JP2000054320A - コンクリート部材の懸垂支持構造及び吊床版の架設方法 - Google Patents

コンクリート部材の懸垂支持構造及び吊床版の架設方法

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JP2000054320A
JP2000054320A JP23032898A JP23032898A JP2000054320A JP 2000054320 A JP2000054320 A JP 2000054320A JP 23032898 A JP23032898 A JP 23032898A JP 23032898 A JP23032898 A JP 23032898A JP 2000054320 A JP2000054320 A JP 2000054320A
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concrete
steel rod
groove
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JP23032898A
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English (en)
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Kenichi Saito
謙一 齋藤
Hideo Arai
英雄 新井
Hiroshi Masuko
博志 益子
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Sumitomo Construction Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定構造物間に張架されたケーブルによって
コンクリート部材を懸垂支持させる構造であって、作業
効率が良く、コンクリート部材をケーブルに沿って安全
かつ容易に移動することができる懸垂支持構造を提供す
る。 【解決手段】 コンクリート部材1の上面にケーブル2
の軸線方向の溝10を形成しておき、この溝内の両側部
に対向するように一対の横穴11、12を設ける。そし
て、この溝内に収容したケーブルの上側で、短い鋼棒3
の両端をそれぞれ一対の横穴に突き入れて係止する。こ
の鋼棒は、竪穴13から横穴11内に突き入れられた棒
材5によって、コンクリート部材の移動中も鋼棒3の軸
線方向の移動が拘束され、鋼棒の脱落が防止される。ま
た、鋼棒に合成樹脂の円筒体4が装着されており、ケー
ブル2を傷つけることなく、円滑な移動が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、二つの構造物間
に張架されたケーブルに対して、その軸線に沿って移動
可能にコンクリート部材を懸垂支持させる構造、及びこ
の懸垂支持構造を用いて吊床版を架設する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】歩道橋等の簡易な橋梁に適用される構造
形式の一つに吊床版橋がある。この構造形式は、図7に
示すように、固定支持された構造物52、53間に連続
した薄いコンクリートの板状部材51(吊床版)を吊支
持するものであり、この板状部材51は、極めて小さい
曲げモーメントしか生じない程度に部材厚が薄くなって
いる。そして、部材内に配置されたPC鋼材の引張力に
基づくプレストレスによってひびわれを生じることな
く、柔軟に変形が生じるものであり、その軸力によって
自重及び載荷重を支持する構造である。このような構造
形式は、全体の剛性が小さく、変形又はたわみが生じや
すいという欠点を有するものの、大きな架設用機器を用
いることなく、長い経間に安価で架設できるという利点
を有しており、主に歩道橋又は自転車道の橋梁に採用さ
れている。
【0003】このような吊床版橋は、一般に次のような
工程によって架設される。図8(a)に示すように地盤
又は岩盤上に固定支持された橋台52、53間にケーブ
ル62を張架する。なお、図中に示す符号54はケーブ
ルの張力に対して橋台の安定を維持するために設けられ
たアースアンカーである。
【0004】上記のようにケーブル62が張架される
と、工場又は製作ヤードで形成されたプレキャストコン
クリート部材61を上記ケーブルに懸垂支持し、所定の
位置までケーブル62に沿って移動させる。そして図8
(b)に示すように、複数のプレキャストコンクリート
部材を次々にケーブル62に吊支持し、二つの橋台5
2、53間の全長にわたってプレキャストコンクリート
部材61を配列する。その後、図8(c)に示すよう
に、これらの板状部材間及び板状部材と橋台との間にコ
ンクリートを打設することによって、二つの橋台間に連
続した吊床版が形成される。コンクリートが硬化した
後、ケーブルの張力の調整又は二次ケーブルを緊張する
ことによって上記吊床版には適切なプレストレスが導入
される。
【0005】上記のような工程において、プレキャスト
コンクリートの部材をケーブルに懸垂支持する構造とし
て図9、又は図10に示す構造が知られている。図9
(a)に示す構造は、プレキャストコンクリート部材7
1に一端が埋め込まれたボルト73をケーブル72上を
走行する滑車74の支持枠と連結し、該プレキャストコ
ンクリート部材71を吊支持するとともに上記滑車74
によって移動するものである。所定位置まで移動した後
は、図9(b)に示すようにボルト77とこれに係止さ
れるプレート75とによってプレキャストコンクリート
部材71の自重を支持し、車輪74を撤去する。そし
て、ケーブル72が収容されている溝部分76にコンク
リートを打設してケーブル72とプレキャストコンクリ
ート部材71とを一体化するものである。
【0006】一方、図10に示す構造は、プレキャスト
コンクリート部材81の上側に設けられた溝86内の両
側面に、対向する横穴84、85が設けられており、こ
の横穴84、85に短い鋼棒の両端部を係止し、上記溝
86内にケーブル82が収容されるように該プレキャス
トコンクリート部材81を支持した状態で、上側から短
い鋼棒83の両端部が上記横穴84、85内にそれぞれ
はめ込まれている。したがって、プレキャストコンクリ
ート部材81はこの鋼棒83を介してケーブル82に支
持され、鋼棒83がケーブル82上を滑動することによ
って移動される。プレキャストコンクリート部材81を
所定位置まで移動した後は、ケーブル82とともに上記
鋼棒83を埋め込むように上記溝内にコンクリートが打
設される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような懸垂支持構造では、次のような問題点がある。図
9に示すコンクリート部材の懸垂支持構造では、プレキ
ャストコンクリート部材のそれぞれについて、ケーブル
72の下側に支持した状態で滑車74を取り付ける必要
がある。また、所定位置に移動した後は、一端がこのプ
レキャストコンクリート部材71に埋め込まれたボルト
77とプレート75とによって自重をケーブル72に支
持させ、滑車74を取りはずさなければならない。した
がって、作業工数が多く作業の能率が上がらないという
問題がある。
【0008】一方、図10に示すコンクリート部材の懸
垂支持構造では、ケーブル82の上を鋼棒83が滑動す
ることになり、被覆されていないPC鋼線又はPC鋼よ
り線等をケーブル82として用いる場合にはケーブルを
傷つける恐れがある。また、移動中に鋼棒83が横穴内
で軸線方向に移動することが考えられ、溝86及び横穴
84、85が精度よく形成されていないと、鋼棒83と
横穴上面との接触長さが小さくなり、大きな支圧力が作
用してコンクリートの縁部が欠け落ちる可能性が生じ
る。このようにコンクリートの縁部が欠け落ちると、鋼
棒83のプレキャストコンクリート部材81との係止が
はずれ、部材が落下する危険が生じることになる。
【0009】本願発明は、上記のような問題点に鑑みて
なされたものであり、その目的は作業効率が良好で、安
全に移動可能なコンクリート部材の懸垂支持構造を提供
すること、及びこの懸垂支持構造を利用した吊床版の架
設方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記のような問題点を解
決するために、請求項1に記載した発明は、 固定構造
物間に張架されたケーブルによってコンクリート部材を
支持する懸垂支持構造であって、 前記コンクリート部
材は、 その上面に形成された前記ケーブルの軸線方向
の溝と、 この溝内の両側部に対向するように形成され
た一対の横穴と、 該横穴の一方の上部から、該コンク
リート部材の上面にほぼ鉛直に貫通する竪穴とを有して
おり、 対向する前記横穴の突き当たり面間の距離より
短く、前記溝の幅より長い鋼棒が、該溝内に納められた
ケーブルの上側で、両端部を前記一対の横穴内に挿入し
て配置され、 該鋼棒の両端面が、前記竪穴から一方の
横穴内に挿入された棒材と他方の横穴の突き当たり面と
にそれぞれ近接対向した状態で、該鋼棒が該コンクリー
ト部材に係止されているコンクリート部材の懸垂支持構
造を提供するものである。
【0011】このような構成の懸垂支持構造では、対向
する前記横穴の突き当たり面間の距離は、これらにはめ
込まれる鋼棒の長さより大きくなっており、該鋼棒の一
方の端部を横穴内に深く差し入れることによって溝内で
横穴内に架け渡すように鋼棒をはめ込むことができる。
そして、鋼棒を横穴内の所定位置に保持した状態で上記
竪穴内に棒材を挿入することにより、該鋼棒は、軸線方
向の移動が拘束され、ケーブル上を滑動させて移動する
ときにもこの鋼棒がはずれる危険性が排除される。
【0012】請求項2に記載の発明は、 固定構造物間
に張架されたケーブルによってコンクリート部材支持す
る懸垂支持構造であって、 円形断面を有する鋼棒が、
前記ケーブルの上側で、該ケーブルとほぼ直角方向に配
置され、前記コンクリート部材の重量が該鋼棒に負荷さ
れるように該鋼棒の両端部が前記コンクリート部材に係
止されており、 該鋼棒には、合成樹脂で形成された円
筒部材が装着されているコンクリート部材の懸垂支持構
造を提供するものである。
【0013】上記合成樹脂の種類は特に限定されるもの
ではないが、鋼棒とケーブルとの間に強く挟まれても割
れない程度にやや柔軟性を有するものが望ましく、ポリ
エチレン等を用いることができる。
【0014】このような懸垂支持構造では、両端部がコ
ンクリート部材に係止された鋼棒を介してコンクリート
部材の重量はケーブルに負荷され、懸垂支持される。そ
して、この鋼棒は円形断面を有するとともに合成樹脂の
円筒部材が外挿されているので、コンクリート部材をケ
ーブルに沿って移動させようとするときに、鋼棒は回転
しなくても鋼棒の周りで合成樹脂の円筒部材が回転し、
円滑にコンクリート部材を移動させることができる。ま
た、ケーブルと鋼棒との間に円筒部材が介挿されている
ので、この円筒部材が摩擦等によって回転しない場合に
も、合成樹脂がケーブル上を滑動し、ケーブルが被覆さ
れていなくても傷つけるようなことはない。さらに、コ
ンクリート部材を所定の位置まで移動させた後には、合
成樹脂の円筒部材を切開して容易に除去することができ
る。このためコンクリートやモルタルで上記鋼棒やケー
ブルを埋め込み、これらとの付着によって強固に一体化
することもできる。
【0015】請求項3に記載の発明は、 柔軟に変形
が生じる程度に薄いコンクリート部材を、該コンクリー
ト部材内に埋設されたケーブルによって、二つの固定構
造物間に張架する吊床版の架設方法であって、 上面に
溝を有するプレキャストコンクリートの板状部材を形成
し、 固定構造物間に張架されたケーブルの下側に前記
板状部材を支持して、該ケーブルを前記溝内に納め、
該ケーブルの上側に、合成樹脂からなる円筒部材を装着
した断面が円形の鋼棒をこのケーブルとほぼ直角方向に
配置し、 前記コンクリート部材の重量が該鋼棒に負荷
されるように、該鋼棒の両端部を前記溝内で該板状部材
に係止し、 該板状部材を前記ケーブルに懸垂支持させ
た状態で、該ケーブルに沿って移動し、 前記円筒部材
を切開して除去し、 前記溝内にコンクリートを打設し
てケーブルと板状部材とを一体化する吊床版の架設方法
を提供するものである。
【0016】このような吊床版の架設方法では、ケーブ
ルの上側から鋼棒をプレキャストコンクリートの板状部
材に係止するだけで、該板状部材を容易に懸垂支持する
ことができ、作業の効率が向上する。また、鋼棒には合
成樹脂の円筒部材が装着されているので、該板状部材は
ケーブルに沿って円滑に、しかもケーブルを傷つけるこ
となく移動される。プレキャストコンクリートの板状部
材を所定の位置まで移動した後は、上記合成樹脂の円筒
部材を切開して容易に除去できるので、コンクリート又
はモルタルの打設によってケーブルと鋼棒とプレキャス
トコンクリートの板状部材とを少ない作業で強固に一体
化することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を図
に基づいて説明する。図1は、図7に示す吊床版橋を図
8に示す方法で架設するときに、プレキャストコンクリ
ートの板状部材をケーブルに懸垂支持させる構造であっ
て、請求項1又は請求項2に記載の発明の一実施形態で
あるコンクリート部材の懸垂支持構造を示す断面図であ
る。この懸垂支持構造は、二つの離れた位置に設けられ
た構造物間に張架されたケーブル2にコンクリート部材
1を懸垂支持させ、ケーブル2の軸線方向にコンクリー
ト部材1を移動可能とするものである。
【0018】上記コンクリート部材1は、上側にケーブ
ル2の軸線方向の溝10が形成されており、この溝10
内の両側部に対向する二つの横穴11,12が設けられ
ている。この横穴11,12には、合成樹脂の円筒体4
が装着された鋼棒3の両端部が挿入され、この鋼棒3が
上側にはずれないように係止されている。上記鋼棒3
は、上記ケーブル2が溝10内を通過するようにコンク
リート部材1を支持した状態で該ケーブル2の上側から
係止され、この鋼棒3によってコンクリート部材1がケ
ーブル2に懸垂支持される。
【0019】上記鋼棒3の材質は、特に限定されるもの
ではなく、PC鋼棒又は炭素鋼・軟鋼の棒状部材等を用
いることができ、ここでは外径26mmのPC鋼棒を用
いている。また、合成樹脂の円筒体4は、内径が上記鋼
棒3の外径よりやや大きいものが用いられ、ここでは内
径28mm、外径30.5mmのポリエチレン管が用い
られており、長さは上記溝10の幅より少し小さくなっ
ている。
【0020】上記鋼棒3が係止される横穴の一方12
は、鋼棒3の外径よりやや大きい径の円形断面であり、
他方11は、ほぼ鉛直方向に長径を有する長円形の断面
を有するものである。この長円形の横穴11は、溝幅よ
り長い鋼棒3の一端を差し入れて、他端を円形の横穴1
2に挿入できるように深く形成されている。上記長円形
の横穴11には、上部からコンクリート部材1の上面に
貫通する竪穴13が形成されており、この竪穴13には
コンクリート部材1の上面から棒材5が横穴11まで挿
入されている。そして、上記鋼棒3は、一方の端面が上
記棒材5と近接対向又は接触し、他方の端面が円形断面
の横穴12の突き当たり面と近接又は対向するように長
さが調整され、この鋼棒の軸線方向にはほとんど動かな
いようになっている。上記棒材5は、充分な強度を有す
るものであれば特に材質等は限定されるものではなく、
鉄筋等を用いることができる。
【0021】上記横穴11,12及び竪穴13は、コン
クリート部材1を形成するときの型枠内に円形又は長円
形の短い管材を所定の位置に固定しておくことによって
形成される。上記管材は、合成樹脂製のものやプレスト
レストコンクリート部材に用いられるシースを短く切断
したものを利用することができる。また、上記コンクリ
ート部材1には、適宜補強用の鉄筋6、7が配置されて
おり、横穴11,12の上部は、鋼棒3から自重の反力
が作用するため、支圧部が欠け落ちるのを防止するため
のΩ字状に曲げ加工した補強筋8が配置されている。
【0022】上記のような懸垂支持構造は、図2に示す
ようにコンクリート部材1の上側に形成された二つの平
行な溝10のそれぞれに少なくとも2ケ所、合計で少な
くとも4ケ所に設けることによって、コンクリート部材
1を安定した状態でケーブル2に支持する。
【0023】次に、上記コンクリート部材の懸垂支持構
造を利用して吊床版橋を架設する方法について説明す
る。なお、この方法は、請求項3に記載の発明の一実施
形態である。この吊床版の架設方法において、橋台を構
築し、これらの間にケーブルを張架する工程は図8
(a)に示す従来から知られている方法と同じである。
そして、プレキャストコンクリートとからなる板状部材
1を上記ケーブルに懸垂支持させる作業は次のように行
う。
【0024】まず、板状となったプレキャストのコンク
リート部材1をケーブル2の下側で吊り上げ、図3
(a)に示すように、ケーブル2と平行に設けられた溝
10内にケーブル2が納められる位置に支持する。そし
て、図3(b)に示すようにケーブルの上側から鋼棒3
の一端を長円形断面の横穴11内に差し入れ、この鋼棒
の両端部を対向する横穴11,12に係止する。鋼棒3
を横穴11,12内の所定位置に配置した後、図4
(a)に示すように、コンクリート部材1の上面から竪
穴13内に棒材5を挿入し、上記鋼棒3の位置を拘束す
る。そして、コンクリート部材1を吊り上げている力を
解除し、コンクリート部材1をケーブル2に負担させ
る。このような状態で、図8(b)に示す方法と同様に
コンクリート部材1をケーブル2に沿って所定の位置ま
で移動させる。この移動には、橋台上に固定されたウイ
ンチ等で牽引する等、従来から知られている手段を用い
ることができる。
【0025】上記移動時は、鋼棒3に円筒体4(ポリエ
チレン管)が装着されているのでこのポリエチレン管が
回転して円滑に移動する。また、このポリエチレン管と
鋼棒3との間の摩擦によって、ポリエチレン管が回転し
ない場合にも、このポリエチレン管がケーブル2上を滑
動し、ケーブル2を傷つけることはない。
【0026】コンクリート部材1が所定の位置まで移動
すると、上記ポリエステル管は切開して除去し、鋼棒3
を露出させる。上記のような工程を、複数のコンクリー
ト部材について行い、二つの橋台間のほぼ全長にわたり
板状のコンクリート部材をケーブル2に沿って配列す
る。
【0027】そして、図8(c)に示すのと同様に各コ
ンクリート部材間にコンクリートを打設し、一体化する
とともに、図4(b)に示すように、コンクリート部材
の上側の溝10内、及び横穴11、12内にコンクリー
ト又はモルタルを打設し、ケーブル2及び鋼棒3を埋め
込む。また、棒材5は引き抜いて竪穴13内にもモルタ
ル等を充填する。このようにして、橋台間に連続したコ
ンクリートの吊床版が形成されると、あらかじめ形成さ
れているダクト14内に挿通したPC鋼材を緊張し、適
切なプレストレスを導入して吊床版の架設を完了する。
【0028】上記のような吊床版の架設方法では、コン
クリート部材1を支持するための鋼棒3がはずれて脱落
するという危険が排除されるとともに、簡単な構造でコ
ンクリート部材1を懸垂支持することができるので作業
効率が向上する。また、鋼棒3にはポリエチレン管が装
着されているのでケーブルを傷つけることもない。さら
に、ポリエチレン管は切開して除去されるので溝内に打
設したコンクリートはケーブル2及び鋼棒3と付着し、
構造的な弱点を生じることなく強固に一体化される。
【0029】次に、請求項1又は請求項2に記載の発明
の他の実施形態であるコンクリート部材の懸垂支持構造
を図5及び図6に基づいて説明する。この懸垂支持構造
は、図1に示す構造と同様に、水平方向に張り渡された
ケーブル32に短く切断した鋼棒33を介して板状のコ
ンクリート部材31を支持させるものであり、コンクリ
ート部材31の上面側にケーブル32の軸線方向の溝4
0が設けられ、この溝内に上記鋼棒33が係止される。
【0030】鋼棒33を係止する横穴41,42は、溝
40内の両側部に対向するように設けられ、いずれも鋼
棒33の外径よりやや大きい円形断面を有している。そ
して、一方の横穴41は、溝40の内側面から水平に、
鋼棒33の全長を収容できる長さを有しており、この横
穴上部にはコンクリート部材31の上面に貫通する竪穴
43が設けられている。
【0031】鋼棒33は、対向する上記横穴41,42
に両端をそれぞれ挿入することによって係止されてお
り、一端は、上記竪穴43を通じて上方から横穴41内
に挿入された棒材35と突き当てられるように接触又は
近接対向している。また、他端は他方の横穴42内の突
き当たり面と対向し、接触又は近接している。この鋼棒
33は、溝40内のケーブル32の上側で係止されてお
り、鋼棒33に外挿された溝幅よりやや短い合成樹脂の
円筒体34を介してコンクリート部材31の重量をケー
ブル32に負担させるようになっている。
【0032】このコンクリート部材31を製作するとき
は、型枠内に溝40を形成するためのボイド、横穴4
1、42および竪穴43を形成するための管が所定位置
に固定され、横穴41を形成するための管内には、円筒
体34を装着した鋼棒33があらかじめ挿入されてい
る。そして、上記鋼棒33によってコンクリート部材3
1を懸垂支持させるときは、図6に示すように、溝40
内にケーブル32を収容した状態で、横穴41から鋼棒
32を水平に引き出し、対向する横穴42に一端を突き
入れて係止する。その後、コンクリート部材31の上面
から竪穴35を通して横穴41内まで棒材35を突き入
れる。
【0033】このようなコンクリート部材31の懸垂支
持構造では、図1に示す構造と同様に、合成樹脂の円筒
体34が装着された鋼棒33がケーブル32上を円滑に
移動するとともに、横穴41内に突き出した棒材35に
よって鋼棒33の変位が拘束され、鋼棒33の脱落が防
止される。
【0034】
【発明の効果】以上、説明したように本願発明には次の
ような効果がある。請求項1に記載のコンクリート部材
の懸垂支持構造では、コンクリート部材に係止された鋼
棒により、簡単な作業でコンクリート部材をケーブルに
支持させるとともに、ケーブルに沿って円滑に移動させ
ることができる。また、コンクリート部材の上面から横
穴内に突き入れられた棒材によって鋼棒の移動が拘束さ
れ、懸垂支持時及びケーブルに沿って移動する時の高い
安全性が維持される。請求項2に記載のコンクリート部
材の懸垂支持構造では、コンクリート部材は合成樹脂の
円筒部材を装着した鋼棒を介して支持されており、ケー
ブルに沿って移動させるときに、上記円筒部材の回転又
は円筒部材のケーブル上での摺動により、ケーブルを傷
つけることなく円滑な移動が可能となる。また、請求項
3に記載の吊床版の架設方法では、簡単な作業でプレキ
ャストコンクリートの板状部材をケーブルに支持させ、
安全かつ円滑に該板状部材の移動を行うとともに、簡単
な作業で鋼棒に装着されている合成樹脂の円筒体を除去
して、鋼棒及びケーブルをプレキャストコンクリートの
板状部材と強固に一体化し、構造的な弱点のない吊床版
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1又は請求項2に記載の発明の一実施形
態であるコンクリート部材の懸垂支持構造を示す断面図
である。
【図2】図1に示す懸垂支持構造で支持されたコンクリ
ート部材の概略斜視図である。
【図3】図1に示す懸垂支持構造によってコンクリート
部材をケーブルに支持する工程を示す概略図である。
【図4】図1に示す懸垂支持構造によってコンクリート
部材をケーブルに支持する工程を示す概略図である。
【図5】請求項1又は請求項2に記載の発明の他の実施
形態であるコンクリート部材の懸垂支持構造を示す断面
図である。
【図6】図5に示す懸垂支持構造によってコンクリート
部材をケーブルに支持する要領を示す概略図である。
【図7】従来から知られている吊床版橋の一例を示す概
略側面図及び断面図である。
【図8】図7に示す吊床版橋の一般的な架設方法を示す
施工要領図である。
【図9】図8に示す吊床版橋の架設方法において従来か
ら用いられているコンクリート部材の懸垂支持構造の一
例を示す概略断面図である。
【図10】図8に示す吊床版橋の架設方法において従来
から用いられているコンクリート部材の懸垂支持構造の
他の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、31 コンクリート部材 2、32 ケーブル 3、33 鋼棒 4、34 円筒体 5、35 棒材 6、7 鉄筋 8 補強筋 10、40 溝 11、12、41、42 横穴 13、43 竪穴 51 薄いコンクリートの板状部材(吊床版) 52、53 橋台 54 アースアンカー 61 プレキャストコンクリート部材 62 ケーブル
フロントページの続き (72)発明者 益子 博志 東京都新宿区荒木町13番地の4 住友建設 株式会社内 Fターム(参考) 2D059 AA14 BB06 BB39 CC02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定構造物間に張架されたケーブルに
    よってコンクリート部材を支持する懸垂支持構造であっ
    て、 前記コンクリート部材は、 その上面に形成された前記
    ケーブルの軸線方向の溝と、 この溝内の両側部に対向
    するように形成された一対の横穴と、 該横穴の一方の
    上部から、該コンクリート部材の上面にほぼ鉛直に貫通
    する竪穴とを有しており、 対向する前記横穴の突き当たり面間の距離より短く、前
    記溝の幅より長い鋼棒が、該溝内に納められたケーブル
    の上側で、両端部を前記一対の横穴内に挿入して配置さ
    れ、 該鋼棒の両端面が、前記竪穴から一方の横穴内に挿入さ
    れた棒材と他方の横穴の突き当たり面とにそれぞれ近接
    対向した状態で、該鋼棒が該コンクリート部材に係止さ
    れていることを特徴とするコンクリート部材の懸垂支持
    構造。
  2. 【請求項2】 固定構造物間に張架されたケーブルに
    よってコンクリート部材支持する懸垂支持構造であっ
    て、 円形断面を有する鋼棒が、前記ケーブルの上側で、該ケ
    ーブルとほぼ直角方向に配置され、前記コンクリート部
    材の重量が該鋼棒に負荷されるように該鋼棒の両端部が
    前記コンクリート部材に係止されており、 該鋼棒には、合成樹脂で形成された円筒部材が装着され
    ていることを特徴とするコンクリート部材の懸垂支持構
    造。
  3. 【請求項3】 柔軟に変形が生じる程度に薄いコンク
    リート部材を、該コンクリート部材内に埋設されたケー
    ブルによって、二つの固定構造物間に張架する吊床版の
    架設方法であって、 上面に溝を有するプレキャストコンクリートの板状部材
    を形成し、 固定構造物間に張架されたケーブルの下側に前記板状部
    材を支持して、該ケーブルを前記溝内に納め、 該ケーブルの上側に、合成樹脂からなる円筒部材を装着
    した断面が円形の鋼棒をこのケーブルとほぼ直角方向に
    配置し、 前記コンクリート部材の重量が該鋼棒に負荷されるよう
    に、該鋼棒の両端部を前記溝内で該板状部材に係止し、 該板状部材を前記ケーブルに懸垂支持させた状態で、該
    ケーブルに沿って移動し、 前記円筒部材を切開して除去し、 前記溝内にコンクリートを打設してケーブルと板状部材
    とを一体化することを特徴とする吊床版の架設方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019094736A (ja) * 2017-11-28 2019-06-20 矢内 誠 凸状連結構造物を構成する一連の箱状構造物と凸状連結構造物の構築方法
WO2019239773A1 (ja) * 2018-06-12 2019-12-19 矢内誠 ケーブルと一連の箱状構造物

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