JP2000058012A - 扁平型電池及びその製造方法 - Google Patents

扁平型電池及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端子接続部の存在による電池の有効容積の減
少化の問題を改善する技術を確立すること。 【解決手段】 端子接続部6,6’を電池3厚さ方向に
平行として外皮包材1端部スペースに収納したことを特
徴とする扁平型電池。正極電極、負極電極及びセパレー
ターからなる電池3を積層し、各正極電極から引き出さ
れた正極集電体4と各負極電極から引き出された負極集
電体5とをそれぞれ束ね、金属箔帯状リード板を前記束
ねた正極集電体及び負極集電体上に前記電池方向に載せ
て接続し、不要部分を切断し、前記正極端子接続部及び
負極端子接続部を、前記接続した金属箔帯状リード板と
ともに、電池厚さ方向に折り曲げ、金属箔帯状リード板
を電池長手方向に折り返して外部接続用電極リード7,
8を形成し、そして電池、正極及び負極集電体、正極及
び負極端子接続部を外皮包材1で包装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扁平型電池及びそ
の製造方法に関するものであり、特に、正極端子接続部
及び負極端子接続部を電池厚さ方向に平行として外皮包
材端部スペースに収納し、それにより端子接続部を収容
するに必要な外皮包材端部スペースを縮小し、外皮包材
内部での電池有効容積を高めた扁平型電池及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、電池に対する要求は、高エネルギ
ー密度化はもちろん、軽量化、薄型化への要求が一段と
高まっている。例えば扁平型リチウム二次電池への期待
が高まっている。こうした電池は、外部からの水分の侵
入や電池内部の有機溶媒などの外部への漏洩などを防止
するために包装される。
【0003】図3(1)及び(2)に従来からの扁平型
電池の一例を示す。フィルム状の外皮包材1内には、シ
ート状の単体の電池3が、複数枚積層されて電池を形成
している。金属からなる正極集電体4の外端部及び負極
集電体5の外端部を各々複数枚束ねて正極端子接続部6
及び負極端子接続部6’をそれぞれ形成し、そして外部
接続用正極リード7、外部接続用負極リード8をそれぞ
れ電気的に結合して外皮包材外方へ引き出すことにより
並列接続を行っている。フィルム状の外皮包材1はその
周辺を熱融着部2によりシールされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】端子接続部5、6の形
成方法は、様々な方法があるが、金属同士の接合である
ことから、超音波溶接法が広く用いられている。しかし
ながら、この端子接続部5、6に必要な長さは、束ねる
のに必要な長さと、溶接痕の大きさがどうしても必要で
あり、外皮包材内部での端子接続部の長さは通常5〜8
mmもの大きな長さが必要とされ、そのため外皮包材内
部で比較的大きなスペースを必要とし、それだけ、外皮
包材内部での電池の有効容積が小さくなるという欠点が
あった。一方、小スペースで短絡状態及び接触不良の発
生の減少を試みると、煩雑なデザインとなり、量産製造
技術の確立が困難となるという問題点があった。
【0005】本発明の課題は、端子接続部の存在による
電池の有効容積の減少化の問題を改善する技術を確立す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】端子接続部が外皮包材内
部で比較的大きなスペースを必要としたのは、基本的
に、それらが外部接続用リードと一直線となって電池長
手方向に形成されているためである。そこで、本発明者
は、端子接続部を電池の厚さ方向(積層方向)、すなわ
ち外部接続用リードと直交する方向に配向させることを
想到し、その実現の可否について検討を重ねた結果、簡
単な方法でその確立に成功した。少なくとも3周辺に沿
って形成した熱融着部の電池長手方向の熱融着部を内方
に折り曲げた構造とすることも、この課題に向けて有益
である。
【0007】かくして、本発明は、(1)正極電極、負
極電極及びセパレーターからなる電池を複数枚積層する
とともに、前記各々の正極電極から引き出された正極集
電体と前記各々の負極電極から引き出された負極集電体
とを、それぞれ束ねて並列結線した正極端子接続部及び
負極端子接続部を介して、外部接続用正極リード及び外
部接続用負極リードにそれぞれ接続し、前記電池、正極
集電体及び負極集電体、並びに正極端子接続部及び負極
端子接続部を外皮包材に収納し、そして外部接続用正極
リード及び外部接続用負極リードを外皮包材の外部へ引
き出す構造の扁平型電池において、前記正極端子接続部
及び負極端子接続部を電池厚さ方向に平行として外皮包
材端部スペースに収納したことを特徴とする扁平型電
池、及び(2)外皮包材がその少なくとも3周辺に沿っ
て熱融着部を有し、電池長手方向の熱融着部を内方に折
り曲げた構造を有することを特徴とする(1)の扁平型
電池を提供するものである。
【0008】本発明はまた、正極電極、負極電極及びセ
パレーターからなる電池を複数枚積層し、前記各々の正
極電極から引き出された正極集電体と前記各々の負極電
極から引き出された負極集電体とをそれぞれ束ね、金属
箔帯状リード板を前記束ねた正極集電体及び負極集電体
上に前記電池方向に載せて接続し、不要な部分を切断
し、その後、前記正極端子接続部及び負極端子接続部
を、前記接続した金属箔帯状リード板とともに、電池厚
さ方向に折り曲げ、前記金属箔帯状リード板を電池長手
方向に折り返して外部接続用電極リードを形成し、そし
て前記電池、正極及び負極集電体、正極及び負極端子接
続部を外皮包材で包装することを包含することを特徴と
する扁平型電池の製造方法をも提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、金属箔帯状リード板と
複数本の集電体とを切断、折り曲げの簡単な方法で接続
し、電池の有効内容積を大きくすることを目的とした扁
平型電池にある。図1(1)及び(2)に本発明の具体
例を示す。部品番号は図3で説明したのと同じである。
すなわち、フィルム状の外皮包材1内には、シート状単
体の電池3が、複数枚積層されて電池を形成している。
金属からなる正極集電体4の外端部及び負極集電体5の
外端部を各々複数枚束ねて正極端子接続部6及び負極端
子接続部6’をそれぞれ形成し、そして外部接続用正極
リード7、外部接続用負極リード8をそれぞれ電気的に
結合して外皮包材外方へ引き出すことにより並列接続を
行っている。フィルム状の外皮包材1はその周辺を熱融
着部2によりシールされている。従来の図3に示した電
池との相違点は、正極端子接続部6及び負極端子接続部
6’が電池の厚さ方向に平行に形成されている点であ
る。図1においては、正極端子接続部6及び負極端子接
続部6’が電池の厚さ方向に平行に形成されているた
め、(a)及び(b)においては直線状に見える。図1
と図3とを比較すると明確なように、端子接続部を収容
する外皮包材内のスペースは、図1の方がはるかに少な
くてすむ。従って、外皮包材内での電池有効容積を増加
することができる。
【0010】本発明の電極リード系統は、図2の
(a)、(b)、(c)、(d)の手順で作られる。図
3は負極を例にとって示すが、正極でも全く同じであ
る。図2(a)では、積層された電池3をアンビル10
の凹入部にセットし、電池負極から伸びる集電体を束
ね、最終的に外部接続用負極リード8となる金属箔帯状
リード板(Tab箔)を束ねた負極集電体上に載せて、
溶接チップ9とアンビル10との間に挟み込み、圧接し
ながら超音波をかけ、超音波溶接を行う。このとき、外
部接続用電極リード8は外部側へではなく、電池3方向
に延びるように位置決めされる。このことにより、特別
な治具は不要で、手で保持しながら行うことができる。
もちろん、専用治具を使用しても、自動化も容易であ
る。
【0011】図2(b)では長さのそろわない不要なと
ころを切断して切り落としている。このことにより信頼
性の高い接続を損なわずに、任意の大きさとすることが
できる。ここで端子接続部6はシート状単体の電池の積
層厚さよりも短く切断することが重要である。
【0012】図2(c)は、端子接続部6を本発明に従
って厚さ方向に曲げる作業であり、例えばクリッパーで
くわえ、まず90度回動し、そして外部接続用電極リー
ドとなる金属箔帯状リード板を把持具でつまみ、その後
把持具を90度回動する。これは、手で保持しながら折
り曲けることもできるが、ピンセット、フォーミングプ
レス、グリッパーを持つ自動機で容易に行うことができ
る。溶接部で折り曲げないことが好ましい。
【0013】図2(d)は完成図を示す。ここで完成し
たリード線は外皮包材1内の電池の端から約3mmのス
ペースしか要しない。
【0014】この後、外部接続用電極リードを形成し、
前記電池、正極集電体及び負極集電体、正極及び負極端
子接続部を外皮包材で包装する。
【0015】包装は、外皮包材を発電要素を包むように
その前面及び背面に配置し、そしてその4辺を熱融着す
る4方シール、或いは一枚の外皮包材を矩形状扁平形電
池の一辺に沿って二つ折りし、残りの3辺を熱融着した
3方シール構造が採用されている。特に、電池長手方向
の熱融着部を内方に折り曲げることにより、電池容積の
縮小化を図ることができる。本発明による端子接続部を
電池厚さ方向に平行として外皮包材端部スペースに収納
することと併せて、熱融着部を内方に折り曲げることに
より、全体で電池容積を従来より相当に小さくすること
ができる。
【0016】発電要素は、扁平型電池であるかぎり、な
んら限定されるものではない。リチウム2次電池に代表
される非水電解液二次電池が特定例である。リチウム2
次電池に代表される非水電解液二次電池の基本構成は、
上述した通り、正極及び負極並びに両電極の間に介在せ
しめられるセパレータ(電解質)である。このうち、正
極及び負極は、活物質、導電材、結着材、分散媒および
必要に応じ(ポリマー系では)可塑剤から構成されるス
ラリーを金属箔、金属メッシュ等の集電体に塗工したも
のを使用する。従来より、非水電解液二次電池において
は、正極活物質にコバルト酸リチウム(LiCoO
2 )、ニッケル酸リチウム(LiNiO2 )、リチウム
マンガン複合酸化物(LiMn24 )、二硫化モリブ
デン(MoS2 )、二硫化チタン(TiS2 )、二酸化
マンガン(MnO2 )、五硫化バナジウム(V25
などの遷移金属硫化物、もしくは酸化物が用いられてい
る。一方、負極活物質には、金属リチウム、リチウム−
アルミニウム合金やリチウム−ウッド合金などの金属材
料とともに、近年では、リチウムイオンの吸蔵・放出が
可能な非金属性材料、例えば天然黒鉛、人造黒鉛やこれ
らより結晶化度の低い非晶質カーボンなどの炭素材料が
用いられている。さらに、リチウムイオンの吸蔵・放出
が可能な新規な非金属性材料として、酸化鉄(FeO2
等)、酸化タングステン(WO2 )などの金属化合物、
あるいは各種の無機層状化合物(LiN3 、BC2
等)、高分子化合物(ポリチオフェン、ポリアセチレン
等)などの負極活物質が提案されている。導電材として
は、例えば、グラファイトカーボン、アセチレンブラッ
ク等が挙げられる。結着材としては、フッ素系樹脂が良
好で、その他、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDF系
共重合体等が挙げられる。分散媒としては、結着材が溶
解可能な有機溶媒が適切で、例えば、アセトン、メチル
エチルケトン(MEK)、N−メチルピロリゾン(NM
P)等が挙げられる。可塑剤は、スラリーを成膜した後
に有機溶媒等で除去可能な有機系物質が有効であり、例
えば、フタル酸ジブチル(DBP)等が挙げられる。集
電体には、パンチングメタル、エキスパンドメタルもま
た有効である。塗工に必要なスラリーは、上記活物質、
導電材、結着材、分散媒および可塑剤を所定の比率で溶
剤に溶かして混練して調製する。また、集電体への塗工
には、グラビアコート、ブレードコート、コンマコー
ト、ディップコート等の各塗工方法が用いられる。ま
た、電解液にはリチウム塩を溶解したプロピレンカーボ
ネイト(PC)、エチレンカーボネイト(EC)、ガン
マブチロラクトン(GBL)、ジエチルカーボネイト
(DEC)、ジメチルカーボネイト(DMC)、2−メ
チルテトラヒドロフラン(MTHF)などがよく使われ
ている。
【0017】外皮包材は、アルミニウムのような金属箔
を中間の一層として含む樹脂フィルム主体の多層フィル
ムから構成される。最も簡単なアルミニウムの多層フィ
ルムの構造は、最外装からアルミニウム保護樹脂層、ア
ルミニウム薄膜、短絡防止用フィルム及び最内接着層フ
ィルムから構成されている。アルミニウム保護樹脂層
は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等が用い
られる。短絡防止用フィルムとしては、ポリエステル等
が用いられる。最内接着層フィルムはポリエチレン、ア
イオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、
エチレン・アクリル酸メチル(エチル)共重合体、エチ
レン・メタクリル酸メチル共重合体等が用いられる。
【0018】アルミニウム薄膜の厚さは、5〜100μ
mの範囲が適当である。薄膜の厚さが5μm未満である
と、電池容積を少しでも小さくするために、上述した通
り余分な外皮包材を内側に折り曲げた場合、折り曲げ部
に発生する応力のため、アルミニウム薄膜にピンホール
が生じる。ピンホールは外皮包材の封止信頼性に重大な
悪影響を及ぼし、外部からの水分の侵入量の増加や電池
内部の有機溶媒などの外部への漏洩などを引き起こす。
他方、厚さが100μmを超えると、多層フィルムの加
工性が悪化するばかりでなく、電池の厚さが増大し、扁
平型電池の利点が損なわれるので、好ましくない。
【0019】
【実施例】シート状単体の電池は厚さ800μmのもの
を使用し、その縦横の長さは35mm×45mmであっ
た。シート状単体の電池を5個並列接続を行った。複数
単体の端子接続部の形成方法は、超音波溶接法を用い
た。集電体の一部の材質はアルミニウムのエキスパンド
メタルとし、単体の電池1枚につき2枚あり、合計10
枚を束ねた。外部接続用電極リードはアルミニウム箔と
した。集電体の一部の材質は銅のエキスパンドメタルと
し、単体の電池1枚につき1枚あり、合計5枚を束ね
た。外部接続用電極リードは銅箔からなる。ここで完成
した外部接続用リードは外皮包材内の電池の端から約3
mmのスペースしか要しなかった。
【0020】(比較例)比較例として、図3の本発明の
端子接続部折り曲げ方法を取らない電池を作製したとこ
ろ、完成した外部接続用リードは、外皮包材1内の電池
の端から約7mmのスペースを要した。これは、発明の
リードの3mmのスペースに比べ4mmも大きい。
【0021】
【発明の効果】最近の電池に対する特に重要な要求は、
高エネルギー密度化である。外皮包材内の電池のリード
線を取り出す方向の全体長さ40mmである場合、電池
の容量は比較例に対し本発明のリード線では約1割高エ
ネルギー容量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う扁平型電池のリード側部を示し、
(1)は中央垂直断面図、そして(2)はb−b線に沿
う断面図である。
【図2】本発明の電極リード系統を作製する手順を
(a)、(b)、(c)、(d)として示す説明図であ
る。
【図3】従来からの扁平型電池のリード側部を示し、
(1)は中央垂直断面図、そして(2)はb−b線に沿
う断面図である。
【符号の説明】
1 外皮包材 2 外皮包材熱融着部 3 電池 4 正極集電体 5 負極集電体 6、6’正極及び負極端子接続部 7 外部接続用正極リード 8 外部接続用負極リード 9 溶接チップ 10 アンビル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極電極、負極電極及びセパレーターか
    らなる電池を複数枚積層するとともに、前記各々の正極
    電極から引き出された正極集電体と前記各々の負極電極
    から引き出された負極集電体とを、それぞれ束ねて並列
    結線した正極端子接続部及び負極端子接続部を介して、
    外部接続用正極リード及び外部接続用負極リードにそれ
    ぞれ接続し、前記電池、正極集電体及び負極集電体、並
    びに正極端子接続部及び負極端子接続部を外皮包材に収
    納し、そして外部接続用正極リード及び外部接続用負極
    リードを外皮包材の外部へ引き出す構造の扁平型電池に
    おいて、前記正極端子接続部及び負極端子接続部を電池
    厚さ方向に平行として外皮包材端部スペースに収納した
    ことを特徴とする扁平型電池。
  2. 【請求項2】 外皮包材がその少なくとも3周辺に沿っ
    て熱融着部を有し、電池長手方向の熱融着部を内方に折
    り曲げた構造を有することを特徴とする請求項1の扁平
    型電池。
  3. 【請求項3】 正極電極、負極電極及びセパレーターか
    らなる電池を複数枚積層し、前記各々の正極電極から引
    き出された正極集電体と前記各々の負極電極から引き出
    された負極集電体とをそれぞれ束ね、金属箔帯状リード
    板を前記束ねた正極集電体及び負極集電体上に前記電池
    方向に載せて接続し、不要な部分を切断し、その後、前
    記正極端子接続部及び負極端子接続部を、前記接続した
    金属箔帯状リード板とともに、電池厚さ方向に折り曲
    げ、前記金属箔帯状リード板を電池長手方向に折り返し
    て外部接続用電極リードを形成し、そして前記電池、正
    極及び負極集電体、正極及び負極端子接続部を外皮包材
    で包装することを包含することを特徴とする扁平型電池
    の製造方法。
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