JP2000055185A - ロックアップクラッチのスリップ制御装置 - Google Patents

ロックアップクラッチのスリップ制御装置

Info

Publication number
JP2000055185A
JP2000055185A JP10222138A JP22213898A JP2000055185A JP 2000055185 A JP2000055185 A JP 2000055185A JP 10222138 A JP10222138 A JP 10222138A JP 22213898 A JP22213898 A JP 22213898A JP 2000055185 A JP2000055185 A JP 2000055185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
lock
control
slip
speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10222138A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Ota
隆史 太田
Kunihiro Iwatsuki
邦裕 岩月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10222138A priority Critical patent/JP2000055185A/ja
Publication of JP2000055185A publication Critical patent/JP2000055185A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Controls For Constant Speed Travelling (AREA)
  • Control Of Fluid Gearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クルーズコントロール中の減速スリップを可
能にしてエンジンブレーキ力の不足や年比の悪化を防止
することのできるロックアップクラッチスリップ制御装
置を提供する。 【解決手段】 クルーズコントロールが実行される車両
におけるロックアップクラッチのスリップ制御を実行す
る制御装置であって、車速を目標車速に一致させるよう
に原動機の出力が制御されているクルーズコントロール
中であることを検出するクルーズコントロール検出手段
(ステップ1)と、クルーズコントロール中における減
速の度合いを検出する減速判定手段(ステップ2)と、
クルーズコントロール中の減速の度合いが予め定めた基
準値以上であることが前記減速判定手段(ステップ3)
によって検出された場合に前記ロックアップクラッチを
スリップ状態に維持するスリップ制御手段(ステップ
4)とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トルクコンバー
タのような入力部材と出力部材との間でのトルクの伝達
を流体を介しておこなう流体伝動装置においてその入力
部材と出力部材とを直接機械的に連結してトルクの伝達
をおこなうロックアップクラッチを制御する装置に関
し、特にそのロックアップクラッチをスリップ状態(あ
るいは半係合状態)に制御する制御装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種のロックアップクラッチが車両用
のトルクコンバータに内蔵されており、ロックアップク
ラッチを係合させることにより入力部材であるポンプイ
ンペラーと出力部材であるタービンランナとの相対回転
を阻止して、動力の伝達効率を向上させ、燃費を改善す
ることがおこなわれている。また、減速時には、ロック
アップクラッチを完全係合もしくは半係合(スリップ状
態)に制御することにより、エンジンの回転数を比較的
高い状態に維持できるので、エンジン回転数が所定回転
数以上の状態で燃料の供給を停止して、燃費を向上させ
る制御が、従来、おこなわれている。特に、減速時にロ
ックアップクラッチをスリップ状態に制御(スリップ制
御)すれば、エンジンのトルク変動をロックアップクラ
ッチの滑りによって吸収できるので、低車速までエンジ
ンの回転数を相対的に高い状態に維持し、燃料の供給停
止(フューエルカット)期間を長くし、燃費を更に向上
させることができる。
【0003】また一方、車速の制御の一例としてクルー
ズコントロールが知られている。これは、手動操作など
によって設定された目標車速に実際の車速を一致させる
ようにスロットルバルブを開閉して加減速をおこなう制
御である。このクルーズコントロールは、スロットルア
クチュエータに信号を送ってスロットルバルブの開度を
変更し、これにより車両を加減速させる制御であるか
ら、運転手がアクセルペダルを操作する通常の走行の場
合と同様に、スロットル開度を増減させられる。
【0004】したがってクルーズコントロール中におい
てもロックアップクラッチの減速スリップ制御をおこな
ったとすると、車速を目標車速に一致させるべくスロッ
トルバルブが閉じられて減速状態となった場合に、ロッ
クアップクラッチがスリップ状態に設定され、その結
果、エンジンブレーキ力が生じて車両が減速される。そ
のために車速で低下すると、目標車速との差を解消する
ようにスロットルバルブが開かれるから、ロックアップ
クラッチのスリップ制御が中止され、車速が増大する。
その結果、車速が目標車速より高車速になれば、再度、
減速およびそれに伴うロックアップクラッチのスリップ
制御が実行される。
【0005】このように、クルーズコントロール中にロ
ックアップクラッチのスリップ制御を実施するとすれ
ば、ロックアップクラッチのスリップ状態での係合およ
び解放、ならびにフューエルカットおよびその禁止の制
御が繰り返され、さらには加速と減速とが繰り返し生じ
てしまう。このようないわゆるハンチングを防止するた
めに、特開平8−109962号公報に記載された発明
では、車速を目標車速に一致させるようにエンジン出力
を制御するクルーズコントロールが実行されている場合
には、ロックアップクラッチの係合を制限するように構
成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、ロッ
クアップクラッチは、トルクコンバータなどの流体伝動
装置における入力部材と出力部材とを直接機械的に連結
する係合装置であるから、減速時にこれを係合させれ
ば、エンジン回転数を高く維持してフューエルカットに
よる燃費の向上を図ることができ、またこれと併せてエ
ンジンブレーキ力を生じさせることができる。しかしな
がら、上記の公報に記載された装置では、クルーズコン
トロール中には、減速時のロックアップクラッチの係合
を一律に制限しているので、大きく減速する場合にも必
要とするエンジンブレーキ力を得られなくなり、また同
時にフューエルカットによる燃費の改善効果を得られな
くなる可能性がある。
【0007】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、ロックアップクラッチのスリップ制御
の期間を長くすると同時に、スリップ制御に伴う違和感
を解消することのできる制御装置を提供することを目的
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、入力部材と出
力部材との間で流体を介してトルクを伝達し、かつその
入力部材と出力部材とを選択的に直接連結するロックア
ップクラッチを備えた流体伝動装置が、車速を目標車速
に一致させるように出力を制御される原動機の出力側に
連結された車両におけるロックアップクラッチのスリッ
プ制御装置において、車速を目標車速に一致させるよう
に原動機の出力が制御されているクルーズコントロール
中であることを検出するクルーズコントロール検出手段
と、クルーズコントロール中における減速の度合いを判
定する減速判定手段と、クルーズコントロール中の減速
の度合いが予め定めた基準値以上であることが前記減速
判定手段によって判定された場合に前記ロックアップク
ラッチをスリップ状態に維持するスリップ制御手段とを
備えていることを特徴とするものである。
【0009】したがって請求項1の発明によれば、車速
を目標車速に一致させるように原動機の出力が制御され
ている場合に、現在の車速が目標車速に対して大幅に高
車速であったり、あるいは要求されている減速度が大き
いなど減速の度合いが基準値以上であれば、ロックアッ
プクラッチがスリップ状態に制御される。したがって要
求されている減速の度合いが大きい場合には、ロックア
ップクラッチがスリップ状態になって原動機によるブレ
ーキ作用が増大するから、要求に沿った減速状態を得る
ことができ、また車速が目標車速に近いなど、要求され
ている減速の度合いが小さい場合には、ロックアップク
ラッチが解放状態となっていわゆるエンジンブレーキ力
が小さくなるので、クルーズコントロールが実施されて
いても車速や駆動トルクのハンチングを防止することが
できる。
【0010】また請求項2の発明は、入力部材と出力部
材との間で流体を介してトルクを伝達し、かつその入力
部材と出力部材とを選択的に直接連結するロックアップ
クラッチを備えた流体伝動装置が、原動機の出力側に連
結された車両におけるロックアップクラッチのスリップ
制御装置において、前記原動機の出力回転数が前記出力
部材の回転数より低回転数であることを検出する減速検
出手段と、前記原動機の出力回転数が前記出力部材の回
転数より低回転数であることが前記減速検出手段によっ
て検出された場合に、前記ロックアップクラッチを解放
状態からスリップ状態に制御しかつ前記原動機の出力を
増大させるスリップ制御手段とを備えていることを特徴
とするものである。
【0011】したがって請求項2の発明によれば、原動
機の出力回転数すなわち流体伝動装置の入力部材の回転
数がその出力部材の回転数より低回転数の状態でロック
アップクラッチをスリップ状態に設定する場合、ロック
アップクラッチをスリップ状態にする制御と同時に原動
機の出力を増大させる制御が実行される。したがってロ
ックアップクラッチがスリップ状態に係合することによ
る原動機の出力回転数のいわゆる引き上げのみならず、
原動機が自らの出力の増大によって回転数を上昇させる
ので、入力部材と出力部材との回転数差を所定値に維持
するスリップ状態を設定しやすくなる。すなわち減速時
におけるロックアップクラッチの実質的なスリップ制御
に入りやすくなり、その状態になるまでの時間、言い換
えれば、スリップ制御の制御応答時間を短縮することが
できる。
【0012】さらに請求項3の発明は、入力部材と出力
部材との間で流体を介してトルクを伝達し、かつその入
力部材と出力部材とを選択的に直接連結するロックアッ
プクラッチを備えた流体伝動装置が、原動機の出力側に
連結された車両におけるロックアップクラッチのスリッ
プ制御装置において、前記ロックアップクラッチが解放
状態であることを検出する解放検出手段と、前記ロック
アップクラッチが解放状態であることが解放検出手段で
検出されている状態で前記原動機によるブレーキ作用が
低下したことを検出する制動作用検出手段と、この制動
作用検出手段によって原動機のブレーキ作用の低下が検
出された場合に、前記ロックアップクラッチをスリップ
状態に制御するスリップ制御手段とを備えていることを
特徴とするものである。
【0013】したがって請求項3の発明によれば、流体
伝動装置による出力部材から入力部材に向けて伝達され
るトルクが減少すると、原動機によるブレーキ作用が低
下し、その場合に、ロックアップクラッチが解放状態か
らスリップ状態に制御される。すなわち出力部材と入力
部材との間のトルクの伝達量が増大するので、原動機に
よるブレーキ作用が増大し、エンジンブレーキ力を確保
することができる。
【0014】そして請求項4の発明は、請求項2もしく
は3の構成に加えて、車速を目標車速に一致させるよう
に前記原動機の出力を制御するクルーズコントロール中
であることを検出するクルーズコントロール検出手段を
更に備え、かつ前記スリップ制御手段が、前記クルーズ
コントロール検出手段によってクルーズコントロール中
であることが検出された場合に、前記ロックアップクラ
ッチをスリップ状態に制御する手段を含んでいることを
特徴とするものである。
【0015】したがって請求項4の発明によれば、車速
を目標車速に一致させるように原動機の出力を制御して
いるクルーズコントロール中に、請求項2もしくは3に
記載されているロックアップクラッチのスリップ制御が
実行されるので、減速時に的確にエンジンブレーキ力を
得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面に基づいて
具体的に説明する。先ず、この発明に係る装置の全体的
な制御系統を例示すると、図7のとおりである。この発
明で対象とする原動機は、ガソリンエンジンやディーゼ
ルエンジンなどの内燃機関や内燃機関と電動機とを組み
合わせたいわゆるハイブリッド駆動装置、もしくは電動
機の単体など、要は、車両の動力源となるものであれば
よい。図7にはエンジン1を例示してある。このエンジ
ン1は出力を電気的に制御できるように構成されてお
り、具体的には、アクチュエータによって駆動される電
子スロットルバルブを備え、また点火時期を電気的に進
角・遅角できるように構成され、さらには燃料供給量
(燃料噴射量)を適宜に制御できるように構成されてい
る。
【0017】また、エンジン1の出力側に自動変速機2
が連結されている。この自動変速機2は、トルクコンバ
ータ3などの流体伝動装置とギヤ比を変更可能な歯車変
速装置4とからなり、油圧によって制御されるように構
成されている。そしてそのトルクコンバータ3は、従来
知られているように、入力部材であるポンプインペラ5
と出力部材であるタービンランナ6との間でフルードを
介してトルクを伝達し、またタービンランナ6と一体と
なって回転するロックアップクラッチ7を、ポンプイン
ペラ5と一体のフロントカバーの内面に摩擦接触させる
ことにより、すなわちロックアップクラッチ7を係合さ
せることにより、ポンプインペラ5とタービンランナ6
との間で直接トルクが伝達されるように構成されてい
る。なお、符号8はステータである。
【0018】エンジン1を制御するための電子制御装置
(E−ECU)9が設けられている。このエンジン用電
子制御装置9は、いわゆるマイクロコンピュータを主体
として構成され、入力されたデータおよび予め記憶して
いるルーチンに従って演算をおこない、その演算結果に
基づいてスロットル開度や燃料噴射量あるいは点火時期
などを制御するように構成されている。また、自動変速
機2を制御するために、マイクロコンピュータを主体と
して構成された電子制御装置(T−ECU)10が設け
られている。この自動変速機用電子制御装置10は、入
力されたデータおよび予め記憶しているデータならびに
ルーチンに従って演算をおこない、その演算結果に基づ
いて変速指令信号やロックアップ指令信号などを出力す
るように構成されている。そして、自動変速機2は、そ
の指令信号によって油圧サーボ機構が動作して変速比が
変更され、またロックアップクラッチ7の完全係合およ
びスリップ状態ならびに解放状態の切り換えが実行され
るようになっている。
【0019】上記の各電子制御装置9,10は、相互に
データ通信可能に接続されており、エンジン1の出力制
御に必要とするデータを自動変速機用電子制御装置10
からエンジン用電子制御装置9に送信し、また変速比の
制御に必要とするデータをエンジン用電子制御装置9か
ら自動変速機用電子制御装置10に送信するように構成
されている。
【0020】そのデータの送信およびそれに伴う制御の
例について説明すると、運転者の操作によるアクセルペ
ダルの操作量(アクセル開度)および車速がエンジン用
電子制御装置9に入力されており、そのアクセル開度に
基づいて電子スロットルバルブの開度が演算され、スロ
ットル開度が制御される。また、アクセル開度と車速と
に基づいて自動変速機用電子制御装置10が変速比を演
算し、その演算結果に基づく指令信号を出力することに
より、自動変速機2での変速比が制御される。さらに変
速比および車速ならびにスロットル開度に基づいてロッ
クアップクラッチ7の係合・解放状態が制御される。そ
して自動変速機2で変速を実行する信号がエンジン用電
子制御装置9に送信され、その変速の際にエンジン出力
を一時的に低下させるトルク低減制御が実行される。こ
のトルク低減制御は、例えばエンジン1における点火時
期の遅角制御によって実行される。
【0021】周知のようにエンジン1は車両の動力源で
あると同時に主変速装置として位置づけられる装置であ
り、したがって図7に示す装置では、車速を制御するた
めにエンジン出力を制御する装置が設けられている。こ
の車速制御装置はクルーズコントローラ(C/C)11
と称される装置であり、マイクロコンピュータを主体と
して構成されている。
【0022】このクルーズコントローラ11について更
に説明すると、目標車速が設定されると、その目標車速
と現在の車速との偏差を検出し、その速度偏差に基づい
て増速要求信号あるいは減速要求信号をエンジン用電子
制御装置9に出力するようになっている。その目標車速
は、一例として、時速数十km〜100km程度の範囲
内で、クルーズコントロールの開始信号が入力された時
点の車速や運転者の操作などによる増速要求もしくは減
速要求に基づく所定速度ごとに段階的に設定される車速
である。したがってこのクルーズコントローラ11は、
増減速要求に基づいてエンジン1の出力を制御すること
になる。具体的には、スロットル開度をその増減速要求
に基づいて変化させることになるので、アクセルペダル
の操作に伴う出力要求信号と同等に作用し、その結果、
クルーズコントローラ11からの増減速要求に基づいて
自動変速機2での変速が生じる場合がある。
【0023】さらに、道路状況などの車両の周囲の状況
をエンジン1や自動変速機2の制御に反映させるため
に、道路状況などを検出するナビゲーション装置12が
設けられている。このナビゲーション装置12は、GP
S(グローバル・ポジショニング・システム)や地磁気
センサあるいはジャイロセンサを使用した自律航法によ
り、電子化された地図上に自車両の位置を示して目的地
まで案内するシステムである。
【0024】より具体的に説明すると、図8に示すよう
に、光ディスクや磁気ディスクなどの情報記録媒体13
が装填され、情報記録媒体13に記憶されている情報を
読み取るプレーヤー14と、プレーヤー14により読み
取られた情報を二次元や三次元で画像表示するための表
示部9とが備えられている。また、ナビゲーション装置
12には、車両の現在位置や道路状況を検出するための
第1位置検出部10および第2位置検出部11と、道路
状況を音声により運転者に知らせるスピーカ12とが備
えられている。上記表示部9は、室内のインストルメン
トパネルやグローブボックスの側方などに設けられた液
晶ディスプレイ、CRTなどの他、フロントウィンドの
視界に影響のない箇所に設けられた画像投影部などを用
いることが可能である。
【0025】そして、これらプレーヤー14と、表示部
15と、第1位置検出部16および第2位置検出部17
と、スピーカ18とは、電子制御装置19により制御さ
れる。この電子制御装置19は、中央演算処理装置(C
PU)および記憶装置(RAM、ROM)並びに入出力
インターフェースを主体とするマイクロコンピュータに
より構成されている。
【0026】前記情報記録媒体13には車両の走行に必
要な情報、例えば地図、地名、道路、道路周辺の主要建
築物などが記憶されているとともに、道路の具体的な状
況、例えば直線路やカーブあるいは登坂、降坂、一般道
路、高速道路、未舗装道、砂利道、砂漠、河川敷、林
道、農道、低摩擦係数路などが記憶されている。
【0027】また、第1位置検出部16は、車両の走行
する方位を検出する地磁気センサ20、車速センサ2
1、ステアリングホイールの操舵角を検出するステアリ
ングセンサ22、車両と周囲の物体との距離を検出する
距離センサ23、加速度センサ24などを備えている。
さらに、第2位置検出部17は、人工衛星25からの電
波を受信するGPSアンテナ26と、GPSアンテナ2
6に接続されたアンプ27と、アンプ27に接続された
GPS受信機28とを備えている。
【0028】上記のように、ナビゲーション装置12に
よれば、車両が位置している現在の道路の状況や走行予
定路などの前方の道路の状況を検出することができるの
で、これらのデータを利用してエンジン1や自動変速機
2を制御するようになっている。すなわちナビゲーショ
ン装置12からエンジン用電子制御装置9および自動変
速機用電子制御装置10にデータが送信されており、エ
ンジン用電子制御装置9は、例えば前方の道路勾配に基
づいてエンジン出力を増大もしくは低減する制御を実行
するようになっている。その一例として、クルーズコン
トローラ11が車速を目標車速に一致させるようにエン
ジン出力を制御している際に、その制御量を道路勾配に
応じて補正する。
【0029】また自動変速機用電子制御装置10は、前
方の道路勾配が入力されることにより、登降坂制御を実
行するようになっている。この登降坂制御とは、登坂路
もしくは降坂路での駆動力やエンジンブレーキ力を確保
するために変速段を所定の変速段に維持する制御であ
り、具体的には車速が増大した場合であってもアップシ
フトを禁止する制御である。なお、この登降坂制御は、
エンジン出力から求めた基準加速度と検出された車速の
変化に基づく実加速度との偏差から道路勾配を算出する
制御であってもよい。したがって、例えば最高速段で走
行している際に登降坂制御が開始されると、その最高速
段が禁止されることにより、ダウンシフトが発生し、ま
た反対に登降坂制御が実行されている際に走行状態が最
高速段を設定する状態になっていて、その状態で登降坂
路が終了してその禁止制御が解除されると、最高速段へ
のアップシフトが生じる。
【0030】さらに自動変速機用電子制御装置10は、
ロックアップクラッチ7の減速スリップ制御を実行す
る。この減速スリップ制御とは、スロットルバルブを全
閉状態にして減速している際にロックアップクラッチ7
をスリップ状態に係合させてエンジン回転数を所定回転
数に維持することにより、エンジン1をストールさせず
に燃料の供給を停止して燃費を向上させる制御である。
またその際にエンジン1を強制的に回転させることにな
るので、エンジン1がブレーキ作用をする。
【0031】さらにまた、ナビゲーション装置12から
路面摩擦係数が小さいことが入力された場合に、自動変
速機用電子制御装置10が最低速比(最も大きい変速
比)を禁止する制御を実行するように構成することがで
きる。これは、車輪で発生するトルクを抑制してスリッ
プを未然に回避する制御である。
【0032】上述した制御装置においては、クルーズコ
ントローラ11に対して運転者の操作に基づいて入力さ
れる信号やナビゲーション装置12が検出した車両の位
置情報に基づく道路状況のデータなどに加えて、車両に
搭載されている各種のセンサによって検出されたデータ
が入力されている。そのデータの例を示すと、車速V、
スロットル開度θ、アクセル開度Acc、エンジン回転数
Ne 、自動変速機2におけるトルクコンバータのタービ
ン回転数Nt 、ブレーキスイッチからの信号、シフトパ
ターン、エンジン水温、油温、ストップランプスイッチ
からの信号、ニュートラルスタートスイッチからの信号
などである。エンジン用電子制御装置9や自動変速機用
電子制御装置10は、上述したクルーズコントローラ1
1やナビゲーション装置12から入力されるデータに加
えて、これらの各種のデータに基づいて演算をおこない
エンジン1や自動変速機2を制御するように構成されて
いる。
【0033】前述した従来の装置は、クルーズコントロ
ール中には減速時のロックアップクラッチのスリップ制
御を制限するように構成されているが、これとは異な
り、この発明に係る上記の制御装置は、クルーズコント
ロールの制御内容に応じてロックアップクラッチ7のス
リップ制御を実行する。その制御の例を図1にフローチ
ャートで示してある。
【0034】図1において、先ず、ステップ1ではクル
ーズコントロール中(C/C中)か否かが判定される。
これは、前述したクルーズコントローラ11のメインス
イッチがオン操作されてこれがオン状態(アクティブ状
態)になっているか否かによって判定することができ
る。このステップ1で肯定的に判定された場合には、ク
ルーズコントロールによる減速の度合いが判定される
(ステップ2)。具体的には、検出された現在の車速V
と目標車速Vt との差が、予め定めた基準値ΔV0より
大きいか否か、あるいは目標減速度Gt が、予め定めた
基準値G0 より大きいか否かが判定される。ここで、目
標車速Vt は運転者によるレバー操作などによって設定
された目標とする車速であり、また目標減速度Gt は、
例えば目標車速Vt と実際の車速Vとの偏差に基づいて
マップとして設定されている減速度である。
【0035】このステップ2で肯定的に判定された場合
には、減速時のロックアップクラッチ(L/U)のスリ
ップ制御開始を許可する(ステップ3)。これは、例え
ばロックアップクラッチ7の制御ルーチンにおける許可
フラグをオンにすることにより実行することができる。
したがって制御装置にフェールがないなどの他の条件が
成立すれば、クルーズコントロール中に大きい減速度が
要求されている場合にロックアップクラッチ7がスリッ
プ状態に制御される。そのためスロットルバルブが閉じ
られているエンジン1と自動変速機2との間のトルクの
伝達量が大きくなるので、エンジン1を強制的に回転さ
せる荷重が制動力として作用し、エンジンブレーキ力が
大きくなる。言い換えれば、目標車速への到達時間が短
くなり、クルーズコントロールでの車速制御応答性が良
好になる。
【0036】これに対してステップ1で否定的に判定さ
れた場合およびステップ2で否定的に判定された場合に
は、ステップ4に進んで減速時でのロックアップクラッ
チ7のスリップ制御を禁止する。すなわちクルーズコン
トロール中でない場合およびクルーズコントロール中で
あっても要求されている減速の度合いが低い場合には、
ロックアップクラッチ7の減速スリップ制御をおこなわ
ない。これは、例えばロックアップクラッチ7のスリッ
プ制御ルーチンにおける禁止フラグを立てることにより
実行される。
【0037】ステップ2で否定的に判定される走行状態
は、検出された車速Vと目標車速Vt とが接近していて
僅かなエンジンブレーキ力で目標車速より低車速になっ
てしまうような状態である。このような状態では、ロッ
クアップクラッチ7が解放状態に維持されるので、エン
ジンブレーキが殆ど効かず、車速の低下は走行抵抗力や
摩擦力によって生じることになるので、目標車速より低
車速にまで急激に低下することがない。そのため、スロ
ットルバルブが開かれる車速に達するにしても、それま
での時間が長くなり、その結果、車速やトルクのハンチ
ングが防止される。
【0038】なお、急降坂路や前方車両との車間距離が
急激に短くなっているなどの場合には、エンジンブレー
キ力を増大させるために、自動変速機2でのダウンシフ
トを実行し、変速比を増大させることとしてもよい。
【0039】上述した図1に示す制御においてロックア
ップクラッチ7を解放状態(オフ)からスリップ状態に
制御する場合、トルクコンバータ3の入力部材であるポ
ンプインペラ5と出力部材であるタービンランナ6との
回転数差が予め定めた回転数になるまではロックアップ
クラッチ7のスリップ制御が成立しない。そこでこの発
明による上記の制御装置では、ロックアップクラッチ7
の解放状態からスリップ状態への切り換え制御を図2に
示すようにして実行する。
【0040】すなわち図1に示すステップ3におけるス
リップ制御開始許可が成立したことにより、先ず、制御
の復帰判定をおこなう(ステップ11)。すなわち検出
した車速と目標車速との差が大きい状態でのロックアッ
プクラッチ7のスリップ開始制御から通常の制御への復
帰を判定する。その具体的な判定の内容は、エンジン回
転数Ne とタービン回転数Nt との差が予め定めた第1
の基準値ΔNo1より小さいか否かあるいはアクセルペダ
ル(図示せず)が踏み込まれてアクセルペダルアイドル
オフ状態になったか否かを判定する。ここで第1の基準
値ΔNo1は、例えば通常のロックアップクラッチ7のス
リップ制御における回転数差に近い値である。
【0041】ステップ11で否定的に判定された場合に
は、エンジン回転数Ne がロックアップクラッチ7のス
リップ制御をおこない得る程度にまで増大していないこ
とになり、またエンジン回転数Ne を増大させる操作が
おこなわれていないことになる。したがってこの場合は
ステップ12に進んでエンジン回転数Ne とタービン回
転数Nt との差が予め定めた第2の基準値ΔNo2より大
きいか否かが判定される。この第2の基準値ΔNo2は、
前述した第1の基準値ΔNo1よりもかなり大きい値であ
って、以下に述べるエンジン1の出力増大制御の必要性
を判定する値である。
【0042】ステップ12で肯定的に判定された場合に
は、エンジン回転数Ne とタービン回転数Nt との差が
かなり大きい状態であり、この場合は、ロックアップク
ラッチ7をスリップ状態に係合させるための油圧の制御
と電子スロットルバルブの開き制御と点火時期の遅角制
御とを実行する(ステップ13)。ここで、ロックアッ
プクラッチ7の係合油圧の制御は、従来おこなわれてい
る制御と同様であって、ロックアップクラッチ7をスリ
ップ状態に係合させるのに必要な供給圧あるいは排圧を
制御することより実行される。また電子スロットルバル
ブの開き制御は、エンジントルクを増大させるための制
御であり、これに対して点火時期の遅角制御は、エンジ
ントルクを低減させるための制御である。
【0043】これら2つの制御を同時におこなうのは、
電子スロットルバルブによるエンジントルクの制御遅れ
が大きく、これに対して点火時期の遅角制御よるエンジ
ントルクの制御応答性が良好であり、さらに点火時期の
制御単独ではエンジントルクを増大させることができな
いからである。すなわちスロットル開度を増大させた状
態でその増大分を点火時期の遅角制御で相殺するように
設定し、点火時期の遅角制御の中止により点火時期が元
に戻ることにより、迅速にエンジントルクを増大させる
ためである。したがって電子スロットルバルブの開き制
御量と点火時期の遅角制御量とは相互に対応していて、
それぞれの制御によるエンジントルクの増大量と減少量
とがほぼ一致するように設定される。その結果、このス
テップ13の制御によってはエンジントルクは変化しな
い。
【0044】ステップ13の制御を実行することによ
り、ロックアップクラッチ7の係合油圧が次第に高くな
ってロックアップクラッチ7によるトルクの伝達が次第
におこなわれる。その結果、自動変速機2側からエンジ
ン1に対してトルクが入力され、エンジン回転数Ne が
次第に上昇し始める。ステップ14では、このようにし
て上昇するエンジン回転数Ne とタービン回転数Nt と
を比較し、それらの回転数の差が第3の基準値ΔNo3よ
り小さくなったか否かを判定する。この第3の基準値Δ
No3は、前記第2基準値ΔNo2よりも僅かに小さい値で
あって、エンジン回転数Ne が増大したことを判定する
ことのできる値である。
【0045】このステップ14で否定的に判定された場
合には、未だロックアップクラッチ7が係合していない
ことになるので、特に制御をおこなうことなくリターン
する。これに対してステップ14で肯定的に判定された
場合には、点火時期の遅角制御の復帰を実行する(ステ
ップ15)。このステップ15による復帰制御はステッ
プ13で実行した点火時期の遅角量をゼロに戻す制御で
ある。その場合、電子スロットルバルブが開き制御され
ているから、点火時期の遅角制御を中止すれば、点火時
期の遅角によって減少させられていたエンジントルクが
元に戻るので、電子スロットルバルブの開き制御量に応
じてエンジントルクが増大することになる。したがって
ロックアップクラッチ7がトルク容量を持ち始めると、
エンジン回転数Ne が自動変速機2側からトルクによっ
て増大させれると同時に、エンジン1の出力がさせられ
るためにエンジン回転数Ne 自体が上昇し始める。
【0046】このようにしてエンジン回転数Ne が次第
に増大すると、タービン回転数Ntとの回転数差が次第
に小さくなり、その回転数差が第1の基準値ΔNo1に達
すると、ステップ11で肯定的に判定される。すなわち
エンジン回転数Ne とタービン回転数Nt との回転数差
(トルクコンバータ3におけるポンプインペラ5とター
ビンランナ6との回転数差)がロックアップクラッチ7
の通常のスリップ制御をおこなう回転数差に近似したこ
とになるので、この場合は、ステップ16に進んで通常
のロックアップクラッチ7のスリップ制御を実行する。
また同時に、上述したエンジン回転数を上昇させるため
の電子スロットルバルブの開き制御を中止して通常の電
子スロットルバルブの制御を実行する。
【0047】なお、上述したいわゆる急減速時における
ロックアップクラッチ7のスリップ開始制御中にアクセ
ルペダルが踏み込まれてアイドルオフとなった場合に
は、ステップ11で肯定的に判定されるために、この場
合もステップ16に進んで通常のスリップ制御を実行す
ると同時に、通常の電子スロットルバルブの制御を実行
する。また、エンジン回転数Ne とタービン回転数Nt
との回転数差が第2の基準値ΔNo2以下の場合には、ス
テップ12で否定的に判定される。このような状態は、
エンジン回転数Ne がタービン回転数Nt に比較的近い
ためにロックアップクラッチ7をスリップ状態に係合さ
せることにより、エンジン回転数Ne を引き上げること
ができる状態であるから、ステップ16に進んでロック
アップクラッチ7の通常のスリップ制御をおこなうと同
時に、電子スロットルバルブの通常の制御を実行する。
【0048】この図2に示す制御を実行した場合のタイ
ムチャートを図3に示してある。図3において、クルー
ズコントロール中の高車速からの減速に伴いロックアッ
プクラッチ7の減速スリップ制御の開始許可が判定さ
れ、その際にアイドルオン状態であり、かつエンジン回
転数Ne とタービン回転数Nt との差が大きいと、その
判定の成立時点t1 に電子スロットルバルブの開き制御
と、点火時期の遅角制御と、ロックアップクラッチ7の
係合油圧の昇圧制御とが実行される。ロックアップクラ
ッチ7の係合圧を供給することにより、ロックアップク
ラッチ7が次第にトルク容量を持ち始め、その結果、エ
ンジン1の回転数Ne が次第に引き上げられると同時
に、それに応じた出力軸トルクの低下が生じる(t2 時
点)。
【0049】エンジン回転数Ne とタービン回転数Nt
との差が減少することにより、ロックアップクラッチ7
が係合し始めたことが判定され(t3 時点)、これと同
時に点火時期の復帰制御が実行される。したがってエン
ジン1の出力が増大してエンジントルクが負のトルクか
ら正のトルクに増大する。そのため、エンジン回転数N
e は、出力の増大によって上昇する。その場合、エンジ
ン回転数Ne とタービン回転数Nt とに差があるので、
ロックアップクラッチ7のスリップが生じているが、負
荷されているトルクが小さい上に、両者の回転数差が急
激に減少するので、発熱や摩耗を抑制してその耐久性の
低下が防止される。
【0050】こうしてエンジン回転数Ne が増大してタ
ービン回転数Nt との差が、通常のスリップ制御の際の
回転数差に近似すると(t4 時点)、復帰条件が成立
し、通常のスリップ制御が開始されるとともにスロット
ル開度がクルーズコントロールによる減速時の開度に設
定される。その場合、スロットル開度の減少に対してエ
ンジントルクの低下が遅れるから、点火時期の遅角制御
を一時的に実行し、点火時期の遅角制御によってエンジ
ントルクを低下させた後、スロットル開度の減少による
エンジントルクの低下に合わせて点火時期を元に戻す制
御を実行する。
【0051】したがって図2に示す制御によれば、エン
ジン回転数Ne がタービン回転数Nt に対して大きく低
下している状態でロックアップクラッチ7を解放状態か
らスリップ状態に制御する場合、エンジン出力を増大さ
せてその回転数Ne を上昇させるから、通常の減速スリ
ップ制御での回転数差にまでエンジン回転数Ne が増大
するまでの時間、すなわちロックアップクラッチ7の実
質的な減速スリップ制御に入るまでの時間(タイムラ
グ)が短くなる。また、エンジン回転数Ne を増大させ
るためのエンジン出力の増大制御は、ロックアップクラ
ッチ7がトルク容量を持ち始めてエンジン回転数Ne が
引き上げられ始めると同時に実行するから、そのエンジ
ン出力の増大に伴う出力軸トルクの変動がなく、違和感
を生じさせることが回避される。なお、原動機の出力を
増大させている間、ロックアップクラッチの係合圧を比
較的低くしておくことにより、トルク変動を滑らかにし
てスリップ状態に移行することもできる。
【0052】上記の図2および図3に示す制御によれ
ば、エンジン回転数Ne が大きく低下している場合であ
ってもロックアップクラッチ7のスリップ制御を実行す
ることが可能になる。したがってこの制御を減速時のダ
ウンシフト後における減速スリップ制御の再開時に利用
することにより、変速ショックを回避することができる
と同時にエンジンブレーキ性能や燃費を向上させること
ができる。図4にその制御例を示してある。
【0053】先ず、ロックアップクラッチ7の減速スリ
ップ制御中か否かが判定される(ステップ21)。減速
スリップ中でない場合には特に制御をおこなうことなく
リターンし、また減速スリップ中であることによりステ
ップ21で肯定的に判定された場合には、ダウンシフト
の判断が成立しているか否かが判定される(ステップ2
2)。このステップ22で否定的に判定された場合には
リターンし、また反対に肯定的に判定された場合には、
その判断の成立しているダウンシフトに先立ってロック
アップクラッチ7の減速スリップ制御を一旦終了する
(ステップ23)。
【0054】ステップ22で判断の成立しているダウン
シフトを、ロックアップクラッチ7が解放している状態
で実行し、そのダウンシフトの開始を判定する(ステッ
プ24)。このダウンシフトの開始は、例えば自動変速
機2の入力回転数であるタービン回転数Nt がダウンシ
フト後の変速比に対応した同期回転数に向けて変化し始
めてイナーシャ相が開始したことによって判定すること
ができる。このステップ24で否定的に判定された場合
にはリターンし、また反対に肯定的に判定された場合に
は、図2に示す減速スリップ制御を開始する(ステップ
25)。
【0055】したがってこの図4に示す制御によれば、
ダウンシフト時にロックアップクラッチ7を解放状態に
するので、変速の際の回転変化に伴うトルクの変化が出
力軸トルクに現れにくく、変速ショックを抑制すること
ができる。また、ロックアップクラッチ7を解放するこ
とによってエンジン回転数Ne がタービン回転数Ntに
対して大きく低下するが、図2に示す制御を実行するこ
とにより、最小限のタイムラグでロックアップクラッチ
7の減速スリップ制御を再度実行することができる。し
かもその減速スリップ制御を、ダウンシフトの開始とと
もに実行するから、変速中にロックアップクラッチ7が
スリップ状態に係合し、そのため、変速によるトルク変
化とロックアップクラッチ7がスリップ状態に係合する
ことによるトルク変化とが一体不可分となるので、それ
ぞれのトルク変化が個別に体感されるなどの事態を回避
して乗り心地の悪化を防止することができる。
【0056】ところで高車速からの減速時には、タービ
ン回転数Nt が高回転数であって、それに伴ってエンジ
ン1の回転数Ne がある程度引き上げられた状態にな
る。その場合、ロックアップクラッチ7を解放していて
もエンジン回転数Ne がフューエルカット実施回転数に
なっているので、ロックアップクラッチ7の減速スリッ
プ制御は実行されない。しかしながら車速の低下に伴っ
てタービン回転数Nt がある程度低下すると、エンジン
回転数Ne が急激に低下し、すなわちトルクコンバータ
3でのトルク容量が急激に低下し、エンジンブレーキが
作用しなくなる。このようなエンジンブレーキ力の変化
に伴う違和感を解消するために、この発明の制御装置
は、ロックアップクラッチ7を以下のようにスリップ制
御する。
【0057】図5はその一例を示しており、先ず、ロッ
クアップクラッチ7の減速スリップ制御中か否かが判定
される(ステップ31)。このステップ31で否定的に
判定された場合はリターンし、また減速スリップ中の場
合には、アイドルオンか否かが判定される(ステップ3
2)。すなわちスロットルバルブが閉じられていてアイ
ドルスイッチがオン状態になっているか否かが判定され
る。
【0058】アクセルペダルが踏み込まれていてアイド
ルオフとなっている場合、すなわちステップ32で否定
的に判定された場合にはリターンし、また反対に肯定的
に判定された場合には、タービン回転数Nt とエンジン
回転数Ne との回転数差が予め定めた基準値ΔNo より
大きいか否かが判定される。この基準値ΔNo は、ター
ビン6の回転によって引き上げられていたエンジン1の
回転数が急激に低下し始めたことを検出するための値で
あり、高車速からの減速時におけるタービン回転数Nt
とエンジン回転数Ne との差より大きい値が採用され
る。
【0059】なお、ステップ33では、エンジン回転数
Ne がタービン回転数Nt に対して大きく低下し始めた
ことを検出すればよいので、トルクコンバータ3の速度
比が所定値以下になったこと、あるいはエンジン回転数
Ne が所定値以下になったこと、あるいはエンジン回転
数Ne の低下率が所定値以上になったこと、さらにはエ
ンジン回転数Ne の低下率がタービン回転数Nt の低下
率より大きくなったことを判定することとしてもよい。
【0060】ステップ33で否定的に判定された場合に
は、タービン回転数Nt とエンジン回転数Ne との差に
変化がないことになるので、特に制御をおこなうことな
くリータンして従前の制御状態を維持する。これに対し
てステップ33で肯定的に判定された場合には、エンジ
ン回転数Nt が単独で低下し始めていることになる。こ
れは、トルクコンバータ3でのタービンランナ6からポ
ンプインペラ5に伝達されるトルクが減少し始め、その
結果、エンジン1によるブレーキ作用が低下し始めたこ
とを示している。そこでステップ33で肯定的に判定さ
れた場合には、図2に示す減速スリップの開始制御を実
行する(ステップ34)。すなわちエンジン出力を増大
させてエンジン回転数Ne を上昇させ、その後にロック
アップクラッチ7をスリップ状態に制御する。
【0061】図6は、図5に示す制御を実行した場合の
タイムチャートを示している。高車速からの減速時にア
イドルオンであれば、エンジン回転数Ne はタービン回
転数Nt との差を所定回転数に維持した状態で次第に低
下する。その途中で車速の低下に伴ってエンジン回転数
Ne が単独で低下し始め、タービン回転数Nt との差が
前述した基準値ΔNo より大きくなったt11時点に、ロ
ックアップクラッチ7の減速スリップ制御が開始され
る。すなわちエンジン出力が増大させられてエンジン回
転数Ne が引き上げられ、タービン回転数Nt との回転
数差が、通常のスリップ制御での回転数差に近似したt
12時点にロックアップクラッチ7の通常のスリップ制御
が開始され、またスロットル開度の通常の制御がおこな
われる。
【0062】したがって図5に示す制御によれば、高車
速からの減速の際にトルクコンバータ3での伝達トルク
が低下してエンジンブレーキ力が減少し始めると、それ
まで解放状態に維持されていたロックアップクラッチ7
がスリップ状態に制御されてロックアップクラッチ7を
介したトルクの伝達が生じ、その結果、車両の走行慣性
力でエンジン1を強制的に回転させることになるので、
エンジンブレーキ力を維持することができる。そしてロ
ックアップクラッチ7をスリップ状態に制御する場合、
前述したように出力軸トルクの変化が生じないので、違
和感の生じないスムーズな制御が可能であり、またエン
ジンブレーキ力を維持して減速度に変化を生じさせない
ので、その点での違和感をも回避することができる。
【0063】ここでこの上記の具体例とこの発明の関係
を説明すると、図1のステップ1が請求項1および4に
おけるクルーズコントロール検出手段に相当し、また図
1のステップ2が請求項1の減速判定手段に相当し、さ
らに図1のステップ3が請求項1のスリップ制御手段に
相当する。また、図2のステップ12が請求項2の減速
検出手段に相当し、ステップ13が請求項2のスリップ
制御手段に相当する。さらに図5のステップ31が請求
項3の解放検出手段に相当し、ステップ33が請求項3
の制動作用検出し油断に相当し、そしてステップ34が
請求項3のスリップ制御手段に相当する。
【0064】なお、上述した具体例のうち、図2に示す
制御例および図5に示す制御例は、クルーズコントロー
ル中の減速時の制御として説明したが、これらの具体例
に対応する請求項2および3の発明は、運転者がアクセ
ルペダルを戻した減速時の制御をも対象としている。ま
た、この発明は上記の例に限定されないのであり、例え
ば動力源として電動機を使用でき、その場合にはクルー
ズコントロールによる制御対象は電動機の電流値にな
る。また、内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車
を対象とする場合には、内燃機関を一定出力で駆動した
状態で電動機によりアシストするので、その場合のクル
ーズコントロールによる制御対象は電動機の電流値とす
ればよい。さらにこの発明におけるロックアップクラッ
チは、上述したトルクコンバータにおけるロックアップ
クラッチに限られないのであって、要は、流体伝動装置
に内蔵されたものであればよい。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、車速を目標車速に一致させるように原動機の出力
が制御されている場合に、現在の車速が目標車速に対し
て大幅に高車速であったり、あるいは要求されている減
速度が大きいなど減速の度合いが基準値以上であれば、
ロックアップクラッチがスリップ状態に制御され、それ
に伴って原動機によるブレーキ作用が増大するから、要
求に沿った減速状態を得ることができ、また車速が目標
車速に近いなど、要求されている減速の度合いが小さい
場合には、ロックアップクラッチが解放状態となってい
わゆるエンジンブレーキ力が小さくなるので、クルーズ
コントロールが実施されていても車速や駆動トルクのハ
ンチングを防止することができる。
【0066】また請求項2の発明によれば、原動機の出
力回転数すなわち流体伝動装置に入力部材の回転数がそ
の出力部材の回転数より低回転数の状態でロックアップ
クラッチをスリップ状態に設定する場合、ロックアップ
クラッチをスリップ状態にする制御と同時に原動機の出
力を増大させる制御が実行されるので、ロックアップク
ラッチがスリップ状態に係合することによる原動機の出
力回転数のいわゆる引き上げのみならず、原動機が自ら
の出力の増大によって回転数を上昇させることになり、
そのため、入力部材と出力部材との回転数差を所定値に
維持するスリップ状態を設定しやすくなる。すなわち減
速時におけるロックアップクラッチの実質的なスリップ
制御に入りやすくなり、その状態になるまでの時間、言
い換えれば、スリップ制御の制御応答時間を短縮するこ
とができる。
【0067】さらに請求項3の発明によれば、流体伝動
装置による出力部材から入力部材に向けて伝達されるト
ルクが減少すると、原動機によるブレーキ作用が低下
し、その場合に、ロックアップクラッチが解放状態から
スリップ状態に制御される。すなわち出力部材と入力部
材との間のトルクの伝達量が増大するので、原動機によ
るブレーキ作用が増大し、エンジンブレーキ力を確保す
ることができる。
【0068】そして請求項4の発明によれば、車速を目
標車速に一致されるように原動機の出力を制御している
クルーズコントロール中に、請求項2もしくは3に記載
されているロックアップクラッチのスリップ制御が実行
されるので、減速時に的確にエンジンブレーキ力を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による制御装置で実行される制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図2】 この発明の制御装置で実行される他の制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図3】 図2の制御を実行した場合のタイムチャート
の一例を示す図である。
【図4】 この発明の制御装置で実行される更に他の制
御例を説明するためのフローチャートである。
【図5】 この発明の制御装置で実行される更に他の制
御例を説明するためのフローチャートである。
【図6】 図5の制御を実行した場合のタイムチャート
の一例を示す図である。
【図7】 この発明の制御装置を原理的に示すブロック
図である。
【図8】 そのナビゲーション装置の一例を模式的に示
すブロック図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…自動変速機、 3…トルクコンバ
ータ、 5…ポンプインペラ、 6…タービンランナ、
7…ロックアップクラッチ、 9…エンジン用電子制
御装置、 11…クルーズコントローラ、 12…ナビ
ゲーション装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D041 AA25 AA34 AA41 AA67 AB01 AC09 AD02 AD04 AD10 AD13 AD14 AD23 AD32 AD39 AD41 AD47 AD51 AE04 AE07 AE09 AE20 AE32 AE45 AF01 AF09 3D044 AA04 AA45 AA47 AB01 AC03 AC05 AC07 AC16 AC22 AC24 AC26 AC28 AC31 AC56 AC57 AC59 AD02 AD04 AD09 AD14 AD17 AE06 AE14 AE19 AE21 3J053 CA03 CB14 DA06 DA11 DA26 EA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力部材と出力部材との間で流体を介し
    てトルクを伝達し、かつその入力部材と出力部材とを選
    択的に直接連結するロックアップクラッチを備えた流体
    伝動装置が、車速を目標車速に一致させるように出力を
    制御される原動機の出力側に連結された車両におけるロ
    ックアップクラッチのスリップ制御装置において、 車速を目標車速に一致させるように原動機の出力が制御
    されているクルーズコントロール中であることを検出す
    るクルーズコントロール検出手段と、 クルーズコントロール中における減速の度合いを判定す
    る減速判定手段と、 クルーズコントロール中の減速の度合いが予め定めた基
    準値以上であることが前記減速判定手段によって判定さ
    れた場合に前記ロックアップクラッチをスリップ状態に
    維持するスリップ制御手段とを備えていることを特徴と
    するロックアップクラッチのスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 入力部材と出力部材との間で流体を介し
    てトルクを伝達し、かつその入力部材と出力部材とを選
    択的に直接連結するロックアップクラッチを備えた流体
    伝動装置が、原動機の出力側に連結された車両における
    ロックアップクラッチのスリップ制御装置において、 前記原動機の出力回転数が前記出力部材の回転数より低
    回転数であることを検出する減速検出手段と、 前記原動機の出力回転数が前記出力部材の回転数より低
    回転数であることが前記減速検出手段によって検出され
    た場合に、前記ロックアップクラッチを解放状態からス
    リップ状態に制御しかつ前記原動機の出力を増大させる
    スリップ制御手段とを備えていることを特徴とするロッ
    クアップクラッチのスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 入力部材と出力部材との間で流体を介し
    てトルクを伝達し、かつその入力部材と出力部材とを選
    択的に直接連結するロックアップクラッチを備えた流体
    伝動装置が、原動機の出力側に連結された車両における
    ロックアップクラッチのスリップ制御装置において、 前記ロックアップクラッチが解放状態であることを検出
    する解放検出手段と、 前記ロックアップクラッチが解放状態であることが解放
    検出手段で検出されている状態で前記原動機によるブレ
    ーキ作用が低下したことを検出する制動作用検出手段
    と、 この制動作用検出手段によって原動機のブレーキ作用の
    低下が検出された場合に、前記ロックアップクラッチを
    スリップ状態に制御するスリップ制御手段とを備えてい
    ることを特徴とするロックアップクラッチのスリップ制
    御装置。
  4. 【請求項4】 車速を目標車速に一致させるように前記
    原動機の出力を制御するクルーズコントロール中である
    ことを検出するクルーズコントロール検出手段を更に備
    え、 かつ前記スリップ制御手段が、前記クルーズコントロー
    ル検出手段によってクルーズコントロール中であること
    が検出された場合に、前記ロックアップクラッチをスリ
    ップ状態に制御する手段を含んでいることを特徴とする
    請求項2もしくは3に記載のロックアップクラッチのス
    リップ制御装置。
JP10222138A 1998-08-05 1998-08-05 ロックアップクラッチのスリップ制御装置 Pending JP2000055185A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10222138A JP2000055185A (ja) 1998-08-05 1998-08-05 ロックアップクラッチのスリップ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10222138A JP2000055185A (ja) 1998-08-05 1998-08-05 ロックアップクラッチのスリップ制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000055185A true JP2000055185A (ja) 2000-02-22

Family

ID=16777778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10222138A Pending JP2000055185A (ja) 1998-08-05 1998-08-05 ロックアップクラッチのスリップ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000055185A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009108955A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
JP2017532247A (ja) * 2014-10-09 2017-11-02 コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングConti Temic microelectronic GmbH 自動車を動作させるための方法および装置並びに自動車

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009108955A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
JP4535115B2 (ja) * 2007-10-31 2010-09-01 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
US8296028B2 (en) 2007-10-31 2012-10-23 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control device and control method for lockup clutch and engine torque in a vehicle
JP2017532247A (ja) * 2014-10-09 2017-11-02 コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングConti Temic microelectronic GmbH 自動車を動作させるための方法および装置並びに自動車
US10793158B2 (en) 2014-10-09 2020-10-06 Vitesco Technologies Germany Gmbh Method and device for operating a motor vehicle, and motor vehicle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7400964B2 (en) Deceleration control apparatus and method for a vehicle
EP1174303B1 (en) Control method and system for vehicle starting
US7469178B2 (en) Deceleration control apparatus and method for a vehicle
JP5928594B2 (ja) 車両の走行制御装置
US20050267665A1 (en) Deceleration control system and deceleration control method for vehicle
JPH10184877A (ja) 有段変速機の制御装置
US20110224878A1 (en) Shift control apparatus of automatic transmission
KR20160034769A (ko) 자동변속기의 변속 제어 장치 및 방법
JP3397523B2 (ja) 車両用自動変速機の変速制御装置
US6834224B2 (en) Vehicular shift control unit and vehicular automatic shift control method
US6269296B1 (en) Control of vehicle driving force
EP2212148B1 (en) A method for a more efficient use of a combustion engine in a vehicle provided with an automatic step gear transmission
JP2000120859A (ja) 自動変速機の制御装置
JP4453382B2 (ja) 車両の走行制御装置
CN108374887B (zh) 车辆的控制装置
CN210126520U (zh) 车辆的控制装置
EP1069311B1 (en) Intelligent automatic engine stop and restart system for land vehicles
JP4112034B2 (ja) 車両の制御装置
JP3417209B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP2000055185A (ja) ロックアップクラッチのスリップ制御装置
JP2005306179A (ja) 車両の制御装置
JPH10184899A (ja) 自動変速機の制御装置
JP2000052805A (ja) 車速制御装置と変速機との協調制御装置
JP2674166B2 (ja) 自動変速機のクラッチ制御装置
JP2003301941A (ja) 車両用自動変速機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061101

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070313