JP2000038703A - 融雪装置 - Google Patents

融雪装置

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JP2000038703A JP10221098A JP22109898A JP2000038703A JP 2000038703 A JP2000038703 A JP 2000038703A JP 10221098 A JP10221098 A JP 10221098A JP 22109898 A JP22109898 A JP 22109898A JP 2000038703 A JP2000038703 A JP 2000038703A
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武二 福田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄道の軌道近傍における持ち込み雪等の強固
な積雪であっても融解させることができる融雪装置を提
供する。 【解決手段】 熱を発生するヒートパイプ21と、金属
等からなる斜面状部材でヒートパイプ21の上部を覆い
雪をその表面上に支持しヒートパイプ21からの熱を雪
に伝達して融解し融雪水を所定方向へ導く上部覆板30
と、ヒートパイプ21からの熱のうち上部覆板30に伝
達される熱以外の熱を断熱し蓄熱材としての空気を密閉
する断熱板40及び端部覆板41,42と、温度センサ
と、検出温度に応じてヒートパイプ21の発熱の開始又
は停止を制御するコントローラ及び通電切換用のスイッ
チを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、降雪又は積雪を融
解させる融雪装置に関するものであり、特に、鉄道の駅
等の軌道近傍に堆積する雪、特に鉄道車両により持ち込
まれる雪等の融解に好適な融雪装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、多雪地域の道路、又は鉄道踏切等
においては、積雪が道路交通又は鉄道運行の障害の原因
となるため、冬季の降雪の逐次除去が課題となってい
た。このような場合の降雪の除去方法としては、高い電
気抵抗を有し通電により熱を発生する電熱式発熱体を用
いた融雪装置や、パイプ内に水等の作業流体を封入し燃
料の燃焼や電熱式発熱体により発生させた熱を作業流体
に伝えてパイプ内を循環させるヒートパイプ等を利用し
た融雪装置を路面や踏切面に配置し、あるいは路面や踏
切面の下部に埋設し、路面や踏切面の全体をある程度の
温度に保つよう加熱させるのが一般的であった。
【0003】その理由は、道路や鉄道踏切などの場合に
は、路面上や踏切面上を自動車が走行するほか歩行者も
歩行するので、降雪がある程度堆積しても、押圧・攪乱
等の機械的な力を受ける機会が少なくなく、単に路面や
踏切面を加熱するだけでも比較的すみやかに消雪効果を
あげることができるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多雪地
域の鉄道において、鉄道車両の側面や床下に付着した後
に融けたりレール継目や分岐機を通過する際の衝撃等に
より落下して軌道の内外に堆積する雪(以下、「抱き込
み雪」という。)や、あるいは駅と駅との中間区間の軌
道近傍の積雪が鉄道車両前部の排障器(スノウプラウ)
により押された後に車両が駅等に停車した際に車両前部
付近の軌道の内外に堆積する雪(以下、「持ち込み雪」
という。)の場合は、上記した単純な加熱による融雪方
法ではその除去が非常に困難であった。
【0005】その理由は、 抱き込み雪や持ち込み雪は、通常の降雪による積雪に
比べ一箇所に集中する雪の量が多く、排障器による圧縮
等の作用により雪の密度も高く、かつ駅構内の軌道近傍
では道路等における車両や歩行者等による押圧・攪乱等
の融雪を補助する作用がまったく期待できないため、通
常の積雪に比べ格段に融けにくいこと、 従来の融雪装置は上面が略平坦なものが多く、加熱に
よる融解で生成した水は略平坦な融雪装置表面に小さな
水滴状部分や水たまり状部分を作るが、この水に寒風が
吹き付けられると気化熱(蒸発熱)を奪うため水滴状部
分等の周囲が冷却され、場合によっては水滴が凍結して
融雪装置表面に張り付いてしまい、加熱効果を著しく減
殺すること(以下、「寒風冷却現象」又は「寒風冷却効
果」という。)、 加熱により融雪装置の直上部分の雪は融けるが、融け
た後にカマクラの内部のようなドーム状の空洞ができる
ため、融雪装置の熱はこの空洞の周囲の雪に伝わりにく
くなり、その後の融雪作用を妨げること(以下、「カマ
クラ現象」又は「カマクラ効果」という。)、等にあっ
た。
【0006】このため、抱き込み雪や持ち込み雪が駅構
内の分岐器付近で生じると、分岐器の転換不良あるいは
密着不良を起こし鉄道の正常な運行を妨害する、という
問題があった。また、抱き込み雪や持ち込み雪が停車中
の列車の先頭部や中間部で生じると、停車列車が再度発
車する際の障害となり、極端な場合には列車が動けなく
なることがあり、この場合も鉄道の正常な運行を妨害す
る、という問題があった。
【0007】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の解決しようとする課題は、鉄
道の軌道近傍における持ち込み雪等の強固な積雪であっ
ても融解させることができる融雪装置を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る融雪装置は、熱を発生する発熱手段
と、熱の良導体からなり前記発熱手段の少なくとも上部
を覆うとともに雪をその表面上に支持可能で、前記発熱
手段からの熱を前記雪に伝達して融解する融雪手段と、
傾斜した形状を有し前記融解により生成した融雪水を所
定方向へ導く導水手段を備えたことを特徴とする。
【0009】上記において、好ましくは、前記導水手段
は、凸形状を形成し前記融雪水を流下させる少なくとも
2つの斜面を有し、かつ前記融雪手段を兼用する。
【0010】また、上記において、好ましくは、前記斜
面は、前記斜面における最大斜度の方向に垂直な方向に
延びるように形成される。
【0011】また、上記において、好ましくは、前記融
雪水は、前記凸形状をなす部分の法尻端から排水され
る。
【0012】また、上記において、好ましくは、前記導
水手段は、略溝状の断面を有し前記融雪水を流下させる
斜路を有する。
【0013】また、上記において、好ましくは、前記導
水手段は、凸形状を形成し前記融雪水を流下させる少な
くとも2つの斜面を有し、前記斜路は、前記凸形状をな
す部分の法尻端からの前記融雪水を前記所定方向へ導
く。
【0014】また、上記において、好ましくは、前記斜
面は、前記斜面における最大斜度の方向に垂直な方向に
延びるように形成され、前記斜路は、前記凸形状をなす
部分の法尻端からの前記融雪水を前記斜面の延設方向と
平行又は垂直な方向へ導く。
【0015】また、上記において、好ましくは、前記融
雪水は、前記斜路の法尻端から排水される。
【0016】また、上記において、好ましくは、前記発
熱手段は、高い電気抵抗を有し通電により熱を発生する
電熱式発熱体、又はパイプ内に作業流体を封入し燃料の
燃焼や前記電熱式発熱体により発生させた熱を前記作業
流体に伝えて前記パイプ内を循環させるヒートパイプ式
発熱体を含む。
【0017】また、上記において、好ましくは、前記発
熱手段は、前記融雪手段の裏面に接触するように配置さ
れる。
【0018】また、上記において、好ましくは、前記発
熱手段から発散される熱のうち前記融雪手段に伝達され
る熱以外の熱が外部に散逸しないように遮断する断熱手
段を備える。
【0019】また、上記において、好ましくは、前記断
熱手段は、前記融雪手段の下部を少なくとも被覆するよ
うに配置される。
【0020】また、上記において、好ましくは、前記断
熱手段は、前記斜面の延設方向の両端部における前記融
雪手段の側部を少なくとも被覆するように配置される。
【0021】また、上記において、好ましくは、前記発
熱手段から発散される熱のうち前記融雪手段に伝達され
る熱以外の熱を蓄える蓄熱手段を備える。
【0022】また、上記において、好ましくは、前記融
雪手段の表面温度を検出する表面温度検出手段と、検出
された前記融雪手段の表面温度が所定の下限表面温度以
下となった場合には前記発熱手段の発熱を開始させ、検
出された前記融雪手段の表面温度が所定の上限表面温度
以上となった場合には前記発熱手段の発熱を停止させる
ように制御する制御手段を備える。
【0023】また、上記において、好ましくは、外気温
を検出する外気温検出手段を備え、検出された前記外気
温が所定の基準外気温以上となった場合には前記発熱手
段の発熱を停止させるように制御する制御手段を備え
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】(1)第1実施形態 まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1
は、本発明の第1実施形態である融雪装置の全体構成を
示す斜視図であり、図2は、図1に示す融雪装置におけ
る融雪体のさらに詳細な構成を示す一部欠截斜視図であ
り、図3は、図1に示す融雪装置における融雪体のさら
に詳細な構成を示す分解斜視図であり、図4は、 図1
に示す融雪装置の軌道への設置方法、及び融雪装置の動
作を説明する図である。
【0026】図1に示すように、この融雪装置101
は、鉄道の軌道付近に設置されるものであり、4個の融
雪体1A,1A,1A,1Aと、制御部5Aを備えて構
成されている。融雪体1Aは、鉄道のまくらぎT上で、
レールRを挟むように配置されている。各融雪体1Aと
制御部5Aとは、リード線74及びセンサ線53により
接続されている。また、制御部5Aは、電源線75によ
り商用電源6に接続されている。
【0027】上記した融雪体1Aは、図2及び図3に示
すように、発熱部2Aと、融雪導水部3Aと、断熱部4
Aと、取付部材70及び71を有して構成されている。
【0028】上記した発熱部2Aは、リード線74に接
続するヒーター20と、ヒーター20に接続するヒート
パイプ21を有している。
【0029】上記したヒーター20は、高い電気抵抗を
有し通電により熱を発生するニクロム線等を有する電熱
式発熱体である。ヒートパイプ21は、後端部に拡径さ
れた熱交換部21aを有する両端が閉塞された管であ
り、その内部には比較的低温で気化しやすい作業流体
(図示せず)が封入されている。作業流体としては、水
やフロン、臭素、メタノール、エタノール、ベンゼン等
が用いられる。ヒートパイプ21は、後述するように、
熱交換部21aとは逆側の先端部が、熱交換部21aよ
りもやや高い位置となるように傾斜状態で設置される。
【0030】このように設置されたヒートパイプ21の
熱交換部21a内にヒーター20の先端の挿入部20a
を挿入し、ヒーター20に通電して加熱すると、熱交換
部21aが加熱され、内部に封入されている液体状態の
作業流体が気化し、ヒートパイプ21の先端に向って移
動する。この際、移動する作業流体から熱が放出される
ため、ヒートパイプ21の周囲が加熱される。熱を放出
すると作業流体は冷却するので、ヒートパイプ21内で
凝縮する。ヒートパイプ21は、傾斜状態で配置されて
いるので、凝縮した作業流体はヒートパイプ21内を流
下して熱交換部21aに戻る。以降は、上記のサイクル
が繰り返され、加熱が行われる。
【0031】融雪導水部3Aは、上部覆板30を有して
いる。上部覆板30は、アルミニウム、アルミニウム合
金、鋼、軟鉄などの金属、あるいはその他の熱の良導体
からなる。アルミニウム又はアルミニウム合金で形成す
れば、サビの防止、及び装置全体の軽量化の点で有利で
ある。また、形状は、中央に頂部30a(図4参照)を
有し、頂部30aの両側に2つの細長い斜面30b,3
0cが突き合わされ、斜面30b,30cの端部は折り
返されて取付部30d,30eを形成するように配置さ
れ、全体として略三角形断面で、斜面の最大斜度の方向
に対し垂直な方向に延びるような細長い屋根状に形成さ
れている。取付部30d,30eには、後述する断熱板
40がリベット72により取り付けられる。
【0032】断熱部4Aは、断熱板40と、端部覆板4
1及び42と、グロメット43を有している。断熱板4
0は、合成樹脂、繊維補強合成樹脂(FRP)、発泡合
成樹脂あるいは他の断熱材料からなる。また、形状は、
上部覆板30の三角形断面の底辺より若干短い短辺と、
上部覆板30の長辺と略同一の長さの長辺を有する長方
形状に形成されている。この断熱板40は、上部覆板3
0の取付部30d,30eの内側に挿入されて取り付け
られ、上部覆板30の三角形断面のうち欠けている底辺
部分を被覆する。
【0033】また、端部覆板41及び42は、上部覆板
30と同じ材料、又は断熱板40と同じ材料からなり、
上部覆板30の長手方向の両端部の側部にあたる開口部
を被覆し得る形状に形成されている。また、端部覆板4
1には、ヒーター20の根元部分を挿入するための挿入
孔41aが設けられている。グロメット43は、挿入孔
41aに嵌められ、ヒーター20を挿入孔41aに保持
するとともに、ヒーター20の根元部分の断熱部材とし
ての機能を果たす。
【0034】取付部材70,71は、図3に示すよう
に、平板状の基板70a,71aの側部に略クサビ状の
垂直材が立設され、垂直材の側部に上板70c,71c
が取り付けられて構成されている。この上板70c,7
1cは、先端側(端部覆板42側)に向かうにつれて高
くなるような傾斜面となっており、数箇所にリブ状の補
強材70b,71bが配置されている。この上面に上部
覆板30と、断熱板40を重ね、リベット72等の締結
具によって固定する。そして、上部覆板30と断熱板4
0とにより形成された略三角柱状の空洞の中に、ヒート
パイプ21の熱交換部21aにヒーター20の挿入部2
0aを挿入した状態でヒーター20とヒートパイプ21
が挿入される。
【0035】この際、ヒートパイプ21の両肩部が上部
覆板30の各斜面30b,30cの裏面に接触するよう
に、保持具(図示せず)等を配置する。このように構成
するため、ヒートパイプ21には、取付部材70,71
の傾斜とほぼ同じ程度の傾斜、例えば、0.5〜2.0
%程度の傾斜がつけられ、ヒートパイプ21は、その先
端に向かうにつれて高くなるように設置される。
【0036】次に、上部覆板30の長手方向の両端の開
口を端部覆板41,42で被覆する。この際、ヒーター
20の根元部分(リード線74側)にはグロメット43
を嵌め、挿入孔41aに挿入し、固定する。上部覆板3
0と端部覆板41,42の突き合わせ部分は、接着剤や
パテ等により隙間がないように充填する。このようにし
て、融雪体1Aが構成される。この場合、上部覆板30
と断熱板40と端部覆板41,42により囲まれた空間
内には、空気が気密状態で封入された状態となってお
り、ヒートパイプ21の周囲は空気で包囲されている。
【0037】次に、上記した融雪装置101の軌道への
設置方法等について説明する。図4に示すように、この
融雪装置101は、まくらぎT上に設置される。まくら
ぎTへの固定は、取付部材70,71の基板70a,7
1a(図2及び図3を参照)にボルト穴(図示せず)等
を開設しておきボルトやナットにより締結する方法、あ
るいは略「コ」字状のクランプ用固定具(図示せず)等
を用いてまくらぎTに固定する等の方法によって行う。
この場合の融雪装置の頂部30aの位置は、レールRの
踏面からH2 だけ下がった位置となるように設定されて
いる。これは、多雪地域においては、冬季にラッセル車
による除雪作業が行われるが、ラッセル車の除雪機構に
おける可動部等の作動を支障しないように余裕空間を確
保するためである。このH2 の値は、通常50mm程度
である。また、通常、列車前頭の排障器又はスノウプラ
ウPの下面位置は、レールRの踏面からH1 だけ上がっ
た位置となっている。このH1 の値は、通常50mm程
度である。また、図4において、Wは鉄道車両等の車輪
を示している。
【0038】また、制御装置5Aは、図4に示すよう
に、コントローラ50と、表面温度センサ51と、スイ
ッチ52と、外気温センサ54を有している。コントロ
ーラ50は、例えばマイクロコンピュータ等により構成
される。コントローラ50には、電源線75により商用
電源6から電源が供給されている。コントローラ50に
は、センサ線53により表面温度センサ51が接続して
おり、上部覆板30の表面温度(以下「覆板表面温度」
という。)が検出され入力されるようになっている。ま
た、同様に、コントローラ50には、センサ線54aに
より外気温センサ54が接続しており、融雪装置101
の外部の気温(以下、「外気温」という。)が検出され
入力されるようになっている。
【0039】一方、商用電源6からの電源は電源線75
によりスイッチ52に供給されている。スイッチ52の
他端には、リード線74が接続され、リード線74はヒ
ーター20に接続している。また、スイッチ52は、コ
ントローラ50によりON/OFF切換制御されるよう
に構成されている。
【0040】すなわち、コントローラ50には、表面温
度センサ51及び外気温センサ54から検出された覆板
表面温度と外気温とが電気信号として入力される。コン
トローラ50は、これらの信号に基づき、覆板表面温度
と外気温がそれぞれについて定められた温度になった場
合に、スイッチ52に切換制御信号を出力し、スイッチ
をON又はOFFさせる。これにより、ヒーター20へ
通電が開始され、あるいは通電が停止され、これに伴
い、ヒートパイプ21からの発熱が行われたり、発熱が
停止する。なお、各温度センサは複数個配置し、コント
ローラ50がこれらの平均温度を演算してスイッチ制御
の判断基準としてもよい。
【0041】コントローラ50がスイッチ52にON又
はOFFいずれかの切換制御信号を出力する場合の外気
温及び覆板表面温度の値の組合わせの一例を下表に示
す。
【0042】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 外気温 覆板表面温度 スイッチ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− +5°C以上 − OFF −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− +5°C未満 +30°C以上 OFF −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− +5°C未満 +15°C以下 ON −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0043】すなわち、外気温が+5°C以上の場合に
は、太陽熱等により融雪が促進されるため、ヒーター2
0への通電は停止する。外気温が+5°C未満の場合に
は、覆板表面温度の値に応じてヒーター20への通電又
は通電停止を行う。外気温が+5°C未満で覆板表面温
度が+30°C以上の場合は、上部覆板30の表面に雪
が堆積していないか、雪が降り積もっても温度が高いた
めすぐに融けているような状態であると考えられるの
で、ヒーター20への通電は停止する。外気温が+5°
C未満で覆板表面温度が+15°C以下の場合は、上部
覆板30の表面に雪が堆積していることが考えられるの
で、ヒーター20への通電を開始し加熱による融雪を開
始する。
【0044】次に、上記した融雪装置101の動作につ
いて、図4を参照しつつ説明する。降雪が上部覆板30
に積もり始めたり、持ち込み雪又は抱き込み雪が上部覆
板30上に置かれると、上部覆板30の表面の温度が低
下を始める。この温度低下のデータは表面温度センサ5
1及び外気温センサ54により検出されコントローラ5
0に送られる。コントローラ50は、各温度センサから
の温度データを受けた場合、上表におけるスイッチON
の条件である「外気温が+5°C未満,覆板表面温度+
15°C以下」であると判断すると、スイッチ52に制
御信号を送りスイッチ52をONに切り換える。これに
より、電源線75及びリード線74を介して商用電源6
の電源がヒーター20に供給され、ヒートパイプ21か
らの発熱が開始される。
【0045】この場合、ヒートパイプ21の下部は、断
熱板40で被覆され、ヒートパイプ21から周囲へ発散
された熱の下方外部への散逸が防止されている。また、
ヒートパイプ21に接続するヒーター20の根元付近及
びヒートパイプ21の先端付近には、端部覆板41,4
2が配置されて上部覆板30の開口を隙間なく閉塞して
おり、ヒートパイプ21の先端やヒーター20の根元か
ら発散された熱の端部から外部への散逸も防止されてい
る。端部覆板41,42を断熱材料で形成すれば、断熱
効果はさらに向上する。そして、ヒートパイプ21の両
肩部は上部覆板30の斜面30b,30cの裏面に接触
している。
【0046】このように構成されているため、ヒートパ
イプ21から発散された熱は、外部に散逸することがな
く、主として伝導により上部覆板30へのみ伝達され
る。ヒートパイプ21からの熱は、ヒートパイプ21に
接している上部覆板30の斜面30b,30cの上部付
近から斜面下方へ向って伝達され、斜面全体が暖められ
る。
【0047】鉄道軌道におけるまくらぎやバラスト道床
においては、従来の道路融雪装置等においてみられるよ
うな、加熱により路面の全体が暖められ所定の温度に保
たれるといういわゆる「余熱効果」は、ほとんど期待で
きないことが実験等により確認されている。これに伴
い、融雪体1Aの下部の断熱がされていないと、下部方
向への熱損失が非常に大きくなり、上部覆板30に供給
される熱が激減するという結果が実験等によって確認さ
れている。しかし、第1実施形態の融雪装置101にお
いては、熱源であるヒートパイプ21は、上部覆板30
への方向以外は熱が外部に散逸しないように遮断され、
熱損失を最小限におさえており、上記のような問題の発
生を防止している。
【0048】また、上記したように、ヒートパイプ21
は、上部覆板30と断熱板40と端部覆板41,42で
気密状態に密閉され、ヒートパイプ21は空気で包囲さ
れている。このような構成により、ヒートパイプ21の
周囲の密閉空気塊は、一種の蓄熱材として機能し、ヒー
トパイプ21から発散される熱のうち、上部覆板30に
伝達される熱以外の熱をいったん蓄える。
【0049】このような上部覆板30に寒風が吹き付け
られた場合には、いったんは斜面30b,30cから熱
が奪われ斜面30b,30cの温度が急激に下がる。こ
の場合、蓄熱材を備えていないと、ヒートパイプ等の熱
源からの熱は寒風により即座に奪い去られ上部覆板等は
相当低温まで冷却されてしまい、元の温度に上昇するま
でに長時間が経過するため、その間は融雪機能を果たせ
ない、という問題があった。
【0050】しかし、第1実施形態の融雪装置101に
おいては、密閉空気塊が蓄熱材としての機能を果たすの
で、風がやめば、ヒートパイプ21からの熱に加えて密
閉空気塊からの熱が斜面30b,30cの裏面へ供給さ
れ、密閉空気塊がない場合に比べより短い時間で斜面3
0b,30cの温度は元の温度に上昇する。このような
蓄熱材としては、空気を利用する以外に、モルタル、コ
ンクリート、セラミックス、ゴム材等を用いてもよい。
【0051】上記のような構成により、上部覆板30の
表面が乾燥した状態でその上に雪片が降り積もるような
場合は、雪片は、上部覆板30の表面に接触するとすみ
やかに融けて水となる。上部覆板30は2つの斜面30
b,30cが略三角形状の凸形状を形成するように突き
合わせられた状態となっているから、融雪水は、図4の
斜面30b又は30cの上方に矢印で図示したように、
斜面の法尻の方向へ導かれて流下した後、斜面30b又
は30cの法尻端から下方の道床バラストへ落下し、上
部覆板30上からすみやかに除去される。
【0052】このように、第1実施形態の融雪装置10
1においては、融雪水がすみやかに斜面の法尻方向へ導
かれた後に排水されるため、上部覆板等の表面に融雪水
が残存し寒風の吹き付けにより上部覆板から大量の蒸発
熱を奪い融雪効果を減殺するという、上記した「寒風冷
却現象」を効果的に防止することができる。
【0053】また、従来は、上部覆板等の表面に残存す
る融雪水の除去は、寒風等により奪われる熱以上の熱を
高温発熱体等により供給し残存融雪水を気化(蒸発)さ
せることによって除去する、という方式を採用せざるを
得なかったが、水を加熱し気化させるためには、非常に
大きい気化潜熱を供給しなければならない。したがっ
て、従来の融雪方式では、水の融解熱に加え気化熱も供
給しなければならなかった。
【0054】しかし、第1実施形態の融雪装置101に
おいては、雪を融解させれば融雪水は自然流下により除
去されるので、上部覆板等を加熱する発熱体が供給する
熱は、雪を融解させる程度の熱であればよく、従来の場
合よりも非常に省エネルギー性に優れている。ヒーター
20の発生する熱量、例えば電力ワット数の大小は、消
雪までの時間に関係する。どのような電力ワット値のヒ
ーター20を採用するかについては、融雪装置101を
設置する箇所の降雪量、持ち込み雪や抱き込み雪の有
無、風、日照等の環境条件によって異なるため、現地試
験を行い、消雪時間と電力コスト等を考慮して決定する
ことが望ましい。
【0055】次に、上部覆板30の上に持ち込み又は抱
き込みにより塊状の雪Sが載置されるような場合には、
図4に示すように、雪塊Sは、上部覆板30から伝達さ
れる熱によりその下部から徐々に融解する。融解によ
り、雪塊Sはザラメ状になり、融雪水は最初は毛細管現
象によりザラメ状雪塊Sの内部に吸収される。さらに融
雪が進行すると、雪塊Sは表面まで水分で飽和したシャ
ーベット状となる。この状態にまで達すると、融雪水は
雪塊Sから上部覆板30の上に落下する。この融雪水
は、図4の斜面30b又は30cの上方に矢印で図示し
たように、斜面の法尻へ向って流下した後、下方へ排水
される。
【0056】上記の融雪時に、上部覆板30の表面と雪
塊Sとの間にカマクラの内部のようなドーム状の空洞V
が生じ、アーチ作用によりかなりの期間存続する場合が
ある。このような空洞Vが雪塊Sに生じると、空洞Vの
周囲の雪への熱の伝達には、空気が介在することにな
る。空気の熱伝導率は、金属等に比べて非常に小さいた
め、斜面30b,30cから空洞Vの周囲の雪へは、熱
が伝わりにくくなる。このため雪の融解が阻害され、上
記した「カマクラ現象」が生じる。
【0057】しかし、第1実施形態の融雪装置101の
場合には、従来は略平坦状であった上部覆板が略三角形
断面に形成されており、融雪の進行に伴い、上部覆板3
0の頂部30aが雪塊のカマクラ状空洞V内にクサビ状
に食い込み、雪塊Sの左右への分裂を促す。一方、雪塊
Sの両脚をなす部分L,Lは上部覆板30の斜面30
b,30c上に乗っており、脚部L,Lには斜面の法尻
方向へ滑り落ちようとする力がつねに作用している。こ
のため、雪塊Sのザラメ化又はシャーベット化が進行
し、雪塊Sが脆弱になると、雪塊Sは分裂し、こわれた
小雪塊はずり落ちて斜面上に密着する。これにより、上
部覆板30からの熱が伝導により再び有効に小雪塊に伝
達され、小雪塊の融雪が進行する。このようなサイクル
の繰り返しにより、第1実施形態の融雪装置101にお
いては、上記した「カマクラ現象」も効果的に防止する
ことができる。
【0058】次に、本発明の第1実施形態の変形例につ
いて説明する。図5は、本発明の第1実施形態である融
雪装置の変形例の構成を示す斜視図である。また、図5
は、本発明の第1実施形態である融雪装置の他の変形例
の構成を示す断面図である。
【0059】上記した融雪装置101は、図1,図2に
おいては、略三角形断面の凸形状の上部覆板を有する融
雪体1Aを個々にレールRの近傍等に据え付けたが、本
実施形態は、他の構成によっても実施可能である。
【0060】例えば、図5に示すように、個々の融雪体
1Aを帯状鋼板等の連結材76で連結し、全体としてパ
ネル状に形成してもよい。このように構成すると、所定
の面積の箇所に融雪体1Aをまとめて配置する場合など
においては、パネルごと設置すればよく、据付作業がよ
り容易になる。この場合、連結材76と連結材76の中
間は開口となっているので、上部覆板30の斜面30
b,30cを流下してきた融雪水はそのまま下方へ落下
可能であり、上記した排水機能を損なうことはない。
【0061】また、上記した融雪装置101では、上部
覆板30は2つの突き合わせ斜面30b,30cを有し
略三角形断面の凸形状をなすように形成されていたが、
本実施形態は、他の構成によっても実施可能である。
【0062】例えば、図6(A)に示すように、上部覆
板の断面形状を略三角形状ではなく、中央に頂部31a
を有し、斜面の途中に屈曲部31b,31cを有し、か
つ対向する2対の斜面31d,31e及び31f,31
gをそれぞれ両側に有する略多角形断面の上部覆板31
のように形成してもよい。
【0063】あるいは、図6(B)に示すように、中央
に頂部32aを有し、その両側に突き合わせ状に対向す
る1対の傾斜した曲面32b,32cを有する上部覆板
32のように形成してもよい。
【0064】さらに、図6(C)に示すように、略半円
形断面の上部覆板33のように形成してもよい。この場
合には、中央部33aの両側に突き合わせ状に対向する
1対の傾斜した曲面33b,33cが設けられているこ
とになる。
【0065】要は、第1実施形態の上部覆板は、凸形状
を形成し融雪水を流下させる少なくとも2つの斜面を有
していればどのような形状であってもよい。また、斜面
における最大斜度の方向に垂直な方向に延びるような形
状に形成されていればどのような形状であってもよい。
さらに、凸形状をなす部分の法尻端から融雪水が排水さ
れるように構成されていればどのような形状であっても
よい。
【0066】上部覆板の斜面の傾斜角度は、あまりゆる
いと、融雪水が表面張力により板表面に張り付いてしま
うため、角度25°から60°程度が好ましいと考えら
れる。
【0067】このように形成されていれば、融雪水はす
みやかに流下して除去され、従来の「寒風冷却効果」を
防止することができる一方、融雪時に空洞の生じた雪塊
をクサビ効果により分裂させて融雪を促進し、従来の
「カマクラ効果」を防止することも可能となる。
【0068】(2)第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7
は、本発明の第2実施形態である融雪装置の全体構成を
示す斜視図であり、図8は、 図7に示す融雪装置の軌
道への設置方法、及び融雪装置の動作を説明する図であ
る。
【0069】この融雪装置102は、鉄道の軌道付近に
設置されるものであり、図7に示すように、融雪体1B
と、制御部5Bを備えて構成されている。融雪体1A
は、後述するように、例えば、鉄道のレール内のまくら
ぎ上に配置される。融雪体1Bと制御部5Bとは、リー
ド線84及びセンサ線58により接続されている。ま
た、制御部5Bは、電源線85により商用電源6に接続
されている。
【0070】上記した融雪体1Bは、図7に示すよう
に、発熱部2Bと、融雪導水部3Bと、断熱部4Bと、
底板77と、ボルト78と、ナット79を有して構成さ
れている。
【0071】上記した発熱部2Bは、リード線84に接
続するヒーター22を有している。ヒーター22は、高
い電気抵抗を有し通電により熱を発生するニクロム線等
を有する電熱式発熱体である。
【0072】融雪導水部3Bは、上部覆板34と導水溝
35を有している。上部覆板34は、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、鋼、軟鉄などの金属、あるいはその他
の熱の良導体からなる。アルミニウム又はアルミニウム
合金で形成すれば、サビの防止、及び装置全体の軽量化
の点で有利である。また、形状は、デッキプレート等に
類似した波板状に形成され、細長い平板状の頂面34a
と、頂面34aの両側に接続する2つの細長い斜面34
b,34bと、斜面34bに接続する細長い平板状の溝
底面34cと、波板の両端部の溝底面34cに接続して
立設された細長い溝側壁34dを有している。このよう
な構成により、各凸条の間と、両端の凸条と溝側壁との
間に、略台形断面の溝が形成される。
【0073】頂面34aと、その両側の斜面34b,3
4bは、上方に突出する略台形断面の凸条部を構成して
いる。図7に示す融雪導水部3Bは、3列の凸条部を有
して構成されている。溝底面34cには、組立て用のボ
ルト穴34eが設けられている。頂面34aにも、図示
はしないが、組立て用のボルト穴が適宜位置に適宜個数
設けられている。
【0074】導水溝35は、上部覆板34の先端側(後
述する端部断熱ブロック46側)の端部において、凸条
部と直交する方向に延びるように、溶接等によって取り
付けられる。導水溝35は、略四角形断面の溝状部材で
あり、図7における左端面が閉塞され、図7における右
端面(図示せず)は開放されている。この場合、導水溝
35の側壁の一方の高さが上部覆板34の溝底面34c
の高さよりも低くなるように設定される。また、導水溝
35の内底面の高さは、図7における左端部が高く、右
端部が低くなるように設定されており、内底面は図7の
右方向へ向うにつれて下がる3%程度の傾斜面となって
いる。内底面の勾配は、3%に限定されず、一般に1〜
10%程度であればよい。
【0075】断熱部4Bは、第1断熱板44と、第2断
熱板45と、端部断熱ブロック46,47を有してい
る。これらは、合成樹脂、繊維補強合成樹脂(FR
P)、発泡合成樹脂あるいは他の断熱材料からなる。ま
た、第1断熱板44は、上部覆板34の台形断面の底辺
と略同一の長さの短辺と、上部覆板34の長辺と略同一
の長さの長辺を有する長方形状に形成されている。この
第1断熱板44は、上部覆板34の内部に配置されヒー
ター22の下方を被覆する。
【0076】また、第2断熱板45は、融雪体1B全体
の平面投影形状と略同一の長方形状に形成されている。
この第2断熱板45は、第1断熱板44の下方に敷設さ
れる。第2断熱板45には、組立て用のボルト穴が設け
られている。
【0077】また、端部断熱ブロック46及び47は、
上部覆板34の各凸条部の長手方向の両端部の側部にあ
たる開口部を被覆し得る形状、例えば台形柱状に形成さ
れている。また、端部断熱ブロック47には、ヒーター
22の根元部分に接続するリード線84を挿入するため
の挿入孔(図示せず)が設けられ、リード線84は保持
具(図示せず)によりこの挿入孔に保持される。端部断
熱ブロック46,47は、ヒーター22の根元部分と先
端部分を閉塞し断熱部材としての機能を果たす。
【0078】底板77は、図7に示すように、融雪体1
B全体の平面投影形状と略同一の平面投影形状を有し、
その厚みが直線的に変化するような略クサビ状に形成さ
れている。このため、底板77の上面は、先端側(端部
断熱ブロック46側)に向かうにつれて低くなるような
3%程度の勾配の傾斜面となっている。この底板7の勾
配は、3%に限定されず、一般に1〜10%程度であれ
ばよい。また、底板77にも、組立て用のボルト穴が設
けられている。
【0079】この底板77の上面に、第2断熱板45を
敷設し、その上に第1断熱板44を敷設し、第1断熱板
44上にヒーター22を配置し、ヒーター22の両端部
に端部断熱ブロック46,47を配置する。この際、ヒ
ーター22の根元部分のリード線84には保持具(図示
せず)等を嵌め、端部断熱ブロック47の挿入孔(図示
せず)に挿入し、固定する。この作業をすべての凸条部
について行った後、ヒーター22の上面が上部覆板34
の頂面34aの裏面に面接触するようにして上部覆板3
4を重ね、ボルト78とナット79等の締結具によって
固定する。
【0080】この際、各凸条部においては、上部覆板3
4と端部断熱ブロック46,47、及び上部覆板34と
第1断熱板44との境界部分は、接着剤やパテ等により
隙間がないように充填する。このようにして、融雪体1
Bが構成される。この場合、各凸条部において、上部覆
板34と第1断熱板44と端部断熱ブロック46,47
により囲まれた空間内には、空気が気密状態で封入され
た状態となっており、ヒーター22の周囲は空気で包囲
されている。
【0081】次に、上記した融雪装置102の軌道への
設置方法等について説明する。図8に示すように、この
融雪装置102は、まくらぎT上に設置される。まくら
ぎTへの固定は、底板77に張出部(図示せず)等を設
け、この張出部にボルト穴(図示せず)等を開設してお
きボルトやナットにより締結する方法、あるいは略
「コ」字状のクランプ用固定具(図示せず)等を用いて
まくらぎTに固定する等の方法によって行う。この場合
の融雪装置102の頂面34aの位置は、レールRの踏
面からH2 だけ下がった位置となるように設定されてい
る。これは、第1実施形態の融雪装置101の場合と同
様に、ラッセル車等の除雪機構における可動部等の作動
を支障しないように余裕空間を確保するためである。こ
のH2の値は、通常50mm程度である。また、列車前
頭の排障器又はスノウプラウPの下面位置は、レールR
の踏面からH1 だけ上がった位置となっており、H1 の
値は、通常50mm程度である。また、図8において、
Wは鉄道車両等の車輪を示している。
【0082】上記の融雪装置102が組み立てられ、ま
くらぎT上に設置された場合には、上部覆板34の各凸
条部の間に形成される溝の底面34cは、レール進行方
向に3%程度の勾配がつけられる。この溝底面34cの
勾配は、3%に限定されず、一般に1〜10%程度であ
ればよい。また、各凸条部の間及び両端の凸条の外側に
形成される溝の斜路の法尻端は、レール直交方向に延び
る導水溝35に接続するようになっている。そして、導
水溝35の斜路の法尻端(図7における右端(図示せ
ず))は、レールRの下方を横断し、軌道の側方の側溝
(図示せず)や流雪溝(図示せず)等に連絡される。
【0083】また、制御装置5Bは、図8に示すよう
に、コントローラ55と、表面温度センサ56と、スイ
ッチ57と、外気温センサ59を有している。コントロ
ーラ55は、例えばマイクロコンピュータ等により構成
される。コントローラ55には、電源線85により商用
電源6から電源が供給されている。コントローラ55に
は、センサ線58により表面温度センサ56が接続して
おり、上部覆板34の頂面34aの表面温度(以下「覆
板表面温度」という。)が検出され入力されるようにな
っている。また、同様に、コントローラ55には、セン
サ線59aにより外気温センサ59が接続しており、融
雪装置102の外部の気温(以下、「外気温」とい
う。)が検出され入力されるようになっている。
【0084】一方、商用電源6からの電源は電源線85
によりスイッチ57に供給されている。スイッチ57の
他端には、リード線84が接続され、リード線84はヒ
ーター22に接続している。また、スイッチ57は、コ
ントローラ55によりON/OFF切換制御されるよう
に構成されている。
【0085】このような構成により、コントローラ55
には、表面温度センサ56及び外気温センサ59から検
出された覆板表面温度と外気温とが電気信号として入力
される。コントローラ55は、これらの信号に基づき、
覆板表面温度と外気温がそれぞれについて定められた温
度になった場合に、スイッチ57に切換制御信号を出力
し、スイッチをON又はOFFさせる。これにより、ヒ
ーター22へ通電が開始され、あるいは通電が停止さ
れ、これに伴い、ヒーター22からの発熱が行われた
り、発熱が停止する。なお、各温度センサは複数個配置
し、コントローラ55がこれらの平均温度を演算してス
イッチ制御の判断基準としてもよい。
【0086】コントローラ55がスイッチ57にON又
はOFFいずれかの切換制御信号を出力する場合の外気
温及び覆板表面温度の値の組合わせや、制御の方法につ
いては、上記した第1実施形態の場合とまったく同様で
あるので、その説明は省略する。
【0087】次に、上記した融雪装置102の動作につ
いて、図8を参照しつつ説明する。降雪が上部覆板34
に積もり始めたり、持ち込み雪又は抱き込み雪が上部覆
板34上に置かれると、上部覆板34の表面の温度が低
下を始める。この温度低下のデータは表面温度センサ5
6及び外気温センサ59により検出されコントローラ5
5に送られる。コントローラ55は、各温度センサから
の温度データを受けた場合、スイッチ57をONするた
めの条件、例えば上表における「外気温が+5°C未
満,覆板表面温度+15°C以下」の条件が満たされた
と判断した場合には、スイッチ57に制御信号を送りス
イッチ57をONに切り換える。これにより、電源線8
5及びリード線84を介して商用電源6の電源がヒータ
ー22に供給され、発熱が開始される。
【0088】この場合、ヒーター22の下部は、第1断
熱板44及び第2断熱板45で被覆され、ヒーター22
から周囲へ発散された熱の下方外部への散逸が防止され
ている。また、ヒーター22に接続するリード線84の
根元付近及びヒーター22の先端付近には、端部断熱ブ
ロック46,47が配置されて上部覆板34の側面の開
口を隙間なく閉塞しており、ヒーター22の先端やヒー
ター22の根元から発散された熱の端部から外部への散
逸も防止されている。そして、ヒーター22の上面は上
部覆板34の頂面34aの裏面に面接触している。
【0089】このように構成されているため、ヒーター
22から発散された熱は、外部に散逸することがなく、
主として伝導により上部覆板34へのみ伝達される。ヒ
ーター22からの熱は、ヒーター22に接している上部
覆板34の頂面34aに伝達されて頂面34a全体を暖
め、さらに斜面34b,34bへ伝達される。
【0090】また、上記したように、ヒーター22は、
上部覆板34と第1断熱板44と第2断熱板45と端部
断熱ブロック46,47で気密状態に密閉され、ヒータ
ー22は空気で包囲されている。このような構成によ
り、ヒーター22の周囲の密閉空気塊は、一種の蓄熱材
として機能し、ヒーター22から発散される熱のうち、
上部覆板34に伝達される熱以外の熱をいったん蓄え
る。
【0091】これは、上記した第1実施形態の場合と同
様である。このため、密閉空気塊が蓄熱材としての機能
を果たし、寒風が吹き付けても、風がやめば、ヒーター
22からの熱に加えて密閉空気塊からの熱が頂面34a
や斜面34bの裏面へ供給され、密閉空気塊がない場合
に比べより短い時間で頂面34aや斜面34bの温度は
元の温度に上昇する。このような蓄熱材としては、空気
を利用する以外に、モルタル、コンクリート、セラミッ
クス、ゴム材等を用いてもよい。
【0092】上記のような構成により、上部覆板34の
表面が乾燥した状態でその上に雪片が降り積もるような
場合は、雪片は、上部覆板34の表面に接触するとすみ
やかに融けて水となる。上部覆板34の頂面34aは、
図8の左右方向には平面であるが、図8の手前から奥に
向う方向のうちのいずれかの方向へ下降するか上昇する
傾斜が付けられた斜路となっているから、融雪水は、図
8の頂面34a上を、例えば図8の手前から奥に向って
下る方向に流下し、その途中で、図8の頂面34aの上
方に矢印で図示したように、左右いずれかの斜面34b
に向けて流れる。融雪水は、斜面34bの法肩を越えた
後は、斜面34bの法尻の方向へ導かれて流下する。
【0093】第2実施形態の融雪装置102が第1実施
形態の融雪装置101と異なる点は、斜面34bの法尻
に到達した後の融雪水の処理方法である。斜面34bの
法尻に到達した融雪水は、各凸条部間又は両端の凸条部
と溝側壁34dとの間に形成されたレール方向の溝に入
り、溝底面34c上をレール方向に導かれる。この溝の
法尻に到達すると、融雪水は、レール直交方向に延びる
導水溝35に流下する。導水溝35には、レールRの外
へ流れる方向の傾斜がつけられているから、融雪水は導
水溝35の傾斜に沿って導かれ、軌道の側方の側溝や流
雪溝内へ排水される。
【0094】このように、第2実施形態の融雪装置10
2においても、融雪水はすみやかに所定方向へ導かれた
後に排水されるため、上記した従来の「寒風冷却現象」
を効果的に防止することができる。
【0095】また、融雪水は自然流下により除去される
ので、上部覆板等を加熱する発熱体が供給する熱は、雪
を融解させる程度の熱であればよく、第2実施形態の融
雪装置102は、水の気化熱も供給する従来の融雪方式
よりも熱エネルギーを節約することができる。また、ヒ
ーター22の電力ワット値については、第1実施形態の
場合と同様に、融雪装置102を設置する箇所の降雪
量、持ち込み雪や抱き込み雪の有無、風、日照等の環境
条件によって異なるため、現地試験を行い、消雪時間と
電力コスト等を考慮して決定することが望ましい。
【0096】次に、上部覆板34の上に持ち込み又は抱
き込みにより塊状の雪Sが載置されるような場合には、
図8に示すように、雪塊Sは、上部覆板34から伝達さ
れる熱によりその下部から徐々に融解する。融解によ
り、雪塊Sはザラメ状になり、融雪水は最初は毛細管現
象によりザラメ状雪塊Sの内部に吸収される。さらに融
雪が進行すると、雪塊Sは表面まで水分で飽和したシャ
ーベット状となる。この状態にまで達すると、融雪水は
雪塊Sから上部覆板34の上に落下する。この融雪水
は、上述したように、図8の頂面34aの上方に矢印で
図示したように、頂面34aから斜面34bの法尻へ向
って流下した後、溝底面34c上を流下し、導水溝35
を経て所定方向へ排水される。
【0097】上記の融雪時に、上部覆板34の頂面34
aと雪塊Sとの間にカマクラの内部のようなドーム状の
空洞Vが生じ、「カマクラ現象」が発生することがあ
る。
【0098】しかし、第2実施形態の融雪装置102の
場合には、上部覆板34の頂面34aにレール方向の傾
斜が形成されている。そして、雪塊Sの両脚をなす部分
L,Lは上部覆板34の頂面34aの斜路上に乗ってお
り、脚部L,Lには斜路の法尻方向へ滑り落ちようとす
る力がつねに作用している。このため、雪塊Sのザラメ
化又はシャーベット化が進行し、雪塊Sが脆弱になる
と、雪塊Sは斜路の法尻方向へ滑り落ち、この際に小雪
塊に分裂する。こわれた小雪塊は頂面34a上に密着す
る。これにより、上部覆板34からの熱が伝導により再
び有効に小雪塊に伝達され、小雪塊の融雪が進行する。
このようなサイクルの繰り返しにより、第2実施形態の
融雪装置102においても、上記した「カマクラ現象」
を効果的に防止することができる。
【0099】次に、本発明の第2実施形態の変形例につ
いて説明する。図9は、本発明の第2実施形態である融
雪装置の変形例の構成を示す断面図である。図に示すよ
うに、本実施形態は、他の構成によっても実施可能であ
る。
【0100】例えば、図9(A)に示すように、上部覆
板34の凸条部の内部に、L字状などの取付部材80を
ボルト接合や溶接等によって取り付け、この取付部材8
0によってヒーター22を取り付けるようにして融雪装
置を構成してもよい。
【0101】あるいは、図9(B)に示すように、上部
覆板34の凸条部の内部に、ヒーター22を2個設置
し、第2断熱板45のかわりに薄い第2断熱板45Aと
断熱シート48を設けて融雪装置を構成してもよい。こ
のように構成すれば、上部覆板の上方へ伝達する熱量は
さらに増大し、融雪機能が強化される。凸条部内部に設
けられるヒーター22の個数は、3個以上であってもよ
い。
【0102】さらに、上部覆板を他の形状に形成しても
よい。図9(C)に示すように、平坦な頂面36aの中
央付近に長手方向の勾配をつけた縦溝部36fを設け、
上部覆板36のように形成してもよい。このようにすれ
ば、頂面36aと斜面36bと溝底面36c上に融雪水
を流すことができるほか、頂面36a上に積雪があって
も長手方向への融雪水の排水が妨げられることがない。
【0103】また、図示はしないが、上部覆板の断面形
状は、第1実施形態のような略三角形断面や、図6に示
すような凸型形状であってもよい。
【0104】このような導水形式を発展させ、平坦な頂
面上に上記の縦溝部36fに加え、長手方向に垂直な方
向への勾配をつけた横溝を複数設け、溝が碁盤目状に縦
横に配置されるように形成してもよい。このようにすれ
ば、長手方向に対し垂直な方向への融雪水の排水も促進
することができる。
【0105】要は、第2実施形態の上部覆板は、略溝状
の断面を有し傾斜して配置され融雪水を流下させる斜路
を有していればどのような形状であってもよい。また、
凸形状を形成し融雪水を流下させる少なくとも2つの斜
面を有し、斜路が、凸形状をなす部分の法尻端からの融
雪水を所定方向へ導くようなものであればどのような形
状であってもよい。また、斜面における最大斜度の方向
に垂直な方向に延びるような形状に形成され、斜路が、
凸形状をなす部分の法尻端からの融雪水を斜面の延設方
向と平行又は垂直な方向へ導くようなものであればどの
ような形状であってもよい。さらに、融雪水が、斜路の
法尻端から排水されるように構成されていればどのよう
な形状であってもよい。
【0106】このように形成されていれば、融雪水はす
みやかに流下して除去され、従来の「寒風冷却効果」を
防止することができる一方、融雪時に空洞の生じた雪塊
を滑落により分裂させて融雪を促進し、従来の「カマク
ラ効果」を防止することも可能となる。
【0107】さらに、第2実施形態の場合には、融雪水
を、融雪装置のすぐ側方の道床等に流下させるのではな
く、側溝や流雪溝まで導いて排水するので、北海道等の
極寒地域において、道床内に水が入り込み凍結すること
によりまくらぎ等を押し上げ鉄道の正常な運行を妨げ
る、いわゆる「凍上現象」を防止することにも役立つ、
という利点がある。
【0108】また、上記した第1実施形態の融雪装置1
01及び第2実施形態の融雪装置102においては、ボ
イラー方式等に比べて発熱の方式が簡易であり、設備の
コストが低廉であるほか、給油等の保守が不要で、かつ
構造がシンプルであるので故障等が少なく信頼性が高
い、という利点がある。また、構造が簡易であり、略パ
ネル形状であるため、設置や取外しが非常に容易であ
る、という利点もある。
【0109】上記において、ヒートパイプ21とヒータ
ー22は発熱手段に相当している。また、上部覆板3
0,31,32,33及び34,36は融雪手段に相当
している。また、上部覆板30の斜面30b及び30
c,上部覆板31の斜面31dと31eと31fと31
g,上部覆板32の斜面32b及び32c,上部覆板3
3の斜面33b及び33c,上部覆板34の頂面34a
と斜面34bと溝底面34cと導水溝35,上部覆板3
6の頂面36aと斜面36bと溝底面36cと縦溝部3
6fは導水手段に相当している。この場合、上部覆板3
4の溝底面34cと導水溝35,上部覆板36の溝底面
36cと縦溝部36fは斜路に相当している。また、断
熱板40と端部覆板41及び42とグロメット43,第
1断熱板44と第2断熱板45,あるいは第1断熱板4
4と第2断熱板45Aと断熱シート48は、断熱手段に
相当している。また、上部覆板の内部に密閉されたヒー
トパイプ21やヒーター22の周囲の空気塊は、蓄熱手
段に相当している。また、表面温度センサ51と56は
表面温度検出手段に相当し、外気温センサ54と59は
外気温検出手段に相当し、コントローラ50とスイッチ
52,コントローラ55とスイッチ57は制御手段に相
当している。また、コントローラ50又は55がON/
OFF制御を行う判断基準となる上表の温度条件のう
ち、外気温+5°Cは基準外気温に相当し、覆板表面温
度+30°Cは上限表面温度に相当し、覆板表面温度+
15°Cは下限表面温度に相当している。
【0110】なお、本発明は、上記各実施形態に限定さ
れるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本
発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的
に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、
いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0111】例えば、上記した第1実施形態においては
発熱部にヒートパイプを用いた例について説明し、第2
実施形態においては発熱部に電熱式発熱体を用いた例に
ついて説明したが、本発明はこれには限定されず、第1
実施形態において電熱式発熱体を用い第2実施形態にお
いてヒートパイプを用いてもよい。また、他の形態の発
熱体、例えば熱水や高熱蒸気を管内に封入して循環させ
る方式、燃焼による発熱、化学的反応による発熱、遠赤
外線放射機器等を利用してもよい。
【0112】また、上記した第1,2実施形態において
は、細長い融雪体1Aや、細長い凸条部を有する融雪体
1Bを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定さ
れず、他の形態、例えば、略正方形状等の広い面積の斜
面や斜路等の導水手段を有する融雪装置であってもよい
し、斜面等が、円錐形状や角錐形状、円錐台形状や角錐
台形状、球面や回転楕円面等をふくむ曲面の一部などを
なすように形成してもよい。
【0113】また、上記した実施形態においては、制御
部内にマイクロコンピュータ等からなるコントローラを
備え、各温度センサからの信号に基づき上部覆板の表面
温度と外気温が所定の温度になった場合に発熱部の発熱
を開始又は停止させるように制御する例について説明し
たが、本発明はこれには限定されず、他の形態の制御、
例えば、温度センサの出力をリミットスイッチ等に送っ
てON/OFF切換制御し発熱部の発熱の開始又は停止
を制御するように構成してもよい。あるいは、さらに簡
易に、サーモスタット等の手段を用い、温度に応じてス
イッチを直接的にON/OFF切換制御するように構成
してもよい。
【0114】また、上記した実施形態においては、コン
トローラがON/OFF制御を行う判断基準となる温度
条件の例について、上表に示す温度値を例に挙げて説明
しているが、本発明はこれには限定されず、他の温度値
を条件値としてもよい。例えば、外気温の判断基準値で
ある基準外気温は、融雪装置設置箇所の風や日照等の環
境条件等によっても異なるので、+3°Cから+7°C
程度の範囲のうち融雪装置の設置箇所に応じて適宜設定
するようにしてもよい。また、覆板表面温度の判断基準
値も、融雪装置設置箇所の風や日照等の環境条件等によ
っても異なるので、スイッチをOFFする上限表面温度
は+30°Cを中心値として上下に±10°C程度の範
囲のうち融雪装置の設置箇所に応じて適宜設定するよう
にしてもよい。また、同様の理由から、スイッチをON
する下限表面温度も+15°Cを中心値として上下に±
10°C程度の範囲のうち融雪装置の設置箇所に応じて
適宜設定するようにしてもよい。
【0115】また、上記した第2実施形態においては、
ヒーター22の下部の断熱部が第1断熱板44と第2断
熱板45など複数の部材で構成されている例について説
明しているが、本発明はこれには限定されず、他の形
態、例えば、断熱部が一体の部材として形成されてもよ
い。
【0116】また、本発明の融雪装置は、レールとレー
ルの間の軌道内部に配置されてもよいし、レールの外方
の軌道近傍に配置されてもよい。もちろん、軌道の内部
と外部の双方に配置されればさらに効果的である。そし
て、列車前頭部の停車位置付近に集中的に配置すれば、
列車による持ち込み雪を有効かつ迅速に融雪することが
できる。さらに、本発明の融雪装置は、鉄道以外に、道
路や建築物等についても応用可能であり、特に歩行者や
自動車の通らないような場所に設置されても十分な融雪
効果を発揮する。
【0117】また、上記した第2実施形態においては、
底板77の厚みを直線的に変化させて各凸条部間の溝に
傾斜をつけるようにした例について説明しているが、本
発明はこれには限定されず、他の形態、例えば、組み立
てられた融雪装置102の長手方向の一端の下部にパッ
キング材(図示せず)等を配置して傾斜をつけたり、第
2断熱板45の厚みを変化させて傾斜をつける等の処置
を施してもよい。
【0118】また、上記した第2実施形態においては、
上部覆板34に複数の凸条部を形成したパネル状の融雪
体1Bを例に挙げて説明しているが、本発明はこれには
限定されず、他の形態、例えば、第1実施形態のように
1つの凸条部のみから構成されるようにし、その両側に
溝底面と溝側壁を張り出させ、2つの長手方向の斜路状
の溝を形成するようにしてもよい。
【0119】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱を発生する発熱手段と、熱の良導体からなり発熱手段
の少なくとも上部を覆うとともに雪をその表面上に支持
可能で発熱手段からの熱を雪に伝達して融解する融雪手
段と、融解により生成した融雪水を所定方向へ導く導水
手段を備えて構成したので、雪が融解した融雪水を融雪
手段上からすみやかに導いて排水することができ、鉄道
の軌道近傍における持ち込み雪等の強固な積雪であって
も、あるいは「寒風冷却現象」や「カマクラ現象」等が
発生しても支障なく融解させることができる。また、上
記の基本構成に加え、発熱手段から発散される熱のうち
融雪手段に伝達される熱以外の熱が外部に散逸しないよ
うに遮断する断熱手段や、発熱手段から発散される熱の
うち融雪手段に伝達される熱以外の熱を蓄える蓄熱手
段、あるいは、温度を検出する温度検出手段と、検出さ
れた温度に応じて発熱手段の発熱を開始又は停止させる
ように制御する制御手段を備えることにより、融雪をよ
り効果的に促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である融雪装置の全体構
成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す融雪装置における融雪体のさらに詳
細な構成を示す一部欠截斜視図である。
【図3】図1に示す融雪装置における融雪体のさらに詳
細な構成を示す分解斜視図である。
【図4】図1に示す融雪装置の軌道への設置方法、及び
その動作を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態である融雪装置の変形例
の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態である融雪装置の他の変
形例の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態である融雪装置の全体構
成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す融雪装置の軌道への設置方法、及び
その動作を説明する図である。
【図9】図7に示す融雪装置の変形例の構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
1A,1B 融雪体 2A,2B 発熱部 3A,3B 融雪導水部 4A,4B 断熱部 5A,5B 制御部 6 商用電源 20 ヒーター 20a 挿入部 21 ヒートパイプ 21a 熱交換部 22 ヒーター 30 上部覆板 30a 頂部 30b,30c 斜面 30d,30e 取付部 31 上部覆板 31a 頂部 31b,31c 屈曲部 31d〜31g 斜面 32 上部覆板 32a 頂部 32b,32c 傾斜した曲面 33 上部覆板 33a 中央部 33b,32c 斜面 34 上部覆板 34a 頂面 34b 斜面 34c 溝底面 34d 溝側壁 34e ボルト穴 35 導水溝 36 上部覆板 36a 頂面 36b 斜面 36c 溝底面 36f 縦溝部 40 断熱板 41 端部覆板 41a 挿入孔 42 端部覆板 43 グロメット 44 第1断熱板 45,45A 第2断熱板 46,47 端部断熱ブロック 48 断熱シート 50 コントローラ 51 表面温度センサ 52 スイッチ 53 センサ線 54 外気温センサ 54a センサ線 55 コントローラ 56 表面温度センサ 57 スイッチ 58 センサ線 59 外気温センサ 59a センサ線 70 取付部材 70a 基板 70b 補強材 70c 上板 71 取付部材 71a 基板 71b 補強材 71c 上板 72 リベット 74 リード線 75 電源線 76 連結部材 77 底板 78 ボルト 79 ナット 80 取付部材 84 リード線 85 電源線 101,102 融雪装置 L 脚部 P 排障器 R レール S 雪 T まくらぎ V 空洞 W 車輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金崎 芳之 東京都渋谷区代々木二丁目二番二号 東日 本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 福田 武二 東京都町田市高ケ坂1428−20 (72)発明者 江川 尚志 群馬県太田市別所町350番地 Fターム(参考) 2D056 BA01 BA02

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱を発生する発熱手段と、 熱の良導体からなり前記発熱手段の少なくとも上部を覆
    うとともに雪をその表面上に支持可能で、前記発熱手段
    からの熱を前記雪に伝達して融解する融雪手段と、 傾斜した形状を有し前記融解により生成した融雪水を所
    定方向へ導く導水手段を備えたことを特徴とする融雪装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の融雪装置において、 前記導水手段は、凸形状を形成し前記融雪水を流下させ
    る少なくとも2つの斜面を有し、かつ前記融雪手段を兼
    用することを特徴とする融雪装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の融雪装置において、 前記斜面は、前記斜面における最大斜度の方向に垂直な
    方向に延びるように形成されることを特徴とする融雪装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載の融雪装置
    において、 前記融雪水は、前記凸形状をなす部分の法尻端から排水
    されることを特徴とする融雪装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の融雪装置において、 前記導水手段は、略溝状の断面を有し前記融雪水を流下
    させる斜路を有することを特徴とする融雪装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の融雪装置において、 前記導水手段は、凸形状を形成し前記融雪水を流下させ
    る少なくとも2つの斜面を有し、前記斜路は、前記凸形
    状をなす部分の法尻端からの前記融雪水を前記所定方向
    へ導くことを特徴とする融雪装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の融雪装置において、 前記斜面は、前記斜面における最大斜度の方向に垂直な
    方向に延びるように形成され、前記斜路は、前記凸形状
    をなす部分の法尻端からの前記融雪水を前記斜面の延設
    方向と平行又は垂直な方向へ導くことを特徴とする融雪
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし請求項7のうちのいずれ
    か1項に記載の融雪装置において、 前記融雪水は、前記斜路の法尻端から排水されることを
    特徴とする融雪装置。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のうちのいずれ
    か1項に記載の融雪装置において、 前記発熱手段は、高い電気抵抗を有し通電により熱を発
    生する電熱式発熱体、又はパイプ内に作業流体を封入し
    燃料の燃焼や前記電熱式発熱体により発生させた熱を前
    記作業流体に伝えて前記パイプ内を循環させるヒートパ
    イプ式発熱体を含むことを特徴とする融雪装置。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のうちのいず
    れか1項に記載の融雪装置において、 前記発熱手段は、前記融雪手段の裏面に接触するように
    配置されることを特徴とする融雪装置。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項10のうちのい
    ずれか1項に記載の融雪装置において、 前記発熱手段から発散される熱のうち前記融雪手段に伝
    達される熱以外の熱が外部に散逸しないように遮断する
    断熱手段を備えたことを特徴とする融雪装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の融雪装置におい
    て、 前記断熱手段は、前記融雪手段の下部を少なくとも被覆
    するように配置されることを特徴とする融雪装置。
  13. 【請求項13】 請求項11又は請求項12に記載の融
    雪装置において、 前記断熱手段は、前記斜面の延設方向の両端部における
    前記融雪手段の側部を少なくとも被覆するように配置さ
    れることを特徴とする融雪装置。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし請求項13のうちのい
    ずれか1項に記載の融雪装置において、 前記発熱手段から発散される熱のうち前記融雪手段に伝
    達される熱以外の熱を蓄える蓄熱手段を備えたことを特
    徴とする融雪装置。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし請求項14のうちのい
    ずれか1項に記載の融雪装置において、 前記融雪手段の表面温度を検出する表面温度検出手段
    と、 検出された前記融雪手段の表面温度が所定の下限表面温
    度以下となった場合には前記発熱手段の発熱を開始さ
    せ、検出された前記融雪手段の表面温度が所定の上限表
    面温度以上となった場合には前記発熱手段の発熱を停止
    させるように制御する制御手段を備えたことを特徴とす
    る融雪装置。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし請求項15のうちのい
    ずれか1項に記載の融雪装置において、 外気温を検出する外気温検出手段を備え、 検出された前記外気温が所定の基準外気温以上となった
    場合には前記発熱手段の発熱を停止させるように制御す
    る制御手段を備えたことを特徴とする融雪装置。
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