JP2000054222A - 繊維束の巻き取り用トラバースガイド及び繊維束の巻き取り装置、同巻き取り方法 - Google Patents

繊維束の巻き取り用トラバースガイド及び繊維束の巻き取り装置、同巻き取り方法

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JP2000054222A
JP2000054222A JP10215358A JP21535898A JP2000054222A JP 2000054222 A JP2000054222 A JP 2000054222A JP 10215358 A JP10215358 A JP 10215358A JP 21535898 A JP21535898 A JP 21535898A JP 2000054222 A JP2000054222 A JP 2000054222A
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fiber bundle
winding
traverse guide
slit
package
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JP10215358A
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English (en)
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Keiji Sekine
圭二 関根
Iryo Go
偉良 呉
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス繊維等の繊維束に撚りを生じさせずに
巻き取ってパッケージを形成することを可能とする。 【解決手段】 繊維束14を巻き取るために用いるトラ
バースガイド20が、繊維束14を通過させるスリット
24と、スリット24を通過した繊維束14を拘束する
拘束面部26を備え、スリット24と拘束面部26との
間に、繊維束14が強制されずに略90度捩れることを
許す空間部25を形成する。空間部25内では、繊維束
14を構成するフィラメントの配列を乱そうとする不均
一な力を、一本一本のフィラメント自身が空間部25内
で適宜に動くことにより吸収する。このため、移動中だ
けでなく移動方向が反転する場合でも、繊維束14はフ
ィラメントの配列の乱れや撚り等が生じない扁平な状態
を保ったままでパッケージPに巻き付く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維束の巻き取り
用トラバースガイド、このトラバースガイドを用いた繊
維束の巻き取り装置及び同巻き取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ガラス
繊維や炭素繊維等を多数本集合させて無撚りでかつ扁平
状の繊維束としたものが例えばガラス繊維強化プラスチ
ック(FRP)や炭素繊維で強化したポリエステル樹脂
成形品を製造するための補強繊維材として用いられてい
る。このような用途に供するためのガラス繊維や炭素繊
維等の束は、紡糸された単繊維に集束剤を付与し、多数
本を集束させ、巻き取りワインダによって巻き取って円
筒状のパッケージとし、必要に応じて巻き取り後に加熱
乾燥させて保管し、使用時はこのパッケージから引き出
して用いるようになっている。またパッケージとして巻
き取る際には、トラバースガイドと称する手段を用いて
繊維束を巻き取りワインダの軸方向に往復動させるトラ
バース装置を用いることによって、パッケージの形状を
安定させるとともに、パッケージから繊維束を引き出し
やすくするためにいわゆる綾を掛ける巻き取り方を一般
的に採用している。
【0003】ところでガラス繊維等は、多数本の単繊維
(フィラメント)を集束して形成するものなので、トラ
バース装置によって往復運動させる際、特にパッケージ
の端部で移動方向を逆転(ターン)させる際に、繊維束
を構成する単繊維の配列が乱れたり、繊維束に撚りある
いは捩れが掛かったりしやすい。このような単繊維の配
列の乱れ、繊維束の撚り、捩れ等は、例えばFRPを製
造する際にはガラス繊維束への樹脂の含浸性の低下を引
き起こし、FRP製品の物性や外観を低下させる原因と
なりやすい。すなわちFRPの製造時には、樹脂が含浸
しやすくなるように種々の方法でガラス繊維束を開繊、
すなわち引き締まっている繊維束を開かせるようにして
いるが、上述のような単繊維の配列の乱れ、束の撚り、
捩れ等が存在すると開繊が妨げられ、繊維束に開繊され
ない部分が残り、この部分では樹脂の含浸性が低下す
る。
【0004】このような問題を解決するために従来より
種々の装置、方法等が提案されている。例えば特開昭5
3−61724号公報に開示のガラス繊維の直接紡糸用
巻取装置は、巻き取りの綾角度を常に一定にして巻姿を
良好にし、巻き返しを必要とせず解舒性が良好な巻き取
りパッケージを得るために、固定したトラバース装置に
対して巻き取り軸を接近離反可能として巻き取りパッケ
ージをトラバースガイドに対し常に一定距離に保ってい
る。また特開昭57−117461号公報に開示のガラ
ス繊維ストランドの製造方法は、断面略矩形状で厚さと
幅の均一なガラス繊維ストランドを得るために、トラバ
ースのスリットをローラの軸に対して60°傾斜させ、
かつ集束スリットと平行にセットし、ガラス繊維ストラ
ンドが各スリットの底部に接触しないようにしている。
さらに特開昭59−111938号公報に開示のガラス
繊維の直巻ロービングの製造方法は、均一な厚さを有し
薄厚かつ広幅のロービングを製造するために、ブッシン
グから引き出した多数本のガラス繊維フィラメントに、
アプリケータによりバインダを塗布した後、一対のギャ
ザリングシューによりこれを一対のストランドに分割集
束し、次にこの2本のストランドを巻取軸の軸線方向に
往復動するトラバースにより合糸し、綾振りさせながら
軸に巻き取つてガラス繊維の直巻ロービングを製造する
ようにしている。
【0005】また特開昭59−138567号公報に開
示のフィラメントの集合方法及び装置は、巻き取られた
円筒形パッケージが整然とした直角エッジを有し、パッ
ケージの両端においてはストランドが互いに並ばないよ
うにしてストランドの損傷を防止するために、フィラメ
ントの束を通す三角形状の空間を有するトラバースガイ
ドを設けている。特開昭62−226837号公報に開
示のガラス繊維のロービングの製造方法は、巻取装置の
ドラムの軸心方向に往復動されるトラバースガイドが三
角形状や円弧形状の空間を有し、この空間にフィラメン
トを案内してほぼ均等厚さに扁平帯状体としてドラムに
巻き取ることができるように構成している。特開昭63
−25244号公報に開示のガラス繊維のロービングの
製造方法は、ブッシングから引き出されるフィラメント
の束を略二等辺三角形状または円弧形状としたトラバー
スガイドの空間へ導き、フィラメント群を集束したスプ
リットストランドが扁平断面形状を呈するようにしてい
る。さらに実開昭63−19543号公報に開示のガラ
ス繊維のロービング巻回体は、ドラムの軸心方向に往復
動されるトラバースガイドがストランドの束を通す三角
形状や円弧形状の空間を有し、この空間でストランドを
案内してほぼ均等厚さに非捻転状態でドラムに巻き取る
ことができるように構成している。
【0006】また特開昭63−282057号公報に開
示のガラス繊維のロービングの製造方法は、ブッシング
から引き出されるフィラメントの束を、巻き取りドラム
の軸方向と直交する方向に平行に伸びる一対のトラバー
スガイドの溝へ導き、フィラメント群を集束したスプリ
ットストランドが捻転を生じることなく扁平断面形状を
呈するようにしている。
【0007】また実開昭57−62759号公報に開示
のストランド巻取装置は、通糸のためにトラバースガイ
ドに設ける溝の開口端をすぼめ、巻き取り径が増大した
ときにトラバースガイドからストランドが逸脱すること
を確実に阻止して品質の高いロービングケーキを能率よ
く生産できるようにしている。
【0008】さらに特開平02−261776号公報に
開示の集合繊維条を広幅扁平に巻き取る装置は、トラバ
ース部材に通糸する1対のトラバース間ロールの下方に
上中下の3個のロールを配設し、その上、下を凸状ロー
ル、中間を凹状ロールとし、下部ロールに圧接したマン
ドレルへ、集合繊維を広幅とし扁平状に巻き取るように
している。特開平04−317962号公報に開示の繊
維糸条巻取機用トラバースガイドは、巻き取りボビン軸
に対する角度が直角な第1ガイドローラと、角度が−5
°±10°の最終ガイドローラとの間に、隣接ガイドロ
ーラ間の角度差が45°以下である中間ガイドローラを
配置し、最終ガイドローラの角度をマイナスとすること
によりテープ状繊維束を捻ってトラバースする時の幅変
化を抑制し、トラバースガイドの左右方向へのトラバー
スによるテープ状繊維束の幅変化を小さくして、テープ
状繊維束を捻れによる折れ曲がりがなく扁平に巻き取る
ようにしている。
【0009】本発明は、上述の従来の技術と異なるアプ
ローチにより、多数本のガラス繊維等の単繊維を集束し
てパッケージを形成する際の繊維束を構成する単繊維の
配列の乱れや、集束させた繊維束に撚りあるいは捩れが
掛かりにくくする技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の繊維束の
巻き取り用トラバースガイドのうち請求項1に係るもの
は、上記目的を達成するために、集合させた多数本のフ
ィラメントからなる繊維束を、回転する巻き取りワイン
ダの軸方向に沿って往復動させて巻き取り、上記繊維束
からなるパッケージを形成するために用いる繊維束の巻
き取り用トラバースガイドであって、上記繊維束の通過
方向上流側の部位に、上記繊維束を通過させるスリット
をその長手方向を上記往復動方向と直角方向に伸ばして
設けるとともに、上記繊維束の通過方向下流側に位置し
形成中の上記パッケージに近接対向させる部位の近傍に
上記スリットと協働して上記スリットを通過した繊維束
を拘束する拘束面部を設け、これらスリットと拘束面部
との間に、上記スリットを通過した上記繊維束が強制さ
れずに捩れることを許す空間部を形成してなることを特
徴とする。
【0011】同請求項2に係るものは、上記スリットの
上記パッケージに対向する側を開口させるとともに、上
記スリットの長手方向の長さを、該長手方向における上
記繊維束の幅より大きくしてなることを特徴とする。
【0012】同請求項3に係るものは、上記スリットの
短手方向の長さを、該短手方向における上記繊維束の厚
さより大きくするとともに上記繊維束の厚さの6倍以
下、好ましくは3倍以下としてなることを特徴とする。
【0013】同請求項4に係るものは、上記拘束面部の
形状を、上記往復動方向に軸線を有する円柱状、中高状
または鼓状の外周面の一部を用いた形状としてなること
を特徴とする。
【0014】同請求項5に係るものは、上記拘束面部
を、上記往復動方向に軸線を有する円柱状、中高状また
は鼓状の回転ロールで形成してなることを特徴とする。
【0015】同請求項6に係るものは、上記拘束面部を
平滑面または上記繊維束を崩さない程度の略規則的な凹
凸面としてなることを特徴とする。
【0016】本発明の請求項7に係る繊維束の巻き取り
装置は、上記いずれかの巻き取り用トラバースガイドを
用い、集合させた多数本のフィラメントからなる繊維束
を巻き取ってパッケージを形成する繊維束の巻き取り装
置であって、上記繊維束の供給方向上流側に、該供給さ
れる繊維束を上記トラバースガイドのスリットへと導く
ガイドを備え、これらガイドとトラバースガイドの位置
関係を、上記スリット内で上記繊維束が上記スリットの
底部に接触しない位置に保ち得るように配するととも
に、上記トラバースガイドの拘束面部を上記パッケージ
とトラバースガイドとが最近接する部位よりも上記繊維
束の通過方向下流側に位置させてなることを特徴とす
る。
【0017】本発明の請求項8に係る繊維束の巻き取り
方法は、上記いずれかの巻き取り用トラバースガイドを
用い、集合させた多数本のフィラメントからなる繊維束
を巻き取ってパッケージを形成する繊維束の巻き取り方
法であって、上記スリット内で上記繊維束が上記スリッ
トの底部に接触しないように上記繊維を供給することを
特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態及び実施例】以下本発明の実施の形
態及び実施例を図面を参照して説明する。なお以下では
ガラス繊維のロービングの製造に関する例のみを説明す
るが、本発明はこれに限定されず、炭素繊維等の種々の
繊維束の巻き取りに適用できる。
【0019】図1は本発明に係る巻き取り用トラバース
ガイドを用いた繊維束の巻き取り装置の一実施形態であ
るガラス繊維のロービングの製造装置を概念的に示す正
面図(A)と側面図(B)である。本実施形態装置は、
ブッシング10から引き出される多数本(例えば数百本
〜10000本、一般的には400〜6000本)のフ
ィラメント11にバインダアプリケータ12により集束
剤(バインダ)を付着させ、集束剤を付着させたフィラ
メント群13をそのまま引き揃えて一本の扁平な繊維束
14とし、これを巻取装置15で巻き取り、円筒状のパ
ッケージPを形成する。図中16はギャザリングロー
ル、17は調整ロールで、ギャザリングロール16はブ
ッシング10のチップ10aから引き出されたフィラメ
ント群13のフィラメント11を集合させて繊維束14
とするものであり、調整ロール17は下流側に対する繊
維束14の位置を調整し後述するトラバースガイドに導
くものである。もちろんこれらロールを一方のみ用いる
ものであってもよいし、それぞれ複数個ずつ設けてもよ
い。
【0020】巻取装置15は、図示せぬ駆動装置によっ
て回転駆動する巻き取りワインダ18と、この巻き取り
ワインダ18の軸心方向(図1A中の矢印X方向)に往
復駆動するトラバースガイド20とを備えており、トラ
バースガイド20に繊維束14を通過させることによ
り、略均等な厚さとした扁平な繊維束14を巻き取りワ
インダ18に巻き取る。この巻取装置15で巻き取った
パッケージPは、図2に示すように、繊維束14をいわ
ゆる綾を掛けて巻き取ったものとなる。なお図中21は
トラバースガイド20の保持装置である。また上述した
従来技術のいくつかは、繊維束14をパッケージPの表
面に対してコンタクトローラで押さえつけるようにして
いるが、このようにすると繊維束14に物理的なダメー
ジが生じることが多いので、本実施形態装置では採用し
ていない。
【0021】トラバースガイド20は、繊維束14の摺
動性や耐摩耗性の点から材質を選定する必要があるが、
例えばベークライトなどの硬質の樹脂等を用いることが
できる。もちろんその他の材質、例えば真鍮等の金属製
のものであってもよい。図示の実施形態のトラバースガ
イド20は、図3及び図4に示すように、上部(繊維束
14の通過方向上流:以下同じ)を平坦にするとともに
下部(繊維束14の通過方向下流:以下同じ)側をテー
パ状にしたガイド本体部22と、ガイド本体部22の平
坦上部にビス止めする略円弧形状の繊維束案内部23と
からなる。ガイド本体部22は、上部中央にスリット2
4を、スリット24の下側に空間部25を、空間部25
の下側に拘束面部26を備えている。なお繊維束案内部
23は、繊維束14がトラバースガイド20へ進入しや
すく案内するためのもので、ガイド本体部22のスリッ
ト24の一部をなすように切り欠き23aを設けてあ
る。またこのトラバースガイド20は、ガイド本体部2
2の略中央部分に設けた軸孔27に図示せぬ支持軸を貫
通させてその軸の周りで回転できるようにするととも
に、図示せぬがパッケージPの径方向にも移動可能に保
持してあり、繊維束14を巻き付けてゆくことによって
パッケージPの径が増大する状態に対応して一定の状態
を取ることを可能としてある。
【0022】スリット24は、パッケージP側に向けて
開口し、長手方向をトラバースガイド20としての往復
動方向(図1A中の矢印Xで示す巻き取りワインダ18
の軸心方向と一致する。以下同じ)と直角方向に伸ばし
たもので、長手方向の開口寸法は通過する繊維束14の
幅寸法よりも長くする。また幅、すなわち短手方向の開
口寸法は通過する繊維束14の厚さ寸法に対して大きく
するとともに、繊維束14の厚さの6倍以下、好ましく
は3倍以下とする。具体的には、例えば0.3〜3.0
mm、好ましくは0.5〜1.5mmとする。スリット
24の開口寸法を繊維束14の寸法よりもあまり大きく
すると、パッケージPの軸方向端部でトラバースガイド
20が移動方向を反転(ターン)させる際に空間部25
で繊維束14にテンションが掛からずにフリーになり、
繊維束14を構成するフィラメント11の配列が乱れや
すくなる。またスリット24の開口寸法を繊維束14の
寸法にあまり近付けすぎると、巻き取り始めにおいて繊
維束14がスリット24内へ進入しにくくなる。
【0023】空間部25は、隅丸四角状の開口形状と、
上部側が幅広で下部側が幅狭のくさび状の断面形状を有
し、スリット24が上部側で空間部25に開口してい
る。この空間部25は、スリット24を通過した繊維束
14が強制されずに捩れることを許すためのもので、ス
リット24を通過した繊維束14は図5に示す例では9
0度直角に捩じられて拘束面部26に至るようにしてあ
る。もちろん空間部25の開口形状や断面形状は図示の
例には限定されず、スリット24を通過した繊維束14
が所定の角度だけ強制されずに捩れるものであればよ
い。なお空間部25は、幅寸法を5〜20mm、好まし
くは10mm〜15mm、上下方向の長さ寸法を5〜3
0mm、好ましくは10〜20mmとする。あまり長い
と、トラバースガイド20そのものが大きくなりすぎる
だけでなく、トラバースガイド20と繊維束14の軌跡
の差が大きくなってパッケージPの形状に悪影響を及ぼ
す。またあまり短いと、繊維束14の捩れが急激なもの
になるため、トラバースガイド20の移動方向が反転す
るパッケージPの端部において、トラバースガイド20
の反転とともに繊維束14の捩れ状態も反転しようと
し、繊維束14を構成するフィラメント11の配列が乱
れやすくなる。
【0024】拘束面部26は、平滑化した面として空間
部25の下側にパッケージPに対して近接して対向する
ように設けてある。この拘束面部26は、繊維束14の
通過方向下流側においてスリット24と協働して繊維束
14を拘束する。具体的には、スリット24を通過する
ときにはスリット24の向きに沿って長手方向をパッケ
ージPに対して直交させた扁平状態となっている繊維束
14が、空間部25内で90度捩じられて拘束面部26
に至る寸前の状態ではその長手方向をパッケージPの軸
方向に沿わせる扁平状態になるので、この状態がトラバ
ースガイド20の往復動によって崩れないようにするも
のである。
【0025】このため、拘束面部26の位置においてパ
ッケージPに対して最近接するようにするのではなく、
軸孔27の軸芯とパッケージPの軸芯(ワインダ18の
軸芯と一致する)とを結んだ線上において、トラバース
ガイド20とパッケージPとが最近接するようにする。
そして、繊維束14がパッケージPに巻き付く部位、換
言すれば繊維束14とパッケージPとの接点位置より
も、拘束面部26の上部側の縁が上側に位置するように
している。具体的には拘束面部26の上縁の位置が、ト
ラバースガイド20とパッケージPとの最近接位置から
1〜20mm、好ましくは3〜10mmだけ下側となる
ように配置する。拘束面部26の上縁の位置が、トラバ
ースガイド20とパッケージPとの最近接位置よりも上
側にあると、繊維束14と空間部25の底部とが接して
しまって、繊維束14が強制されずに捩れることができ
なくなる。
【0026】次に本実施形態装置の動作を図6、図7を
も参照して説明する。ブッシング10から引き出された
多数のフィラメント11は、バインダアプリケータ12
により集束剤を付着されてフィラメント群13となり、
ギャザリングロール16に入ってそのまま引き揃えられ
て一本の繊維束14となる。そして、繊維束14は調整
ロール17を経てトラバースガイド20のスリット24
(繊維束案内部23の切り欠き23aを含む。)に入
る。このとき、繊維束14がスリット24の底部24a
(図7に示すようにもっともパッケージPから離れた部
位である溝の底)に接触しないようにする。図7(A)
は図中右方向へトラバースガイド20が移動している状
態を、図7(B)は逆に左方向へ移動している状態を示
す。このような状態は、トラバースガイド20のスリッ
ト24だけでなく、トラバースガイド20とギャザリン
グロール16や調整ロール17との位置関係をも調整し
て設定する。なぜなら、図7(C)に示すように、繊維
束14がスリット24の底部24aに接触すると、繊維
束14が扁平状態を保てなくなり、フィラメント11の
配列が乱れ、パッケージPへの巻き付き(巻き取り開始
時から一定の時間は巻き取りワインダ18への巻き付
き)状態が乱れ、パッケージPの形状が崩れるためであ
る。
【0027】繊維束14はスリット24内で扁平化され
た後、空間部25内で略90度捩られる。すなわち、ス
リット24内ではスリット24の向きに沿って扁平とな
っている状態から、拘束面部26に到達する寸前にその
長手方向をパッケージPの軸方向に沿わせる扁平状態に
なり、トラバースガイド20をパッケージPの軸方向に
移動させると、その扁平状態のままで円筒状のパッケー
ジPに良好に巻き付いてゆく。
【0028】トラバースガイド20は、パッケージPの
軸方向端部に到達するとそこから移動方向が反転する。
このとき、繊維束14を90度捩った状態を強制してい
ると、反転時に繊維束14を構成する多数本のフィラメ
ント11の配列が乱れたり、繊維束14全体に撚りや不
要な捩れが掛かったりしやすい。ところが本実施形態で
は、空間部25内においては繊維束14及びそれを構成
する多数本のフィラメント11に強制的な捩れが掛かっ
ておらず、トラバースガイド20の範囲内ではスリット
24と拘束面部26とで上端側及び下端側を拘束してい
るだけなので、これら拘束端の間ではフィラメント11
それぞれがある程度自由に動くことができ、このため、
トラバースガイド20の移動方向反転に伴って掛かるフ
ィラメント11の配列を乱そうとする力を、一本一本の
フィラメント11自身が空間部25内で適宜に動くこと
により吸収してしまい、繊維束14を扁平な状態を保っ
たまま、配列や撚り等が掛からない状態でパッケージP
に巻き付き続ける。
【0029】なお拘束面部の形状としては平坦かつ平滑
なものが最も好ましいが、図8に示す変形例のように、
トラバースガイド20としての往復動方向(図1A中の
矢印X方向)に軸線を有する円柱状の外周面の一部を用
いた形状の凸状の拘束面部26aとしてもよい。また中
高状や鼓状の外周面の一部を用いた形状としてもよい。
さらに、図9に示す変形例のように、円柱状の回転ロー
ルを用い、その外周面の一部を拘束面部26bとした
り、中高状や鼓状の回転ロールを用いたりすることもで
きる。またさらに、図示は省略するが、繊維束14にお
けるフィラメントの配列を崩さない程度の略規則的な凹
凸面とすることも可能である。
【0030】
【実験例】次に本願発明者等の行った上述の実施例に係
る装置を用いた本発明の実験例について説明する。本願
発明者等が行った実験は、集束させるガラスフィラメン
トの直径を17μm、本数を2000本とし、巻き取り
前の繊維束の幅を約2.0mm、厚さ約0.3mmと
し、ワインド比を4.3(トラバースガイドの片道移動
で巻き取りワインダが4.3回転する)とし、さらに巻
き取りワインダの巻き取り速度(線速度)を1000m
/分として、図10に示す諸元のトラバースガイドを従
来例、比較例と本発明の実験例ともに作成、使用してガ
ラス繊維束を巻き取って円筒状のパッケージを形成し、
そのパッケージを後述する方法によって評価した。
【0031】図10に示す諸元の内容を再記すると、従
来例のトラバースガイドは、その上端から下端まで同一
幅(0.8mm)のスリット(溝深さ8mm)が通って
いるだけのもの、比較例のトラバースガイドは、その上
端から下端まで略半円形(径10mm)の断面形状を有
する同一幅のスリットが通っているだけのものであり、
本発明に係るトラバースガイドは、スリットの溝幅0.
8mm、同溝深さ8mm、空間部25の幅を10mm、
上下寸法を20mmとしたものである。また従来例、比
較例、本発明のいずれのトラバースガイドとも、材質は
同一のベークライトで、パッケージ側の表面を平滑面と
したものである。
【0032】上記のようにして得た従来例、本発明の実
験例、及び比較例のパッケージそれぞれについて、以下
の方法でパッケージの形状、繊維束の幅、撚りの発生回
数、及び開繊幅を評価した。なお、開繊幅、繊維束の幅
及び撚りの発生回数を評価した繊維束(ロービング)の
長さは、繊維束をパッケージの一方の端部から引き出し
始めて他方の端部に来るまで引き出した際の長さであ
る。
【0033】パッケージの形状については、円筒状の外
周面が直線的である、すなわち膨らみ、へこみ、波うち
が無い状態の場合には○と、外周面に膨らみ、へこみ、
波うちがある場合にはその程度に応じて△又は×と評価
した。開繊幅については、パッケージから引き出した繊
維束14(ロービング)を、図11に示すような3本の
ステンレス製のバー28、29、30(直径20mm
φ、ピッチp=50mm)に掛けて開繊した後の幅をバ
ー30上で定規を用いて測定してその最大値及び最小値
を示した。繊維束の幅については、開繊する前の幅をバ
ー28に繊維束14が掛かる直前で測定して最大値及び
最小値を示した。撚り回数については、上記の開繊時に
おいて開繊しない部分を撚りが生じた部分としてカウン
トし、上記の繊維束の長さで5回評価した際の平均値を
示した。
【0034】そして、図12に示す実験結果を得た。パ
ッケージの形状に関しては従来例と本発明が結果が良
く、繊維束の幅に関しては比較例と本発明が広幅に、す
なわち扁平度の高い束を形成できているが、もっとも問
題となる撚りの発生と、同じく問題となる開繊幅、換言
すれば開繊のしやすさについては本発明が格段に優れて
いた。
【0035】
【発明の効果】本発明に係る繊維束の巻き取り用トラバ
ースガイドは、以上説明してきたように、繊維束を通過
させるスリットと、スリットを通過した繊維束を拘束す
る拘束面部との間に、スリットを通過した繊維束が強制
されずに捩れることを許す空間部を形成してなる構成と
したので、繊維束に撚りを生じさせずにパッケージを形
成することができ、巻き取る繊維がガラス繊維のように
バインダが付与されているものであってもを扁平性が高
くて開繊しやすく、したがってFRP等を製造するのに
用いる場合に樹脂液の含浸性に優れたものにすることが
できるという効果がある。
【0036】本発明に係る繊維束の巻き取り装置は、本
発明に係る巻き取り用トラバースガイドのいずれかを用
い、繊維束に集束させる繊維の供給方向上流側に、供給
される繊維をトラバースガイドのスリットへと導くガイ
ドを備え、これらガイドとトラバースガイドの位置関係
を、繊維束がスリットの底部に接触しない位置に保つよ
うに配置し、またトラバースガイドの拘束面部をパッケ
ージとトラバースガイドとが最近接する部位よりも繊維
束の通過方向下流側に位置させてなる構成としたので、
上記共通の効果に加え、繊維束を構成するフィラメント
の配列を乱さずに巻き取ることができ、パッケージの形
状が良好なものになるという効果がある。
【0037】本発明に係る繊維束の巻き取り方法は、本
発明に係る巻き取り用トラバースガイドのいずれかを用
い、繊維束がトラバースガイドのスリットの底部に接触
しないように繊維を供給するようにしたので、上記共通
の効果に加え、繊維束を構成するフィラメントの配列を
乱さずに巻き取ることができ、パッケージの形状が良好
なものになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る繊維束の巻き取り装置の一実施形
態であるガラス繊維のロービングの製造装置を概念的に
示す正面図(A)と側面図(B)である。
【図2】綾を掛けて巻き取ったパッケージの外観を示す
側面図である。
【図3】本発明に係る巻き取り用トラバースガイドの一
実施形態の拡大斜視図である。
【図4】同正面図(A)、平面図(B)及び側面断面図
(C)である。
【図5】本発明に係る巻き取り用トラバースガイドの一
実施形態とパッケージとの配置例を示す側面図である。
【図6】本発明に係る巻き取り用トラバースガイドを用
いてガラス繊維の束を巻き取っている状態を示す斜視図
である。
【図7】本発明に係る巻き取り用トラバースガイドのス
リットをガラス繊維の束が通過している状態を示す平面
断面図である。
【図8】本発明に係る巻き取り用トラバースガイドの変
形例の側面断面図である。
【図9】本発明に係る巻き取り用トラバースガイドの他
の変形例の側面断面図である。
【図10】本願発明者等の行った実験に用いた従来例、
比較例及び本発明の実験例のトラバースガイドの諸元を
示す図である。
【図11】本願発明者等の行った実験における比較評価
のための開繊方法を示す側面図である。
【図12】本願発明者等の行った実験の結果を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 ブッシング 10a ブッシングのチップ 11 フィラメント 12 バインダアプリケータ 13 フィラメント群 14 繊維束 15 巻取装置 16 ギャザリングロール 17 調整ロール 18 巻き取りワインダ 20 トラバースガイド 21 トラバースガイドの保持装置 22 ガイド本体部 23 繊維束案内部 23a 切り欠き 24 スリット 25 空間部 26、26a、26b 拘束面部 27 軸孔 28、29、30 開繊用のバー P パッケージ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集合させた多数本のフィラメントからな
    る繊維束を、回転する巻き取りワインダの軸方向に沿っ
    て往復動させて巻き取り、上記繊維束からなるパッケー
    ジを形成するために用いる繊維束の巻き取り用トラバー
    スガイドであって、上記繊維束の通過方向上流側の部位
    に、上記繊維束を通過させるスリットをその長手方向を
    上記往復動方向と直角方向に伸ばして設けるとともに、
    上記繊維束の通過方向下流側に位置し形成中の上記パッ
    ケージに近接対向させる部位の近傍に上記スリットと協
    働して上記スリットを通過した繊維束を拘束する拘束面
    部を設け、これらスリットと拘束面部との間に、上記ス
    リットを通過した上記繊維束が強制されずに捩れること
    を許す空間部を形成してなることを特徴とする巻き取り
    用トラバースガイド。
  2. 【請求項2】 上記スリットの上記パッケージに対向す
    る側を開口させるとともに、上記スリットの長手方向の
    長さを、該長手方向における上記繊維束の幅より大きく
    してなることを特徴とする請求項1の巻き取り用トラバ
    ースガイド。
  3. 【請求項3】 上記スリットの短手方向の長さを、該短
    手方向における上記繊維束の厚さより大きくするととも
    に上記繊維束の厚さの6倍以下、好ましくは3倍以下と
    してなることを特徴とする請求項2の巻き取り用トラバ
    ースガイド。
  4. 【請求項4】 上記拘束面部の形状を、上記往復動方向
    に軸線を有する円柱状、中高状または鼓状の外周面の一
    部を用いた形状としてなることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれかの巻き取り用トラバースガイド。
  5. 【請求項5】 上記拘束面部を、上記往復動方向に軸線
    を有する円柱状、中高状または鼓状の回転ロールで形成
    してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    の巻き取り用トラバースガイド。
  6. 【請求項6】 上記拘束面部を平滑面または上記繊維束
    を崩さない程度の略規則的な凹凸面としてなることを特
    徴とする請求項4または5の巻き取り用トラバースガイ
    ド。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかの巻き取り
    用トラバースガイドを用い、集合させた多数本のフィラ
    メントからなる繊維束を巻き取ってパッケージを形成す
    る繊維束の巻き取り装置であって、上記繊維束の供給方
    向上流側に、該供給される繊維束を上記トラバースガイ
    ドのスリットへと導くガイドを備え、これらガイドとト
    ラバースガイドの位置関係を、上記スリット内で上記繊
    維束が上記スリットの底部に接触しない位置に保ち得る
    ように配するとともに、上記トラバースガイドの拘束面
    部を上記パッケージとトラバースガイドとが最近接する
    部位よりも上記繊維束の通過方向下流側に位置させてな
    ることを特徴とする繊維束の巻き取り装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかの巻き取り
    用トラバースガイドを用い、集合させた多数本のフィラ
    メントからなる繊維束を巻き取ってパッケージを形成す
    る繊維束の巻き取り方法であって、上記スリット内で上
    記繊維束が上記スリットの底部に接触しないように上記
    繊維を供給することを特徴とする繊維束の巻き取り方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7408480B2 (ja) 2020-05-11 2024-01-05 津田駒工業株式会社 自動繊維束配置装置

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