JP2005154974A - 強化織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 容易に製造できる糸を用いて、高強度を備え、耐光性に優れるとともに、皮膚刺激性が小さい強化織物を提供すること。
【解決手段】 強化織物10を、外部層11、中間層12および内部層13で構成した。外部層11は、綿からなる外部たて糸11aと外部よこ糸11bとを交錯させて構成し、中間層12は、アラミド繊維からなる中間たて糸12aと中間よこ糸12bとを交錯させて構成し、内部層13は、綿からなる内部たて糸13aと内部よこ糸13bとを交錯させて構成した。そして、外部接結糸14aを、中間よこ糸12bと外部よこ糸11bに交錯させて中間層12と外部層11とを結合し、内部接結糸14bを、中間よこ糸12bと内部よこ糸13bに交錯させて中間層12と内部層13とを結合した。
【選択図】 図2

Description

本発明は、引き裂き強度、耐摩耗性および耐熱性などが要求されるライダースーツ等の生地として用いられる強化織物に関する。
従来から、モーターサイクリング等のアウトドアスポーツを行う場合には、高強度および耐磨耗性を有する強化織物や革等で構成された衣料が着用されている。このような衣料を構成する強化織物として、例えば、アラミド繊維等からなる機能性繊維を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。この強化織物は、芯部と、その芯部を覆う鞘部とからなる強化糸を織り込んで形成されており、芯部が高強度を有する機能性繊維で構成され、鞘部が耐光性を有する耐光性繊維で構成されている。このため、この強化織物は、耐光性に優れるとともに高強度を備えたものになっている。
特開2000−234236号公報
しかしながら、前述した強化織物では、鞘部で芯部を被覆した複雑な構造の強化糸を使用しているため、その製造が難しいという問題がある。また、このような強化織物を衣料に使用した場合には、皮膚を刺激して、肌触りが悪くなるという問題がある。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、容易に製造できる糸を用いて、高強度を備え、耐光性に優れるとともに、皮膚刺激性が小さい強化織物を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明に係る強化織物の構成上の特徴は、剛直性高分子繊維からなる中間たて糸と中間よこ糸とを互いに浮沈させながら交錯させて形成された中間層と、遮光性を有する繊維からなる外部たて糸と外部よこ糸とを互いに浮沈させながら交錯させて形成された外部層と、皮膚刺激性が小さな繊維からなる内部たて糸と内部よこ糸とを互いに浮沈させながら交錯させて形成された内部層とを備え、中間たて糸、外部たて糸および内部たて糸のうちの任意のたて糸を、中間よこ糸、外部よこ糸および内部よこ糸のうちの任意のたて糸と異なる層を形成するよこ糸に交錯させて、外部層、中間層および内部層を結合したことにある。
このように本発明に係る強化織物は、引っ張り、引き裂きおよび磨耗等に対する高強度を備えた剛直性高分子繊維からなる中間層と、遮光性を有する繊維からなる外部層と、皮膚刺激性の小さな繊維からなる内部層とを備えた3層の織物で構成されている。したがって、この強化織物を、例えば、モーターサイクリングの際に使用するライダースーツに使用すると、中間層によって、ライダースーツに必要な、引張強度、引裂強度および耐磨耗性等の強度が確保される。
また、剛直性高分子繊維の中には、光に晒されることにより強度が劣化する性質を有しているものもあるが、この強化織物では、外部層が遮光性を有する繊維で構成されているため、中間層は外部層によって外部から遮蔽されて光から保護される。このため、内部層が光に晒されることによって強化織物が強度劣化することがなくなる。また、剛直性高分子繊維は、皮膚を刺激し易い性質も有しているが、この強化織物では、内部層が皮膚刺激性の小さな繊維で構成されているため、皮膚は、直接中間層に接触することなく肌触りのよい内部層によって保護される。
この結果、光に晒すことによって劣化することなく長期間にわたって高強度を維持でき、また、皮膚に違和感等を生じさせることのない、長寿命で着心地のよいライダースーツ等が得られる。中間層を構成する剛直性高分子繊維としては、アラミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維)またはPBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維(ウーリー加工をしたPBO繊維を含む。)を用いることができ、これによって、良好な引裂強度等の強度を備えた強化織物を得ることができる。アラミド繊維を用いる場合には、パラ系のアラミド繊維とすることが好ましい。また、それ以外に、全芳香族ポリエステル繊維、PBT(ポリブチレンテレフタレート)繊維、PBI(ポリベンズイミダゾール)繊維などを用いることもできる。
内部層を構成する繊維としては、通常の衣料において、肌に触れる部分に使用される繊維であればよく、例えば、綿、ウール、ポリエステル、シルクおよびこれらの混紡糸等を使用することができる。これによって、皮膚を剛直性高分子繊維で構成される中間層から保護でき衣料として使用した場合、着心地がよくなる。さらに、外部層を構成する繊維としては、綿、ポリエステル等からなる遮光性や耐光性(光によって劣化しない性質)を有する繊維やアラミド繊維等からなる遮光性を有する繊維を用いることができる。
また、本発明に係る強化織物の他の構成上の特徴は、中間層を構成する中間たて糸および中間よこ糸が、糸番手が30sより太い単糸で構成され1インチ当たりに5〜40本が配置されていることにある。中間層を構成する中間たて糸および中間よこ糸をこのように構成することにより、高強度および耐磨耗性を要求される衣料等に適した強化織物を得ることができる。ここで、糸番手が示す数値は糸の太さを表しており、数値が大きくなるほど糸は細くなり、数値が小さくなるほど糸は太くなる。例えば、1ポンドの重量の単糸が25200ヤードの長さである場合に、糸番手は30sとなる。
また、糸の中には、紡績機で紡出されたままの単糸と、撚糸機にかけて単糸を撚り合わせた双糸とがある。中間層を構成するたて糸およびよこ糸としては、単糸、双糸の双方を用いることができるが、双糸を用いることが好ましく、これによってより高強度の強化織物が得られる。また、中間層を構成する中間たて糸および中間よこ糸は、糸番手が30sより太い単糸を1インチ当たりに5〜40本配置することが好ましいが、より好ましくは、その糸を1インチ当たりに15〜35本配置することである。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1および図2は同実施形態に係る強化織物10を示している。この強化織物10は、外部層11、中間層12および内部層13の3層からなっており、主として、ライダースーツ等の高強度および耐磨耗性を要求される衣類に使用される。また、この強化織物10の外部層11は、一定間隔で並べられた複数の外部たて糸11aに直交し、その外部たて糸11aの表裏に対して交互に浮沈しながら複数の外部よこ糸11bが順次織り込まれて構成されている。
この外部たて糸11aおよび外部よこ糸11bは、ともに、糸番手が302sの綿からなる双糸で構成されており、外部たて糸11aは、外部層11の1インチ当たりの幅に70本が配置され、外部よこ糸11bは、外部層11の1インチ当たりの幅に60本が配置されている。
中間層12は、一定間隔で並べられた複数の中間たて糸12aに複数の中間よこ糸12bを順次織り込んで構成されており、外部層11と同様、中間よこ糸12bは、中間たて糸12aに対して直交し、その中間たて糸12aの表裏に交互に浮沈している。この中間たて糸12aおよび中間よこ糸12bは、ともに、糸番手が202sのアラミド繊維からなる双糸で構成されており、中間たて糸12aは、中間層12の1インチ当たりの幅に23本が配置され、中間よこ糸12bは、中間層12の1インチ当たりの幅に30本が配置されている。
内部層13は、一定間隔で並べられた複数の内部たて糸13aに複数の内部よこ糸13bを順次織り込んで構成されており、内部よこ糸13bは、内部たて糸13aに対して直交し、その内部たて糸13aの表裏に浮沈している。この内部たて糸13aおよび内部よこ糸13bは、ともに、糸番手が302sの綿からなる双糸で構成されており、内部たて糸13aは、内部層13の1インチ当たりの幅に23本が配置され、内部よこ糸13bは、内部層13の1インチ当たりの幅に60本が配置されている。
また、中間層12の中間たて糸12aの中の所定の糸は、所定間隔を保って配置された外部接結糸14aと内部接結糸14bとを構成している。すなわち、外部接結糸14aは、所定の外部よこ糸11bと中間よこ糸12bとに織り込まれて外部層11と中間層12とを結合し、内部接結糸14bは、所定の中間よこ糸12bと内部よこ糸13bとに織り込まれて中間層12と内部層13とを結合している。この外部接結糸14aおよび内部接結糸14bは、ともに中間たて糸12aと同様、糸番手が202sのアラミド繊維からなる糸で構成されている。
これらの外部たて糸11a等の各糸は、それぞれ所定の糸材料を紡績機で紡出して単糸に形成したのちに、撚糸機によって双糸に形成することにより製造されている。そして、強化織物10用の糸として製造された外部たて糸11a等は、それぞれ染色処理によって所定の色に染められている。この場合、内部層13を構成する内部たて糸13aおよび内部よこ糸13bは、染色せずに元の材料の色を維持させた状態にしておいてもよい。そして、これらの外部たて糸11a等の各糸を、製織装置を用いて製織することにより、強化織物10が形成される。
この場合、外部たて糸11aを上段に配置し、外部接結糸14aおよび内部接結糸14bを含む中間たて糸12aを中段に配置し、内部たて糸13aを下段に配置した三段に各たて糸を配置し、図2に示したように、外部よこ糸11b、中間よこ糸12bおよび内部よこ糸13bを順次織り込んでいく。これによって、強化織物10が製織される。そして、得られた強化織物10に、縫製等の各工程による処理を行って、例えば、ライダースーツが製造される。
このライダースーツは、引っ張られたり、物に擦り付けられたりするような過酷な環境の中で使用されるため、この強化織物10をライダースーツ用の生地として使用する場合には、引張強度、引裂強度および磨耗強度等が要求される。このため、前述のようにして製造された強化織物10に対して引張強度、引裂強度および磨耗強度に関する強度試験を行った。引張強度は、JISL1096に基づいて行い、資料巾×つかみ間隔が、5cm×20cmの資料を、引張速度20cm/分で引っ張った。その結果、資料のたて糸の長手方向の引張強さが、2460Nで、よこ糸の長手方向の引張強さが、3702Nであった。
引裂き強度は、JISL1096A−1法に基づいて行い、引張強度で用いた試料と同一の資料を、引張速度10cm/分で引っ張った。その結果、資料のたて糸の長手方向の引裂き強さが、270Nで、よこ糸の長手方向の引裂強さが、397Nであった。また、磨耗強度は、JISL1096A−1法(ユニバーサル形法、平面)に基づいて行い、引張強度で用いた試料と同一の資料に対して、日研CC−400−CWの研磨紙を、4.45Nの加重で繰り返し押圧した。その結果、磨耗強さは、1619回であった。すなわち、資料は1619回の押圧により破損した。
本発明に係る強化織物10の試験結果と比較するために、市販の皮製のライダースーツ7点の強度を以下に示す。下記に示した試験結果は、前述した強度試験と同条件で行った強度試験によるものである。これらのライダースーツに使用された皮で作成した資料のたて方向の引裂強さは、それぞれ、25N、51N、43N、25N、42.6N、38N、50Nで、よこ方向の引裂強さは、それぞれ30N、32N、34N、25N、30N、56N、41Nである。この結果から、強化織物10の引裂強度は、従来のライダースーツに使用された皮の引裂強度よりも大幅に向上していることが分かる。
また、ライダースーツの皮で作成した資料の磨耗強さは、それぞれ2994回、1325回、1033回、993回、2700回、2057回、2114回である。この結果から、強化織物10は、従来のライダースーツに使用された皮の略平均的な磨耗強度を備えていることが分かる。なお、ライダースーツに対しては、一般的に引張強度の測定は行われないため、この引張強さは考慮しなかった。このように、本実施形態に係る強化織物10は、ライダースーツ用の織物として十分に使用することができ、ライダースーツと同程度の強度が要求される衣料等であればその衣料等に使用する生地として使用することができる。また、この強化織物10は、略400℃の耐熱性も備えている。
また、強化織物10の外部層11を構成して、中間層12を外部から遮蔽する外部たて糸11aと外部よこ糸11bとは、綿で構成されているため、耐光性を備えている。したがって、中間層12が光に晒されて劣化することがなくなり、強化織物10も耐光性を備えたものとなる。さらに、強化織物10の内部層13を構成する内部たて糸13aと内部よこ糸13bも綿で構成されているため、強化織物10を衣料に用いた場合、強化織物10が使用者の皮膚を刺激して炎症を生じさせたりすることがなくなる。また、衣料の肌触りもよくなる。
このように、本実施形態に係る強化織物10は、外部層11、中間層12および内部層13の3層からなっており、中間層12を、アラミド繊維からなる中間たて糸12aと中間よこ糸12bとで構成することにより、強化織物10に必要な各種の強度を生じさせている。そして、アラミド繊維が有する欠点を外部層11および内部層13で補っている。
すなわち、アラミド繊維は、紫外から可視光域の広い波長における光に晒されることによって強度低下を起こすが、外部層11が、中間層12を遮光することにより、強化織物10は光による強度低下が防止される。また、アラミド繊維は、皮膚を刺激し易く直接肌に触れる衣料としては不向きな性質を有しているが、この強化織物10では、内部層13が綿からなる内部たて糸13aと内部よこ糸13bとで構成されているため、皮膚への刺激が少なくなる。また、通気性も良くなる。これによって、皮膚に炎症等を生じさせず、肌触りのよい強化織物10が得られ、実用的効果が大である。
また、本発明に係る強化織物は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更することができる。例えば、前述した実施形態では、中間層12を構成する中間たて糸12aと中間よこ糸12bとをアラミド繊維で構成しているが、これに代えて、PBO繊維(登録商標ザイロン)を用いることができる。これによると、さらに大きな強度を備えた強化織物を得ることができる。また、それ以外に、全芳香族ポリエステル繊維、PBT繊維、PBI繊維などの剛直性高分子からなる繊維を用いることもできる。
また、外部層11を構成する外部たて糸11aと外部よこ糸11bとしては、綿の外、ポリエステル、ナイロン(登録商標)等からなる耐光性のある繊維や、アラミド繊維を用いることができる。外部層11にアラミド繊維を用いる場合には、中間層12は、アラミド繊維からなる外部層11によって光から保護され、その強度を長期間にわたって維持することができる。また、内部層13を構成する内部たて糸13aと内部よこ糸13bとしては、綿の外、通常の衣料において使用されるウール、ポリエステル、シルク等の皮膚刺激性の小さな繊維であれば使用することができる。
さらに、前述した実施形態に係る強化織物10では、外部接結糸14a、内部接結糸14bをアラミド繊維からなる中間たて糸12aで構成しているが、これを、外部たて糸11aおよび内部たて糸13aとし、それぞれ外部たて糸11aまたは内部たて糸13aと同じ繊維からなる糸で構成することもできる。また、外部たて糸11aを外部接結糸14aとして、内部よこ糸13bに織り込んだり、内部たて糸13aを内部接結糸14bとして、外部よこ糸11bに織り込んだりすることもできる。
また、外部たて糸11a等の各糸は、双糸に限らず単糸を用いることができ、各糸の糸番手や、1インチ当たりの配置数も適宜変更することができる。ただし、高強度、耐磨耗性、耐熱性を備えた強化織物10を得るためには、中間層12を構成する中間たて糸12aおよび中間よこ糸12bが、糸番手が30sより太い単糸で構成され1インチ当たりに5〜40本が配置されていることが好ましい。さらに、好ましくは、中間たて糸12aおよび中間よこ糸12bが、1インチ当たりに、それぞれ15〜35本配置されていることである。これによって、高強度および耐磨耗性を要求される衣料に適した強化織物を得ることができる。
また、外部層11、中間層12および内部層13を構成する各たて糸とよこ糸との織り込み形状も、図2に示した形状に限らず、適宜変更が可能である。例えば、織り方も、平織り、綾織、朱子織、多重織等なんでもよい。さらに、前述した実施形態では、各糸を染色したのちに、製織しているが、染色によって縮むことのない糸を組み合わせたものであれば、製織後に染色することもできる。また、前述した実施形態では、強化織物10をライダースーツに使用するとしているが、この発明に係る強化織物は、高強度、耐磨耗性、耐熱性等が要求される織物であれば何にでも利用することができる。
本発明の一実施形態による強化織物の一部を切り欠いた状態を示す斜視図である。 図1に示した強化織物の織り込み状態を示す断面図である。
符号の説明
10…強化織物、11…外部層、11a…外部たて糸、11b…外部よこ糸、12…中間層、12a…中間たて糸、12b…中間よこ糸、13…内部層、13a…内部たて糸、13b…内部よこ糸、14a…外部接結糸、14b…内部接結糸。

Claims (4)

  1. 剛直性高分子繊維からなる中間たて糸と中間よこ糸とを互いに浮沈させながら交錯させて形成された中間層と、遮光性を有する繊維からなる外部たて糸と外部よこ糸とを互いに浮沈させながら交錯させて形成された外部層と、皮膚刺激性が小さな繊維からなる内部たて糸と内部よこ糸とを互いに浮沈させながら交錯させて形成された内部層とを備え、
    前記中間たて糸、前記外部たて糸および前記内部たて糸のうちの任意のたて糸を、前記中間よこ糸、前記外部よこ糸および前記内部よこ糸のうちの前記任意のたて糸と異なる層を形成するよこ糸に交錯させて、前記外部層、前記中間層および前記内部層を結合したことを特徴とする強化織物。
  2. 前記中間層を構成する剛直高分子繊維が、アラミド繊維またはPBO繊維である請求項1に記載の強化織物。
  3. 前記内部層を構成する繊維が、綿である請求項1または2に記載の強化繊維。
  4. 前記中間層を構成する中間たて糸および中間よこ糸が、糸番手が30sより太い単糸で構成され1インチ当たりに5〜40本が配置されている請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の強化織物。
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