JP2000045147A - 強化織物 - Google Patents

強化織物

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JP2000045147A
JP2000045147A JP10213123A JP21312398A JP2000045147A JP 2000045147 A JP2000045147 A JP 2000045147A JP 10213123 A JP10213123 A JP 10213123A JP 21312398 A JP21312398 A JP 21312398A JP 2000045147 A JP2000045147 A JP 2000045147A
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Yasuhiro Hino
安弘 檜野
Masayuki Okamoto
雅行 岡本
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Boo & Arrow Kk
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 綾織り組織の織製品を対象とし表面の織り組
織の模様が維持された状態で補強された強化織物を提供
する。 【解決手段】 強化織物1は、綾織りの織り組織を備え
た基礎織製品2と、この基礎織製品2の裏面側に表面側
の織り組織模様に変化を与えない状態で所定織りピッチ
により製織された複数本の強化用繊維5とから構成され
ている。強化用繊維5が経糸として製織されている。強
化用繊維5としてアラミド繊維が採用されている。強化
用繊維5は、複数本の緯糸4に沈んで1本の緯糸4に浮
いた状態で基礎織製品2に製織されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の織り組織の
組織模様に変化を与えることなく強化された強化織物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、綾織り組織の織製品が知られてい
る。綾織り組織は、緯糸が所定本数の経糸の下を潜って
1本の経糸の上に浮き、これが繰り返えされることによ
って製織されてなる織製品である。隣接する緯糸同士
は、浮上り位置が経糸に対して左右で1本ずれるように
設定されている。従って、経糸の浮上り部分が直線状に
なった緯糸の浮上り部分を境にして斜めに走り、これに
よって織製品が綾模様になっていることから綾織り組織
といわれる所以である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な綾織り組織の織製品にあっては、緯糸は点が連続した
状態での線状でしか表面に露出していないのに対し、経
糸は所定の幅寸法で緯糸間に帯状に表面に露出している
ことから、かかる綾織り組織の織製品からなる衣類を着
用すると、表面への露出面積の大きい経糸部分が擦過に
よって損傷し易く、これにより衣類の表面が擦り切れた
状態になって着用に耐えなくなるという問題点を有して
いる。
【0004】このような問題点を解消するために、ミシ
ン掛けによる補強縫いを行って織製品を強化することが
試みられることもあるが、このようにすると織製品の表
面側にミシン目が走り、表面の独特の織り組織模様が損
なわれるとともに、補強縫いのために加工コストが嵩む
という新たな問題点が提起される。
【0005】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、綾織り組織の織製品を対象
とし、表面の織り組織の模様が維持された状態で補強さ
れた強化織物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
強化織物は、綾織りの織り組織を備えた基礎織製品の裏
面側に、表面側の織り組織模様に変化を与えない状態で
所定織りピッチにより複数本の強化用繊維を織り込んで
なることを特徴とするものである。
【0007】この強化織物によれば、綾織りで製織され
た基礎織製品の織り組織模様が表面側で維持されつつ裏
面側に強化用繊維が製織されることによって強化織物が
形成されているため、強化織物は、外観視で通常の綾織
りの風合いが損なわれない状態になっていながら、全体
的に補強された丈夫なものになっている。
【0008】そして、綾織りの織製品は、緯糸に比べて
経糸の表面露出の割合が多いことから、綾織り織製品で
形成された衣類は、着用時の擦過で経糸部分が損傷し易
く、この損傷で緯糸はその多くが表面に露出するように
なるとともに、経糸との絡みで維持されていた強度を保
持し得なくなり、これによって衣類が破損するという不
都合を有するが、このような綾織り組織の基礎織製品に
強化用繊維が裏面側に製織されることにより経糸が擦り
切れても、強化用繊維による補強によって緯糸の損傷が
防止される。従って、衣類の生地の経糸が擦り切れて
も、衣類は原形を留めることが可能であり、耐用期間が
延長される。
【0009】また、経糸が擦り切れた状態で、強化用繊
維の延びる方向に直交するように衣類にミシン掛けを施
せば、ミシン糸によって複数列の強化用繊維が互いに縫
着された状態になるため、従来のように衣類の擦り切れ
部分に当て布を行う必要がなくなり、その分衣類補修時
の材料コストが軽減されるとともに、当て布によって衣
類の着心地が悪くなるような不都合が確実に回避され
る。
【0010】かかる強化織物は、修理しながら着用する
ことによって愛着が増し、かつ、商品としても付加価値
が増大するジーンズ用の生地に適している。
【0011】本発明の請求項2記載の強化織物は、請求
項1記載の強化織物において、上記強化用繊維が経糸と
して製織されてなるものである。
【0012】この強化織物によれば、基礎織製品の経糸
が擦り切れると所定ピッチでこの経糸間に製織された補
強用繊維からなる経糸が緯糸との絡みで製織状態を維持
するとともに、この強靱な経糸が外部に露出するため、
これ以上の経糸の損傷は阻止されるとともに、この補強
繊維によって緯糸の切断も有効に防止される。
【0013】また、補強用繊維を経糸として基礎織製品
に適用したことにより、製織工程における製織処理が容
易になる。
【0014】本発明の請求項3記載の強化織物は、請求
項1または2記載の強化織物において、上記強化用繊維
としてアラミド繊維が採用されてなるものである。
【0015】この強化織物によれば、アラミド繊維は軽
量かつ強靱な繊維であり、かかる繊維を強化用繊維とし
て使用されることにより、強化織物は全体的に強靱なも
のになる。また、アラミド繊維は、日光に暴露されると
日光の光成分中の紫外線の照射を受けて速やかに劣化
し、引張り強度が著しく低下するというマイナスの特性
を有しているが、強化織物は、基礎織製品の裏面側に強
化用繊維が製織されているため、日光に直接暴露される
ことはなく、紫外線に起因した強度の低下が起こらな
い。
【0016】本発明の請求項4記載の強化織物は、請求
項1乃至3のいずれかに記載の強化織物において、上記
強化用繊維は、複数本の緯糸に沈んで1本の緯糸に浮い
た状態で上記基礎織製品に製織されてなるものである。
【0017】この強化織物によれば、強化用繊維は、緯
糸に浮いた部分が点状で基礎織製品の表面に位置するだ
けであることから、この点状の強化用繊維の浮いた部分
は、強化織物が織り上がった時点では、周りの経糸およ
び緯糸によって覆い被せられ、これによって強化織物の
表面から目視できない状態になり、強化用繊維は、基礎
織製品の綾織り組織の組織模様に変化を与えることなく
基礎織製品に付与されるとともに、強化用繊維に対する
紫外線の直接照射が回避される。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本発明に係る強化
織物の織り組織の一実施形態を示す部分拡大斜視図であ
り、図1は表面側を示し、見易くするために経糸間およ
び緯糸間を広げた状態にしている。また、図2も表面側
を示し、隣接する経糸同士を当接させた状態にしてい
る。また、図3は、隣接する経糸同士を当接させた状態
の裏面側を示している。さらに、図4および図5は、図
1の強化織物の組織図であり、図4は表面側、図5は裏
面側をそれぞれ示している。なお、これらの図におい
て、経糸3は点描で、緯糸4は白抜きで、強化用繊維5
は黒塗りでそれぞれ示している。
【0019】まず、図1に示すように、強化織物1は、
通常の繊維からなる経糸3および緯糸4が綾織り組織に
なるように製織されてなる基礎織製品2と、この基礎織
製品2の裏面側に経糸3に平行に所定ピッチで製織され
た複数本の強化用繊維5とからなる基本構成を有してい
る。
【0020】本実施形態においては、上記基礎織製品2
は、経糸3の1本が緯糸4の3本に浮いて1本に沈み、
これが経糸方向に繰り返されているとともに、緯糸4の
1本が経糸3の3本に沈んだ1本に浮き、これが緯糸4
方向に繰り返されるように製織されて形成されている。
そして、緯糸4が1本の経糸3に浮いた緯糸浮上部41
は、右隣の経糸3に右上がりで1つずつずらされてお
り、これによって基礎織製品2の表面側には緯糸浮上部
41が右上がりに斜めに連設された状態になっている。
また、経糸3が緯糸4に浮いた経糸浮上部31は、上記
緯糸浮上部41の斜行列間に形成され、連設された経糸
浮上部31によって、図2および図4に示すように、斜
めに延びる帯状体が形成されている。
【0021】このような基礎織製品2において、強化用
繊維5が、図3および図5に示すように、裏面側に配さ
れて本発明に係る強化織物1が形成されている。本実施
形態においては、上記強化用繊維5は、経糸3の4本毎
に配されている。具体的には、強化用繊維5は、3本の
緯糸4に沈んで1本の緯糸4に浮き、これが繰り返され
ることによって基礎織製品2と一体に製織されている。
かかる強化用繊維5は、所定の織機において、経糸3の
原料ロールとは別に設けられた強化用繊維5専用のロー
ルから引き出されて専用の綜絖に係架され、他の経糸3
用の綜絖との同期連動によって基礎織製品2の製織時に
同時に製織されるようになっている。なお、経糸3の原
料と強化用繊維5とを同じロールに巻くこともある。
【0022】従って、強化織物1は、その裏面側に、図
3および図5に示すように、縫い目状の強化用繊維5を
複数本備えた状態になっているとともに、表面側には強
化用繊維5が緯糸4の4本毎に1本の割合で緯糸4に対
して浮上した状態になっている。この表面側に浮上した
強化繊維浮上部51は、1本の緯糸4のみを跨いで浮い
た状態になっているため、強化織物1が織り上がった状
態では、図2に示すように、周りの経糸3および緯糸4
に取り囲まれて基礎織製品2内に没入し、実質的には表
面に露出しないようになっている。
【0023】そして、本実施形態においては、強化用繊
維5として、アラミド繊維が採用されている。アラミド
繊維は、芳香族環を備えたポリアミド繊維であり、軽量
かつ強靱で、同重量の鉄鋼をしのぐ驚異的な引張り強度
を有している。この特性を利用してアラミド繊維は、自
動車用のタイヤや、タイミングベルトの芯材、光ファイ
バーケーブルのテンションメンバー、鋭利な金属部材を
扱う作業用の手袋、あるいは防弾チョッキ等の素材に広
く適用されているばかりか、航空・宇宙分野にも広く活
用されている。かかるアラミド繊維が強化用繊維5とし
て採用されているため、強化織物1は非常に強靱なもの
になっている。
【0024】ところで、アラミド繊維は、紫外線の照射
を受けると、数時間の暴露で顕著な変色(褐色化)を起
こすとともに、数週間の暴露で引張り強度が著しく低下
するというマイナス面の特性をも有している。紫外線は
太陽光に多量に含まれているとともに、白熱電球や蛍光
灯等からの人工光の中にも微量ではあるが含まれてお
り、従って、かかるアラミド繊維の用いられた強化織物
1を野外で日光に曝したり、屋内においても人工光に長
時間に亘って曝すと、変色が生じるとともに引張り強度
が低下するという不都合が発生するが、本発明の強化織
物1は、強化用繊維5がほんの一部を除いて基礎織製品
2の裏面側に配されているため、強化用繊維5の紫外線
による劣化が有効に防止される。
【0025】本発明は、以上詳述したように、強化織物
1は、綾織りで製織された基礎織製品2の織り組織模様
が表面側で維持された状態で裏面側に強化用繊維5が製
織されて形成しているため、強化織物1を、外観視で通
常の綾織りの風合いが損なわれない状態になっていなが
ら、全体的に補強された丈夫なものにすることができ
る。
【0026】そして、綾織りの織製品は、緯糸4に比べ
て経糸3の表面露出の割合が多いことから、綾織り織製
品で形成された衣類は、着用時の擦過で経糸3部分が損
傷し易く、この損傷で緯糸4はその多くが表面に露出す
るようになるとともに、経糸3との絡みで維持されてい
た強度を保持し得なくなり、これによって衣類が破損す
るという不都合を有するが、このような綾織り組織の基
礎織製品2に強化用繊維5が裏面側に製織されることに
より経糸3が擦り切れても、強化用繊維5による補強に
よって緯糸4の損傷を防止することができる。従って、
衣類の生地の経糸3が擦り切れても、衣類は原形を留め
ることが可能であり、その分耐用期間を延長させること
ができる。
【0027】また、経糸3が擦り切れた状態で、強化用
繊維5の延びる方向に直交するように衣類にミシン掛け
を施せば、ミシン糸によって複数列の強化用繊維5が互
いに縫着された状態になるため、従来のように衣類の擦
り切れ部分に当て布を行う必要がなくなり、その分衣類
補修時の材料コストが軽減されるとともに、当て布によ
って衣類の着心地が悪くなるような不都合を回避するこ
とができる。
【0028】そして、製織処理時に強化用繊維5を経糸
として強化織物1を製織することによって、得られた強
化織物1は、経糸3が擦り切れると所定ピッチでこの経
糸3間に配された強化用繊維5が緯糸4との絡みで製織
状態を維持するとともに、この強靱な強化用繊維5が外
部に露出するため、これ以上の経糸3の損傷は阻止され
るとともに、この補強繊維によって緯糸4の切断を有効
に防止することができる。
【0029】また、強化用繊維5を経糸として基礎織製
品2に適用したことにより、通常の経糸3用の原糸ロー
ルに強化用繊維5用のロールを追加することによって通
常の製織処理と同様の処理で強化織物1を製織すること
ができ、強化用繊維5を緯糸として適用する場合には、
緯糸4を強化用繊維5用に変えることにより製織処理を
容易に行うことができる。
【0030】そして、軽量かつ強靱な繊維であるアラミ
ド繊維を強化用繊維5として採用することにより、強化
織物1を全体的に非常に強靱なものにすることができ
る。また、アラミド繊維は、日光に暴露されると日光の
光成分中の紫外線の照射を受けて速やかに劣化し、引張
り強度が著しく低下するというマイナスの特性を有して
いるが、強化織物1は、基礎織製品2の裏面側にのみ製
織されているため、日光に直接暴露されることはなく、
紫外線に起因した強度の低下を確実に防止することがで
きる。
【0031】本発明は上記の実施形態に限定されるもの
ではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0032】(1)上記の実施形態においては、強化用
繊維5としてアラミド繊維が採用されているが、本発明
は、強化用繊維5がアラミド繊維であることに限定され
るものではなく、綿や麻や羊毛などの各種の天然繊維で
あってもよいし、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、
ポリアクリル繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、
超高強度ポリエステル繊維、あるいはPAN系炭素繊維
などの各種の合成繊維であってもよい。
【0033】(2)上記の実施形態においては、基礎織
製品2は、綾織りの織り組織として経糸3が1本の緯糸
4に沈んで3本の緯糸4に浮くように設定されている
が、本発明はかかる1:3方式に限定されるものではな
く、1:4方式、1:5方式、1:6方式、1:7方
式、・・・、1:n方式であってもよい。ちなみに、n
は、最大でも20に設定するのが好ましい。その理由
は、nが20を越えると、経糸3があまりに長く緯糸4
上に浮いた状態になることによってほつれやすくなり、
生地として不適当なものになるからである。
【0034】(3)上記の実施形態においては、基礎織
製品2は、綾織りとして経糸3が緯糸4に浮くように設
定されているが、本発明は経糸3が緯糸4に浮くように
設定されることに限定されるものではなく、緯糸4が基
礎織製品2に浮くように織り組織を設定してもよいし、
経糸3および緯糸4の双方が複数本ずつ交互に他の糸に
浮くように設定してもよく、その組み合わせについては
無数にあるが、どれを採用するかは任意である。さら
に、本実施形態においては、いわゆる右上がりの綾織り
組織を例示しているが、左上がりにしてもよい。また、
右上がりと左上がりとが混在するものでもよい。
【0035】(4)上記の実施形態においては、強化用
繊維5は、経糸3の4本ごとに経糸3間に介設されてい
るが、本発明は、強化用繊維5を経糸3の4本毎に配す
ることに限定されるものではなく、2本毎または3本毎
に配してもよいし、5本以上の本数ごとに配してもよ
い。但し、最大でも20本毎に配するようにするのが好
ましい。強化用繊維5間の間隔が空き過ぎては、本発明
の強化織物1としての特性を享受することができなくな
るからである。
【0036】(5)上記の実施形態においては、強化用
繊維5が経糸として適用されているが、本発明は、強化
用繊維5を経糸として適用することに限定されるもので
はなく、緯糸として、基礎織製品2に付与することも可
能である。但し、この場合、強化織物1の製織時には緯
糸として基礎織製品2用の経糸と、強化用繊維5用の緯
糸との2種類の緯糸を使いわける必要があり、また、2
種類を交互あるいはランダムに入れる場合もある。
【0037】(6)上記の実施形態においては経糸3と
緯糸4とが同一繊維素材によって形成されているが、本
発明は経糸3と緯糸4とが同一繊維素材で形成されるこ
とに限定されるものではなく、例えば経糸3に綿やアラ
ミド繊維を用い、緯糸4にポリエステル繊維を用いても
よいし、その逆にしてもよい等、その組み合わせについ
ては任意である。
【0038】(7)上記の実施形態においては、基礎織
製品は、緯糸の1本を一つの単位として製織されている
が(すなわち1本ずつが製織されているが)、緯糸の複
数本(例えば2本または3本)を一つの緯糸単位として
製織してもよい。経糸についても同様にすることができ
る。
【0039】
【実施例】本発明に係る強化織物1の引張り強度を試験
した。まず、本発明に係る2種類の強化織物のそれぞれ
について経糸3および緯糸4に平行に裁断して所定寸法
の矩形状の第1試料と第2試料とを調製した。第1試料
は、経糸3の8本おきに1本の強化用繊維5を配したも
のであり、第2試料は、経糸3の4本おきに1本の強化
用繊維5を配したものである。なお、第2試料について
は緯糸4に一部アラミド繊維を採用している。第1およ
び第2試料とも、強化用繊維5を除いた基礎織製品2の
織り組織については、上記の実施形態と同様の組織で製
織されている。また、比較試料として強化用繊維5を用
いない、基礎織製品2と同様の織り組織のものを調製し
た。
【0040】ついで、上記各試料についてJISL−1
096に規定されたD法(ペンジュラム法)によって試
料が引き裂かれた時点での経糸方向および緯糸方向の引
張り強度を測定した。測定結果は表1の通りである。
【0041】
【表1】
【0042】表1で判る通り、強化用繊維5を使用しな
い比較試料では、引張り強度は、経糸方向が7.5k
g、緯糸方向が5.9kgであるのに対し、本発明に係
る試料1は、経糸方向が13.9kg、緯糸方向が7.
2kgと、それぞれ引張り強度が6.4kgおよび1.
3kg向上したことが確認された。また、試料2にあっ
ては、経糸方向および緯糸方向の引張り強度が15kg
以上および8.2kgになり、比較試料に対して大幅に
改善されていることが確認された。
【0043】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の強化織物によれ
ば、綾織りの織り組織を備えた基礎織製品の裏面側に表
面側の織り組織模様に変化を与えない状態で所定織りピ
ッチにより強化用繊維を複数本織りこんで強化織物を形
成したため、強化織物を、外観視で通常の綾織りの風合
いが損なわれない状態を維持しつつ、全体的に補強され
た丈夫なものにすることができる。
【0044】そして、綾織りの織製品は、緯糸に比べて
経糸の表面露出の割合が多いことから、綾織り織製品で
形成された衣類は、着用時の擦過で経糸部分が損傷し易
く、この損傷で緯糸はその多くが表面に露出するように
なるとともに、経糸との絡みで維持されていた強度を保
持し得なくなり、これによって衣類が破損するという不
都合を有するが、このような綾織り組織の基礎織製品に
強化用繊維が裏面側に製織されることにより経糸が擦り
切れても、強化用繊維による補強によって緯糸の損傷を
防止することができる。従って、衣類の生地の経糸が擦
り切れても、衣類は原形を留めることが可能であり、そ
の分耐用期間を延長することができる。
【0045】また、経糸が擦り切れた状態で、強化用繊
維の延びる方向に直交するように衣類にミシン掛けを施
せば、ミシン糸によって複数列の強化用繊維が互いに縫
着された状態になるため、従来のように衣類の擦り切れ
部分に当て布を行う必要がなくなり、その分衣類補修時
の材料コストを軽減することができるとともに、当て布
によって衣類の着心地が悪くなるような不都合を回避す
ることができる。
【0046】かかる強化織物は、修理しながら着用する
ことによって愛着が増し、かつ、特定の市場では商品と
しての付加価値が増大するジーンズ用の生地(デニム
地)に適している。
【0047】本発明の請求項2記載の強化織物によれ
ば、強化用繊維を経糸として製織するようにしたため、
基礎織製品の経糸が擦り切れると所定ピッチでこの経糸
間に製織された補強用繊維からなる経糸が緯糸との絡み
で製織状態を維持するとともに、この強靱な経糸が外部
に露出し、これ以上の経糸の損傷を阻止することができ
るとともに、この補強繊維によって緯糸の切断も有効に
防止することができる。
【0048】また、補強用繊維を経糸として基礎織製品
に適用したことにより、製織工程における製織処理が容
易になる。
【0049】本発明の請求項3記載の強化織物によれ
ば、強化用繊維としてアラミド繊維を採用したため、ア
ラミド繊維は軽量かつ強靱な繊維であり、かかる繊維を
強化用繊維として使用されることにより、強化織物を全
体的に強靱なものにすることができる。また、アラミド
繊維は、日光に暴露されると日光の光成分中の紫外線の
照射を受けて速やかに劣化し、引張り強度が著しく低下
するというマイナスの特性を有しているが、強化織物
は、基礎織製品の裏面側に強化用繊維が製織されて形成
されているため、強化用繊維が日光に直接暴露されるこ
とはなく、紫外線に起因した強度の低下を確実に防止す
ることができる。
【0050】本発明の請求項4記載の強化織物によれ
ば、強化用繊維を、複数本の緯糸に沈んで1本の緯糸に
浮いた状態で基礎織製品に製織したため、強化用繊維
は、緯糸に浮いた部分が点状で基礎織製品の表面に位置
するだけであり、しかも、この点状の強化用繊維の浮い
た部分は、強化織物が織り上がった時点では、周りの経
糸および緯糸によって覆い被せられ、これによって上記
浮いた部分を強化織物の表面から目視できない状態にす
ることができる。従って、強化用繊維は、基礎織製品の
綾織り組織の組織模様に変化を与えることなく基礎織製
品に付与されるとともに、強化用繊維に対する紫外線の
直接照射を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る強化織物の織り組織の一実施形態
を示す表面側の部分拡大斜視図であり、見易くするため
に経糸間および緯糸間を広げた状態にしている。
【図2】図1の強化織物の表面側の部分拡大斜視図であ
り、隣接する経糸同士を当接させた状態を示している。
【図3】図1の強化織物の裏面側の部分拡大斜視図であ
り、隣接する経糸同士を当接させた状態を示している。
【図4】図1の強化織物の組織図であり、表面側を示し
ている。
【図5】図1の強化織物の組織図であり、裏面側を示し
ている。
【符号の説明】
1 強化織物 2 基礎織製品 3 経糸 31 経糸浮上部 4 緯糸 41 緯糸浮上部 5 強化用繊維
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月6日(1999.5.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 強化織物
【特許請求の範囲】
【請求項】 上記強化用繊維がアラミド繊維である請
求項1記載の強化織物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の織り組織の
組織模様に変化を与えることなく強化された強化織物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、綾織り組織の織製品が知られてい
る。綾織り組織は、緯糸が所定本数の経糸の下を潜って
1本の経糸の上に浮き、これが繰り返えされることによ
って製織されてなる織製品である。隣接する緯糸同士
は、浮上り位置が経糸に対して左右で1本ずれるように
設定されている。従って、経糸の浮上り部分が直線状に
なった緯糸の浮上り部分を境にして斜めに走り、これに
よって織製品が綾模様になっていることから綾織り組織
といわれる所以である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な綾織り組織の織製品にあっては、緯糸は点が連続した
状態での線状でしか表面に露出していないのに対し、経
糸は所定の幅寸法で緯糸間に帯状に表面に露出している
ことから、かかる綾織り組織の織製品からなる衣類を着
用すると、表面への露出面積の大きい経糸部分が擦過に
よって損傷し易く、これにより衣類の表面が擦り切れた
状態になって着用に耐えなくなるという問題点を有して
いる。
【0004】このような問題点を解消するために、ミシ
ン掛けによる補強縫いを行って織製品を強化することが
試みられることもあるが、このようにすると織製品の表
面側にミシン目が走り、表面の独特の織り組織模様が損
なわれるとともに、補強縫いのために加工コストが嵩む
という新たな問題点が提起される。
【0005】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、綾織り組織の織製品を対象
とし、表面の織り組織の模様が維持された状態で補強さ
れた強化織物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
強化織物は、綾織りの織り組織を備えるとともに、経糸
列中に適宜ピッチで強化用繊維を経糸として配設し、綾
織りの表面側から見て各強化用繊維を複数本の緯糸に沈
ませる毎に1本の緯糸に浮かせた状態で製織して綾織り
の表面側では各強化用繊維を組織的に周囲の糸で覆い被
し、綾織りの裏面側では各強化用繊維を多く顕出させた
ものであることを特徴とするものである。
【0007】この強化織物によれば、綾織りで製織され
た基礎織製品の織り組織模様が表面側で維持されつつ裏
面側に強化用繊維が製織されることによって強化織物が
形成されているため、強化織物は、外観視で通常の綾織
りの風合いが損なわれない状態になっていながら、全体
的に補強された丈夫なものになっている。
【0008】そして、綾織りの織製品は、緯糸に比べて
経糸の表面露出の割合が多いことから、綾織り織製品で
形成された衣類は、着用時の擦過で経糸部分が損傷し易
く、この損傷で緯糸はその多くが表面に露出するように
なるとともに、経糸との絡みで維持されていた強度を保
持し得なくなり、これによって衣類が破損するという不
都合を有するが、このような綾織り組織の基礎織製品に
強化用繊維が裏面側に製織されることにより経糸が擦り
切れても、強化用繊維による補強によって緯糸の損傷が
防止される。従って、衣類の生地の経糸が擦り切れて
も、衣類は原形を留めることが可能であり、耐用期間が
延長される。
【0009】また、経糸が擦り切れた状態で、強化用繊
維の延びる方向に直交するように衣類にミシン掛けを施
せば、ミシン糸によって複数列の強化用繊維が互いに縫
着された状態になるため、従来のように衣類の擦り切れ
部分に当て布を行う必要がなくなり、その分衣類補修時
の材料コストが軽減されるとともに、当て布によって衣
類の着心地が悪くなるような不都合が確実に回避され
る。
【0010】かかる強化織物は、修理しながら着用する
ことによって愛着が増し、かつ、商品としても付加価値
が増大するジーンズ用の生地に適している。
【0011】また、強化用繊維は、複数本の緯糸に沈ん
で1本の緯糸に浮いた状態で上記基礎織製品に製織され
ているため、強化用繊維は、緯糸に浮いた部分が点状で
基礎織製品の表面に位置するだけであることから、この
点状の強化用繊維の浮いた部分は、強化織物が織り上が
った時点では、周りの経糸および緯糸によって覆い被せ
られ、これによって強化織物の表面から目視できない状
態になり、強化用繊維は、基礎織製品の綾織り組織の組
織模様に変化を与えることなく基礎織製品に付与される
とともに、強化用繊維に対する紫外線の直接照射が回避
される。
【0012】さらに、強化用繊維が経糸として用いられ
ているため、基礎織製品の経糸が擦り切れると所定ピッ
チでこの経糸間に製織された補強用繊維からなる経糸が
緯糸との絡みで製織状態を維持するとともに、この強靱
な経糸が外部に露出するため、これ以上の経糸の損傷は
阻止されるとともに、この補強繊維によって緯糸の切断
も有効に防止される。
【0013】また、補強用繊維を経糸として基礎織製品
に適用したことにより、製織工程における製織処理が容
易になる。
【0014】本発明の請求項2記載の強化織物は、請求
項1記載の強化織物において、上記強化用繊維としてア
ラミド繊維が採用されてなるものである。
【0015】この強化織物によれば、アラミド繊維は軽
量かつ強靱な繊維であり、かかる繊維が強化用繊維とし
て使用されることにより、強化織物は全体的に強靱なも
のになる。また、アラミド繊維は、日光に暴露されると
日光の光成分中の紫外線の照射を受けて速やかに劣化
し、引張り強度が著しく低下するというマイナスの特性
を有しているが、強化織物は、基礎織製品の裏面側に強
化用繊維が製織されているため、日光に直接暴露される
ことはなく、紫外線に起因した強度の低下が起こらな
い。
【0016】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本発明に係る強化
織物の織り組織の一実施形態を示す部分拡大斜視図であ
り、図1は表面側を示し、見易くするために経糸間およ
び緯糸間を広げた状態にしている。また、図2も表面側
を示し、隣接する経糸同士を当接させた状態にしてい
る。また、図3は、隣接する経糸同士を当接させた状態
の裏面側を示している。さらに、図4および図5は、図
1の強化織物の組織図であり、図4は表面側、図5は裏
面側をそれぞれ示している。なお、これらの図におい
て、経糸3は点描で、緯糸4は白抜きで、強化用繊維5
は黒塗りでそれぞれ示している。
【0017】まず、図1に示すように、強化織物1は、
通常の繊維からなる経糸3および緯糸4が綾織り組織に
なるように製織されてなる基礎織製品2と、この基礎織
製品2の裏面側に経糸3に平行に所定ピッチで製織され
た複数本の強化用繊維5とからなる基本構成を有してい
る。
【0018】本実施形態においては、上記基礎織製品2
は、経糸3の1本が緯糸4の3本に浮いて1本に沈み、
これが経糸方向に繰り返されているとともに、緯糸4の
1本が経糸3の3本に沈んだ1本に浮き、これが緯糸4
方向に繰り返されるように製織されて形成されている。
そして、緯糸4が1本の経糸3に浮いた緯糸浮上部41
は、右隣の経糸3に右上がりで1つずつずらされてお
り、これによって基礎織製品2の表面側には緯糸浮上部
41が右上がりに斜めに連設された状態になっている。
また、経糸3が緯糸4に浮いた経糸浮上部31は、上記
緯糸浮上部41の斜行列間に形成され、連設された経糸
浮上部31によって、図2および図4に示すように、斜
めに延びる帯状体が形成されている。
【0019】このような基礎織製品2において、強化用
繊維5が、図3および図5に示すように、裏面側に配さ
れて本発明に係る強化織物1が形成されている。本実施
形態においては、上記強化用繊維5は、経糸3の4本毎
に配されている。具体的には、強化用繊維5は、3本の
緯糸4に沈んで1本の緯糸4に浮き、これが繰り返され
ることによって基礎織製品2と一体に製織されている。
かかる強化用繊維5は、所定の織機において、経糸3の
原料ロールとは別に設けられた強化用繊維5専用のロー
ルから引き出されて専用の綜絖に係架され、他の経糸3
用の綜絖との同期連動によって基礎織製品2の製織時に
同時に製織されるようになっている。なお、経糸3の原
料と強化用繊維5とを同じロールに巻くこともある。
【0020】従って、強化織物1は、その裏面側に、図
3および図5に示すように、縫い目状の強化用繊維5を
複数本備えた状態になっているとともに、表面側には強
化用繊維5が緯糸4の4本毎に1本の割合で緯糸4に対
して浮上した状態になっている。この表面側に浮上した
強化用繊維浮上部51は、1本の緯糸4のみを跨いで浮
いた状態になっているため、強化織物1が織り上がった
状態では、図2に示すように、周りの経糸3および緯糸
4に取り囲まれて基礎織製品2内に没入し、実質的には
表面に露出しないようになっている。
【0021】そして、本実施形態においては、強化用繊
維5として、アラミド繊維が採用されている。アラミド
繊維は、芳香族環を備えたポリアミド繊維であり、軽量
かつ強靱で、同重量の鉄鋼をしのぐ驚異的な引張り強度
を有している。この特性を利用してアラミド繊維は、自
動車用のタイヤや、タイミングベルトの芯材、光ファイ
バーケーブルのテンションメンバー、鋭利な金属部材を
扱う作業用の手袋、あるいは防弾チョッキ等の素材に広
く適用されているばかりか、航空・宇宙分野にも広く活
用されている。かかるアラミド繊維が強化用繊維5とし
て採用されているため、強化織物1は非常に強靱なもの
になっている。
【0022】ところで、アラミド繊維は、紫外線の照射
を受けると、数時間の暴露で顕著な変色(褐色化)を起
こすとともに、数週間の暴露で引張り強度が著しく低下
するというマイナス面の特性をも有している。紫外線は
太陽光に多量に含まれているとともに、白熱電球や蛍光
灯等からの人工光の中にも微量ではあるが含まれてお
り、従って、かかるアラミド繊維の用いられた強化織物
1を野外で日光に曝したり、屋内においても人工光に長
時間に亘って曝すと、変色が生じるとともに引張り強度
が低下するという不都合が発生するが、本発明の強化織
物1は、強化用繊維5がほんの一部を除いて基礎織製品
2の裏面側に配されているため、強化用繊維5の紫外線
による劣化が有効に防止される。
【0023】本発明は、以上詳述したように、強化織物
1は、綾織りで製織された基礎織製品2の織り組織模様
が表面側で維持された状態で裏面側に強化用繊維5が製
織されて形成しているため、強化織物1を、外観視で通
常の綾織りの風合いが損なわれない状態になっていなが
ら、全体的に補強された丈夫なものにすることができ
る。
【0024】そして、綾織りの織製品は、緯糸4に比べ
て経糸3の表面露出の割合が多いことから、綾織り織製
品で形成された衣類は、着用時の擦過で経糸3部分が損
傷し易く、この損傷で緯糸4はその多くが表面に露出す
るようになるとともに、経糸3との絡みで維持されてい
た強度を保持し得なくなり、これによって衣類が破損す
るという不都合を有するが、このような綾織り組織の基
礎織製品2に強化用繊維5が裏面側に製織されることに
より経糸3が擦り切れても、強化用繊維5による補強に
よって緯糸4の損傷を防止することができる。従って、
衣類の生地の経糸3が擦り切れても、衣類は原形を留め
ることが可能であり、その分耐用期間を延長させること
ができる。
【0025】また、経糸3が擦り切れた状態で、強化用
繊維5の延びる方向に直交するように衣類にミシン掛け
を施せば、ミシン糸によって複数列の強化用繊維5が互
いに縫着された状態になるため、従来のように衣類の擦
り切れ部分に当て布を行う必要がなくなり、その分衣類
補修時の材料コストが軽減されるとともに、当て布によ
って衣類の着心地が悪くなるような不都合を回避するこ
とができる。
【0026】そして、製織処理時に強化用繊維5を経糸
として強化織物1を製織することによって、得られた強
化織物1は、経糸3が擦り切れると所定ピッチでこの経
糸3間に配された強化用繊維5が緯糸4との絡みで製織
状態を維持するとともに、この強靱な強化用繊維5が外
部に露出するため、これ以上の経糸3の損傷は阻止され
るとともに、この補強繊維によって緯糸4の切断を有効
に防止することができる。
【0027】また、強化用繊維5を経糸として基礎織製
品2に適用したことにより、通常の経糸3用の原糸ロー
ルに強化用繊維5用のロールを追加することによって通
常の製織処理と同様の処理で強化織物1を製織すること
ができ、強化用繊維5を緯糸として適用する場合には、
緯糸4を強化用繊維5用に変えることにより製織処理を
容易に行うことができる。
【0028】そして、軽量かつ強靱な繊維であるアラミ
ド繊維を強化用繊維5として採用することにより、強化
織物1を全体的に非常に強靱なものにすることができ
る。また、アラミド繊維は、日光に暴露されると日光の
光成分中の紫外線の照射を受けて速やかに劣化し、引張
り強度が著しく低下するというマイナスの特性を有して
いるが、強化織物1は、基礎織製品2の裏面側にのみ製
織されているため、日光に直接暴露されることはなく、
紫外線に起因した強度の低下を確実に防止することがで
きる。
【0029】本発明は上記の実施形態に限定されるもの
ではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0030】(1)上記の実施形態においては、強化用
繊維5としてアラミド繊維が採用されているが、本発明
は、強化用繊維5がアラミド繊維であることに限定され
るものではなく、綿や麻や羊毛などの各種の天然繊維で
あってもよいし、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、
ポリアクリル繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、
超高強度ポリエステル繊維、あるいはPAN系炭素繊維
などの各種の合成繊維であってもよい。
【0031】(2)上記の実施形態においては、基礎織
製品2は、綾織りの織り組織として経糸3が1本の緯糸
4に沈んで3本の緯糸4に浮くように設定されている
が、本発明はかかる1:3方式に限定されるものではな
く、1:4方式、1:5方式、1:6方式、1:7方
式、・・・、1:n方式であってもよい。ちなみに、n
は、最大でも20に設定するのが好ましい。その理由
は、nが20を越えると、経糸3があまりに長く緯糸4
上に浮いた状態になることによってほつれやすくなり、
生地として不適当なものになるからである。
【0032】(3)上記の実施形態においては、基礎織
製品2は、綾織りとして経糸3が緯糸4に浮くように設
定されているが、本発明は経糸3が緯糸4に浮くように
設定されることに限定されるものではなく、緯糸4が基
礎織製品2に浮くように織り組織を設定してもよいし、
経糸3および緯糸4の双方が複数本ずつ交互に他の糸に
浮くように設定してもよく、その組み合わせについては
無数にあるが、どれを採用するかは任意である。さら
に、本実施形態においては、いわゆる右上がりの綾織り
組織を例示しているが、左上がりにしてもよい。また、
右上がりと左上がりとが混在するものでもよい。
【0033】(4)上記の実施形態においては、強化用
繊維5は、経糸3の4本ごとに経糸3間に介設されてい
るが、本発明は、強化用繊維5を経糸3の4本毎に配す
ることに限定されるものではなく、2本毎または3本毎
に配してもよいし、5本以上の本数ごとに配してもよ
い。但し、最大でも20本毎に配するようにするのが好
ましい。強化用繊維5間の間隔が空き過ぎては、本発明
の強化織物1としての特性を享受することができなくな
るからである。
【0034】(5)上記の実施形態においては、強化用
繊維5が経糸として適用されているが、本発明は、強化
用繊維5を経糸として適用することに限定されるもので
はなく、緯糸として、基礎織製品2に付与することも可
能である。但し、この場合、強化織物1の製織時には緯
糸として基礎織製品2用の経糸と、強化用繊維5用の緯
糸との2種類の緯糸を使いわける必要があり、また、2
種類を交互あるいはランダムに入れる場合もある。
【0035】(6)上記の実施形態においては経糸3と
緯糸4とが同一繊維素材によって形成されているが、本
発明は経糸3と緯糸4とが同一繊維素材で形成されるこ
とに限定されるものではなく、例えば経糸3に綿やアラ
ミド繊維を用い、緯糸4にポリエステル繊維を用いても
よいし、その逆にしてもよい等、その組み合わせについ
ては任意である。
【0036】(7)上記の実施形態においては、基礎織
製品は、緯糸の1本を一つの単位として製織されている
が(すなわち1本ずつが製織されているが)、緯糸の複
数本(例えば2本または3本)を一つの緯糸単位として
製織してもよい。経糸についても同様にすることができ
る。
【0037】
【実施例】本発明に係る強化織物1の引張り強度を試験
した。まず、本発明に係る2種類の強化織物のそれぞれ
について経糸3および緯糸4に平行に裁断して所定寸法
の矩形状の第1試料と第2試料とを調製した。第1試料
は、経糸3の8本おきに1本の強化用繊維5を配したも
のであり、第2試料は、経糸3の4本おきに1本の強化
用繊維5を配したものである。なお、第2試料について
は緯糸4に一部アラミド繊維を採用している。第1およ
び第2試料とも、強化用繊維5を除いた基礎織製品2の
織り組織については、上記の実施形態と同様の組織で製
織されている。また、比較試料として強化用繊維5を用
いない、基礎織製品2と同様の織り組織のものを調製し
た。
【0038】ついで、上記各試料についてJISL−1
096に規定されたD法(ペンジュラム法)によって試
料が引き裂かれた時点での経糸方向および緯糸方向の引
張り強度を測定した。測定結果は表1の通りである。
【0039】
【表1】
【0040】表1で判る通り、強化用繊維5を使用しな
い比較試料では、引張り強度は、経糸方向が7.5k
g、緯糸方向が5.9kgであるのに対し、本発明に係
る試料1は、経糸方向が13.9kg、緯糸方向が7.
2kgと、それぞれ引張り強度が6.4kgおよび1.
3kg向上したことが確認された。また、試料2にあっ
ては、経糸方向および緯糸方向の引張り強度が15kg
以上および8.2kgになり、比較試料に対して大幅に
改善されていることが確認された。
【0041】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の強化織物によれ
ば、綾織りの織り組織を備えるとともに、経糸列中に適
宜ピッチで強化用繊維を経糸として配設し、綾織りの表
面側から見て各強化用繊維を複数本の緯糸に沈ませる毎
に1本の緯糸に浮かせた状態で製織して綾織りの表面側
では各強化用繊維を組織的に周囲の糸で覆い被し、綾織
りの裏面側では各強化用繊維を多く顕出させているた
め、強化織物を、外観視で通常の綾織りの風合いが損な
われない状態を維持しつつ、全体的に補強された丈夫な
ものにすることができる。
【0042】そして、綾織りの織製品は、緯糸に比べて
経糸の表面露出の割合が多いことから、綾織り織製品で
形成された衣類は、着用時の擦過で経糸部分が損傷し易
く、この損傷で緯糸はその多くが表面に露出するように
なるとともに、経糸との絡みで維持されていた強度を保
持し得なくなり、これによって衣類が破損するという不
都合を有するが、このような綾織り組織の基礎織製品に
強化用繊維が裏面側に製織されることにより経糸が擦り
切れても、強化用繊維による補強によって緯糸の損傷を
防止することができる。従って、衣類の生地の経糸が擦
り切れても、衣類は原形を留めることが可能であり、そ
の分耐用期間を延長することができる。
【0043】また、経糸が擦り切れた状態で、強化用繊
維の延びる方向に直交するように衣類にミシン掛けを施
せば、ミシン糸によって複数列の強化用繊維が互いに縫
着された状態になるため、従来のように衣類の擦り切れ
部分に当て布を行う必要がなくなり、その分衣類補修時
の材料コストを軽減することができるとともに、当て布
によって衣類の着心地が悪くなるような不都合を回避す
ることができる。
【0044】かかる強化織物は、修理しながら着用する
ことによって愛着が増し、かつ、特定の市場では商品と
しての付加価値が増大するジーンズ用の生地(デニム
地)に適している。
【0045】また、強化用繊維を、複数本の緯糸に沈ん
で1本の緯糸に浮いた状態で基礎織製品に製織したた
め、強化用繊維は、緯糸に浮いた部分が点状で基礎織製
品の表面に位置するだけであり、しかも、この点状の強
化用繊維の浮いた部分は、強化織物が織り上がった時点
では、周りの経糸および緯糸によって覆い被せられ、こ
れによって上記浮いた部分を強化織物の表面から目視で
きない状態にすることができる。従って、強化用繊維
は、基礎織製品の綾織り組織の組織模様に変化を与える
ことなく基礎織製品に付与されるとともに、強化用繊維
に対する紫外線の直接照射を回避することができる。
【0046】さらに、強化用繊維を経糸として製織する
ようにしたため、基礎織製品の経糸が擦り切れると所定
ピッチでこの経糸間に製織された補強用繊維からなる経
糸が緯糸との絡みで製織状態を維持するとともに、この
強靱な経糸が外部に露出し、これ以上の経糸の損傷を阻
止することができるとともに、この補強繊維によって緯
糸の切断も有効に防止することができる。
【0047】加えて、補強用繊維を経糸として基礎織製
品に適用したことにより、製織工程における製織処理が
容易になる。
【0048】本発明の請求項2記載の強化織物によれ
ば、強化用繊維としてアラミド繊維を採用したため、ア
ラミド繊維は軽量かつ強靱な繊維であり、かかる繊維を
強化用繊維として使用されることにより、強化織物を全
体的に強靱なものにすることができる。また、アラミド
繊維は、日光に暴露されると日光の光成分中の紫外線の
照射を受けて速やかに劣化し、引張り強度が著しく低下
するというマイナスの特性を有しているが、強化織物
は、基礎織製品の裏面側に強化用繊維が製織されて形成
されているため、強化用繊維が日光に直接暴露されるこ
とはなく、紫外線に起因した強度の低下を確実に防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る強化織物の織り組織の一実施形態
を示す表面側の部分拡大斜視図であり、見易くするため
に経糸間および緯糸間を広げた状態にしている。
【図2】図1の強化織物の表面側の部分拡大斜視図であ
り、隣接する経糸同士を当接させた状態を示している。
【図3】図1の強化織物の裏面側の部分拡大斜視図であ
り、隣接する経糸同士を当接させた状態を示している。
【図4】図1の強化織物の組織図であり、表面側を示し
ている。
【図5】図1の強化織物の組織図であり、裏面側を示し
ている。
【符号の説明】 1 強化織物 2 基礎織製品 3 経糸 31 経糸浮上部 4 緯糸 41 緯糸浮上部 5 強化用繊維

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 綾織りの織り組織を備えた基礎織製品の
    裏面側に、表面側の織り組織模様に変化を与えない状態
    で所定織りピッチにより複数本の強化用繊維を織り込ん
    でなることを特徴とする強化織物。
  2. 【請求項2】 上記強化用繊維が経糸として製織されて
    なる請求項1記載の強化織物。
  3. 【請求項3】 上記強化用繊維がアラミド繊維である請
    求項1または2記載の強化織物。
  4. 【請求項4】 上記強化用繊維は、複数本の緯糸に沈ん
    で1本の緯糸に浮いた状態で上記基礎織製品に製織され
    てなる請求項1乃至3のいずれかに記載の強化繊維。
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