JP2000041577A - カフェイン高含有エキス及びその製造方法、並びにカフェイン含有飲食物 - Google Patents
カフェイン高含有エキス及びその製造方法、並びにカフェイン含有飲食物Info
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Abstract
カフェインを多く含み、かつ渋味成分を低減してなるカ
フェイン高含有エキスを提供する。 【解決手段】 茶葉を50〜70℃で抽出し、この抽出
液に2〜5重量%の不溶性ポリビニルポリピロリドン
(PVPP)を添加し濾過し、更に高分子濾過又は微細
濾過することによって、茶葉カフェイン含有量の少なく
とも40重量%以上を回収することができ、乾燥重量と
してカフェイン8〜15重量%と茶抽出物(カフェイン
除く)92〜85重量%とを含有してなるカフェイン高
含有エキスを得ることができた。このエキスは、カフェ
イン含有率が高く、茶のうま味成分を多く含有し、それ
でいて渋味成分の含有率は低いという特徴を有してい
た。
Description
得られるエキスであって、特にカフェインを多く含むカ
フェイン高含有エキス及びその製造方法、並びにかかる
エキスを配合してなるカフェイン含有飲食物に関する。
植物に含まれる天然の化学成分であり、中枢神経興奮や
利尿作用など様々な薬理作用を有することが知られ、頭
痛薬、眠気防止剤、強心剤等の医薬部外品及び医薬品の
有効成分として広く汎用されている。また最近では、カ
フェインが有する覚醒作用や健康増進作用などが注目さ
れるようになり、カフェインを含有した疲労回復や眠気
防止等の効果を有する機能性食品の商品化が期待されて
いる。
カフェインの含有率は低く、このような抽出物(エキ
ス)を他の飲食物に添加しても上述のようなカフェイン
の機能を得ることは期待できないため、何らかの手段で
カフェインの含有率を高める必要がある。
より製造されていたほか、コーヒー豆等の植物から抽出
することにより得られていた。例えば、特公昭56−3
3395号には、生コーヒー豆等の植物材料に二酸化炭
素とグリセリドなどの液状物とからなる混合溶剤を作用
せしめて植物材料からカフェインを抽出する方法が開示
されている。
法によって得られるカフェインの多くは研究用試薬や医
薬品として使用されるものであり、有機溶媒を多量に使
用するため飲食物用には不向きであったり、設備投資に
多くの費用がかかるため日常の飲食物に添加するには高
価すぎるなどの問題があった。
公昭56−33395号開示)を茶に対して適用する
と、嗜好的に渋味が強くなったり、或いは濁りが生じる
ようになるなど機能性食品の商品化という点では問題が
あった。
の茶葉から安全に抽出して得られるエキスであって、カ
フェインを高含有し、しかも嗜好的には渋味成分の含有
量を低減してなるカフェイン高含有エキス及びカフェイ
ン含有飲食物を提供せんとするものである。
め、本発明者らが鋭意研究した結果、茶葉を温水乃至熱
水で抽出し、この抽出液に不溶性ポリビニルポリピロリ
ドン(PVPP)を添加し濾過することによって、茶葉
カフェイン含有量の少なくとも40重量%以上を回収す
ることができ、しかも渋味成分の含有量を抑制すること
ができることを見い出した。本発明はかかる知見に基づ
いてなされたものである。
で抽出し、この抽出液に不溶性ポリビニルポリピロリド
ン(PVPP)を添加し濾過することによって、茶葉カ
フェイン含有量の少なくとも40重量%以上を回収する
ことを特徴とするカフェイン高含有エキスの製造方法で
ある。このような製造方法によれば、カフェイン8〜1
5重量%(乾燥重量換算)と、合わせて100重量%と
なるように茶抽出物(カフェイン除く)92〜85重量
%(乾燥重量換算)とを含有してなるカフェイン高含有
エキスを得ることができる。このエキスは、長年日常的
に飲用されてきた茶由来の成分のみを含むものであるか
ら安全性が極めて高く、そればかりかカフェインの含有
率が高く、しかも茶のうま味成分を含有しており、それ
でいて渋味成分の含有率が低いという特徴を有してい
る。したがって、食品添加物として使用することによ
り、日常飲食している飲食物に茶の香味とともに上述し
たカフェインの作用を付与することができる。なお、本
発明でいう「エキス」は、液状、ゲル状、粉末状のいず
れの状態の濃縮物をも包含する意である。
て、茶葉を抽出する温水乃至熱水の温度は50〜70℃
に調整する。50℃よりも低くなるとカフェイン回収率
が減少するほか茶の旨味も少なくなる。一方、70℃よ
りも高くなると渋味が強く感じられるようになり、しか
も茶の旨味も少なくなる。
(PVPP)の添加量は、添加する抽出液に対し2〜5
重量%、好ましくは3〜4重量に調整する。3重量%、
特に2重量%よりも少ないと嗜好面で茶の渋みを感じる
ようになる。一方、4重量%、特に5重量%よりも多い
と添加量が過剰となり無駄になるばかりか、茶の旨味よ
りも雑味が強くなり、総合的な味のバランスを悪化させ
てしまう。不溶性ポリビニルポリピロリドン(PVP
P)の添加後は、抽出液を良く攪拌してPVPPとの接
触面積を上げるようにすることが好ましい。充分攪拌す
ることによって茶の渋みをより一層低減することができ
る。
ドン(PVPP)添加し濾過した後に、珪藻土濾過、膜
濾過などの高分子濾過或いは微細濾過を行うことによっ
てオリ(沈殿)や濁りの原因となる高分子を除去するの
が好ましい。
子濾過或いは微細濾過を行った後、得られた抽出液は、
例えば濃縮し、凍結乾燥又は噴霧乾燥するなどして粉末
エキスとして得ることができ、飲料や食品に配合するこ
とにより簡単にカフェイン飲食物を製造することができ
る。
述する。
0、90℃の温水でそれぞれ5分間抽出した後、この抽
出液に対して3重量%の不溶性ポリビニルポリピロリド
ン(以下「PVPP」という。)を添加し、攪拌しなが
ら約10分間放置した後、この抽出液を濾過してPVP
P及びこれに吸着された物質を除去し、得られた濾液を
濃縮・凍結乾燥させて茶エキスとし、得られた茶エキス
の茶葉カフェインに対する回収率、カフェイン及びカテ
キンの含有率を測定した。なお、カフェイン及びカテキ
ンの含有率は得られた茶エキスを液体クロマトグラフィ
ーにかけて測定した。
合し、果糖ブドウ糖溶液及びクエン酸を加え、最後にク
エン酸ナトリウムでpH3.5に調整してカフェイン飲
料を調製し、このカフェイン飲料について官能試験を行
った。
抽出し、その後PVPPを添加することなく(PVPP
処理0%)濾過し、得られた濾液を濃縮・凍結乾燥し、
実施例1と同様に、得られた茶エキスの茶葉カフェイン
に対する回収率、並びにカフェイン及びカテキンの含有
率を測定した。また、実施例1と同様に、得られた茶エ
キスを配合してカフェイン飲料を調製し官能試験を行っ
た。
茶葉カフェインに対する回収率、カフェイン及びカテキ
ンの含有率、並びにカフェイン飲料の官能試験の結果を
表1に示した。ここで、カフェイン回収率の評価は、4
0%未満なら×、40〜50%なら△、50%より多け
れば○と評価した。カフェイン含有量の評価は、9%未
満なら×、9〜10%なら△、10%以上なら○と評価
した。又、カテキン含有量の評価は、5%以上なら×、
1〜5%未満なら△、1%未満なら○と評価した。ま
た、飲料の官能検査は、専門パネラー10人で行い、旨
味、渋味、香りについて○△×の3段階で評価した。
かつPVPPを添加すれば、カフェイン回収率を40%
以上とすることができるばかりか、カフェイン含有量を
10%以上とすることができ、しかも茶の渋みを抑制で
きることが判明した。また、原料茶葉を50〜70℃で
抽出した時に茶の旨味と香りが最も優れていた。抽出温
度が50℃より低いと茶の旨味が少なくなる一方、70
℃より高いと渋味が強く感じられ、茶の旨味も少なくな
ることが判明した。これより、原料茶葉の抽出温度は、
カフェイン回収率と茶の香味の観点から、50〜70℃
とするのが好ましいと判断した。
分間抽出し、この抽出液にに対して1、2、3、4、5
重量%のPVPPを添加し、攪拌しながら約10分間放
置した後、各抽出液を濾過してPVPP及びこれに吸着
された物質を除去し、得られた濾液を濃縮・凍結乾燥さ
せて茶エキスとし、実施例1同様に得られた茶エキスの
茶葉カフェインに対する回収率、カフェイン及びカテキ
ンの含有率を測定した。また、実施例1と同様に飲料を
作成し官能試験を行った。
抽出し、その後PVPPを添加することなく(PVPP
処理0%)抽出液を濾過し、得られた濾液を濃縮・凍結
乾燥し、実施例2と同様に、得られた茶エキスの茶葉カ
フェインに対する回収率、カフェイン及びカテキンの含
有率を測定すると共に、カフェイン飲料を調製し官能試
験を行った。
茶葉カフェインに対する回収率、カフェイン及びカテキ
ンの含有率、並びにカフェイン飲料の官能試験の結果を
表2に示した。
上であればカテキン含有量は軽減され渋味を抑制するこ
とができるが、3重量%よりも少ないとカテキン含有量
が多くなり、嗜好面でも茶の渋味が感じられるようにな
ることが判明した。さらに、4重量%よりも多いと茶の
旨味よりも雑味が強くなり、総合的な味のバランスを悪
化させてしまうことが判明した。これより、PVPPの
添加量は抽出液に対して3〜4重量%とするのが特に好
ましいと判断した。
分間抽出し、この抽出液にPVPPを抽出液に対して3
重量%添加し、攪拌しながら約10分間放置した後、こ
の抽出液を濾過してPVPP及びこれに吸着された物質
を除去し、その後珪藻土濾過を行い、得られた濾液を濃
縮・凍結乾燥させて茶エキスとし、実施例1同様に得ら
れた茶エキスを配合してカフェイン含有飲料を作成し官
能試験を行うと共に、カフェイン含有飲料を40℃の状
態で5週間保存し、5週間後の清澄度を測定すると共に
オリ(沈殿)の発生状況を調べた。なお、清澄度の測定
は吸収波長660nmでのT%を分析した。
フェイン含有飲料を作成し、実施例1同様に官能試験を
行うと共に実施例3同様に保存し清澄度及びオリ(沈
殿)の発生状況を調べた。 1)PVPP添加処理及び珪藻土濾過をすることなく、
他の点については実施例3と同様にしてカフェイン含有
飲料を作成した。 2)緑茶茶葉を30℃の温水で抽出した点及び珪藻土濾
過をしない点の他は実施例3と同様にしてカフェイン含
有飲料を作成した。 3)珪藻土濾過をしない点の他は実施例3と同様にして
カフェイン含有飲料を作成した。 4)緑茶茶葉を90℃の温水で抽出した点及び珪藻土濾
過をしない点の他は実施例3と同様にしてカフェイン含
有飲料を作成した。
澄度、オリ(沈殿)の発生状況及び官能試験の結果を表
3に示した。
濾過を行ったものが最も高く、この場合には40℃で5
週間保存しても清澄度は変化しないことが判明した。ま
た、オリ(沈殿)の発生状況については珪藻土濾過を行
ったものは全くオリが認められず安定しており、官能試
験の結果も良好であった。
Claims (5)
- 【請求項1】 茶葉を50〜70℃で抽出し、この抽出
液に不溶性ポリビニルポリピロリドン(PVPP)を添
加し濾過することによって、茶葉カフェイン含有量の少
なくとも40重量%以上を回収することを特徴とするカ
フェイン高含有エキスの製造方法。 - 【請求項2】 不溶性ポリビニルポリピロリドン(PV
PP)の添加量は、添加する抽出液に対し2〜5重量%
である請求項1に記載のカフェイン高含有エキスの製造
方法。 - 【請求項3】 不溶性ポリビニルポリピロリドン(PV
PP)を添加し濾過した後、更に高分子濾過又は微細濾
過することを特徴とする請求項1又は2に記載のカフェ
イン高含有エキスの製造方法。 - 【請求項4】 乾燥重量としてカフェイン8〜15重量
%と茶抽出物(カフェイン除く)92〜85重量%とを
含有してなるカフェイン高含有エキス。 - 【請求項5】 請求項4に記載のカフェイン高含有エキ
スを配合してなるカフェイン含有飲食物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21071598A JP3898348B2 (ja) | 1998-07-27 | 1998-07-27 | カフェイン高含有エキス及びその製造方法、並びにカフェイン含有飲食物 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000041577A true JP2000041577A (ja) | 2000-02-15 |
JP3898348B2 JP3898348B2 (ja) | 2007-03-28 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP21071598A Expired - Lifetime JP3898348B2 (ja) | 1998-07-27 | 1998-07-27 | カフェイン高含有エキス及びその製造方法、並びにカフェイン含有飲食物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3898348B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017112853A (ja) * | 2015-12-21 | 2017-06-29 | キリン株式会社 | 高可溶性固形分濃度容器詰め緑茶飲料 |
JP2019110839A (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-11 | キリン株式会社 | 濃厚茶飲料 |
-
1998
- 1998-07-27 JP JP21071598A patent/JP3898348B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017112853A (ja) * | 2015-12-21 | 2017-06-29 | キリン株式会社 | 高可溶性固形分濃度容器詰め緑茶飲料 |
JP2019110839A (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-11 | キリン株式会社 | 濃厚茶飲料 |
JP7226886B2 (ja) | 2017-12-25 | 2023-02-21 | キリンホールディングス株式会社 | 濃厚茶飲料 |
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JP3898348B2 (ja) | 2007-03-28 |
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