JP2000050391A - 超音波トランスデューサーおよびその製造方法 - Google Patents

超音波トランスデューサーおよびその製造方法

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JP2000050391A
JP2000050391A JP10217804A JP21780498A JP2000050391A JP 2000050391 A JP2000050391 A JP 2000050391A JP 10217804 A JP10217804 A JP 10217804A JP 21780498 A JP21780498 A JP 21780498A JP 2000050391 A JP2000050391 A JP 2000050391A
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ultrasonic transducer
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JP10217804A
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Yukihiko Sawada
之彦 沢田
Tomoki Funakubo
朋樹 舟窪
Katsuhiro Wakabayashi
勝裕 若林
Shidan O
詩男 王
Masaki Esashi
正喜 江刺
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Olympus Optical Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B06GENERATING OR TRANSMITTING MECHANICAL VIBRATIONS IN GENERAL
    • B06BMETHODS OR APPARATUS FOR GENERATING OR TRANSMITTING MECHANICAL VIBRATIONS OF INFRASONIC, SONIC, OR ULTRASONIC FREQUENCY, e.g. FOR PERFORMING MECHANICAL WORK IN GENERAL
    • B06B1/00Methods or apparatus for generating mechanical vibrations of infrasonic, sonic, or ultrasonic frequency
    • B06B1/02Methods or apparatus for generating mechanical vibrations of infrasonic, sonic, or ultrasonic frequency making use of electrical energy
    • B06B1/06Methods or apparatus for generating mechanical vibrations of infrasonic, sonic, or ultrasonic frequency making use of electrical energy operating with piezoelectric effect or with electrostriction
    • B06B1/0607Methods or apparatus for generating mechanical vibrations of infrasonic, sonic, or ultrasonic frequency making use of electrical energy operating with piezoelectric effect or with electrostriction using multiple elements
    • B06B1/0622Methods or apparatus for generating mechanical vibrations of infrasonic, sonic, or ultrasonic frequency making use of electrical energy operating with piezoelectric effect or with electrostriction using multiple elements on one surface

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電振動子への配線が容易であり、駆動中の
圧電振動子内の電極の断線を低減することが可能な超音
波トランスデューサーを提供する。 【解決手段】 圧電振動子、音響整合層、および背面負
荷材を備えた超音波トランスデューサーであって、該圧
電振動子は、一方の表面から形成された少なくとも1つ
の細長い貫通もしくは未貫通の孔によって、該一方の表
面およびこの表面に対向する他方の表面において互いに
連続する複数の圧電体セグメントに区分された圧電体ブ
ロックと、該孔を少なくとも部分的に充填する有機充填
物と、該複数の圧電体セグメントの連続する該一方およ
び他方の表面にそれぞれ電気的に接続される第1および
第2の電極とを含むことを特徴とする超音波トランスデ
ューサー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医用診断用の生体
の断層像描画および計測または非破壊検査に使用される
超音波トランスデューサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波トランスデューサーは、超音波パ
ルスを対象物に送信し、その対象物からの反射信号(エ
コー)を受信するための装置である。対象物としては例
えば生体などが挙げられる。このエコーを解析すること
により、対象物についての情報を得ることができる。
【0003】超音波トランスデューサの構造は、例えば
「医用超音波機器ハンドブック (社)日本電子機械工
業会・編 (株)コロナ社・発行 1985/04/
20p.186〜190」に示されている。
【0004】超音波トランスデューサーは、基本的に、
超音波パルスおよびエコーを電圧パルスとの間で相互変
換させるための圧電振動子と、この圧電振動子と例えば
生体である対象物との間で発生する超音波パルスの伝達
ロスを低減するための音響整合層と、超音波パルス波形
を短縮することによって分解能を向上するための背面負
荷材から構成される。上述の圧電振動子は、一般的に両
面に電極が形成された圧電セラミックス板などの圧電体
からなる。また、超音波パルスを対象物に収束させるた
めの音響レンズを音響整合層の前面に配置することもあ
る。
【0005】超音波トランスデューサの駆動は、上記圧
電振動子にパルサから百〜数百ボルト程度の駆動用の電
圧パルスを印加して、該圧電振動子を逆圧電効果により
急速に変形させ、変形により励起された超音波パルスを
音響整合層および音響レンズを経て放射することにより
行われる。
【0006】放射された超音波パルスは、対象物から反
射されたのちに該音響レンズおよび音響整合層を経て圧
電振動子に再入射し、圧電振動子を振動させる。超音波
パルスを反射する対象物としては、医療用途については
生体内の各組織の界面であり、また非破壊検査用につい
ては被測定物内部の傷などの非連続部である。再入射し
た超音波パルスにより発生した圧電振動子の機械的振動
は、圧電効果により電気信号に変換されたのち、観測装
置に送られて画像化される。
【0007】超音波パルスは、通常、超音波ビームとし
て収束させられたのちに、画像を得るために対象物上を
走査させられる。超音波パルスを超音波ビームに収束さ
せる方法にはいくつかの方式がある。例えば、圧電振動
子の前面を曲面に形成してその曲面の幾何学的中心にビ
ームを収束させる方式、圧電振動子の前面に配置した音
響レンズによりビームを収束する方式、超音波トランス
デューサーを複数の超音波トランスデューサ素子から構
成し、各超音波トランスデューサー素子を位相差を持た
せて駆動することでビームを収束させる方式などが挙げ
られる。
【0008】超音波ビームを走査する方法にもいくつか
の方式があり、例えば以下の2つの方法が挙げられる。 (1)単一または複数の超音波トランスデューサを駆動
しつつ、それぞれの超音波トランスデューサーの角度お
よび位置をメカニカルに走査することにより超音波ビー
ムを走査する方式。この方式をメカスキャン方式と呼
ぶ。
【0009】(2)ビーム収束方式で述べたのと同様
に、一つの超音波トランスデューサーを複数の微小な超
音波トランスデューサ素子から構成し、この素子を個別
にまたは群として選択的に位相差を持たせるなどして駆
動することで超音波ビームを走査する方式。複数の微小
な超音波トランスデューサ素子から構成される超音波ト
ランスデューサーを、アレイ型または電子スキャン型超
音波トランスデューサーと呼ぶ。
【0010】電子スキャン型トランスデューサは、一般
に微小幅(0.5〜1.5mm、またはそれ以下)の超
音波トランスデューサー素子を、数十から数百個、平面
上または曲面上に配列した構成をなす。それぞれの超音
波トランスデューサー素子も、やはり圧電振動子、音響
整合層、および背面負荷材から基本的に構成される。
【0011】各超音波トランスデューサー素子の有する
圧電振動子においては、通常、圧電体がさらに2〜3個
の例えば棒状に分割されている。圧電体をこのように分
割することで、圧電振動子の厚み方向の振動モード以外
の振動の発生を抑制することができる。圧電振動子の厚
み方向以外の振動は超音波の送受信には寄与しないの
で、その発生を抑制する必要がある。また、圧電体を分
割することで、超音波パルスの伝達ロスの低減、結合係
数の向上、圧電定数の向上などの効果がもたらされる。
【0012】前述のメカスキャン方式のトランスデュー
サにおいても、この超音波トランスデューサーの圧電振
動子が有する圧電体をさらに分割することにより、圧電
振動子の厚み方向以外の振動の抑制、超音波パルスの伝
達ロスの低減、結合係数の向上、圧電定数の向上などの
効果がもたらされる。
【0013】また、近年、超音波トランスデューサーに
使用する圧電振動子として、圧電体単体の代わりに例え
ばロッド状の圧電体と樹脂とを複合化した複合圧電体を
用いた圧電振動子が使用されつつある。複合圧電体を用
いることにより、圧電体と生体との間の音響インピーダ
ンスの差異に起因する伝達ロスの低減、不用な共振モー
ドの低減、電気機械結合係数および圧電定数の向上など
を実現することができる。
【0014】複合圧電体は、メカスキャン方式の超音波
トランスデューサーおよび電子スキャン型超音波トラン
スデューサのどちらの圧電振動子にも使用することが可
能である。
【0015】従来、上述した分割された圧電体またはロ
ッド状の圧電体を製造する方法の一つの例として、例え
ば特開昭60−85699(以下、先行文献1と記す)
に示されているように、圧電体単体をダイシングして分
割することにより製造する方法がある。
【0016】すなわち、ジルコン酸チタン酸鉛などのバ
ルクの圧電体を接着剤を用いて基台に貼り付けたのち、
基台上のバルク圧電体をダイシング装置を用いてストラ
イプ状またはマトリクス状にダイシングする。ダイシン
グによりできた溝の部分にエポキシやウレタン製の樹脂
を充填して硬化した後に、ダイシングしたバルク圧電体
を基台から取り外して、分割された圧電体またはロッド
状の圧電体を得る。この方法には、圧電体をダイシング
により裁断してから溝に樹脂を充填して硬化したのちに
圧電体を基台から取り外して、分割された圧電体または
ロッド状の圧電体を得る方法と、圧電体の途中までダイ
シングしてから樹脂を充填して硬化したのちに圧電体を
基台から取り外して研削もしくはスライスして、分割さ
れた圧電体またはロッド状の圧電体を得る方法とがあ
る。
【0017】また、ロッド状の圧電体を用いた複合圧電
体を製造する方法の他の例としては、マイクロマシン技
術を活用して微細な構造の圧電体を作成することによっ
て製造する方法がある。この方法は、例えば『Jpn.
J.Appl.Phys.Vol.36(1997)
pp.6062−6064』(以下、先行文献2と記
す)に示されているように、ディープX線リソグラフィ
ー、および樹脂モールドを組み合わせて高アスペクト比
のロッド状の圧電体を形成し、形成したロッド状の圧電
体間に樹脂を充填して複合圧電体を製造するものであ
る。
【0018】具体的には、はじめに基台に、400μm
の厚みのMMA(メタクリル酸メチル)/MAA(メタ
クリル酸)共重合体からなるレジスト膜を作製する。次
に、該レジスト膜にマスクを介してシンクロトロン放射
光を照射したのち現像して、複数の穴が開口されたレジ
スト構造体を得る。このレジスト構造体を樹脂型として
用いて、レジスト構造体の複数の穴にPZT(チタン酸
ジルコン酸鉛)スラリーを注入する。スラリーは、PZ
T粉体、バインダー、および水からなる。
【0019】PZTスラリーを室温で乾燥固化させてP
ZTグリーン体を得る。その後、酸素プラズマによって
樹脂型のみを除去して、PZTグリーン体を残す。残っ
たPZTグリーン体を500℃で脱脂(バインダー除
去)し、1200℃で本焼成を行う。焼成により、例え
ば直径20μm、高さ140μmの形状の複数のPZT
ロッドからなるPZTロッドアレイが形成される。
【0020】次に、このロッドアレイにエポキシ樹脂を
真空含浸して硬化させる。硬化させた後、ロッドアレイ
の上下面をPZTロッドの両端の表面が露出するまで研
磨して平坦化し、平坦化した上下両面に金電極をスパッ
タリングにより成膜する。そして、ロッドアレイをオイ
ルバス中に浸漬した状態で電極に電圧を印加して分極処
理を行い、圧電性が付与された複合圧電体を得る。得ら
れた振動子の周波数定数は、700kHz・mm以下で
あり、小型・薄型な複合圧電体が作製される。
【0021】しかしながら、上述のような分割された圧
電体またはロッド状の圧電体を有する圧電振動子を用い
た超音波トランスデューサーにおいては、圧電振動子へ
の配線作業が複雑である、また、駆動中に圧電振動子内
の電極が断線し易いという問題があった。
【0022】つまり、超音波トランスデューサの圧電振
動子を駆動するためには、分割された圧電体またはロッ
ド状の圧電体に、駆動用の配線を行う必要がある。分割
された圧電体に配線するためには、個々の圧電体の電極
に配線するか、または圧電体間に連続した電極を形成し
てこの連続した電極に配線していた。また、ロッド状の
圧電体に配線するためには、ロッド状の圧電体両端面お
よびロッド間の樹脂を含む面に連続した電極を形成して
この連続した電極に配線していた。
【0023】個々の圧電体の電極に配線することは、圧
電振動子への配線作業を複雑なものとしており、最終的
な超音波トランスデューサーの構造およびその製造工程
を複雑なものにしていた。
【0024】また、分割された圧電体間、およびロッド
状の圧電体の両端面を含む面に連続して形成された電極
は、圧電振動子の駆動中に破断して断線することがあっ
た。つまり、圧電振動子の駆動中は、分割された圧電体
もしくはロッド状の圧電体のみが振動して、充填された
樹脂などの他の部材は振動しない。そのため、振動する
圧電体と振動しない樹脂などとの境目において、電極が
破断して断線することがあった。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、圧
電振動子への配線が容易であり、駆動中の圧電振動子内
の電極の断線を低減することが可能な超音波トランスデ
ューサーおよびその製造方法を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、細長い孔により区分されかつ互
いに所定部位において連続した複数の圧電体セグメント
を用いて圧電振動子を作製することとした。互いに連続
した複数の圧電体セグメントは圧電体ブロックから形成
し、圧電体セグメントを区分する孔内に有機充填物を充
填したのちに、圧電体セグメント上に共通電極を形成し
て圧電振動子とする。圧電体セグメントが互いに連続し
ているため、圧電体セグメント上の共通電極によってす
べての圧電体セグメントへの配線を行うことができる。
従って、各圧電体セグメントへの配線、ひいては圧電振
動子への配線が容易となる。また、有機充填物上に電極
を形成する必要がないため、圧電振動子の駆動中に電極
が断線することを低減することが可能となる。
【0027】すなわち、本発明によれば、圧電振動子、
音響整合層、および背面負荷材を備えた超音波トランス
デューサーであって、該圧電振動子は、一方の表面から
形成された少なくとも1つの細長い貫通もしくは未貫通
の孔によって、該一方の表面およびこの表面に対向する
他方の表面において互いに連続する複数の圧電体セグメ
ントに区分された圧電体ブロックと、該孔を少なくとも
部分的に充填する有機充填物と、該複数の圧電体セグメ
ントの連続する該一方および他方の表面にそれぞれ電気
的に接続される第1および第2の電極とを含むことを特
徴とする超音波トランスデューサーが提供される。
【0028】また、本発明によれば、それぞれ圧電振動
子、音響整合層、および背面負荷材を備えた複数の超音
波トランスデューサー素子からなる超音波トランスデュ
ーサーであって、各超音波トランスデューサー素子の有
する該圧電振動子は、一方の表面から形成された少なく
とも1つの細長い貫通もしくは未貫通の孔によって、該
一方の表面およびこの表面に対向する他方の表面におい
て互いに連続する複数の圧電体セグメントに区分された
圧電体ブロックと、該孔を少なくとも部分的に充填する
有機充填物と、該複数の圧電体セグメントの連続する該
一方および他方の表面にそれぞれ電気的に接続される第
1および第2の電極とを含むことを特徴とする超音波ト
ランスデューサーが提供される。
【0029】本発明においては、該複数の圧電体セグメ
ントは、厚さ振動モードで振動する少なくとも1つの圧
電体セグメントおよび縦振動モードで振動する少なくと
も1つの圧電体セグメントからなることが好ましい。
【0030】また、本発明によれば、圧電振動子を製造
する段階、製造した圧電振動子に音響整合層および背面
負荷材を接合する段階を備えた超音波トランスデューサ
ーの製造方法であって、該圧電振動子の製造段階は、
(a)圧電体ブロックの一方の表面およびこの表面に対
向する他方の表面のそれぞれ全面に、電極用の導電材料
の層を設ける工程と、(b)圧電体ブロックを該一方の
表面および他方の表面において互いに連続する複数の圧
電体セグメントに区分するために、反応ガスとしてフッ
化物を用いた反応性イオンエッチング法により、該一方
の表面の導電材料の層を貫き圧電体ブロック内において
貫通もしくは未貫通の少なくとも一つの細長い孔を形成
する工程と、(c)該孔に有機充填物を少なくとも部分
的に充填する工程とを含むことを特徴とする方法が提供
される。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <本発明に係る超音波トランスデューサーの構造>ま
ず、本発明に係る超音波トランスデューサーの構造を説
明する。
【0032】本発明に係る超音波トランスデューサーに
は、1つの超音波トランスデューサー素子単体から構成
されるメカスキャン方式の超音波トランスデューサー
と、複数の超音波トランスデューサー素子から構成され
る電子スキャン型超音波トランスデューサーとが含まれ
る。
【0033】各超音波トランスデューサー素子は、圧電
振動子、音響整合層、および背面負荷材、また場合によ
って音響レンズを備えた構成をなしている。圧電振動子
は、複数の圧電体セグメント、圧電体セグメントを区分
する孔内に充填された有機充填物、および各圧電体セグ
メントに形成された共通電極を含んでいる。
【0034】圧電体セグメントは、後述するように、圧
電体ブロックを少なくとも1つの細長い孔によって複数
に区分することで作製される。細長い孔は、その幅に比
べて長さが大きいものであり、その長さ方向の両端は開
口することなく閉じていることが好ましい。
【0035】圧電体ブロックは、通常、円柱体もしくは
直方体の形状をなしている。圧電体ブロックは、例えば
セラミックスなどから形成される。セラミックスは、圧
電性が得られるセラミックスであれば特に限定されな
い。圧電性が得られるセラミックスとしては、例えばチ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックス、亜鉛ニ
オブ酸鉛とチタン酸鉛(PZN−PT)系セラミック
ス、マグネシウムニオブ酸鉛とチタン酸鉛(PMN−P
T)系セラミックスなどが挙げられる。PZT系セラミ
ックスを使用した場合には、例えば、周波数定数として
Ntが約2000Hz−m、N33が約1300Hz−
mの材料を用いることができる。
【0036】圧電体ブロックは、例えば上述のセラミッ
クス材料の粉体を焼成したもの、またはセラミックス材
料の固溶体単結晶のような単結晶から研削もしくは切出
したものからなる。このため圧電体ブロックの密度は高
くなり、圧電振動子としては高密度で高分解能なものが
製造できる。
【0037】なお、圧電体ブロックは、材料の粉体を焼
成したものよりも単結晶から研削または切出したものの
方が好ましい。単結晶の方が焼結したものよりも配向性
と密度が高く圧電特性に優れるからである。そのため、
圧電単結晶からなる圧電体ブロックを使用したときに
は、この圧電体ブロックから作製した圧電体セグメント
を用いた超音波トランスデューサー素子においては、S
/N比が向上し、高分解能化が達成される。
【0038】圧電体セグメントを区分する孔内に充填さ
れる有機充填物は、当該孔内に少なくとも部分的に充填
される。有機充填物としては、圧電体セグメントとの密
着強度の高い有機充填物であれば特に限定されないが、
柔軟性のある有機充填物が好ましい。このような有機充
填物としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シ
リコーン樹脂などの樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂と
しては、例えば、室温硬化して硬化後に硬度がショアー
A90程度となるようなものが好ましい。
【0039】また、有機充填物としては、前述の音響整
合層もしくは背面負荷材に用いられる材料、またはこれ
らを圧電振動子と接合するための接着剤に用いられる材
料と同じものであることが好ましい。音響整合層、背面
負荷材、または接着剤の材料と有機充填物とが同じであ
ることによって、超音波トランスデューサーの製造に用
いる材料の種類を低減することができる。
【0040】音響整合層に用いられる材料としては、シ
リコーン系、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミド、P
EEK、ポリエチレン、フッ素系等の樹脂、またはこれ
らの樹脂とアルミナ、ジルコニアなどのセラミックス、
金属、ガラスなどの微粒子との混合物、またはセラミッ
クス、ガラス、結晶化ガラス、シリコンなどが挙げられ
る。
【0041】また、背面負荷材に用いられる材料として
は、シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミ
ド、PEEK、ポリエチレン、フッ素系等の樹脂、また
はこれらの樹脂とアルミナ、ジルコニアなどのセラミッ
クス、金属、ガラスなどの微粒子との混合物などが挙げ
られる。
【0042】また、接着剤に用いられる材料としては、
シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系、ポリイミド、
ウレタン系等の樹脂などが挙げられる。例えば、音響整
合層や背面負荷材を、樹脂などの材料を成形用の型に注
入して作製する場合に、その注入する樹脂と有機充填物
とが同じであることが好ましい。また、例えば、音響整
合層や背面負荷材を樹脂などの接着剤を用いて圧電振動
子と接合する場合には、接着剤として用いる樹脂と有機
充填物とが同じであることが好ましい。
【0043】各圧電体セグメントに形成される共通電極
には、圧電体セグメントの細長い孔が形成された一方の
表面に電気的に接続される第1の共通電極、およびこの
表面に対向する表面に電気的に接続される第2の共通電
極がある。
【0044】電極は、少なくとも圧電体セグメント上に
形成されていれば良い。すなわち、圧電体セグメントを
区分する孔内に充填された有機充填物上には、形成され
ていても良いし、形成されていなくても良い。
【0045】電極の材料および形成の仕方は、有機充填
物に大きなダメージを与えないように低温で電極を形成
できるものであれば、特に限定されない。このような電
極の材料としては、金属材料、化合物材料などの導電材
料が挙げられる。金属材料としては、例えば、金、銅、
チタン、ニッケル、銀、白金、クロムなどの金属単体お
よびこれらの金属単体を組み合わせたクロム/金などの
積層体が挙げられる。化合物材料としては、例えばIT
O(酸化インジウム錫)などが挙げられる。電極の形成
の仕方としては特に限定されないが、例えば電界メッ
キ、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティングなど
が挙げられる。
【0046】図1に、本発明に係る圧電振動子の例を模
式的に示す。図1(a)は一例として直方体の外形を有
する圧電振動子の概略斜視図であり、図1(b)は、図
1(a)の線B−B’に沿った概略断面図である。
【0047】圧電振動子10は、前述したように、複数
の圧電体セグメント1、圧電体セグメント1を区分する
孔内に充填された有機充填物、および各圧電体セグメン
ト1に形成された第1の電極2および第2の電極3を含
んでいる。図1においては、説明を容易にするために、
有機充填物は省略してある。
【0048】それぞれの圧電体セグメント1は、前述し
たように、圧電体ブロック4から作製されており、圧電
体ブロック4の一方の表面から形成された少なくとも1
つの細長い貫通孔5もしくは未貫通孔6(これら孔を総
称して孔7と記載することがある)によって、圧電体ブ
ロック4を複数に区分することで作製される。有機充填
物は、孔7内部に充填される。
【0049】圧電体セグメント1は、圧電体ブロック4
の孔7が形成された該一方の表面、例えば前面、および
この表面に対向する他方の表面、例えば背面、において
互いに連続するように区分されている。すなわち、圧電
体ブロック4は孔7の形成領域以外の領域で連続してお
り、孔7によって分割されていない。各圧電体セグメン
ト1は相隣る2つの孔7の間に規定される。
【0050】個々の圧電体セグメント1が、圧電体ブロ
ック4の前面および背面において互いに連続していると
は、区分されたセグメント1のそれぞれが、孔7の形成
領域を除き、他のセグメント1から隔離されることな
く、前面および背面において互いにつながるように形成
されているということである。例えば、セグメント1の
形状としては、円柱体のようにその表面が周囲と隔離さ
れているようなものではない。
【0051】このように、圧電体セグメント1は、圧電
体セグメント4の前面および背面において互いに連続し
ているため、その上に連続した共通電極2、3を形成す
ることができる。共通電極2、3は連続しているため、
各共通電極2、3において各1点で外部からの配線を行
うことができ、各圧電体セグメント1ごとの配線は不要
となる。また、共通電極2、3を孔7内に充填された有
機充填物の表面をも覆うように形成した場合において、
該共通電極が圧電振動子の駆動中にセグメント1と有機
充填物との境界部分において破断したとしても、該電極
は、他の部分において依然連続しているので、共通電極
として支障なく機能し得る。
【0052】圧電体セグメント1を作製するために圧電
体ブロック4に形成される貫通もしくは未貫通の孔7
は、直線状であっても曲線状であっても良い。また、孔
7が未貫通孔6の場合には、未貫通孔6の深さは圧電体
ブロック4の高さの約80%以上であることが好まし
い。このような深さを有する未貫通孔6によって互いに
区分された圧電体セグメント1は、貫通孔5によって区
分された圧電体セグメント1とほとんど同じ圧電特性、
例えば電気機械結合係数などを有することができるから
である。
【0053】さらに、孔7の幅は、孔の長さ方向に沿っ
て同じであっても良いし、孔の長さ方向に沿って単調に
増加もしくは減少する、または周期的に増加および減少
を繰返すなどの変化を伴うものであっても良い。孔7の
幅がこのように変化することにより、有機充填物と圧電
体セグメント1との間の密着性の向上、および周波数帯
域の拡大などの効果が得られる。
【0054】なお、図1には圧電体ブロックに形成する
孔7として貫通孔5と未貫通孔6との両者を設ける構成
を示したが、本発明においては、孔7は貫通孔5のみに
よって、または未貫通孔6のみによって構成することが
できる。
【0055】圧電体ブロック4上への孔7の配列の仕方
としては例えば次のような形態が挙げられる。第1の形
態としては、直線状の孔7が互いに実質的に平行にかつ
実質的に等間隔に配列される形態である。
【0056】第2の形態としては、直線状の孔7が互い
に実質的に平行にかつ異なる間隔を有して配列される形
態である。第2の形態においては、相隣る孔7の間の間
隔が孔7の配列方向に沿って周期的に変化する配列であ
っても良い。
【0057】第3の形態としては、直線状の孔7が互い
に平行とならないように配列される形態である。第4の
形態としては、同じ形状もしくは異なる形状の曲線状の
孔7が配列される形態である。
【0058】図2ないし図4に、圧電体ブロック4に形
成された上述の第1ないし第4の形態の孔7の例を示
す。図2(a)、図3(b)、および図4(b)は直方
体の外形を有する圧電体ブロック4に形成された孔7示
す概略斜視図であり、図2(b)、図2(a)、および
図3(a)は円柱体の外形を有する圧電体ブロック4に
形成された孔7を示す概略斜視図である図2(a)およ
び(b)は、上述の第1の形態の孔7の一例を示してい
る。すなわち、図2(a)および(b)において、圧電
体ブロック4に直線状の孔7が互いに実質的に平行にか
つ実質的に等間隔に配列されている。
【0059】図3(a)および(b)は、上述の第2の
形態の孔7の一例を示しており、直線状の孔7が互いに
実質的に平行にかつ異なる間隔を有して配列される模様
を示している。図3(a)においては相隣る孔7の間の
間隔が非周期的に変化しており、図2(b)においては
相隣る孔7の間の間隔が孔7の配列方向に沿って周期的
に変化している。
【0060】図3(a)は、上述の第3の形態の孔7の
一例を示しており、直線状の孔7が互いに平行とならな
いように配列される模様を示している。図3(b)は、
上述の第4の形態の孔7の一例を示しており、ほぼ同じ
形状の曲線状の孔7が配列されている。
【0061】以上、説明した第1〜第4の形態の貫通も
しくは未貫通の孔7は、後述するようにエッチング用の
反応性ガスのプラズマを用いて圧電体ブロック4をドラ
イエッチングすることによって形成される。エッチング
時の基板温度、ガス圧、誘導電力等のエッチング条件を
調整するなどして、例えば第1〜第4の形態で配列され
た孔7を圧電体ブロック4に形成することができる。
【0062】ドライエッチングによって、非常に幅の小
さい孔7を高密度に圧電体ブロック4に形成することが
できる。このような孔7によって微細な形状を有する圧
電体セグメント1を形成することができるため、微細な
形状を有する高分解能な圧電振動子を製造することがで
きる。
【0063】また、ドライエッチングを用いているた
め、有機充填物と接触する圧電体セグメント1の面には
切削屑や油分が付着しておらず清浄であり、その表面が
改質された状態となっている。圧電体セグメント1の面
が清浄で改質されているため、有機充填物との密着強度
が高い。圧電体セグメント1と有機充填物との密着強度
が高いために、最終的に製造される超音波トランスデュ
ーサーの耐久性が向上するとともに、圧電振動子の曲げ
に対する強度が向上して、凹面状をはじめとする複雑な
形状に圧電振動子を変形させることが可能となる。
【0064】本発明に係る圧電振動子においては、孔7
によって区分された複数の圧電体セグメント1は、厚み
(Thickness)振動モードで振動する圧電体セ
グメント1と、縦(Longitudinal)振動モ
ードで振動する圧電体セグメント1とを、それぞれ少な
くとも1つ有することが好ましい。
【0065】厚み振動モードとは、振動の周波数が圧電
体セグメント1の高さである厚みにより規定される振動
モードのことを指し、縦振動モードとは、振動の周波数
が圧電体セグメント1の幅により規定される振動モード
のことを指す。両振動モードは周波数定数が異なるた
め、それぞれの振動モードで振動する圧電体セグメント
1を少なくとも1つ有することで、圧電振動子は広い周
波数帯域で振動することが可能になる。このような圧電
振動子を使用した超音波トランスデューサにおいては周
波数帯域が広がり、またS/N比が向上する。その結
果、高深達度と高解像度を両立する事が可能になる。
【0066】このように圧電体セグメント1に2つの振
動モードを持たせるためには、例えば、それぞれのセグ
メント1の幅または高さを調整すれば良い。例えば、圧
電体としてPZT系の圧電セラミックスを用いた場合に
は、セグメント1の幅が高さの0.6倍程度以下の場合
にセグメント1は厚み振動モードで振動し、逆に幅が高
さの0.6倍程度以上の場合にセグメント1は縦振動モ
ードで振動する。
【0067】このように圧電体セグメント1の幅または
高さを調整するためには、前述の第2ないし第4の形態
の孔7によって圧電体セグメント1を形成すれば良い。
第2の形態では孔7の間隔が異なっており、また第3お
よび第4の形態では孔7同士が平行でない。従って、第
2ないし第4の形態の孔7の形状および配置を調整する
ことによって、厚み振動モードの圧電体セグメント1と
縦振動モードの圧電体セグメント1の両方を形成するこ
とができる。
【0068】また、本発明に係る圧電体セグメント1の
有機充填物と接触する側面には、以下のような特徴があ
ることが好ましい。 (1)圧電体セグメント1の側面に、テーパが設けられ
ている。
【0069】(2)圧電体セグメント1の側面は、平滑
ではなく起伏を有している。 (3)圧電体セグメント1の側面には、フッ化物が形成
されている。 このような特徴により、アンカー効果によって圧電体セ
グメント1と有機充填物との間の密着性が高まる。ま
た、圧電体セグメント1の高さ方向以外の振動モードが
抑制され、不要振動が低減する。不要振動が低減するた
め、このような圧電体セグメント1を用いた超音波トラ
ンスデューサーにおいて、S/N比が向上し、高分解能
化が達成される。
【0070】圧電体セグメント1の側面にテーパを設け
るためには、例えば後述するように、ICP法によるド
ライエッチングによって圧電体ブロック4をエッチング
加工する。
【0071】また、圧電体セグメント1の側面を平滑で
はなく起伏のある面にするためには、例えば後述するよ
うに、ディープRIE法によるドライエッチングによっ
て圧電体ブロック4をエッチング加工する。
【0072】また、圧電体セグメント1の側面にフッ化
物を形成するためには、後述するように、反応性ガスと
してフッ化物を用いたドライエッチングにより、圧電体
ブロック4をエッチング加工する。このようなエッチン
グによって形成された孔7の側面、すなわち、この孔7
によって区分される圧電体セグメント1の側面に、フッ
化物を形成することができる。
【0073】図5に、一例として、貫通孔5によって区
分された圧電体セグメント1の側面に形成されたフッ化
物8を模式的に示す概略断面図を示す。フッ化物8は、
圧電体セグメント1の側面に密着して形成されており、
圧電体セグメント1の側面に起伏を起こしている。フッ
化物8は、例えば網の目状にまたは点在した状態で不均
一に形成されており、大きさ、厚みは一定していない。
【0074】フッ化物8の大きさ、厚みなどは、例えば
走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて測定すること
ができる。フッ化物8の組成は、例えばSEM・EDX
(走査型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光)など
を用いて、測定することができる。
【0075】フッ化物8の組成としては、フッ化鉛(P
bFx )(Xは組成比)や、フッ化ジルコニウム(Zr
Fx )、フッ化イットリウム(YFx )などが挙げ
られる。
【0076】フッ化物8の大きさ、厚み、組成等は、後
述するように、圧電体セグメント1を製造するときのエ
ッチング条件によって調整できる。図1に示した圧電振
動子10に前述の音響整合層および背面負荷材を接合す
ることによって、超音波トランスデューサー素子が得ら
れる。
【0077】図6に本発明に係る超音波トランスデュー
サーの例を示す概略斜視図を示す。図6(a)は一例と
して円柱体の外形を有するメカスキャン方式の超音波ト
ランスデューサーを示す概略斜視図であり、図6(b)
は一例として直方体の外形を有するメカスキャン方式の
超音波トランスデューサーを示す概略斜視図である。図
6(c)は一例として直線状に配列された複数の超音波
トランスデューサー素子からなる電子スキャン型超音波
トランスデューサーを示す概略斜視図であり、特に背面
負荷材が共通となっているタイプのものを示す図であ
る。
【0078】図6において、メカスキャン方式の超音波
トランスデューサーを構成する超音波トランスデューサ
ー素子単体20および30、ならびに電子スキャン型超
音波トランスデューサー50を構成する各超音波トラン
スデューサー素子40は、次のような構造を有してい
る。
【0079】すなわち、圧電振動子10の例えば音響放
射面側にある共通電極2に音響整合層9が、また圧電振
動子10の例えば背面側にある共通電極3に背面負荷材
11が接合されて、全体として一体化されている。圧電
振動子10は上述の共通電極2、3の間に圧電体ブロッ
ク4を有し、この圧電体ブロック4は前述したように複
数の圧電体セグメントに区分されている。なお、図6に
示した超音波トランスデューサー素子30、40におい
ては、共通電極2、3への配線が容易となるように、共
通電極2、3は圧電体ブロック4の側面にも形成されて
いる。
【0080】音響放射面側の電極2には、GND(グラ
ンド)リード線12が半田もしくは導電性樹脂により結
線されている。背面側の電極3には、外部からの信号用
リード線13が半田もしくは導電性樹脂により結線され
ている。
【0081】なお、図6(a)、(b)に示した超音波
トランスデューサー素子単体20、30は、円柱体もし
くは直方体の圧電振動子10に一層の音響整合層9と一
層の背面制動材11が接合された構造となっているが、
本発明は他の構造の超音波トランスデューサー素子単体
についても適用される。例えば、圧電振動子10が円筒
殻状もしくは球殻状などの曲面形状を有する構造や、圧
電振動子10に多層の音響整合層9もしくは背面制動材
11が接合された構造や、音響レンズをさらに備えた構
造を有する超音波トランスデューサー素子単体について
も適用できる。
【0082】また、図6(c)に示した電子スキャン型
超音波トランスデューサ50においては、超音波トラン
スデューサー素子40が直線的に平面状に配列され、背
面制動材11が共通となっており、音響整合層9が互い
に分離された構造となっているが、本発明は他の構造の
電子スキャン型超音波トランスデューサーについても適
用される。例えば、超音波トランスデューサー素子40
が筒面もしくは部分筒面などの曲面上に配置されている
構造や、音響整合層9が部分的に接続されている構造な
どの電子スキャン型超音波トランスデューサーについて
も適用できる。
【0083】<本発明に係る超音波トランスデューサー
の製造方法>次に、本発明に係る超音波トランスデュー
サーの製造方法について説明する。本発明に係る超音波
トランスデューサーの製造方法には、(1)圧電振動子
を製造する段階、(2)圧電振動子を用いて超音波トラ
ンスデューサーを製造する段階が含まれる。
【0084】また、(1)圧電振動子を製造する段階に
は、(A)圧電体ブロックを作製する工程、(B)圧電
体ブロックにマスクを形成する工程、(C)圧電体ブロ
ックをエッチング加工する工程、(D)有機充填物を充
填する工程が含まれる。
【0085】図7ないし図9を参照して、各段階、およ
び各工程について、以下説明する。 (1)圧電振動子を製造する段階 (A)圧電体ブロックを作製する工程、 図7(a)に示すように、まず、圧電体ブロック4、つ
まりバルクの圧電体を作製して用意する。
【0086】圧電体ブロック4を形成する材料として
は、例えばセラミックスなどが挙げられる。セラミック
スとしては、圧電性が得られるセラミックスであれば特
に限定されない。圧電性が得られるセラミックスとして
は、前述したように、例えばPZT系セラミックス、P
ZN−PT系セラミックス、PMN−PT系セラミック
スなどが挙げられる。
【0087】圧電体ブロック4の作製は、例えば、上述
のセラミックス材料の粉体を焼成するか、またはセラミ
ックス材料の固溶体単結晶のような単結晶を研削または
切出すなどして行う。前述したように、焼成したものよ
りも単結晶から研削または切り出したものの方が好まし
い。
【0088】焼成による圧電体ブロック4の作製には、
当該技術分野において良く知られた方法を用いることが
できる。例えば、上述のセラミック材料の粉体を所望の
組成で混合し、混合した粉体を仮焼したのち粉砕し、粉
砕したものを成形性を向上させるためのバインダーと混
ぜたのち整粒し、整粒したものをプレスしてセラミック
スのペレットを作製する。このペレットを600℃程度
で加熱して、含有されている有機物を除去したのち、1
200℃程度のもとでホットプレスして焼結して焼成体
を得る。この焼成体を、スライサー、平面研削盤、そし
て必要に応じて両面ラップ盤などを用いて成形して、圧
電体ブロック4を作製する。
【0089】なお、圧電体ブロック4として単結晶を用
いるときには、単結晶の結晶方位を考慮して圧電体ブロ
ック4を作製する。例えば、単結晶の<111>などの
圧電特性が最も良い結晶方位が圧電体の長手軸となるよ
うに、単結晶を研削または切り出して圧電体ブロック4
とする。
【0090】なお、圧電体ブロック4の寸法としては、
例えばPZT系の材料から形成した圧電体ブロック4の
場合に、厚みが約100μmである等である。 (B)圧電体ブロックにマスクを形成する工程 圧電体ブロック4をエッチングするためのマスクを、圧
電体ブロック4に形成する。このマスクに従って圧電体
ブロック4をエッチングして孔7を形成し、圧電体ブロ
ック4を複数の圧電体セグメント1に区分する。
【0091】マスクの材料としては、エッチングの選択
比(エッチングレート)が圧電体ブロック4を形成する
材料と比較して低いものであればよく、特に限定されな
い。また、マスクの形成方法も特に限定されない。
【0092】マスクの材料としては、例えば、金属材
料、化合物材料などが挙げられる。金属材料としては、
ニッケル(Ni)などが挙げられる。化合物材料として
は、有機物材料、無機物材料などが挙げられる。有機物
材料としてはフォトレジスト樹脂等の樹脂などが挙げら
れ、無機物材料としては酸化珪素(SiO2)、窒化珪
素(Si34)などが挙げられる。
【0093】マスクの形成は、上述の材料からなる膜を
圧電体ブロック4表面に形成することによって行う。膜
の形成方法としては、例えば、塗布法、CVD法、電界
メッキ法、スパッタリング法などが挙げられる。例えば
フォトレジスト樹脂などの樹脂からなる膜は、塗布法に
よって形成することができる。また、例えば酸化珪素ま
たは窒化珪素などの膜は、CVD法によって形成するこ
とができる。また、例えばニッケルなどの金属材料から
なる膜は、電界メッキ法もしくはスパッタリング法によ
って形成することができる。
【0094】また、本工程においては、上述のようにし
てマスクを形成する際に、圧電体ブロック4の前面、す
なわちマスクを形成する面、およびこの面と対向する背
面のそれぞれ全面に、共通電極用の導電材料の層を形成
する。このようにして前面に形成された前面導電層2
は、例えば圧電体セグメント1の第1の共通電極に対応
し、背面に形成された前面導電層2は、例えば第2の共
通電極に対応する。
【0095】なお、背面導電層3の導電材料は、エッチ
ングの選択比(エッチングレート)が圧電体ブロック4
の材料の選択比よりも低い材料である方が好ましい。背
面導電層3の選択比が圧電体ブロック4のそれよりも低
いことで、後述するように、背面導電層3によってエッ
チングの終点を定めることが可能となる。
【0096】以下、図7(b)から(f)を参照して、
本工程を実施する一例について説明する。図7(b)に
示すように、まず、圧電体ブロック4の前面および背面
に、スパッタリングなどによりクロム(Cr)そして金
(Au)を成膜して、Cr/Auからなる前面導電層2
および背面導電層3を形成する。
【0097】図7(c)に示すように、前面導電層3上
に樹脂性のフォトレジスト21を塗布する。図7(d)
に示すように、圧電体ブロック4に形成する孔7の位置
と形状に対応した窓が開いているパターンを、レジスト
層21に露光する。露光したレジスト層21を現像し
て、パターニングされたレジスト層22を前面導電層2
上に形成する。
【0098】図7(e)に示すように、前面導電層2お
よびレジスト層22が形成された圧電体ブロック4をニ
ッケルイオン溶液中に浸漬しながら前面導電層2に負の
電圧を印加して電解ニッケルメッキを行い、レジスト層
22の開口部に露出する前面導電層2上にニッケル膜2
3を形成する。電解ニッケルメッキを用いることによっ
て、膜厚の大きいニッケル膜23を比較的短い時間で形
成することができる。ニッケル膜23は、圧電体セグメ
ント1に対応した部分に形成される。
【0099】図7(f)に示すように、レジスト層22
を溶剤で除去することにより、パターニングされたニッ
ケル膜24が前面導電層2上に形成される。このニッケ
ル膜24は、孔7に対応して窓が開いたパターンを有し
ており、圧電体ブロック4をエッチングするためのマス
クとなる。また、ニッケル膜24は、前面導電層2とと
もに圧電体セグメント1に形成される電極の一部ともな
る。
【0100】(C)圧電体ブロックをエッチング加工す
る工程 工程(B)において形成されたマスクのパターンに従っ
て、圧電体ブロック4をエッチング加工する。エッチン
グ加工により前面導電層2を貫通して圧電体ブロック4
内へと続く孔7を形成して、圧電体セグメント1を作製
する。
【0101】エッチングは、エッチングにより形成され
る孔7が圧電体ブロック4を貫通する前に終了しても良
いし、該孔7がブロック4を貫通するまで行なっても良
い。孔7が圧電体ブロック4を貫通しない場合には、前
述したように、未貫通孔6の深さは圧電体ブロック4の
高さの約80%以上であることが好ましい。
【0102】また、孔7が圧電体ブロック4を貫通する
までエッチングを行う場合には、孔7がさらに背面導電
層3を貫通するまでエッチングを行なっても良いし、孔
7が背面導電層3に到達したところでエッチングを終了
する、つまり前述したように背面導電層3を終点として
エッチングを行なっても良い。
【0103】本工程におけるエッチングは、例えばレー
ザーアシストエッチング等のウェットエッチング、また
は反応性ガスのプラズマを用いたドライエッチング等に
より行う。エッチングは一度だけでなく繰り返して行っ
ても良い。
【0104】レーザーアシストエッチングは、圧電体ブ
ロック4を例えば水酸化カリウム(KOH)などのエッ
チング溶液に浸漬した状態で、この圧電体ブロック4に
例えばYAGレーザーなどを用いてレーザー照射するこ
とで照射部分をエッチングするものである。なお、本エ
ッチング法を用いる場合には、前述したような圧電体ブ
ロック4へのマスクの形成は行わなくても良い。
【0105】反応性ガスのプラズマを用いたドライエッ
チングは、反応性ガスのラジカルを生成してこのラジカ
ルによってエッチングを行うものである。ラジカルを用
いるエッチング技術は、シリコンプロセスの分野におい
て良く知られている技術である。
【0106】ラジカルを生成するための反応性ガスとし
ては、六フッ化硫黄(SF6)、四フッ化炭素(CF
4 )などのフッ化物を用いる。CF4 よりもSF6の方
が好ましい。それは、SF6の方がエッチングレートが
高いからである。
【0107】本発明においては、 前述したように、反応
性ガスとしてフッ化物を用いて圧電体ブロック4をエッ
チングすることで、エッチングにより形成された孔7の
側面、すなわち、この孔7によって区分された圧電体セ
グメント1の側面に、フッ化物8を形成することができ
る。フッ化物8の大きさ、厚み、組成などの形成状態
は、エッチング時の基板温度、ガス圧などのエッチング
条件によって調整することが可能である。
【0108】本発明におけるエッチング加工工程におい
ては、上述の反応性ガスを用いたドライエッチング方法
として、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法、
ICP(誘導結合プラズマ)エッチング法、ディープR
IE法などが挙げられる。
【0109】RIE法は、反応性ガスのラジカルおよび
中性活性種の両方を用いる方法である。ICP法は、高
周波誘導磁場により生じる誘導電界によって電子を加速
し、この加速された電子によって生成された反応性ガス
のプラズマを用いるエッチング方法である。ディープR
IE法は、圧電体ブロック4に対して反応性イオンエッ
チングとマスキングを繰り返すものである。ディープR
IE法において、エッチング条件およびマスキング条件
を調整することにより、側面に起伏のあるアスペクト比
の大きい孔7を形成することができる。
【0110】以下、それぞれのエッチング方法について
説明する。 (i)RIE法によるエッチング まず、RIE法によるエッチングについて説明する。
【0111】図7(g)〜(h)に示したように、マス
クに従ってRIE法によるエッチングを行うことで、圧
電体ブロック4に、例えば側面が深さ方向に平行である
孔7を形成する。エッチング時の基板温度、ガス圧など
のエッチング条件を調整することで、いろいろな形状の
側面を有する孔7を形成することができる。
【0112】(ii)ICP法によるエッチング 図8(a)〜(b)を参照して、ICP法によるエッチ
ングについて説明する。
【0113】図8(a)〜(b)の工程は、前述した図
7(a)〜(f)の工程のあとに、図7(g)〜(h)
のRIE法によるエッチング工程の代わりに行うICP
法によるエッチング工程を示すものである。
【0114】マスクに従ってICP法によるエッチング
を行うことで、エッチング条件を調整して圧電体ブロッ
ク4に例えば側面がテーパを有する孔7を形成すること
ができる。
【0115】エッチング条件としては、例えば、反応性
ガスとしてSF6 ガスを使用し、自己バイアスを−40
0V、ガス圧を10mTorr、エッチング時の圧電体
ブロック4の温度を−50℃とする。また、エッチング
は磁場をかけながら行う。
【0116】また、マスクの形状としては、例えば圧電
体ブロック4がPZT系材料から形成された厚みが約1
00μmのものであるときに、約20μm幅の線状の窓
が開口されたものなどである。
【0117】エッチング時の誘導電力などのエッチング
条件を調整することにより、図8(a)に示すように、
例えば、孔7の長さ方向に沿った2つの傾斜した側面2
4および25が、底部において衝突して一つの辺26を
形成するような孔7を、圧電体ブロック4に形成するこ
とができる。すなわち、この孔7の長さ方向に垂直な断
面は、頂点を下にする三角形となっている。
【0118】さらにエッチング条件を調整することによ
り、図8(b)に示すように、例えば底部において形成
された辺26からまっすぐ下方に非常に狭い隙間27、
例えば数10nmから数μmの幅で約50μmの長さの
隙間27を形成することができる。
【0119】このように狭い隙間27を底部に有する孔
7を形成することによって、複数の圧電体セグメント1
を非常に狭い隙間27で互いに区分することができる。
なお、このような形状の孔7を形成したときには、後述
の有機充填物の充填の工程の際に、数μm以下の隙間2
7には入らない程度に高い粘性を有する有機充填物、例
えば樹脂などを充填する。こうして、この非常に狭い隙
間27には、有機充填物が充填されず、空気のみが存在
する。こうして、この狭い隙間27によって区分された
圧電体セグメント1は、有機充填物ではなく空気を介し
て数μmの間隔で高密度に隣接して振動絶縁されること
になる。このような圧電体セグメント1を有する圧電振
動子10を用いた超音波トランスデューサーにおいて
は、高いS/N比と高い送受信効率とが実現される。
【0120】(iii)ディープRIE法によるエッチ
ング 次に、図9を参照して、ディープRIE法によるエッチ
ングについて説明する。
【0121】図9(a)〜(e)の工程は、前述した図
7(a)〜(f)の工程のあとに、図7(g)〜(h)
のRIE法によるエッチング工程の代わりに行う、ディ
ープRIE法によるエッチング工程を示すものである。
【0122】ディープRIE法を用いる場合には、前述
したエッチング用の反応性ガスの他に、マスキング用の
膜の生成に用いるイオンを生成するためのガスも用い
る。このようなガスとしては、例えばC4 F8 である。
【0123】図9(a)に示すように、まずエッチング
用の反応性ガスを用いた反応性イオンエッチングを行っ
て孔7を形成する。次に、図9(b)に示すように、マ
スキング用の膜を生成するためのガスのプラズマを用い
て、エッチングにより形成された孔7を含む試料の表面
にマスキング用の膜28を形成する。
【0124】次に、図9(c)に示すように、膜28の
上から再び反応性イオンエッチングを行う。反応性イオ
ンエッチングにより、ニッケル膜23の上面および孔7
の底面はエッチングされるが、エッチングレートの低い
孔7の側面はマスキング用の膜28によって保護されて
いるためエッチングされない。このように、孔7の側面
がエッチングされず底面のみがエッチングされること
で、孔の深さが増加する。
【0125】図9(a)〜(c)に示したエッチングお
よびマスキングを、それぞれの条件を調整しながら繰り
返す。工程を繰り返す間隔としては、例えば数秒から数
分である。
【0126】このように工程を繰り返したのちにマスキ
ング用の膜28を除去することで、図9(d)〜(e)
に示したように、アスペクト比の大きい孔7を形成する
ことができる。
【0127】また、エッチングおよびマスキングの工程
を、それぞれの条件を調整しながら繰り返すことによ
り、孔7の側面に起伏を設けることができる。孔7の側
面に起伏を設けることで、起伏のある側面を有する圧電
体セグメント1が形成される。
【0128】(D)有機充填物を充填する工程 工程(C)においてエッチングにより形成された孔7
に、少なくとも部分的に有機充填物を充填する。有機充
填物としては、前述したように、圧電体セグメント1と
の密着強度の高い有機充填物であれば特に限定されない
が、柔軟性のある有機充填物が好ましい。
【0129】有機充填物の充填の仕方としては、エッチ
ングによって孔7が形成された圧電体ブロック4を密閉
容器の中に置いて、この容器内を真空引きしながら容器
に別に設けた注入口から有機充填物を注入して、孔7内
部に有機充填物を充填する方法などが挙げられる。
【0130】有機充填物を充填したのち、この有機充填
物を固化させる。固化させる方法としては、例えば有機
充填物が熱硬化性樹脂の場合には加熱により硬化させる
などが挙げられる。
【0131】有機充填物を固化したのちに、導電層2、
3に電圧を印加して圧電体セグメント1に圧電性を付与
し、外形を直方体または円柱体などに加工することによ
って、図1に示したような圧電振動子10が得られる。
【0132】なお、有機充填物を固化したのちに、圧電
体セグメント1の導電層2および3ならびにこれら導電
層の開口部に露出する有機充填物を覆うように、圧電体
ブロック4の全面に導電材料からなる保護膜を形成して
もよい。このような保護膜を全面に形成することによ
り、圧電体セグメント1、および圧電体セグメント1上
の導電層2、3から形成される第1および第2の共通電
極が、圧電振動子10の駆動中に破損すること、またこ
れら共通電極が大気との接触によって酸化することなど
を防ぐことができる。なお、圧電振動子10の駆動中に
圧電体セグメント1が破損するのは、主に該セグメント
1がエッチング中にダメージを受けることによる。
【0133】また、以上説明した圧電振動子の製造段階
においては、工程(B)のマスクを形成する工程におい
て圧電体ブロック4の前面および背面にあらかじめ導電
層2、3を形成したが、その代わりに、これらの導電層
を工程(B)において形成せずに、工程(D)において
有機充填物を充填したのちに形成しても良い。 (2)圧電振動子を用いて超音波トランスデューサーを
製造する段階 上述のようにして作製した圧電振動子10に、音響整合
層9および背面負荷材11を接合して一体化する。一体
化したものに配線することによって、図6(a)もしく
は(b)に示したメカスキャン方式の超音波トランスデ
ューサーを構成する超音波トランスデューサー素子単体
20もしくは30、または、図6(c)に示した電子ス
キャン型超音波トランスデューサー50を構成する超音
波トランスデューサー素子40を作製する。
【0134】配線は、1つの超音波トランスデューサー
素子単体20もしくは30、または各超音波トランスデ
ューサー素子40に対して、GNDリード線12および
信号用リード線13をそれぞれ1本だけ配線するだけで
良い。これらの配線だけで、圧電振動子10の有する全
ての圧電体セグメント1への配線が完了する。
【0135】以上、本発明に係る実施形態に基づいて説
明してきたが、本明細書には以下の発明が含まれる。プ
ラズマを用いたエッチング時に使用するマスク材が導電
材料からなり、該マスクが圧電振動子10の電極を兼ね
ることを特徴とする超音波トランスデューサおよびその
製造方法。
【0136】圧電体ブロック4もしくは圧電体セグメン
ト1が圧電単結晶からなることを特徴とする超音波トラ
ンスデューサーおよびその製造方法。圧電体ブロック4
もしくは圧電体セグメント1がリラクサー系強誘電体か
らなることを特徴とする超音波トランスデューサーおよ
びその製造方法。ここで、リラクサー系強誘電体とは、
一般的に鉛(Pb)を含むペロブスカイト化合物、すな
わちPb(B’B”)O3 の組成式(ここで、B’はマ
ンガン(Mg)や亜鉛(Zn)などの2価または3価の
陽イオンであり、B”はニオブ(Nb)やタングステン
(W)などの5価または6価の陽イオンである)を有す
る材料である。リラクサー系強誘電体は、PZT系材料
よりも電気機械結合係数が大きく、圧電体として用いた
ときに複合圧電振動子の圧電特性が向上する。
【0137】圧電振動子10の製造段階において、エッ
チングの途中で圧電体ブロック4をエッチング反応容器
から取り出し、この圧電体ブロック4に再度マスクを形
成したのちエッチング反応容器へ戻して、再びエッチン
グを行うことを特徴とする超音波トランスデューサーの
製造方法。圧電振動子10の製造段階において、エッチ
ングを繰り返して行うことを特徴とする超音波トランス
デューサーの製造方法。
【0138】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明に係る超
音波トランスデューサーによって、圧電振動子への配線
が容易であり、駆動中の圧電振動子内の電極の断線を低
減することが可能な超音波トランスデューサーが提供さ
れる。また、本発明に係る超音波トランスデューサーの
製造方法によって、上述のような超音波トランスデュー
サを製造することが可能となる。その結果、超音波トラ
ンスデューサーの信頼性および耐久性が向上する等の効
果を奏する。ーを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電振動子の一例を示す概略斜視
図および概略断面図。
【図2】本発明に係る圧電体ブロックに形成された線状
の孔の形態の一例を示す概略斜視図。
【図3】本発明に係る圧電体ブロックに形成された線状
の孔の形態の一例を示す概略斜視図。
【図4】本発明に係る圧電体ブロックに形成された線状
の孔の形態の一例を示す概略斜視図。
【図5】本発明に係る側面にフッ化物が形成された圧電
体セグメントの一例を示す概略断面図。
【図6】本発明に係る超音波トランスデューサーの一例
を示す概略斜視図。
【図7】本発明に係る圧電振動子の製造方法の一例を示
す概略断面図。
【図8】本発明に係る圧電振動子の製造方法の他の例を
示す概略断面図。
【図9】本発明に係る圧電振動子の製造方法の他の例を
示す概略断面図。
【符号の説明】
1…圧電体セグメント 2、3…共通電極 4…圧電体ブロック 5…貫通孔 6…未貫通孔 7…孔 8…フッ化物 9…音響整合層 10…圧電振動子 11…背面負荷材 12、13…リード線 20、30、40…超音波トランスデューサー素子 21、22…フォトレジスト 23、24…ニッケル膜 28…マスキング用の膜 40…超音波トランスデューサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若林 勝裕 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 王 詩男 宮城県仙台市青葉区八幡三丁目12番8号 (72)発明者 江刺 正喜 宮城県仙台市太白区八木山南1−11−9 Fターム(参考) 2G047 AC13 CA01 DB02 DB03 EA11 EA21 GB11 GB21 GB23 GB28 GB32 GH07 4C301 AA01 EE12 EE13 GB03 GB04 GB14 GB18 GB19 GB20 GB22 GB33 GB34 GB36 GB37 GB38 5D019 AA06 AA19 AA26 BB02 BB09 BB18 BB25 BB28 BB30 FF03 GG01 GG06 GG12 HH02 HH03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電振動子、音響整合層、および背面負
    荷材を備えた超音波トランスデューサーであって、 該圧電振動子は、 一方の表面から形成された少なくとも1つの細長い貫通
    もしくは未貫通の孔によって、該一方の表面およびこの
    表面に対向する他方の表面において互いに連続する複数
    の圧電体セグメントに区分された圧電体ブロックと、 該孔を少なくとも部分的に充填する有機充填物と、 該複数の圧電体セグメントの連続する該一方および他方
    の表面にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の
    電極とを含むことを特徴とする超音波トランスデューサ
    ー。
  2. 【請求項2】 それぞれ圧電振動子、音響整合層、およ
    び背面負荷材を備えた複数の超音波トランスデューサー
    素子からなる超音波トランスデューサーであって、 各超音波トランスデューサー素子の有する該圧電振動子
    は、 一方の表面から形成された少なくとも1つの細長い貫通
    もしくは未貫通の孔によって、該一方の表面およびこの
    表面に対向する他方の表面において互いに連続する複数
    の圧電体セグメントに区分された圧電体ブロックと、 該孔を少なくとも部分的に充填する有機充填物と、 該複数の圧電体セグメントの連続する該一方および他方
    の表面にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の
    電極とを含むことを特徴とする超音波トランスデューサ
    ー。
  3. 【請求項3】 該複数の圧電体セグメントは、厚さ振動
    モードで振動する少なくとも1つの圧電体セグメントお
    よび縦振動モードで振動する少なくとも1つの圧電体セ
    グメントからなることを特徴とする請求項1または2記
    載の超音波トランスデューサー。
  4. 【請求項4】 圧電振動子を製造する段階、製造した圧
    電振動子に音響整合層および背面負荷材を接合する段階
    を備えた超音波トランスデューサーの製造方法であっ
    て、 該圧電振動子の製造段階は、(a)圧電体ブロックの一
    方の表面およびこの表面に対向する他方の表面のそれぞ
    れ全面に、電極用の導電材料の層を設ける工程と、
    (b)圧電体ブロックを該一方の表面および他方の表面
    において互いに連続する複数の圧電体セグメントに区分
    するために、反応ガスとしてフッ化物を用いた反応性イ
    オンエッチング法により、該一方の表面の導電材料の層
    を貫き圧電体ブロック内において貫通もしくは未貫通の
    少なくとも一つの細長い孔を形成する工程と、(c)該
    孔に有機充填物を少なくとも部分的に充填する工程とを
    含むことを特徴とする方法。
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