JP2004222640A - ポリフェノール含有飲料の沈殿防止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリフェノール含有飲料(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を含有する飲料を除く)において、クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を配合し且つpHを5.0〜7.0に調整することを特徴とする飲料の沈殿防止方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリフェノール含有飲料の沈殿防止方法及び沈殿の生成が抑制されたポリフェノール含有飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒーや、その他のいわゆる健康茶等のポリフェノール含有飲料は、極めて大きな市場を形成しており、特に近年は、消費者の健康意識の増大等を背景に、成長著しい分野となっている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、これらポリフェノール含有飲料においては、その製造時あるいは長期保存中に白濁や沈殿が生じ製品の外観が損なわれしまうことが知られており、長期間の流通を意図した容器入り飲料等では、こうした沈殿等を抑制することが求められている。
【0004】
緑茶飲料やコーヒー飲料等、飲料としての商品化が以前から行なわれているものについては、沈殿の原因についても多数の報告がなされており、1つの要因として、製品保存時における抽出液中のポリフェノールの重合(ポリフェノールと他の成分、例えば蛋白質との重合も含む)が挙げられており、このため、遠心分離、珪藻土濾過(特許文献2参照)、吸着樹脂等によるポリフェノール等の吸着(特許文献3参照)、タンナーゼ処理によるタンニンの分解(特許文献4参照)、EDTAやグルコン酸等のキレート剤若しくはイオン交換樹脂による鉄やカルシウム等の無機塩類の除去(特許文献5参照)、無機塩類の添加による沈殿物の除去等、さまざまな沈殿抑制法が報告されている。
【0005】
しかしながら、これらポリフェノール含有飲料では、ポリフェノールが呈味成分や各種生理活性の有効成分として働いている場合も多いため、その除去は風味劣化や製品の有用性の低下が生じてしまうこともあった。具体的には、遠心分離や無機塩の添加塩類の除去では経時的な沈殿の抑制効果が全くないかほとんどなく、珪藻土濾過、ポリフェノール吸着樹脂による濾過、タンナーゼ処理によるタンニン類の分解、無機塩類の添加による澱出しでは、茶類飲料の呈味成分や有効成分であるポリフェノール類の量が低下してしまうため、適用の範囲が限られていた。このように従来の製造方法では、呈味成分やポリフェノール含量を維持しながら沈殿の発生を抑制した状態でポリフェノール含有飲料を長期保存するのは困難であった。
【0006】
一方、pHを高くするかあるいは低くすることによって各種飲料の沈殿を抑制できる可能性があることは広く知られているが(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10参照)、pHが7以上の場合沈殿の多くが可溶化するものの、いわゆるアルカリ味が出てくるので風味が大幅に落ち商品価値が損なわれる。またpHが4以下の場合は沈殿は可溶化するかさらに激しくなるかのどちらかであることが多く、また風味的に酸味が出てくるので甘味を補う必要があり、甘味が強くなりすぎるとやはり商品価値を損なうという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特許第2974946号公報
【特許文献2】
特開平4−311348号公報
【特許文献3】
特開平9−220053号公報
【特許文献4】
特開平6−269246号公報
【特許文献5】
特開平10−165096号公報
【特許文献6】
特開平7−170912号公報
【特許文献7】
特開平2−13348号公報
【特許文献8】
特公平7−99996号公報
【特許文献9】
特開平2−13348号公報
【特許文献10】
特許第3119968号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリフェノール含有飲料について、その呈味成分やポリフェノール含量を低下させることなく、しかも風味を維持したまま、長期にわたり沈殿の発生を抑制する方法、及び当該沈殿の発生が抑制された安定な飲料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、斯かる実情に鑑み、ポリフェノール含有飲料の長期安定性について鋭意研究を行ったところ、当該飲料にクエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を存在させ、且つそのpHを5.0〜7.0とすることにより、風味を損なうことなく、沈殿の発生を有効に防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、ポリフェノール含有飲料(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を含有する飲料を除く)において、クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を配合し且つpHを5.0〜7.0に調整することを特徴とする飲料の沈殿防止方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を含有し且つpHが5.0〜7.0であることを特徴とするポリフェノール含有飲料(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を含有する飲料を除く)を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の飲料の沈殿防止方法は、ポリフェノール含有飲料(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を含有する飲料を除く)において、クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物(以下、「クエン酸類」ともいう)を配合し、且つpHを5.0〜7.0に調整することを特徴とするものである。
本発明のポリフェノール含有飲料とは、ポリフェノール又はポリフェノール含有物を含む飲料を意味し、ポリフェノール含有物としては、例えば緑茶、ウーロン茶、紅茶の他、いわゆる健康茶(バナバ茶、アシタバ茶、エンメイソウ茶、オオバコ茶、柿の葉茶、ギムネマ茶、金銀花茶、クコ葉茶、クマザザ茶、サンザシ茶、シソ茶、スギナ茶、ツキミソウ茶、ツルナ茶、ドクダミ、ハコベ、ハブ茶、松葉茶、マテ茶、ラフマ茶、メグスリノキ茶、ユキノシタ茶、ヨモギ茶、ルイボス茶、菊花茶、甜茶、杜仲茶)等の茶類、コーヒー、各種の生薬等の植物又は当該植物を水やアルコール等の溶媒で抽出した抽出物(エキス)が挙げられる(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を除く)。尚、茶類とは、一般的に茶として認知されている各種の植物体を指し、植物分類学上の茶(学名:Camellia Sinensis (L) O.Kuntze)に限定されるものではない。
斯かるポリフェノール含有物は1種又は2種以上を混合して使用することができ、特に緑茶、ウーロン茶又はコーヒーを用いることが好ましい。
【0013】
上記植物は、その葉、果実、花、根、茎、樹皮等をそのまま、或いは乾燥、粉砕して、本発明飲料の原料として用いることができ、その抽出物としては、斯かる植物原料を水やアルコール等の溶媒で抽出した抽出液又はその濃縮・乾燥物等が挙げられる。
各植物体からの抽出は、植物エキスの調製法として通常用いられる方法に従って行えばよく、例えば植物の葉、果実、花、根、茎、樹皮等を乾燥し、適当な大きさに切断したものを、水又はエタノール、アセトン等の親水性溶媒又はこれらの混合物を用いて抽出し、必要に応じてそれらを噴霧乾燥、凍結乾燥等して、濃縮・乾燥物とすればよい。
【0014】
抽出条件は、使用する溶媒によっても異なるが、例えば水抽出する場合、植物1重量部に対して5〜50重量部の水を用い、30〜130℃、好ましくは50〜100℃の温度で、1〜60分、好ましくは3〜25分間抽出するのが好ましい。また、風味を改善するために、植物を乾燥後焙煎したものを用いてもよく、抽出溶媒に重曹等のアルカリを加えpHを上げてから抽出を行ってもよい。
【0015】
例えば緑茶飲料を製造する場合には、緑茶を収穫後、蒸し機で95℃以上で20秒から3分蒸すか、炒り葉機で200℃〜350℃で10〜30分炒り、加熱後の茶葉を揉捻機で揉捻した後、乾燥して荒茶を得る。得られた荒茶をさらに熱風乾燥機や回転ドラム型火入れ機で90℃〜150℃で10〜30分火入れし、ふるい分けして仕上げ加工を行う。こうして得られた茶葉を50〜100℃の熱水で1〜10分間抽出し、得られた緑茶抽出液を適当な濃度、好ましくはポリフェノールの含有率が30〜70mg/100mL程度となるように濃縮または希釈して調製した緑茶抽出液を用いるのが好ましい。
【0016】
斯かる植物又はその抽出物の1種又は2種以上を混合し、必要に応じて水、エタノール、果汁等、好ましくは、風味、抽出性、安全性及び価格の点から水により希釈し、遠心分離、クエン酸類の添加、pH調整等を行うことにより本発明の飲料を製造することができる。
クエン酸類の添加は、飲料の調製時(pH調整時)の他、抽出溶媒に添加することや、抽出操作を行った後の抽出液に添加することでもよい。
【0017】
飲料に配合されるクエン酸塩としては、化学的に安全性が高く、茶類等に添加した場合の風味への相性がよいナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、更に、安価であり、入手しやすく、これまでの食経験から安全性が高いと考えられるクエン酸一ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クリン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸マグネシウム等が好ましく、特にpH調整がしやすいことや前記の理由等からクエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸マグネシウムを用いることが好ましい。また、クエン酸若しくはその塩を含む天然物としては、例えばレモン果汁、オレンジ果汁等の果汁類や、食酢等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
斯かるクエン酸類の添加により、飲料の風味、生理効果を減ずることなく製造時、保存時における沈殿を防止することができる。
【0018】
クエン酸類の配合量は、特に限定されるものではないが、飲料中クエン酸として0.01〜3g/L配合するのが好ましく、特に0.1〜2g/L、更に0.1〜1g/L配合するのが好ましい。沈殿防止効果がこの量で最も発揮されること、当該範囲において本発明飲料の最適pHが得られること、及び風味に与える影響が少ないためである。
【0019】
また、本発明飲料のpHは、沈殿防止効果の点から、5.0〜7.0に調整され、特にpH5.7〜6.8、更に6.3〜6.5が好ましい。より具体的には、飲料が、緑茶等の茶類飲料であれば、pH5.0〜7.0、特にpH5.7〜6.8、更にpH6.1〜6.6が好ましく、コーヒーであれば、pH5.0〜7.0、特にpH5.5〜6.8、更にpH5.7〜6.6が好ましい。pH5.0以下では沈殿防止効果が低下するとともに不要な酸味が出てくることがあり、pH7.0以上では沈殿防止効果が低下するとともに不快なアルカリ味が出ることから好ましくない。従って、クエン酸類の配合量は、上述の通りpHが5.0〜7.0、特に6.0〜6.8となる量とするのが好ましい。
【0020】
尚、pHの調整は、クエン酸類を適量添加した後に、他のpH調整剤を用いて行うことも可能であり、斯かるpH調整剤としては、重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム、D−酒石酸水素カリウム、炭酸カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム等のアルカリを挙げることができる。
【0021】
本発明のポリフェノール含有飲料は斯くして調製されるが、更に必要に応じ、副原料として各種糖質や乳化剤、増粘剤、甘味料、酸味料、果汁等を適宜添加することが可能であり、例えば、甘味料を甘味度としての総量が砂糖換算で10g/L以下となるように添加し、低甘味飲料等とすることができる。
斯かる添加剤としては、例えば、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム、アリテーム等の高甘味度甘味料、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、カラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、澱粉、ジェランガム等他の増粘(安定)剤、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料、クエン酸含量が少ない果汁(例えばメロン、スイカ、柿等)やそれらの香料等が挙げられる。また、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類やカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類、牛乳、全粉乳、脱脂乳、部分脱脂乳、濃縮乳、クリーム等の乳成分、スパイス、ハーブ等を添加することも可能である。
【0022】
得られたポリフェノール含有飲料は、PETボトル等の透明容器、紙容器、缶容器等に充填し、容器形態によっては後殺菌を行って製品とすることができ、斯かる製品は、長期保存してもその呈味成分やポリフェノール含量が低下せず、しかも風味を損なうことなく、沈殿や白濁を生じることもない。
【0023】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
【0024】
実施例1 緑茶飲料の製造(1)
緑茶の茶葉10kgを75℃の熱水250kgに入れ、5分間抽出を行った。この抽出液にクエン酸三ナトリウム0.4kgを添加し、さらにアスコルビン酸ナトリウム1kg、重曹0.1kgを添加した。この抽出液を20℃以下に冷却し、連続型遠心分離機を用いて回転数5000rpm流量7500L/時間の遠心分離を行った後、濾布を用いて濾過し、不純物を除去した。精密濾過後の抽出液をタンニン量が0.05%になるように水を入れて希釈し、最終的な緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液を138℃で高温短時間殺菌し、87℃に冷却した後、500mLのPETボトルに充填し、73℃4分間の熱水シャワーで後殺菌した後、40℃以下に冷却して緑茶飲料(本発明品1)を製造した。製造直後のpHは6.6であった。
【0025】
比較例1 緑茶飲料の製造(2)
クエン酸三ナトリウムを添加しないこと以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(比較品1)を製造した。製造直後のpHは6.5であった。
【0026】
実施例2 緑茶飲料の製造(3)
重曹1kgを2kgに増やしたこと以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(本発明品2)を製造した。製造直後のpHは6.8であった。
【0027】
実施例3 緑茶飲料の製造(4)
重曹1kgを0.5kgに減らしたこと以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(本発明品3)を製造した。製造直後のpHは6.4であった。
【0028】
実施例4 緑茶飲料の製造(5)
重曹を添加しないこと以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(本発明品4)を製造した。製造直後のpHは6.1であった。
【0029】
実施例5 緑茶飲料の製造(6)
重曹を添加せず、アスコルビン酸ナトリウム1kgのうち、0.2kgをアスコルビン酸に換えた以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(本発明品5)を製造した。製造直後のpHは5.7であった。
【0030】
比較例2 緑茶飲料の製造(7)
重曹を添加せず、アスコルビン酸ナトリウム1kgをアスコルビン酸1kgに換えた以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(比較品2)を製造した。製造直後のpHは4.8であった。
【0031】
比較例3 緑茶飲料の製造(8)
重曹1kgを10kgに増やしたこと以外は実施例1と全く同様に緑茶飲料(比較品3)を製造した。製造直後のpHは7.2であった。
【0032】
試験例1 ポリフェノールの測定
実施例1と比較例1で得た緑茶飲料について、製造直後のポリフェノール類の量を定量した。定量は茶ポリフェノールの公定法として広く用いられている酒石酸鉄比色法(茶業試験場化学研究室:茶業試験場研究報告,No. 6, 167(1970))を用いて行った。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、本発明品1のポリフェノール類の量は、比較品1と比べてほとんど変わらなかった。
【0035】
試験例2 沈殿量の測定(1)
実施例1と比較例1で得た緑茶飲料を37℃で6ヶ月間静置保存し、沈殿の発生時期と沈殿量を調べた。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2から明らかなように、比較品1では約3ヶ月で沈殿が発生するのに対し、本発明品1では6ヶ月保存後も沈殿がほとんど発生しなかった。
【0038】
試験例3 苦渋味の評価
実施例1と比較例1で得た緑茶飲料について、苦渋味が変わりないかどうかをパネル10名の官能検査によって比較した。比較品1を基準とし、本発明品1と比較品1についてその苦渋味の強度を5段階の評点で評価した。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
表3から明らかなように、本発明品1は比較品1と比べ、緑茶飲料の風味の重要な要素である苦渋味の強度について低下することがなく、却って上昇傾向が見られた。また5%の危険率で有意差はみられなかった。
【0041】
試験例4 沈殿量の測定(2)
実施例1〜5及び比較例2及び3で得た緑茶飲料を37℃で6ヶ月間保存し、沈殿の発生時期と沈殿量を調べた。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
表4から明らかなように、本発明品1〜5は比較品2及び3と比べ、沈殿がほとんど発生しなかった。このことからpHが5.0を下回るか7.0を超えると沈殿防止効果が弱まってしまうことがわかった。また、pH5.7〜6.8、特に6.1〜6.6で沈殿防止効果が顕著であった。
【0044】
試験例5 風味評価
試験例4で沈殿量を測定した緑茶飲料について、以下の指標に従い、パネル10人の官能評価を行なった。結果を表5に示す。
【0045】
<指標>
+2:風味がよい、+1:風味がややよい、0:普通、
−1:風味がやや悪い、−2:風味が悪い
【0046】
【表5】
【0047】
実施例6 コーヒー飲料の製造(1)
コーヒー豆(コロンビア産)をL値が24となるよう焙煎したのちコーヒーミルによって豆を挽き、挽いたコーヒー豆100gをペーパーフィルターに入れ、これを98℃の熱水1.2kgで抽出し、1kgの抽出液を得た。この抽出液にクエン酸三ナトリウム0.4gを添加し、さらに、重曹0.8gを添加した。この抽出液を20℃以下に冷却し、遠心分離機を用いて遠心重力7000G、10分間の遠心分離を行った後、濾布を用いて濾過し、最終的なコーヒー抽出液を得た。このコーヒー抽出液を190g缶に充填し、121℃20分間のレトルト殺菌を行ったあと、20℃以下に冷却してコーヒー飲料(本発明品6)を製造した。製造直後のpHは5.7であった。
【0048】
比較例4 コーヒー飲料の製造(2)
クエン酸三ナトリウムを添加しないこと以外は実施例2と全く同様にコーヒー飲料を製造した(比較品4)。製造直後のpHは5.6であった。
【0049】
実施例7 コーヒー飲料の製造(3)
重曹0.8gを1.2gに増やしたこと以外は実施例6と全く同様にコーヒー飲料(本発明品7)を製造した。製造直後のpHは6.0であった。
【0050】
実施例8 コーヒー飲料の製造(4)
重曹0.8gを1.8gに増やしたこと以外は実施例6と全く同様にコーヒー飲料(本発明品8)を製造した。製造直後のpHは6.6であった。
【0051】
実施例9 コーヒー飲料の製造(5)
重曹0.8gを2.2gに増やしたこと以外は実施例6と全く同様にコーヒー飲料(本発明品9)を製造した。製造直後のpHは6.8であった。
【0052】
実施例10 コーヒー飲料の製造(6)
重曹0.8gを0.5gに減らしたこと以外は実施例6と全く同様にコーヒー飲料(本発明品10)を製造した。製造直後のpHは5.5であった。
【0053】
比較例5 コーヒー飲料の製造(7)
重曹を添加しないこと以外は実施例1と全く同様にコーヒー飲料(比較品5)を製造した。製造直後のpHは5.0であった。
【0054】
比較例6 コーヒー飲料の製造(8)
重曹0.8gを8gに増やしたこと以外は実施例1と全く同様にコーヒー飲料(比較品6)を製造した。製造直後のpHは7.2であった。
【0055】
試験例6 ポリフェノール類の測定
実施例6と比較例4で得たコーヒー飲料のポリフェノール類の量を、酒石酸鉄比色法で定量した。結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
表6から明らかなように、本発明品6のポリフェノール類の量は、比較品4と比べてほとんど変わらず、また、その風味を保っていた。
【0058】
試験例7 沈殿量の測定(1)
実施例6と比較例4で得たコーヒー飲料を37℃で6ヶ月間静置保存し、沈殿の発生時期と沈殿量を調べた。結果を表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】
表7から明らかなように、比較品2では約3ヶ月で沈殿が発生するのに対し、本発明品6では沈殿がほとんど発生しなかった。
【0061】
試験例8
実施例6と比較例4で得たコーヒー飲料について、苦渋味が変わりないかどうかをパネル10名の官能検査によって比較した。比較品4を基準とし、本発明品6と比較品4についてその苦渋味の強度を5階の評点で評価した。その結果は表8に示すとおりであった。
【0062】
【表8】
【0063】
表8から明らかなように、本発明品6は比較品4と比べ、コーヒー飲料の風味の重要な要素である苦渋味の強度について低下することがなかった。また5%の危険率で有意差はみられなかった。
【0064】
試験例9 沈殿量の測定(2)
実施例6〜10及び比較例5及び6で得たコーヒー飲料を37℃で6ヶ月間保存し、沈殿の発生時期と沈殿量を調べた。結果を表9に示す。
【0065】
【表9】
【0066】
表9から明らかなように、本発明品6〜10は比較品5及び6と比べ、沈殿がほとんど発生しなかった。このことからpHが5.0を下回るか7.0を超えると沈殿防止効果が弱まってしまうことがわかった。また、pH5.5〜6.8、特に5.7〜6.6で沈殿防止効果が顕著であった。
【0067】
試験例10 風味評価
試験例9で沈殿量を測定したコーヒー飲料について、以下の指標に従い、パネル10人の官能評価を行った。結果を表10に示す。
<指標>
+2:風味がよい、+1:風味がややよい、0:普通、
−1:風味がやや悪い、−2:風味が悪い
【0068】
【表10】
【0069】
【発明の効果】
本発明の沈殿防止方法によれば、ポリフェノール含有飲料について、その呈味成分やポリフェノール含量を低下させることなく、しかも風味を損なうことなく、長期にわたり沈殿の発生を抑制することができ、沈殿の発生が抑制された商品価値の高い安定な飲料を提供することができる。
Claims (6)
- ポリフェノール含有飲料(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を含有する飲料を除く)において、クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を配合し且つpHを5.0〜7.0に調整することを特徴とする飲料の沈殿防止方法。
- クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を、クエン酸として0.1〜1g/L配合するものである請求項1記載の沈殿防止方法。
- クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物がクエン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の沈殿防止方法。
- クエン酸若しくはその塩又はそれらを含む天然物を含有し且つpHが5.0〜7.0であることを特徴とするポリフェノール含有飲料(但し、グアバ、クワ、ビワ及びイチョウから選ばれる植物抽出物を含有する飲料を除く)。
- クエン酸若しくはその塩がクエン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項4記載の飲料。
- 甘味料の甘味度としての総量が、砂糖換算で10g/L以下である請求項4又は5記載の飲料。
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