JP3078195U - プレストレスコンクリート構造物 - Google Patents
プレストレスコンクリート構造物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】免震構造物に設置されるエレベータピットやコ
ア壁等の鉛直方向に長いコンクリート構造物でもプレス
トレスコンクリート構造物とすることができ、地震等に
よるひび割れ等の発生を防止できるようにする。 【解決手段】下端に固定側定着金具3の付いたアンボン
ドPC鋼線2をエレベータピット1の壁体1aの型枠内
に上方から吊り下ろして配設し、固定側定着金具3が下
部の所定位置に達すると、PC鋼線2の上部を仮止部材
で仮止めし、中間部を水平の支持部材で支持して壁体厚
み方向の中央に位置決めし、PC鋼線2の上部には引張
側定着金具4を取付けて仮止した後、型枠内にコンクリ
ートを打設し、コンクリートが十分な強度に達すると、
引張側定着金具4に緊張ジャッキをセットしてPC鋼線
2を引張り、エレベータピット1に鉛直方向のプレスト
レスを導入する。
ア壁等の鉛直方向に長いコンクリート構造物でもプレス
トレスコンクリート構造物とすることができ、地震等に
よるひび割れ等の発生を防止できるようにする。 【解決手段】下端に固定側定着金具3の付いたアンボン
ドPC鋼線2をエレベータピット1の壁体1aの型枠内
に上方から吊り下ろして配設し、固定側定着金具3が下
部の所定位置に達すると、PC鋼線2の上部を仮止部材
で仮止めし、中間部を水平の支持部材で支持して壁体厚
み方向の中央に位置決めし、PC鋼線2の上部には引張
側定着金具4を取付けて仮止した後、型枠内にコンクリ
ートを打設し、コンクリートが十分な強度に達すると、
引張側定着金具4に緊張ジャッキをセットしてPC鋼線
2を引張り、エレベータピット1に鉛直方向のプレスト
レスを導入する。
Description
【0001】
本考案は、アンボンドPC鋼材により鉛直方向にプレストレスが導入されるプ レストレスコンクリート構造物に関するものである。
【0002】
従来から、鉄筋コンクリート構造のスラブ内にPC鋼材としてのアンボンドP C鋼線を挿通して緊張し、その反力によって構造物にプレストレス(圧縮力)を 導入し、プレストレスコンクリート構造物とする方法が知られている。この場合 、アンボンドPC鋼線の一端を固定側定着金具で固定し、他端をジャッキで引っ 張って緊張側定着金具に定着し(片引き)、あるいはアンボンドPC鋼線の両端 をジャッキで引っ張って緊張側定着金具に定着することにより(両引き)、所定 大のプレストレスを導入している。
【0003】
従来のプレストレスコンクリート構造物は、PC鋼材を水平に配設してプレス トレスを水平方向に導入するものであり、例えば免震構造物等に設置される独立 したエレベータピットやコア壁などように鉛直方向に長いコンクリート構造物に は、適用することができないという課題があった。
【0004】 本考案は、このような課題を解決すべくなされたもので、その目的は、エレベ ータピットやコア壁等の鉛直方向に長いコンクリート構造物でもプレストレスコ ンクリート構造物とすることができ、ひび割れ等の発生を防止することのできる プレストレスコンクリート構造物を提供することにある。
【0005】
本考案の請求項1は、壁体が現場打ちコンクリートで構築されるコンクリート 構造物であり、壁体のコンクリート打設空間内に鉛直に、かつ、周方向に間隔を おいて挿入配置される複数のアンボンドPC鋼材(鋼線)と、このアンボンドP C鋼材の下端部に装着される固定側定着金具と、このアンボンドPC鋼材の上部 に装着される引張側定着金具とを備え、壁体のコンクリート打設空間内に鉛直に 挿入配置されたアンボンドPC鋼材の上部を仮止め保持すると共に、アンボンド PC鋼材の中間部を支持部材により壁体の厚み方向中央に位置決めした後、前記 コンクリート打設空間内にコンクリートを打設し、コンクリートの硬化後、アン ボンドPC鋼材の引張側定着金具から突出する突出部を引張って引張側定着金具 に定着させてコンクリート構造物に鉛直方向のプレストレスを導入して構成され ていることを特徴とするプレストレスコンクリート構造物である。
【0006】 本考案の請求項2は、請求項1に記載のプレストレスコンクリート構造物にお いて、壁体は免震構造物内に設置されるエレベータピットまたはコア壁であるこ とを特徴とするプレストレスコンクリート構造物である。
【0007】 即ち、例えば、下端に固定側定着金具の付いたアンボンドPC鋼材をリール等 からエレベータピット等の壁体の型枠内に上方から吊り下ろして配設し、固定側 定着金具が下部の所定位置に達すると、アンボンドPC鋼材の上部を仮止部材で 仮止めし、中間部を水平の支持部材(型枠のセパレータ、あるいは針金などの部 材)で支持して壁体厚み方向の中央に位置決めし、アンボンドPC鋼材の上部に は引張側定着金具を取付けて仮止めする。エレベータピット等の周方向に間隔お いて複数のアンボンドPC鋼材が鉛直に配設されると、型枠内にコンクリートを 打設し、コンクリートが十分な強度に達すると、引張側定着金具に緊張ジャッキ をセットしてPC鋼材を引張り、エレベータピット等に鉛直方向のプレストレス を導入する。型枠や壁筋等はPC鋼材を配設した後に組み立てるようにしてもよ い。
【0008】 以上のような構成において、エレベータピットやコア壁等のコンクリート構造 物にもアンボンドPC鋼材の鉛直に配設して鉛直方向のプレストレスを導入する ことができ、地震等により壁体等にひび割れが発生するのが防止され、免震構造 物にエレベータピットやコア壁等を設置することが可能となる。
【0009】
以下、本考案を図示する実施の形態に基づいて説明する。この実施形態は免震 建物に設置される鉄筋コンクリート製のエレベータピットに適用した例である。 図1,図2は本考案に係るエレベータピットの一例を示す縦断面図,平面図であ る。図3は、本考案に係る施工方法の一例を工程順に示した縦断面図である。
【0010】 図1,図2に示すように、エレベータピット1は現場打ちの鉄筋コンクリート の壁体1aと底盤1bなどから構成されており、コンクリートを打設する前の壁 体1a内にアンボンドPC鋼線2を鉛直に配設し、打設されたコンクリートが十 分な強度に達した後、PC鋼線2を緊張して壁体1aに鉛直方向のプレストレス (圧縮力)を導入し、プレストレスコンクリート構造物とする。
【0011】 PC鋼線2は、図1に示すように、壁体1aの上部における大梁1cから底盤 1bまで配設され、また、図2に示すように、壁体1aの周方向には、開口部を 除き、所定の間隔をおいて多数配設されている。
【0012】 図1(b) に示すように、このようなPC鋼線2の下端には、固定側定着金具3 が設けられ、上端には引張側定着金具4が設けられ、引張側定着金具4における PC鋼線2の端部をジャッキで引張ることにより、所定大のプレストレスが導入 される。
【0013】 固定側定着金具3は、例えば、図1(b) に示すように、固定側の反力受けとし ての定着板(支圧板)10と、PC鋼線2の端部が挿入固定されるグリップ11 等からなる金具を使用し、底盤1b内に埋設されるようにし、あるいは底盤1b の下面に係止めされるようにする。前者の埋設の場合には、固定側定着金具3を 型枠や鉄筋等を利用して固定するなどして、正規位置に位置決めする。後者の外 側に設置する場合には、底盤1bの型枠に定着板10を取り付けるなどすればよ い。
【0014】 この固定側定着金具3は、PC鋼線2の下部に予め取付けておく。あるいは、 固定側定着金具3を予め所定設置位置に固定保持しておき、この固定側定着金具 3にPC鋼線2の端部を挿入して固定することもできる。後者の場合には、金具 本体内に挿入したPC鋼線の端部を楔等で止める構造の金具を使用することがで きる。
【0015】 引張側定着金具4は、例えば、図1(b) に示すように、PC鋼線2を楔等で定 着させるためのキャスティングプレート20と、このキャスティングプレート2 0の上部に緊張用ジャッキの先端をセットするための凹部を形成するポケットフ ォーマー21などから構成される金具を使用することができる。
【0016】 このような引張側定着金具4はPC鋼線2の上部に挿入して取付け、楔等を利 用してPC鋼線2に仮止めしておき、コンクリートを打設し、コンクリートが硬 化すると、ポケットフォーマー21を取り外し、ポケットフォーマー21により 形成された凹部内に油圧ジャッキの先端を挿入し、PC鋼線2を引張りキャステ ィングプレート20に楔等で定着する。その後、前記凹部内にはモルタル等を充 填しておく。
【0017】 以上のような構成において、次に示すような手順でエレベータピットの構築を 行う(図3参照)。 (1) 図3(i) に示すように、構築するエレベータピット1の上方に設置したリ ールからアンボンドPC鋼線2の下端を送り出し、壁体1aのコンクリート打設 空間内に下ろしていく。PC鋼線2の下端には、予め固定側定着金具3を取付け ておく。
【0018】 (2) 図3(ii)に示すように、下端の固定側定着金具3が所定の位置まで達する と、PC鋼線2の上部を切断し、適当な仮止部材5で仮止めしておく。この仮止 部材5には、例えば両端が支持された水平材の中央に設けた管にPC鋼線2を挿 通し、ボルトで固定するものを使用することができる。
【0019】 (3) 図3(iii) に示すように、PC鋼線2の中間部を鉛直方向に間隔をおいて 複数配設した支持部材6で支持し、PC鋼線2が壁体1aの厚み方向中央部に位 置するように位置決めする。この支持部材6は型枠30のセパレータを利用する ことができる。
【0020】 (4) 図3(iii) に示すように、PC鋼線2の上部に引張側定着金具4を取付け 、そのポケットフォーマー21の上面が構築されるエレベータピット1の上面( 所定階の床面)と面一となるように楔等を利用してPC鋼線2に仮止めしておく (図1参照)。
【0021】 (5) 図3(iv)に示す型枠30および壁筋31は、PC鋼線2を配設する前に組 み立てておいてもよいし、PC鋼線2を配設した後に型枠30および壁筋31を 組み立てるようにしてもよい。
【0022】 (6) 各PC鋼線2のセットが終了すると、型枠30内にコンクリートを打設し 、所定階の床面まで打設する。コンクリートが十分な強度に達すると、引張側定 着金具4のポケットフォーマー21を取り外し、形成された凹部内に油圧ジャッ キの先端を挿入し、PC鋼線2を引張り、キャスティングプレート20に楔等で 定着する。PC鋼線2の床面から突出した部分は切断除去し、前記凹部内にはモ ルタル等で埋める。
【0023】 以上により、エレベータピット1に鉛直方向のプレストレスが導入され、地震 等により壁体等にひび割れが発生するのが防止される。免震装置を設けた免震建 物でも、エレベータピット1を設置することが可能となる。
【0024】 なお、PC鋼線2を上方から吊り降ろす場合について説明したが、下方からP C鋼線2を吊り上げて配設するようにしてもよい。また、固定側定着金具3は、 予め壁体1aの下部セットしておき、吊り下ろしたPC鋼線2の下端を挿入固定 することもできる。
【0025】 また、以上はエレベータピットについて説明したが、これに限らず、コア壁な どのコンクリート構造物にも適用できるこというまでもない。
【0026】
前述のとおり、本考案は、アンボンドPC鋼材をコンクリート打設空間内に鉛 直に挿入配置し、下端に固定側定着金具が取付けられたPC鋼材を上部の仮止部 材や中間部の支持部材で仮止め保持した後、前記コンクリート打設空間内にコン クリートを打設し、コンクリートの硬化後、PC鋼材の上部に取付けられた引張 側定着金具を用いてPC鋼材を緊張してコンクリート構造物に鉛直方向のプレス トレスを導入するようにしたため、エレベータピットやコア壁等のコンクリート 構造物にも鉛直方向のプレストレスを導入することができ、地震等により壁体等 にひび割れが発生するのを防止することができ、免震構造物にエレベータピット やコア壁等を設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るエレベータピットの一例であり、
(a) 全体の縦断面図、(b) はPC鋼棒と定着金具の詳細
図である。
(a) 全体の縦断面図、(b) はPC鋼棒と定着金具の詳細
図である。
【図2】図1のエレベータピットの平面図である。
【図3】本考案に係る施工方法の一例を工程順に示す概
略縦断面図である。
略縦断面図である。
1……エレベータピット 1a…壁体 1b…底盤 2……アンボンドPC鋼線(PC鋼材) 3……固定側定着金具 4……引張側定着金具 5……仮止部材 6……支持部材 10……定着板 11……グリップ 20……キャスティングプレート 21……ポケットフォーマー 30……型枠 31……壁筋
Claims (2)
- 【請求項1】 壁体が現場打ちコンクリートで構築され
るコンクリート構造物であり、壁体のコンクリート打設
空間内に鉛直に、かつ、周方向に間隔をおいて挿入配置
される複数のアンボンドPC鋼材と、このアンボンドP
C鋼材の下端部に装着される固定側定着金具と、このア
ンボンドPC鋼材の上部に装着される引張側定着金具と
を備え、壁体のコンクリート打設空間内に鉛直に挿入配
置されたアンボンドPC鋼材の上部を仮止め保持すると
共に、アンボンドPC鋼材の中間部を支持部材により壁
体の厚み方向中央に位置決めした後、前記コンクリート
打設空間内にコンクリートを打設し、コンクリートの硬
化後、アンボンドPC鋼材の引張側定着金具から突出す
る突出部を引張って引張側定着金具に定着させてコンク
リート構造物に鉛直方向のプレストレスを導入して構成
されていることを特徴とするプレストレスコンクリート
構造物。 - 【請求項2】 請求項1に記載のプレストレスコンクリ
ート構造物において、壁体は免震構造物内に設置される
エレベータピットまたはコア壁であることを特徴とする
プレストレスコンクリート構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000008688U JP3078195U (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | プレストレスコンクリート構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000008688U JP3078195U (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | プレストレスコンクリート構造物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3078195U true JP3078195U (ja) | 2001-06-22 |
Family
ID=43211153
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000008688U Expired - Lifetime JP3078195U (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | プレストレスコンクリート構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3078195U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010030735A (ja) * | 2008-07-29 | 2010-02-12 | Kajima Corp | 免震建物のエレベータシャフトの構築方法 |
-
2000
- 2000-12-08 JP JP2000008688U patent/JP3078195U/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010030735A (ja) * | 2008-07-29 | 2010-02-12 | Kajima Corp | 免震建物のエレベータシャフトの構築方法 |
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