JP2000042694A - 磁石材料の製造方法、磁石材料およびボンド磁石 - Google Patents

磁石材料の製造方法、磁石材料およびボンド磁石

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JP2000042694A JP10217761A JP21776198A JP2000042694A JP 2000042694 A JP2000042694 A JP 2000042694A JP 10217761 A JP10217761 A JP 10217761A JP 21776198 A JP21776198 A JP 21776198A JP 2000042694 A JP2000042694 A JP 2000042694A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高磁気特性で、収率が良く生産性が高い磁石材
料およびボンド磁石を提供すること。 【解決手段】急冷薄帯製造装置1の筒体2内に磁石材料
を入れ、コイル4により加熱して溶融し、その溶湯6を
ノズル3から射出する。溶湯6は、A方向に回転する冷
却ロール5の周面53に衝突し、パドル7を形成した
後、周面53に引きずられつつ急速に冷却されて凝固
し、急冷薄帯8が形成される。該急冷薄帯8は、やがて
周面53から離れ、B方向に進む。ノズル3から射出さ
れる溶湯6の体積流量をQ[mm3/sec ]、得られる急冷
薄帯8の幅をw[mm]としたとき、 lnw≦0.3・lnQ−1.0 ・・・(I) lnw≧0.3・lnQ−2.9 ・・・(II) 4.5≦lnQ≦6.9 ・・・(III)を満足す
るように製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁石材料の製造方
法、磁石材料およびボンド磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁石材料として、希土類元素を含む合金
で構成される希土類磁石材料は、高い磁気特性を有する
ため、モータ等に用いられた場合に、高性能を発揮す
る。
【0003】このような磁石材料は、例えば急冷薄帯製
造装置を用いた急冷法により製造される。この製造方法
は、次の通りである。
【0004】所定の合金組成の磁石材料(以下「合金」
と言う)を溶融し、その溶湯を雰囲気ガス中でノズルか
ら射出し、ノズルに対して回転している冷却ロールの周
面に衝突させ、該周面と接触させることにより合金を急
冷、凝固し、薄帯状(リボン状)の合金を連続的に形成
する。この薄帯状の合金は、急冷薄帯と呼ばれ、速い冷
却速度で凝固された結果、そのマクロ組織は、微細な多
結晶が集合した状態となっており、優れた磁気特性を発
揮する。
【0005】しかしながら、従来の製造方法では、次の
ような種々の要因で、磁気特性を低下させることがあ
る。
【0006】■ 冷却ロールの回転により、雰囲気ガス
のガス流が生じるが、このガス流がパドル(=ノズルか
ら射出された溶湯が冷却ロールの周面に衝突した部位に
生じる湯だまり)の側部に回り込み、その一部が冷却ロ
ールの周面と急冷薄帯のロール面(冷却ロールの周面と
接触する面)との間に侵入し、これが原因で、急冷薄帯
のロール面にディンプル(凹部)、特に巨大ディンプル
が生じる。
【0007】このディンプルが生じると、ディンプル部
分においては、気体の介在により冷却ロールの周面との
接触不良が生じ、冷却速度が低下して、急速な凝固が妨
げられる。そのため、ディンプルが生じた部位では、合
金の結晶粒径が粗大化し、磁気特性が低下する。
【0008】■ 例えば、特開平5−62813号公報
に示されているように、ノズルから射出される溶湯の体
積流量を多くすると、パドルが安定的に形成されず、揺
らぎが大きくなり、その結果、均一サイズの急冷薄帯が
得られなくなる。これにより、急冷薄帯の各部で冷却速
度にムラが生じ、結晶粒径が粗大化した部分(=低磁気
特性の部分)も形成されるので、全体として磁気特性が
低下することとなる。
【0009】■ 前記■の欠点を解消するために、ノズ
ルから射出される溶湯の体積流量を少なくすると、生産
性が低くなるとともに、溶湯流が途切れたり、溶湯がノ
ズルを通過する際に温度低下の影響を受け易くなり、収
率の低下、結晶粒径の粗大化やムラの発生が生じる。
【0010】以上のような低磁気特性の部分を含む急冷
薄帯を用いて製造された永久磁石も、同様に磁気特性が
低いものとなり、また、耐食性も低下する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
磁気特性が得られ、収率の良い磁石材料の製造方法、磁
石材料およびボンド磁石を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明(1)〜(14)により達成される。
【0013】(1) 雰囲気ガス中で、磁石材料の溶湯
をノズルから射出し、前記ノズルに対し回転している冷
却ロールの周面に衝突させ、冷却固化して、薄帯状の磁
石材料を製造するに際し、前記ノズルから射出される溶
湯の体積流量をQ[mm3/sec ]、得られる薄帯状の磁石
材料の幅をw[mm]としたとき、下記式(I)、(II)
および(III)を満足するように製造することを特徴と
する磁石材料の製造方法。
【0014】 lnw≦0.3・lnQ−1.0 ・・・(I) lnw≧0.3・lnQ−2.9 ・・・(II) 4.5≦lnQ≦6.9 ・・・(III) (2) 前記冷却ロールの周速度が、1〜60m/秒で
ある上記(1)に記載の磁石材料の製造方法。
【0015】(3) 冷却ロールの回転に起因して発生
する前記雰囲気ガスのガス流の、前記溶湯が衝突した部
位におけるレイノルズ数を1000以下とする上記
(1)または(2)に記載の磁石材料の製造方法。
【0016】(4) 前記雰囲気ガスは、不活性ガスで
ある上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁石材
料の製造方法。
【0017】(5) 前記冷却ロールの回転に伴う冷却
ロール周面の最大偏心量が、得られる薄帯状の磁石材料
の平均厚さの2倍以下である上記(1)ないし(4)の
いずれかに記載の磁石材料の製造方法。
【0018】(6) 前記磁石材料は、R(ただし、R
は、Yを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)を含
む合金である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載
の磁石材料の製造方法。
【0019】(7) 前記磁石材料は、R(ただし、R
は、Yを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)とT
M(ただし、TMは、遷移金属のうちの少なくとも1
種)とBを含む合金である上記(1)ないし(6)のい
ずれかに記載の磁石材料の製造方法。
【0020】(8) 前記磁石材料は、R(ただし、R
は、Yを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)とT
M(ただし、TMは、遷移金属のうちの少なくとも1
種)とNを含む合金である上記(1)ないし(6)のい
ずれかに記載の磁石材料の製造方法。
【0021】(9) 上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載の磁石材料の製造方法により製造されたことを
特徴とする薄帯状の磁石材料。
【0022】(10) 上記(9)に記載の磁石材料を
粉砕して粉末状としたことを特徴とする粉末状の磁石材
料。
【0023】(11) 上記(10)に記載の粉末状の
磁石材料を結合樹脂で結合してなることを特徴とするボ
ンド磁石。
【0024】(12) 前記粉末状の磁石材料の含有量
が82〜99.5wt%である上記(11)に記載のボン
ド磁石。
【0025】(13) 保磁力iHc が0.35MA/m以上
である上記(11)または(12)に記載のボンド磁
石。
【0026】(14) 磁気エネルギー積(BH)max が5
0kJ/m3 以上である上記(11)ないし(13)のいず
れかに記載のボンド磁石。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁石材料の製造方
法、磁石材料およびボンド磁石について、添付図面を参
照しつつ詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明の磁石材料を単ロール法に
より製造する装置(急冷薄帯製造装置)の構成例を示す
斜視図、図2は、図1に示す装置における溶湯の冷却ロ
ールへの衝突部位付近の状態を示す断面側面図である。
【0029】図1に示すように、急冷薄帯製造装置1
は、磁石材料を収納し得る筒体2と、該筒体2に対し図
中矢印A方向に回転する冷却ロール5とを備えている。
筒体2の下端には、磁石材料の溶湯を射出するノズル
(オリフィス)3が形成されている。
【0030】また、筒体2のノズル3近傍の外周には、
加熱用のコイル4が配置され、このコイル4に例えば高
周波を印加することにより、筒体2内を加熱(誘導加
熱)し、筒体2内の磁石材料を溶融状態にする。
【0031】冷却ロール5は、基部51と、冷却ロール
5の周面53を形成する表面層52とで構成されてい
る。
【0032】基部51は、例えば銅または銅系合金のよ
うな熱伝導率の高い金属材料で構成されているのが好ま
しく、表面層52は、基部51と同等の熱伝導率を有す
る金属材料か、または基部51より熱伝導率が低い金属
材料で構成されているのが好ましい。これにより、急冷
薄帯8のロール面(冷却ロール5の周面53と接触する
面)81側とフリー面(冷却ロール5の周面53と接触
しない側の面)82側との冷却速度の差をより小さくす
ることができ、結晶粒径の均一化を図ることができる。
【0033】また、基部51と、表面層52とが同一材
料で一体的に形成されていてもよい。
【0034】このような急冷薄帯製造装置1は、チャン
バー(図示せず)内に設置され、該チャンバー内に好ま
しくは不活性ガスやその他の雰囲気ガスが充填された状
態で作動する。特に、急冷薄帯8の酸化を防止するため
に、雰囲気ガスは、不活性ガスであるのが好ましい。
【0035】不活性ガスとしては、例えばアルゴンガ
ス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。また、雰
囲気ガスの圧力は、特に限定されず、減圧下であっても
よい。
【0036】急冷薄帯製造装置1では、筒体2内に磁石
材料を入れ、コイル4により加熱して溶融し、その溶湯
6をノズル3から射出すると、図2に示すように、溶湯
6は、冷却ロール5の周面53に衝突し、パドル(湯溜
り)7を形成した後、回転する冷却ロール5の周面53
に引きずられつつ急速に冷却されて凝固し、急冷薄帯8
が連続的または断続的に形成される。このようにして形
成された急冷薄帯8は、やがて、そのロール面81が周
面53から離れ、図1中の矢印B方向に進行する。な
お、図2中、溶湯の凝固界面71を点線で示す。
【0037】本発明では、ノズル3から射出される溶湯
6の体積流量をQ[mm3/sec ]、得られる急冷薄帯8の
幅をw[mm]としたとき、下記式(I)、(II)および
(III)を満足するように急冷薄帯8を製造する。な
お、式(I)、(II)中、lnは自然対数を表す。
【0038】 lnw≦0.3・lnQ−1.0 ・・・(I) lnw≧0.3・lnQ−2.9 ・・・(II) 4.5≦lnQ≦6.9 ・・・(III) 換言すれば、図3に示すように、lnQをx、lnwをyと
したとき、このx、y座標において、 y=0.3x−1 (式(I)に対応)、 y=0.3x−2.9 (式(II)に対応)、 x=4.5 (式(III)に対応)、および x=6.9 (式(III)に対応) の4つの直線で囲まれる範囲(図3中斜線を付した範
囲)内の条件で製造する。
【0039】以下、上記の限定理由を説明する。
【0040】1)y=0.3x−1 図3のx、y座標において、直線y=0.3x−1より
上方にプロットされる条件で急冷薄帯を製造すると、冷
却ロール5の回転に伴い生じた雰囲気ガスのガス流(ガ
ス粘性流)10が、冷却ロール5の周面53と急冷薄帯
8のロール面81との間に侵入し、これが原因でロール
面81にディンプル、特に巨大ディンプル13(以下、
これを総称して「ロール面欠陥」と言う)がより多く形
成される。これにより、周面53との接触不良が生じ、
熱伝達が阻害され、冷却速度が低下するので、急冷薄帯
8は、ロール面欠陥の部分において、結晶粒の粗大化が
生じ、磁気特性(磁束密度、保磁力、角型性等)が低下
する。また、このようなロール面欠陥を多く含む急冷薄
帯8から得られた磁石粉末を用いてボンド磁石を製造し
た場合、そのような磁石粉末は、結合樹脂との結合性
(結合樹脂の濡れ性)が悪く、そのため、このボンド磁
石は、機械的強度が低く、熱安定性(耐熱性)や耐食性
が劣るものとなる。
【0041】2)y=0.3x−2.9 図3のx、y座標において、直線y=0.3x−2.9
より下方にプロットされる条件で急冷薄帯を製造する
と、急冷薄帯8の幅wが狭くなり、相対的に急冷薄帯8
の厚さtが増大する。これにより、ロール面81側とフ
リー面82側との冷却速度の差が大きくなり、この差は
結晶粒径粒の差として現れる。従って、急冷薄帯8の厚
さ方向で磁気特性にバラツキが生じ、この急冷薄帯8を
粉末とした場合に、全体として磁気特性が低いものとな
る。
【0042】3)x=4.5 図3のx、y座標において、直線x=4.5より左方に
プロットされる条件で急冷薄帯を製造すると、体積流量
Qが少なくなり過ぎ、生産性(製造効率)が低下する。
また、溶湯6の流れが途切れたり、溶湯6がノズル3を
通過する際に温度低下の影響を受け易くなり、収率が低
下する。そのため、ノズル3から射出される溶湯6の温
度低下を防ぐための手段を講じる必要が生じる。
【0043】4)x=6.9 図3のx、y座標において、直線x=6.9より右方に
プロットされる条件で急冷薄帯を製造すると、体積流量
Qが多くなり過ぎ、パドル7が安定的に形成されず、揺
らぎが大きくなる。その結果、均一サイズで均質な急冷
薄帯8の製造が困難となる。また、極端な場合には、薄
帯を形成できず、ロール面53に衝突した溶湯6が粒状
物となって飛散してしまい、急冷薄帯8の収率が著しく
低下する。なお、粒状物となって飛散したものは、冷却
ロール5で十分に急冷されていないため、磁気特性は非
常に低く、使用に適さない。
【0044】以上の理由から、式(I)、(II)および
(III)を満足する条件で急冷薄帯8を製造することに
より、高磁気特性の磁石材料を高い生産性、高い収率で
製造することができる。そして、このような磁石材料を
用いて永久磁石、特にボンド磁石を製造した場合、磁気
特性が優れ、信頼性の高い磁石が得られる。
【0045】なお、急冷薄帯8の製造時における冷却ロ
ール5の周速度は、特に限定されず、溶湯の合金組成、
周面53の状態等によりその好適な範囲が異なるが、通
常、1〜60m/秒であるのが好ましく、5〜40m/
秒であるのがより好ましい。冷却ロール5の周速度が遅
すぎると、結晶粒径が増大する傾向となり、逆に冷却ロ
ール5の周速度が速すぎると、非晶質となり易く、いず
れの場合にも、磁気特性が低下する。
【0046】急冷薄帯製造装置1を用いた急冷薄帯の製
造においては、冷却ロール5の回転に起因して、パドル
7の周辺(溶湯6が周面53に衝突した部位)に雰囲気
ガスのガス流10が発生する。本発明では、このガス流
10のレイノルズ数(Re)を1000以下とするのが
好ましく、900以下とするのがより好ましく、10〜
700程度とするのがさらに好ましい。
【0047】レイノルズ数を前記上限値以下とすること
により、パドル7周辺のガス流10の乱れが少なくな
り、冷却ロール5の周面53と急冷薄帯8のロール面8
1との間へのガス流の侵入が抑制され、ロール面欠陥の
発生がさらに少なくなる。これにより、急冷薄帯8は、
速い冷却速度で冷却され、結晶粒の粗大化が防止され、
よって、磁気特性が向上する。
【0048】その結果、このような急冷薄帯8から得ら
れた磁石粉末を用いてボンド磁石を製造した場合、高機
械的強度で、耐熱性、耐食性に優れるボンド磁石が得ら
れる。
【0049】以下、前記レイノルズ数の定義について説
明する。
【0050】本明細書におけるレイノルズ数(Re)
は、物体の代表寸法として急冷薄帯8の幅(パドル7の
幅)を考慮した値であり、次式(IV)で表わされる。
【0051】
【数1】
【0052】ここで、式(IV)中、vは雰囲気ガス(ガ
ス流10)の流速、wは雰囲気ガスを遮る物体である急
冷薄帯8(=パドル7)の幅、νは雰囲気ガスの動粘性
係数である。vは例えば流れの可視化により求めること
ができる。
【0053】さらに、雰囲気ガスを理想気体近似するこ
と等から、レイノルズ数(Re)は、次式(V)で表わ
すことができる。
【0054】
【数2】
【0055】ここで、式(V)中、Mは雰囲気ガスの分
子量、ηは雰囲気ガスの粘性係数、Tは雰囲気ガスの温
度[K]、Pは雰囲気ガスの圧力[Pa]、Rは気体定
数である。
【0056】なお、雰囲気ガスが不活性ガスである場
合、そのガスの種類によって前記レイノルズ数は変わ
る。これは他のパラメータが全く同一でも、式(V)中
のM/ηが異なるためである。例えばアルゴンガスとヘ
リウムガスを比較すると、アルゴンガスのM/ηはほぼ
1800であり、ヘリウムガスのM/ηはほぼ200で
あり、M/ηはヘリウムガスの方が圧倒的に小さい。従
って、ヘリウムガスを用いることにより、レイノルズ数
を小さくし易いという利点を有している。換言すれば、
雰囲気ガスとしてヘリウムガスを用いることにより、レ
イノルズ数を1000以下とする上で、他の条件の許容
範囲をより広くとること(例えば、式(V)中のv、
w、Pをより大きく設定すること)ができるという利点
がある。
【0057】ところで、急冷薄帯製造装置1において
は、冷却ロール5自体の寸法精度(真円度)や、冷却ロ
ール5の軸受けに対する取り付け精度等から、冷却ロー
ル5が回転するに際し、図4に示すように、若干の偏心
(軸振れ)が生じる。この偏心が大きいと、パドル7に
おける溶融合金の表面や凝固界面71が振動し、得られ
た急冷薄帯8の寸法(幅w、厚さt)に変動が生じた
り、急冷薄帯8のロール面81が冷却ロール5の周面5
3と接触している時間に変動が生じたりする。さらに、
ロール面欠陥の発生率も高まる。その結果、急冷薄帯8
の冷却速度等が変動し、磁気特性にバラツキが生じる。
そして、このような急冷薄帯8から得られた磁石粉末や
それを用いたボンド磁石は、磁気特性が低下する。
【0058】このようなことを防止するために、本発明
では、冷却ロール5の回転に伴う冷却ロール5の周面5
3の最大偏心量ΔR(図4参照)を、得られる急冷薄帯
8の厚さ(平均厚さ)tの2倍以下とするのが好まし
く、1.5倍以下とするのがより好ましく、1倍以下と
するのがさらに好ましい。これにより、得られた急冷薄
帯8の磁気特性をより均一にすることができる。そし
て、これより製造されたボンド磁石の磁気特性をさらに
高めることができる。
【0059】特に、本発明では、このような最大偏心量
ΔRを規定することと、前述した式(I)、(II)およ
び(III)を満足することと、前述したレイノルズ数を
規定することとの相乗効果により、優れた磁気特性を発
揮するものである。
【0060】ここで、最大偏心量ΔRの下限値は、特に
限定されないが、冷却ロール5の周面53の加工精度の
限界や、冷却ロール5を支持する軸受けの精度の限界か
ら、0.1μm 程度とすることができる。
【0061】なお、最大偏心量ΔRは、例えば、レーザ
変位計、静電式変位計、精密ゲージ等の精密寸法測定機
器により測定することができる。
【0062】本発明における磁石材料としては、R(た
だし、Rは、Yを含む希土類元素のうちの少なくとも1
種)を含む合金、特にR(ただし、Rは、Yを含む希土
類元素のうちの少なくとも1種)とTM(ただし、TM
は、遷移金属のうちの少なくとも1種)とBとを含む合
金のような希土類磁石材料が挙げられ、次の[1]〜
[4]の組成のものが好ましい。
【0063】[1] Smを主とする希土類元素と、C
oを主とする遷移金属とを基本成分とするもの(以下、
Sm−Co系合金と言う)。
【0064】[2] R(ただし、RはYを含む希土類
元素のうちの少なくとも1種)と、Feを主とする遷移
金属と、Bとを基本成分とするもの(以下、R−Fe−
B系合金と言う)。
【0065】[3] Smを主とする希土類元素と、F
eを主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素とを
基本成分とするもの(以下、Sm−Fe−N系合金と言
う)。
【0066】[4] R(ただし、RはYを含む希土類
元素のうちの少なくとも1種)とFe等の遷移金属とを
基本成分とし、ナノメーターレベルで磁性相を有するも
の(ナノ結晶磁石)。
【0067】Sm−Co系合金の代表的なものとして
は、SmCo 、Sm TM17(ただしTMは、遷
移金属)が挙げられる。
【0068】R−Fe−B系合金の代表的なものとして
は、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、N
d−Pr−Fe−B系合金、Ce−Nd−Fe−B系合
金、Ce−Pr−Nd−Fe−B系合金、これらにおけ
るFeの一部をCo、Ni等の他の遷移金属で置換した
もの等が挙げられる。
【0069】Sm−Fe−N系合金の代表的なものとし
ては、Sm Fe17合金を窒化して作製したSm
Fe17 が挙げられる。
【0070】前記希土類元素としては、Y、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルが
挙げられ、これらを1種または2種以上含むことができ
る。また、前記遷移金属としては、Fe、Co、Ni等
が挙げられ、これらを1種または2種以上含むことがで
きる。また、磁気特性を向上させるために、磁石材料中
には、必要に応じ、B、Al、Cu、Ga、Si、T
i、V、Ta、Zr、Nb、Mo、Hf、Ag、Zn、
P、Ge等を含有することもできる。
【0071】以上のような製造方法により得られる本発
明の急冷薄帯(薄帯状の磁石材料)8は、ロール面81
において、巨大ディンプル等のロール面欠陥の発生が抑
制される。例えば、ロール面81において、面積が20
00μm2以上の巨大ディンプル13の占める面積率を1
2%以下とすることができる。
【0072】また、急冷薄帯8は、例えば、平均結晶粒
径を50nm以下とすること、特に30nm以下とすること
ができる。
【0073】以上のような急冷薄帯8を粉砕することに
より、本発明の粉末状の磁石材料(磁石粉末)が得られ
る。
【0074】粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボ
ールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種
粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。この場
合、粉砕は、酸化を防止するために、真空または減圧状
態下(例えば1×10−1〜1×10−6 Torr )、あ
るいは窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活
性ガス中のような、非酸化性雰囲気中で行うこともでき
る。
【0075】このような磁石粉末は、同一組成のものの
みならず、異なる2種以上の組成の磁石粉末を混合した
ものでもよい。例えば、前記[1]〜[4]の組成のも
ののうち、少なくとも2種を混合したものが挙げられ
る。この場合、混合する各磁石粉末の利点を併有するこ
とができ、より優れた磁気特性を容易に得ることができ
る。
【0076】また、磁石粉末の平均粒径は、特に限定さ
れないが、後述するボンド磁石を製造用のものの場合、
0.5〜60μm 程度が好ましく、1〜40μm 程度が
より好ましい。また、後述するような少量の結合樹脂で
成形時の良好な成形性を得るために、磁石粉末の粒径分
布は、ある程度分散されている(バラツキがある)のが
好ましい。これにより、得られたボンド磁石の空孔率を
低減することができ、ボンド磁石の機械的強度をより高
め、磁気特性をさらに向上することができる。
【0077】なお、異なる2種以上の組成の磁石粉末を
混合したものの場合、混合する磁石粉末の組成毎に、そ
の平均粒径が異なっていてもよい。また、このような混
合粉末の場合、異なる2種以上の組成の磁石粉末のうち
の少なくとも1種が前述した本発明の方法により製造さ
れたものであればよい。
【0078】また、本発明の粉末状の磁石材料は、ボン
ド磁石の製造に用いるものに限定されず、例えば、焼結
磁石の製造に用いるものであってもよい。
【0079】次に、本発明のボンド磁石について説明す
る。
【0080】本発明のボンド磁石は、前述の磁石粉末を
結合樹脂で結合してなるものである。
【0081】結合樹脂(バインダー)としては、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。
【0082】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミ
ド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロ
ン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可
塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマ
ー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィ
ン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等、
またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマ
ーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種
以上を混合して用いることができる。
【0083】これらのうちでも、成形性が特に優れてお
り、機械的強度が高いことから、ポリアミド、耐熱性向
上の点から、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイ
ドを主とするものが好ましい。また、これらの熱可塑性
樹脂は、磁石粉末との混練性にも優れている。
【0084】このような熱可塑性樹脂は、その種類、共
重合化等により、例えば成形性を重視したものや、耐熱
性、機械的強度を重視したものというように、広範囲の
選択が可能となるという利点がある。
【0085】一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、ビ
スフェノール型、ノボラック型、ナフタレン系等の各種
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリ
イミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙
げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して
用いることができる。
【0086】これらのうちでも、成形性が特に優れてお
り、機械的強度が高く、耐熱性に優れるという点から、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリ
コーン樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
また、これらの熱硬化性樹脂は、磁石粉末との混練性、
混練の均一性にも優れている。
【0087】なお、使用される熱硬化性樹脂(未硬化)
は、室温で液状のものでも、固形(粉末状)のものでも
よい。
【0088】このような本発明のボンド磁石は、例えば
次のようにして製造される。磁石粉末と、結合樹脂と、
必要に応じ添加剤(酸化防止剤、潤滑剤等)とを含むボ
ンド磁石用組成物(コンパウンド)を製造し、このボン
ド磁石用組成物を用いて、圧縮成形、押出成形、射出成
形等の方法により、磁場中または無磁場中で所望の磁石
形状に成形する。結合樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、
成形後、加熱等によりそれを硬化する。
【0089】ボンド磁石中の磁石粉末の含有量は、82
〜99.5wt%程度であるのが好ましく、90〜99wt
%程度であるのがより好ましい。特に、ボンド磁石が圧
縮成形により製造されたものの場合には、磁石粉末の含
有量は、93〜99.5wt%程度であるのが好ましく、
95〜99wt%程度であるのがより好ましい。
【0090】磁石粉末の含有量が少なすぎると、磁石粉
末の持つ高い磁気特性を生かすことができず、ボンド磁
石の磁気特性(特に磁気エネルギー積)の向上が十分に
図れない。また、磁石粉末の含有量が多すぎると、相対
的に結合樹脂の含有量が少なくなり、成形性が低下す
る。
【0091】このような本発明のボンド磁石は、その原
材料となる前述した急冷薄帯8の特性や、ボンド磁石の
製造条件、ボンド磁石中に含まれる磁石粉末の含有量の
多さ等から、優れた磁気特性を発揮する。
【0092】すなわち、本発明のボンド磁石は、保磁力
iHc が好ましくは0.35MA/m以上、より好ましくは
0.50MA/m以上である。
【0093】また、本発明のボンド磁石、特に無磁場中
で成形されたボンド磁石は、磁気エネルギー積(BH)max
が好ましくは50kJ/m3 以上、より好ましくは70kJ/m
3 以上である。
【0094】本発明のボンド磁石の形状、寸法等は特に
限定されず、例えば、形状に関しては、例えば、円柱
状、角柱状、円筒状(リング状)、円弧状、平板状、湾
曲板状等のあらゆる形状のものが可能であり、その大き
さも、大型のものから超小型のものまであらゆる大きさ
のものが可能である。
【0095】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0096】(実施例1)純度99.9%以上のNd、
Fe、Coの各金属と、Fe−B合金とを原料として、
合金組成がNd13Febal.Co5.5 (組
成A)で表わされる母合金インゴットを鋳造した。この
インゴットから約15gのサンプルを切り出した。
【0097】図1に示す構成の急冷薄帯製造装置1を用
意し、底部にノズル(円孔オリフィス)を設けた石英管
内に前記サンプルを入れた。急冷薄帯製造装置1が収納
されているチャンバー内を脱気してから不活性ガス(ア
ルゴンガス、ヘリウムガス)を導入し、所望の温度Tお
よび圧力Pの雰囲気とした。
【0098】その後、石英管内のインゴットサンプルを
高周波誘導加熱により溶融し、この溶湯を、回転する直
径200mm、幅20mmの冷却ロールの周面に向けて、石
英管の内圧と雰囲気圧との差圧により噴射し、組成Aの
合金の急冷薄帯を得た。なお、冷却ロールの表面層は、
銅製(厚さ5mm)のものとした。
【0099】また、冷却ロールの回転による冷却ロール
周面の最大偏心量ΔRをレーザ変位計により測定したと
ころ、ΔR=10μm であった。
【0100】またこの時、チャンバー内にセットした温
度センサー(熱電対)により雰囲気温度Tを測定した。
【0101】冷却ロールの回転数(周速)、オリフィス
径および噴射圧(差圧)等の条件を種々変更して、下記
表1に示す9個の試料A1〜A9の急冷薄帯を製造し
た。また、ΔR=50μm (>2t)である以外は同様
の冷却ロールに交換し、試料A9とほぼ同様の条件で試
料A10の急冷薄帯を製造した。
【0102】各試料A1〜A10について、急冷薄帯の
幅w、急冷薄帯の厚さt、体積流量Qおよび急冷薄帯の
幅wにおける(lnQ,lnw)、およびパドル付近の雰囲
気ガスのレイノルズ数Reは、下記表1に示す通りであ
る。また、(x,y)=(lnQ,lnw)を図5中にプロ
ットした。
【0103】なお、各急冷薄帯の幅wは、マイクロスコ
ープにより1試料につき5点以上の測定点で測定し、こ
れを平均した値とした。また、急冷薄帯の厚さtは、急
冷薄帯の横断面積を測定し、その値を幅wで除して求め
た。
【0104】次に、試料A1〜A10の各急冷薄帯につ
いて、以下の項目を評価した。その結果を下記表2に示
す。
【0105】<ロール面欠陥>各急冷薄帯について、ロ
ール面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、さらに
画像解析を行った。画像解析の結果より、ロール面に対
する面積2000μm2以上の巨大ディンプル(以下単に
「巨大ディンプル」と言う)の占める面積率を算出し、
この面積率が少ないものから順に、ロール面欠陥の有無
を4段階で評価した。
【0106】 ◎:面積率が0%以上4%未満 ○:面積率が4%以上8%未満 △:面積率が8%以上15%未満 ×:面積率が15%以上 <平均結晶粒径>各急冷薄帯について、透過型電子顕微
鏡(TEM)による組織観察を行い、その結果から、画
像処理等の方法により、平均結晶粒径を求めた。
【0107】<磁気特性>磁気特性として、保磁力iHc
および磁気エネルギー積(BH)max を測定した。測定に
は、振動試料型磁力計(VSM)を用いた。
【0108】<収率>急冷薄帯の収率を求めた。その方
法は、チャンバー内の急冷薄帯飛行方向の前方に急冷薄
帯の回収室を設け、噴射終了後、その回収室に回収され
た急冷薄帯の総重量を測定し、この総重量の投入インゴ
ット重量に対する比率を求めて収率(%)とした。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】表2および図5からわかるように、試料A
1〜A5の各急冷薄帯(本発明)では、いずれも、ロー
ル面欠陥が少なく、結晶粒の微細化が図れ、その結果、
高い磁気特性が得られている。特にレイノルズ数が小さ
いものは、この効果がより顕著に発揮されている。ま
た、試料A1〜A5の各急冷薄帯(本発明)は、いずれ
も、収率が高く、高い生産性を有することがわかる。
【0112】これに対し、試料A6〜A10の各急冷薄
帯(比較例)は、試料A1〜A5に比べ、磁気特性が劣
り、また、収率も低い。特に、冷却ロール周面の最大偏
心量ΔRが大きい試料A10は、試料A9に比べ、磁気
特性がさらに低下している。
【0113】(実施例2)合金組成がNd Pr
bal.Co Al Ga0.56.5(組成
B)で表わされる母合金インゴットを鋳造し、このイン
ゴットから切り出したサンプルを用いるとともに、ΔR
=15μm 、60μm の冷却ロールを用いた以外は、実
施例1と同様にして、試料B1〜B10の10種の急冷
薄帯を製造した。
【0114】各試料B1〜B10について、急冷薄帯の
幅w、急冷薄帯の厚さt、体積流量Qおよび急冷薄帯の
幅wにおける(lnQ,lnw)、およびパドル付近の雰囲
気ガスのガスのレイノルズ数Reは、下記表3に示す通
りである。また、(x,y)=(lnQ,lnw)を図6中
にプロットした。
【0115】次に、試料B1〜B10の各急冷薄帯につ
いて、前記実施例1と同じ項目を評価した。その結果を
下記表4に示す。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】表4および図6からわかるように、試料B
1〜B5の各急冷薄帯(本発明)では、いずれも、ロー
ル面欠陥が少なく、結晶粒の微細化が図れ、その結果、
高い磁気特性が得られている。特にレイノルズ数が小さ
いものは、この効果がより顕著に発揮されている。ま
た、試料B1〜B5の各急冷薄帯(本発明)は、いずれ
も、収率が高く、高い生産性を有することがわかる。
【0119】これに対し、試料B6〜B10の各急冷薄
帯(比較例)は、試料B1〜B5に比べ、磁気特性が劣
り、また、収率も低い。特に、冷却ロール周面の最大偏
心量ΔRが大きい試料B10は、試料B9に比べ、磁気
特性がさらに低下している。
【0120】(実施例3)合金組成がSm Zr
74Co15(組成C)で表わされる母合金インゴッ
トを鋳造し、このインゴットから切り出したサンプルを
用いるとともに、ΔR=15μm 、60μm の冷却ロー
ルを用いた以外は、実施例1と同様にして、試料C1〜
C10の10種の急冷薄帯を製造した。
【0121】各試料C1〜C10について、急冷薄帯の
幅w、急冷薄帯の厚さt、体積流量Qおよび急冷薄帯の
幅wにおける(lnQ,lnw)、およびパドル付近の雰囲
気ガスのガスのレイノルズ数Reは、下記表5に示す通
りである。また、(x,y)=(lnQ,lnw)を図7中
にプロットした。
【0122】次に、試料B1〜B10の各急冷薄帯につ
いて、前記実施例1と同じ項目を評価した。その結果を
下記表6に示す。
【0123】
【表5】
【0124】
【表6】
【0125】表6および図7からわかるように、試料C
1〜C5の各急冷薄帯(本発明)では、いずれも、ロー
ル面欠陥が少なく、結晶粒の微細化が図れ、その結果、
高い磁気特性が得られている。特にレイノルズ数が小さ
いものは、この効果がより顕著に発揮されている。ま
た、試料C1〜C5の各急冷薄帯(本発明)は、いずれ
も、収率が高く、高い生産性を有することがわかる。
【0126】これに対し、試料C6〜C10の各急冷薄
帯(比較例)は、試料C1〜C5に比べ、磁気特性が劣
り、また、収率も低い。特に、冷却ロール周面の最大偏
心量ΔRが大きい試料C10は、試料C9に比べ、磁気
特性がさらに低下している。
【0127】(実施例4)次に、試料A3、A5、A1
0、B3、B5、B10、C3、C5、C10の各急冷
薄帯を粉砕機(ライカイ機)により不活性ガス中で粉砕
して、平均粒径が15μm (組成A)、20μm (組成
B)、12μm (組成C)の磁石粉末とし、この磁石粉
末のうちの1種または2種以上(組み合わせは表8中に
記載)と、エポキシ樹脂1.5〜2.5wt%と、ヒドラ
ジン系酸化防止剤0.15wt%と、ステアリン酸塩(潤
滑剤)0.05wt%とを混合し、この混合物を十分に混
練(120℃×10分)して、ボンド磁石用組成物(コ
ンパウンド)を作製した。
【0128】次いで、このコンパウンドを粉砕して粒状
とし、この粒状物を秤量してプレス装置の金型内に充填
し、材料温度130℃、圧力6ton/cm2 で圧縮成形(無
磁場中)して成形体を得た。離型後、エポキシ樹脂を加
熱硬化させて、直径10mm×高さ7mmの円柱状のボンド
磁石(試料D1〜D15)を得た。
【0129】ここで、試料D1〜D9は、1種の磁石粉
末を用いたもの、試料D10〜D15は、試料D1〜D
9で用いた磁石粉末の2種以上の混合物(混合粉末)を
用いたものである。
【0130】なお、試料D1〜D15のボンド磁石中の
磁石粉末の含有量(混合粉末の場合は、その合計の含有
量)は、表7および表8中に示す通りである。
【0131】次に、試料D1〜D15の各ボンド磁石に
ついて、以下の項目を評価した。その結果を下記表7お
よび表8に示す。
【0132】<磁気特性>ボンド磁石の磁気特性とし
て、保磁力iHc および磁気エネルギー積(BH)max を測定
した。測定には、直流自記磁束計を用い、最大印加磁場
2MA/mにて測定した。
【0133】<耐食性>ボンド磁石に対し、60℃×9
5%RHで500時間までの恒温恒湿試験を行い、耐食性
を調べた。この耐食性は、ボンド磁石表面における錆の
発生の有無を目視により判別し、錆の発生の度合いで4
段階に評価した。
【0134】◎:錆の発生が全く無し○:錆の発生が僅
かに有り△:錆の発生有り×:錆の発生が顕著に有り
【0135】
【表7】
【0136】
【表8】
【0137】表7および表8からわかるように、試料D
1、D2、D4、D5、D7、D8、D10〜D15の
本発明のボンド磁石は、いずれも、保磁力iHc 0.35
MA/m以上、磁気エネルギー積(BH)max が50kJ/m3 以上
と、優れた磁気特性を有しているとともに、耐食性も優
れている。
【0138】特に、混合粉末を用いた試料D10〜D1
5は、より優れた磁気特性が得られている。
【0139】また、試料D1、D2、D4、D5、D
7、D8、D10〜D15のそれぞれと全く同条件でリ
ング状磁石を成形し、そのリング状磁石の圧環強度を測
定した。その結果、いずれも、高い機械的強度(2.5
kgf/mm以上)を有していることが確認された。
【0140】これに対し、試料D3、D6、D9のボン
ド磁石は、本発明のボンド磁石に比べて磁気特性が低
く、また耐食性が劣るものであった。
【0141】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、急
冷薄帯においてロール面欠陥が抑制され、結晶粒の微細
化により高い磁気特性を得ることができるとともに、収
率が良く、生産性が高い。
【0142】よって、高機械的強度で優れた磁気特性お
よび耐食性を有する永久磁石を提供することができる。
また、このような磁石を容易に製造すること、低コスト
で製造することができる。
【0143】特に、前述したレイノルズ数を所定値以下
とすることや、冷却ロール周面の最大偏心量を小さくす
ることとの組み合わせにより、急冷薄帯の磁気特性のバ
ラツキを有効に防止し、より一層優れた磁気特性を持つ
磁石材料や永久磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁石材料を製造する装置(急冷薄帯製
造装置)の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す装置における溶湯の冷却ロールへの
衝突部位付近の状態を示す断面側面図である。
【図3】溶湯の体積流量Qと急冷薄帯の幅wとの関係を
示す図である。
【図4】冷却ロールの回転に伴う冷却ロール周面の最大
偏心量を示す側面図である。
【図5】実施例1における溶湯の体積流量Qと急冷薄帯
の幅wとの関係を示す図である。
【図6】実施例2における溶湯の体積流量Qと急冷薄帯
の幅wとの関係を示す図である。
【図7】実施例3における溶湯の体積流量Qと急冷薄帯
の幅wとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 急冷薄帯製造装置 2 筒体 3 ノズル 4 コイル 5 冷却ロール 51 基部 52 表面層 53 周面 6 溶湯 7 パドル 71 凝固界面 8 急冷薄帯 81 ロール面 82 フリー面 10 ガス流 13 巨大ディンプル

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雰囲気ガス中で、磁石材料の溶湯をノズ
    ルから射出し、前記ノズルに対し回転している冷却ロー
    ルの周面に衝突させ、冷却固化して、薄帯状の磁石材料
    を製造するに際し、 前記ノズルから射出される溶湯の体積流量をQ[mm3/se
    c ]、得られる薄帯状の磁石材料の幅をw[mm]とした
    とき、下記式(I)、(II)および(III)を満足する
    ように製造することを特徴とする磁石材料の製造方法。 lnw≦0.3・lnQ−1.0 ・・・(I) lnw≧0.3・lnQ−2.9 ・・・(II) 4.5≦lnQ≦6.9 ・・・(III )
  2. 【請求項2】 前記冷却ロールの周速度が、1〜60m
    /秒である請求項1に記載の磁石材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 冷却ロールの回転に起因して発生する前
    記雰囲気ガスのガス流の、前記溶湯が衝突した部位にお
    けるレイノルズ数を1000以下とする請求項1または
    2に記載の磁石材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記雰囲気ガスは、不活性ガスである請
    求項1ないし3のいずれかに記載の磁石材料の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記冷却ロールの回転に伴う冷却ロール
    周面の最大偏心量が、得られる薄帯状の磁石材料の平均
    厚さの2倍以下である請求項1ないし4のいずれかに記
    載の磁石材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記磁石材料は、R(ただし、Rは、Y
    を含む希土類元素のうちの少なくとも1種)を含む合金
    である請求項1ないし5のいずれかに記載の磁石材料の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記磁石材料は、R(ただし、Rは、Y
    を含む希土類元素のうちの少なくとも1種)とTM(た
    だし、TMは、遷移金属のうちの少なくとも1種)とB
    を含む合金である請求項1ないし6のいずれかに記載の
    磁石材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記磁石材料は、R(ただし、Rは、Y
    を含む希土類元素のうちの少なくとも1種)とTM(た
    だし、TMは、遷移金属のうちの少なくとも1種)とN
    を含む合金である請求項1ないし6のいずれかに記載の
    磁石材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の磁
    石材料の製造方法により製造されたことを特徴とする薄
    帯状の磁石材料。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の磁石材料を粉砕して
    粉末状としたことを特徴とする粉末状の磁石材料。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の粉末状の磁石材料
    を結合樹脂で結合してなることを特徴とするボンド磁
    石。
  12. 【請求項12】 前記粉末状の磁石材料の含有量が82
    〜99.5wt%である請求項11に記載のボンド磁石。
  13. 【請求項13】 保磁力iHc が0.35MA/m以上である
    請求項11または12に記載のボンド磁石。
  14. 【請求項14】 磁気エネルギー積(BH)max が50kJ/m
    3 以上である請求項11ないし13のいずれかに記載の
    ボンド磁石。
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