 BB06 BC01 BC03 4J002 BB012 CF031 CF061 CF081 CF091 CF191 DE096 DE106 DE116 DE136 EF057 EG017 EH027 EP017 FD202

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性ポリエステル樹脂中に紫外線吸収
    能を有する無機化合物および顔料分散剤を配合し、その
    無機化合物の添加量が、熱可塑性ポリエステル樹脂10
    0重量部に対し、0.01〜5.00重量部であり、か
    つ顔料分散剤添加量と無機化合物添加量の比(R=顔料
    分散剤添加量/無機化合物添加量)が、0.1≦R≦5
    であり、その成形体は透明性を有することを特徴とする
    ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエステル樹脂組成物に
    おいて、紫外線吸収効果を有する無機化合物として、酸
    化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄を少なくと
    も1種含んでいることを特徴とするポリエステル樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のポリエステル樹脂組
    成物において、熱可塑性ポリエステル樹脂の酸成分がテ
    レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボ
    ン酸、コハク酸、アジピン酸、サクシン酸、セバシン酸
    の少なくとも1種以上から選択されることを特徴とする
    ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1又は2記載のポリエステル樹脂組
    成物において、熱可塑性ポリエステル樹脂のジオール成
    分が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
    チレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
    ルなどのグリコール類、あるいはポリエチレングリコー
    ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
    リコールなどのポリオキシアルキレングリコール類の少
    なくとも1種以上から選択されることを特徴とするポリ
    エステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1又は2記載のポリエステル樹脂組
    成物において、熱可塑性ポリエステル樹脂がオキシ酸の
    重合体、あるいはオキシ酸の共重合体からなるポリエス
    テル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいづれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物において、顔料分散剤として高級脂肪
    酸あるいはその金属塩、エステル、アミド、または、低
    分子量ポリオレフィン系ワックスあるいはその酸変性
    物、共重合物の単体を少なくとも一種含んでいることを
    特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】請求項1から6のいづれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物を厚さ2mmのプレートにした際に、
    波長700nmにおける光線透過率が75〜100%、
    波長360nmにおける光線透過率が0〜20%、波長
    400〜700nmにおける光線透過率が50〜75%
    であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項1から7のいづれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物を厚さ2mmのプレートにした際のヘ
    ーズが50%以下であることを特徴とするポリエステル
    樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1から8のいづれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物からなる成形体であって、ボトル、シ
    ート(フィルム)、トレー、プレートであることを特徴
    とする成形体。
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