JP2000050841A - 共役リノール酸粉末及びその製造方法 - Google Patents

共役リノール酸粉末及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共役リノール酸を、各種の飲食品や飼料等の
加工に容易に用いることができるようにする。 【解決手段】共役リノール酸を65重量%以上含有する
油性液体を60〜85重量部と、アラビアガムを15〜
40重量部と水を適量重量部とを配合してO/W型の乳
化液を調製し、この乳化液を噴霧乾燥等で乾燥して粉末
化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は健康補助食品として
有用な共役リノール酸に関し、さらに詳しくは、各種の
飲食品や飼料等の加工に容易に用いることができる共役
リノール酸粉末とその製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】共役リノール酸は共役二重結合を有する
リノール酸の総称であり、人体内では生成されないが、
服用により効率よく摂取される。この体内に摂取された
共役リノール酸は、脂肪その他の栄養分が脂肪細胞以外
の細胞膜を通過することを促進し、特に活発細胞へこれ
ら栄養分を送り込んで筋肉の成長を促進させ、それら栄
養分の吸収率を高めるとともに脂肪の蓄積を阻害する作
用を有する。このため、共役リノール酸は、脂肪を減ら
し筋肉を増やして健康になるための健康補助食品として
注目されている。またこの共役リノール酸を動物の飼料
に用いた場合、動物の体脂肪を下げ、体タンパク質を増
加させ、飼料効率と成長率を著しく改善できる。このた
め、脂肪分の少ない肉を効率よく生産する手段として期
待されている。さらに共役リノール酸は、ガンの発生、
成長及び進化の抑制に役立ち、ある種のガンに対しては
予防と治療の両方に効果があると考えられている。
【0003】
【従来の技術】従来、デキストリンなどの賦型剤を用い
て粉末化した油脂はあるが、上記共役リノール酸につい
ては粉末化したものはなく、服用者は、この共役リノー
ル酸を多量に含む油性液体が液状のまま収容されたソフ
トカプセルを必要個数食することにより摂取していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の共役リノー
ル酸はソフトカプセルの形態のものしかなく、各種の飲
食品や飼料等に加工することが容易でなかった。本発明
は上記問題点を解消し、各種の飲食品や飼料等の加工に
容易に用いることができる共役リノール酸粉末を提供す
ることを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、次のように構成したものである。即ち本発明
1は共役リノール酸粉末に関し、共役リノール酸を65
重量%以上含有する油性液体を60%重量以上と、アラ
ビアガムを15重量%以上とを含有することを特徴とす
る。
【0006】本発明2は共役リノール酸粉末の製造方法
に関し、共役リノール酸を65重量%以上含有する油性
液体を60〜85重量部と、アラビアガムを15〜40
重量部と水を適量重量部とを配合してO/W型の乳化液
を調製し、この乳化液を乾燥して粉末化することを特徴
とする。
【0007】上記アラビアガムの配合は、配合前の油性
液体や水と予備乳化した段階で添加してもよいが、配合
前の水に添加しておくと水溶液となって容易に均一混合
でき、より好ましい。また、上記乳化液を乾燥する方法
は、乾燥粉末を得ることができる方法を適宜選択すれば
よく、特定の乾燥方法に限定されない。具体的には、噴
霧乾燥法や凍結真空乾燥法、ドラム乾燥法等を採用する
ことができるが、なかでも品質の揃った良好な粉末を安
価に得ることができる噴霧乾燥法が好ましい。
【0008】なお上記共役粒子リノール酸粉末には、マ
ルトデキストリン、サイクロデキストリン、加工デンプ
ン等の他の賦型剤、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂
肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、その他一般の粉末
に用いられる各種添加剤等を必要に応じて適宜含有させ
てもよいことは言うまでもない。
【0009】
【作用】60重量%以上含ませた油性液体には、共役リ
ノール酸が65重量%以上含有されていることから、粉
末全体には共役リノール酸が少なくとも39重量%以上
含まれている。しかも各粉末粒子は15重量%以上含有
されるアラビアガムで確りと賦型されており、多量に含
有する油性液体の滲出が抑制され、粉末のべたつきが少
ない。
【0010】上記アラビアガムは、20重量%以上含有
させると一層べたつきが抑制され、優れた流動性を有す
るさらさらした粉末を得ることができるのでより好まし
い。
【0011】上記共役粒子リノール酸粉末は経時変化に
より過酸化物価が増加し易いので、例えばビタミンE、
ビタミンC、クエン酸等の酸化防止剤を含有させるのが
好ましい。特に酸化防止剤の主成分をビタミンEで構成
し、このビタミンEを油脂成分に対して200ppm以
上含有させた場合には過酸化物価の上昇が効果的に抑制
される。なおこのビタミンEの含有量は、500ppm
を越えると酸化防止効果の向上が逓減するので、コスト
面からこれ以下に設定するのが好ましい。
【0012】
【実施の形態】以下、本発明の共役リノール酸粉末及び
その製造方法の実施形態を説明する。適量重量部の蒸留
水に15〜40部の、好ましくは20〜40部のアラビ
アガムとその他の賦型剤及び乳化剤を添加し、撹拌して
水相部を調製する。次いでこの水相部に、共役リノール
酸含量68重量%の油性液体を少量ずつ撹拌しながら6
0〜85重量部添加し、予備乳化を行う。その後、ホモ
ジナイザー等を用いて上記予備乳化液を均質化し、得ら
れたO/W型の乳化液を噴霧乾燥して粉末にする。
【0013】得られた共役リノール酸粉末は、さらさら
とした流動性に優れた粉末であり、保存安定性に優れ、
例えば飲料、粉末飲料、水産加工品、菓子、畜肉加工食
品、レトルト食品、乾燥食品等の各種飲食品や、飼料等
に容易に混合させ加工することができる。
【0014】次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明する。
【0015】
【実施例1】蒸留水150gに賦型剤としてアラビアガ
ム20gとサイクロデキストリン4.5gおよび乳化剤
0.5gを添加し、70℃で撹拌して均一に溶解させ、
この水溶液に共役リノール酸含量68%の油性液体75
gを少量ずつ撹拌しながら添加し、70℃にて15分間
TKホモミキサーを用いて予備乳化する。その後、ホモ
ジナイザーを用いて150kg/cmの圧力で均質化し、
得られた乳化液を、送風温度160℃、排風温度90℃
で噴霧乾燥し、流動性に優れた共役リノール酸粉末を得
た。
【0016】
【実施例2】賦型剤としてアラビアガム29.5gのみ
を添加し、サイクロデキストリン等の他の賦型剤は添加
しなかった。また、油性液体は70g添加した。その他
は上記実施例1と同様に配合し、同様に処理して流動性
に優れた共役リノール酸粉末を得た。
【0017】
【実施例3】賦型剤としてアラビアガム30gとサイク
ロデキストリンを10gとを添加し、乳化剤は添加しな
かった。また、油性液体は60g添加した。乳化及び乾
燥処理は上記実施例1と同様に行い、流動性に優れた共
役リノール酸粉末を得た。
【0018】
【実施例4】賦型剤としてアラビアガム20gとサイク
ロデキストリン19.5gとを添加し、乳化剤を0.5g
添加した。また、油性液体は60g添加した。乳化及び
乾燥処理は上記実施例1と同様に行い、流動性に優れた
共役リノール酸粉末を得た。
【0019】
【実施例5】賦型剤としてアラビアガム15gとサイク
ロデキストリン24.5gとを添加し、乳化剤を0.5g
添加した。また、油性液体は60g添加した。乳化及び
乾燥処理は上記実施例1と同様に行い、ややべたつきが
あるものの良好な流動性を有する共役リノール酸粉末を
得た。
【0020】
【比較例】賦型剤としてアラビアガム10gとサイクロ
デキストリン29.5gとを添加し、乳化剤を0.5g添
加した。また、油性液体は60g添加した。乳化及び乾
燥処理は上記実施例1と同様に行ったところ、油性液体
が滲出してかなりべたつきのある共役リノール酸粉末を
得た。
【0021】上記各実施例と比較例の、各成分の配合部
数と、得られた粉末の組成、共役リノール酸含量及び流
動性を一覧にして図1に示す。図1に示す対比表から明
らかなように、アラビアガムの含有量が10重量%程度
であれば、他の賦型剤を多量に含んでいても油性液体の
滲出がありべたつくが、アラビアガムを15重量%以上
含有する共役リノール酸粉末にあっては、べたつきが少
なく流動性が良好であった。特にアラビアガムを20重
量%以上含有させたものは、べたつきがなく、優れた流
動性を示した。
【0022】次に、上記実施例3を基準としてこれにビ
タミンEを主成分とする酸化防止剤を含有させ、過酸化
物価の経時変化を調べた。
【0023】
【実施例6】水150gに、油性液体を60g、賦型剤
としてアラビアガムを30gとサイクロデキストリンを
9.9025g、酸化防止剤としてビタミンEを40%
含有するビタミン製剤を0.075g、ビタミンCを
0.015g及び無水クエン酸を0.0075g添加し
た。乳化及び乾燥処理は上記実施例1と同様に行い、流
動性に優れた共役リノール酸粉末を得た。
【0024】
【実施例7】サイクロデキストリンを9.97125
g、酸化防止剤としてビタミンEを96%含有するビタ
ミン製剤のみを0.02875g添加し、他の組成は上
記実施例6と同様とした。乳化及び乾燥処理は上記実施
例1と同様に行い、流動性に優れた共役リノール酸粉末
を得た。
【0025】
【実施例8】サイクロデキストリンを9.94875
g、酸化防止剤としてビタミンEを96%含有するビタ
ミン製剤を0.02875g、ビタミンCを0.015
g及び無水クエン酸を0.0075g添加し、他の組成
は上記実施例6と同様とした。乳化及び乾燥処理は上記
実施例1と同様に行い、流動性に優れた共役リノール酸
粉末を得た。
【0026】次に上記実施例3と実施例6〜8とで得ら
れたリノール酸粉末を、それぞれ40℃のオーブンに入
れ、過酸化物価の経時変化を測定した。その結果を図2
に示す。この図2から明らかなように、酸化防止剤を含
有させた場合はいずれの場合も過酸化物価の上昇が良好
に抑制されており、長期の保存が可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明は上記のように構成され作用する
ことから、次の効果を奏する。
【0028】(イ)粉末全体に少なくとも39重量%以
上の共役リノール酸が含まれており、共役リノール酸を
効率よく摂取することができる。しかも各粉末粒子はべ
たつきが少なく良好な流動性を有するため取り扱いが容
易であり、各種の飲食品や飼料等の加工に容易に用いる
ことができる。
【0029】(ロ)上記アラビアガムを20重量%以上
含有させた場合には、各粉末粒子における油性液体の滲
出が一層確実に抑制され、べたつきがなく優れた流動性
を有する、さらさらした粉末を得ることができる。
【0030】(ハ)酸化防止剤を含有させた場合、経時
変化による過酸化物価の上昇を抑制することができ、品
質を良好に維持しながら長期に保存することができる。
【0031】(ニ)特に上記酸化防止剤の主成分をビタ
ミンEで構成した場合、少量の添加で過酸化物価の上昇
を効果的に抑制することができ、一層好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜5の各成分の配合部数と、
得られた粉末の組成、共役リノール酸含量及び流動性
を、比較例と対比して一覧に示す対比表である。
【図2】本発明の実施例3と実施例6〜8を40℃のオ
ーブンで保存した場合の過酸化物価の経時変化を示す対
比表である。
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 尚登 岡山県浅口郡里庄町里見4215 天野実業株 式会社里庄第一工場内 (72)発明者 奥山 齊 東京都中央区日本橋3丁目15番8号 リノ ール油脂株式会社内 (72)発明者 笠井 正章 愛知県名古屋市港区潮見町37番15 リノー ル油脂株式会社名古屋工場内 Fターム(参考) 2B150 AB01 AB02 AB20 AE02 AE43 DA37 DE15 4B018 LE03 MS03 MS10 4C206 DA04 MA02 MA03 MA05 MA13 MA28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役リノール酸を65重量%以上含有す
    る油性液体を60重量%以上と、アラビアガムを15重
    量%以上とを含有することを特徴とする、共役リノール
    酸粉末。
  2. 【請求項2】 アラビアガムを20重量%以上含有させ
    た、請求項1に記載の共役リノール酸粉末。
  3. 【請求項3】 酸化防止剤を含有させた、請求項1又は
    請求項2に記載の共役リノール酸粉末。
  4. 【請求項4】 上記酸化防止剤の主成分をビタミンEで
    構成した、請求項3に記載の共役リノール酸粉末。
  5. 【請求項5】 共役リノール酸を65重量%以上含有す
    る油性液体を60〜85重量部と、アラビアガムを15
    〜40重量部と水を適量重量部とを配合してO/W型の
    乳化液を調製し、 この乳化液を乾燥して粉末化することを特徴とする、共
    役リノール酸粉末の製造方法。
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