JP2000058935A - 強誘電体素子の製造方法 - Google Patents

強誘電体素子の製造方法

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JP2000058935A
JP2000058935A JP22896098A JP22896098A JP2000058935A JP 2000058935 A JP2000058935 A JP 2000058935A JP 22896098 A JP22896098 A JP 22896098A JP 22896098 A JP22896098 A JP 22896098A JP 2000058935 A JP2000058935 A JP 2000058935A
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ferroelectric
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pzt
fine particles
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JP22896098A
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Yukimi Takahashi
由紀見 高橋
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Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゾルゲル法を用いて強誘電体素子を形成する
とき、膜厚が厚く、膜密度が高い膜を作ること。 【解決手段】 強誘電体ゾルゲル溶液内に、ある特定の
バインダーを添加することによりゾルゲル反応をより進
行させ、ゾルゲル溶液内にあらかじめ強誘電体前駆体微
粒子を生成し、その中へ別に作成しておいた強誘電体結
晶微粒子を添加することにより、膜厚が厚く、膜密度が
高い強誘電体素子を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置等に圧電素子として用いられる圧電体、強誘電体
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】ゾルゲル法により強誘電体チタン酸ジル
コン酸鉛(以下PZTと記す)薄膜を形成する技術はよ
く知られている。ゾルゲル法は、組成制御性に優れてお
り、また、スピンコートと焼成を繰り返すことで、表面
平滑度の高い膜を得ることができる。
【0003】ゾルゲル法によるPZT薄膜作成法につい
て説明する。例えば、特開平06ー119811号公報
記載のように、鉛ジイソプロピキシド0.1モル、ジル
コニウムテトラブトキシド0.052モル、チタンテト
ライソプロポキシド0.048モルを2リットルのエタ
ノール中で混合し、窒素雰囲気で48時間還流する。室
温に戻し、攪拌しながら0.4モルの水を溶かした0.
5リットルのエタノールを滴下する。白濁後、50℃で
5時間熟成し、平均粒径0.8μmのPZT微粒子を得
る。遠心分離により、PZT微粒子を単離する。
【0004】それとは別に、酢酸鉛0.1モルを20ミ
リリットルの酢酸に溶かし、30分間還流する。室温に
戻し、ジルコニウムテトラブトキシド0.052モル、
チタンテトライソプロポキシド0.048モルを溶解さ
せ、1モルの水と少量のジエチレングリコールを滴下
し、充分に攪拌して加水分解させる。2−メトキシエタ
ノールで希釈した後、平均粒径0.8μmのPZT微粒
子を添加し、超音波照射により均質なゾルとする。
【0005】シリコン基板上に白金電極を形成し、その
上に調整したゾルをロールコートで塗布し、400℃に
加熱することにより、1.5μmの膜厚で、クラックを
生じることなく成膜できる。
【0006】塗布、加熱をさらに3回繰り返し、約6μ
mのPZT膜を得る。600℃の酸素雰囲気で15時間
アニールすることにより、膜厚約5μmのクラックのな
い無色鏡面のPZT膜を得ることができる。
【0007】しかしながら、このようにして得られたP
ZT膜は、あらかじめ別に作成しておいたPZT微粒子
のみを元のPZTゾルゲル溶液に添加するだけであった
ため、ゾルゲル溶液に対する微粒子の濃度をあまり高く
できないという難点があった。このような問題点を解決
する方法として、国際出願WO98/11613号公報に記載のよ
うなものがある。国際出願WO98/11613号公報を用いて、
ゾルゲル法によるPZT膜作成方法について説明する。
【0008】2.67g(0.0094モル)のチタン
テトライソプロポキシドを100gのイソプロパノール
に溶解してチタン溶液とした。ついでチタンテトライソ
プロポキシドの高分子量化を進めるため、得られたチタ
ン溶液に0.001規定塩酸のイソプロパノール溶液1
00gを徐々に添加して加水分解を行った。イソプロパ
ノールの沸点である82.5℃の温度で8時間にわたっ
て還流を行った後、0.0188モルのエトキシエタノ
ールを添加した。その結果、チタン前駆体溶液が得られ
た。別に、4.06g(0.0106モル)のジルコニ
ウムテトラノルマルブトキシドを100gのイソプロパ
ノールに溶解してジルコニウム溶液とした。得られたジ
ルコニウム溶液に0.0212モルのエトキシエタノー
ルを添加し、さらに0.001規定の塩酸のイソプロパ
ノール溶液100gを徐々に添加して加水分解を行っ
た。82.4℃で8時間の還流の間にジルコニウムテト
ラノルマルブトキシドの高分子量化が進行し、ジルコニ
ウム前駆体溶液が得られた。上記のようにして別々に調
製したチタン前駆体溶液とジルコニウム前駆体溶液を混
合した後、さらに0.5時間にわたって還流を継続し
た。得られた混合物に5.94g(0.02モル)のジ
エトキシ鉛を添加し、82.4℃で0.5時間にわたっ
て還流を行った。その結果、PZT前駆体溶液(a)が
得られた。ここで、PZT中のZrとTiの組成比は得
られる強誘電性と密接に関係するので、上記のようにイ
ソプロパノール溶液を調製し、かつここでそれらの溶液
を混合するにあたってもこの点を配慮し、最終的に得ら
れるPZT薄膜に所望の組成比(Pb:Zr:Ti:O
=1:0.53:0.47:3)となるように調製及び
混合を行った。PZT前駆体溶液(a)の調製後、その
高粘度化とそれに引き続くゲル化のため、得られた前駆
体溶液に対して、ポリビニルブチラール(PVB、重量
平均分子量=300)のブタノール溶液を添加し、室温
で十分に攪拌した。ここで使用したPVBのブタノール
溶液は、PVBをブタノールに25%の濃度で溶解して
調製したものであり、その添加量は、PZT前駆体溶液
(a)中の金属モル濃度に対して40%の量であった。
PZT前駆体溶液(a)に対してPVBのブタノール溶
液を添加して攪拌を行うと、PVBがPZTに配位し、
前駆体溶液中でのPZTのネットワークを強力にする作
用が発現した。また、PVBの配位により、PZTの溶
解性が変化し、PVBの分子量と系内の溶媒量に依存し
て、PZTが析出、凝集を始め、所記のPZT前駆体微
粒子の成長が開始した。このようにして、PZT前駆体
溶液(a)は、その溶液自身にPZT前駆体微粒子を含
み、それらの微粒子間がバインダであるPVBと未凝集
のPZT前駆体で結びつけられたゾルゲル状PZT前駆
体溶液に変化した。このようにして均一に分散せしめら
れたPZT前駆体微粒子を含有するゾルゲル状PZT前
駆体塗布溶液が得られた。引き続いて、白金電極がつい
た石英基板上に調製したPZT微粒子含有PZT前駆体
塗布溶液をバーコーターで塗布し、150℃で10分間
にわたって乾燥した。その後、先に添加したPVBを分
解させ、除去するために500℃で1時間にわたって仮
焼成し、最後に650℃で1時間にわたって本焼成を行
った。この焼成の結果、PZTの結晶化が進行し、ペロ
ブスカイト構造を有するPZT膜が得られた。得られた
PZT膜の膜厚は、10μmであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平06−1198
11号公報のような、PZT膜作成法では、あらかじめ
別に作成しておいたPZT結晶微粒子のみを元のPZT
ゾルゲル溶液に添加するだけであったため、ゾルゲル溶
液に対する結晶微粒子の濃度はあまり高くできないとい
う難点があった。
【0010】また、このような問題を解決した国際出願
WO98/11613号公報のようなPZT膜作成方法
では、ゾルゲル溶液内で成長するPZT前駆体微粒子の
濃度は高く、基板に塗布して焼成した後の膜厚は大きい
が、微粒子間の隙間が大きく密度が低いという難点があ
った。
【0011】[発明の目的]本発明の目的は、上記問題
を解決し、膜厚が厚く、膜密度の高い強誘電体膜を作成
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の強誘電体素子の製造方法は、下記記載の構
成を採用する。すなわち、本発明の強誘電体素子の製造
方法は、金属アルコキシドを主原料とするゾルゲル法に
よる強誘電体素子の製造方法であって、金属アルコキシ
ドを加水分解して高分子量化し、得られたゾル状溶液に
被膜形成性高分子材料を添加することにより、前記ゾル
状溶液内に強誘電体前駆体微粒子を生成させる工程と、
さらに、その強誘電体前駆体微粒子を有する前記ゾル状
溶液内に強誘電体結晶微粒子を混合する工程とを有する
ことを特徴とする。また、請求項2記載の強誘電体素子
の製造方法は、請求項1に記載の構成のうち、強誘電体
前駆体微粒子を有するゾル状溶液内に混合する強誘電体
結晶微粒子は、その粒径が、前記ゾル状溶液内に有する
強誘電体前駆体微粒子の粒径よりも小さいことを特徴と
するまた、請求項3記載の強誘電体素子の製造方法は、
請求項1または請求項2に記載の構成のうち、ゾル状溶
液内に生成する強誘電体前駆体微粒子は、その粒径が、
0.01μm〜1μmまで自由に変えられることを特徴
とする。また、請求項4記載の強誘電体素子の製造方法
は、請求項1、請求項2または請求項3に記載の構成の
うち、強誘電体前駆体微粒子を有するゾル状溶液内に混
合する強誘電体結晶微粒子はその粒径が、0.01μm
〜0.9μmであることを特徴とする。また、請求項5
記載の強誘電体素子の製造方法は、請求項1、請求項
2,請求項3または請求項4に記載の構成のうち、強誘
電体前駆体微粒子を有するゾル状溶液内に強誘電体結晶
微粒子を混合した溶液を、一定の基板上に塗布し、乾
燥、焼成する工程を経て製造することを特徴とする。す
なわち、金属アルコキシドを主原料とするゾルゲル法を
用い、金属アルコキシドを加水分解して高分子量化し、
得られたゾル状溶液に被膜形成性高分子材料を添加する
ことにより、ゾル状溶液内に強誘電体前駆体微粒子を生
成し、さらにこの中にあらかじめ別に作成しておいた、
強誘電体結晶微粒子を混合する。この溶液を基板に塗布
し、乾燥、焼成することにより、所望の強誘電体素子を
得ることができる。
【0013】(作用)上記目的を達成するために本発明
では、PZTゾルゲル溶液に高分子バインダーを添加す
ることによりゾルゲル反応を進行させ、ゾルゲル溶液内
にあらかじめPZT前駆体微粒子を生成し、その中へ別
に作成しておいたPZT結晶微粒子を添加する。このよ
うにして得たPZT膜は従来よりも、膜厚が大きく、か
つ膜密度が高い。
【0014】
【発明の実施の形態】図1を用いて、本発明を実施する
ための最良の形態におけるインクジェットヘッドの構成
について説明する。図1は、インクジェットヘッドの概
略図である。
【0015】インク室形成部材11には、インクをため
るインク室12が形成されており、インク室形成部材1
1とダイヤフラム13は接着、またはダイヤフラム−イ
ンク室一体形成法などで密接に接合している。
【0016】ダイヤフラム13のインク室12と反対側
の位置に、強誘電体素子15の下部電極14を、スパッ
タまたはスクリーン印刷またはゾルゲル法などで形成す
る。この上に強誘電体素子15をゾルゲル法で形成し、
最後に上部電極16をスパッタまたはスクリーン印刷ま
たはゾルゲル法などで形成する。
【0017】次に図1におけるインクジェットヘッドの
動作方法について説明する。強誘電体素子15を挟む、
上部電極14、下部電極16に電圧を印加することによ
り、強誘電体素子の圧電特性を利用して、強誘電体素子
を変位させ、ダイヤフラムをインク室側に押しだし、イ
ンク室内のインクを吐出する。
【0018】つぎに、強誘電体素子15の形成方法を説
明する。図2は、本発明における強誘電体素子の形成フ
ローチャートである。このフローチャートを用いて、本
発明における強誘電体素子の形成方法を、従来例と比較
しながら工程に沿って説明する。 工程1.金属アルコキシド溶液を加水分解し、ゾル状強
誘電体前駆体溶液を得るまで。 工程2.ゾル状強誘電体前駆体溶液に、高分子材料を添
加し、強誘電体前駆体微粒子を含んだゾルゲル状強誘電
体前駆体溶液を生成するまで。 工程3.強誘電体微粒子を含んだゾルゲル状強誘電体前
駆体溶液に、強誘電体結晶微粒子を添加するまで。 工程4.強誘電体結晶微粒子を添加したゾルゲル状強誘
電体前駆体溶液を、基板に塗布し、乾燥、焼成し、強誘
電体素子を得るまで。
【0019】なお、従来例で引用した国際出願WO98
/11613号公報と、本発明との相違点は、工程3以
降である。
【0020】工程1〜4について、実施例により詳しく
説明する。以下の説明においてはその典型的な例である
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)素子を参照して、強誘
電体素子とその製造に関して説明する。
【0021】
【実施例】(実施例1) (工程1)チタンテトライソプロポキシド2.67g
(0.0094モル)を100gのイソプロパノールに
溶解したその溶液に、0.001規定塩酸のイソプロパ
ノール溶液100gを徐々に加えて、8時間還流する。
この反応により高分子量化が進行するが、この反応後に
0.0188モルのエトキシエタノールを添加し攪拌
し、この溶液をチタン前駆体溶液とする。ジルコニウム
テトラノルマルブトキシド4.06g(0.0106モ
ル)を100gのイソプロパノールに溶解したその溶液
に、0.0212モルのエトキシエタノールを添加し、
更に0.001規定塩酸のイソプロパノール溶液100
gを徐々に加えて、8時間還流する。この反応によりチ
タンの場合と同様に高分子量化反応が進行し、この溶液
をジルコニウム前駆体溶液とする。
【0022】チタン前駆体溶液とジルコニウム前駆体溶
液を混合した後、0.5時間還流する。この混合溶液に
ジエトキシ鉛5.94g(0.02モル)を添加して、
0.5時間還流し、PZT前駆体溶液(a)とする。P
ZT前駆体溶液(a)は、その用途に応じて、濃縮して
使用する。例えば、PZT40重量%にするには、エバ
ポレーターを用いて、16.29gに濃縮する。
【0023】(工程2)ポリビニルブチラール(以下P
VBと略)をブタノールに25%の濃度で溶解させる。
このPVBのブタノール溶液0.5gを、上記PZT前
駆体溶液(a)をエバポレーターを用いてPZT40重
量%にまで濃縮したもの0.5gと混合する。PVBの
量は、PZTの金属重量濃度に対して、40〜60%の
量が適当である。
【0024】充分撹拌することにより、PVBはPZT
に配位し、前駆体溶液中でのPZTのネットワークを強
力にする。PVBの配位によりPZTの溶解性が変化
し、PVBの分子量と系内の溶媒量に依存してPZTが
析出、凝集を始め、直径約0.5μmの球状の前駆体微
粒子が成長する。
【0025】この前駆体微粒子の粒径は、PZT前駆体
溶液のPZTの濃度により変化し、また、混合するPV
Bブタノール溶液の量によっても変化する。図3、図4
に、これらの関係を示す。図3は、PZT濃度を変化さ
せたとき、PZT前駆体溶液とPVB25%ブタノール
溶液を混合したときに生成する、PZT前駆体微粒子の
粒径の変化を示すグラフの一例である。ここで、PZT
前駆体溶液の重量と、PVB25%のブタノール溶液の
重量との比は、PZT:PVB=3:10である。図3
より、PZT濃度が高いほど、生成するPZT前駆体微
粒子の粒径は大きくなることがわかる。図4は、PZT
40重量%の溶液に混合するPVB25%ブタノール溶
液の比を変化させたとき、生成するPZT前駆体微粒子
の粒径の変化を示すグラフである。図4より、たとえ
ば、PZT40重量%のゾルゲル溶液にPVB25%ブ
タノール溶液を等量混合すると、粒径約0.5μmの前
駆体微粒子が生成する。
【0026】このようにして、PZT前駆体溶液は、そ
れ自身にPZT微粒子を含み、微粒子間をバインダーで
あるPVBと未凝縮のPZT前駆体で結びつけられたゾ
ルゲル状PZT前駆体溶液となる。
【0027】(工程3)ゾルゲル状PZT前駆体溶液の
中に、あらかじめ作成しておいた、平均粒径0.1μm
のPZT結晶微粒子を、ゾルゲル状PZT前駆体溶液に
対して、250wt%添加する。撹拌脱泡装置で2000rpmで
約5分間撹拌し、均質なPZTペーストを得る。PZT
結晶微粒子の粒径は、生成するPZT前駆体微粒子より
も細かい程良く分散し、均質なPZTペーストが作成で
きる。あらかじめ作成する粒子はこのような理由からゾ
ルゲル法で作成した微粒子が適しており、粒径は約0.
01〜0.9μmが適しており、0.1μmが最適であ
る。
【0028】(工程4)シリコン基板上に白金電極を形
成し、その上にPZTペーストをバーコータなどで塗布
し、室温で30分間、50℃で30分間、250℃で9
0分間乾燥させる。その後バインダーを分解するために
10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温しそのまま1
時間本焼成を行うことにより、膜厚約20μmのペロブ
スカイトPZT膜を得る。本焼成する過程において、あ
らかじめ生成していたPZT前駆体微粒子は、周りにP
ZT結晶粒子があるためにそれと結合しやすく、さらに
粒成長を起こす。その結果、粒子と粒子との隙間が無
く、密度の高い膜が形成される。このようにして、白金
電極上に膜厚約20μmの強誘電体PZT素子が形成さ
れた。
【0029】(実施例2)他の実施例を実施例2により
説明する。本実施例は、実施例1とは主に、工程1での
PZT前駆体溶液の製法が異なる。 (工程1)チタンテトライソプロポキシド2.67g
(0.0094モル)を100gのイソプロパノールに
溶解したその溶液に、0.001規定塩酸のイソプロパ
ノール溶液100gを徐々に加えて、8時間還流する。
この反応により高分子量化が進行するが、この反応後に
0.0188モルのエトキシエタノールを添加して0.
5時間還流する。この溶液にジエトキシ鉛2.79g
(0.0094モル)を添加し0.5時間還流する。こ
の溶液をチタン鉛前駆体溶液とする。
【0030】ジルコニウムテトラノルマルブトキシド
4.06g(0.0106モル)を100gのイソプロ
パノールに溶解したその溶液に、0.0212モルのエ
トキシエタノールを添加し、更に0.001規定塩酸の
イソプロパノール溶液100gを徐々に加えて、8時間
還流する。この反応によりチタンの場合と同様に高分子
量化反応が進行するが、この反応後にジエトキシ鉛3.
15g(0.0106モル)を加えて0.5時間還流す
る。この溶液をジルコニウム鉛前駆体溶液とする。
【0031】チタン鉛前駆体溶液とジルコニウム鉛前駆
体溶液を混合した後、0.5時間還流し、この溶液をP
ZT前駆体溶液(2)とする。PZT前駆体溶液(2)
は、その用途に応じて、濃縮して使用する。例えば、P
ZT40重量%にするには、エバポレーターを用いて、
16.29gに濃縮する。
【0032】(工程2)PVBをブタノールに25%の
濃度で溶解させる。このPVBのブタノール溶液0.5
gを上記PZT前駆体溶液(2)をエバポレーターを用
いてPZT40重量%にまで濃縮したもの0.5gに混
合する。PVBの量は、PZTの金属重量濃度に対し
て、40〜60%の量が適当である。
【0033】PVBのブタノール溶液を混合後、PZT
前駆体溶液内でゾルゲル反応が進行し、PZTゲルが得
られる。PVB混合後のPZT前駆体溶液中のゾルゲル
反応の進行については、実施例1で記載したように進行
する。
【0034】(工程3)このようにして作成したPZT
ゲル内には、結晶化していないPZT前駆体微粒子が生
成している。この中に、あらかじめ作成しておいた、平
均粒径0.1μmのPZT結晶微粒子を、PZTゲル溶
液に対して、250wt%添加する。撹拌脱泡装置で2000rp
mで約5分間撹拌し、均質なPZTペーストを得る。P
ZT結晶微粒子の粒径は、生成するPZT前駆体微粒子
よりも細かい程良く分散し、均質なPZTペーストが作
成できる。あらかじめ作成する粒子はこのような理由か
らゾルゲル法で作成した微粒子が適しており、粒径は約
0.01〜0.9μmが適しており、0.1μmが最適
である。
【0035】(工程4)シリコン基板上に白金電極を形
成し、その上にPZTペーストをバーコータなどで塗布
し、室温で30分間、50℃で30分間、250℃で9
0分間乾燥させる。その後バインダーを分解するために
10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温しそのまま1
時間本焼成を行うことにより、膜厚約20μmのペロブ
スカイトPZT膜を得る。このようにして、白金電極上
に膜厚約20μmの密度の高い強誘電体PZT素子が形
成された。このように、実施例1とは主に、工程1での
PZT前駆体溶液の製法が異なる本実施例でも、実施例
1と同様に、本発明の効果を得ることができる。すなわ
ち、 本焼成する過程において、あらかじめ生成してい
たPZT前駆体微粒子は、周りにPZT結晶粒子がある
ためにそれと結合しやすく、さらに粒成長を起こす。そ
の結果、粒子と粒子との隙間が無く、密度の高い膜が形
成される。 このようにして、白金電極上に膜厚約20
μmで、密度が高い強誘電体PZT素子が形成される。
【0036】
【発明の効果】本発明では、金属アルコキシドを主原料
とした強誘電体ゾルゲル溶液に特定のバインダーを添加
することにより、ゾルゲル反応を進行させ、同一溶液内
に特定の形状及び大きさの強誘電体前駆体微粒子を生成
させる。そして、この混合ゾル内に、あらかじめ作成し
ておいた強誘電体結晶微粒子を添加し、充分撹拌するこ
とにより、均質なPZTゾルを得る。この混合ゾルを基
板に塗布し、乾燥、焼成することによって、従来よりも
膜厚が厚く、膜密度が高い強誘電体素子を作成すること
ができる。したがって、従来よりも密度が高い圧電素子
が製造できるため、圧電特性が向上した圧電素子を提供
することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における強誘電体素子を用いたインクジ
ェットヘッドの斜視図である。
【図2】本発明における、実施例1,2におけるPZT
膜作成の流れを示す図である。
【図3】本発明における、PZT前駆体微粒子の粒径に
及ぼすPZT濃度の影響を示す図である。
【図4】本発明における、PZT前駆体微粒子の粒径に
及ぼすPVB溶液量の影響を示す図である。
【符号の説明】 11 インク室形成部材 12 インク室 13 ダイヤフラム 14 下部電極 15 強誘電体素子 16 上部電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシドを主原料とするゾルゲ
    ル法による強誘電体素子の製造方法であって、金属アル
    コキシドを加水分解して高分子量化し、得られたゾル状
    溶液に被膜形成性高分子材料を添加することにより、前
    記ゾル状溶液内に強誘電体前駆体微粒子を生成させる工
    程と、さらに、その強誘電体前駆体微粒子を有する前記
    ゾル状溶液内に強誘電体結晶微粒子を混合する工程とを
    有することを特徴とする強誘電体素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 強誘電体前駆体微粒子を有するゾル状溶
    液内に混合する強誘電体結晶微粒子は、その粒径が、前
    記ゾル状溶液内に有する強誘電体前駆体微粒子の粒径よ
    りも小さいことを特徴とする請求項1に記載の強誘電体
    素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 ゾル状溶液内に生成する強誘電体前駆体
    微粒子は、その粒径が、0.01μm〜1μmまで自由
    に変えられることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の強誘電体素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 強誘電体前駆体微粒子を有するゾル状溶
    液内に混合する強誘電体結晶微粒子はその粒径が、0.
    01μm〜0.9μmであることを特徴とする請求項
    1、請求項2または請求項3に記載の強誘電体素子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 強誘電体前駆体微粒子を有するゾル状溶
    液内に強誘電体結晶微粒子を混合した溶液を、一定の基
    板上に塗布し、乾燥、焼成する工程を経て製造すること
    を特徴とする請求項1、請求項2,請求項3または請求
    項4に記載の強誘電体素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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