JP2000053667A - 新規なエピサルファイド化合物、その製法及び該化合物を含む硬化性樹脂組成物 - Google Patents

新規なエピサルファイド化合物、その製法及び該化合物を含む硬化性樹脂組成物

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JP2000053667A
JP2000053667A JP10237935A JP23793598A JP2000053667A JP 2000053667 A JP2000053667 A JP 2000053667A JP 10237935 A JP10237935 A JP 10237935A JP 23793598 A JP23793598 A JP 23793598A JP 2000053667 A JP2000053667 A JP 2000053667A
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episulfide compound
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epoxy
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Yoshinobu Onuma
吉信 大沼
Marenori Miura
希機 三浦
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Yuka Shell Epoxy KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた硬化性を有し、耐湿性、耐熱性のバラ
ンスに優れた硬化物を与える多官能型エピサルファイド
化合物、その製法、該化合物を含む硬化性樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で示されるエピサルフ
ァイド化合物、その製法、該化合物を含有する硬化性組
成物。 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4 及びR5 は、水素、ハロゲ
ン、C1 〜C6 アルキル、C1 〜C6 アルコキシから選
ばれる基、nは0〜10、Z1 〜Z5 はS又はOで、た
だし全てがO原子であることはない。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なエピサルフ
ァイド化合物、その製造方法及び該化合物を含む硬化性
樹脂組成物に関するものであり、特に硬化が速く、耐熱
性及び電気特性に優れた硬化物を与え、半導体封止用樹
脂、積層板用樹脂、成形材料及び電気絶縁材料等として
有用であるエピサルファイド化合物、その製造方法及び
該化合物を含む硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は耐熱性、接着性、耐水
性、機械的強度及び電気特性等に優れていることから、
様々の分野で使用されている。特に電気・電子分野で
は、絶縁注型、積層材料、封止材料等として幅広く使用
されている。ところが、近年、電気・電子部品の小型
化、精密化、高性能化に伴い、使用されるエポキシ樹脂
も成形性、高度な耐湿性及び高度の電気特性が要求され
るようになってきた。例えば、半導体封止装置の場合、
プリント基板への実装方式が従来の挿入方式から表面実
装方式に変わってきたことにより、半導体封止装置を高
温のハンダ浴中に直接浸漬するようになってきており、
そのため封止材に吸湿した水分が急激な気化膨張を起こ
し、パッケージクラックを発生させることが多くなって
きている。また、高温時、封止材の内部応力が高いとア
ルミ配線のずれや、パッシベーションクラックの原因と
もなる。
【0003】このようなトラブルを回避するために、従
来から使用されているクレゾールノボラック型のエポキ
シ樹脂に代えて、低応力、低吸湿であり、ハンダクラッ
クに優れるビフェニル型のエポキシ樹脂を配合した封止
材(特開昭61−47725号公報参照) が使用される
ようになってきている。しかし、ビフェニル型のエポキ
シ樹脂は硬化性が悪いため成形性に劣り、また耐熱性も
低いという問題を有している。
【0004】一方、低吸湿性のエポキシ樹脂として、ノ
ボラック型のエピサルファイド化合物が提案されている
(特開平07−196800号公報参照)。しかし、こ
の樹脂は吸湿性は改善されるものの、溶融粘度が高くて
取り扱いが難しく、更に、BGA(ボールグリッドアレ
イ)等の耐熱性が特に要求される最新の半導体分野には
使用できないという問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、従来品に無い硬化性を有し、耐湿性、耐熱性
のバランスに優れた硬化物を与えることができる多官能
型エピサルファイド化合物を提供しようとするものであ
る。また、本発明は、該多官能型のエピサルファイド化
合物の製造方法と、該化合物を含む硬化性樹脂組成物を
提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の各発明
を包含する。
【0007】1.下記一般式(1)
【化4】 (式中、R1,R2,R3,R4 及びR5 は、それぞれ水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素
数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基を示し、nは0
〜10の数を示し、Z1,Z2,Z3,Z4 及びZ5 は硫黄原
子及び酸素原子から選ばれる基を示し、ただし全てが酸
素原子であることはない。)で示されるエピサルファイ
ド化合物。
【0008】2.前記一般式(1)中、Z1 〜Z5 で示
される硫黄原子と酸素原子の合計数に対して、硫黄原子
数の割合が5〜90%の範囲内であることを特徴とす
る、前記1項記載のエピサルファイド化合物。
【0009】3.前記一般式(1)における、R1 及び
2 が水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基から選ば
れる基であり、R3,R4 及びR5 が水素原子である、前
記1項記載のエピサルファイド化合物。
【0010】4.下記一般式(2)
【化5】 (式中、R1,R2,R3,R4 及びR5 は水素原子、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6の
アルコキシ基から選ばれる基を示し、nは0〜10の数
を示す。)で示されるエポキシ化合物と硫化剤とを反応
させることを特徴とする、下記一般式(1)
【化6】 で示されるエピサルファイド化合物の製造方法。
【0011】5.前記一般式(2)で示されるエポキシ
化合物のエポキシ基1当量に対して、硫化剤を0.05
〜5モルの範囲内で添加して反応させることを特徴とす
る、前記4項記載のエピサルファイド化合物の製造方
法。
【0012】6.硫化剤がチオシアン酸塩類又はチオ尿
素類である、前記4項又は5項記載のエピサルファイド
化合物の製造方法。
【0013】7.前記1項〜3項のいずれか1項に記載
のエピサルファイド化合物に硬化剤を配合してなる、硬
化性樹脂組成物。
【0014】8.前記硬化剤がアミン類、酸無水物類、
多価フェノール類、イミダゾール類、ブレンステッド酸
塩類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジッド類、ポ
リメルカプタン類及び有機ホスフィン類から選ばれる化
合物である、前記7項記載の硬化性樹脂組成物。
【0015】9.前記エピサルファイド化合物100重
量部に対し、硬化剤が0. 01〜200重量部の割合で
配合されていることを特徴とする、前記7項又は8項記
載の硬化性樹脂組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】(エピサルファイド化合物)本発
明のエピサルファイド化合物は、下記一般式(1)で示
されるエピサルファイド化合物である。
【化7】 (式中、R1,R2,R3,R4 及びR5 は、それぞれが水素
原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭
素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基を示し、nは
0〜10の数を示し、Z1,Z2,Z3,Z4 及びZ5 は硫黄
原子及び酸素原子から選ばれる基を表すが、ただし全て
が酸素原子であることはない基を表す。)
【0017】本発明のエピサルファイド化合物中に含ま
れる硫黄原子の割合は、前記一般式(1)中、Z1,Z2,
3,Z4 及びZ5 で示されている硫黄原子と酸素原子の
合計に対して、5〜100%、好ましくは5〜90%の
範囲内である。硫黄原子の割合が100%未満であると
いうことは、実際には、未反応のエポキシ化合物が存在
し、エピサルファイド化合物とエポキシ化合物の混合物
となっている状態である。硫黄原子の割合が5%未満で
あると、硬化性、耐熱性及び耐湿性の改良効果が不十分
となるため好ましくない。
【0018】(エピサルファイド化合物の製造方法)本
発明のエピサルファイド化合物は、前記一般式(2)で
示されるエポキシ化合物と硫化剤とを反応させることに
より製造されるが、エポキシ化合物のエポキシ基1当量
に対して、硫化剤を0. 05〜5モルの範囲内で反応さ
せるのが好ましい。更に、製造時、分子量の増大が無
く、熱履歴のかかりすぎによるゲル化の心配が無い、良
好なエピサルファイド化合物を得るためには、エポキシ
基1当量に対して硫化剤を0.05〜1モルの範囲内で
仕込むのがより好ましい。
【0019】反応は、上記のような原料仕込み割合で、
適当な溶媒の存在下に、反応温度−15〜100℃、好
ましくは0〜50℃で、反応時間0. 5〜30時間の範
囲内で行う。硫化剤の使用量がエポキシ化合物1当量に
対して、0. 05未満であると、エピサルファイド化合
物中の硫黄原子の割合が5%未満となってしまうため好
ましくない。また、5モルを越えると、不必要な硫化剤
を多量に使用することになり不経済である。
【0020】さらに、一般式(2)で示されるエポキシ
化合物の合成方法は、下記一般式(3)
【化8】 (式中、R4 及びR5 は前記に同じ)で示される芳香族
アルデヒド類及び下記一般式(4)
【化9】 (式中、R1,R2 及びR3 は前記に同じ)で示されるフ
ェノール類を酸性触媒の存在下、脱水縮合反応させてポ
リフェノール化合物を得た後、該ポリフェノール化合
物、エピハロヒドリン及び塩基による公知のエポキシ化
の方法で反応させることにより得ることができる。
【0021】前記一般式(3)で示されるアルデヒド類
の具体例としては、サリチルアルデヒド、m−ヒドロキ
シベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒ
ド、4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、4
−ヒドロキシ−3, 5−ジメチルベンズアルデヒド、バ
ニリン、o−バニリン及びシリンガアルデヒド等が挙げ
られる。また、前記一般式(4)で示されるフェノール
類の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m
−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール類、
プロピルフェノール類、o−tertブチルフェノー
ル、p−tertブチルフェノール、p−secブチル
フェノール、キシレノール類、、2−tertブチル−
4−メチルフェノール、2−tertブチル−5−メチ
ルフェノール、2−tertブチル−6−メチルフェノ
ール、2, 3, 5−トリメチルフェノール、クロルフェ
ノール類及びブロムフェノール類等が挙げられる。これ
らの中で、一般式(3)におけるR4,R5 が水素原子で
あるアルデヒド類、一般式(4)におけるR1 及びR2
が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、R3 が水素
原子であるフェノール類が、原料入手の容易さ及び耐熱
性の硬化物が得られるという点で好ましい。
【0022】用いられる硫化剤は、チオシアン酸ナトリ
ウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウ
ム等のチオシアン酸塩類、チオ尿素、N−メチルチオ尿
素、1, 3−ジエチルチオ尿素等のチオ尿素類、ホスフ
ィンサルファイド、ジメチルチオホルムアミド、N−メ
チルベンゾチアゾール−2−チオン等が挙げられる。こ
れらの中でチオシアン酸塩類、チオ尿素類が好ましい。
【0023】用いられる溶媒としては、例えば、水、メ
タノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール
類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキ
サン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン及
びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メ
チルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケト
ン類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタン及
びクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等の
セロソルブ類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド及びジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性
溶媒等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を
混合して用いることができる。反応終了後、反応生成物
を抽出、水洗、濃縮等の方法により、分離精製すること
により、目的とするエピサルファイド化合物を得ること
ができる。
【0024】(硬化樹脂組成物)本発明のエピサルファ
イド化合物は硬化剤を用い、硬化させることができる。
用いられる硬化剤としては、一般のエポキシ樹脂用硬化
剤が用いられる。たとえば次のものが挙げられる。 (1)アミン類; ジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエ
チルピペラジン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミ
ノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シク
ロヘキサン、m−キシリレンジアミン、3, 9−ビス
(3−アミノプロピル)−2, 4, 8, 10−テトラス
ピロ[5, 5]ウンデカン等の脂肪族及び脂環族アミン
類、ポリアミド類、メタフェニレンジアミン、ジアミノ
ジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳
香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、2, 4, 6−
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1, 8−
ジアザビシクロ(5, 4, 0)ウンデセン−7, 1, 5
−ジアザビシクロ(4, 3, 0)ノネン−7等の3級ア
ミン類及びその塩類。
【0025】(2)酸無水物類;無水フタル酸、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物
類、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒド
ロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘ
キサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラ
ヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリア
ルキルテトラヒドロフタル酸等の環状脂肪族酸無水物
類。 (3)多価フェノール類;カテコール、レゾルシン、ハ
イドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、
ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラッ
ク類、クレゾールノボラック類、ビスフェノールA等の
2価フェノールのノボラック化物類、トリスヒドロキシ
フェニルメタン類、アラルキルポリフェノール類、ジシ
クロペンタジエンポリフェノール類等。
【0026】(4)その他;2−メチルイミダゾール、
2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニル
イミダゾール等のイミダゾール系化合物及びその塩類、
アミンのBF3 錯体化合物、脂肪族スルホニウム塩及び
芳香族スルホニウム塩等のブレンステッド酸塩類、ジシ
アンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジッド及びフタル
酸ジヒドラジッド等の有機酸ヒドラジッド類、ポリメル
カプタン類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィ
ン化合物類等。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、単独
で使用してもよいが、2種以上を併用して使用すること
も可能である。 上記した硬化剤の使用割合は、本発明のエピサルファイ
ド化合物100重量部に対して、硬化剤が0.01〜2
00重量部となるように配合される。この範囲を外れる
と、硬化物の耐熱性が低下し、耐湿性が悪くなるため好
ましくない。
【0027】(任意成分)本発明の硬化性樹脂組成物に
は、必要に応じて次の成分を添加配合することができ
る。 (1)粉末状の補強剤や充填剤、たとえば酸化アルミニ
ウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ケイソウ土
粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シ
リカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、水
酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリ
ン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデ
ン等、さらに繊維質の補強剤や充填剤、たとえばガラス
繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ
繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維
及びポリアミド繊維等。これらは本発明の硬化性樹脂組
成物の100重量部に対して、10〜900重量部配合
される。
【0028】(2)着色剤、顔料、難燃剤、たとえば二
酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミ
ウム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐、ブロ
ム化合物及びトリフェニルホスフェイト等。これらは硬
化性樹脂組成物の100重量部に対して、0.1〜30
重量部配合される。
【0029】(3)さらに、最終的な塗膜、接着層、成
形品などにおける樹脂の性質を改善する目的で種々の硬
化性モノマー、オリゴマー及び合成樹脂を配合すること
ができる。たとえば、モノエポキシ等のエポキシ樹脂用
希釈剤、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹
脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリ
コーン樹脂、ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の
組み合わせを挙げることができる。これら樹脂類の配合
割合は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない
範囲の量、すなわち硬化性樹脂組成物の100重量部に
対して、50重量部以下が好ましい。
【0030】本発明のエピサルファイド化合物、硬化剤
及び任意成分の配合手段としては、加熱溶融混合、ロー
ル、ニーダーによる溶融混練、適当な有機溶剤を用いて
の湿式混合及び乾式混合等が挙げられる。
【0031】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
さらに詳しく説明する。 実施例1 攪拌機、冷却器及び温度計を備えた1リットルのガラス
フラスコ内に、エピコート 1032S50(油化シェ
ルエポキシ社商品名; フェノールとサリチルアルデヒド
から得られるポリフェノールのエポキシ化物、エポキシ
当量;169g/eq.)を100g(0.592当
量) 及びテトラヒドロフランを200g仕込み、室温に
て攪拌してエポキシ化合物を溶解した。溶解後、チオ尿
素を22.5g(0.296モル) 及びメタノールを2
00g添加し、温度30〜35℃で攪拌しながら5時間
反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトンを
300g添加した後、純水500gで5回水洗した。水
洗後、メチルイソブチルケトンをロータリーエバポレー
ターにて減圧下、温度100℃で留去させて、黄色透明
固体のエピサルファイド化合物101. 3gを得た。得
られたエピサルフアイド化合物の性状を表1に示す。
【0032】得られた化合物が目的物であるかどうか
は、赤外吸収スペクトル及びFAB−マススペクトルに
より確認した(図1)。赤外吸収スペクトル;910c
-1のエポキシ基が減少し、610cm-1の吸収が出現
した。なお、910cm-1のエポキシ基に由来する吸収
強度の減少率から、エピサルファイド基への転化率を求
めた。FAB−マススペクトル; トリエピサルファイド化合物;508〔一般式(1)の
n=0成分〕 ジエピサルファイド化合物; 492〔一般式(1)の
n=0成分〕 モノエピサルファイド化合物;476〔一般式(1)の
n=0成分〕 残存エポキシ化合物; 460〔一般式(1)の
n=0成分〕 上記の各フラグメントを確認した。
【0033】実施例2 原料エポキシ化合物をフェノールとp−ヒドロキシベン
ズアルデヒドから得られるポリフェノールのエポキシ化
物(エポキシ当量; 165g/eq.)100g(0.
606当量)に、またチオ尿素を23. 0g(0.30
3モル)に変える以外は、上記実施例1と同様の操作を
行い、黄色透明固体のエピサルファイド化合物101.
6gを得た。得られたエピサルファイド化合物の性状を
表1に示す。
【0034】実施例3 原料エポキシ化合物を2−t−ブチル−5−メチルフェ
ノールとp−ヒドロキシベンズアルデヒドから得られる
ポリフェノールのエポキシ化物TMH574(住友化学
社製商品名、エポキシ当量;220g/eq.)100
g(0.455当量)に、またチオ尿素を25. 9g
(0.341モル) に変える以外は、上記実施例1と同
様の操作を行い、黄色透明固体のエピサルファイド化合
物99. 7gを得た。得られたエピサルファイド化合物
の性状を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例4 実施例1により得られたエピサルファイド化合物100
部、VR2210(三井化学社商品名;3核体が主成分
のフェノールノボラック樹脂)45部を温度120℃で
混合し、脱泡して均一な溶液とした後、2−メチルイミ
ダゾール0.2部及びトリフェニルホスフィン0. 8部
を添加し、攪拌混合して硬化性樹脂組成物を得た。次い
で、上記組成物を型内に流し込み、180℃で7. 5時
間、オーブン中で硬化を行い、硬化物を得た。この硬化
物の物性値を表2に示す。
【0037】実施例5、実施例6 エピサルファイド化合物を実施例2及び実施例3で得ら
れた樹脂、又はエピコート1032S50に変える以外
は、実施例4と同様の操作を行い、組成物を得、硬化物
を得た。この硬化物の物性値を表2に示す。
【0038】比較例1 エピサルファイド化合物をエピコート1032S50に
変える以外は、実施例4と同様の操作を行い、組成物を
得、硬化物を得た。この硬化物の物性値を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明の実施により、新規な多官能型構
造を有するエピサルファイド化合物が容易に得られ、こ
の樹脂は、従来に無い硬化性を示す。また、硬化剤で硬
化させた樹脂硬化物は、耐熱性が高く、耐湿性も良好
で、両性能をバランス良く備えているため、広範な用途
に応用展開が可能である。特に、半導体封止剤、積層材
料及び電気絶縁材等の電気・電子分野等の用途において
有利に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成したエピサルファイド化合物の
赤外吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C048 AA01 BB10 CC02 CC03 UU05 XX01 XX04 4C063 AA03 AA05 BB08 CC91 DD71 EE10 4J036 AF36 CC01 DB06 DB15 DB21 DB22 DC03 DC06 DC31 DC35 DC38 DC39 DC41 DC46 DD01 DD07 FA01 GA19 GA20 JA07 JA08 4J040 EC071 EC341 HB36 HB47 HC01 HC15 HC18 HC24 HD03 HD22 KA16 LA05 LA08 LA09 NA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4 及びR5 は、それぞれ水素原
    子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素
    数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基を示し、nは0
    〜10の数を示し、Z1,Z2,Z3,Z4 及びZ5 は硫黄原
    子及び酸素原子から選ばれる基を示し、ただし全てが酸
    素原子であることはない。)で示されるエピサルファイ
    ド化合物。
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)中、Z1 〜Z5 で示さ
    れる硫黄原子と酸素原子の合計数に対して、硫黄原子数
    の割合が5〜90%の範囲内であることを特徴とする、
    請求項1記載のエピサルファイド化合物。
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)におけるR1 及びR2
    が水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる
    基であり、R3,R4 及びR5 が水素原子である、請求項
    1記載のエピサルファイド化合物。
  4. 【請求項4】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、R1,R2,R3,R4 及びR5 は水素原子、ハロゲ
    ン原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6の
    アルコキシ基から選ばれる基を示し、nは0〜10の数
    を示す。)で示されるエポキシ化合物と硫化剤とを反応
    させることを特徴とする、下記一般式(1)で示される
    エピサルファイド化合物の製造方法。 【化3】
  5. 【請求項5】 前記一般式(2)で示されるエポキシ化
    合物のエポキシ基1当量に対して硫化剤を0.05〜5
    モルの範囲内で添加して反応させることを特徴とする、
    請求項4記載のエピサルファイド化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】硫化剤がチオシアン酸塩類又はチオ尿素類
    である、請求項4又は請求項5記載のエピサルファイド
    化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載のエピサルファイド化合物に硬化剤を配合してなる、
    硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記硬化剤がアミン類、酸無水物類、多
    価フェノール類、イミダゾール類、ブレンステッド酸塩
    類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジッド類、ポリ
    メルカプタン類及び有機ホスフィン類から選ばれる化合
    物である、請求項7記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記エピサルファイド化合物100重量
    部に対し、硬化剤が0. 01〜200重量部の割合で配
    合されていることを特徴とする、請求項7又は請求項8
    記載の硬化性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023171591A1 (ja) * 2022-03-08 2023-09-14 三菱瓦斯化学株式会社 エピスルフィド化合物の製造方法

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